(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095042
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B65D51/22 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212041
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB07
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB13
3E084DC03
3E084DC05
3E084EA01
3E084EA02
3E084EB02
3E084EB03
3E084EC03
3E084EC04
3E084FA02
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC08
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084LA17
3E084LA24
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】歩留まりを向上させた上で、開封作業の容易化を図ることができる注出キャップを提供する。
【解決手段】本発明に係る態様の注出キャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、注出口を開閉可能に配設された蓋部材と、蓋部材に連結されるとともに、注出口の内周面に接合された状態で注出口を閉塞し、蓋部材の開方向への移動に伴い蓋部材と一体で移動することで注出口の内周面から離脱する栓部材と、を備えている。キャップ本体及び栓部材は、種類の異なる樹脂材料で形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、
前記注出口を開閉可能に配設された蓋部材と、
前記蓋部材に連結されるとともに、前記注出口の内周面に接合された状態で前記注出口を閉塞し、前記蓋部材の開方向への移動に伴い前記蓋部材と一体で移動することで前記注出口の内周面から離脱する栓部材と、を備え、
前記キャップ本体及び前記栓部材は、種類の異なる樹脂材料で形成されている注出キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体及び前記栓部材それぞれは、非相溶性の樹脂材料により形成されている請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
前記蓋部材は、ヒンジ部回りに回動可能に前記キャップ本体に連結されている請求項1又は請求項2に記載の注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、注出口を開閉可能する蓋部材と、破断可能な薄肉部を介して注出口の内周面に一体に接続されるとともに、注出口を閉塞する栓部材と、を備えた注出キャップが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この種の注出キャップにおいて、栓部材は、蓋部材に連結されている。そのため、栓部材は、蓋部材の開操作に伴い薄肉部が破断されることで、蓋部材に連結された状態を維持したままキャップ本体から離脱するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術にあっては、キャップ本体と栓部材とが同種類の樹脂材料により一体に形成されているため、歩留まりを向上させた上で、開封作業の容易化を図る点で未だ開封の余地があった。すなわち、開封作業の容易化を図るためには、薄肉部の更なる薄型化を図ることが考えられる。すると、例えば成形時や栓部材と蓋部材との連結作業時等において、開封作業前に薄肉部が破損する可能性があった。
【0005】
本発明は、歩留まりを向上させた上で、開封作業の容易化を図ることができる注出キャップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る注出キャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、前記注出口を開閉可能に配設された蓋部材と、前記蓋部材に連結されるとともに、前記注出口の内周面に接合された状態で前記注出口を閉塞し、前記蓋部材の開方向への移動に伴い前記蓋部材と一体で移動することで前記注出口の内周面から離脱する栓部材と、を備え、前記キャップ本体及び前記栓部材は、種類の異なる樹脂材料で形成されている。
【0007】
本態様によれば、キャップ本体と栓部材とを種類の異なる樹脂材料で形成した上で、キャップ本体と栓部材とを接合させることで、キャップ本体と栓部材とを同種類の樹脂材料で形成した場合に比べ、栓部材の外周面と注出口の内周面との界面に作用する接合力を軽減できる。その上で、未開封状態における注出キャップに対して蓋部材の開封作業を行うことで、栓部材を簡単にキャップ本体から離脱させることができる。この場合、薄肉部を破断して開封作業を行う場合に比べ、開封時に必要な外力を薄肉部の厚さ等で調整する必要がない。したがって、歩留まりの向上を図った上で、開封作業の容易化を図ることができる。
【0008】
上記態様に係る注出キャップにおいて、前記キャップ本体及び前記栓部材それぞれは、非相溶性の樹脂材料により形成されていることが好ましい。
本態様によれば、栓部材の外周面と注出口の内周面とが平滑面同士で接合され易い。そのため、開封作業時において、栓部材の外周面を注出口の内周面から簡単に引き剥がすことができる。
【0009】
上記態様に係る注出キャップにおいて、前記蓋部材は、ヒンジ部回りに回動可能に前記キャップ本体に連結されていることが好ましい。
本態様によれば、ヒンジキャップのように、開封作業に比較的外力が必要な場合であっても、開封作業に必要な外力を軽減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、歩留まりを向上させた上で、開封作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る注出容器について、蓋部材が閉位置(未開封状態)にあるときを示す断面図である。
【
図2】キャップ本体及び栓部材を示す底面図である。
【
図3】第1実施形態に係る注出容器について、蓋部材が開位置にあるときを示す断面図である。
【
図4】第2実施形態に係る注出容器について、蓋部材が閉位置(未開封状態)にあるときを示す断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る注出容器について、蓋部材が開位置にあるときを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の注出容器1は、内容液が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部2aに着脱可能に取り付けられる有頂筒状の注出キャップ5と、を備えている。容器本体2及び注出キャップ5は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置している。以下、容器本体2及び注出キャップ5の中心軸をまとめて容器軸Oという。その上で、容器軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿う注出キャップ5側を上方、容器本体2側を下方とする。また、上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。さらに、径方向のうち、一方向を前後方向L1といい、前後方向L1に直交する方向を左右方向L2という。
【0013】
容器本体2は、口部2a、肩部2b、胴部2c及び底部(不図示)が上方から順に連なって形成されている。容器本体2内に収容される内容物としては、例えば液体食品や液体調味料等の流動性を有する内容物等を好適に利用することができる。また、内容物として、例えば塩や紛体食品調味料、小麦粉等の紛体状の内容物、肥料や除草剤等の粒体状等を用いることも可能である。
【0014】
注出キャップ5は、キャップ本体11と、蓋部材12と、栓部材13と、を備えている。
キャップ本体11は、内容物を注出する注出口11aを有する有頂筒状に形成されている。キャップ本体11は、装着筒21と、内フランジ部22と、蓋取付筒23と、シール筒24と、中栓25と、注出筒26と、を備えている。
【0015】
装着筒21は、容器軸Oと同軸に配置されている。装着筒21の内側には、口部2aが着脱可能に装着されている。
内フランジ部22は、装着筒21の上端開口縁から径方向の内側に張り出している。内フランジ部22は、口部2aの上方を通して口部2aよりも径方向の内側まで延びている。
蓋取付筒23は、内フランジ部22から上方に向けて突出している。蓋取付筒23は、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0016】
シール筒24は、内フランジ部22のうち蓋取付筒23よりも径方向の内側に位置する部分から下方に延びている。シール筒24は、容器軸Oと同軸に配置されている。シール筒24は、口部2aの内周面に密に嵌め込まれている。
中栓25は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。中栓25の周壁部25aは、内フランジ部22における径方向内側端部から上方に延びている。中栓25の天壁部25bは、周壁部25aの上端開口縁から径方向の内側に延びている。中栓25のうち天壁部25bの内周縁で囲まれた部分は、注出口11aを構成している。
【0017】
図2に示すように、注出口11aは、狭口部11a1と、広口部11a2と、接続部11a3と、を備えている。
狭口部11a1は、注出口11aの前部を構成している。狭口部11a1は、平面視において一の頂部が前方を向く三角形状に形成されている。すなわち、狭口部11a1は、後方に向かうに従い左右方向L2の幅が漸次拡大している。
広口部11a2は、注出口11aの後部を構成している。広口部11a2は、平面視において一の頂部が後方を向く三角形状に形成されている。すなわち、広口部11a2は、前方に向かうに従い左右方向L2の幅が漸次拡大している。広口部11a2における左右方向L2の最大幅は、狭口部11a1における左右方向L2の最大幅に比べて広くなっている。
接続部11a3は、狭口部11a1の後端部と、広口部11a2の前端部と、を接続している。接続部11a3は、後方に向かうに従い左右方向L2の幅が漸次拡大している。なお、注出口11aの平面視形状は、適宜変更が可能である。
【0018】
図1に示す断面視において、注出口11aの内周面は、上下方向に直線状に延びる平滑面に形成されている。但し、注出口11aの内周面は、下方に向かうに従い径方向の内側に延びるテーパ状や段差形状等であってもよい。
【0019】
注出筒26は、中栓25の天壁部25bから上方に向けて延びている。注出筒26は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに、注出口11aの周囲を取り囲んでいる。図示の例において、注出筒26の上端部は、上方に向かうに従い漸次拡径するテーパ状に形成されている。
【0020】
蓋部材12は、注出口11aを開閉可能に閉塞する。本実施形態において、キャップ本体11及び蓋部材12は、同種類の樹脂材料により一体に形成されている。蓋部材12は、蓋本体31と、閉塞筒32と、を備えている。
蓋本体31は、蓋周壁31a及び蓋天壁31bを有し、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。
【0021】
蓋周壁31aは、ヒンジ部29を介してキャップ本体11に回動可能に連結されている。具体的に、ヒンジ部29は、蓋周壁31aの下端縁のうち前後方向L1における一方側(以下、後方とする。)に位置する端部と、装着筒21の上端後縁部と、を連結している。これにより、蓋部材12は、左右方向L2に沿う軸線回りに回動可能に構成されている。蓋周壁31aの内側には、蓋部材12の開閉動作に応じて蓋取付筒23が着脱可能に嵌め込まれる。蓋周壁31aの下端縁のうち、前後方向L1における他方側(以下、前方とする。)に位置する部分には、前方に向けて突出する指掛け部31cが形成されている。
【0022】
蓋天壁31bは、蓋周壁31aの上端開口部を閉塞している。蓋天壁31bのうち容器軸Oよりも前方に位置する部分には、連結孔31dが形成されている。連結孔31dは、蓋天壁31bを上下方向に貫通している。蓋天壁31bのうち連結孔31dの周囲に位置する部分には、環状凹部31eが形成されている。環状凹部31eは、蓋天壁31bの上面で開口するとともに、連結孔31dの周囲を取り囲んでいる。蓋天壁31bのうち容器軸Oに対して後方に位置する部分には、支持突起31fが形成されている。支持突起31fは、蓋天壁31bから下方に延びている。
【0023】
閉塞筒32は、蓋天壁31bのうち連結孔31dや支持突起31fに対して径方向の外側に位置する部分から下方に延びている。閉塞筒32は、容器軸Oと同軸に配置されている。閉塞筒32は、蓋部材12が閉位置にあるとき、注出筒26の内周面に密に嵌まり込んでいる。
【0024】
栓部材13は、注出容器1の未開封状態において、蓋部材12に連結されるとともに、注出口11aの内周面に接合された状態で注出口11aを閉塞し、蓋部材12の開操作に伴い注出口11aの内周面から離脱する。栓部材13は、キャップ本体11及び蓋部材12と異なる種類の樹脂材料を、二色成形等することでキャップ本体11及び蓋部材12と一体に形成されている。このような組み合わせとして、栓部材13とキャップ本体11(及び蓋部材12)とのそれぞれが、非相溶性の樹脂材料であることが好ましい。非相溶性とは、種類の異なる樹脂材料同士が溶融状態にあっても、互いに混合しない性質(界面を有する性質)をいう。非相溶性の樹脂材料の組み合わせとして、例えばキャップ本体11がPET(ポリエチレンテレフタレート)により形成し、栓部材13がPE(ポリエチレン)により形成することが考えられる。但し、栓部材13とキャップ本体11とは、非相溶性の樹脂材料により形成されることに限られない。例えば、キャップ本体11をPP(ポリプロピレン)により形成し、栓部材13をPE(ポリエチレン)により形成してもよい。なお、本実施形態において、接合とは、機械的結合や化学的相互作用、物理的相互作用によって、直接的又は接着剤等を介して間接的に結合された状態をいう。また、キャップ本体11と栓部材13を比べた場合、栓部材13はキャップ本体11よりも柔らかい材質が好ましい。
【0025】
栓部材13は、栓本体13aと、支柱部13bと、連結部13cと、補強リブ13dと、突起部13eと、突条部13fと、を備えている。
栓本体13aは、注出口11aを閉塞する。栓本体13aは、平面視において注出口11aと同等の外形を呈する板状に形成されている。
【0026】
図2に示すように、栓本体13aは、幅狭部13a1と、幅広部13a2と、接続部13a3と、を備えている。
幅狭部13a1は、栓本体13aの前部を構成している。幅狭部13a1は、平面視において一の頂部が前方を向く三角形状に形成されている。すなわち、幅狭部13a1は、後方に向かうに従い左右方向L2の幅が漸次拡大している。
幅広部13a2は、栓本体13aの後部を構成している。幅広部13a2は、平面視において一の頂部が後方を向く三角形状に形成されている。すなわち、幅広部13a2は、前方に向かうに従い左右方向L2の幅が漸次拡大している。幅広部13a2における左右方向L2の最大幅は、幅狭部13a1における左右方向L2の最大幅に比べて広くなっている。
接続部13a3は、幅狭部13a1の後端部と幅広部13a2の前端部とを接続している。接続部13a3は、後方に向かうに従い左右方向L2の幅が漸次拡大している。
【0027】
図1に示すように、栓本体13aの外周面は、注出口11aの内周面に倣って上下方向に直線状に延びる平滑面に形成されている。その上で、栓本体13aの外周面は、注出口11aの内周面のうち径方向で向かい合う部分に平滑面同士が突き合わされた状態で接合されている。本実施形態において、栓本体13aの外周面は、注出口11aの内周面に全周に亘って疑似接着されている。疑似接着とは、未開封状態において栓本体13aの外周面と注出口11aの内周面とが二色成形等によって互いに接合された状態を維持し、後述する開封作業時において栓本体13aの外周面と注出口11aの内周面との界面に作用するせん断力によって栓本体13aの外周面が注出口11aの内周面から離脱した後は再接着されない状態を意味する。なお、栓本体13aの外周面は、注出口11aの内周面に倣う形状であれば、下方に向かうに従い径方向の内側に延びるテーパ状や段差形状等であってもよい。
【0028】
栓本体13aにおける上下方向の寸法は、全体に亘って一様に形成されている。図示の例において、栓本体13aにおける上下方向の寸法は、注出口11aにおける上下方向の寸法と同等になっている。その上で、栓本体13aの外周面のうち、上下方向の全域が注出口11aの内周面に接合されている。但し、栓本体13aの外周面は、注出口11aの内周面全周に亘って接合されていれば、注出口11aの内周面に対して一部が上下方向にずれていてもよい。
【0029】
支柱部13bは、栓本体13aのうち、容器軸Oよりも前方に位置する部分から上方に向けて突出している。支柱部13bの上端面は、連結孔31dの開口縁に連結孔31dの下方から近接又は当接している。なお、支柱部13bには、下方に向けて開口する肉抜き部が形成されている。
【0030】
連結部13cは、栓部材13と蓋部材12とを連結するものである。連結部13cは、突出部13c1と、係止部13c2と、を備えている。
突出部13c1は、支柱部13bから上方に突出している。突出部13c1は、溶融等による抜け止め加工によって、連結孔31d内に嵌め込まれている。
係止部13c2は、突出部13c1の上端部から外側に張り出している。係止部13c2は、環状凹部31e内に環状凹部31eの内面に上方から係止されている。これにより、栓部材13は、蓋部材12に対する上下方向の位置ずれが規制された状態で、蓋部材12に連結されている。
なお、連結部13cの係合方法は、溶着や凹凸による嵌合等、どのような形態であってもよい。
【0031】
補強リブ13dは、支柱部13bと栓本体13aとの間に配置されて、支柱部13bを後方から補強する。補強リブ13dは、支柱部13bから後方に突出するとともに、上下方向に延びている。具体的に、補強リブ13dは、側面視において、後端縁が上方から下方に向かうに従い後方に延びる三角形状に形成されている。補強リブ13dの下端縁は、栓本体13aに一体に連なっている。
【0032】
突起部13eは、栓本体13aのうち容器軸Oよりも後方に位置する部分から上方に突出している。突起部13eの上端部は、支持突起31fの下端部に対して上下方向で近接又は当接している。
【0033】
突条部13fは、栓本体13aのうち支柱部13bに対して後方に位置する部分から下方に突出している。突条部13fは、左右方向L2に間隔をあけた状態で一対配置されている。各突条部13fは、前後方向L1に互いに平行に延びている。
【0034】
次に、上述した注出容器1の作用として、注出容器1の開封方法及び内容物の注出方法について主に説明する。以下の説明では、注出容器1の未開封状態を初期状態として説明する。未開封状態とは、流通段階や陳列段階等において、栓本体13aの外周面が注出口11aの内周面に接合された状態である。これにより、容器本体2内を密封して、内容物の漏出が抑制されている。
【0035】
未開封状態の注出容器1を開封するには、指掛け部31cを介して蓋部材12を引き上げる。すると、蓋部材12は、ヒンジ部29回りの上方(開方向)に回動する。この際、蓋部材12には、連結部13cを介して栓部材13が連結されている。そのため、蓋部材12の開方向への移動に伴い、栓部材13が蓋部材12と一体となって引き上げられる。これにより、
図3に示すように、栓本体13aの外周面と注出口11aの内周面との界面にせん断力が作用することで、栓本体13aの外周面が注出口11aの内周面から引き剥がされる。具体的に、蓋部材12の開方向への移動により、栓本体13aは前方(幅狭部13a1側)から後方(幅広部13a2側)にかけて徐々に注出口11aの内周面から引き剥がされる。そして、蓋部材12が開位置に移動した段階で、栓本体13aの全体が注出口11aの内周面から離脱するとともに、注出口11aの全体が開放される。
以上により、開封作業が終了する。なお、開封作業後、栓部材13は、連結部13cを介して蓋部材12に連結された状態を維持する。すなわち、本実施形態の注出容器1では、キャップ本体11と蓋部材12の双方に接続されていた栓部材13を、蓋部材12の開操作に伴い、蓋部材12との連結状態を維持したまま、キャップ本体11から離脱させる。
【0036】
開封後の注出容器1において、内容物を注出するには、蓋部材12を開位置に維持したまま、注出容器1の上端部を前方に向けて傾ける。これにより、容器本体2内の内容物が、注出口11a及び注出筒26を通じて外部に注出される。
【0037】
内容物の注出後、蓋部材12を閉位置に戻すには、指掛け部31c等を介して蓋部材12を前方に向けて押し込む。すると、蓋部材12は、ヒンジ部29回りの下方(閉方向)に回動する。すると、閉塞筒32が注出筒26内に嵌まり込むとともに、蓋周壁31a内に蓋取付筒23が嵌まり込む。これにより、蓋部材12が閉位置となる。蓋部材12の閉方向への移動に伴い、栓本体13aが注出口11a内に進入する。この際、栓本体13aは、未開封状態において疑似接着によって注出口11aの内周面に接合されていたので、一旦開封作業が行われた後は栓本体13aの外周面と注出口11aの内周面とが接合することはない。すなわち、閉位置では、栓本体13aの外周面と注出口11aの内周面とが近接又は当接した状態で、注出口11aが閉塞される。
【0038】
このように、本実施形態の注出キャップ5において、キャップ本体11及び栓部材13が種類の異なる樹脂材料で形成されている構成とした。
この構成によれば、キャップ本体11と栓部材13とを種類の異なる樹脂材料で形成した上で、キャップ本体11と栓部材13とを接合させることで、キャップ本体11と栓部材13とを同種類の樹脂材料で形成した場合に比べ、栓本体13aの外周面と注出口11aの内周面との界面に作用する接合力を軽減できる。その上で、未開封状態における注出キャップ5に対して蓋部材12の開封作業を行うことで、栓部材13を簡単にキャップ本体11から離脱させることができる。この場合、薄肉部を破断して開封作業を行う場合に比べ、開封時に必要な外力を薄肉部の厚さ等で調整する必要がない。したがって、歩留まりの向上を図った上で、開封作業の容易化を図ることができる。
【0039】
本実施形態の注出キャップ5において、キャップ本体11及び栓部材13それぞれは、非相溶性の樹脂材料により形成されている構成とした。
この構成によれば、例えば二色成形等によってキャップ本体11及び栓部材13を一体に形成する場合に、栓本体13aの外周面と注出口11aの内周面とが平滑面同士で接合され易い。そのため、開封作業時において、栓本体13aの外周面を注出口11aの内周面から簡単に引き剥がすことができる。
【0040】
本実施形態の注出キャップ5において、蓋部材12はヒンジ部29回りに回動可能にキャップ本体11に連結された構成とした。
この構成によれば、本実施形態のヒンジキャップのように、開封作業に比較的外力が必要な場合であっても、開封作業に必要な外力を軽減することができる。
【0041】
しかも、本実施形態では、栓本体13aから下方に突出する突条部13fが形成されているため、栓本体13aの剛性を確保し易い。そのため、開封作業時において栓本体13aの外周面と注出口11aの内周面との界面(特に栓本体13aの前端縁)に効果的にせん断力を作用させることができる。その結果、開封作業の容易化を図ることができる。また、栓本体13aの下面に付着した内容物(例えば、液体等)が突条部13fを伝って容器本体2内に滴下し易くなる。そのため、栓本体13aの下面に付着した内容物が周囲に飛散したり、乾燥したりすることを抑制できる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態では、注出キャップ100にネジキャップを採用した点で第1実施形態と相違している。
図4に示す注出容器1において、注出キャップ100は、キャップ本体101と、蓋部材102と、栓部材103と、を備えている。
【0043】
キャップ本体101は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。キャップ本体101は、容器装着筒110と、第1フランジ部111と、シール筒112と、蓋取付筒113と、第2フランジ部114と、注出筒115と、を備えている。
【0044】
容器装着筒110は、容器軸Oと同軸に配置されている。容器装着筒110の内側には、口部2aが着脱可能に装着されている。
第1フランジ部111は、容器装着筒110の上端開口縁から径方向の内側に張り出している。第1フランジ部111は、口部2aの上方を通して口部2aよりも径方向の内側まで延びている。第1フランジ部111には、ストッパ111aが形成されている。ストッパ111aは、第1フランジ部111から上方に向けて突出するとともに、周方向に延びている。ストッパ111aは、周方向の一方側に向かうに従い、第1フランジ部111からの突出量が漸次増加している。図示の例において、ストッパ111aは、周方向に間隔をあけて複数(例えば、2つ)形成されている。
【0045】
シール筒112は、第1フランジ部111における径方向の内側端部から下方に延びている。シール筒112は、口部2aの内周面に密に嵌め込まれている。
【0046】
蓋取付筒113は、第1フランジ部111における径方向の内側端部から上方に延びている。蓋取付筒113の外周面には、雄ねじ部が形成されている。なお、蓋取付筒113には、補強リブ113aが形成されている。補強リブ113aは、蓋取付筒113から径方向の内側に突出するとともに、上下方向に延びている。補強リブ113aの上端縁は、第2フランジ部114に連なっている。図示の例において、補強リブ113aは、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0047】
第2フランジ部114は、蓋取付筒113の上端開口縁から径方向の内側に向けて延びている。第2フランジ部114は、内周部分が外周部分よりも上方に位置する段差形状に形成されている。第2フランジ部114のうち内周部分と外周部分の境界部には、音出し突部114aが形成されている。音出し突部114aは、第2フランジ部114の外周部分から上方に突出するとともに、第2フランジ部114の内周部分に連なっている。本実施形態において、音出し突部114aは、周方向に間隔をあけて複数(例えば、2つ)形成されている。
【0048】
注出筒115は、第2フランジ部114の内周縁全周に亘って連なっている。注出筒115は、容器軸Oと同軸に配置されている。注出筒115は、第2フランジ部114を上下方向に貫いている。注出筒115の下端開口部は、容器本体2内に連通する注出口115aを構成している。なお、本実施形態において、注出口115aの平面視形状は、容器軸Oを中心とする円形状である。
【0049】
蓋部材102は、注出口115aを開閉可能に閉塞する。蓋部材102は、蓋本体121と、装着筒122と、連結筒123と、を備えている。
蓋本体121は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。蓋本体121の周壁部121aは、蓋部材102が閉位置にあるとき、容器装着筒110の上部を径方向の外側から取り囲んでいる。
【0050】
蓋本体121の天壁部121bは、周壁部121aの上端開口部を閉塞している。天壁部121bには、音出し片124が形成されている。音出し片124は、天壁部121bから下方に向けて延びている。音出し片124は、下方に向かうに従い周方向の幅が漸次縮小している。音出し片124は、周方向に弾性変形可能に構成されている。音出し片124の先端部(下端部)は、蓋部材102の開閉動作時に音出し突部114aを乗り越え可能に構成されている。すなわち、注出キャップ100では、蓋部材102の開閉動作時において、音出し片124が弾性変形しながら音出し突部114aを乗り越え、その後復元する際の振動により音が発生する。
【0051】
装着筒122は、天壁部121bの外周部分(音出し片124よりも径方向の外側に位置する部分)から下方に延びている。装着筒122は、容器軸Oと同軸に配置されている。装着筒122の下端部には、雌ねじ部が形成されている。装着筒122は、蓋取付筒113に対して螺着によって着脱可能に構成されている。装着筒122には、装着筒122の下端面上で開口する切欠き部122aが形成されている。蓋部材102は、閉位置において、切欠き部122aの内面にストッパ111aが周方向の他方側から当接することで、キャップ本体101に対する周方向の他方側への回転が規制される。
【0052】
連結筒123は、天壁部121bのうち装着筒122に対して径方向の内側に位置する部分から下方に延びている。連結筒123は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに、下方に位置するものほど外径が小さい多段筒状に形成されている。具体的に、連結筒123は、大径部123aと、テーパ部123bと、小径部123cと、を備えている。
【0053】
大径部123aは、蓋部材102が閉位置にあるとき、注出筒115内に嵌まり込んでいる。大径部123aには、複数の内歯123a1が形成されている。内歯123a1は、大径部123aから径方向の内側に突出するとともに、上下方向に延びている。各内歯123a1は、周方向に間隔をあけて形成されている。
テーパ部123bは、大径部123aから下方に延びている。テーパ部123bは、下方に向かうに従い外径が漸次縮小している。
小径部123cは、テーパ部123bから下方に延びている。小径部123cの下端部には、径方向の内側に向けて突出する係合爪123c1が形成されている。
【0054】
栓部材103は、注出キャップ100の未開封状態において、蓋部材102に連結されるとともに、注出口115aの内周面に接合された状態で注出口115aを閉塞し、蓋部材102の開操作に伴い注出口115aの内周面から離脱する。本実施形態において、栓部材103は、キャップ本体101と異なる樹脂材料を、二色成形等することによってキャップ本体101と一体に形成されている。キャップ本体101と栓部材103との組み合わせは、第1実施形態と同様の組み合わせを採用することが可能である。
【0055】
栓部材103は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。栓部材103は、頂壁部103aと、噛合筒103bと、係合筒103cと、張出部103dと、を備えている。
頂壁部103aは、天壁部121bのうち連結筒123の内側に位置する部分に、天壁部121bの下方から近接又は当接している。
【0056】
噛合筒103bは、頂壁部103aの外周縁から下方に延びている。噛合筒103bの周囲は、大径部123aに取り囲まれている。噛合筒103bには、径方向の外側に向けて突出する複数の外歯103b1が形成されている。外歯103b1は、径方向の外側に突出するとともに、上下方向に延びている。各外歯103b1は、周方向に間隔をあけて形成されている。外歯103b1は、隣り合う内歯123a1同士の間に進入することで、内歯123a1に対して周方向に係合している。これにより、蓋部材102と栓部材103との周方向への相対回転が規制されている。なお、蓋部材102と栓部材103との相対回転を規制する構成であれば、蓋部材102と栓部材103との連結方法は、内歯123a1と外歯103b1によるラチェット機構としてもよい。
【0057】
係合筒103cは、噛合筒103bから下方に延びている。係合筒103cの外径は、噛合筒103bの外径よりも大きい。係合筒103cには、径方向の内側に向けて窪む係合凹部103c1が形成されている。係合凹部103c1の内面には、係合爪123c1が下方から係合されている。これにより、蓋部材102に対する栓部材103の下方移動が規制されている。なお、係合爪123c1及び係合凹部103c1は、周方向の全周に亘って連続的に形成されていてもよく、周方向に間欠的に形成されていてもよい。また、係合爪123c1は、係合筒103cの外面に形成された突部に係合していてもよい。
【0058】
張出部103dは、係合筒103cの下端開口縁から径方向の外側に向けて張り出している。平面視において、張出部103dの外形は、注出口115aの内周面と同等になっている。張出部103dの外周面は、注出口115aの内周面のうち径方向で向かい合う部分に全周に亘って疑似接着されている。
【0059】
本実施形態の注出容器1において、注出キャップ100の開封作業を行うには、キャップ本体101に対して蓋部材102を緩み方向(開方向)に回転させる。すると、蓋部材102の回転に伴い、蓋部材102がキャップ本体101に対して上方(開方向)に移動する。この際、栓部材103は、蓋部材102と一体となって回転しながら上昇する。これにより、
図5に示すように、張出部103dの外周面と注出口115aの内周面との界面にせん断力が作用することで、張出部103dの外周面が注出口115aの内周面から引き剥がされる。そして、蓋部材102がキャップ本体101から取り外された段階(開位置に移動した段階)で、栓部材103も注出口115aから離脱する。その結果、注出口115aの全体が開放される。
【0060】
なお、注出キャップ100の開封後、蓋部材102を再びキャップ本体101に装着するには、キャップ本体101に対して蓋部材102を締付方向(閉方向)に回転させる。すると、蓋部材102の回転に伴い、蓋部材102がキャップ本体101に対して下方(閉方向)に移動する。この際、栓部材103は、蓋部材102と一体となって回転しながら下降する。これにより、蓋部材102が閉位置に復帰した状態において、栓部材103(張出部103d)は注出口115a内に嵌め込まれる。すなわち、閉位置では、張出部103dの外周面と注出口115aの内周面とが近接又は当接した状態で、注出口115aが閉塞される。
【0061】
本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、キャップ本体と栓部材とが二色成形によって一体に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。キャップ本体と栓部材とは、接着剤等を用いて接合されていてもよく、例えば栓部材をインサート品としたインサート成形により形成されていてもよい。
上述した実施形態では、栓部材の外周面と注出口の内周面とが平滑面同士で接合された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、栓部材の外周面と注出口の内周面とを凹凸面に形成し、凹凸面同士を接合してもよい。
【0063】
例えば第1実施形態では、栓本体13aや天壁部25bの厚さと、栓本体13aと注出口11aの内周面との接合部分の厚さと、を一様に形成した場合について説明したが、この構成に限られない。栓本体13aと注出口11aの内周面との接合部分を破断可能な薄肉部に形成してもよい。このような場合であっても、本実施形態では、開封作業に必要な外力を軽減することができるため、栓部材とキャップ本体とを同一材料に形成する場合に比べて薄肉部の厚さを増加させたとしても、開封作業が容易になる。そのため、歩留まりの向上を図ることができる。
【0064】
上述した第1実施形態では、蓋天壁31bに設けられた連結孔31dを介して栓部材13が蓋部材12に連結された構成について説明したが、この構成に限られない。蓋部材12と栓部材13とが連結孔31dを用いずに連結される構成であれば、連結孔31dを設けない構成としてもよい。
上述した第1実施形態では、栓部材13に設けられた支柱部13bを介して栓本体13aと蓋天壁31bとを連結させる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば蓋天壁31bから下方に延びる係合部等を介して栓本体13aと蓋部材12とを連結させる場合は、栓部材13に支柱部13bを設けない構成としてもよい。
【0065】
また、蓋部材12と栓部材13とが連結される構成であれば、栓部材13は蓋天壁31b以外の箇所に連結されていてもよい。さらに、上述した実施形態では、蓋部材と栓部材とが直接連結される構成について説明したが、この構成に限られない。栓部材は、例えば中間部材を介して間接的に蓋部材に連結されていてもよい。
上述した実施形態では、蓋部材と栓部材とが異なる材料で形成された構成について説明したが、この構成に限られない。栓部材は、少なくともキャップ本体と異なる材料で形成されていれば、蓋部材と同じ材料で形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
2:容器本体
2a:口部
5:注出キャップ
11:キャップ本体
11a:注出口
12:蓋部材
13:栓部材
29:ヒンジ部
100:注出キャップ
101:キャップ本体
102:蓋部材
103:栓部材
115a:注出口