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特開2024-95009容器保持枠用シートおよび保持枠付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095009
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】容器保持枠用シートおよび保持枠付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/72 20060101AFI20240703BHJP
   B65D 67/02 20060101ALI20240703BHJP
   B65D 5/50 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B65D71/72
B65D67/02 H
B65D5/50 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211984
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】山田 知史
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC52
3E060DA17
3E060EA06
3E067AA23
3E067AB01
3E067AC04
3E067AC12
3E067BA09A
3E067BB01A
3E067BC04A
3E067EC08
3E067EE48
3E067FC05
(57)【要約】
【課題】容器保持枠へと変形される容器保持枠用シートについて、その変形時における底部と脚部の境界近辺での折り曲げ位置を、所望の位置へと制御すること。
【解決手段】容器保持枠用シート10は、複数の切れ目線により外枠部11と、脚部12と、底部13に区画されている。脚部12は、底部13の四辺に沿って延び、かつ、その長手方向の一端が外枠部11にその長手方向の他端が底部13に連結されている。底部13を外枠部11よりも下方に押し込むと、それに伴い、脚部12の外枠部との境界で下方へと折れ曲がる。これにより、容器保持枠へと変形し、底部13と脚部12の間に、容器を保持可能な収納空間が形成される。底部13と脚部12の境界には、折り曲げ容易線としての罫線12bが形成されており、上述した折り曲げの際には、折り曲げ位置はこの罫線12b上となる。このため、罫線12bの位置や方向を違えることで、折り曲げ位置を所望の位置へと制御することが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の切れ目線または破断容易線が入れられた1枚のシート体よりなり、
前記複数の切れ目線または破断容易線により外枠部と、外枠部に囲まれる脚部と、脚部に囲まれる底部に区画されており、
前記脚部はその各々が、底部の外周に沿って延び、かつ、その長手方向の一端が外枠部にその長手方向の他端が底部に連結されており、
前記シート体の前記底部を前記外枠部よりも下方に押し込むと、それに伴い、前記脚部の各々が前記外枠部との境界で下方へと折れ曲がることで、前記底部と前記脚部の間に、容器を保持可能な収納空間を形成可能な、容器保持枠用シートであって、
前記底部と前記脚部の境界に折り曲げ容易線を有する、容器保持枠用シート。
【請求項2】
前記複数の切れ目線または破断容易線は、各々の脚部の外側を前記外枠部から区画する外側線と各々の脚部の内側を前記底部から区画する内側線とからなる側線対の複数組からなり、
前記底部と前記脚部の境界の折り曲げ容易線は、隣接する側線対間の一方の内側線上から他方の内側線上にかけて、底部の一部を横切って形成されている請求項1に記載の容器保持枠用シート。
【請求項3】
前記複数の切れ目線または破断容易線は、各々の脚部の外側を前記外枠部から区画する外側線と各々の脚部の内側を前記底部から区画する内側線とからなる側線対の複数組からなり、
前記底部と前記脚部の境界の折り曲げ容易線は、各側線対の内側線上から外側線上にかけて形成されている請求項1に記載の容器保持枠用シート。
【請求項4】
前記外枠部と前記脚部の境界にも折り曲げ容易線を有する請求項1から3のいずれかに記載の容器保持枠用シート。
【請求項5】
前記外枠部の内周および前記底部の外周は、略正方形であり、
前記脚部はその各々が、外枠部の内周の四辺かつ底部の外周の四辺に沿って延び、かつ、その長手方向の一端が外枠部内周の四隅にその長手方向の他端が底部外周の四隅にそれぞれ連結されている、請求項1または2に記載の容器保持枠用シート。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の容器保持枠用シートを変形してなる、前記底部と前記底部から立ちあがる前記脚部の間の収納空間に容器を保持可能な容器保持枠と、
前記収納空間に保持された容器と、を備える、保持枠付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器保持枠へと変形される容器保持枠用シートおよびそれを用いた保持枠付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
惣菜やおかずなどの食品を収納するための、フィルムや紙などをプレス成形してなる容器が知られており、特許文献1のように、この種の容器を保持するための保持枠も知られている。
【0003】
ここで、保持枠は、切れ目線が入れられた1枚の容器保持枠用シートを変形することで作成される。容器保持枠用シートは、複数の切れ目線により、外枠部と、外枠部に囲まれる脚部と、脚部に囲まれる底部に区画されている。
その脚部は各々が、底部の外周に沿って延び、かつ、その長手方向の一端が外枠部にその長手方向の他端が底部に連結されている。
【0004】
そして、水平に支持したシートの底部を外枠部よりも下方に押し込むと、それに伴い、脚部の各々が外枠部との境界で下方へと折れ曲がることで、底部から底部よりも高い位置にある外枠部に向けて複数の脚部が立ち上がった状態に立体的に変形される。
こうして形成される底部と脚部の間の収納空間に、容器が保持される。
食品が収納された容器は、保持枠に保持された保持枠付き容器の状態で、包装袋などに包装され、販売に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4988387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来の容器保持枠用シートでは、その変形時において、底部と脚部の境界近辺での折れ曲がり位置を一定とするような措置が講じられていなかったため、折れ曲がり位置および脚部の長さがまちまちになって、底部が傾いてしまい容器を水平に保持できなくなるなど、不良品が発生するおそれがあった。
【0007】
他方で、底部と脚部の境界近辺での折れ曲がり位置を積極的に規制することで、底部と保持枠や脚部との相対的な高さ関係などを適宜に調整したい要請も存在する。
【0008】
そこで本発明の解決すべき課題は、容器保持枠へと変形される容器保持枠用シートについて、その変形時における底部と脚部の境界近辺での折り曲げ位置を、所望の位置へと制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するため、発明にかかる容器保持枠用シートを、複数の切れ目線または破断容易線が入れられた1枚のシート体よりなり、複数の切れ目線または破断容易線により外枠部と、外枠部に囲まれる脚部と、脚部に囲まれる底部に区画されており、脚部はその各々が、底部の外周に沿って延び、かつ、その長手方向の一端が外枠部にその長手方向の他端が底部に連結されており、水平に支持したシート体の底部を外枠部よりも下方に押し込むと、それに伴い、脚部の各々が外枠部との境界で下方へと折れ曲がることで、底部と脚部の間に、容器を保持可能な収納空間を形成可能なものであり、底部と脚部の境界に折り曲げ容易線を有する構成としたのである。
なお、ここで破断容易線とは、容器保持枠用シートを変形する際に破断される線をいい、ミシン目、ハーフカットが例示される。
また、ここで折り曲げ容易線とは、容器保持枠用シートを変形する際に折り曲げられる線をいい、罫線、ミシン目、ハーフカットが例示される。
【0010】
このように構成すると、容器保持枠用シートの変形時に、底部と脚部の境界付近では、折り曲げ容易線に沿って折れ曲がることになるため、脚部の下端(内端)において折れ曲がりの位置が安定する。したがって、脚部の長さをほぼ均等に保つことができるため、不良品の発生等が防止される。
折り曲げ容易線の方向や位置を違えることで、用途などに応じて底部と保持枠や脚部との相対的な高さ関係を適宜に調整可能であるため、利便性が向上する。
【0011】
発明にかかる容器保持枠用シートにおいて、複数の切れ目線または破断容易線は、各々の脚部の外側を外枠部から区画する外側線と各々の脚部の内側を底部から区画する内側線とからなる側線対の複数組からなり、底部と脚部の境界の折り曲げ容易線は、隣接する側線対間の一方の内側線上から他方の内側線上にかけて、底部の一部を横切って形成されている構成を採用することができる。
【0012】
このように構成すると、変形時の脚部の長さを相対的に長く、かつ脚部の下端よりも底部が持ち上がったように、位置調整することが可能となる。
底部が底上げされているため、底部の裏面によごれ等が付着することが防止されている。
【0013】
発明にかかる容器保持枠用シートにおいて、複数の切れ目線または破断容易線は、各々の脚部の外側を外枠部から区画する外側線と各々の脚部の内側を底部から区画する内側線とからなる側線対の複数組からなり、底部と脚部の境界の折り曲げ容易線は、各側線対の内側線上から外側線上にかけて形成されている構成を採用することができる。
【0014】
このように構成すると、変形時の脚部の長さを相対的に短く、かつ脚部の下端と底部とがほぼ同一平面状にあるように、位置調整することが可能となる。
底部がフラットであることから、変形状態での搬送が安定する。また、シートが変形した状態の高さを抑えることができる。
【0015】
発明にかかる容器保持枠用シートにおいて、外枠部と脚部の境界にも折り曲げ容易線を有する構成を採用することが好ましい。
【0016】
このように構成すると、容器保持枠用シートの変形時に、外枠部と脚部の境界付近では、折り曲げ容易線に沿って折れ曲がることになるため、脚部の上端(外端)においても折れ曲がりの位置が安定し、不良品の発生等が一層防止される。
【0017】
また、発明にかかる容器保持枠用シートにおいて、外枠部の内周および底部の外周は、略正方形であり、脚部はその各々が、外枠部の内周の四辺かつ底部の外周の四辺に沿って延び、かつ、その長手方向の一端が外枠部内周の四隅にその長手方向の他端が底部外周の四隅にそれぞれ連結されている、構成を採用することが好ましい。
【0018】
このように構成すると、一般的な、フィルムや紙などをプレス成形してなる平面視で円形等の容器を収納空間に安定して収納することが容易となり、また構成が比較的単純であるため、罫線の位置や方向の自由度が高まり、用途などに応じて底部と保持枠や脚部との相対的な高さ関係を適宜に調整することが比較的容易となる。
【0019】
また、上記した課題を解決するため、発明にかかる保持枠付き容器を、上記した容器保持枠用シートを変形してなる、底部と底部から立ちあがる脚部の間の収納空間に容器を保持可能な容器保持枠と、収納空間に保持された容器と、を備える構成としたのである。
【発明の効果】
【0020】
発明にかかる容器保持枠用シートを以上のように構成したので、その変形時における底部と脚部の境界近辺での折り曲げ位置を制御することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態の容器保持枠用シートの(a)は平面図、(b)は側面図
図2】実施形態の容器保持枠用シートから容器保持枠への変形途中を示す(a)は全体斜視図、(b)は要部拡大斜視図
図3】実施形態の容器保持枠に容器をセットしてなる保持枠付き容器の斜視図
図4】治具を用いた実施形態の容器保持枠用シートから容器保持枠への変形工程を示す斜視図
図5】治具を用いた実施形態の容器保持枠用シートから容器保持枠への変形工程を示す斜視図
図6図5の工程におけるプッシャの押し込み工程を示す一部破断側面図
図7】実施形態の容器保持枠用シートの他の例を示す平面図
図8】実施形態の他の例の容器保持枠用シートから容器保持枠への変形途中を示す(a)は全体斜視図、(b)は要部拡大斜視図
図9】実施形態の他の例の容器保持枠に容器をセットしてなる保持枠付き容器の斜視図
図10図8の工程におけるプッシャの押し込み工程を示す一部破断側面図
図11】底部と脚部の境界の罫線の形成位置を示す模式図
図12】実施形態の容器保持枠用シートのさらに他の例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1に示す、実施形態の容器保持枠用シート10は、これを変形することで、食品等が収容された容器20を保持するための実施形態の容器保持枠10が組み立てられるものである。
【0023】
図1のように、実施形態の容器保持枠用シート10は、シート体であって全体がほぼ正方形をなしており、その四隅は円弧状に丸みを帯びている。
容器保持枠用シート10には、複数の切れ目線が入れられることで、外枠部11と、脚部12と、底部13に区画されている。
容器保持枠用シート10をなすシート体の素材は特に限定されないが、紙、合成樹脂フィルム、アルミニウム箔等の金属箔またはこれらの複合体が例示でき、環境に優しく、廃棄や焼却が容易なものとして紙であることが好ましい。
【0024】
容器保持枠用シート10の寸法も特に限定されないが、容器保持枠10へと変形した際に、被収容体である総菜、おかず、冷凍食品などの食品を収納する一般的な寸法の容器20を保持可能なものとして、一辺が100mmから150mmであることが例示できる。なお、被収容体は食品に限定されるものではない。
【0025】
図1のように、外枠部11は、正方環状の枠本体11aと、十字型の仕切り枠11bとからなる。
容器保持枠用シート10の枠本体11aで囲まれた部分は、仕切り枠11bにより前後左右に2列ずつ、計四分割されてそれぞれ正方形状の容器保持部を構成している。各容器保持部は、4つの脚部12と1つの底部13からなる。
【0026】
図1のように、外枠部11の、枠本体11aの四隅には、その内周から外周に至るミシン目11cが形成されている。このミシン目11cを破断することで、外枠部11の環を開くことが可能になっている。
また、外枠部11の仕切り枠11bには、上下左右方向に外枠部11を横断する十字型のミシン目11dが形成されている。外枠部11のミシン目11dが達する外縁箇所には、ミシン目11dを破断する際のきっかけとなるノッチ11eが形成されている。
このミシン目11cを破断することで、容器保持部を個別に分離することが可能になっている。
【0027】
容器保持枠用シート10の変形時には、外枠部11は容器保持部を支持する枠組みとなる。
外枠部11の外寸は、容器保持枠用シート10の寸法に一致する。外枠部11の枠本体11aや仕切り枠11bの幅は特に限定されないが、3mmから20mmが例示でき、より好ましくは8mmから12mmが例示できる。
幅が3mmを下回ると、外枠部11の強度が不足して、変形時などに破断するおそれがあり、幅が20mmを上回ると、容器保持枠用シート10の全体寸法も大きくなり、変形後に包装する際の包装体などの大きさもそれに伴い大きくなってしまうおそれがある。
【0028】
図1のように、各容器保持部における4つの脚部12はそれぞれ、細長い矩形をなしており、その長手方向が外枠部11の内周の四辺に沿うように隣接して配置されている。
各脚部12の両端のうち、一端(外端)は外枠部11に連結されている。脚部12と外枠部11との境界には、折り曲げ容易線としての罫線12aが形成されている。罫線12aは、外枠部11の内周に沿って延びている。この罫線12aにより、脚部12は外枠部11に対して折り曲げ可能となっている。
また、各脚部12と外枠部11とは、前記した連結箇所を除いて、切れ目線である直線状の外側線12cにより切断されている。
外側線12cは、脚部12と外枠部11との境界において、円弧状に湾曲している。これにより脚部12は、外枠部11との境界付近で幅広となって補強されている。
【0029】
容器保持枠用シート10の変形時には、脚部12は容器20の外周を支持する。
脚部12の寸法は特に限定されないが、おかずカップなどと称される容器20の外周を過不足なく支持するのに好適な寸法として、長さが20mmから80mmであり、より好ましくは長さが40mmから50mm、幅が2mmから15mmであり、より好ましくは幅が5mmから7mmが例示できる。
長さが20mmを下回ると、食品等を充填した状態での容器20の高さがこれを上回ってしまい、容器保持枠10からはみ出てしまい、容器20を容器保持枠10の収納空間内で固定できない恐れがあり、長さが80mmを上回ると、一般的な容器の高さよりも大きくなりすぎて、収納空間内で容器20がずれ動いたりする恐れがある。
また、幅が2mmを下回ると、脚部12の強度が不足して、変形時などに破断するおそれがあり、幅が15mmを上回ると、脚部12が大きくなりすぎて、変形時に後述する底部13や外枠部11との境界を折り曲げる際、脚部12の強度が強くなりすぎて変形させ難くなるおそれや、容器保持枠用シート10の全体寸法も大きくなり、変形後に包装する際の包装体などの大きさもそれに伴い大きくなってしまうおそれがある。
【0030】
図1のように、各容器保持部における底部13は、略正方形をしており、その外周の四辺がそれぞれ4つの脚部12に沿うように隣接して配置されている。
各脚部12の両端のうち、外枠部11に連設された側とは逆側の端部(内端)は底部13に連結されている。脚部12と底部13との境界には、折り曲げ容易線としての罫線12bが形成されている。この罫線12bにより、脚部12は底部13に対して折り曲げ可能となっている。
また、各脚部12と底部13とは、前記した連結箇所を除いて、切れ目線である直線状の内側線12dにより切断されている。
【0031】
容器保持枠用シート10の変形時には、底部13は容器20の底を支持する。
底部13の寸法は特に限定されないが、おかずカップなどと称される容器20の底を過不足なく支持するのに好適な寸法として、一辺が20mmから80mmであり、より好ましくは30mmから40mmであることが例示できる。
一辺の長さが20mmを下回ると、一般的な容器20の底の寸法よりも小さくなり容器20を収納できない恐れがあり、一辺の長さが80mmを上回ると、一般的な容器20の底の寸法よりも大きくなりすぎて、収納空間内で容器20がずれ動いたり、倒れたりするおそれがある。
【0032】
ここで、図1のように、各脚部12の両側に位置する外側線12cと内側線12dとは平行一対の側線対を構成する。各容器保持部においては、各脚部12に対応して、4つの側線対が存在する。隣接する側線対同士は、ほぼ垂直をなしている。
隣接する2つの側線対間において、一方の側線対の外側線12cは他方の側線対の内側線12dと連通してL字型の切れ目線となっているが、一方の側線対の内側線12dと他方の側線対の外側線12cとは、他方の側線対の内側線12dを間に挟んで離間しており連通することはない。
【0033】
こうして、図1のように、切れ目線は、各容器保持部において、外側線12cと内側線12dがつながったL字型のものが4つ、離間しつつ、いわば卍型のように配置されている。
このため、容器保持枠用シート10内に、切れ目線がつながって完全に囲まれる閉空間は存在しない。したがって、容器保持枠用シート10からそのような閉空間が存在することで発生する小片が存在しないようになっている。
したがって、容器保持枠用シート10の打ち抜き工程や後述する変形工程において、小片が残っていたり、包装工程において異物たる小片が混入したりすることが抑制される。
【0034】
ここで、図1のように、本実施形態においては、脚部12と底部13の境界の罫線12bは、隣接する2つの側線対の、一方の側線対の内側線12dの端部から他方の側線対の内側線12dの中途にかけて、底部13の隅部を横断するように斜めに形成されている。
【0035】
実施形態の容器保持枠用シート10の構成は以上のようであり、次に図2から図3を参照して、容器保持枠10への変形方法(組み立て方法)の一例について説明する。
【0036】
たとえば、まず図2のように、容器保持枠用シート10の外枠部11を水平状態に支持した状態で、容器保持部の底部13を下方に向けて押し込む。
すると、容器保持部の脚部12はこれに連動して、外枠部11との境界の罫線12aで下方へと折れ曲がる。
【0037】
底部13の下降に伴ない、底部13と脚部12の境界の罫線12bも上から見て山折りになるように折れ曲がる。このとき、底部13はその四隅の位置が外枠部11の内周の四隅の位置とずれるように水平面に沿って回転する。
罫線12a、12bにより、脚部12と外枠部11や底部13との境界における折り曲げ作業がスムーズに行なわれる。なお、本実施形態においては、罫線12a、12bは図2に示す容器保持枠用シート10の上面側から見て凹状に形成されている。これにより、これら境界における折り曲げが規則正しく制御できるようになる。ただし、凸状に形成することを排除するものではなく、また、罫線12aの形成は必須ではない。
また、その折り曲げの位置が罫線12a、12bが形成された位置に限定されるため、脚部12間で折り曲げ位置および高さが揃うため、不良品の発生が抑制される。
【0038】
こうして容器保持枠10が完成する。本実施形態では、罫線12bの位置や方向から、容器保持枠10において、底部13は脚部12の下端から底上げされたような、持ち上がった状態となる。
ここで、上述のように、外側線12cは、脚部12と外枠部11との境界において、円弧状に湾曲していることから、脚部12の下端の接地個所は、丸まっている。したがって、荷重がかかった場合にも座屈することが防止され、接地個所が尖っている場合と異なり、指を突くなどすることもない。
底部13が底上げされているため、底部13の裏面に汚れが付着する等の事態が防止されている。
底部13と脚部12の間には、外枠部11上に開口する立体的な収納空間が形成され、この収納空間に、図3のように、冷凍食品などが充填された容器20が収納される。
実施形態では、4つの容器保持部に4つの容器20が収納されることになる。
【0039】
この状態で、包装袋や包装箱などで包装されたうえ、販売等に供される。
これを購入した需要者は、包装を解いたうえで、外枠部11の仕切り枠11bに形成されたミシン目11dを破断することで、容器保持部に収納された容器20を必要量だけ取り出すことができる。
また、容器20を容器保持枠10から分別したい場合には、外枠部11の枠本体11aに形成されたミシン目11cを破断することで、外枠部11の輪を開いて取り出すことができるようになっている。
【0040】
ここで容器20の種類は特に限定されるものではないが、図2および図3では、紙や合成樹脂フィルム、アルミニウム箔等の金属箔またはこれらの複合体などのシート体をプレス成形してなる、おかずカップなどと称されるような容器20を例示している。
この容器20は、平面視で略円形の底壁21と底壁21から広がって立ち上がる周壁22を有し、周壁22にはプレス成形に由来する襞22aが形成されている。容器20は上方に開口し、開口を通じて商品等を充填することが可能となっている。
【0041】
このように、容器20の周壁22は、襞22aにより歯車のような凹凸が形成された状態となっているため、容器保持枠10の脚部12や外枠部11の開口縁に係合する。
こうして、容器20が容器保持枠10の収納空間から脱落しないように、一体性が高められ、保持枠付き容器が構成されている。
【0042】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。
本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
たとえば、容器保持枠用シート10から容器保持枠10への変形の方法は実施形態のような手作業によるものに限定されず、治具等を用いて自動化を試みることも可能である。
その一例として、図4のように、角筒状の本体J1の内部を十字枠J2により仕切り、ガイドGが付属してなる治具Jを用いた態様が挙げられる。本体J1の底部は閉鎖されている。
この場合、治具Jに載せられた容器保持枠用シート10は、まず、ガイドGで位置決めされ、その本体J1の上端面で容器保持枠用シート10の外枠部11の枠本体11aを、その十字枠J2の上端面で外枠部11の仕切り枠11bをほぼ水平に支持される。
【0044】
さらにその状態から、図5のように、各容器保持部上に容器20を載置する。
そして、図6のように、上方から容器20が載置された容器保持部に向けてプッシャPを下降させ、容器20と共に底部13および脚部12を押し込むことで容器保持枠10へと変形させる。なお、プッシャPを用いずに手で押し込んでもよい。
この場合に、容器保持枠用シート10から容器保持枠10への変形と、容器20の収納空間へのセットとが同時におこなわれることになる。
【0045】
もちろん、容器保持部上に容器20を載置しない状態で、同様の工程をおこない、容器保持枠10へと変形した後に、容器20をセットしてもよい。
さらに、冷凍食品等も充填した容器20を容器保持部上に載置したうえで、同様にプッシャPを用いてその食品や容器20ごと底部13を下降させることもできる。
この場合、プッシャPの下降量は、容器保持部に何も載せられてない状態や、容器20のみ載せられている状態よりも小さくなる。
【0046】
あるいは、治具Jの閉鎖された底部に穴をあけ、その穴に、上端に吸盤が取り付けられたシャフトを昇降可能に挿通させ、その吸盤を底部13に吸着させたうえでシャフトを下降させることで、底部13を下方へと引張り、容器保持枠10へと変形させることもできる。
【0047】
また、底部13と脚部12の境界の罫線12bの位置、方向などは実施形態に限定されない。たとえば、罫線12bを、脚部12の長手方向と直交する方向に形成してもよい。
また、たとえば、図7のように、罫線12bを、各側線対において、内側線12dの端部から外側線12cの中途にかけて脚部12内を横切って形成することもできる。また、図示しないが内側線12dの端部から外側線12cの最上端にかけて脚部12の内部全体を通るように斜めに形成することもできる。
【0048】
ここから、図8から図10のように、実施形態と同様に、底部13をプッシャPなどを用いて下方に押し込むと、罫線12bは上から見て谷折りに折り曲げられ、完成した容器保持枠10においては、底部13と脚部12の下端とは同一平面状に位置する。
このようにすると、変形状態での搬送が安定する。また、シートが変形した状態の高さを抑えることができる。また、変形工程などを自動化して、容器保持枠10をコンベアなどで搬送する場合には、底部13よりも下方に脚部12が突出していないことから、脚部12がコンベアの継ぎ目に噛み込まれてしまうなどの事態も防止される。
また、内側線12dの端部から外側線12cの最上端にかけて脚部12の内部全体を通るように斜めに形成した場合は、脚部12自体が罫線12bで斜めに折り曲げられているため、脚部12の強度が向上する。
【0049】
こうして、罫線12bを、各側線対の内部において、内側線12dの端部から外側線12cの中途にかけて形成すると、底部13よりも下方の脚部12の突出量が小さくなり、逆に実施形態のように、罫線12bを、隣接する2つの側線対の、一方の側線対の内側線12dの端部から他方の側線対の内側線12dの中途にかけて形成すると、底部13よりも下方の脚部12の突出量が大きくなる。
すなわち、内側線12dの端部から外側線12cにかけて、図11のAの位置に罫線12bを形成した場合、底部13よりも下方の脚部12の突出量が大きくなり、Cの位置に罫線12bを形成した場合、底部13よりも下方の脚部12の突出量が小さくなり、Bの位置に罫線12bを形成した場合、突出量はその中間となる。
こうして、罫線12bの方向や位置を違えることで、用途などに応じて底部13と外枠部11や脚部12との相対的な高さ関係を適宜に調整可能となっている。
【0050】
外枠部11、脚部12、底部13、容器保持部の形状、脚部12,底部13、容器保持部の数は実施形態に限定されない。
たとえば、図12のように、底部13に開口(穴)13aを設けることもできる。
また底部13を正方形以外の多角形(たとえば、三角形、五角形、六角形)とし、脚部12をその多角形の外周各辺に沿う数(たとえば、底部が三角形であれば3つ、五角形であれば5つ、六角形であれば6つ)とすることもできる。
脚部12の幅は一定でなくてもよく、底部13に向けて先細りとしたり、外枠部11に向けて先細りとしたり、外縁を波形としたりしてもよい。外枠部11を円環、長方環などの正方環以外の環状形としてもよい。
実施形態では、容器保持部を前後左右に2列ずつの計4つとしたが、前後左右に3列ずつとしたり、前後に1列、左右に2列というように、前後方向と左右方向で並列数を違えることもできる。また、容器保持部を1つのみとすることもできる。また、容器保持部の形状が六角形であればいわゆるハニカム構造となるように、多角形の外周各辺に沿う位置に配置することもできる。したがって、その配置態様は限定されない。
【0051】
外側線12c、内側線12dなどの切れ目線の配置については、実施形態に限定されず、容器保持枠用シート10上に切れ目線により囲まれる閉空間が存在しないように配置すればよい。これにより、抜きカスなどの小片が発生することが防止される。また、切れ目線は、ミシン目やハーフカットのような易破断線やこれらとの組み合わせでもあってもよい。
また、容器保持枠用シート10上に切れ目線により囲まれる閉空間が存在するように配置することもできる。また、前述したように、底部13に開口13aを形成することもできる。前述したように治具Jを用いる場合に、治具Jの閉鎖された底部に穴をあけたときには、その穴に、上端に吸盤が取り付けられたシャフトを昇降可能に挿通させ、その吸盤を底部13に吸着させたうえでシャフトを下降させることで、底部13を下方へと引張り、容器保持枠10へと変形させて治具Jに容器保持枠10をセット可能となるが、容器保持枠用シート10の底部13に開口が形成されている場合には、治具Jに容器保持枠10をセット後も引き続いてシャフトの昇降が可能となるので、容器保持枠10の底部13に形成された開口13aを通じて、シャフトの吸盤を容器20の底部に吸着させたうえでシャフトを下降させることで、このような吸着機構を用いて容器20も容器保持枠10にセットすることが可能となる。さらに、底部13に開口13aを形成することで、容器保持枠10から容器20を取り外す際に容器20の底部を直接手指で押すことも可能になるので、容器20の取り外し性も向上する。
【0052】
外枠部11と脚部12の境界の罫線12a、外枠部11のミシン目11c、11d、ノッチ11eについては、それぞれ省略することもできる。また、実施形態では折り曲げ容易線として罫線12a、罫線12bを例示したが、これに限定されず、ハーフカットやミシン目などの他の折り曲げ容易線とすることもできる。
実施形態の切れ目線としての外側線12cおよび内側線12dに代えて、ハーフカットやミシン目などの破断容易線とし、容器保持枠用シート10を変形させる際に、これを破断してもよい。
折り曲げ容易線と破断容易線とは、一方がハーフカットであれば他方がミシン目である、というように、異種のものとすると、区別がつきやすいため好ましい。
また、ミシン目11c、11dに代えて、ハーフカットなどの他の易破断線とすることもできる。
【符号の説明】
【0053】
10 容器保持枠用シート
10 容器保持枠
11 外枠部
11a 枠本体
11b 仕切り枠
11c ミシン目
11d ミシン目
11e ノッチ
12 脚部
12a 罫線
12b 罫線
12c 外側線
12d 内側線
13 底部
13a 開口(穴)
20 容器
21 底壁
22 周壁
22a 襞
J 治具
J1 本体
J2 十字枠
G ガイド
P プッシャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12