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特開2024-95048生体情報計測装置及び生体情報計測装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095048
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】生体情報計測装置及び生体情報計測装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240703BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240703BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240703BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
G02B5/22
G02B5/20 101
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212048
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】319006047
【氏名又は名称】シャープセミコンダクターイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 裕太
(72)【発明者】
【氏名】舩尾 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘治
(72)【発明者】
【氏名】肥田 聡太
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 正之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 慧一
【テーマコード(参考)】
2H148
4C017
4M118
【Fターム(参考)】
2H148BA01
2H148BB02
2H148BD15
2H148BG14
2H148CA01
2H148CA12
2H148CA14
2H148CA17
2H148CA22
2H148CA23
4C017AA09
4C017AC26
4C017BC07
4C017FF15
4M118AA10
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118FA06
4M118GA08
4M118GA09
4M118GC08
4M118GC20
4M118GD03
4M118GD04
4M118GD13
4M118GD14
4M118HA25
(57)【要約】
【課題】生体情報を高い精度で計測することができる生体情報計測装置を提供する。
【解決手段】生体情報計測装置は、互いに異なる屈折率を有する2種以上の層を含み積層されている複数の層を備える積層膜と、前記積層膜を透過した光を受光し、前記光に応じた信号を生成する受光素子と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる屈折率を有する2種以上の層を含み積層されている複数の層を備える積層膜と、
前記積層膜を透過した光を受光し、前記光に応じた信号を生成する受光素子と、
を備える生体情報計測装置。
【請求項2】
前記複数の層の各々は、20nm以上及び500nm以下の厚さを有する
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項3】
前記積層膜は、620nm以上740nm以下の波長において極大となる分光透過率を有する
請求項1又は2に記載の生体情報計測装置。
【請求項4】
前記積層膜は、760nm以上1100nm以下の波長において極小となる分光透過率を有する
請求項1又は2に記載の生体情報計測装置。
【請求項5】
有機物及び無機物からなる群より選択される少なくとも1種からなる吸収型フィルタを備え、
前記光は、前記吸収型フィルタを透過する
請求項1又は2に記載の生体情報計測装置。
【請求項6】
前記受光素子は、第1の受光素子であり、前記光は、第1の光であり、前記信号は、第1の信号であり、前記吸収型フィルタは、第1の吸収型フィルタであり、
有機物及び無機物からなる群より選択される少なくとも1種からなる第2の吸収型フィルタと、
前記第2の吸収型フィルタ及び前記積層膜を透過した第2の光を受光し、前記第2の光に応じた第2の信号を生成し、前記第1の受光素子に隣接する第2の受光素子と、
を備える請求項5に記載の生体情報計測装置。
【請求項7】
前記積層膜と前記吸収型フィルタとの間に配置されるスペーサ部材を備える
請求項5に記載の生体情報計測装置。
【請求項8】
半導体基板に受光素子を形成することと、
前記受光素子を覆うように前記半導体基板上に絶縁膜を形成することと、
前記受光素子に対応する光学フィルタを前記絶縁膜上に形成することと、
を備え、
前記光学フィルタは、少なくとも620nm以上740nm以下の波長において極大となる分光透過率又は少なくとも760nm以上1100nm以下の波長において極小となる分光透過率を有する
生体情報計測装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報計測装置及び生体情報計測装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、生体情報計測装置を開示する。当該生体情報計測装置においては、第1画素が、第1フィルタを透過した530nm~590nmの波長帯域の光を受光して、第1の撮像信号を生成する。また、第2画素が、第2フィルタを透過した500nm~530nm及び590nm~620nmの波長帯域の光を受光して、第2の撮像信号を生成する。また、第1撮像信号から第1時系列データが生成され、第2撮像信号から第2時系列データが生成される。また、第1時系列データ及び第2時系列データから心拍成分及び照明変動成分が分離される。530nm~590nmの波長帯域においては、ヘモグロビンが強い吸収特性を有する(段落0014,0019から0030まで及び0037)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/104056号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画素により受光される光を透過させるフィルタの分光透過率は、なだらかなピークを有する可能性がある。このため、特許文献1に開示された生体情報計測装置においては、第2時系列データが、心拍成分を含む可能性がある。このため、第1時系列データと第2時系列データを用い心拍成分を演算により求める場合、第1時系列データと第2時系列データ共に心拍成分と照明変動成分を含むため、心拍成分及び照明変動成分が精度よく分離されない可能性がある。このため、生体情報を高い精度で計測することができない可能性がある。
【0005】
本開示の一態様は、この問題に鑑みてなされた。本開示の一態様は、例えば、生体情報を高い精度で計測することができる生体情報計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の生体情報計測装置は、互いに異なる屈折率を有する2種以上の層を含み積層されている複数の層を備える積層膜と、前記積層膜を透過した光を受光し、前記光に応じた信号を生成する受光素子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の生体情報計測装置のブロック図である。
図2】第1実施形態の生体情報計測装置に備えられるモジュールを模式的に図示する断面図である。
図3】第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる複数の画素を模式的に図示する平面図である。
図4】第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる緑色画素及び赤外画素を模式的に図示する断面図である。
図5】第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる赤色画素及び青色画素を模式的に図示する断面図である。
図6】酸化ヘモグロビン、ヘモグロビン、並びにメラニンの一種であるユーメラニン及びフェオメラニンの分光モル吸光係数を示すグラフである。
図7】第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる積層膜を模式的に図示する断面図である。
図8】第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる赤色カラーフィルタに備えられる積層膜の分光透過率の例を示すグラフである。
図9】第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタに備えられる積層膜の分光透過率の例を示すグラフである。
図10】第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる赤色画素(RE)、緑色画素(GR)、青色画素(BU)及び赤外画素(IR)の分光感度の例を示すグラフである。
図11】第1実施形態の生体情報計測装置の製造の流れを示すフローチャートである。
図12】第1実施形態の変形例の生体情報計測装置に備えられる緑色画素及び青色画素を模式的に図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
1 第1実施形態
1.1 生体情報計測装置
図1は、第1実施形態の生体情報計測装置のブロック図である。
【0010】
図1に図示される第1実施形態の生体情報計測装置1は、生体11から到来した光12を受光し、受光した光12から生体情報を計測する。生体情報計測装置1は、生体情報を非侵襲的に計測する。
【0011】
生体11は、生物の体である。当該生物は、酸化ヘモグロビンを含む血液を循環させる循環器を有する生物等である。当該循環器を有する生物は、人等である。
【0012】
計測される生体情報は、生体11の状態を示す情報である。当該情報は、容積脈波、容積脈波から推定される心拍数、容積脈波から推定される血圧等である。容積脈波は、血液が流れる血管が拡張及び収縮を交互に繰り返すことにより生体11の皮膚により反射される光の強度がわずかに変動することにより発生する。
【0013】
血管が拡張及び収縮を交互に繰り返すことによる光の強度の変動は非常に微小である。このため、容積脈波の振幅は、小さい。このため、容積脈波の測定は、体動、光源の変動、個体差が大きいメラニンによる光の吸収等に起因するノイズの影響を受ける。このため、脈波を高い精度で測定することは、一般的には困難である。生体情報計測装置1は、この問題を解消して脈波等の生体情報を高い精度で計測する。
【0014】
図1に示されるように、生体情報計測装置1は、モジュール21及び信号処理部22を備える。
【0015】
モジュール21は、生体11から到来した光12を受光し、受光した光12に応じた信号群13を生成する。
【0016】
信号処理部22は、生成された信号群13を処理して生体情報を取得する。
【0017】
1.2 モジュール
図2は、第1実施形態の生体情報計測装置に備えられるモジュールを模式的に図示する断面図である。
【0018】
図2に図示されるように、モジュール21は、レンズ31、カラーフィルタアレイ32、固体撮像素子33及び支持部材34を備える。
【0019】
モジュール21においては、レンズ31、カラーフィルタアレイ32、固体撮像素子33及び支持部材34が一体化される。
【0020】
レンズ31は、生体11から到来した光12を固体撮像素子33へ導く。レンズ31は、光12を固体撮像素子33上に結像させて固体撮像素子33上に生体11の像を形成する。モジュール21が、レンズ31に代えて又はレンズ31に加えて、レンズ31以外の光学素子を備えてもよい。例えば、モジュール21が、プリズム、ミラー、フィルタ等を備えてもよい。レンズ31がカラーフィルタアレイ32及び固体撮像素子33と一体化されなくてもよい。生体情報計測装置1が、レンズ31を着脱可能な機構を備えてもよい。生体情報計測装置1が当該機構を備える場合は、ユーザが希望するレンズを生体情報計測装置1に装着してもよい。
【0021】
カラーフィルタアレイ32は、レンズ31により導かれてきた光を透過させる。カラーフィルタアレイ32は、複数のカラーフィルタ41を備える。複数のカラーフィルタ41は、レンズ31の光軸と垂直をなす面内に2次元配列される。複数のカラーフィルタ41は、マトリクス状に配列される。複数のカラーフィルタ41の各々は、光を透過させる。複数のカラーフィルタ41の各々は、波長選択性を有する。
【0022】
固体撮像素子33は、カラーフィルタアレイ32を透過した光を受光し、受光した光に応じた信号群13を生成する。固体撮像素子33は、固体撮像素子33上に形成された像に応じた信号群13を生成する。このため、生成される信号群13は、当該像の画像信号を構成する。固体撮像素子33は、複数の受光素子51を備える。複数の受光素子51は、レンズ31の光軸と垂直をなす面内に2次元配列される。複数の受光素子51は、マトリクス状に配列される。複数の受光素子51の各々は、光を受光し、受光した光に応じた信号を生成する。複数の受光素子51の各々により生成される信号は、固体撮像素子33により生成される信号群13を構成する。複数のカラーフィルタ41は、複数の受光素子51上にそれぞれ配置される。このため、複数の受光素子51は、複数のカラーフィルタ41を透過した複数の光をそれぞれ受光し、受光した複数の光に応じた信号をそれぞれ生成する。固体撮像素子33は、相補型金属酸化物半導体イメージセンサ(CIS)である。固体撮像素子33が、CIS以外のイメージセンサであってもよい。例えば、固体撮像素子33が、電荷結合素子(CCD)イメージセンサであってもよい。
【0023】
図2に図示されるように、カラーフィルタアレイ32及び固体撮像素子33は、画素アレイ61を備える。画素アレイ61は、複数の画素71を備える。複数の画素71は、複数の受光素子51をそれぞれ備え、複数の受光素子51上に配置される複数のカラーフィルタ41をそれぞれ備える。
【0024】
支持部材34は、レンズ31を支持する。
【0025】
1.3 画素
図3は、第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる複数の画素を模式的に図示する平面図である。図4は、第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる緑色画素及び赤外画素を模式的に図示する断面図である。図5は、第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる赤色画素及び青色画素を模式的に図示する断面図である。
【0026】
図3図4及び図5に図示されるように、複数の画素71は、赤色画素71R、緑色画素71G、青色画素71B及び赤外画素71IRを含む。複数の受光素子51は、受光素子51R,51G,51B及び51IRを含む。複数のカラーフィルタ41は、赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IRを含む。
【0027】
赤色画素71R、緑色画素71G及び青色画素71Bは、370nmから740nmまでの可視光の波長帯において極大となる分光感度を有する。赤外画素71IRは、赤外の波長帯において極大となる分光感度を有する。
【0028】
赤色画素71R、緑色画素71G、青色画素71B及び赤外画素71IRは、周期的に配列される。赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IRは、周期的に配列される。
【0029】
赤色画素71R、緑色画素71G、青色画素71B及び赤外画素71IRは、受光素子51R,51G,51B及び51IRをそれぞれ備え、赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IRをそれぞれ備える。赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IRは、受光素子51R,51G,51B及び51IR上に配置される。このため、赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IRは、受光素子51R,51G,51B及び51IRにより受光される光91R,91G,91B,91IRの光路上にそれぞれ配置される。赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IRは、吸収型フィルタの波長選択性より高い波長選択性を有する。
【0030】
赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IRは、互いに異なる分光透過率を有する。このため、複数のカラーフィルタ41は、互いに異なる分光透過率を有する4種類のカラーフィルタを含む。
【0031】
赤色画素71R、緑色画素71G、青色画素71B及び赤外画素71IRは、赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IRの分光透過率に応じた分光感度を有する。このため、赤色画素71R、緑色画素71G、青色画素71B及び赤外画素71IRは、互いに異なる分光感度を有する。このため、複数の画素71は、互いに異なる分光感度を有する4種類の画素を含む。
【0032】
互いに異なる分光透過率を有するカラーフィルタの種類の数が、3以下又は5以上であってもよい。このため、互いに異なる分光感度を有する画素の種類の数が、3以下又は5以上であってもよい。複数のカラーフィルタ41の全部が、同じ分光透過率を有してもよい。このため、複数の画素71の全部が、同じ分光感度を有してもよい。
【0033】
赤色カラーフィルタ41Rは、赤色(R)の光を選択的に透過させる。緑色カラーフィルタ41Gは、緑色(G)の光を選択的に透過させる。青色カラーフィルタ41Bは、青色(B)の光を選択的に透過させる。赤外カラーフィルタ41IRは、赤外(IR)の光を選択的に透過させる。このため、赤色画素71Rは、赤色の光に対して高い感度を有する。緑色画素71Gは、緑色の光に対して高い感度を有する。青色画素71Bは、青色の光に対して高い感度を有する。赤外画素71IRは、赤外の光に対して高い感度を有する。
【0034】
上述したように、複数の画素71に含まれる、互いに異なる分光感度を有する画素の種類の数は、3以下であってもよい。このため、複数の画素71に含まれる、互いに異なる分光感度を有する画素は、赤色画素71R及び赤外画素71IRのみであってもよく、赤色画素71R及び緑色画素71Gのみであってもよい。
【0035】
1.4 カラーフィルタの波長選択性の向上
図6は、酸化ヘモグロビン、ヘモグロビン、並びにメラニンの一種であるユーメラニン及びフェオメラニンの分光モル吸光係数を示すグラフである。当該グラフにおいては、横軸に波長がとられており、縦軸にモル吸光係数がとられている。
【0036】
容積脈波は、主に、血管を流れる血液に含まれる酸化ヘモグロビンによる光の吸収が時間変化することにより生じる。図6に示されるように、酸化ヘモグロビンの吸収係数は、400nmの付近の波長帯及び530から590nmまでの波長帯において大きくなり620nmから740nmまでの波長帯において小さくなる。このため、容積脈波を高い精度で計測するためには、酸化ヘモグロビンの吸収係数が大きくなる400nmの付近の波長帯又は530から590nmまでの波長帯に属する波長を有する光から容積脈波を取得することが望まれる。ただし、図6に示されるように、400nmの付近の波長帯においては、メラニンの吸収係数も大きくなるため、容積脈波を高い精度で計測するためには、メラニンの吸収係数が小さくなる530から590nmまでの波長帯に属する波長を有する光から容積脈波を取得することがより望まれる。
【0037】
人の視感度特性に対して最適化された分光感度を有する赤色画素、緑色画素及び青色画素を備える固体撮像素子においては、酸化ヘモグロビンの吸収係数が大きくなる波長帯において高い感度を有する画素は、緑色画素である。このため、当該固体撮像素子により生成された信号群から容積脈波が取得される場合は、緑色画素により生成される信号から容積脈波が取得される。しかし、緑色画素の分光感度がなだらかなピークを有する場合は、緑色画素は、酸化ヘモグロビンの吸収係数が小さくなる波長帯においても高い感度を有する。このため、緑色の画素の分光感度がなだらかなピークを有する場合は、容積脈波を高い精度で計測することができない。
【0038】
生体情報計測装置1は、この問題に鑑みて、緑色画素71G及び青色画素71Bが、酸化ヘモグロビンの吸収係数が大きくなる波長帯において高い感度を有し、当該波長帯以外の波長帯において高い感度を有さないようにするために、緑色カラーフィルタ41G及び青色カラーフィルタ41Bの波長選択性を高くする。これにより、生体情報計測装置1は、容積脈波を高い精度で計測する。
【0039】
上述したように、容積脈波の振幅は、小さい。このため、容積脈波の測定は、体動、光源の変動、個体差が大きいメラニンによる光の吸収等に起因するノイズの影響を受ける。このため、容積脈波を高い精度で計測するためには、酸化ヘモグロビンの吸収係数が小さくなる波長帯に属する波長を有する光を用いて容積脈波からノイズを除去することが望まれる。
【0040】
人の視感度特性に対して最適化された分光感度を有する赤色画素、緑色画素及び青色画素を備える固体撮像素子においては、酸化ヘモグロビンの吸収係数が小さくなる波長帯において高い感度を有する画素は、緑色画素以外の画素であり、特に赤色画素である。このため、当該固体撮像素子により生成された信号群から容積脈波が取得される場合は、緑色画素以外の画素により生成される信号を用いて容積脈波からノイズが除去される。しかし、緑色画素以外の画素の分光感度がなだらかなピークを有する場合は、緑色画素以外の画素は、酸化ヘモグロビンの吸収係数が大きくなる波長帯においても高い感度を有する。このため、緑色画素以外の画素の分光感度がなだらかなピークを有する場合は、容積脈波からノイズが除去される際に、容積脈波が相殺される。このため、緑色の画素以外の画素の分光感度がなだらかなピークを有する場合は、容積脈波を高い精度で計測することができない。
【0041】
生体情報計測装置1は、この問題に鑑みて、赤色画素71Rが、酸化ヘモグロビンの吸収係数が小さくなる波長帯において高い感度を有し、当該波長帯以外の波長帯において高い感度を有しないようにするために、赤色カラーフィルタ41Rの波長選択性を高くする。これにより、生体情報計測装置1は、容積脈波からノイズを適切に除去する。
【0042】
1.5 カラーフィルタの構造
図5に図示されるように、赤色カラーフィルタ41Rは、積層膜81Rを備える。
【0043】
積層膜81Rは、吸収型フィルタの波長選択性より高い波長選択性を有する干渉型フィルタである。このため、積層膜81Rは、高い波長選択性を有する。
【0044】
積層膜81Rは、受光素子51R上に配置される。このため、積層膜81Rは、受光素子51Rにより受光される光91Rの光路上に配置される。このため、受光素子51Rは、積層膜81Rを透過した光91Rを受光し、受光した光91Rに応じた信号を生成する。
【0045】
図4に図示されるように、緑色カラーフィルタ41Gは、吸収型フィルタ82G及び積層膜81Gを備える。
【0046】
吸収型フィルタ82Gは、緑色の光以外の光を吸収し、緑色の光を選択的に透過させる。
【0047】
積層膜81Gは、干渉型フィルタである。このため、積層膜81Gは、特定の波長を有する光以外の光を吸収又は反射し、特定の波長を有する光を選択的に透過させる。積層膜81Gは、吸収型フィルタ82Gの波長選択性より高い波長選択性を有する。このため、積層膜81Gは、吸収型フィルタ82Gを透過した光の波長範囲より狭い波長範囲を有する光を透過させる。
【0048】
積層膜81Gは、受光素子51G上に配置される。吸収型フィルタ82Gは、積層膜81G上に配置される。このため、積層膜81G及び吸収型フィルタ82Gは、受光素子51Gにより受光される光91Gの光路上に配置される。このため、受光素子51Gは、吸収型フィルタ82G及び積層膜81Gを透過した光91Gを受光し、受光した光91Gに応じた信号を生成する。
【0049】
図5に図示されるように、青色カラーフィルタ41Bは、吸収型フィルタ82B及び積層膜81Bを備える。
【0050】
吸収型フィルタ82Bは、青色の光以外の光を吸収し、青色の光を選択的に透過させる。
【0051】
積層膜81Bは、干渉型フィルタである。このため、積層膜81Bは、特定の波長を有する光以外の光を吸収又は反射し、特定の波長を有する光を選択的に透過させる。積層膜81Bは、吸収型フィルタ82Bの波長選択性より高い波長選択性を有する。このため、積層膜81Bは、吸収型フィルタ82Bを透過した光の波長範囲より狭い波長範囲を有する光を透過させる。
【0052】
積層膜81Bは、受光素子51B上に配置される。吸収型フィルタ82Bは、積層膜81B上に配置される。このため、積層膜81B及び吸収型フィルタ82Bは、受光素子51Bにより受光される光91Bの光路上に配置される。このため、受光素子51Bは、吸収型フィルタ82B及び積層膜81Bを透過した光91Bを受光し、受光した光91Bに応じた信号を生成する。
【0053】
図4に図示されるように、赤外カラーフィルタ41IRは、吸収型フィルタ82IRを備える。
【0054】
吸収型フィルタ82IRは、受光素子51IR上に配置される。このため、吸収型フィルタ82IRは、受光素子51IRにより受光される光91IRの光路上に配置される。このため、受光素子51IRは、吸収型フィルタ82IRを透過した光91IRを受光し、受光した光91IRに応じた信号を生成する。
【0055】
吸収型フィルタ82IRは、赤外の光以外の光を吸収し、赤外の光を選択的に透過させる。
【0056】
積層膜81R,81G及び81Bは、無機物からなる。吸収型フィルタ82G,82B及び82IRは、有機物及び無機物からなる群より選択される少なくとも1種からなる。
【0057】
カラーフィルタアレイ32は、平坦化膜101及び102を備える。モジュール21は、マイクロレンズ42R,42G,42B及び42IRを備える。
【0058】
平坦化膜101は、複数の画素71上に配置される。平坦化膜101は、複数の画素71上の全体に広がる。平坦化膜101は、平坦な上面を有する。積層膜81R,81G及び81Bは、当該上面上に配置される。
【0059】
平坦化膜102は、平坦化膜101並びに積層膜81R,81G及び81Bに重ねて複数の画素71上に配置される。平坦化膜101は、複数の画素71上の全体に広がる。平坦化膜102は、平坦な上面を有する。吸収型フィルタ82G,82B及び82IRは、当該上面上に配置される。平坦化膜102は、積層膜81R,81G及び81Bと吸収型フィルタ82G,82B及び82IRとの間に配置される。このため、平坦化膜102は、積層膜81R,81G及び81Bと吸収型フィルタ82G,82B及び82IRとを互いに隔てるスペーサ部材となる。
【0060】
マイクロレンズ42R,42G,42B及び42IRは、赤色カラーフィルタ41R、緑色カラーフィルタ41G、青色カラーフィルタ41B及び赤外カラーフィルタ41IR上にそれぞれ配置される。
【0061】
光91R,91G,91B及び91IRは、マイクロレンズ42R,42G,42B及び42IRをそれぞれ透過し、平坦化膜101及び102を透過する。
【0062】
1.6 積層膜の構造
図4及び図5に図示されるように、生体情報計測装置1は、複数の積層膜81R,81G及び81Bを備え、複数の受光素子51R,51G及び51Bを備える。複数の受光素子51R,51G及び51Bは、複数の積層膜81R,81G及び81Bを透過した光91R,91G及び91Bをそれぞれ受光し、光91R,91G及び91Bに応じた信号をそれぞれ生成する。複数の積層膜81R,81G及び81Bは、互いに異なる波長選択性を有する。
【0063】
図7は、第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる積層膜を模式的に図示する断面図である。
【0064】
図7に図示されるように、積層膜81R,81G及び81Bの各積層膜81は、複数の層111を備える。
【0065】
複数の層111は、互いに異なる屈折率を有する2種の層121及び122を含む。複数の層111は、積層される。これにより、各積層膜81は、透過させる光を2種の層121及び122の界面において反射し、反射した光を互いに干渉させる。これにより、各積層膜81は、特定の波長帯に属する光を透過させ、特定の波長帯に属する光をほとんど透過させない。これにより、各積層膜81は、高い波長選択性を有する。複数の層111が、互いに異なる屈折率を有する3種以上の層を含んでもよい。
【0066】
複数の層111の各々は、20nm以上及び500nm以下の厚さを有する。複数の層111は、望ましくは、5層以上の層である。これらにより、高い波長選択性を有する積層膜81を得ることが容易になる。複数の層111の数の上限は制限されないが、複数の層111は、例えば、30層以下の層である。
【0067】
各積層膜81の波長選択性は、各積層膜81に備えられる複数の層111の厚さ及び数の組み合わせに依存する。また、複数の積層膜81R,81G及び81Bは、互いに異なる波長選択性を有する。このため、複数の層111の厚さ及び数の組み合わせは、複数の積層膜81R,81G及び81Bの間で異なる。
【0068】
1.7 赤色カラーフィルタに備えられる積層膜の分光透過率
図8は、第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる赤色カラーフィルタに備えられる積層膜の分光透過率の例を示すグラフである。当該グラフにおいては、横軸に波長がとられており、縦軸に透過率がとられている。
【0069】
図8に示されるように、積層膜81Rは、620nm以上740nm以下の波長において極大となる分光透過率を有する。これにより、積層膜81Rを備える赤色画素71Rの、620nmから740nmまでの波長帯における感度を高くすることができる。
【0070】
酸化ヘモグロビンの吸収係数は、620nmから740nmまでの波長帯において小さくなる。このため、当該波長帯に属する波長を有する光からは、容積脈波をほとんど取得することができない。このため、積層膜81Rを透過した光91Rを受光する受光素子51Rにより生成される信号は、容積脈波からノイズを除去するための参照信号として好適に用いられる。例えば、受光素子51Rにより生成される信号は、積層膜81Gを透過した光91Gを受光する受光素子51G又は積層膜81Bを透過した光91Bを受光する受光素子51Bにより生成された信号から取得された容積脈波からノイズを除去するための参照信号として好適に用いられる。これにより、体動、光源の変動、個体差が大きいメラニンによる光の吸収等に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0071】
積層膜81Rの長波長側の分光透過率は、受光素子51Rに備えられるフォトダイオードの吸収係数に応じて設計される。例えば、当該フォトダイオードの量子効率が1000nm以上の波長において十分に小さくなる場合は、図8に示されるように、積層膜81Rの長波長側の分光透過率は、1000nm未満の波長において小さくなり、1000nm以上の波長において大きくなるように設計される。ただし、フォトダイオードの吸収係数が小さくなる波長は、固体撮像素子33の側の条件により変化する。このため、積層膜81Rの長波長側の分光透過率が大きくなる波長は、特に制限されない。
【0072】
1.8 緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタに備えられる積層膜の分光透過率
図9は、第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタに備えられる積層膜の分光透過率の例を示すグラフである。当該グラフにおいては、横軸に波長がとられており、縦軸に透過率がとられている。
【0073】
図9に示されるように、積層膜81G及び81Bは、760nm以上1100nm以下の波長において極小となる分光透過率を有する。これにより、積層膜81G及び81Bをそれぞれ備える緑色画素71G及び青色画素71Bの760nmから1100nmまでの波長帯における感度を低くすることができる。
【0074】
酸化ヘモグロビンの吸収係数は、可視光の波長域において大きくなり、近赤外の波長域において小さくなる。このため、大きな振幅を有する容積脈波を取得するためには、近赤外の波長域に属する波長を有する波長成分が除去された光から容積脈波を取得することが望まれる。このため、積層膜81G及び81Bをそれぞれ透過した光を受光する受光素子51G及び51Bにより生成される信号は、容積脈波を取得するための信号として好適に用いられる。
【0075】
吸収型フィルタ82G及び82Bは、近赤外の波長域において比較的大きな透過率を有する。しかし、緑色画素71G及び青色画素71Bにおいては、近赤外の波長域において比較的大きな透過率を有する吸収型フィルタ82G及び82Bに、近赤外の波長域において小さな透過率しか有しない積層膜81G及び81Bがそれぞれ重ねられる。これにより、近赤外の波長域において低い感度しか有しない緑色画素71G及び青色画素71Bを得ることができる。
【0076】
積層膜81G及び81Bの長波長側の分光透過率は、受光素子51G及び51Bに備えられるフォトダイオードの吸収係数に応じて設計される。例えば、当該フォトダイオードの量子効率が1000nm以上の波長において十分に小さくなる場合は、図9に示されるように、積層膜81G及び81Bの長波長側の分光透過率は、1000nm未満の波長において小さくなり、1000nm以上の波長において大きくなるように設計される。ただし、フォトダイオードの吸収係数が小さくなる波長は、固体撮像素子33の側の条件により変化する。このため、積層膜81G及び81Bの長波長側の分光透過率が大きくなる波長は、特に制限されない。
【0077】
1.9 画素の分光感度
図10は、第1実施形態の生体情報計測装置に備えられる赤色画素(RE)、緑色画素(GR)、青色画素(BU)及び赤外画素(IR)の分光感度の例を示すグラフである。
【0078】
赤色画素71Rは、図10に示されるように、620nmから740nmまでの波長帯においてのみ高い感度を有する。これにより、赤色画素71Rにより生成される信号は、容積脈波からノイズを除去するための参照信号として好適に用いられる
【0079】
緑色画素71G及び青色画素71Bは、図10に示されるように、酸化ヘモグロビンの吸収係数の高い可視光域で高い感度を有し、酸化ヘモグロビンの吸収係数の低い760nmから1100nmまでの波長帯において低い感度しか有しない。これにより、緑色画素71G及び青色画素71Bにより生成される信号は、大きな振幅を有する容積脈波を取得するための信号として好適に用いられる。
【0080】
これらにより、カラーフィルタアレイ32及び固体撮像素子33は、容積脈波等の生体情報の計測に好適に用いられる固体撮像素子を構成する。当該固体撮像素子を生体情報計測装置1に組み込むことにより、大きな振幅を有する容積脈波を取得するのに好適な信号を生成することができ、体動、光源の変動、個体差が大きいメラニンによる光の吸収等に起因するノイズを除去するのに適した参照信号を生成することができる。その結果として、容積脈波を高い精度で計測することができ、容積脈波から心拍数、血圧等を高い精度で推定することができる。
【0081】
1.10 生体情報計測装置の製造方法
図11は、第1実施形態の生体情報計測装置の製造の流れを示すフローチャートである。
【0082】
第1実施形態の生体情報計測装置が製造される際には、図11に示されるステップS1からS3までが実行される。
【0083】
ステップS1においては、半導体基板に複数の受光素子51が形成される。これにより、固体撮像素子33が製造される。
【0084】
続くステップS2においては、複数の受光素子51を覆うように半導体基板上に絶縁膜が形成される。
【0085】
続くステップS3においては、複数の受光素子51にそれぞれ対応する複数のカラーフィルタ41が絶縁膜上に形成される。形成される複数のカラーフィルタ41は、少なくとも620nm以上740nm以下の波長において極大となる分光透過率又は少なくとも760nm以上1100nm以下の波長において極小となる分光透過率を有する光学フィルタを含む。少なくとも620nm以上740nm以下の波長において極大となる分光透過率を有する光学フィルタは、積層膜81Rである。少なくとも760nm以上1100nm以下の波長において極小となる分光透過率を有する光学フィルタは、積層膜81G及び81Bである。
【0086】
1.10 変形例
図12は、第1実施形態の変形例の生体情報計測装置に備えられる緑色画素及び青色画素を模式的に図示する断面図である。
【0087】
変形例においては、受光素子51G及び51Bがそれぞれ互いに隣接する第1及び第2の受光素子であり、光91G及び光91Bがそれぞれ第1及び第2の光であり、吸収型フィルタ82G及び82Bがそれぞれ互いに隣接する第1及び第2の吸収型フィルタであり、受光素子51G及び51Bにより生成される信号がそれぞれ第1及び第2の信号である。
【0088】
受光素子51G及び51Bは、互いに隣接する。このため、緑色画素71G及び青色画素71Bも、互いに隣接する。
【0089】
カラーフィルタアレイ32は、受光素子51G及び51Bに共通の積層膜81GBを備える。
【0090】
受光素子51Gは、吸収型フィルタ82G及び共通の積層膜81GBを透過した光91Gを受光し、受光した光91Gに応じた信号を生成する。受光素子51Bは、吸収型フィルタ82B及び共通の積層膜81GBを透過した光91Bを受光し、受光した光91Bに応じた信号を生成する。
【0091】
これらにより、緑色画素71G及び青色画素71Bの境界の付近まで共通の積層膜81GBの有効領域を広げることができる。
【0092】
1.11 生体情報計測装置による生体情報の計測の手順
生体情報計測装置1が生体情報を計測する際には、モジュール21が、生体11から到来した光12を受光し、受光した光により形成される生体11の像に応じた信号群13を生成する。これにより、モジュール21は、生体11を撮像する。モジュール21は、生体11を撮像することにより得られる画像に生体11の皮膚が写った領域が含まれるように生体11を撮像する。例えば、モジュール21は、当該画像に顔、手等が写った領域が含まれるように生体11を撮像する。
【0093】
続いて、信号処理部22が、当該領域を撮像した赤色画素71R、緑色画素71G、青色画素71B及び赤外画素71IRによりそれぞれ生成された第1の信号、第2の信号、第3の信号及び第4の信号に対して信号処理を行う。行われる信号処理は、生成された第1の信号、第2の信号、第3の信号及び第4の信号の各々を平均化する信号処理を含む。行われる信号処理が、生成された第1の信号、第2の信号、第3の信号及び第4の信号の各々を平均化する信号処理以外の信号処理を含んでもよい。例えば、行われる信号処理が、生成された第1の信号、第2の信号、第3の信号及び第4の信号の各々の中央値を取得する処理を含んでもよい。
【0094】
信号処理部22は、信号処理が行われた第1の信号、第2の信号、第3の信号及び第4の信号に対して数値処理を行って容積脈波からノイズを除去する。除去されるノイズは、体動、光源の変動、個体差が大きいメラニンによる光の吸収等に起因する。行われる信号処理は、信号処理が行われた第1の信号、第2の信号、第3の信号及び第4の信号に係数を乗じることを含み、係数を乗じることにより得られる信号に対して足し算及び引き算を組み合わせた演算を行うことを含む。数値処理の途上で、演算を容易にするために、信号の対数をとる処理が行われてもよい。
【0095】
信号処理部22は、数値処理を行うことにより得た信号を時系列で配列する。これにより、信号処理部22は、容積脈波の波形を取得することができる。
【0096】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 生体情報計測装置、11 生体、12 光、13 信号群、21 モジュール、22 信号処理部、31 レンズ、32 カラーフィルタアレイ、33 固体撮像素子、34 支持部材、41 カラーフィルタ、41R 赤色カラーフィルタ、41G 緑色カラーフィルタ、41B 青色カラーフィルタ、41IR 赤外カラーフィルタ、51 受光素子、51R,51G,51B,51IR 受光素子、61 画素アレイ、71 画素、71R 赤色画素、71G 緑色画素、71B 青色画素、71IR 赤外画素、81,81R,81G,81B 積層膜、82G,82B 吸収型フィルタ、82IR 吸収型フィルタ、91R,91G,91B,91IR 光、101,102 平坦化膜、111,121,122 層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12