(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009504
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】微粒体圧縮装置
(51)【国際特許分類】
B30B 9/28 20060101AFI20240116BHJP
B30B 11/02 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B30B9/28 B
B30B11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111074
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】308028636
【氏名又は名称】ユーエスウラサキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】田口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲哉
(57)【要約】
【課題】圧縮部により微粒体を圧縮する際に、装置外部への微粒体の噴出を防止することができる、低コストでメンテナンスも容易な微粒体圧縮装置を提供する。
【解決手段】 微粒体を貯留し、一定量の微粒体を落下させる微粒体貯留部10と、微粒体貯留部10の底部に接続され、微粒体貯留部10から落下した微粒体に液体を加え造粒する凝集部20と、凝集部20の下面に接続され、凝集部20において造粒された造粒物を落下させるガイド部30と、ガイド部30が接続されており、ガイド部30を通って落下した前記造粒物を内部に駐留させる固形化部40と、固形化部40の内部に往復移動可能に配置され、固形化部40の一方の端部から他方の端部にかけて移動することによって、造粒物を圧縮して固形化する圧縮部50と、を備えることを特徴とする微粒体圧縮装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒体を貯留し、一定量の微粒体を落下させる微粒体貯留部と、
前記微粒体貯留部の底部に接続され、前記微粒体貯留部から落下した微粒体に液体を加え凝集する凝集部と、
前記凝集部の下面に接続され、前記凝集部において凝集された造粒物を落下させるガイド部と、
前記ガイド部が接続されており、前記ガイド部を通って落下した前記造粒物を内部に貯留させる固形化部と、
前記固形化部の内部に往復移動可能に配置され、前記固形化部の一方の端部から他方の端部にかけて移動することによって、前記造粒物を圧縮して固形化する圧縮部と、
を備えることを特徴とする微粒体圧縮装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微粒体圧縮装置において、
前記固形化部は、接地面に対し略垂直に設置され、垂直方向下部に小径部、垂直方向上部に大径部を備え、
前記小径部の内径は、前記大径部の内径よりも小さく形成されており、
前記ガイド部は、前記固形化部において前記小径部の側面に接続されていることを特徴とする微粒体圧縮装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の微粒体圧縮装置において、
前記固形化部は、その一方の端部が開放された開放端部を備え、
前記開放端部を開閉する開閉部と、
を備えることを特徴とする微粒体圧縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属などを熱切断したときに発生する微粒体を圧縮して固形化する圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工機やプラズマ加工機などで金属などを熱切断したときに、大量の微小な粉粒体(微粒体)が発生する。
このような微粒体が発生すると、作業環境の劣化、健康被害を招くため、発生した微粉体は、集塵機によって切断部位から吸引され、集められ、定期的に処理業者に搬送されている。
【0003】
しかし、このような微粒体は容積が大きくなり、集塵機で集めた微粒体を貯蔵、搬送するのに多大なコストと時間がかかっていた。
そこで、従来、集めた微粒体を固形化部に集め、圧縮部により集めた微粒体を圧縮し固形化することで微粒体の容積を小さくすることを特徴とする圧縮装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような圧縮装置では、固形化部に貯留された微粒体を圧縮部によって圧縮する際に、固形化部の内部圧力が上昇し、固形化部と圧縮部の隙間などから微粒体が圧縮装置外部へ噴出し舞い上がってしまうという課題があった。
【0006】
また、圧縮時に隙間などから微粒体が噴出するのを防止するためには、固形化部内部と圧縮部のクリアランスを微粒体が通過できないように狭くしなければならないが、そのためには、固形化部や圧縮部のクリアランス精度を上げる必要があり、メンテナンスに手間がかかり、製造コストも高くなるという課題があった。
【0007】
本発明は、こうした課題に鑑みなされたもので、圧縮部により微粒体を圧縮する際に、装置外部への微粒体の噴出を防止することができる、低コストでメンテナンスも容易な微粒体圧縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
[適用例1]
適用例1に記載の発明は、
微粒体を貯留し、一定量の微粒体を落下させる微粒体貯留部(10)と、
前記微粒体貯留部(10)の底部に接続され、前記微粒体貯留部(10)から落下した微粒体に液体を加え凝集する凝集部(20)と、
前記凝集部(20)の下面に接続され、前記凝集部(20)において凝集された造粒物を落下させるガイド部(30)と、
前記ガイド部(30)が接続されており、前記ガイド部(30)を通って落下した前記造粒物を内部に貯留させる固形化部(40)と、
前記固形化部(40)の内部に往復移動可能に配置され、前記固形化部(40)の一方の端部から他方の端部にかけて移動することによって、前記造粒物を圧縮して固形化する圧縮部(50)と、
を備えることを要旨とする微粒体圧縮装置(1)である。
【0010】
このような微粒体圧縮装置(1)では、レーザ加工機やプラズマ加工機などで金属を熱切断したときに発生する大量の微粒体をそのまま圧縮せずに、微粒体に液体を加えて凝集し造粒物とすることで、圧縮対象物のサイズを大きくした後に圧縮する。
【0011】
このように液体による液化橋を利用して微粒体を凝集させ造粒物とすることで、微粒体が空気中に漂うことが防止できる。
また、微粒体をこのような造粒物とすることで、圧縮対象物のサイズを大きくすることができ、造粒物を圧縮する際に、装置の隙間などから微粒体が噴出し、空気中に漂うのを防止することができる。
【0012】
さらに、圧縮の際の微粒体が噴出しないように、固形化部(40)内部と圧縮部(50)の間のクリアランス精度を高める必要はなくなり、製造コストの低減、メンテナンスの簡易化を図れる。
【0013】
[適用例2]
適用例2に記載の微粒体圧縮装置(1)は、適用例1に記載の微粒体圧縮装置(1)において、
前記固形化部(40)は、接地面に対し略垂直に設置され、垂直方向下部に小径部(45)、垂直方向上部に大径部(46)を備え、
前記小径部の内径は、前記大径部の内径よりも小さく形成されており、
前記ガイド部(30)は、前記固形化部(40)において前記小径部(45)の側面に接続されていることを要旨とする。
【0014】
このような微粒体圧縮装置(1)では、固形化部(40)が接地面に対して略垂直に設置されており、ガイド部(30)を通って落下した造粒物は、固形化部(40)内部の下端に貯留されるので、圧縮部(50)は上下方向に移動し、上部から固形化部(40)下端に貯留された造粒物を圧縮し固形化する。
【0015】
また、固形化部(40)は、小径部(45)と大径部(46)とを備えており、垂直方向上部に位置する大径部(46)の内径が、垂直方向下部に位置する小径部(45)の内径よりも大きくなるように形成されている。
【0016】
これにより、圧縮部(50)が下端に移動して、造粒物を圧縮し、上端に移動した際に、圧縮部(50)に造粒物が付着したままであっても、重力により圧縮部(50)から離れ固形化部(40)下端に落ちるので、取り残しなく固形化することができる。
【0017】
[適用例3]
適用例3に記載の微粒体圧縮装置(1)は、適用例1又は適用例2に記載の微粒体圧縮装置(1)において、
前記固形化部(40)は、その一方の端部が開放された開放端部を備え、
前記開放端部を開閉する開閉部(42)と、
を備えることを要旨とする。
【0018】
このような微粒体圧縮装置(1)では、固形化部(40)の一方の端部が開放された開放部を備え、その開放部を開閉部(42)により開閉できるようにすることにより、圧縮され固形化されたものを容易に微粒体圧縮装置(1)から取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】微粒体圧縮装置の概略の構成を示すブロック図である。
【
図4】制御部において実行される圧縮処理の概略の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0021】
(微粒体圧縮装置の構成)
図1及び
図2に基づいて微粒体圧縮装置1の構成について説明する。
図1は、微粒体圧縮装置1の外観を示す概略図である。
図2は、微粒体圧縮装置1の概略の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1及び
図2に示すように、微粒体圧縮装置1は、微粒体貯留部10、凝集部20、ガイド部30、固形化部40、圧縮部50、制御部60及び架台70を備えている。
微粒体貯留部10は、レーザ加工機やプラズマ加工機などで金属を熱切断したときに発生したヒュームと呼ばれる微粒体を圧縮するために投入する部位であり、微粒体貯留部本体11、流量センサ12及び第1開閉部13を備えている。
【0023】
微粒体貯留部本体11は、集めた微粒体を貯留するホッパーであり、逆円錐型の漏斗形状に形成され、その上部及び底部は開放されている。
【0024】
流量センサ12は、微粒体貯留部本体11に貯留された微粒体が、その開放された底部から流れ出る量を計測するものであり、底部付近に備わっている。
【0025】
第1開閉部13は、解放された底部を開閉する機構を有しており、第1空気圧シリンダ14、図示しない第1開閉板及び図示しないガイドレールを備えている。
【0026】
微粒体貯留部本体11底部の開閉は、第1空気圧シリンダ14により、第1開閉板をガイドレールに沿って移動させることで開放部分を開閉するスライド開閉方式となっており、後述する制御部60からの指示を受け第1空気圧シリンダ14の駆動が制御される。
【0027】
凝集部20は、微粒体貯留部本体11から落下した一定量の微粒体を貯留し、予め設定された量の水を加え凝集させる部分であり、凝集部本体21、液体供給部22、回転部23及び第2開閉部26を備える。
【0028】
凝集部本体21は、円筒形状に形成され、その上端面には、第1開閉部13を介して微粒体貯留部本体11が接続されており、また微粒体貯留部本体11が接続された部位とは別の部位に液体供給部22が接続されている。
また下端面の一部が開放されており、その開放部分に、後述する第2開閉部26を介して、後述するガイド部30が接続されている。
【0029】
液体供給部22は、凝集部本体21に貯留された微粒体に予め設定された量の水を供給する部分であり、後述する制御部60により水の供給量が制御されている。
【0030】
回転部23は、凝集部本体21の内部に設置されており、回転体24と第1電動モータ25を備える。
【0031】
図3に基づいて、回転体24について説明する。
図3は、回転体の外観を示す概略図である。
図3に示すように回転体24は、第1回転体24aと第2回転体24bを備えており、それぞれ、凝集部本体21の円筒軸から径方向外側に延びる直方体の薄板形状に形成され、第1回転体24aと第2回転体24bが凝集部本体21の円筒軸を中心として、取付角が略180度となるように取り付けられている。
【0032】
第1回転体24aは、凝集部本体21の円筒軸方向の高さが、凝集部本体21内部の円筒軸方向の高さの約半分で、その円筒軸方向の高さ方向の下半分は複数の櫛歯が所定の間隔ごとに並ぶ櫛形状に形成されている。
【0033】
第2回転体24bは、凝集部本体21の円筒軸方向の高さが、第1回転体24aの高さの約半分となるように形成されており、第1回転体24aのように櫛形状には形成されていない。
回転体24は、第1回転体24aと第2回転体24bがお互いの位置関係を保ったまま、凝集部本体21の円筒軸を中心として回転する。
【0034】
第1電動モータ25は、第1回転体24aと第2回転体24bを、凝集部本体21の円筒軸を中心として回転させる。
【0035】
第1電動モータ25の駆動により回転体24が凝集部本体21内を凝集部本体21の円筒軸周りに回転することで、微粒体と水を凝集し、造粒物を生成する。
なお、回転体24の回転開始及び停止は、第1電動モータ25の駆動を後述する制御部60により制御することにより行う。
【0036】
第2開閉部26は、解放されたガイド部30との取付部を開閉する機構を有しており、第2空気圧シリンダ27、第2開閉板28、図示しないガイドレールを備えている。
【0037】
凝集部本体21下端面の開閉は、第2空気圧シリンダ27により、第2開閉板28をガイドレールに沿って移動させることで開放部分を開閉するスライド開閉方式となっており、後述する制御部60からの指示を受け第2空気圧シリンダ27の駆動が制御される。
【0038】
ガイド部30は、断面が四角形の筒状をしており、その筒状の内部を通って、凝集部本体21から落下する微粒体の造粒物を後述する固形化部本体41に導くように、上端部が凝集部本体21下面に、下端部が後述する固形化部本体41の側面に接続されている。
【0039】
固形化部40は、ガイド部30を通って落下してきた微粒体の造粒物を後述する圧縮部50により圧縮するために貯留する部分であり、固形化部本体41と第3開閉部42とを備える。
【0040】
固形化部本体41は、小径部45、大径部46及びテーパ部44を備え、全体として円筒形状に形成されており、その円筒軸が接地面に対して略垂直になるように設置されている。
【0041】
なお、小径部45は、接地面から固形化部本体41の全長下部約1/4部分を占め、大径部46は、全長上部約3/4部分を占めている。
また、小径部45と大径部46の間に小径部45の内径から大径部46の内径に向け内径が徐々に大きくなっているテーパ部44が設けられている。
ガイド部30は、固形化部本体41のうち、この小径部45の側面に接続されている。
【0042】
また、固形化部本体41の上端面は密封されているが、下端面は開放されており、その開放部分に第3開閉部42が備わっている。
第3開閉部42は、固形化部本体41下端の解放部を開閉する機構を有しており、図示しない第3空気圧シリンダ43、図示しない第3開閉板、図示しないガイドレールを備えている。
【0043】
固形化部本体41下端開放部の開閉は、第3空気圧シリンダ43により、第3開閉板をガイドレールに沿って移動させることで開放部分を開閉するスライド開閉方式となっており、後述する制御部60からの指示を受け第3空気圧シリンダの駆動が制御される。
【0044】
具体的には、微粒体の造粒物がガイド部30から落下し、後述するプレス部51により圧縮されている間は固形化部本体41下端開放部を閉じ、固形化された微粒体を取り出すときは第3開閉部42を開けることで、固形化した微粒体を取り出せるようになっている。
【0045】
圧縮部50は、固形化部本体41に貯留された微粒体の造粒物を圧縮する部分であり、プレス部51、第2電動モータ52、図示しないボールねじとガイドレール及びプレス部位置センサ53を備えている。
【0046】
プレス部51は、円筒形状に形成され、その外形は、固形化部本体41下部の内径よりも小さく、その長さは、プレス部51を固形化部本体41内面上端部に移動したときに、プレス部51の下端部がテーパ部44の上端付近となるように形成されている。
【0047】
プレス部51は、固形化部本体41内面の上端部から下端部まで上下方向に往復移動が可能なように配置され、固形化部本体41内面の上端部から下端部にかけて移動したときに、固形化部本体41内面下端部に貯留された造粒物を圧縮する。
プレス部51の上下移動は、第2電動モータ52の駆動力がボールねじを介して上下移動に変換されることで行われる。
【0048】
プレス部位置センサ53は、プレス部51下端の垂直方向の位置を計測するもので、リニアエンコーダを用いている。
【0049】
制御部60は、微粒体の凝集、圧縮を制御する部分であり、CPU61、ROM62、RAM63、I/O64及び外部記憶媒体65を備えている。制御部60における圧縮処理の具体的な処理内容については後述する。
【0050】
架台70は、微粒体貯留部10、凝集部20、ガイド部30、固形化部40及び制御部60を設置するものである。
【0051】
(制御部60における圧縮処理)
次に、
図4に基づいて、制御部60において実行される圧縮処理について説明する。
図4は、制御部60において実行される圧縮処理の概略の流れを示すフローチャートである。
【0052】
圧縮処理は、プログラムとして外部記憶媒体65に格納されており、使用者等による制御部60への実行開始指令によってCPU61に読み込まれて実行される。
図3に示すように、CPU61は、S100において第1開閉部制御処理を実施する。
第1開閉部制御処理では、第1開閉部13の第1空気圧シリンダ14を制御することで、微粒体貯留部本体11下端を開放し、微粒体貯留部本体11に貯留された微粒体を凝集部本体21に落下させる。
【0053】
続くS110では、S100において微粒体貯留部本体11下端が開放されたことにより落下する微粒体の流量の計測値を流量センサ12から取得し、予め設定された量の微粒体が微粒体貯留部本体11から凝集部本体21に落下したかを判定する。
【0054】
予め設定された量の微粒体が微粒体貯留部本体11から凝集部本体21に落下したと判定したときには(S110、Yes)、第1開閉部13の第1空気圧シリンダ14を制御し微粒体貯留部本体11下端を閉じ、処理をS130に移行する。
予め設定された量でないと判定した場合には(S110、No)、処理をS120に移行する。
【0055】
S120では、予め設定された時間(t1)が経過しているかを判定する。
予め設定された時間(t1)が経過していると判定したときは(S120、Yes)、第1開閉部13の第1空気圧シリンダ14を制御し、微粒体貯留部本体11下端を閉じて、処理をS130に移行する。
【0056】
予め設定された時間(t1)が経過していないと判定したときは(S120、No)、処理をS110に戻し、予め設定された量の微粒体が微粒体貯留部本体11から凝集部本体21に落下したのかの判定を継続する。
【0057】
S130では、凝集処理を実施する。凝集処理では、微粒体貯留部本体11から凝集部本体21に落下した一定量の微粒体に対し、液体供給部22を制御し、予め設定された量の水を供給する。
【0058】
その後、予め設定された時間(t2)、第1電動モータ25を制御することで第1回転体24aと第2回転体24bを回転させて微粒体と水を凝集させ造粒物を生成する。
予め設定された時間(t2)が経過後、処理をS140に移行する。
【0059】
続くS140では、第2開閉部制御処理を実施する。第2開閉部制御処理では、回転体24の回転を継続させたまま、第2開閉部26の第2空気圧シリンダ27を制御することで、凝集部本体21下端面の一部を開放し、S130の処理により生成された造粒物をガイド部30へ落下させる。
【0060】
その後、予め設定された時間(t3)経過後、第1電動モータ25を制御することで回転体24の回転を停止するとともに、第2開閉部26の第2空気圧シリンダ27を制御し、凝集部本体21下端面を閉じて、処理をS150に移行する。
【0061】
続くS150では、圧縮処理を実施する。圧縮処理では、S140の処理によりガイド部30へ落下され、ガイド部30を通って固形化部本体41に貯留された微粒体の造粒物を圧縮する。
【0062】
具体的には、S140の処理において第2開閉部26の第2空気圧シリンダ27に対し凝集部本体21下端面を閉じる指令を出したのち、予め設定された時間(t4)が経過した後、第2電動モータ52に駆動指示を出す。
【0063】
これにより、プレス部51を固形化部本体41の内面上端から下端に向けて移動させ、予め設定された圧縮力によって造粒物を圧縮することで、固形化部本体41内部の下端に貯留された微粒体の造粒物を圧縮、固形化する。
【0064】
その際、プレス部位置センサ53により計測されたプレス部51下端の位置を取得する。その後、プレス部51を固形化部本体41の内面上端に移動させ、処理をS160に移行する。
【0065】
続くS160では、S150の処理において、プレス部位置センサ53により計測されたプレス部51下端の位置が、予め設定された値以上であるのかを判定する。
プレス部51下端の位置が、予め設定された値以上であると判定したときは(S160、Yes)、処理をS170に移行する。
プレス部51下端の位置が、予め設定された値未満であると判定したときは(S160、No)、処理をS100に戻す。
【0066】
S170では、第3開閉部制御処理を実施する。第3開閉部制御処理では、第3開閉部42の第3空気圧シリンダ43を制御することにより開閉板を移動し、固形化部本体41下端の開放部を開放することで、固形化された微粒体を回収し易くする。
【0067】
なお、プレス部51による微粒体の造粒物の圧縮回数が、予め設定された回数となった場合には、造粒物の圧縮後、プレス部51を固形化部本体41の内面上端に移動した後、プレス部51をその場で細かく上下に動かすことで、プレス部51に付着した造粒物を振り落とす。
【0068】
(微粒体圧縮装置の特徴)
このような微粒体圧縮装置1では、レーザ加工機やプラズマ加工機などで金属を熱切断したときに大量に発生する微粒体に水を加えて凝集させ圧縮対象物の大きさを大きくした後に、圧縮して固形化する。
【0069】
つまり、微粒体のままでは微粒体が大気中に舞い上がってしまうが、このように水を加えて微粒体を凝集させ造粒物を生成することで、微粒体が水により凝集されるので、圧縮工程において微粒体が大気中に舞い上がることがなくなる。
【0070】
また、細かな微粒体に水を加えて凝集させ造粒物を生成することで、圧縮対象物の大きさが大きくなることから、微粒体圧縮装置1内の部品間のクリアランス、例えば、固形化部本体41の内周と、プレス部51の外周のクリアランスについては、微粒体が通らないほどクリアランスを小さく高精度に形成される必要はなく、ある程度ラフに形成することが可能となる。
【0071】
これにより、微粒体圧縮装置1の製造コストが低減され、また、メンテナンスも容易に行うことが可能となる。
なお、固形化部本体41におけるテーパ部44より下部の部分の内周とプレス部51の外周のクリアランス精度をラフにすることで、微粒体の造粒物を圧縮して固形化する際に、造粒物がプレス部51の側面に付着したままとなってしまう場合がある。
【0072】
このような場合でも、上記圧縮処理で説明したように、定期的にプレス部51を固形化部本体41の上部の内径が大きなところで、小さく上下移動させることでプレス部51に付着した造粒物がはがれ落ち、テーパ部44を伝って固形化部本体41の下部に集められるので取り残しなく圧縮、固形化することができる。
【0073】
[その他の実施形態]
(1)上記実施形態では、第2電動モータ52の駆動でボールねじを介してプレス部51を上下移動させているが、プレス部を往復直線移動させることができるものであれば構造について限定するものではなく、エアーシリンダや油圧シリンダなどを用いてもよい。
【0074】
(2)上記実施形態では、第1開閉部13、第2開閉部26及び第3開閉部42の開閉機構として、空気圧シリンダを利用したスライド式の開閉機構を使用しているが、空気圧シリンダの使用に限定されるものではなく、電動モータとボールねじを利用して開閉板をスライドさせる開閉機構としてもよい
【0075】
(3)上記実施形態では、第1開閉部13、第2開閉部26及び第3開閉部42の開閉機構として、空気圧シリンダを利用したスライド式の開閉機構を使用しているが、スライド式の開閉機構に限定されるものではなく、例えば、ヒンジを用いた開閉機構や絞り羽根により開口部の大きさを調整できるような開閉機構などを用いてもよい。
【0076】
(4)上記実施形態では、凝集部本体21において液体供給部22が微粒体に加える液体としては水を使用しているが、水以外にも固化材などを用いてもよい。
【0077】
(5)上記実施形態では、回転体24として、第1回転体24aと第2回転体24bを、凝集部本体21の円筒軸を中心として取付角が180度となるように取り付けられている。
【0078】
この凝集部本体21の円筒軸を中心とした第1回転体24aと第2回転体24bの取付角は180度に限定されるものではなく、任意の角度で取り付けてよい。
また、第2回転体24bを第1回転体24aと同じように櫛状に形成してもよい。
【0079】
さらに、回転体24は、第1回転体24a、第2回転体24bのように2枚に限定されるものではなく、1枚もしくは3枚以上の回転体から構成されてもよい。ただし、回転体24を一つの回転体で構成する場合には、その回転体は、櫛状に形成される必要がある。
【0080】
(6)上記実施形態では、ガイド部30は断面が四角形の筒状をしており、凝集部本体21から落下する微粒体の造粒物は、重力に従って、ガイド部30の内部を通って、固形化部本体41に落下させている。
【0081】
これに対し、ガイド部30を断面が円形状の筒状とし、その内部にガイド部30の長さとほぼ同等のスパイラルスクリューを取り付け、電動モータによりスパイラルスクリューを回転させることで、微粒体の造粒物を固形化部本体41に運ぶようにしてもよい。
これにより、微粒体の造粒物がガイド部30の内面に残留することなく、効率よく固形化部本体41に貯留させることができる。
【0082】
(7)上記実施形態では、固形化部本体41は接地面に対し略垂直に設置され、固形化部本体41の内部で、プレス部51が上下に移動することで微粒体の造粒物を圧縮しているが、固形化部本体41を接地面に対し略水平に設置し、プレス部51を左右に移動させることで微粒体の造粒物を圧縮してもよい。
【0083】
(8)上記実施形態では、凝集部20において、微粒体に水を加えて凝集させ、第2開閉部26を開けるタイミングは時間で制御されているが、画像センサなどを用いた画像処理により造粒物の形成状態を判定することで、微粒体に水を加えて凝集させる時間及び第2開閉部26を開けるタイミングを制御してもよい。
【0084】
(9)本微粒体圧縮装置1によって圧縮、固形化する微粒体は、必ずしもレーザ加工機やプラズマ加工機などで金属を熱切断したときに発生する微粒体に限定されるものではなく、ガス切断や、溶接などの他の作業によって発生する微粒体であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…微粒体圧縮装置、10…微粒体貯留部、11…微粒体貯留部本体、12…流量センサ、13…第1開閉部、14…第1空気圧シリンダ、20…凝集部、21…凝集部本体、22…液体供給部、23…回転部、24…回転体、24a…第1回転体、24b…第2回転体、25…第1電動モータ、26…第2開閉部、27…第2空気圧シリンダ、28…第2開閉板、30…ガイド部、40…固形化部、41…固形化部本体、42…第3開閉部、43…第3空気圧シリンダ、44…テーパ部、45…小径部、46…大径部、50…圧縮部、51…プレス部、52…第2電動モータ、53…プレス部位置センサ、60…制御部、61…CPU、62…ROM、63…RAM、64…I/O、65…外部記憶媒体、70…架台