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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094996
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】放射線照射システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211962
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】中北 勝
(72)【発明者】
【氏名】楠岡 新也
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC07
4C082AE01
4C082AJ02
4C082AJ08
4C082AN02
(57)【要約】
【課題】被照射体の位置決め用の光源のずれの認知が容易な放射線照射システムを提供する。
【解決手段】中性子捕捉療法システム1によれば、板PT(対象物)の表面へ、一つの仮想的な軸線AX上に沿って投影光LZを投影可能な少なくとも三つの光源60を備える。この場合、いずれか一つの光源60にずれが生じた場合、当該光源60の投影光LZは軸線AXからずれる。当該ずれを確認することにより、容易にずれた光源60を確認することができる。これにより、ずれた光源60以外の投影光LZを用いて患者Qの位置決めを行うことが可能となる。以上のように、患者Qの位置決め用の光源60のずれの認知が容易となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を被照射体へ照射する放射線照射システムであって、
対象物の表面へ、一つの仮想的な軸線上に沿って投影光を投影可能な少なくとも三つの光源を備える、放射線照射システム。
【請求項2】
前記光源として、第1の光源、第2の光源、及び第3の光源を有し、
前記第1の光源の投影光と前記第2の光源の投影光とが互いに重なりを有し、
前記第1の光源の投影光と前記第3の光源の投影光とが互いに重なりを有する、請求項1に記載の放射線照射システム。
【請求項3】
少なくとも三つの前記光源は、互いに異なる向きに前記投影光を照射する、請求項1に記載の放射線照射システム。
【請求項4】
少なくとも三つの前記光源は、前記被照射体へ前記放射線を照射する部屋、及び前記被照射体へ放射線を照射する際の前記被照射体の固定状態を模擬する部屋の少なくとも一つに設けられる、請求項1に記載の放射線照射システム。
【請求項5】
BNCTシステムである、請求項1に記載の放射線照射システム。
【請求項6】
少なくとも三つの前記光源は、前記BNCTシステムにおける治療室、準備室、及びシミュレーション室の少なくとも一つに設けられる、請求項5に記載の放射線照射システム。
【請求項7】
少なくとも三つの前記光源は、それぞれ異なる架台に固定される、請求項1に記載の放射線照射システム。
【請求項8】
前記被照射体に対して、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向と、前記第1の方向及び前記第2の方向と直交する第3の方向を設定し、
前記第1の方向における前記被照射体の位置決めを行うための仮想的な第1の軸線と、前記第2の方向における前記被照射体の位置決めを行うための仮想的な第2の軸線と、前記第3の方向の前記被照射体の位置決めを行うための仮想的な第3の軸線と、を設定した場合、
三つの前記軸線のうち少なくとも二つの前記軸線に沿って、少なくとも三つの前記光源が前記投影光を投影可能である、請求項1に記載の放射線照射システム。
【請求項9】
前記光源は、一本の直線状の前記投影光を照射するラインレーザー、または互いに直交する二本の直線状の前記投影光を照射するクロスレーザーによって構成される、請求項8に記載の放射線照射システム。
【請求項10】
少なくとも一つの前記光源は、前記クロスレーザーによって構成され、前記被照射体の上方に配置され、下方へ向けて二本の投影光を照射する、請求項9に記載の放射線照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線照射システムとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。この放射線照射システムでは、患者の位置決めのために、部屋の壁に複数のレーザが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-112495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、壁に設けられたレーザ等の光源は、地震、あるいは日常的な微振動、設置された環境温度、吸湿状態等によって、光軸がずれる場合がまれに生じる。このようなずれは気づかれにくく、ずれたまま患者の位置決めを行うと、正確な位置決めができないという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、被照射体の位置決め用の光源のずれの認知が容易な放射線照射システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る放射線照射システムは、放射線を被照射体へ照射する放射線照射システムであって、対象物の表面へ、一つの仮想的な軸線上に沿って投影光を投影可能な少なくとも三つの光源を備える。
【0007】
上記の放射線照射システムによれば、対象物の表面へ、一つの仮想的な軸線上に沿って投影光を投影可能な少なくとも三つの光源を備える。この場合、いずれか一つの光源にずれが生じた場合、当該光源の投影光は軸線からずれる。当該ずれを確認することにより、容易にずれた光源を確認することができる。これにより、ずれた光源以外の投影光を用いて被照射体の位置決めを行うことが可能となる。以上のように、被照射体の位置決め用の光源のずれの認知が容易となる。
【0008】
放射線照射システムは、光源として、第1の光源、第2の光源、及び第3の光源を有し、第1の光源の投影光と第2の光源の投影光とが互いに重なりを有し、第1の光源の投影光と第3の光源の投影光とが互いに重なりを有してよい。このように、三つすべての光源ではなく、二つの光源の投影光が重なるように配置することで、光源の配置の自由度が高くなる。
【0009】
少なくとも三つの光源は、互いに異なる向きに投影光を照射してよい。この場合、三次元形状の被照射体に対して、各光源は、死角を少なくして投影光を投影することができる。
【0010】
少なくとも三つの光源は、被照射体へ放射線を照射する部屋、及び被照射体へ放射線を照射する際の被照射体の固定状態を模擬する部屋の少なくとも一つに設けられてよい。この場合、放射線を照射する部屋、及び被照射体の固定状態を模擬する部屋の少なくとも一方において、光源のずれの認知を容易とすることができる。
【0011】
放射線照射システムは、BNCTシステムであってよい。この場合、BNCTシステムにおける被照射体の位置合わせを容易に行うことが可能となる。
【0012】
少なくとも三つの光源は、BNCTシステムにおける治療室、準備室、及びシミュレーション室の少なくとも一つに設けられてよい。この場合、BNCTシステムで用いられる部屋での被照射体の位置合わせを容易に行うことができる。
【0013】
少なくとも三つの光源は、それぞれ異なる架台に固定されてよい。一つの架台に全ての光源を固定した場合、架台ごとずれた場合に全ての光源も相対位置を維持したままずれるため、光源のずれを検出することができない。これに対し、各光源が異なる架台に固定されることで、個々の光源のずれを検出可能となる。
【0014】
被照射体に対して、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向と、第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向を設定し、第1の方向における被照射体の位置決めを行うための仮想的な第1の軸線と、第2の方向における被照射体の位置決めを行うための仮想的な第2の軸線と、第3の方向の被照射体の位置決めを行うための仮想的な第3の軸線と、を設定した場合、三つの軸線のうち少なくとも二つの軸線に沿って、少なくとも三つの光源が投影光を投影可能であってよい。この場合、複数の光源を用いて、三軸の位置合わせを行うことができる。また、少なくとも二軸の位置合わせにおいて、少なくとも三つの光源が投影光を投影可能であることによる、光源のずれの認知が容易となる効果を得ることができる。
【0015】
光源は、一本の直線状の投影光を照射するラインレーザー、または互いに直交する二本の直線状の投影光を照射するクロスレーザーによって構成されてよい。ラインレーザーを用いた場合は、光軸の傾きの制約を緩和した状態で、自由度の高い配置が可能となる。クロスレーザーを用いた場合は、一つの光源で二軸の位置合わせが可能となる。
【0016】
少なくとも一つの光源は、クロスレーザーによって構成され、被照射体の上方に配置され、下方へ向けて二本の投影光を照射してよい。この場合、例えば水平面となる液面を用いて較正することで、光軸の鉛直性を容易に調整・確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被照射体の位置決め用の光源のずれの認知が容易な放射線照射システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る中性子捕捉療法システムを示す平面図である。
図2】治療室における中性子線発生部の近傍を示す断面図である。
図3】光源が設けられる部屋の概略側面図である。
図4】光源が設けられる部屋の概略平面図である。
図5】光源のずれの復旧について説明するための図である。
図6】光源のずれの復旧について説明するための図である。
図7】変形例に係る中性子捕捉療法システムを示す平面図である。
図8】変形例に係る中性子捕捉療法システムを示すY軸方向から見た図である。
図9】変形例に係る中性子捕捉療法システムを示す平面図である。
図10】変形例に係る中性子捕捉療法システムを示す平面図である。
図11】(a)はクロスレーザーを示す模式図であり、(b)(c)はラインレーザーを示す模式図である。
図12】光源の投影光によって描画できる面の関係を示す表である。
図13】比較例に係る架台を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
まず、中性子捕捉療法システム1の全体の構成について、図1および図2を参照して説明する。中性子捕捉療法システム1は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutorn Capture Therapy)を行うBNCTシステムである。中性子捕捉療法は、ホウ素(10B)を投与された患者Q(被照射体)に対して中性子線を照射することにより患者の病巣(例えば、腫瘍等)の治療を行う治療法である。
【0021】
中性子捕捉療法システム1は、治療台2に載置された患者Qを収容し当該患者Qに対する中性子線の照射が行われる治療室3と、荷電粒子線Pを発生させる加速器5および加速器5から出射された荷電粒子線を後述の中性子線発生部11へ輸送する輸送ライン7が収納される加速器室9と、輸送ライン7から荷電粒子線を受け患者Qに照射するための中性子線を発生させる中性子線発生部11と、を備えている。加速器5は、例えばサイクロトロンであり、荷電粒子(例えば陽子)を加速して、荷電粒子線P(例えば陽子線)を出射する。加速器5は、例えばビーム半径40mm、60kw(=30MeV×2mA)の荷電粒子線Pを出射する能力を有する。なお、加速器5はサイクロトロンに限らず、シンクロトロン、ライナック、静電加速器等の他の加速器でもよい。治療室3および加速器室9は遮蔽壁Wに囲まれた閉鎖空間であり、遮蔽壁Wは放射線を遮蔽するためのコンクリート製の壁である。中性子線発生部11は、治療室3と加速器室9とを仕切る遮蔽壁Wに埋め込まれるように配置されている。なお、中性子線発生部11は、遮蔽壁Wに埋め込まれずに、治療室3内に配置されてもよい。さらに、治療室3と加速器室9とを遮蔽壁Wにより隔てずに、一つの部屋としてもよい。
【0022】
さらに、中性子捕捉療法システム1は、治療室3に対して隣接する準備室10を備えている。準備室10は、遮蔽壁Wによって治療室3から隔離されている。治療室3と準備室10との間を通行可能とする連絡室13が、遮蔽壁Wを貫通して設けられている。そして、連絡室13と治療室3との境界、および連絡室13と準備室10との境界には、開閉可能な遮蔽扉15が設けられている。治療台2は、連絡室13を通じて治療室3と準備室10との間を移動可能である。準備室10では、治療に先立つ準備作業が行われる。具体的に、準備室10は、治療室3において患者Qに中性子線Nを照射するために必要な作業を実施するための部屋である。準備室10では、例えば、治療台2への患者Qの拘束や、コリメータ21と患者Qとの位置合わせの模擬が実施される。従って、準備室10は、治療台2が配置可能であり、治療台2の周囲で作業者が容易に準備作業をすることができる程度の大きさを有している。準備室10における患者の治療台2への拘束(固定)は、治療室3においてコリメータ21(後述する)から患者への中性子線が照射される最中における姿勢と同じ姿勢となるように行われることで、上記位置合わせの模擬が実施されてもよい。
【0023】
また、準備室10とは別のシミュレーション室20が設けられていてもよい。シミュレーション室20は、準備室10と同様に遮蔽壁Wによって治療室3から隔離されている。シミュレーション室20は、患者Qへの中性子線の照射に先立って、治療計画の修正等を行うために用いられる。本実施形態では、シミュレーション室20内に、患者に対してX線を照射するCT(Computed Tomography)装置30と、後述の中性子線Nの照射口を模擬した模擬照射口40が設けられる。そして、シミュレーション室20において、治療室3での治療台2での患者の位置合わせおよび当該姿勢でのCT画像の撮像等が行われる。この点については後述する。なお、CT装置30は、X線とは異なる放射線を照射してもよい。
【0024】
準備室10及びシミュレーション室20は、患者Qへ中性子線Nを照射する際の患者Qの固定状態を模擬する部屋である。
【0025】
図2に示されるように、中性子線発生部11は、荷電粒子線Pの照射を受けて中性子線Nを発生させるターゲットTと、発生した中性子線Nを減速させる(エネルギーを低下させる)減速材17と、減速材17の周囲の少なくとも一部を覆って放射線を遮蔽する遮蔽体19とを含む。遮蔽体19は、減速材17で生じるガンマ線等の二次的な放射線を遮蔽する。減速材17から出射された中性子線Nは、治療台2に設けられたコリメータ21(照射口)を通過して患者Qに照射される。コリメータ21は、患者Qに対して照射される中性子線Nの照射範囲を変更することができる。
【0026】
図2では、治療台2上の患者Qは臥位となっているが、特に患者Qの姿勢は限定されず、座位の患者Qに対して中性子線Nの照射を行ってもよい。
【0027】
本実施形態に係る中性子捕捉療法システム1では、CT装置30および模擬照射口40がシミュレーション室20に設けられ、CT装置30は模擬照射口40に隣接する領域内に設けられることを特徴とする。そのため、模擬照射口40に対して位置合わせを行った患者Qを、CT装置30を用いて撮像することができる。
【0028】
図3及び図4は、中性子捕捉療法システム1が有する光源60を示す図である。図3は、光源60が設けられる部屋50の概略側面図である。図4は、光源60が設けられる部屋50の概略平面図である。図3及び図4に示すように、中性子捕捉療法システム1は、少なくとも三つの光源60を備える。少なくとも三つの光源60は、BNCTシステムにおける治療室3、準備室10、及びシミュレーション室20の少なくとも一つに設けられる。少なくとも三つの光源60は、部屋50において患者Qの位置決めを行うためのシステムである。本実施形態では、中性子捕捉療法システム1は、光源60として、光源60A、光源60B、及び光源60Cを有する。なお、本実施形態では、光源60Aが請求項における「第1の光源」に該当する。光源60B及び光源60Cの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。
【0029】
図3に示すように、光源60A,60B,60Cは、投影光LZを投影する。光源60A,60B,60Cは、例えばレーザーポインタによって構成される。光源60A,60B,60Cは、光軸CLを中心として、投影範囲EA,EB,ECに投影光LZを投影可能である。
【0030】
光源60Aは、部屋50の天井51に設けられる。光源60Aの光軸CLは、下方へ向かって延びる。従って、光源60Aは、下方へ向かって投影光LZを投影する。光源60Aの光軸CLは、患者Qに対して鉛直方向の下方へ向かって延びる。このため、光源60Aの投影光LZは、患者Qに対して鉛直に入射させることができる。光源60Aの光軸CLは、患者Qの位置に水面を配置することで、鉛直方向に位置合わせすることができる。光源60Bは、部屋50の一方側の側壁52の壁面に設けられる。光源60Bの光軸CLは、一方側の側壁52から他方側の側壁53へ向かって横方向に延びる。従って、光源60Bは、一方側の側壁52から他方側の側壁53へ向かって横方向に投影光LZを投影する。光源60Cは、部屋50の他方側の側壁53の壁面に設けられる。光源60Cの光軸CLは、他方側の側壁53から一方側の側壁52へ向かって横方向に延びる。従って、光源60Cは、他方側の側壁53から一方側の側壁52へ向かって横方向に投影光LZを投影する。以上のように、光源60A,60B,60Cは、互いに異なる向きに投影光LZを照射する。準備室10及びシミュレーション室20において、光源60B,60Cは中性子線Nの進行方向(図4(a)参照)と直交する方向へ投影光LZを投影するように配置される。なお、中性子線Nを照射する照射ポートに対し、どのような配置で光源60を配置するかは特に限定されない(後述の図7等を参照)。ただし、治療室3においては、照射ポートに対応する位置には、光源60を配置することができない。なお、照射ポートと干渉しない位置(例えば照射ポートよりも高い位置)に光源60を配置することができる場合は、照射ポートが設けられる壁部のいずれかの位置に光源60を配置してよい。
【0031】
図4(a)は、光源60A,60B,60Cにずれがない状態を示している。図4(a)に示すように、対象物(患者Qや、紙などの板等)の表面へ、一つの仮想的な軸線AX上に沿って投影光LZを投影可能である。光源60A,60B,60Cの投影光LZの投影範囲EA,EB,ECは、平面視において直線状に形成される。光源60A,60B,60Cの投影光LZの投影範囲EA,EB,ECは、いずれも軸線AX上に配置される。光源60Aの投影光LZと光源60Bの投影光LZとが互いに重なりを有する。光源60Aの投影光LZと光源60Cの投影光LZとが互いに重なりを有する。なお、図4(a)においては、各投影範囲EA,EB,ECと、軸線AXとの区別をするために、互いに僅かにずれた状態で示しているが、いずれも平面視において重なり合う。
【0032】
図4(b)は、光源60Bにずれが生じた場合の状態を示している。図4(b)に示すように、光源60Bの投影光LZの投影範囲EBは、軸線AXに対して傾斜し、光源60Aの投影光LZの投影範囲EAと重ならなくなる。このような光源60A,60B,60Cのずれは、各光源60A,60B,60Cの投影光LZの重なり位置に、紙などの平らな板PTを配置することで目視確認することが可能となる。すなわち、板PTには、各光源60A,60B,60Cからの投影光LZが投影される。板PT上に投影された光源60Aの投影光LZと、光源60Cの投影光LZとは、互いに重なり合う。従って、両者はずれていないと目視確認できる。一方、板PT上に投影された光源60Aの投影光LZと、光源60Bの投影光LZとは、互いに重なり合わない。従って、両者はずれていると目視確認できる。作業者は、光源60A,60Cにはずれがないため、残りの光源60Bにずれがあることを確認できる。
【0033】
光源60Bのずれを確認した後、作業者は、当該ずれの復旧を行うことができる。図5に示すように、作業者は、板PTを軸線AXに沿った少なくとも二箇所の位置PG1,PG2に配置する。あるいは、位置PG1に板PTを配置した後、板PTを位置PG2に移動させる。作業者は、位置PG1において、板PTに投影された光源60Aの投影光LZと光源60Bの投影光LZとの間の距離L1を測定する。また、作業者は、位置PG2において、板PTに投影された光源60Aの投影光LZと光源60Bの投影光LZとの間の距離L2を測定する。作業者は、距離L1と距離L2とが同じになるように、光源60Bのずれを矯正する。これにより、平面視における光源60Aの投影光LZと光源60Bの投影光LZとを平行にする。図6(a)に示すように、当該状態での板PTに投影された光源60Aの投影光LZと光源60Bの投影光LZとの間の距離L3を測定する。図6(b)に示すように、作業者は、光源60Bの投影光LZを光源60Aの投影光LZ側へシフトする。これにより、光源60Bのずれが矯正され、光源60Aの投影光LZと光源60Bの投影光LZとが重なりあう。
【0034】
次に、本実施形態に係る中性子捕捉療法システム1の作用・効果について説明する。
【0035】
中性子捕捉療法システム1によれば、板PT(対象物)の表面へ、一つの仮想的な軸線AX上に沿って投影光LZを投影可能な少なくとも三つの光源60を備える。この場合、いずれか一つの光源60にずれが生じた場合、当該光源60の投影光LZは軸線AXからずれる。当該ずれを確認することにより、容易にずれた光源60を確認することができる。これにより、ずれた光源60以外の投影光LZを用いて患者Qの位置決めを行うことが可能となる。以上のように、患者Qの位置決め用の光源60のずれの認知が容易となる。
【0036】
中性子捕捉療法システム1は、光源60として、光源60A、光源60B、及び光源60Cを有し、光源60Aの投影光LZと光源60Bの投影光LZとが互いに重なりを有し、光源60Aの投影光LZと光源60Cの投影光LZとが互いに重なりを有してよい。このように、三つすべての光源60ではなく、二つの光源60の投影光LZが重なるように配置することで、光源60の配置の自由度が高くなる。
【0037】
少なくとも三つの光源60は、互いに異なる向きに投影光LZを照射してよい。この場合、三次元形状の患者Qに対して、各光源60は、死角を少なくして投影光LZを投影することができる。
【0038】
少なくとも三つの光源60は、患者Qへ中性子線Nを照射する部屋、及び患者Qへ中性子線Nを照射する際の患者Qの固定状態を模擬する部屋の少なくとも一つに設けられてよい。この場合、中性子線Nを照射する部屋(治療室3)、及び患者Qの固定状態を模擬する部屋(準備室10、シミュレーション室20)の少なくとも一方において、光源60のずれの認知を容易とすることができる。
【0039】
中性子捕捉療法システム1は、BNCTシステムであってよい。この場合、BNCTシステムにおける患者Qの位置合わせを容易に行うことが可能となる。
【0040】
少なくとも三つの光源60は、BNCTシステムにおける治療室3、準備室10、及びシミュレーション室20の少なくとも一つに設けられてよい。この場合、BNCTシステムで用いられる部屋50での患者Qの位置合わせを容易に行うことができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0042】
上述の中性子捕捉療法システム1は、光源60にずれが生じたときに、手動でずれを矯正するものであった。これに代えて自動的に光源60のずれを矯正してもよい。この場合、中性子捕捉療法システム1は、ずれを検知する撮影装置と、光源60がずれた場合に報知を行う報知部と、光源60の位置調整を行うアクチュエータと、当該アクチュエータを制御する制御部と、を有する。撮影装置は、光源60A,60Bの重なり部分を撮影する部分と、光源60A,60Cの重なり部分を撮影する部分とを有する。撮影装置が、軸線AXからはずれた光源60を検出すると、報知部は、当該ずれた旨を報知する。報知は、ディスプレイ表示、音などによってなされる。報知部が表示を行う場合、光源の光軸がずれたことを表示し、光軸がずれた光源を表示し、ずれの矯正を行う旨を表示する。
【0043】
例えば、図7図10示すように、三軸の位置決めを行うことができる中性子捕捉療法システム1を採用してもよい。患者Qに対して、X軸方向(第1の方向)と、X軸方向と直交するY軸方向(第2の方向)と、X軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向(第3の方向)を設定する。また、X軸方向における位置決めを行うための仮想的な軸線AX(第1の軸線)と、Y軸方向における位置決めを行うための仮想的な軸線AY(第2の軸線)を設定する。Z軸方向の位置決めを行うための仮想的なAZ(第3の軸線)を設定する(図8参照)。ここでは、中性子線Nの照射方向と平行な方向をY軸方向とする。また、中性子線Nは、Y軸方向の正側から負側へ向けて照射されるものとする。Z軸方向は上下方向と平行な方向であり上側を正側とする。X軸方向の一方側を正側とする。
【0044】
この場合、三つの軸線AX,AY,AZのうち少なくとも二つの軸線に沿って、少なくとも三つの光源60が投影光LZを投影可能であってよい。また、三つの軸線AX,AY,AZに沿って、少なくとも三つの光源60が投影光LZを投影可能であってよい。
【0045】
ここで、上述のような三軸の位置合わせを行うために、光源60は、ラインレーザーまたはクロスレーザーによって構成されてよい。図11(a)に示すように、クロスレーザーは、互いに直交する二本の直線状の投影光LZa,LZbを照射する。投影光LZaによる投影範囲Eaと、投影光LZbによる投影範囲Ebは、互いに直交する平面を構成する。図11(b)(c)に示すように、ラインレーザーは、一本の直線状の投影光LZを照射する。ラインレーザーは、投影光LZのスキャニング方向を調整することで、クロスレーザーの投影範囲Eaに相当する投影範囲Eを形成可能であり(図11(b))、クロスレーザーの投影範囲Ebに相当する投影範囲Eを形成可能である(図11(c))。
【0046】
図7に示す中性子捕捉療法システム1における光源60の配置について説明する。図7及び図8は、部屋50が準備室10またはシミュレーション室20である場合の光源60の配置の一例である。図7に示すように、部屋50には、光源60A,60B,60C,60D,60Eが配置されている。光源60A,60B,60C,60D,60Eはいずれもクロスレーザーによって構成される。
【0047】
光源60Aは、患者Qの上方であるZ軸方向の正側の位置に配置され、下方であるZ軸方向の負側へ向かって投影光LZa,LZbを照射する。光源60Aの投影光LZaの投影範囲EAaは、Z-X面と平行になる。光源60Aの投影光LZbの投影範囲EAbは、Y-Z面と平行になる。光源60Bは、患者Qに対してX軸方向の負側の位置に配置され、X軸方向の正側へ向かって投影光LZa,LZbを照射する。光源60Bの投影光LZaの投影範囲EBaは、Z-X面と平行になる。光源60Bの投影光LZbの投影範囲EBbは、X-Y面と平行になる。光源60Cは、患者Qに対してX軸方向の正側の位置に配置され、X軸方向の負側へ向かって投影光LZa,LZbを照射する。光源60Cの投影光LZaの投影範囲ECaは、Z-X面と平行になる。光源60Cの投影光LZbの投影範囲ECbは、X-Y面と平行になる。光源60Dは、患者Qに対してY軸方向における負側の位置に配置され、Y軸方向の正側へ向かって投影光LZa,LZbを照射する。光源60Dの投影光LZaの投影範囲EDaは、Y-Z面と平行になる。光源60Dの投影光LZbの投影範囲EDbは、X-Y面と平行になる。光源60Eは、患者Qに対してY軸方向における正側の位置に配置され、Y軸方向の負側へ向かって投影光LZa,LZbを照射する。光源60Eの投影光LZaの投影範囲EEaは、Y-Z面と平行になる。光源60Eの投影光LZbの投影範囲EEbは、X-Y面と平行になる。
【0048】
上記光源60A,60B,60C,60D,60Eの投影光LZによって描画できる面の関係を図12の表に示す。ここで、X軸方向における患者Qの位置決めを行うための仮想的な軸線AX(第1の軸線)をY-Z面内に設定する。軸線AXは、平面視においてY軸と平行に延びる(図7参照)。Y軸方向における患者Qの位置決めを行うための仮想的な軸線AY(第2の軸線)をZ-X面内に設定する。軸線AYは、平面視においてX軸と平行に延びる(図7参照)。Z軸方向における患者Qの位置決めを行うための仮想的な軸線AZ(第3の軸線)をX-Y面内に設定する。軸線AZは、Y軸方向から見てX軸と平行に延びる(図8参照)。
【0049】
軸線AXに沿って、三つの光源60A,60D,60Eが投影範囲EAb,EDa,EEaの投影光LZを投影可能である(図7参照)。軸線AYに沿って、三つの光源60A,60B,60Cが投影範囲EAa,EBa,ECaの投影光LZを投影可能である(図7参照)。軸線AZに沿って、四つの光源60B,60C,60D,60Eが投影範囲EBb,ECb,EDb,EEbの投影光LZを投影可能である(図8参照)。
【0050】
軸線AXに対して、光源60Aが請求項における「第1の光源」に該当する。光源60D及び光源60Eの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。軸線AYに対して、光源60Aが請求項における「第1の光源」に該当する。光源60B及び光源60Cの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。軸線AZに対して、光源60E,60Dを請求項における「第1の光源」に該当するものとした場合、光源60B及び光源60Cの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。軸線AZに対して、光源60B,60Cを請求項における「第1の光源」に該当するものとした場合、光源60D及び光源60Eの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。
【0051】
なお、部屋50が準備室10、またはシミュレーション室20である場合は、中性子線Nの照射ポートが存在しないため光源60Eを配置することができる。しかし、部屋50が治療室3である場合、中性子線Nの照射ポートが存在するため光源60Eを配置することができない。従って、軸線AXに沿って、二つの光源60A,60Dが投影範囲EAb,EDaの投影光LZを投影可能である(図7参照)。軸線AYに沿って、三つの光源60A,60B,60Cが投影範囲EAa,EBa,ECaの投影光LZを投影可能である(図7参照)。軸線AZに沿って、三つの光源60B,60C,60Dが投影範囲EBb,ECb,EDbの投影光LZを投影可能である(図8参照)。
【0052】
このように光源60Eを配置できない治療室3に対し、図9に示すように、ラインレーザーで構成される光源60Fを追加することで、軸線AXに沿って、三つの光源60A,60D,60Fが投影範囲EAb,EDa,EFの投影光LZを投影可能である。光源60Fは、患者Qの上方であるZ軸方向の正側の位置に配置され、下方であるZ軸方向の負側へ向かって投影光LZを照射する。光源60Fは、Y軸方向において光源60Aと光源60Dとの間に配置される。光源60Fの投影光LZの投影範囲EFは、Y-Z面と平行になる。軸線AXに対して、光源60Fが請求項における「第1の光源」に該当する。光源60A及び光源60Dの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。
【0053】
光源60Eを配置できない治療室3に対し、図9に代えて図10に示す構成を採用してよい。図10では、光源60Dに代えて、ラインレーザーで構成される光源60G,60H,60Iが配置される。光源60Gは、患者Qに対してY軸方向における負側の位置に配置され、Y軸方向の正側へ向かって投影光LZを照射する。光源60Gの投影光LZの投影範囲EGは、Y-Z面と平行になる。光源60Hは、患者Qに対してY軸方向における負側であってX軸方向における負側の位置に配置され、Y軸方向の正側であってX軸方向の正側へ向かって投影光LZを照射する。光源60Hの投影光LZの投影範囲EHは、X-Y面と平行になる。光源60Iは、患者Qに対してY軸方向における負側であってX軸方向における正側の位置に配置され、Y軸方向の正側であってX軸方向の負側へ向かって投影光LZを照射する。光源60Iの投影光LZの投影範囲EIは、X-Y面と平行になる。これにより、軸線AXに沿って、三つの光源60A,60G,60Fが投影範囲EAb,EG,EFの投影光LZを投影可能である。軸線AZ(図8参照)に沿って、四つの光源60B,60C,60H,60Iが投影範囲EBb,ECb,EH,EIの投影光LZを投影可能である。
【0054】
軸線AXに対して、光源60Fが請求項における「第1の光源」に該当する。光源60A及び光源60Gの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。軸線AZに対して、光源60B,60Iを請求項における「第1の光源」に該当するものとした場合、光源60C及び光源60Hの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。軸線AZに対して、光源60C,60Hを請求項における「第1の光源」に該当するものとした場合、光源60B及び光源60Iの一方が請求項における「第2の光源」に該当し、他方が請求項における「第3の光源」に該当する。
【0055】
なお、クロスレーザーである光源60A,60B,60Cの場合、光源60Aの光軸と、光源60B,60Cの光軸が互いに直交するように配置するという制約がある。これに対し、ラインレーザーである光源60F,60G,60H,60Iの場合は、上述のような制約がなく、光軸が互いに傾くように配置してもよい。
【0056】
以上より、患者Qに対して、X軸方向と、X軸方向と直交するY軸方向と、X軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向を設定し、X軸方向における患者Qの位置決めを行うための仮想的な軸線AXと、Y軸方向における患者Qの位置決めを行うための仮想的な軸線AYと、Z軸方向の患者Qの位置決めを行うための仮想的な軸線AZと、を設定する。この場合、三つの軸線AX,AY,AZのうち少なくとも二つの軸線に沿って、少なくとも三つの光源60が投影光LZを投影可能であってよい。この場合、複数の光源60を用いて、三軸の位置合わせを行うことができる。また、少なくとも二軸の位置合わせにおいて、少なくとも三つの光源60が投影光LZを投影可能であることによる、光源60のずれの認知が容易となる効果を得ることができる。
【0057】
光源60は、一本の直線状の投影光を照射するラインレーザー、または互いに直交する二本の直線状の投影光を照射するクロスレーザーによって構成されてよい。ラインレーザーを用いた場合は、光軸の傾きの制約を緩和した状態(例えば、図10の光源60F,60G,60H,60Iで、自由度の高い配置が可能となる。クロスレーザーを用いた場合は、一つの光源60で二軸の位置合わせが可能となる。
【0058】
少なくとも一つの光源60(例えば図7の光源60A)は、クロスレーザーによって構成され、患者Qの上方に配置され、下方へ向けて二本の投影光LZa,LZbを照射してよい。この場合、例えば水平面となる液面を用いて較正することで、光軸の鉛直性を容易に調整・確認することが可能となる。
【0059】
一つの軸線に沿って投影光を投影可能な少なくとも三つの光源60は、それぞれ異なる架台に固定されてよい。例えば、図8に示すように、光源60A,60B,60Cは、それぞれ異なる架台70A,70B,70Cが固定される。なお、異なる架台70A,70B,70Cとは、各架台70A,70B,70Cが、構造上、直接接続されておらず、ある架台のずれと、他の架台のずれが互いに独立している状態である。例えば、図13に示すような架台170は、各光源60A,60B,60Cの固定フレームが互いに直接接続されているため、架台170全体が患者Qに対してずれたら、光源60A,60B,60Cは、互いの相対位置を維持した状態でずれる。これに対し、各光源60が異なる架台70に固定されることで、個々の光源60のずれを検出可能となる。
【0060】
上述の実施形態では、放射線照射システムとして、中性子捕捉療法システム(BNCTシステム)を例示した。放射線照射を行う際に、光源を用いて被照射体の位置決めを行う種々の放射線照射システムに適用することができる。用いられる放射線の種類は中性子線に限定されるものではなく、例えば、荷電粒子線、X線、電子線が用いられてもよい。
【0061】
[形態1]
放射線を被照射体へ照射する放射線照射システムであって、
対象物の表面へ、一つの仮想的な軸線上に沿って投影光を投影可能な少なくとも三つの光源を備える、放射線照射システム。
[形態2]
前記光源として、第1の光源、第2の光源、及び第3の光源を有し、
前記第1の光源の投影光と前記第2の光源の投影光とが互いに重なりを有し、
前記第1の光源の投影光と前記第3の光源の投影光とが互いに重なりを有する、形態1に記載の放射線照射システム。
[形態3]
少なくとも三つの前記光源は、互いに異なる向きに前記投影光を照射する、形態1又は2に記載の放射線照射システム。
[形態4]
少なくとも三つの前記光源は、前記被照射体へ前記放射線を照射する部屋、及び前記被照射体へ放射線を照射する際の前記被照射体の固定状態を模擬する部屋の少なくとも一つに設けられる、形態1~3の何れか一項に記載の放射線照射システム。
[形態5]
BNCTシステムである、形態1~4の何れか一項に記載の放射線照射システム。
[形態6]
少なくとも三つの前記光源は、前記BNCTシステムにおける治療室、準備室、及びシミュレーション室の少なくとも一つに設けられる、形態5に記載の放射線照射システム。
[形態7]
少なくとも三つの前記光源は、それぞれ異なる架台に固定される、形態1~6の何れか一項に記載の放射線照射システム。
[形態8]
前記被照射体に対して、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向と、前記第1の方向及び前記第2の方向と直交する第3の方向を設定し、
前記第1の方向における前記被照射体の位置決めを行うための仮想的な第1の軸線と、前記第2の方向における前記被照射体の位置決めを行うための仮想的な第2の軸線と、前記第3の方向の前記被照射体の位置決めを行うための仮想的な第3の軸線と、を設定した場合、
三つの前記軸線のうち少なくとも二つの前記軸線に沿って、少なくとも三つの前記光源が前記投影光を投影可能である、形態1~7の何れか一項に記載の放射線照射システム。
[形態9]
前記光源は、一本の直線状の前記投影光を照射するラインレーザー、または互いに直交する二本の直線状の前記投影光を照射するクロスレーザーによって構成される、形態8に記載の放射線照射システム。
[形態10]
少なくとも一つの前記光源は、前記クロスレーザーによって構成され、前記被照射体の上方に配置され、下方へ向けて二本の投影光を照射する、形態9に記載の放射線照射システム。
【符号の説明】
【0062】
1…中性子捕捉療法システム(放射線照射システム)、3…治療室、10…準備室、20…シミュレーション室、60…光源、60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G,60H,60I…光源(第1の光源,第2の光源,第3の光源)、70A,70B,70C…架台。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13