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特開2024-95031ファスナ供給装置、ファスナ供給システム、及びファスナ供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095031
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ファスナ供給装置、ファスナ供給システム、及びファスナ供給方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20240703BHJP
   B21J 15/32 20060101ALI20240703BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B23P19/06 A
B21J15/32 F
B65G47/14 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212021
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】矢野 史宗
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA24
3F080BA02
3F080CD07
3F080CF23
3F080CG11
3F080DA18
(57)【要約】
【課題】設置スペースを削減する。
【解決手段】ファスナ供給装置100は、第1開口軸X1を有する出口32を含み、ファスナFが搬送される第1搬送路1と、第1開口軸X1と異なる第2開口軸X2を有する入口51を含み、ファスナFが入口51から締結位置に搬送される第2搬送路5と、出口32から排出されたファスナFを排出側端から受け入れて保持する保持器41を有し、保持器41を変位させることによって、ファスナFを、供給側端を第2開口軸X2に沿って入口51に向けて入口51に供給する転向器4とを備えている。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出側端とその逆側の供給側端とを有するファスナを締結位置に供給するファスナ供給装置であって、
第1開口軸を有する出口を含み、前記ファスナが搬送される第1搬送路と、
前記第1開口軸と異なる第2開口軸を有する入口を含み、前記ファスナが前記入口から前記締結位置に搬送される第2搬送路と、
前記出口から排出された前記ファスナを前記排出側端から受け入れて保持する保持器を有し、前記保持器を変位させることによって、前記ファスナを、前記供給側端を前記第2開口軸に沿って前記入口に向けて前記入口に供給する転向器と、を備えている、ファスナ供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファスナ供給装置において、
前記出口および前記入口は、同じ向きに開口しており、
前記保持器は、前記出口および前記入口が向いている側に配置され、
前記転向器は、前記保持器を前記第1開口軸および前記第2開口軸に直交する面内で変位させて、前記ファスナを前記入口まで移動させる、ファスナ供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載のファスナ供給装置において、
前記出口および前記入口は、下向きに開口しており、
前記保持器は、前記出口および前記入口の下方に位置している、ファスナ供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載のファスナ供給装置において、
前記ファスナの前記排出側端は、頭部であり、
前記ファスナの前記供給側端は、軸部であり、
前記第1搬送路は、前記頭部が搬送方向へ向く第1搬送状態で前記ファスナを搬送し、
前記保持器は、前記ファスナを前記第1搬送状態で保持して変位する、ファスナ供給装置。
【請求項5】
請求項2に記載のファスナ供給装置において、
前記ファスナの前記排出側端は、頭部であり、
前記ファスナの前記供給側端は、軸部であり、
前記保持器は、変位することで、前記軸部が搬送方向へ向く第2搬送状態に前記ファスナの向きを変え、
前記第2搬送路は、前記第2搬送状態で前記ファスナを搬送する、ファスナ供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載のファスナ供給装置において、
前記第1搬送路は、複数の前記ファスナを収容する収容器と、前記収容器から排出された前記ファスナを一時的に蓄積し前記出口から前記保持器に排出する蓄積路と、を有する、ファスナ供給装置。
【請求項7】
請求項1に記載のファスナ供給装置において、
前記保持器は、噴出口を有し、
前記転向器は、前記噴出口からガスを噴出することによって前記ファスナを前記入口に供給し前記第2搬送路にて搬送する、ファスナ供給装置。
【請求項8】
頭部および軸部を有する複数のファスナを前記軸部が下向きとなる状態でカセットに充填する充填装置と、
第1開口軸を有する出口を含むと共に、前記充填装置によって充填された前記カセットが装着され、前記カセットの前記ファスナが、前記頭部が搬送方向へ向く第1搬送状態で搬送される第1搬送路、前記第1開口軸と異なる第2開口軸を有して前記出口と同じ向きに開口する入口を含み、前記ファスナが前記入口から締結位置に搬送される第2搬送路、前記出口および前記入口が向いている側に配置され、前記出口から排出された前記ファスナを前記第1搬送状態で保持する保持器を有し、前記保持器を前記第1開口軸および前記第2開口軸に直交する面内で変位させることによって前記ファスナを前記入口まで移動させ、前記ファスナを前記入口に供給する転向器を備えたファスナ供給装置と、
前記充填装置によって充填された前記カセットを、上下反転して前記ファスナ供給装置の前記第1搬送路に装着する交換装置と、を備えている、ファスナ供給システム。
【請求項9】
第1開口軸を有する出口を含む第1搬送路と、前記第1開口軸と異なる第2開口軸を有する入口を含む第2搬送路と、を用いて、排出側端とその逆側の供給側端とを有するファスナを締結位置に供給するファスナ供給方法であって、
前記第1搬送路にて前記ファスナを搬送することと、
前記出口から排出された前記ファスナを前記排出側端から受け入れて保持する保持器が変位することによって、前記ファスナを、前記供給側端を前記第2開口軸に沿って前記入口に向けて前記入口に供給することと、
前記第2搬送路にて前記ファスナを前記入口から前記締結位置に搬送することと、を含む、ファスナ供給方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、ファスナ供給装置、ファスナ供給システム、及びファスナ供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネジなどのファスナを締結位置に供給するファスナ供給装置が開示されている。このファスナ供給装置は、ファスナをチューブによって締結位置まで搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6673095号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のファスナ供給装置では、チューブを曲げて搬送方向を変更する際、チューブ内でファスナが引っ掛かることを防止するため、チューブの曲げ半径を所定値以上に確保する必要がある。そのため、ファスナ供給装置の中のチューブの占有スペースが増大する。その結果、ファスナ供給装置が大型化する。
【0005】
そこで本開示では、装置を小型化して設置スペースを削減し得るファスナ供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術は、排出側端とその逆側の供給側端とを有するファスナを締結位置に供給するファスナ供給装置である。前記ファスナ供給装置は、第1搬送路と、第2搬送路と、転向器とを備えている。前記第1搬送路は、第1開口軸を有する出口を含み、前記ファスナが搬送される。前記第2搬送路は、前記第1開口軸と異なる第2開口軸を有する入口を含み、前記ファスナが前記入口から前記締結位置に搬送される。前記転向器は、前記出口から排出された前記ファスナを前記排出側端から受け入れて保持する保持器を有し、前記保持器を変位させることによって、前記ファスナを、前記供給側端を前記第2開口軸に沿って前記入口に向けて前記入口に供給する。
【0007】
また、本開示の別の技術は、ファスナ供給システムである。前記ファスナ供給システムは、充填装置と、ファスナ供給装置と、交換装置とを備えている。前記充填装置は、頭部および軸部を有する複数のファスナを前記軸部が下向きとなる状態でカセットに充填する。前記ファスナ供給装置は、第1開口軸を有する出口を含むと共に、前記充填装置によって充填された前記カセットが装着され、前記カセットの前記ファスナが、前記頭部が搬送方向へ向く第1搬送状態で搬送される第1搬送路、前記第1開口軸と異なる第2開口軸を有して前記出口と同じ向きに開口する入口を含み、前記ファスナが前記入口から締結位置に搬送される第2搬送路、前記出口および前記入口が向いている側に配置され、前記出口から排出された前記ファスナを前記第1搬送状態で保持する保持器を有し、前記保持器を前記第1開口軸および前記第2開口軸に直交する面内で変位させることによって前記ファスナを前記入口まで移動させ、前記ファスナを前記入口に供給する転向器を備えている。前記交換装置は、前記充填装置によって充填された前記カセットを、上下反転して前記ファスナ供給装置の前記第1搬送路に装着する。
【0008】
また、本開示の別の技術は、第1開口軸を有する出口を含む第1搬送路と、前記第1開口軸と異なる第2開口軸を有する入口を含む第2搬送路と、を用いて、排出側端とその逆側の供給側端とを有するファスナを締結位置に供給するファスナ供給方法である。前記ファスナ供給方法は、前記第1搬送路にて前記ファスナを搬送することと、前記出口から排出された前記ファスナを前記排出側端から受け入れて保持する保持器が変位することによって、前記ファスナを、前記供給側端を前記第2開口軸に沿って前記入口に向けて前記入口に供給することと、前記第2搬送路にて前記ファスナを前記入口から前記締結位置に搬送することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
ここに開示されたファスナ供給装置によれば、設置スペースを削減することができる。
【0010】
ここに開示されたファスナ供給システムによれば、設置スペースを削減することができる。
【0011】
ここに開示されたファスナ供給方法によれば、設置スペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ファスナ供給システムを示す斜視図である。
図2図2は、ファスナが充填された直後のカセットの内部を示す側面図である。
図3図3は、ファスナ供給装置を前方から視て示す斜視図である。
図4図4は、ファスナ供給装置を後方から視て示す斜視図である。
図5図5は、ファスナ供給装置の断面図である。
図6図6は、ファスナ供給装置の背面図である。
図7図7は、ファスナが充填されたカセットを上下反転した状態を示す図2相当図である。
図8図8は、転向器の断面図である。
図9図9は、ファスナ供給方法を示すフローチャートである。
図10図10は、転向器の一状態を示す図8相当図である。
図11図11は、転向器の一状態を示す図8相当図である。
図12図12は、転向器の一状態を示す図8相当図である。
図13図13は、転向器の一状態を示す図8相当図である。
図14図14は、変形例に係る転向器の一状態を示す図8相当図である。
図15図15は、変形例に係る転向器の一状態を示す図8相当図である。
図16図16は、変形例に係る転向器の一状態を示す図8相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、ファスナ供給システム200を示す斜視図である。ファスナ供給システム200は、例えば航空機の組み立てに要するファスナFを締結位置に供給する。ファスナ供給システム200は、充填装置110と、第1ロボット120と、第2ロボット130と、ファスナ供給装置100とを備えている。
【0015】
以下、上下方向は、鉛直方向と一致し、前後方向は、水平方向と一致し、左右方向は、水平方向と一致し且つ前後方向に直交するものとして説明する。
【0016】
図2は、ファスナFが充填された直後のカセット22の内部を示す側面図である。充填装置110は、例えば棚Sに載置されたカセット22に複数のファスナFを充填する。ファスナFは、排出側端とその逆側の供給側端とを有する。この例では、ファスナFは、排出側端である頭部Faと供給側端である軸部Fbとを有する。ファスナFは、軸部Fbに雄ネジが形成されるネジであってよい。またファスナFは、軸部Fbに雄ネジが形成されていないリベット等でもよい。図2に示すように、カセット22は、複数の充填筒241を有する。充填装置110は、複数の充填筒241のそれぞれに複数のファスナFを一列に充填する。充填筒241は、上下方向に延びる細長い円筒状に形成されている。充填装置110は、軸部Fbが下向きとなる状態で、ファスナFを一つずつ充填筒241にその上方から充填していく。
【0017】
第1ロボット120は、ファスナ供給装置100に装着されているカセット22を新しいカセット22と交換する。具体的に、第1ロボット120は、ファスナFを全て排出したカセット22をファスナ供給装置100から取り出す。そして、第1ロボット120は、充填装置110によってファスナFが充填されたカセット22をファスナ供給装置100に装着する。その際、第1ロボット120は、カセット22を上下反転してファスナ供給装置100に装着する。第1ロボット120は、交換装置の一例である。
【0018】
ファスナ供給装置100は、カセット22に充填されたファスナFを一つずつ締結位置に供給する。締結位置は、例えば、第2ロボット130のハンドである。第2ロボット130は、ファスナ供給装置100から供給されたファスナFを所定の位置において締結する。第2ロボット130は、締結装置の一例である。
【0019】
図3は、ファスナ供給装置100を前方から視て示す斜視図である。図4は、ファスナ供給装置100を後方から視て示す斜視図である。図5は、ファスナ供給装置100の断面図である。図6は、ファスナ供給装置100の背面図である。図7は、ファスナFが充填されたカセット22を上下反転した状態を示す図2相当図である。図8は、転向器4の断面図である。
【0020】
ファスナ供給装置100は、第1搬送路1と、転向器4と、第2搬送路5と、制御装置6とを備える。
【0021】
第1搬送路1は、第1開口軸X1を有する出口32を含む。ファスナFは、第1搬送路1を通って搬送される。つまり、ファスナFは、第1搬送路1の出口32へ向かって搬送されて出口32から排出される。具体的に、第1搬送路1は、収容器2と、蓄積路3とを有する。収容器2は、複数のファスナFを収容する。蓄積路3は、出口32を含む。蓄積路3は、収容器2から排出されたファスナFを一時的に蓄積し、出口32から転向器4の保持器41に排出する。
【0022】
収容器2は、複数のスロット211が形成された筐体21と、複数のカセット22とを有する。複数のスロット211は、左右方向に並んでいる。複数のスロット211のそれぞれには、第1ロボット120によってカセット22が一つずつ装着される。図7に示すように、カセット22は、上下反転された状態でスロット211に装着される。
【0023】
具体的に、カセット22は、ケース23と、スライダ24と、ボールねじ25とを有している。ケース23は、略矩形体状に形成されている。スライダ24は、ケース23内に配置されている。スライダ24は、ケース23内において所定の一定方向にスライド移動自在に設けられている。この例では、一定方向は前後方向である。スライダ24には、前述した複数の充填筒241が形成されている。カセット22が上下反転されたことによって、充填筒241では、頭部Faが下向きとなる状態でファスナFが充填されている。
【0024】
ボールねじ25は、概ねケース23内に配置されている。ボールねじ25は、スライダ24のスライド方向、即ち前後方向に延びている。ボールねじ25の一端は、ケース23を貫通して外方に突出している。ボールねじ25は、スライダ24と係合しており、回転することによりスライダ24を前後方向にスライド移動させる。ケース23の底壁には、ファスナFが排出される開口232が設けられている。カセット22では、スライダ24がボールねじ25の回転によってスライド移動することにより、充填筒241と開口232とが一致すると、充填筒241のファスナFが開口232から排出される。つまり、充填筒241のファスナFが自重により開口232から落下していく。収容器2には、ボールねじ25と連結してボールねじ25を回転させるモータ27が設けられている。
【0025】
なお、ケース23において、スライダ24のスライド方向における一方の側壁には、ボールねじ25が貫通する開口231が形成されている。また、ケース23において、スライダ24のスライド方向における他方の側壁、即ち、開口231が形成されている側壁と対向する側壁には、把持部233が設けられている。第1ロボット120は、ハンド120aで把持部233を把持して、カセット22を取り出したり、上下反転させたり、装着したりする。
【0026】
図5に示すように、筐体21の底壁には、複数のカセット22のそれぞれの開口232に対応する位置に、ファスナFが排出される複数の開口213が形成されている。複数の開口213は、複数のスロット211と同じ数で、左右方向に並んでいる。充填筒241のファスナFは、2つの開口232,213を介して収容器2から排出される。また、筐体21における前後方向の一方の側壁には、カセット22の開口231に対応する位置に、ボールねじ25が貫通するための開口212が形成されている。
【0027】
蓄積路3は、金属製または樹脂製の配管である。具体的に、蓄積路3は、上下方向に延びている。この例の第1搬送路1では、複数の蓄積路3が設けられている。複数の蓄積路3のそれぞれが、複数のスロット211、即ち複数のカセット22のそれぞれに対応して設けられている。複数の蓄積路3のそれぞれの入口31は、筐体21の複数の開口213のそれぞれに連通している。蓄積路3では、開口213から排出されたファスナFが一時的に蓄積される。蓄積路3に蓄積されたファスナFは、出口32から転向器4の保持器41に排出される。蓄積路3では、充填筒241の場合と同様、頭部Faが下向きとなる状態でファスナFが蓄積されていく。
【0028】
このように、ファスナFは、第1搬送路1を鉛直下向きに搬送される。つまり、第1搬送路1におけるファスナFの搬送方向は、鉛直下向きである。詳しくは、収容器2の充填筒241においては複数のファスナFが自重により下方へ落下していく。蓄積路3においても同様に複数のファスナFが自重により下方へ落下していく。そして、第1搬送路1では、頭部Faが下向きとなる状態、即ち頭部Faが搬送方向へ向く第1搬送状態でファスナFが搬送される。
【0029】
図8に示すように、第2搬送路5は、第1開口軸X1と異なる第2開口軸X2を有する入口51を含む。ファスナFは、第2搬送路5の入口51から締結位置に搬送される。第2搬送路5は、可撓性を有するチューブである。第2搬送路5の出口は、締結位置、即ち第2ロボット130のハンドに位置している。
【0030】
詳しくは、第1搬送路1の出口32の第1開口軸X1と、第2搬送路5の入口51の第2開口軸X2とは、平行である。この例では、第1搬送路1の出口32は蓄積路3の出口でもある。出口32および入口51は、同じ向きに開口している。具体的に、出口32および入口51は、鉛直下向きに開口している。つまり、第1開口軸X1および第2開口軸X2は、上下方向に延びている。より詳しくは、出口32および入口51は、第1開口軸X1および第2開口軸X2に直交する略面内において開口している。
【0031】
図8に示すように、転向器4は、保持器41を有する。保持器41は、第1搬送路1と第2搬送路5との間に設けられ、出口32から排出されたファスナFを排出側端である頭部Faから受け入れて保持する。転向器4は、保持器41を変位させることによって、ファスナFを、供給側端である軸部Fbを第2開口軸X2に沿って入口51に向けて入口51に供給する。
【0032】
具体的に、転向器4は、保持器41と、第1アクチュエータ42と、連通器43と、第2アクチュエータ44と、エアチューブ45とを有する。
【0033】
保持器41は、略矩形体状に形成されている。この例では、保持器41の形状は、長手方向が前後方向と一致する略矩形体状である。保持器41は、出口32および入口51が向いている側に配置されている。より詳しくは、保持器41は、出口32および入口51の鉛直下方に位置している。保持器41は、出口32から排出されたファスナFを保持する有底孔411を有する。有底孔411は、保持器41の上面に位置する。詳しくは、有底孔411は、保持器41の前後方向における一端部寄りに位置する。図11に示すように、保持器41は、出口32から排出されたファスナFを有底孔411に収容する。これにより、保持器41はファスナFを保持する。
【0034】
保持器41は、第1開口軸X1および第2開口軸X2に直交する面内で変位自在に設けられている。以下、第1開口軸X1および第2開口軸X2に直交する面内は、水平面内と称する場合がある。より詳しくは、保持器41は、水平面内で前後方向に直線移動自在に設けられている。転向器4は、保持器41を水平面内で変位させることによって、有底孔411のファスナFを入口51まで移動させる。その際、保持器41は、図11に示すように、ファスナFを第1搬送状態で保持して変位する。
【0035】
保持器41は、噴出口412を有する。噴出口412は、有底孔411の底部に設けられている。噴出口412は、圧縮エアを噴出させることによってファスナFを入口51に供給し第2搬送路5にて搬送する。圧縮エアは、ガスの一例である。第1アクチュエータ42は、保持器41を水平面内で前後方向に直線移動させる、例えばシリンダである。保持器41および第1アクチュエータ42は、複数の蓄積路3のそれぞれの出口32に対応して複数設けられている。
【0036】
連通器43は、保持器41の有底孔411を第2搬送路5と連通させ、且つ、保持器41の噴出口412をエアチューブ45と連通させる。連通器43は、保持器41の後方に設けられている。連通器43は、第1板431と第2板432とを有する。第1板431と第2板432とは、上下方向に並んで位置している。第1板431は、第2板432の上に位置している。第1板431および第2板432は何れも、前後方向に延びている。第1板431は、上下方向に貫通する貫通孔433を有する。貫通孔433には、第2搬送路5の入口51が接続されている。第2板432は、上下方向に貫通する貫通孔434を有する。貫通孔434には、エアチューブ45が接続されている。エアチューブ45は、圧縮エアを噴出口412に向かって供給する。この例では、図6に示すように、2つの連通器43が設けられている。
【0037】
保持器41は、前後方向に直線移動することで、第1状態と第2状態とに切り替わる。第1状態では、図11に示すように、有底孔411が蓄積路3の出口32の下方に位置して出口32と連通する。第2状態では、図8に示すように、保持器41における有底孔411側の部分が連通器43の第1板431と第2板432との間に進入する。つまり、第2状態では、有底孔411が第2搬送路5の入口51の下方に位置して入口51と連通し、且つ、噴出口412がエアチューブ45の上方に位置してエアチューブ45と連通する。第1状態の保持器41は、ファスナFを第1搬送状態で保持する。保持器41は、第2状態に切り替わることで、ファスナFを第2搬送状態に移行させる。第2搬送状態のファスナFは、供給側端である軸部Fbが第2開口軸X2に沿って入口51に向いている。即ち、この例の第2搬送状態のファスナFは、図12に示すように、軸部Fbが上向きとなる。
【0038】
保持器41および連通器43には、一対のセンサ413,414が設けられている。一対のセンサ413,414は、保持器41が第1状態または第2状態に切り替わったことを検知する。一対のセンサ413,414は、例えば、互いが接触しているか否かを検知する接触式のセンサである。あるいは、一対のセンサ413,414は、互いの距離を計測するレーザセンサである。センサ413,414は、保持器41および連通器43の何れか一方にのみ設けられる近接センサであってもよい。
【0039】
連通器43は、左右方向、即ち複数の保持器41の配列方向に直線移動自在に設けられている。2つの連通器43は、左右方向に所定の間隔を置いて設けられている。この例では、2つの連通器43は、一体となって左右方向に直線移動する。第2アクチュエータ44は、2つの連通器43を左右方向に直線移動させる。第2アクチュエータ44は、例えばサーボモータである。
【0040】
蓄積路3には、ストッパ34が設けられている。ストッパ34は、蓄積路3のファスナFを出口32から一つずつ排出させる。ストッパ34は、蓄積路3の出口32付近に設けられた開口33において進退する。ストッパ34は、制止状態と解除状態とに切り替わる。ストッパ34は、制止状態では開口33に進入して蓄積路3内に突出する。ストッパ34が制止状態に切り替わると、ファスナFの頭部Faがストッパ34に当たる。これにより、ファスナFの落下、即ちファスナFの搬送が制止される。ストッパ34は、解除状態では開口33から退出する。ストッパ34が解除状態に切り替わると、ファスナFの制止が解除される。これにより、ファスナFの落下、即ちファスナFの搬送が許容される。
【0041】
蓄積路3には、蓄積路3内のファスナFがなくなったことを検知するセンサ35が設けられている。この例では、センサ35は通過型近接センサであるリングセンサである。なお、センサ35は、レーザセンサやカラーセンサであってもよい。
【0042】
制御装置6は、ファスナ供給装置100に関する各種制御を行う。具体的に、制御装置6は、モータ27、第1アクチュエータ42および第2アクチュエータ44を制御する。また、制御装置6は、ストッパ34の動作、エアチューブ45による圧縮エアの供給および停止も制御する。
【0043】
以上のように構成されたファスナ供給システム200のファスナ供給動作について説明する。図9は、ファスナ供給方法を示すフローチャートである。図10図13は何れも、転向器4の一状態を示す図8相当図である。
【0044】
ステップS1において、第1ロボット120が、カセット22を反転して収容器2のスロット211に装着する。つまり、第1ロボット120は、充填装置110によってファスナFが充填されたカセット22を、スロット211に装着する際に上下反転させる。これにより、収容器2の各カセット22においては、ファスナFの頭部Faが搬送方向へ向いた第1搬送状態で収容される。
【0045】
ステップS2では、収容器2がファスナFを蓄積路3に搬送する。具体的に、制御装置6がモータ27を制御することによってボールねじ25が回転してスライダ24が移動すると、充填筒241のファスナFが開口213から蓄積路3に搬送される。こうして、蓄積路3では、図8に示すように、頭部Faが搬送方向へ向いた第1搬送状態でファスナFが蓄積される。
【0046】
ステップS3では、ストッパ34が制止状態に切り替わる。つまり、制御装置6がストッパ34を制止状態に切り替える。具体的には、図8に示すように、ストッパ34が開口33に進入して蓄積路3に突出する。そうすると、蓄積路3において最下に位置するファスナFの頭部Faがストッパ34に当たる。これにより、蓄積路3においてファスナFの搬送が制止される。
【0047】
ステップS4では、保持器41が第1状態に切り替わる。具体的には、制御装置6が第1アクチュエータ42を駆動する。そうすると、図10に示すように、保持器41が第1状態に変位する。そうすると、有底孔411が蓄積路3の出口32と連通する。
【0048】
ステップS5では、ストッパ34が解除状態に切り替わる。つまり、制御装置6がストッパ34を解除状態に切り替える。制御装置6は、保持器41が第1状態に切り替わったことをセンサ413,414が検知すると、ストッパ34を解除状態に切り替える。具体的には、図11に示すように、ストッパ34が開口33から退出する。そうすると、ストッパ34で制止されていたファスナFが、蓄積路3の出口32から保持器41の有底孔411に落下する。こうして、保持器41は、出口32から排出されたファスナFを第1搬送状態で保持する。
【0049】
ステップS6では、ストッパ34が再び制止状態に切り替わる。つまり、制御装置6がストッパ34を制止状態に切り替える。これにより、図12に示すように、有底孔411に落下したファスナFの直上に位置するファスナFの落下がストッパ34によって制止される。そのため、一度に2つのファスナFが有底孔411に落下することを回避することができる。
【0050】
ステップS7では、保持器41が第2状態に切り替わる。具体的には、制御装置6が第1アクチュエータ42を駆動する。そうすると、図12に示すように、保持器41が第2状態に変位する。これにより、保持器41に保持されているファスナFが第2搬送状態に変わる。つまり、ファスナFの軸部Fbが、第2開口軸X2に沿って第2搬送路5の入口51へ向く。即ち、ファスナFの向きが、上向きの搬送方向に変わる。このように、保持器41が第2状態に変位することで、ファスナFの搬送方向が、下向きから上向きに変更される。
【0051】
ステップS8では、有底孔411のファスナFが第2搬送路5にて搬送される。具体的には、図13に破線の矢印で示すように、制御装置6が、エアチューブ45によって圧縮エアを噴出口412に向かって供給させる。これにより、噴出口412から圧縮エアが上向きの搬送方向へ噴出する。そうすると、圧縮エアの圧力によって、有底孔411のファスナFが第2搬送路5の入口51に供給され、第2搬送路5を通じて締結位置まで搬送される。このとき、ファスナFは、軸部Fbが搬送方向へ向いた第2搬送状態で締結位置まで搬送される。そのため、第2ロボット130による締結作業が容易となる。
【0052】
こうして、1つのファスナFを締結位置に供給する供給動作が完了する。この供給動作が完了すると、ステップS4に戻って、2つ目のファスナFに係る供給動作が開始される。蓄積路3にファスナFが存在する限り、ステップS4~ステップS8の動作が繰り返される。一方、蓄積路3内のファスナFが所定量減少すると、センサ35が検知し、それによって、その蓄積路3に対応するカセット22が第1ロボット120によって交換される。
【0053】
このように、ファスナ供給装置100においては、転向器4が、第1搬送路1の出口32から排出されたファスナFを頭部Faから受け入れて保持する保持器41を有し、保持器41を変位させることによって、ファスナFを、軸部Fbを第2開口軸X2に沿って入口51に向けて入口51に供給する。これによれば、ファスナFを保持した保持器41を変位させることでファスナFが入口51に向くので、ファスナFの搬送方向を鋭角に変更し得る。そのため、例えばチューブを曲げて搬送方向を変更する従来方式に比べて、第2搬送路5等の設置スペースを削減することができる。したがって、ファスナ供給装置100を小型化することができる。これにより、例えばファスナ供給装置100を組み込んだファスナ供給システム200全体の設置スペースを削減することができる。
【0054】
また、第1搬送路1の出口32および第2搬送路5の入口51は、同じ向きに開口している。そして、転向器4は、保持器41を第1開口軸X1および第2開口軸X2に直交する面内で変位させて、ファスナFを入口51まで移動させる。そのため、保持器41を変位させるだけでファスナFの向きを180度変更し得る。そのため、ファスナFの搬送方向を鋭角に変更し得るので、第2搬送路5等の設置スペースを一層削減することができる。
【0055】
さらに、第1搬送路1の出口32および第2搬送路5の入口51は、下向きに開口している。そのため、ファスナFは、自重により落下して第1搬送路1内を搬送される。したがって、第1搬送路1においてファスナFを搬送する動力が不要になる。
【0056】
また、ファスナFは、頭部Faが下向きの搬送方向へ向く第1搬送状態で第1搬送路1を通って搬送され、保持器41は、ファスナFを第1搬送状態で保持して変位する。そのため、保持器41が変位することで、軸部Fbが第2開口軸X2に沿って入口51へ向く第2搬送状態にファスナFの向きを変更し得る。これにより、第2搬送路5では、軸部Fbが搬送方向へ向いた状態でファスナFを搬送することができる。したがって、第2ロボット130による締結作業が容易となる。
【0057】
また、第1搬送路1は、複数のファスナFを収容する収容器2と、収容器2から排出されたファスナFを一時的に蓄積し出口32から保持器41に排出する蓄積路3とを有している。そのため、第1搬送路1においてファスナFのストック機能を持たせることができる。
【0058】
また、保持器41は、噴出口412を有する。転向器4は、圧縮エアを噴出口412から噴出することによってファスナFを入口51に供給し第2搬送路5にて搬送する。そのため、簡易に第2搬送路5にてファスナFを搬送することができる。
【0059】
また、ファスナ供給システム200では、充填装置110によって軸部Fbが下向きとなる状態でファスナFが充填されたカセット22が、上下反転されてから収容器2のスロット211に装着される。そのため、収容器2において、容易に、頭部Faが下向きとなる状態で複数のファスナFを収容することができる。
【0060】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0061】
例えば、保持器41は、水平面内で回転することによって変位するようにしてもよい。つまり、保持器41は、水平面内において水平面に直交する回転軸回りに回転することで、第1状態と第2状態とに切り替わるようにしてもよい。この場合も、前記実施形態と同様、保持器41が水平面内で変位するだけで、ファスナFの搬送方向を鋭角に変更することができる。
【0062】
また、第1搬送路1の出口32および第2搬送路5の入口51は、互いに同じ向きであって、斜め下向きに開口するようにしてもよい。
【0063】
また、転向器4は、図14に示すような構成としてもよい。具体的には、保持器46は、前後方向である長手方向の長さが前記実施形態よりも短い。保持器46を前後方向に移動させる第1アクチュエータ47は、例えば保持器46の後方に配置される。保持器46は、第1アクチュエータ47によって第1状態と第2状態とに切り替わる。つまり、第1状態では、図14に二点鎖線で示すように、有底孔461が第1搬送路1の出口32と連通する。第2状態では、図14に実線で示すように、有底孔461が第2搬送路5の入口51と連通し、且つ、噴出口462がエアチューブ45と連通する。この例の連通器48は、前後方向に延びる板状部材である。保持器46および第1アクチュエータ47は、連通器48の上に載置されている。連通器48は、上下方向に貫通し、エアチューブ45が接続される貫通孔481を有する。第2アクチュエータ49は、連通器48を保持器46および第1アクチュエータ47と共に、左右方向に直線移動させる。
【0064】
また、第1搬送路1の出口32の向きと第2搬送路5の入口51の向きとが斜めに交差するようにしてもよい。つまり、第1開口軸X1と第2開口軸X2との成す角度θは、鋭角、即ち0度以上90度未満である。その場合、例えば、転向器8は、図15および図16に示すように構成してもよい。
【0065】
具体的に、この例の保持器81は、第1開口軸X1および第2開口軸X2を含む面内で回転することで変位する。つまり、保持器81は、第1開口軸X1および第2開口軸X2を含む面に直交する回転軸X3を有する球状または略円板状に形成されている。回転軸X3は、第1開口軸X1と第2開口軸X2との交点を通る。保持器81は、回転軸X3を中心に回転する。保持器81は、前記実施形態と同様、有底孔811および噴出口812を有する。有底孔811は、保持器81の外周面に位置する。噴出口812は、有底孔811の底部に設けられている。
【0066】
この例の連通器82は、保持器81を回転自在に支持する。連通器82は、保持器81の略下方に位置する。連通器82は、エアチューブ83が接続される貫通孔821を有する。連通器82は、前記実施形態と同様、保持器81の有底孔811を第2搬送路5と連通させ、且つ、保持器81の噴出口812をエアチューブ83と連通させる。
【0067】
保持器81は、回転軸X3を中心に回転することで、第1状態と第2状態とに切り替わる。このときの保持器81の回転角は、角度θと同じ値である。第1状態では、図15に示すように、有底孔811が蓄積路3の出口32の下方に位置して出口32と連通する。第2状態では、図16に示すように、有底孔811が第2搬送路5の入口51と連通し、且つ、噴出口812が貫通孔821を介してエアチューブ83と連通する。第1状態の保持器81は、ストッパ34が解除状態に切り替わることで、ファスナFを頭部Faから受け入れて第1搬送状態で保持する。保持器81が第2状態に変位すると、保持器81に保持されているファスナFが第2搬送状態に変わる。つまり、ファスナFの軸部Fbが、第2開口軸X2に沿って第2搬送路5の入口51へ向く。図16に破線の矢印で示すように、エアチューブ83から圧縮エアが噴出口812へ向かって供給されると、有底孔811のファスナFが入口51に供給され、第2搬送路5を通じて締結位置まで搬送される。
【0068】
このように、この例においても、ファスナFの搬送方向を鋭角に変更することができる。したがって、ファスナ供給装置100を小型化することができ、その結果、ファスナ供給装置100ひいてはファスナ供給システム200の設置スペースを削減することができる。なお、この例では、角度θは、鋭角に限らず、例えば直角であってもよい。
【0069】
また、頭部Faが搬送方向に向いた状態でファスナFを締結位置に供給しても締結作業に特段の支障がない場合には、カセット22を上下反転させずにスロット211に装着するようにしてもよい。
【0070】
また、噴出口412は、圧縮エア以外のガスを噴出するようにしてもよい。
【0071】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0072】
[1] ファスナ供給装置100は、排出側端とその逆側の供給側端とを有するファスナFを締結位置に供給するものであって、第1開口軸X1を有する出口32を含み、前記ファスナFが搬送される第1搬送路1と、前記第1開口軸X1と異なる第2開口軸X2を有する入口51を含み、前記ファスナFが前記入口51から前記締結位置に搬送される第2搬送路5と、前記出口32から排出された前記ファスナFを前記排出側端から受け入れて保持する保持器41を有し、前記保持器41を変位させることによって、前記ファスナFを、前記供給側端を前記第2開口軸X2に沿って前記入口51に向けて前記入口51に供給する転向器4とを備えている。
【0073】
この構成によれば、ファスナFを保持した保持器41を変位させることでファスナFが第2開口軸X2に沿って入口51に向くので、ファスナFの搬送方向を鋭角に変更し得る。そのため、例えばチューブを曲げて搬送方向を変更する従来に比べて、第2搬送路5等の設置スペースを削減することができる。その結果、ファスナ供給装置100の全体の設置スペースを削減することができる。したがって、ファスナ供給装置100をできるだけ第2ロボット130の近傍に配置することができるので、ファスナ供給システム200をコンパクト化することができる。
【0074】
[2] [1]に記載のファスナ供給装置100において、前記出口32および前記入口51は、同じ向きに開口しており、前記保持器41は、前記出口32および前記入口51が向いている側に配置され、前記転向器4は、前記保持器41を前記第1開口軸X1および前記第2開口軸X2に直交する面内で変位させて、前記ファスナFを前記入口51まで移動させる。
【0075】
この構成によれば、保持器41を変位させるだけでファスナFの向きを180度変更し得る。そのため、ファスナFの搬送方向を非常に鋭角に変更し得るので、第2搬送路5等の設置スペースを一層削減することができる。
【0076】
[3] [1]または[2]に記載のファスナ供給装置100において、前記出口32および前記入口51は、下向きに開口しており、前記保持器41は、前記出口32および前記入口51の下方に位置している。
【0077】
この構成によれば、第1搬送路1では、ファスナFを自重により落下させて搬送し得る。したがって、第1搬送路1においてファスナFを搬送する動力が不要になる。
【0078】
[4] [1]乃至[3]の何れか1つに記載のファスナ供給装置100において、前記ファスナFの前記排出側端は、頭部Faであり、前記ファスナFの前記供給側端は、軸部Fbであり、前記第1搬送路1は、前記頭部Faが搬送方向へ向く第1搬送状態で前記ファスナFを搬送し、前記保持器41は、前記ファスナFを前記第1搬送状態で保持して変位する。
【0079】
この構成によれば、保持器41が変位することで、軸部Fbが第2開口軸X2に沿って入口51へ向く第2搬送状態にファスナFを変更し得る。これにより、第2搬送路5では、軸部Fbが搬送方向へ向いた状態でファスナFを搬送することができる。したがって、第2ロボット130による締結作業が容易となる。
【0080】
[5] [1]乃至[4]の何れか1つに記載のファスナ供給装置100において、前記ファスナFの前記排出側端は、頭部Faであり、前記ファスナFの前記供給側端は、軸部Fbであり、前記保持器41は、変位することで、前記軸部Fbが搬送方向へ向く第2搬送状態に前記ファスナFの向きを変え、前記第2搬送路5は、前記第2搬送状態で前記ファスナFを搬送する。
【0081】
この構成によれば、保持器41が変位することで、軸部Fbが第2開口軸X2に沿って入口51へ向く第2搬送状態にファスナFを変更することができる。これにより、第2搬送路5では、軸部Fbが搬送方向へ向いた状態でファスナFを搬送することができる。したがって、第2ロボット130による締結作業が容易となる。
【0082】
[6] [1]乃至[5]の何れか1つに記載のファスナ供給装置100において、前記第1搬送路1は、複数の前記ファスナFを収容する収容器2と、前記収容器2から排出された前記ファスナFを一時的に蓄積し前記出口32から前記保持器41に排出する蓄積路3とを有する。
【0083】
この構成によれば、第1搬送路1においてファスナFのストック機能を持たせることができる。
【0084】
[7] [1]乃至[6]の何れか1つに記載のファスナ供給装置100において、前記保持器41は、噴出口412を有し、前記転向器4は、前記噴出口412から圧縮エア(ガス)を噴出することによって前記ファスナFを前記入口51に供給し前記第2搬送路5にて搬送する。
【0085】
この構成によれば、簡易に第2搬送路5にてファスナFを搬送することができる。
【0086】
[8] ファスナ供給システム200は、頭部Faおよび軸部Fbを有する複数のファスナFを前記軸部Fbが下向きとなる状態でカセット22に充填する充填装置110と、第1開口軸X1を有する出口32を含むと共に、前記充填装置110によって充填された前記カセット22が装着され、前記カセット22の前記ファスナFが、前記頭部Faが搬送方向へ向く第1搬送状態で搬送される第1搬送路1、前記第1開口軸X1と異なる第2開口軸X2を有して前記出口32と同じ向きに開口する入口51を含み、前記ファスナFが前記入口51から締結位置に搬送される第2搬送路5、前記出口32および前記入口51が向いている側に配置され、前記出口32から排出された前記ファスナFを前記第1搬送状態で保持する保持器41を有し、前記保持器41を前記第1開口軸X1および前記第2開口軸X2に直交する面内で変位させることによって前記ファスナFを前記入口51まで移動させ、前記ファスナFを前記入口51に供給する転向器4を備えたファスナ供給装置100と、前記充填装置110によって充填された前記カセット22を、上下反転して前記ファスナ供給装置100の前記第1搬送路1に装着する第1ロボット120、即ち交換装置とを備えている。
【0087】
この構成によれば、ファスナ供給装置100の設置スペースを削減することができるので、ファスナ供給システム200の全体をコンパクト化することができる。また、また、充填装置110によって軸部Fbが下向きとなる状態でファスナFが充填されたカセット22が、上下反転されてから第1搬送路1に装着される。そのため、市販の充填装置110を用いても、第1搬送路1において、容易に、頭部Faが下向きとなる状態で複数のファスナFを収容することができる。
【0088】
[9] ファスナ供給方法は、第1開口軸X1を有する出口32を含む第1搬送路1と、前記第1開口軸X1と異なる第2開口軸X2を有する入口51を含む第2搬送路5と、を用いて、排出側端とその逆側の供給側端とを有するファスナFを締結位置に供給する方法であって、前記第1搬送路1にて前記ファスナFを搬送することと、前記出口32から排出された前記ファスナFを前記排出側端から受け入れて保持する保持器41が変位することによって、前記ファスナFを、前記供給側端を前記第2開口軸X2に沿って前記入口51に向けて前記入口51に供給することと、前記第2搬送路5にて前記ファスナFを前記入口51から前記締結位置に搬送することとを含む。
【0089】
この構成によれば、第2搬送路5等の設置スペースを削減することができる。その結果、ファスナを供給する装置全体の設置スペースを削減することができる。
【符号の説明】
【0090】
200 ファスナ供給システム
120 第1ロボット(交換装置)
110 充填装置
100 ファスナ供給装置
1 第1搬送路
2 収容器
22 カセット
3 蓄積路
32 出口
4 転向器
41 保持器
5 第2搬送路
51 入口
X1 第1開口軸
X2 第2開口軸
F ファスナ
Fa 頭部(排出側端)
Fb 軸部(供給側端)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16