(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095007
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体
(51)【国際特許分類】
C09D 17/00 20060101AFI20240703BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20240703BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20240703BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C09D17/00
C09D11/322
B41M5/00 120
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211975
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 和真
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J037
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FC01
2H186AB04
2H186AB12
2H186BA08
2H186DA09
2H186DA10
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB22
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB48
2H186FB55
4J037AA30
4J037EE08
4J037EE28
4J039AD09
4J039BC09
4J039BC15
4J039BC35
4J039BE01
4J039BE22
4J039CA06
4J039EA43
4J039EA46
4J039FA02
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れる、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクを提供する。
【解決手段】〔1〕顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、該アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂Aが、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び〔2〕前記〔1〕に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体と、水溶性有機溶剤とを含有する、水系インクである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、
該アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂Aが、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
【請求項2】
前記アクリル樹脂Aのカルボキシ基が、アミン化合物で中和されてなる、請求項1に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
【請求項3】
前記アクリル樹脂Aの酸価が100mgKOH/g以上260mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
【請求項4】
前記アクリル樹脂Aの全構成単位中のシクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位の含有量が25質量%以上85質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体と、水溶性有機溶剤とを含有する、水系インク。
【請求項6】
前記水溶性有機溶剤が、アルカンジオールを含む、請求項5に記載の水系インク。
【請求項7】
樹脂フィルムを印刷基材とする印刷に用いられる、請求項5又は6に記載の水系インク。
【請求項8】
インクジェット印刷用である、請求項5~7のいずれか1項に記載の水系インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式を用いる印刷方法は、微細なノズルからインク液滴を吐出し、直接印刷基材に付着させて、文字や画像が記録された印刷物等を得る方法である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、普通紙やラベル紙、樹脂フィルム等の様々な印刷基材が使用可能、被印刷基材に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。特に印刷物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いるものが主流となってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、普通紙や光沢紙での高い発色性と光沢紙での高い光沢性を併せ持つインクジェット記録用インクの提供を目的として、水、ポリマーの構成成分として少なくとも50重量%以上のベンジルアクリレート若しくはシクロヘキシルアクリレートまたはこれらの混合物と、15重量%以下の(メタ)アクリル酸とが重合され、酸価が50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が20000以上120000以下であるポリマーを用いて分散されたカーボンブラック顔料を含むインクジェット記録用インクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、食料品等のパッケージ印刷等の産業印刷市場においては、耐久性の観点から印刷基材として主に樹脂フィルムが用いられている。印刷基材として樹脂フィルムを用いる特有の課題として、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性、特に耐テープ剥離性が挙げられる。印刷物のインク塗膜の耐テープ剥離性が不足する場合、インク塗膜が樹脂フィルムから剥離し易く、印刷物の美粧性を損ない、食料品等の内容物の保存性を低下させる。そのため、樹脂フィルムへ印刷する際に得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)の向上が求められている。特に水系インクを用いて樹脂フィルムへ印刷する場合、水系インクにより形成されるインク塗膜が樹脂フィルムに十分に密着する必要がある。
しかしながら、特許文献1のインクジェット記録用インクを疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いた際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)が不十分であることが判明した。
本発明は、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れる、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、前記アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂が、(メタ)アクリル酸由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が特定の値以下であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むことにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]及び[2]を提供する。
[1]顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、
該アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂Aが、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
[2]前記[1]に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体と、水溶性有機溶剤とを含有する、水系インク。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れる、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体]
本発明の顔料を含有するアクリル樹脂粒子(以下、「顔料含有アクリル樹脂粒子」ともいう)の水系分散体(以下、「本発明の水系分散体」又は「水系分散体」ともいう)は、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、該アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂A(以下、「アクリル樹脂A」ともいう)が、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む。
本発明において、顔料含有アクリル樹脂粒子は水系媒体に分散されてなる。
本発明において「水系」とは、液体成分において水が質量基準で最大の比率を占めていることを意味する。
水系媒体の水としては、脱イオン水、イオン交換水、又は蒸留水が好ましく用いられる。
水系媒体は、更に有機溶媒を含有してもよい。該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等の炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上8以下のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の水に溶解する水溶性有機溶媒が挙げられる。
水系媒体中の水の含有量は、環境性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
【0009】
また、本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を示し、「アルキル(メタ)アクリレート」とは、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートを示す。
本発明に係る印刷基材における「非吸液性」とは、印刷基材と純水との接触時間100m秒における該印刷基材の吸水量が1g/m2以下であることを意味する。
本発明に係る印刷基材における「疎水的」とは、表面自由エネルギー(濡れ張力)が、45mN/m以下であることを意味する。印刷基材の表面自由エネルギー(濡れ張力)は、JIS K6768の濡れ張力試験法に準拠した方法で、濡れ張力試験用混合液(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いて測定される。
本発明における「基材密着性」とは、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に得られる印刷物のインク塗膜の耐テープ剥離性を意味し、単に「基材密着性」と称することがある。
【0010】
本発明によれば、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れる、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクを提供することができる。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
本発明の水系分散体は、顔料含有アクリル樹脂粒子が水系媒体に分散されてなり、該顔料含有アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂はシクロアルキルアクリレート由来の構成単位を含む。このシクロアルキルアクリレートのシクロアルキルエステル部位は、印刷基材として用いる樹脂フィルム表面に存在する極性官能基との極性値が近いことで、本発明の水系分散体を水系インクに用いる際の樹脂フィルムに対する濡れ性が向上すると考えられる。さらに、前記極性官能基と該シクロアルキルエステル部位との間で水素結合を形成し、また、樹脂フィルムの疎水性部位とシクロアルキルアクリレートのシクロアルキル部位及び該シクロアルキルアクリレート由来の構成単位を含むアクリル樹脂の主鎖との間にファンデルワールス相互作用を効率的に発現することができるため、樹脂フィルムに対するインク塗膜の基材密着性が向上すると考えられる。
また、前記アクリル樹脂に含まれる単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位は、前記シクロアルキルアクリレートが樹脂フィルムとの相互作用を強く発現できるよう該シクロアルキルアクリレートの配座の自由度を高めることに寄与し、強い相互作用を効率的に発現させることでき、また、該アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位は、アクリル樹脂を可塑化し、該アクリル樹脂のガラス転移温度を低下させる作用を有し、印刷基材からインク塗膜が剥離する際の応力を緩和させる作用も有するため、樹脂フィルムに対するインク塗膜の基材密着性をより向上させることができると考えられる。
【0011】
<顔料を含有するアクリル樹脂粒子>
本発明の水系分散体中の顔料含有アクリル樹脂粒子の形態としては、アクリル樹脂Aが顔料を内包(カプセル化)した形態、アクリル樹脂A中に顔料が均一に分散された形態、アクリル樹脂Aの粒子の表面から顔料が露出した形態、アクリル樹脂Aが顔料に吸着している形態、及びこれらの混合物等が含まれる。
【0012】
(顔料)
本発明に係る顔料含有アクリル樹脂粒子を構成する顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物が挙げられ、黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックが挙げられる。白色インクにおいては、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等の金属酸化物などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料が挙げられる。
無彩色インクにおいては、ホワイト、ブラック、グレー等の無彩色顔料、有彩色インクにおいては、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、ブルー、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
前記顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
(アクリル樹脂A)
本発明に係る顔料含有アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂Aは、基材密着性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む。
上記モノマー(a-1)~(a-3)は、それぞれ、各成分に含まれるモノマーを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0014】
〔(メタ)アクリル酸(a-1)〕
(メタ)アクリル酸(a-1)は、基材密着性を向上させる観点から、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくはアクリル酸である。
【0015】
〔シクロアルキルアクリレート(a-2)〕
シクロアルキルアクリレート(a-2)のシクロアルキル基の炭素数は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは7以下である。
シクロアルキルアクリレートとしては、基材密着性を向上させる観点から、好ましくはシクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、及びシクロヘプチルアクリレートからなる群から選ばれる1種以上であり、入手性及び経済性の観点からは、より好ましくはシクロヘキシルアクリレートである。
【0016】
〔アルキル(メタ)アクリレート(a-3)〕
単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(以下、「アルキル(メタ)アクリレート(a-3)」ともいう)としては、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは炭素数1以上10以下、より好ましくは炭素数2以上8以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。その具体例としては、メチルアクリレート(Tg:8℃)、エチルアクリレート(Tg:-20℃)、プロピルアクリレート(Tg:3℃)、イソプロピルアクリレート(Tg:-3℃)、ブチルアクリレート(Tg:-55℃)、イソブチルアクリレート(Tg:-33℃)、イソペンチルアクリレート(Tg:-45℃)、ヘキシルアクリレート(Tg:-57℃)、オクチルアクリレート(Tg:-65℃)、2-エチルヘキシルアクリレート(Tg:-70℃)、及びベンジルアクリレート(Tg:6℃)からなる群から選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。これらの中でも、基材密着性を向上させる観点から、より好ましくはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、及びベンジルアクリレートからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはブチルアクリレート及びイソブチルアクリレートからなる群から選ばれる1種以上である。
なお、上記の括弧内の数値は各単量体を単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)を示したものである。各単量体の単独重合体のガラス転移温度(Tg)としては、例えば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley-Interscience 1989)記載の値を用いることができる。
【0017】
アクリル樹脂Aは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、前記モノマー(a-1)~(a-3)以外の他のモノマー由来の構成単位を含有することができる。他のモノマーとしては、前記モノマー(a-1)~(a-3)以外のイオン性モノマー、芳香族基を有する疎水性モノマー、ノニオン性モノマーが挙げられる。
【0018】
(アクリル樹脂A中における各構成単位の含有量)
アクリル樹脂Aを構成する原料モノマー中の(メタ)アクリル酸(a-1)の含有量又はアクリル樹脂Aの全構成単位中における(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位の含有量は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは13質量%以上、より好ましくは17質量%以上、更に好ましくは23質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは33質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
アクリル樹脂Aを構成する原料モノマー中のシクロアルキルアクリレート(a-2)の含有量又はアクリル樹脂Aの全構成単位中におけるシクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位の含有量は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは65質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下である。
アクリル樹脂Aを構成する原料モノマー中のアルキル(メタ)アクリレート(a-3)の含有量又はアクリル樹脂Aの全構成単位中におけるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位の含有量は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは17質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは47質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。
【0019】
アクリル樹脂Aを構成する原料モノマー中のシクロアルキルアクリレート(a-2)の含有量に対するアルキル(メタ)アクリレート(a-3)の含有量の質量比又はアクリル樹脂Aの全構成単位中におけるシクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位の含有量に対するアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位の含有量の質量比[アルキル(メタ)アクリレート(a-3)/シクロアルキルアクリレート(a-2)]は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは1以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.90以下である。
【0020】
アクリル樹脂Aは、前記モノマー(a-1)~(a-3)等を含む原料モノマーを公知の重合法等により共重合させることにより製造できる。
アクリル樹脂Aの重量平均分子量は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは7,000以上、より好ましくは10,000以上、更に好ましくは15,000以上であり、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは30,000以下である。
アクリル樹脂Aの酸価は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは100mgKOH/g以上、より好ましくは140mgKOH/g以上、更に好ましくは180mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは260mgKOH/g以下、より好ましくは240mgKOH/g以下、更に好ましくは220mgKOH/g以下である。
アクリル樹脂Aの重量平均分子量及び酸価は、実施例に記載の方法により測定される。
【0021】
アクリル樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは-20℃以上、より好ましくは-10℃以上、更に好ましくは0℃以上であり、そして、好ましくは50℃以下、より好ましくは45℃以下、更に好ましくは40℃以下、より更に好ましくは35℃以下である。
共重合体であるアクリル樹脂Aのガラス転移温度は、下記のFox式に従い、アクリル樹脂Aを構成する各単量体の質量比率と、各単量体を単独重合体にしたときの該単独重合体のガラス転移温度から算出することができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・+(Wm/Tgm)
W1+W2+・・・Wm=1
前記Fox式中、Tgはアクリル樹脂Aのガラス転移温度であり、Tg1、Tg2、・・・、Tgmは各単量体を単独重合体にしたときの該単独重合体のガラス転移温度である。温度の単位はKである。また、W1、W2、・・・、Wmはアクリル樹脂Aにおける各単量体の質量比率を表わす。
前記Fox式における各単量体の単独重合体のガラス転移温度としては、例えば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley-Interscience 1989)記載の値を用いることができる。
【0022】
(中和剤)
アクリル樹脂Aのカルボキシ基は、中和剤により中和されてなることが好ましい。これにより、中和後に発現する該カルボキシ基の電荷反発力が大きくなり、本発明の水系分散体中の顔料含有アクリル樹脂粒子の凝集を抑制して分散安定性を向上でき、保存安定性を向上させることができると考えられる。
中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物、及びアミン化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
【0023】
これらの中でも、アクリル樹脂Aのカルボキシ基は、アミン化合物で中和されてなるものであることが好ましい。アミン化合物はアクリル樹脂Aを可塑化し、該アクリル樹脂のガラス転移温度を低下させる作用を有し、印刷基材からインク塗膜が剥離する際の応力を緩和させることができるため、基材密着性(耐テープ剥離性)を向上させることができると考えられる。アミン化合物の好適な例としては、無機アミン、有機アミンが挙げられる。
無機アミンの好適な例としては、アンモニアが挙げられる。
有機アミンの好適な例としては、例えば、アルキルアミン、アルカノールアミン、アミノアルカンジオール、アルコキシアミン、複素環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンとしては、例えば、エチルアミン(1気圧での沸点:16.6℃)、ジエチルアミン(同:55.5℃)、トリエチルアミン(同:89.7℃)、n-プロピルアミン(同:48℃)、ジ-n-プロピルアミン(同:108℃)、イソプロピルアミン(同:33℃)、ジイソプロピルアミン(同:84℃)、n-ブチルアミン(同:78℃)、tert-ブチルアミン(同:44.5℃)、sec-ブチルアミン(同:63℃)、n-ペンチルアミン(同:104℃)、n-ヘキシルアミン(同:130℃)、N,N-ジメチルエチルアミン(同:37℃)、N,N-ジエチルメチルアミン(同:62℃)、N,N-ジメチルブチルアミン(同:93℃)が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン(同:170℃)、ジエタノールアミン(同:217℃)、トリエタノールアミン(同:335℃)、n-プロパノールアミン(同:188℃)、イソプロパノールアミン(同:160℃)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(同:165℃)、N-メチルエタノールアミン(同:155℃)、N-エチルエタノールアミン(同:169℃)、N-n-ブチルエタノールアミン(同:199℃)、N-メチルジエタノールアミン(同:134℃)、N-エチルジエタノールアミン(同:251℃)、N,N-ジメチルエタノールアミン(同:245℃)、N,N-ジエチルエタノールアミン(同:162℃)、N,N-ジメチルプロパノールアミン(同:164℃)、N,N-ジメチルイソプロパノールアミン(同:125℃)、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール(同:163℃)、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン(同:125℃)、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(同:223℃)が挙げられる。
アミノアルカンジオールとしては、例えば、2-アミノ-1,3-プロパンジオール(同:302℃)、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(同:294℃)、3-(メチルアミノ)-1,2-プロパンジオール(同:254℃)、3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオール(同:217℃)が挙げられる。
アルコキシアミンとしては、例えば、3-メトキシプロピルアミン(同:116℃)、3-エトキシプロピルアミン(同:132℃)が挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピロリジン(同:87℃)、ピペリジン(同:106℃)、ピペラジン(同:106℃)、1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン(同:246℃)、モルホリン(同:129℃)が挙げられる。
【0024】
アミン化合物の1気圧での沸点は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは270℃以下、より好ましくは260℃以下、更に好ましくは250℃以下であり、そして、好ましくは40℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上、より更に好ましくは120℃以上である。有機アミンとして2種以上を用いる場合には、有機アミンの沸点は加重平均値として算出される。
【0025】
これらの中でも、基材密着性を向上させる観点から、中和剤は、より好ましくは、アンモニア、及び沸点が250℃以下である有機アミンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは沸点が250℃以下である有機アミンであり、より更に好ましくは沸点が250℃以下であるアルカノールアミンである。
【0026】
アクリル樹脂Aのカルボキシ基の中和度は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは25モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%未満、より好ましくは90モル%以下、更に好ましくは70モル%以下、より更に好ましくは50モル%以下、更に好ましくは40モル%以下である。
ここで中和度は、アクリル樹脂Aのカルボキシ基に対する中和剤の使用当量として下記式(1)によって求めることができる。中和剤の使用当量が100モル%以下の場合、中和度と同義である。中和剤の使用当量が100モル%を超える場合には、中和剤がアクリル樹脂Aのカルボキシ基に対して過剰であることを意味し、この時のアクリル樹脂Aの中和度は100モル%とみなす。
中和剤の使用当量(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{アクリル樹脂Aの酸価(mgKOH/g)×ビニルポリマーの質量(g)}/(56×1000)]〕×100 (1)
【0027】
(顔料含有アクリル樹脂粒子の水系分散体の製造)
本発明の水系分散体は、顔料、アクリル樹脂A、及び水を含む顔料混合液を分散処理する工程(以下、「工程1」ともいう)を含む方法により効率的に製造することができる。
工程1は、顔料、アクリル樹脂A、有機溶媒、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を含有する顔料混合液を分散処理して顔料分散液を得た後、該顔料分散液から公知の方法で有機溶媒を除去する方法等により行うことが好ましい。
工程1における分散処理は、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機などを用いて、公知の方法により行うことができる。
【0028】
(水系分散体の各成分の含有量及び物性)
本発明の水系分散体の固形分濃度の含有量は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
【0029】
本発明の水系分散体中の顔料の含有量は、印刷濃度の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0030】
本発明の水系分散体中の顔料及びアクリル樹脂Aの合計含有量に対する顔料の含有量の質量比[顔料/(顔料+アクリル樹脂A)]は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.55以上であり、そして、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.70以下、より更に好ましくは0.65以下である。
【0031】
本発明の水系分散体中の水の含有量は、環境負荷低減の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは93質量%以下、より好ましくは87質量%以下、更に好ましくは82質量%以下である。
【0032】
本発明の水系分散体中の顔料含有アクリル樹脂粒子の平均粒径は、インクの保存安定性の観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上、更に好ましくは100nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは130nm以下である。
本発明の水系分散体中の顔料含有アクリル樹脂粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
【0033】
本発明の水系分散体は、インクジェット印刷用、フレキソ印刷用、グラビア印刷用等の各種印刷用の水系インクに配合することで好適に用いることができる。これらの中でも、インクの吐出性及び基材密着性の観点から、インクジェット印刷用の水系インクに用いることが好ましい。
【0034】
[水系インク]
本発明の水系インク(以下、「本発明のインク」ともいう)は、前記顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体と、水溶性有機溶剤とを含有する。
【0035】
<水溶性有機溶剤>
水溶性有機溶剤は、水と任意の割合で混合できる有機溶剤である。水溶性有機溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性有機溶剤の沸点は、好ましくは90℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは240℃以下、より更に好ましくは230℃以下である。水溶性有機溶剤を2種以上用いる場合には、沸点の値は、各水溶性有機溶剤の含有量(質量%)で重み付けした加重平均値とする。
水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物が挙げられる。これらの中でも、水溶性有機溶剤は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種以上を含む。
【0036】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等のアルカンジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール;グリセリン;トリメチロールプロパンが挙げられる。これらの中でも、多価アルコールは、好ましくはプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはプロピレングリコールである。
【0037】
多価アルコールエーテルとしては、モノアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル;モノアルキレングリコールジアルキルエーテル、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
多価アルコールエーテルのアルキレンオキシド基としては、エチレンオキシド基及びプロピレンオキシド基からなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、エチレンオキシド基がより好ましい。
多価グリコールエーテルは、炭素数が2以上8以下である炭化水素基を少なくとも1つ有する。
【0038】
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:142℃)、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(沸点:171℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点:161℃)、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル(沸点:208℃)等のエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:202℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:207℃)、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(沸点:231℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点:220℃)、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル(沸点:259℃)等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル;トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:271℃)等のトリエチレングリコールモノアルキルエーテル;プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(沸点:150℃)等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル;ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル;トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点:256℃)等のエチレングリコールアリールエーテルからなる群から選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点:176℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:189℃)等のジエチレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
【0039】
水溶性有機溶剤は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくはジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びジエチレングリコールジアルキルエーテルから選ばれる1種以上を含み、より好ましくはジエチレングリコールモノアルキルエーテルを含み、更に好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:202℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:207℃)、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(沸点:231℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点:220℃)、及びジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点:259℃)からなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:207℃)、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(沸点:231℃)、及びジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点:220℃)からなる群から選ばれる1種以上を含む。
【0040】
水溶性有機溶剤がジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びジエチレングリコールジアルキルエーテルから選ばれる1種以上を含む場合、該水溶性有機溶剤中のジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びジエチレングリコールジアルキルエーテルの合計含有量は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下である。
【0041】
水溶性有機溶剤がジエチレングリコールモノアルキルエーテルを含む場合、該水溶性有機溶剤中のジエチレングリコールモノアルキルエーテルの含有量は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下である。
【0042】
水溶性有機溶剤は、基材密着性を向上させる観点から、アルカンジオールを含むことが好ましく、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びジエチレングリコールジアルキルエーテルから選ばれる1種以上とアルカンジオールとを含むことがより好ましい。
水溶性有機溶剤がジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びジエチレングリコールジアルキルエーテルから選ばれる1種以上とアルカンジオールとを含む場合、本発明のインク中のジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びジエチレングリコールジアルキルエーテルの合計含有量のアルカンジオールの含有量に対する質量比[ジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びジエチレングリコールジアルキルエーテルの合計含有量/アルカンジオールの含有量]は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.15以上であり、そして、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.30以下、更に好ましくは0.25以下、より更に好ましくは0.20以下である。
【0043】
本発明のインクには、必要に応じて定着樹脂、界面活性剤、保湿剤、湿潤剤、濡れ・浸透剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。
【0044】
本発明のインクは、顔料含有アクリル樹脂粒子の水系分散体、水溶性有機溶剤、及び必要に応じて、水、界面活性剤等の各種添加剤を混合することにより製造することができる。
【0045】
(水系インクの各成分の含有量及び物性)
本発明のインク中の顔料含有アクリル樹脂粒子の含有量は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0046】
本発明のインク中の顔料の含有量は、印刷濃度の観点から、好ましくは4.5質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは5.5質量%以上であり、そして、好ましくは8.5質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下である。
【0047】
本発明のインク中の顔料及びアクリル樹脂Aの合計含有量に対する顔料の含有量の質量比[顔料/(顔料+アクリル樹脂A)]は、基材密着性を向上させる観点から、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.55以上であり、そして、好ましくは以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.70以下、より更に好ましくは0.65以下である。
【0048】
本発明のインク中の水の含有量は、環境負荷低減の観点から、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
【0049】
本発明のインク中の水溶性有機溶剤の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
【0050】
本発明のインクが界面活性剤を含有する場合、該インク中の界面活性剤の含有量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上であり、そして、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0051】
本発明のインク中の顔料含有アクリル樹脂粒子の平均粒径は、インクの保存安定性の観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上、更に好ましくは100nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは130nm以下である。
本発明のインク中の顔料含有アクリル樹脂粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
【0052】
本発明のインクの32℃の粘度は、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、更に好ましくは4mPa・s以上であり、そして、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9mPa・s以下、更に好ましくは7mPa・s以下である。
水系インクの粘度は、E型粘度計を用いて測定できる。
本発明のインクのpHは、好ましくは7.0以上、より好ましくは7.2以上、更に好ましくは7.5以上である。また、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、pHは、好ましくは11以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9.5以下である。水系インクのpHは、常法により測定できる。
【0053】
本発明のインクは、インクジェット印刷用、グラビア印刷用、フレキソ印刷用等の各種印刷用インクとして用いることができるが、インクの吐出性及び基材密着性の観点から、インクジェット印刷用の水系インクとして用いることが好ましい。
本発明の水系インクをインクジェット印刷に用いる場合、該水系インクは、公知のインクジェット印刷装置に装填し、後述する樹脂フィルム等の印刷基材にインク液滴として吐出させて画像等を印刷することができる。インク液滴の吐出方式としては、ピエゾ式、サーマル式、静電式のいずれも採用することができる。
【0054】
本発明のインクを用いる印刷に用いられる印刷基材としては、基材密着性の観点から、樹脂フィルムが好ましい。すなわち、本発明の水系インクは、樹脂フィルムを印刷基材として用いる印刷に用いられることが好ましい。
樹脂フィルムとしては、透明合成樹脂フィルムが挙げられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;塩化ビニルフィルム;ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム;ナイロンフィルム等のポリアミドフィルムなどが挙げられる。これらの樹脂フィルムは、二軸延伸フィルム、一軸延伸フィルム等の延伸フィルム又は無延伸フィルムであってもよい。また、これらの樹脂フィルムは、樹脂フィルム表面に極性官能基を付与し、水系インクの樹脂フィルムに対する濡れ性を向上させ、該極性官能基と該シクロアルキルエステル部位との間で水素結合を形成させて、基材密着性を向上させる観点からは、コロナ放電処理等の表面処理がされたものを用いることが好ましい。
これらの中でも、表面自由エネルギーが45mN/m以下の樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、及びポリエチレンフィルムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、コロナ放電処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、コロナ放電処理された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、及びコロナ放電処理されたポリエチレン(PE)フィルム等からなる群から選ばれる1種以上が更に好ましい。
【実施例0055】
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。なお、各物性等の測定、算出方法は以下のとおりである。
【0056】
(1)アクリル樹脂Aの重量平均分子量の測定
ゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた。測定条件を下記に示す。
GPC装置:東ソー株式会社製「HLC-8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel SuperAWM-H」、「TSKgel SuperAW3000」、「TSKgel guardcolum Super AW-H」
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液
流速:0.5mL/min
標準物質:分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F-550、F-80、F-10、F-1、A-1000)、PStQuick C(F-288、F-40、F-4、A-5000、A-500)〕(以上、東ソー株式会社製)
測定サンプル:ガラスバイアル中にてアクリル樹脂A 0.1gを前記溶離液10mLと混合し、25℃で10時間、マグネチックスターラーで撹拌し、シリンジフィルター「DISMIC-13HP」(PTFE製、0.2μm、アドバンテック株式会社製)で濾過したものを用いた。
【0057】
(2)アクリル樹脂Aの酸価の測定
電位差自動滴定装置(京都電子工業株式会社製、電動ビューレット、型番:APB-610)にアクリル樹脂Aをトルエンとアセトン(2:1)を混合した滴定溶剤に溶かし、電位差滴定法により0.1N水酸化カリウム/エタノール溶液で滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とした。水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から酸価(mgKOH/g)を算出した。
【0058】
(3)アクリル樹脂Aのガラス転移温度の算出
共重合体であるアクリル樹脂Aのガラス転移温度は、下記のFox式に従い、アクリル樹脂Aを構成する各単量体の質量比率と、各単量体を単独重合体にしたときの該単独重合体のガラス転移温度から算出することができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・+(Wm/Tgm)
W1+W2+・・・Wm=1
前記Fox式中、Tgはアクリル樹脂Aのガラス転移温度であり、Tg1、Tg2、・・・、Tgmは各単量体を単独重合体にしたときの該単独重合体のガラス転移温度である。温度の単位はKである。また、W1、W2、・・・、Wmはアクリル樹脂Aにおける各単量体の質量比率を表わす。
前記Fox式における各単量体の単独重合体のガラス転移温度としては、例えば、Polymer Handbook Third Edition (Wiley-Interscience 1989) 記載の値を用いることができる。
【0059】
(4)固形分濃度の測定
30mLのポリプロピレン製容器(φ=40mm、高さ=30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して混合させた後、正確に秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、さらにデシケーター内で15分間放置し、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度(%)とした。
【0060】
(5)水系分散体又は水系インク中の顔料含有アクリル樹脂粒子の平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム「ELS-8000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い、得られたキュムラント平均粒径を水系分散体又は水系インク中の顔料含有アクリル樹脂粒子の平均粒径とした。測定試料には、測定する粒子の濃度が5×10-3%(固形分濃度換算)になるように水で希釈した分散液を用いた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。
【0061】
(6)水系分散体及び水系インクの粘度
E型粘度計「TV-25」(東機産業株式会社製、標準コーンロータ1°34’×R24使用、回転数50rpm)を用いて、水系分散体は20℃にて測定し、水系インクは32℃にて測定した。
【0062】
(アクリル樹脂Aの製造)
製造例1
撹拌機、還流冷却器、及び滴下槽を備えた反応容器に初期仕込みとして、アクリル酸0.98部、シクロヘキシルアクリレート2.03部、メチルアクリレート0.69部、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と表記する)5.00部、及び水0.56部を投入し、反応容器の温度を77℃に維持して10分間撹拌した。
次いで、アクリル酸8.83部、シクロヘキシルアクリレート18.34部、メチルアクリレート6.17部、MEK45.03部、水5.00部、重合開始剤として4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)0.56部、及び連鎖移動剤として3-メルカプトプロピオン酸0.41部の混合物を5時間かけて反応容器に連続的に添加した。添加終了後、1時間重合反応を行った後、室温まで冷却を行うことで重合反応を終了させて、アクリル樹脂A1’の溶液(樹脂固形分濃度40%)を得た。
得られたアクリル樹脂A1’の溶液28.60部に、樹脂固形分濃度が35%になるようにMEKを3.68部添加して希釈した。次いで、アクリル樹脂A1’のカルボキシ基に対する中和度が30モル%になるようにN,N-ジメチルエタノールアミン(以下、「DMAE」と表記する)を1.08部添加し、25℃で撹拌した。その後、水66.60部を1時間かけて添加した。添加終了後、MEKをエバポレーターにて留去させ、アクリル樹脂A1(DMAE中和)の水分散液(樹脂固形分濃度25%)を得た。アクリル樹脂A1の物性は表1に示す。
【0063】
製造例2~17及び比較製造例1~3
製造例1において、アクリル樹脂Aを構成するモノマー組成及び中和剤を表1に示す条件に変更し、アクリル樹脂Aの中和度が30モル%となるように必要に応じて中和剤の量を変更した以外は製造例1と同様にして、各アクリル樹脂Aの水分散液(樹脂固形分濃度25%)を得た。
なお、表1中の各表記は以下のとおりである。
DMAE:N,N-ジメチルエタノールアミン(沸点134℃)
MDEA:N-メチルジエタノールアミン(沸点245℃)
NH3:アンモニア
NaOH:水酸化ナトリウム
【0064】
(水系分散体の製造)
実施例1-1
製造例1で得られたアクリル樹脂A1(DMAE中和)の水分散液(樹脂固形分濃度25%)61.69部にMEK2.95部及びイオン交換水12.78部を加え、更にシアン顔料(DIC株式会社製、商品名:Fastogen Blue CA5380 15:3)22.58部を加え、顔料混合液を得た(顔料の質量の、顔料とアクリル樹脂Aの合計の質量に対する比[顔料/(顔料+アクリル樹脂A)]=0.59)。
得られた顔料混合液を、ディスパー翼を用いて7000rpm、20℃の条件下で1時間混合した後、更にマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、高圧ホモジナイザー、商品名:M-140K)を用いて、180MPaの圧力で10パス分散処理して、顔料分散液を得た。
得られた顔料分散液から、減圧下60℃でMEKを除去し、更に一部の水を除去して遠心分離した後、液層部分をメンブランフィルター(ザルトリウス社製、商品名:ミニザルトシリンジフィルター、孔径:5μm、材質:酢酸セルロース)でろ過して粗大粒子を除き、顔料含有アクリル樹脂粒子の水系分散体D1(顔料及びアクリル樹脂Aの合計濃度22%)を得た。得られた水系分散体D1中の顔料含有アクリル樹脂粒子の平均粒径及び水系分散体D1の20℃における粘度を表1に示す。
【0065】
実施例1-2~1-17及び比較例1-1~1-3
実施例1-1において、表1に示すようにアクリル樹脂Aの種類又は量を変更した以外は実施例1と同様にして、顔料含有アクリル樹脂粒子の水系分散体D2~D17、DC1~DC3(いずれも顔料及びアクリル樹脂Aの合計濃度22%)をそれぞれ得た。得られた各水系分散体中の顔料含有アクリル樹脂粒子の平均粒径及び各水系分散体の20℃における粘度を表1に示す。
【0066】
【0067】
(水系インクの調製)
実施例2-1
表2に示すインク組成となるように、顔料含有アクリル樹脂粒子の水系分散体D1を顔料及びアクリル樹脂Aの合計として12部(顔料含有量7部)、プロピレングリコール22部、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル4部、アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール440(2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのエチレンオキシド(3.5モル)付加物、有効分100%))1部、及び合計が100部になるようにイオン交換水を添加して撹拌した後、メンブランフィルター(商品名:ミニザルトシリンジフィルター、孔径:5μm、材質:酢酸セルロース)でろ過して水系インク1を得た。
【0068】
実施例2-2~2-19及び比較例2-1~2-3
実施例2-1において、表2に示すインク配合組成に変更した以外は、実施例2-1と同様にして、水系インク2~19,C1~C3をそれぞれ得た。各水系インクの平均粒径と粘度を表2に示す。
【0069】
上記の実施例、比較例で得られた水系インク1~19、C1~C3を用いて、下記に示す方法で基材密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0070】
<基材密着性の評価>
印刷評価装置(セイコーエプソン株式会社製、インクジェットプリンタ、PX105、ピエゾ式)を用い、印刷基材排出部分にA4サイズのフィルムヒーター(株式会社河合電器製作所製)を固定してインクが撃ち込まれる部分が50℃に加熱できるようにした。
印刷基材は、下記に示す樹脂フィルムをA4サイズにカットしたものを用いた。
温度25±1℃、相対湿度30±5%の環境で、前記印刷評価装置のカートリッジに実施例及び比較例の各水系インクを充填し、インク100%dutyで50mm×50mmのベタ画像を印刷した後、50℃に加熱できるように設定してフィルムヒーター上で3分間乾燥して印刷物を得た。得られた印刷物の印刷面に長さ50mm、幅15mmのテープ「ナイスタックNo.4」(登録商標)(ニチバン株式会社製)を、1cmの余白を残し4cm貼りつけ、テンシロン万能材料試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、商品名:RTC―1150A)を用いてT型剥離試験を行い、基材密着性の指標である剥離強度(N/15mm)を測定し、下記の評価基準で基材密着性を評価した。
下記の評価基準がAであると基材密着性が優れ、Eであると基材密着性が劣ることを示す。
(印刷基材)
PETフィルム:コロナ放電処理されたPETフィルム(フタムラ化学株式会社製、品番:FE2001、膜厚:20μm)
OPPフィルム:コロナ放電処理されたOPPフィルム(フタムラ化学株式会社製、品番:FOR-AQ、膜厚:20μm)
LDPEフィルム:コロナ放電処理されたLDPEフィルム(スカイフィルム株式会社製、品番:HR611、膜厚:30μm)
(評価基準)
A:2.5N/15mm以上
B:2.0N/15mm以上2.5N/15mm未満
C:1.5N/15mm以上2.0N/15mm未満
D:1.0N/15mm以上1.5N/15mm未満
E:1.0N/15mm未満
【0071】
【0072】
表2から、実施例の水系分散体を用いた水系インクは、比較例の水系分散体を用いた水系インクに比べて、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷においては得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れることが分かる。