(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095043
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】絶対角度位置検出方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
G01D5/20 110Q
G01D5/20 110F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212043
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】牛草 遼平
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA24
2F077AA28
2F077AA30
2F077CC02
2F077CC07
2F077CC08
2F077FF34
2F077PP26
2F077QQ03
2F077QQ15
2F077QQ17
2F077TT38
2F077TT81
2F077TT82
2F077TT83
(57)【要約】
【課題】2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバに対応した多回転検出により絶対角度検出を実現すると共に、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得る。
【解決手段】絶対角度位置検出装置100は、信号処理部101と切替部120とを備え、2相励磁2相出力のレゾルバ1A、2相励磁1相出力のレゾルバ1B、及び2相励磁1相出力のレゾルバ1Cに対して、切替部120により、通電時にはレゾルバ方式に合致した1相または2相のAC励磁信号を供給し、停電時には1相のパルス励磁信号を供給する。これにより、三方式のレゾルバに対応し、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2相励磁2相出力、2相励磁1相出力、及び2相励磁1相出力のいずれかの方式のレゾルバにより回転検出する絶対角度位置検出方法であって、
2相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、切替部(120)を2相励磁2相出力通電状態に切り替え、2相AC励磁信号を前記レゾルバに供給して2相レゾルバ信号を生成し、前記2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、前記1回転データ及び前記通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
2相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、前記切替部(120)を2相励磁2相出力停電状態に切り替え、1相のパルス励磁信号を前記レゾルバの励磁巻線の少なくとも一方に供給して2相レゾルバ信号を生成し、前記2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、前記停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
1相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、前記切替部(120)を1相励磁2相出力通電状態に切り替え、前記レゾルバに2相AC励磁信号の一方を供給して2相レゾルバ信号を生成し、前記2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、前記1回転データ及び前記通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
1相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、前記切替部(120)を1相励磁2相出力停電状態に切り替え、前記レゾルバに前記1相のパルス励磁信号を供給して2相レゾルバ信号を生成し、前記2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、前記停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
2相励磁1相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、前記切替部(120)を2相励磁1相出力通電状態に切り替え、前記レゾルバに2相AC励磁信号を供給して1相レゾルバ信号を生成し、前記1相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、前記1回転データ及び前記通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
2相励磁1相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、前記切替部(120)を2相励磁1相出力停電状態に切り替え、前記1相のパルス励磁信号を前記レゾルバの検出巻線に供給して2相レゾルバ信号を生成して2相の励磁巻線から出力し、前記2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、前記停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する、
絶対角度位置検出方法。
【請求項2】
信号処理部(101)と切替部(120)とを備え、2相励磁2相出力、2相励磁1相出力、及び2相励磁1相出力のいずれかの方式のレゾルバにより回転検出する絶対角度位置検出装置であって、
前記切替部(120)は、2相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、2相励磁2相出力通電状態に切り替わり、
前記信号処理部(101)は、前記切替部(120)経由で2相AC励磁信号を前記レゾルバに供給し、前記レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を前記切替部(120)経由で受け取り、前記2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、前記1回転データ及び前記通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
前記切替部(120)は、2相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、2相励磁2相出力停電状態に切り替わり、
前記信号処理部(101)は、前記切替部(120)経由で1相のパルス励磁信号を前記レゾルバの励磁巻線の少なくとも一方に供給し、前記レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を前記切替部(120)経由で受け取り、前記2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、前記停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
前記切替部(120)は、1相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、1相励磁2相出力通電状態に切り替わり、
前記信号処理部(101)は、前記切替部(120)経由で2相AC励磁信号の一方を前記レゾルバの励磁巻線に供給し、前記レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を前記切替部(120)経由で受け取り、前記2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、前記1回転データ及び前記通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
前記切替部(120)は、1相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、1相励磁2相出力停電状態に切り替わり、
前記信号処理部(101)は、前記切替部(120)経由で1相のパルス励磁信号を前記レゾルバに供給し、前記レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を前記切替部(120)経由で受け取り、前記2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、前記停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
前記切替部(120)は、2相励磁1相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、2相励磁1相出力通電状態に切り替わり、
前記信号処理部(101)は、前記切替部(120)経由で2相AC励磁信号を前記レゾルバに供給し、前記レゾルバで生成された1相レゾルバ信号を前記切替部(120)経由で受け取り、前記1相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、前記1回転データ及び前記通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、
前記切替部(120)は、2相励磁1相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、2相励磁1相出力停電状態に切り替わり、
前記信号処理部(101)は、前記切替部(120)経由で1相のパルス励磁信号を前記レゾルバの検出巻線に供給し、前記レゾルバで生成されて励磁巻線から出力される2相レゾルバ信号を前記切替部(120)経由で受け取り、前記2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、前記停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する、
絶対角度位置検出装置。
【請求項3】
電源状態とレゾルバの方式を監視する監視部(110)を更に備え、
前記監視部(110)は、前記レゾルバがいずれの方式であるか、及び前記電源状態が通電時であるか停電時であるかにより、前記切替部(120)の接続を切り替える、
請求項2に記載の絶対角度位置検出装置。
【請求項4】
前記信号処理部(101)は、
通電時に通電動作用電源の供給を受け、通電時に処理を実行する第1信号処理部(130)と、
通電時に通電動作用電源の供給を受けて処理を実行すると共に、停電時にバックアップ電源の供給を受けて処理を実行する第2信号処理部(140)と、
を有する請求項2に記載の絶対角度位置検出装置。
【請求項5】
前記第1信号処理部(130)は、前記2相AC励磁信号を生成するAC励磁部(132)を備え、
前記第2信号処理部(140)は、前記1相のパルス励磁信号を生成するパルス励磁部(141)を備える、
請求項4に記載の絶対角度位置検出装置。
【請求項6】
前記信号処理部(101)は、演算部(150)を更に備え、
前記演算部(150)は、通電時において、前記1回転データ及び前記通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、停電時において、前記停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する、
請求項2に記載の絶対角度位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶対角度位置検出方法及び装置に関し、特に、2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバに対応し、通電時及び停電時共に連続して多回転カウントデータを検出するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
レゾルバを用いた絶対角度位置検出方法及び装置において、通電時はAC励磁信号による励磁を行い、停電時は電池バックアップによるパルス励磁信号により励磁を行うことが提案されている。従来、用いられていたこの種の絶対角度位置検出方法及び装置としては、例えば、特許文献1に示される構成を挙げることができる。
【0003】
ここで、特許文献1に記載された絶対角度位置検出装置は、1相励磁2相出力のレゾルバを使用しており、通電時には、レゾルバを1相AC励磁すると共に、レゾルバ/デジタル変換部からの1回転データと、回転数カウント部からの通電時多回転カウントデータとを演算回路にて演算し、多回転位置を示す絶対角度位置検出信号を生成する。
一方、停電時において、絶対角度位置検出装置は、レゾルバを1相パルス励磁すると共に、通電時と共通の回転数カウント部を用いて、停電時多回転カウントデータを生成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の特許文献1記載の絶対位置検出装置は、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることができるものの、1相励磁2相出力のレゾルバにしか対応していない問題がある。ここで、1相励磁2相出力のレゾルバは、2相の出力信号の振幅のアンバランスがそのまま誤差になる。このため、1相励磁2相出力のレゾルバを用いた場合、高精度な絶対角度検出を実現することは難しいという課題があった。
このため、2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバに対応した多回転検出による絶対角度検出を実現すると共に、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることが望まれていた。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために、2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバに対応した多回転検出による絶対角度検出を実現し、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることが可能な絶対角度位置検出方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る絶対角度位置検出方法は、2相励磁2相出力、2相励磁1相出力、及び2相励磁1相出力のいずれかの方式のレゾルバにより回転検出する絶対角度位置検出方法であって、2相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、切替部を2相励磁2相出力通電状態に切り替え、2相AC励磁信号をレゾルバに供給して2相レゾルバ信号を生成し、2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、2相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、切替部を2相励磁2相出力停電状態に切り替え、1相のパルス励磁信号をレゾルバの励磁巻線の少なくとも一方に供給して2相レゾルバ信号を生成し、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、1相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、切替部を1相励磁2相出力通電状態に切り替え、レゾルバに2相AC励磁信号の一方を供給して2相レゾルバ信号を生成し、2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、1相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、切替部を1相励磁2相出力停電状態に切り替え、レゾルバに1相のパルス励磁信号を供給して2相レゾルバ信号を生成し、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、2相励磁1相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、切替部を2相励磁1相出力通電状態に切り替え、レゾルバに2相AC励磁信号を供給して1相レゾルバ信号を生成し、1相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、2相励磁1相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、切替部を2相励磁1相出力停電状態に切り替え、1相のパルス励磁信号をレゾルバの検出巻線に供給して2相レゾルバ信号を生成して2相の励磁巻線から出力し、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
【0008】
この発明に係る絶対角度位置検出装置は、信号処理部と切替部とを備え、2相励磁2相出力、2相励磁1相出力、及び2相励磁1相出力のいずれかの方式のレゾルバにより回転検出する絶対角度位置検出装置であって、切替部は、2相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、2相励磁2相出力通電状態に切り替わり、信号処理部は、切替部経由で2相AC励磁信号をレゾルバに供給し、レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を切替部経由で受け取り、2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、切替部は、2相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、2相励磁2相出力停電状態に切り替わり、信号処理部は、切替部経由で1相のパルス励磁信号をレゾルバの励磁巻線の少なくとも一方に供給し、レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を切替部経由で受け取り、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、切替部は、1相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、1相励磁2相出力通電状態に切り替わり、信号処理部は、切替部経由で2相AC励磁信号の一方をレゾルバの励磁巻線に供給し、レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を切替部経由で受け取り、2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、切替部は、1相励磁2相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、1相励磁2相出力停電状態に切り替わり、信号処理部は、切替部経由で1相のパルス励磁信号をレゾルバに供給し、レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を切替部経由で受け取り、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、切替部は、2相励磁1相出力のレゾルバにより回転検出する際の通電時に、2相励磁1相出力通電状態に切り替わり、信号処理部は、切替部経由で2相AC励磁信号をレゾルバに供給し、レゾルバで生成された1相レゾルバ信号を切替部経由で受け取り、1相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、切替部は、2相励磁1相出力のレゾルバにより回転検出する際の停電時に、2相励磁1相出力停電状態に切り替わり、信号処理部は、切替部経由で1相のパルス励磁信号をレゾルバの検出巻線に供給し、レゾルバで生成されて励磁巻線から出力される2相レゾルバ信号を切替部経由で受け取り、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
【0009】
この発明において、電源状態とレゾルバの方式を監視する監視部を更に備え、監視部は、レゾルバがいずれの方式であるか、及び電源状態が通電時であるか停電時であるかにより、切替部の接続を切り替える。
【0010】
この発明において、信号処理部は、通電時に通電動作用電源の供給を受け、通電時に処理を実行する第1信号処理部と、通電時に通電動作用電源の供給を受けて処理を実行すると共に、停電時にバックアップ電源の供給を受けて処理を実行する第2信号処理部と、を有する。
【0011】
この発明において、第1信号処理部は、2相AC励磁信号を生成するAC励磁部を備え、第2信号処理部は、1相のパルス励磁信号を生成するパルス励磁部を備える。
【0012】
この発明において、信号処理部は、演算部を更に備え、演算部は、通電時において、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、停電時において、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバに対応した多回転検出により絶対角度検出を実現すると共に、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態1の絶対角度位置検出装置の構成を示す構成図である。
【
図2】実施の形態1の絶対角度位置検出装置における各方式のレゾルバとの接続状態の切り替えの様子を一覧形式で示す説明図である。
【
図3】実施の形態1の絶対角度位置検出装置における2相励磁2相出力のレゾルバとの通電時の2相励磁2相出力通電状態の接続を示す構成図である。
【
図4】実施の形態1の絶対角度位置検出装置における2相励磁2相出力のレゾルバとの停電時の2相励磁2相出力停電状態の接続を示す構成図である。
【
図5】実施の形態1の絶対角度位置検出装置における1相励磁2相出力のレゾルバとの通電時の1相励磁2相出力通電状態の接続を示す構成図である。
【
図6】実施の形態1の絶対角度位置検出装置における1相励磁2相出力のレゾルバとの停電時の1相励磁2相出力停電状態の接続を示す構成図である。
【
図7】実施の形態1の絶対角度位置検出装置における2相励磁1相出力のレゾルバとの通電時の2相励磁1相出力通電状態の接続を示す構成図である。
【
図8】実施の形態1の絶対角度位置検出装置における2相励磁1相出力のレゾルバとの停電時の2相励磁1相出力停電状態の接続を示す構成図である。
【
図9】実施の形態1の絶対角度位置検出処理時における励磁信号とレゾルバ信号の位相関係を示す説明図である。
【
図10】実施の形態1の絶対角度位置検出処理時における励磁信号とレゾルバ信号の位相関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の絶対角度位置検出方法と絶対角度位置検出装置の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0016】
実施の形態1.
はじめに、実施の形態1における絶対角度位置検出装置100の基本的な構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、実施の形態1の絶対角度位置検出装置100の構成を示す構成図である。なお、絶対角度位置検出装置100は、絶対角度位置検出方法の各処理ステップを実行する装置である。
【0017】
[絶対角度位置検出装置100の構成]
図1において、絶対角度位置検出方法を実行する絶対角度位置検出装置100は、主に、信号処理部101と、監視部110と、切替部120とを有している。信号処理部101には、第1信号処理部130と、第2信号処理部140と、演算部150とが設けられている。
【0018】
絶対角度位置検出装置100は、2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバに対応するように構成されている。
絶対角度位置検出装置100には、異なる三方式のいずれかの方式のレゾルバ1として、2相励磁2相出力のレゾルバ1A、2相励磁1相出力のレゾルバ1B、及び2相励磁1相出力のレゾルバ1Cのいずれかが接続される。
絶対角度位置検出装置100は、通電時において図示されない通電動作用電源から電力の供給を受け、停電時において図示されないバックアップ電源から電力の供給を受ける。なお、バックアップ電源は、電池などを供給源とする停電時等のための限定的な電源である。
【0019】
監視部110は、電源監視部110aとレゾルバ方式監視部110bとを備えている。
電源監視部110aは、通電動作用電源の状態、すなわち、通電時であるか、停電時であるかを監視している。電源監視部110aは、通電時と停電時とで切替部120の切り替え状態を変更する通電/停電切替制御信号を生成し、生成した通電/停電切替制御信号を切替部120に供給する。ここで、通電時とは通電動作用電源が有効であるときを意味しており、停電時とは通電動作用電源が無効であってバックアップ電源が有効であるときを意味している。
レゾルバ方式監視部110bは、2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバのいずれが絶対角度位置検出装置100に接続されているかを監視している。レゾルバ方式監視部110bは、外部から供給されるレゾルバ方式設定信号に基づいてレゾルバの方式を認識してもよいし、レゾルバの機種番号または機種識別用凹凸などからレゾルバの方式を認識してもよい。レゾルバ方式監視部110bは、接続されているレゾルバの方式に応じて切替部120の切り替え状態を変更するレゾルバ方式切替制御信号を生成し、生成したレゾルバ方式切替制御信号を切替部120に供給する。
【0020】
切替部120は、監視部110からの通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、2相励磁2相出力のレゾルバ1により回転検出する際の通電時に2相励磁2相出力通電状態に切り替わり、2相励磁2相出力のレゾルバ1により回転検出する際の停電時に2相励磁2相出力停電状態に切り替わり、1相励磁2相出力のレゾルバ1により回転検出する際の通電時に1相励磁2相出力通電状態に切り替わり、1相励磁2相出力のレゾルバ1により回転検出する際の停電時に1相励磁2相出力停電状態に切り替わり、2相励磁1相出力のレゾルバ1により回転検出する際の通電時に2相励磁1相出力通電状態に切り替わり、2相励磁1相出力のレゾルバ1により回転検出する際の停電時に2相励磁1相出力停電状態に切り替わる。
【0021】
切替部120は、通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号により切り替え状態を具体的に指定されて切り替わるものであってもよいし、通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいてメモリなどに保持された切り替え状態を読み出して切り替わるものであってもよい。また、切替部120の状態を制御する切り替え制御部が設けられていてもよい。
切替部120は、通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、各部の接続と切り離しとを行うため、抵抗あるいはインピーダンスを切り替え可能なMOS-FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)などによるアナログスイッチを用いてもよいし、高インピーダンス出力切り替え可能なバッファ回路を各部の間に接続しておいて、信号切り離し時にはバッファ回路に高インピーダンス出力動作で使用する構成としてもよい。
【0022】
第1信号処理部130には、レゾルバ/デジタル変換部131と、AC励磁部132と、タイミング部133とが設けられている。ここで、第1信号処理部130は、通電動作用電源の供給を受け、通電時に動作する。
【0023】
レゾルバ/デジタル変換部131は、レゾルバ1からレゾルバ信号を供給され、供給されたレゾルバ信号を処理することにより1回転データを生成する。レゾルバ/デジタル変換部131は、生成した1回転データを演算部150に供給する。レゾルバ/デジタル変換部131は、2相AC励磁信号を生成するための2相励磁用データをAC励磁部132に供給する。
AC励磁部132は、レゾルバ/デジタル変換部131から2相励磁用データの供給を受け、互いに位相が90°ずれた2相AC励磁信号を生成する。生成された2相AC励磁信号は、通電時に、切替部120を経由してレゾルバ1の励磁相に供給される。
タイミング部133は、2相AC励磁信号を2相のタイミング信号に変換し、変換した2相のタイミング信号を後述する第2信号処理部140内の回転数カウント部142に供給する。
【0024】
第2信号処理部140には、パルス励磁部141と、回転数カウント部142とが設けられている。なお、第2信号処理部140は、通電動作用電源とバックアップ電源との供給を受け、通電時と停電時とに連続して動作する。
【0025】
パルス励磁部141は、停電時にバックアップ電源により駆動され、1相のパルス励磁信号を生成する。生成された1相のパルス励磁信号は、停電時に、回転数カウント部142に供給されると共に、切替部120を経由してレゾルバ1の励磁相に供給される。
回転数カウント部142は、通電時と停電時とに共に動作する。すなわち、通電時において、回転数カウント部142は、2相のタイミング信号とレゾルバ信号とを用い、通電時多回転カウントデータを生成する。また、停電時において、回転数カウント部142は、1相のパルス励磁信号とレゾルバ信号とを用い、停電時多回転カウントデータを生成する。
【0026】
演算部150は、通電時において通電動作用電源を供給され、第1信号処理部130からの1回転データと、第2信号処理部140からの通電時多回転カウントデータとにより演算を行う。演算の結果、演算部150は、多回転位置を示す絶対角度位置信号を生成する。演算部150は、停電時においてバックアップ電源を供給され、回転数カウント部142からの停電時多回転カウントデータを受けて絶対角度位置信号を生成する。
【0027】
ここで、切替部120内部の接続における切り替え状態について、
図2を参照して説明する。
図2は、実施の形態1の絶対角度位置検出装置100における各方式のレゾルバとの接続状態の切り替えの様子を一覧形式で示す説明図である。
切替部120は、監視部110からの通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、以下のように、三方式かつ各二状態の合計六種の接続状態に応じて、切り替えを行う。
以下、
図2の説明図、及び
図3~
図8の各接続状態の説明図を参照し、異なる三方式のレゾルバに対応した多回転検出により絶対角度検出を実現すると共に、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることについて、接続状態ごとに説明する。
【0028】
[2相励磁2相出力通電状態]
図2及び
図3を参照して、通電時に2相励磁2相出力のレゾルバ1(以下、2相励磁2相出力のレゾルバ1を単に「レゾルバ1A」と言う)により回転検出する際の切替部120の状態(以下、「2相励磁2相出力通電状態」と言う)について説明する。
【0029】
切替部120は、監視部110からの通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、2相励磁2相出力通電状態として、以下のように各部を接続する。
切替部120は、AC励磁部132の2相AC励磁出力のsin側とレゾルバ1Aの励磁相のsin側(以下、「励磁相B」と言う)とを接続し、AC励磁部132の2相AC励磁出力のcos側とレゾルバ1Aの励磁相のcos側(以下、「励磁相A」と言う)とを接続する。この結果、第1信号処理部130からの2相AC励磁信号は、切替部120を介してレゾルバ1Aの2相の励磁相A及びBに供給される。
【0030】
そして、切替部120は、レゾルバ1Aの2相の出力相のsin側(以下、「出力相A」と言う)とレゾルバ/デジタル変換部131のsin側入力とを接続し、レゾルバ1Aの2相の出力相のcos側(以下、「出力相B」と言う)とレゾルバ/デジタル変換部131のcos側入力とを接続する。
さらに、切替部120は、レゾルバ1Aの2相の出力相A及びBと回転数カウント部142の入力とを接続する。この結果、2相励磁によってレゾルバ1Aで生成された2相のレゾルバ信号は、切替部120を介して、レゾルバ/デジタル変換部131と回転数カウント部142とに供給される。
【0031】
2相励磁2相出力のレゾルバ1Aは、sinωtとcosωtの2相AC励磁信号を用いて励磁されると、レゾルバ1の回転軸の角度θに応じて位相の変化を有する位相変調信号を、レゾルバ信号として出力する。このレゾルバ1Aは、1相励磁2相出力のレゾルバに比べて高精度であることを特徴としている。
【0032】
ここで、レゾルバ1Aにおいて、2相AC励磁信号の供給を受ける2相の励磁相A及びBについて、励磁相Aは励磁巻線R1と励磁巻線R3により形成され、励磁相Bは励磁巻線R2と励磁巻線R4により形成されているとする。また、レゾルバ1Aにおいて、2相のレゾルバ信号を出力する出力相A及びBについて、出力相Aは検出巻線S1と検出巻線S3により形成され、出力相Bは検出巻線S2と検出巻線S4により形成されているとする。
この場合、通電時のレゾルバ1Aに、次のような出力電圧方程式(a1)~(a4)が成立する。ここで、Eは電圧、Kは変圧比、θはレゾルバ1Aの角度、ωは励磁角周波数を意味している。なお、説明を容易にするため、倍角数を1とする。
励磁相A:ER1-R3=Ecosωt …(a1)
励磁相B:ER2-R4=Esinωt …(a2)
出力相A:ES1-S3=K(ER2-R4・sinθ+ER1-R3・cosθ)
=K・Ecos(ωt-θ) …(a3)
出力相B:ES2-S4=K(ER2-R4・cosθ-ER1-R3・sinθ)
=K・Esin(ωt-θ) …(a4)
【0033】
以上の出力電圧方程式(a3)と(a4)とが示すとおり、2相励磁2相出力のレゾルバ1Aの出力信号は位相変調信号である。この位相変調信号は、それぞれ電圧は等しく、位相がずれた励磁信号の振幅変調信号が合成された結果として得られるものである。
従って、いずれか一方の励磁相のみを用いてレゾルバ1Aを励磁すると仮定した場合、後述するように1相励磁2相出力のレゾルバ信号と同じ振幅変調信号が得られることになる。よって、実施の形態1の絶対角度位置検出装置100において実行される絶対角度位置検出方法は、レゾルバ1Aについての2相励磁2相出力と1相励磁2相出力とを併用可能な特徴的な性質を、積極的に利用する。
【0034】
絶対角度位置検出装置100において、通電時にレゾルバ1Aを2相AC励磁信号により励磁している場合、レゾルバ信号の各励磁相に対する出力相の位相関係を基に、通電時多回転カウントデータを生成可能である。
【0035】
ここで、
図9を参照して、レゾルバ1Aにおけるレゾルバ信号の位相関係を説明する。
図9は、実施の形態1の絶対角度位置検出処理時における励磁信号とレゾルバ信号の位相関係を示す説明図である。
図9において、レゾルバ1Aを2相AC励磁信号により励磁した際の、レゾルバ角度毎の励磁信号とレゾルバ信号の位相関係を示している。
図9は、レゾルバ1Aの角度0°~90°、90°~180°、180°~270°、270°~360°の象限ごとに、各励磁信号に対するそれぞれのレゾルバ信号の位相が、4種類の組合せに分けられることを示している。
ここで、基準となる励磁信号に対して、レゾルバ信号の位相が0°~+180°を「進み」と定義している。また、基準となる励磁信号に対して、レゾルバ信号の位相が-180°~0°を「遅れ」と定義している。
図9における「進み」と「遅れ」の組み合わせの状態から、象限を判定することが可能であり、従来技術におけるA相信号、B相信号を生成できることが明らかである。従って、回転数カウント部142は、通電時において、2相のレゾルバ信号と、タイミング部133において2相AC励磁信号から生成した2相のタイミング信号とから、A相/B相の通電時多回転カウントデータを生成することができる。
【0036】
以下、通電時において2相励磁2相出力のレゾルバ1Aの回転を検出する際の信号処理を説明する。
レゾルバ/デジタル変換部131は、レゾルバ1Aから供給された2相のレゾルバ信号をデジタル変換して1回転データを生成する。レゾルバ/デジタル変換部131は、生成した1回転データを演算部150に供給する。
タイミング部133は、2相AC励磁信号を2相のタイミング信号に変換し、変換した2相のタイミング信号を第2信号処理部140内の回転数カウント部142に供給する。
回転数カウント部142は、レゾルバ1Aからの2相のレゾルバ信号と、タイミング部133からの2相のタイミング信号とを受け、2相のタイミング信号と2相のレゾルバ信号とを用い、A相/B相の通電時多回転カウントデータを生成する。
【0037】
演算部150は、通電時において、レゾルバ/デジタル変換部131からの1回転データと、回転数カウント部142からのA相/B相の通電時多回転カウントデータとを受けて演算する。演算の結果、演算部150は、レゾルバ1Aの回転について、多回転位置を示す絶対角度位置信号を生成する。
【0038】
[2相励磁2相出力停電状態]
図2及び
図4を参照して、停電時に2相励磁2相出力のレゾルバ1Aにより回転検出する際の切替部120の状態(以下、「2相励磁2相出力停電状態」と言う)について説明する。
【0039】
切替部120は、監視部110からの通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、2相励磁2相出力停電状態として以下のように各部を接続する。
切替部120は、パルス励磁部141とレゾルバ1Aの励磁相A及びBを接続する。この結果、パルス励磁部141からの1相のパルス励磁信号は、切替部120を介してレゾルバ1Aの2相の励磁相A及びBに供給される。なお、レゾルバ1Aの2相の励磁相A及びBは、並列接続であってもよいし、直列接続であってもよい。また、切替部120は、パルス励磁部141と、レゾルバ1Aの励磁相A及びBのいずれか一方と接続してもよい。
【0040】
そして、切替部120は、レゾルバ1Aの出力相A及びBを回転数カウント部142に接続する。この結果、パルス励磁によってレゾルバ1Aで生成された2相のレゾルバ信号は、切替部120を介して回転数カウント部142に供給される。
これにより、レゾルバ1Aは、2相の励磁相A及びBうちの少なくとも1相をパルス励磁され、2相のレゾルバ信号を生成する。そして、回転数カウント部142は、バックアップ電源により駆動され、レゾルバ1Aにおいて生成された2相のレゾルバ信号と、パルス励磁信号とを受け、2相のレゾルバ信号をパルス励磁信号のパルス幅で処理し、停電時多回転カウントデータを生成する。
演算部150は、停電時において、回転数カウント部142からの停電時多回転カウントデータを受けて演算する。すなわち、停電時においては、2相の励磁相のうちの少なくとも片側のみをパルス励磁すれば、レゾルバ1Aからのレゾルバ信号は振幅変調信号として出力される。このため、従来技術と同様の処理により、停電時多回転カウントデータを生成することができる。演算の結果、演算部150は、停電時において、回転数カウント部142からの停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
【0041】
停電時においては、レゾルバ1Aの2相の励磁相A及びBを、電圧と位相の揃った同じパルス励磁信号で励磁すれば、レゾルバ信号は振幅変調信号として生成される。このため、従来の1相励磁2相出力のレゾルバと同様の処理にて停電時多回転カウントデータを得ることができる。
停電時のレゾルバ1Aにおける1相のパルス励磁信号と2相のレゾルバ信号とについて、パルス励磁信号をf(t)として、上述した出力電圧方程式(a1)~(a4)における2相AC励磁信号のEcosωtとEsinωtを、パルス励磁信号のf(t)に入れ替えると、次のような出力電圧方程式(a5)~(a8)が成立する。なお、ここでも、Eは電圧、Kは変圧比、θはレゾルバ1Aの角度を意味しており、説明を容易にするために倍角数を1とする。
励磁相A:ER1-R3=f(t) …(a5)
励磁相B:ER2-R4=f(t) …(a6)
出力相A:ES1-S3=K(ER2-R4・sinθ+ER1-R3・cosθ)
=√2・K・f(t)・sin(θ+45°) …(a7)
出力相B:ES2-S4=K(ER2-R4・cosθ-ER1-R3・sinθ)
=√2・K・f(t)・cos(θ+45°) …(a8)
【0042】
上の出力電圧方程式(a5)~(a8)によると、出力相A及び出力相Bとして生成される2相のレゾルバ信号の振幅変調位置は、実際のレゾルバ角度より45°ずれる。しかし、回転数カウント部142において予め多回転カウントデータを生成する際に、45°のずれを考慮に入れて補正することで対処可能である。
2相の励磁相A及びBを同じパルス励磁信号f(t)で2相同相励磁するには、2相の励磁相A及びBを並列接続してパルス励磁信号f(t)で2相同相励磁する手法と、2相の励磁相A及びBを直列接続してパルス励磁信号f(t)で2相同相励磁する手法とが存在する。
【0043】
励磁相A及びBを並列に接続してパルス励磁部141からのパルス励磁信号f(t)により2相同相励磁した場合、上述した出力電圧方程式の(a7)と(a8)とが得られる。これは、2相の励磁相A及びBの片側のみを励磁した場合に比べて、出力信号であるレゾルバ信号の信号レベルが√2倍されることになる。これは、信号強度が高まり、ノイズに対する耐性が上がる、すなわちSN比が向上することを意味している。
一方、2相の励磁相A及びBは一般的に同等なインピーダンスであることから、2相の励磁相A及びBを直列に接続してパルス励磁部141からのパルス励磁信号f(t)により2相同相励磁した場合、2相の励磁相を同じパルス励磁信号で励磁可能である。この場合、2相の励磁相のうち1つあたりに発生する励磁電圧は、分圧によりf(t)の半分になる。すなわち、従来と同じレゾルバ信号の信号レベルを保ちつつ、2相の励磁相A及びBの全体の励磁電流を更に1/2程度に低減させ、回路全体の消費電流を抑えることが可能になる。
【0044】
以下、停電時において2相励磁2相出力のレゾルバ1Aの回転を検出する際の信号処理を説明する。
レゾルバ1Aは、パルス励磁されて2相のレゾルバ信号を生成する。レゾルバ1Aは、生成した2相のレゾルバ信号を回転数カウント部142に供給する。
回転数カウント部142は、レゾルバ1Aにおいて生成された2相のレゾルバ信号と、パルス励磁部141からの1相のパルス励磁信号とを受け、2相のレゾルバ信号を1相のパルス励磁信号のパルス幅で処理し、停電時多回転カウントデータを生成する。
演算部150は、停電時において、回転数カウント部142からの停電時多回転カウントデータを受けて演算し、絶対角度位置信号を生成する。
【0045】
以上のように、レゾルバ1Aにおいて、回転数カウント部142は、通電時と停電時とにおいて共用され、通電時及び停電時を通して連続した多回転検出を行うことにより、通電時及び停電時を通して、途切れることなく、連続した多回転検出を行うことが可能になる。また、停電時には、レゾルバ1Aの励磁相をパルス励磁することで、停電時の消費電流を低減することができる。
【0046】
[1相励磁2相出力通電状態]
図2及び
図5を参照して、通電時に1相励磁2相出力のレゾルバ1(以下、1相励磁2相出力のレゾルバ1を単に「レゾルバ1B」と言う)により回転検出する際の切替部120の状態(以下、「1相励磁2相出力通電状態」と言う)について説明する。
【0047】
切替部120は、監視部110からの通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、1相励磁2相出力通電状態として以下のように各部を接続する。
切替部120は、AC励磁部132の2相AC励磁出力のsin側またはcos側の一方とレゾルバ1Bの励磁相とを接続する。
図5では、AC励磁部132の2相AC励磁出力のsin側とレゾルバ1Bの励磁相とを接続する例を示している。この結果、第1信号処理部130からの2相AC励磁信号のうちの一方である1相のAC励磁信号は、切替部120を介してレゾルバ1Bの1つの励磁相に供給される。
【0048】
そして、切替部120は、レゾルバ1Bの出力相Aとレゾルバ/デジタル変換部131のsin側入力とを接続し、レゾルバ1Bの出力相Bとレゾルバ/デジタル変換部131のcos側入力とを接続する。
さらに、切替部120は、レゾルバ1Bの2相の出力相A及びBと回転数カウント部142の入力とを接続する。この結果、1相励磁によってレゾルバ1Bで生成された2相のレゾルバ信号は、切替部120を介して、レゾルバ/デジタル変換部131と回転数カウント部142とに供給される。
【0049】
以下、通電時において1相励磁2相出力のレゾルバ1Bの回転を検出する際の信号処理を説明する。
レゾルバ1Bは、2相AC励磁信号のうちの1相により1相AC励磁されると、レゾルバ1Bの回転軸の角度θに応じた2相レゾルバ信号を生成する。
レゾルバ/デジタル変換部131は、レゾルバ1Bから2相のレゾルバ信号を供給され、1回転データを生成する。レゾルバ/デジタル変換部131は、生成した1回転データを演算部150に供給する。
タイミング部133は、2相AC励磁信号を2相のタイミング信号に変換し、変換した2相のタイミング信号を第2信号処理部140内の回転数カウント部142に供給する。
回転数カウント部142は、通電時において、レゾルバ1Bからの2相のレゾルバ信号と、タイミング部133からの2相のタイミング信号とを受け、2相のタイミング信号と2相のレゾルバ信号とを用い、A相/B相の通電時多回転カウントデータを生成する。
【0050】
演算部150は、通電時において、レゾルバ/デジタル変換部131からの1回転データと、回転数カウント部142からのA相/B相の通電時多回転カウントデータとを受けて演算する。演算の結果、演算部150は、レゾルバ1Bの回転について、多回転位置を示す絶対角度位置信号を生成する。
【0051】
[1相励磁2相出力停電状態]
図2及び
図6を参照して、停電時に1相励磁2相出力のレゾルバ1Bにより回転検出する際の切替部120の状態(以下、「1相励磁2相出力停電状態」と言う)について説明する。
【0052】
切替部120は、監視部110からの通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、1相励磁2相出力停電状態として以下のように各部を接続する。
切替部120は、パルス励磁部141とレゾルバ1Bの励磁相とを接続する。この結果、パルス励磁部141からの1相のパルス励磁信号は、切替部120を介してレゾルバ1Bの励磁相に供給される。
切替部120は、レゾルバ1Bの出力相A及びBを回転数カウント部142に接続する。この結果、パルス励磁によってレゾルバ1Bで生成された2相のレゾルバ信号は、切替部120を介して、回転数カウント部142に供給される。
【0053】
以下、停電時において1相励磁2相出力のレゾルバ1Bの回転を検出する際の信号処理を説明する。
レゾルバ1Bは、パルス励磁され、2相のレゾルバ信号を生成する。レゾルバ1Bは、生成した2相のレゾルバ信号を回転数カウント部142に供給する。
回転数カウント部142は、レゾルバ1Bにおいて生成された2相のレゾルバ信号と、パルス励磁部141からの1相のパルス励磁信号とを受け、2相のレゾルバ信号を1相のパルス励磁信号のパルス幅で処理し、停電時多回転カウントデータを生成する。
演算部150は、停電時において、回転数カウント部142からの停電時多回転カウントデータを受けて絶対角度位置信号を出力する。
【0054】
以上のように、レゾルバ1Bにおいて、回転数カウント部142は、通電時と停電時とにおいて共用されるため、通電時及び停電時を通して連続した多回転検出を行うことにより、通電時及び停電時を通して、途切れることなく、連続した多回転検出を行うことが可能になる。また、停電時には、レゾルバ1Bの励磁相をパルス励磁することで、停電時の消費電流を低減することができる。
【0055】
[2相励磁1相出力通電状態]
図2及び
図7を参照して、通電時に2相励磁1相出力のレゾルバ1(以下、2相励磁1相出力のレゾルバ1を単に「レゾルバ1C」と言う)により回転検出する際の切替部120の状態(以下、「2相励磁1相出力通電状態」と言う)について説明する。
【0056】
切替部120は、監視部110からの通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、2相励磁1相出力通電状態として以下のように各部を接続する。
切替部120は、AC励磁部132の2相AC励磁出力のsin側とレゾルバ1Cの励磁相Bとを接続し、AC励磁部132のcos側とレゾルバ1Cの励磁相Aとを接続する。この結果、第1信号処理部130からの2相AC励磁信号は、切替部120を介してレゾルバ1Cの2相の励磁相A及びBに供給される。
【0057】
そして、切替部120は、レゾルバ1Cの1相の出力相とレゾルバ/デジタル変換部131のsin側入力とを接続する。なお、切替部120は、レゾルバ1Cの1相の出力相とレゾルバ/デジタル変換部131のcos側入力とを接続してもよい。
さらに、切替部120は、レゾルバ1Cの出力相と回転数カウント部142の入力とを接続する。この結果、2相励磁によってレゾルバ1Cで生成された1相のレゾルバ信号は、切替部120を介して、レゾルバ/デジタル変換部131と回転数カウント部142とに供給される。
【0058】
2相励磁1相出力のレゾルバ1Cは、sinωtとcosωtの2相AC励磁信号を用いて励磁されると、レゾルバ1Cの回転軸の角度θに応じて位相の変化を有する位相変調信号をレゾルバ信号として出力する。このレゾルバ1Cは、1相励磁2相出力のレゾルバに比べて高精度であることを特徴としている。
【0059】
ここで、レゾルバ1Cにおいて、2相AC励磁信号の供給を受ける2相の励磁相A及びBについて、励磁相Aは励磁巻線R1と励磁巻線R3により形成され、励磁相Bは励磁巻線R2と励磁巻線R4により形成されているとする。また、レゾルバ1Cにおいて、1相のレゾルバ信号を出力する出力相は検出巻線S1と検出巻線S3により形成されているとする。
この場合、通電時のレゾルバ1Cに、以下のような出力電圧方程式(c1)~(c4)が成立する。以下の式において、電圧をE、変圧比をK、レゾルバ1Cの角度をθ、励磁角周波数をωとする。なお、説明を容易にするため、倍角数を1とする。
励磁相A:ER1-R3=Ecosωt …(c1)
励磁相B:ER2-R4=Esinωt …(c2)
出力相 :ES1-S3=K1(ER2-R4・sinθ+ER1-R3・cosθ)
=K1Ecos(ωt-θ) …(c3)
【0060】
以上の出力電圧方程式(c3)が示すとおり、2相励磁1相出力のレゾルバ1Cの出力信号であるレゾルバ信号は、位相変調信号である。この位相変調信号としてのレゾルバ信号は、それぞれの励磁信号の振幅変調信号が合成された結果として得られるものである。
ここでレゾルバ1Cを1次コイル/2次コイルの結合状態が角度で変わる変圧器としてみた場合、出力相を出力ではなく励磁入力として利用し、励磁相を出力として利用することが可能である。このような利用により、以下の出力電圧方程式(c4)~(c6)に示すように、2相励磁1相出力のレゾルバ1Cを1相励磁2相出力タイプのレゾルバとして使用することができる。
励磁入力:ES1-S3=Ecosωt …(c4)
出力相A:ER1-R3=K2cosθ・Ecosωt …(c5)
出力相B:ER2-R4=K2sinθ・Ecosωt …(c6)
なお、K1とK2は異なる数値になる場合がある。
よって、この実施の形態において、2相励磁1相出力のレゾルバ1Cを使用する場合には、この特長を積極的に利用する。
【0061】
2相励磁1相出力通電状態において、(c1),(c2)式において、レゾルバ1Cを2相AC励磁信号により励磁している場合には、各励磁相に対する出力相の位相関係を基に通電時多回転カウントデータの生成が可能である。
ここで、
図10を参照して、レゾルバ1Cにおけるレゾルバ信号の位相関係を説明する。
図10は、実施の形態1の絶対角度位置検出処理時における励磁信号とレゾルバ信号との位相関係を示す説明図である。
図10は、2相励磁1相出力のレゾルバ1Cを2相AC励磁した際の、レゾルバ1Cの角度毎の励磁信号とレゾルバ信号との位相関係を示している。
図10は、レゾルバ1Cの角度0°~90°、90°~180°、180°~270°、270°~360°の象限ごとに、各励磁信号に対するそれぞれのレゾルバ信号の位相が、4種類の組合せに分けられることを示している。
ここで、基準となる励磁信号に対して、レゾルバ信号の位相が0°~+180°を「進み」と定義している。また、基準となる励磁信号に対して、レゾルバ信号の位相が-180°~0°を「遅れ」と定義している。
図10における「進み」と「遅れ」の組み合わせの状態から、象限(0°~90°、90°~180°、180°~270°、270°~360°)を判定することが可能であり、従来技術におけるA相信号、B相信号を生成できることが明らかである。従って、回転数カウント部142は、レゾルバ信号と2相のタイミング信号とから、A相/B相の多回転カウントデータを生成することができる。
【0062】
以下、通電時において2相励磁1相出力のレゾルバ1Cの回転を検出する際の信号処理を説明する。
レゾルバ/デジタル変換部131は、レゾルバ1Cから供給された1相のレゾルバ信号をデジタル変換して1回転データを生成し、生成した1回転データを演算部150に供給する。
タイミング部133は、2相AC励磁信号を2相のタイミング信号に変換し、変換した2相のタイミング信号を第2信号処理部140内の回転数カウント部142に供給する。
回転数カウント部142は、レゾルバ1Cからの1相のレゾルバ信号と、タイミング部133からの2相のタイミング信号とを受け、2相のタイミング信号とレゾルバ信号とを用い、A相/B相の通電時多回転カウントデータを生成する。
演算部150は、通電時において、レゾルバ/デジタル変換部131からの1回転データと、回転数カウント部142からのA相/B相の通電時多回転カウントデータとを受けて演算する。演算の結果、演算部150は、レゾルバ1Cの回転について、多回転位置を示す絶対角度位置信号を生成する。
【0063】
[2相励磁1相出力停電状態]
図2及び
図8を参照して、停電時に2相励磁1相出力のレゾルバ1Cにより回転検出する際の切替部120の状態(以下、「2相励磁1相出力停電状態」と言う)について説明する。
【0064】
切替部120は、2相励磁1相出力停電状態において、レゾルバ1Cの励磁相と出力相とを入れ替えるように接続する。すなわち、切替部120は、監視部110からの通電/停電切替制御信号及びレゾルバ方式切替制御信号に基づいて、2相励磁1相出力停電状態において以下のように各部を接続する。
切替部120は、レゾルバ1Cの出力相とパルス励磁部141とを接続する。ここでは、レゾルバ1Cの出力相を励磁相として利用する。この結果、パルス励磁部141からの1相のパルス励磁信号は、切替部120を介して、レゾルバ1Cの出力相に供給される。
また、切替部120は、レゾルバ1Cの2相の励磁相A及びBと、回転数カウント部142とを接続する。ここでは、レゾルバ1Cの2相の励磁相を2相の出力相として利用する。この結果、レゾルバ1Cの2相の励磁相A及びBから出力される2相のレゾルバ信号は、切替部120を介して、回転数カウント部142に供給される。
【0065】
停電時において、レゾルバ1Cの出力相の検出巻線(S1-S3)を励磁相として活用してパルス励磁信号で励磁すれば、2相の励磁相A及びBの励磁巻線(R1-R3/R2-R4)は出力相として作用し、位相の揃った、センサ角度に応じた振幅変調信号が出力される。このため、絶対角度位置検出装置100に対する励磁巻線と検出巻線の接続を入れ替えることにより、1相パルス励磁と同様の処理にて、停電時多回転カウントデータを得ることができる。
停電時のレゾルバ1Cにおいて、パルス信号をf(t)とした場合の出力電圧方程式は、上述した通電時の(c5)~(c6)のcosωtとsinωtとをf(t)に入れ替えることで、以下のように表すことができる。
励磁相 :ES1-S3=f(t) …(c7)
出力相A:ER1-R3=K・ES1-S3・cosθ=K・f(t)sinθ …(c8)
出力相B:ER2-R4=K・ES1-S3・sinθ=K・f(t)cosθ …(c9)
2相励磁1相出力レゾルバの場合は、励磁コイルに発生する(c8),(c9)の振幅変調レゾルバ出力信号を位相取得信号として多回転カウントを行うことで、停電時においても多回転カウントを継続することが可能となる。
【0066】
以下、停電時において2相励磁1相出力のレゾルバ1Cの回転を検出する際の信号処理を説明する。
レゾルバ1Cは、励磁相としての検出巻線に供給されたパルス励磁信号によりパルス励磁され、生成した2相のレゾルバ信号を出力相としての2相の励磁巻線から出力する。レゾルバ1Cは、励磁巻線から出力した2相のレゾルバ信号を回転数カウント部142に供給する。
回転数カウント部142は、レゾルバ1Cにおいて生成された2相のレゾルバ信号と、パルス励磁部141からの1相のパルス励磁信号とを受け、2相のレゾルバ信号を1相のパルス励磁信号のパルス幅で処理し、停電時多回転カウントデータを生成する。
演算部150は、停電時において、回転数カウント部142からの停電時多回転カウントデータを受けて演算し、絶対角度位置信号を生成する。
【0067】
以上のように、レゾルバ1Cにおいて、回転数カウント部142は、通電時と停電時とにおいて共用され、通電時及び停電時を通して連続した多回転検出を行うことにより、通電時及び停電時を通して、途切れることなく、連続した多回転検出を行うことが可能になる。また、停電時には、レゾルバ1Cの出力相を励磁相として使用し、パルス励磁することで、停電時の消費電流を低減することができる。
【0068】
[実施の形態により得られる効果]
実施の形態1に説明した絶対角度位置検出装置100及び絶対角度位置検出方法によれば、2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバ1(1A、1B 、及び1C)に対応し、以下のように、多回転検出により絶対角度検出を実現すると共に、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることができる。すなわち、異なる方式のレゾルバ1A,1B ,1Cに対応した汎用性の高い絶対角度位置検出装置100及び絶対角度位置検出方法を実現できる。
【0069】
絶対角度位置検出装置100は、信号処理部101と切替部120とを備え、2相励磁2相出力、2相励磁1相出力、及び2相励磁1相出力のいずれかの方式のレゾルバ1A,1B,1Cにより、回転検出する。
【0070】
2相励磁2相出力のレゾルバ1Aにより回転検出する際の通電時に、切替部120は、2相励磁2相出力通電状態に切り替わり、信号処理部101は、切替部120経由で2相AC励磁信号をレゾルバに供給し、レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を切替部120経由で受け取り、2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
2相励磁2相出力のレゾルバ1Aにより回転検出する際の停電時に、切替部120は、2相励磁2相出力停電状態に切り替わり、信号処理部101は、切替部120経由で1相のパルス励磁信号をレゾルバの励磁巻線の少なくとも一方に供給し、レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を切替部120経由で受け取り、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
【0071】
1相励磁2相出力のレゾルバ1Bにより回転検出する際の通電時に、切替部120は、1相励磁2相出力通電状態に切り替わり、信号処理部101は、切替部120経由で2相AC励磁信号の一方をレゾルバの励磁巻線に供給し、レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を切替部120経由で受け取り、2相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成し、1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
1相励磁2相出力のレゾルバ1Bにより回転検出する際の停電時に、切替部120は、1相励磁2相出力停電状態に切り替わり、信号処理部101は、切替部120経由で1相のパルス励磁信号をレゾルバに供給し、レゾルバで生成された2相レゾルバ信号を切替部120経由で受け取り、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成し、停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
【0072】
2相励磁1相出力のレゾルバ1Cにより回転検出する際の通電時に、切替部120は、2相励磁1相出力通電状態に切り替わり、信号処理部101は、切替部120経由で2相AC励磁信号をレゾルバに供給し、レゾルバで生成された1相レゾルバ信号を切替部120経由で受け取り、1相レゾルバ信号から1回転データと通電時多回転カウントデータとを生成する。1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
2相励磁1相出力のレゾルバ1Cにより回転検出する際の停電時に、切替部120は、2相励磁1相出力停電状態に切り替わり、信号処理部101は、切替部120経由で1相のパルス励磁信号をレゾルバの検出巻線に供給し、レゾルバで生成されて励磁巻線から出力される2相レゾルバ信号を切替部120経由で受け取り、2相レゾルバ信号から停電時多回転カウントデータを生成する。停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。
【0073】
実施の形態1に説明した絶対角度位置検出装置100及び絶対角度位置検出方法によれば、2相励磁2相出力、1相励磁2相出力、及び2相励磁1相出力の異なる三方式のレゾルバ1A,1B,及び1Cに対応して多回転検出により絶対角度検出を実現すると共に、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることが可能になる。
【0074】
実施の形態1に説明した絶対角度位置検出装置100は、電源状態とレゾルバ1(1A,1B,1C)の方式を監視する監視部110を更に備え、監視部110は、レゾルバ1(1A,1B,1C)がいずれの方式であるか、及び電源状態が通電時であるか停電時であるかにより、切替部120の接続を切り替える。これにより、異なる三方式のレゾルバ1A,1B,及び1Cに対応して多回転検出により絶対角度検出を実現すると共に、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを確実に得ることが可能になる。
【0075】
実施の形態1に説明した絶対角度位置検出装置100において、信号処理部101は、通電時に通電動作用電源の供給を受け、通電時に処理を実行する第1信号処理部130と、通電時に通電動作用電源の供給を受けて処理を実行すると共に、停電時にバックアップ電源の供給を受けて処理を実行する第2信号処理部140とを有する。これにより、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることが可能になる。
【0076】
実施形態1に説明した絶対角度位置検出装置100において、第1信号処理部130は、2相AC励磁信号を生成するAC励磁部132を備え、第2信号処理部140は、1相のパルス励磁信号を生成するパルス励磁部141を備える。これにより、通電時と停電時とでそれぞれ適した励磁を行うことができ、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを得ることが可能になる。
【0077】
実施形態1に説明した絶対角度位置検出装置100において、信号処理部101は、演算部150を更に備え、演算部150は、通電時において1回転データ及び通電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成し、停電時において停電時多回転カウントデータから絶対角度位置信号を生成する。これにより、異なる三方式のレゾルバ1A,1B,及び1Cに対応して多回転検出により絶対角度検出を実現すると共に、通電時と停電時とで連続した多回転カウントデータを確実に得ることが可能になる。
【符号の説明】
【0078】
1 レゾルバ、100 絶対角度位置検出装置、101 信号処理部、110 監視部、110a 電源監視部、110b レゾルバ方式監視部、120 切替部、130 第1信号処理部、131 レゾルバ/デジタル変換部、132 AC励磁部、133 タイミング部、140 第2信号処理部、141 パルス励磁部、142 回転数カウント部、150 演算部。