(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095065
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】チャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置
(51)【国際特許分類】
E21D 9/093 20060101AFI20240703BHJP
E21D 9/06 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E21D9/093 F
E21D9/06 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212070
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】501254955
【氏名又は名称】川崎地質株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 潔
(72)【発明者】
【氏名】今井 利宗
(72)【発明者】
【氏名】西山 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 康宏
(72)【発明者】
【氏名】野津 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山田 茂治
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC04
2D054BA04
2D054BA07
2D054CA03
2D054CA04
2D054DA03
2D054GA10
2D054GA15
2D054GA83
2D054GA93
(57)【要約】
【課題】泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性計測を、チャンバー内掘削土内に突起物を挿入したり、センシング部分を掘削土に密着させることなく実施できる塑性流動性計測装置。
【解決手段】掘削土をチャンバー内において攪拌して塑性流動性を与え、当該掘削土の土圧を切刃に作用させて掘進を行う泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性を計測する装置。送信アンテナと、前記送信アンテナから放射され、前記チャンバー内の前記掘削土を通過してきた到来波を受信信号として受信する受信アンテナと、前記受信アンテナで受信した前記受信信号を分析して前記掘削土の塑性流動性を判定する分析処理部とを備えているチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削土をチャンバー内において攪拌して塑性流動性を与え、当該掘削土の土圧を切刃に作用させて掘進を行う泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性を計測する装置であって、
送信アンテナと、
前記送信アンテナから放射され、前記チャンバー内の前記掘削土を通過してきた到来波を受信信号として受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信した前記受信信号を分析して前記掘削土の塑性流動性を判定する分析処理部と
を備えているチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【請求項2】
前記送信アンテナは、前記カッターヘッドの回転に伴って回転し、前記受信アンテナは位置固定されている請求項1記載のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【請求項3】
前記送信アンテナは、前記カッターヘッドの背面側に配置され、前記受信アンテナは、前記チャンバーを隔てた隔壁部側に配置されている請求項1又は2記載のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【請求項4】
前記送信アンテナが1台配備され、前記受信アンテナが複数台配備されていて、1台の前記送信アンテナから放射され、前記チャンバー内の前記掘削土を通過してきた到来波を複数台の前記受信アンテナが同時に受信信号として受信する請求項1又は2記載のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【請求項5】
前記送信アンテナが1台配備され、前記受信アンテナが複数台配備されていて、1台の前記送信アンテナから放射され、前記チャンバー内の前記掘削土を通過してきた到来波を複数台の前記受信アンテナが同時に受信信号として受信する請求項3記載のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【請求項6】
前記送信アンテナ、前記受信アンテナはそれぞれ複数台配備されていて、複数の前記送信アンテナの中の各送信アンテナからの放射が順次行われる請求項1又は2記載のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【請求項7】
前記送信アンテナ、前記受信アンテナは、それぞれ、複数台配備されていて、複数の前記送信アンテナの中の各送信アンテナからの放射が順次行われる請求項3記載のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【請求項8】
前記送信アンテナは、前記カッターヘッドの回転の中心となる回転中心軸を中心として前記カッターヘッドが回転する円周方向に隣接する送信アンテナとの間に所定の間隔を空けて複数個配置されている請求項1記載のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【請求項9】
前記受信アンテナは、前記チャンバーを隔てた隔壁部側に複数個配置されている請求項8記載のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性計測装置に関し、特に、センシング部分を掘削土に接触させない電波式塑性流動性計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
泥土圧式シールド工法では、先端側にカッターヘッドを有するカッター装置の背後に掘削土を取り込むチャンバーを設けた泥土圧式シールド掘削機を用いて掘進が行われる。チャンバー内に取り込んだ掘削土に対して加水ベントナイト、高分子材料、等の薬液、気泡、等を添加し、攪拌翼で攪拌して前記掘削土に所定の塑性流動性を持たせ、その土圧をカッターヘッド切羽に作用させ、切羽を安定に保持しつつ掘進が行われる。
【0003】
泥土圧式シールド工法では、掘削土による上述の土圧を、切羽の全面に対して均一かつ安定に作用させることが重要で、チャンバー内における掘削土の塑性流動性を適切に設定しかつ安定に維持することが望まれる。このため、掘削土がチャンバー内全体において均一に塑性流動化しているかどうか、掘削中に逐次確認する必要がある。
【0004】
そこで、泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の硬軟状況の把握、チャンバー内掘削土の塑性流動性の測定に関しては従来から種々提案されている。
【0005】
特許文献1には、回転フラッパー式の測定装置をチャンバー内に突出させ、それを掘削土中において回転させた際の回転トルクを測定することにより測定装置が掘削土から受ける抵抗力に基づいてチャンバー内掘削土の塑性流動性を評価する方法が提案されている。
【0006】
特許文献2、3には、掘削土をチャンバー内で攪拌する攪拌翼が通過する軌跡の近傍位置における複数個所に土圧計を配備し、土圧計による計測値からチャンバー内の複数個所における掘削土の塑性流動性を評価する方法が提案されている。
【0007】
いずれも、チャンバー内に突起物を挿入したり、センシング部分を掘削土に密着させるもので、外力・摩耗、等による故障の発生という問題を考慮する必要があった。
【0008】
本願出願人は、探査対象物の中に突起物を挿入したり、センシング部分を探査対象物に密着させる必要のない探査方式として、掘削機の前方を前方探査レーダで探査する方式について種々の提案を行っている(特許文献4)。
【0009】
しかし、泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性計測において、探査対象物であるチャンバー内掘削土内に突起物を挿入したり、センシング部分を掘削土に密着させる必要のない計測方法、計測装置は、従来、提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-191878号公報
【特許文献2】特開2014-9545号公報
【特許文献3】特開2018-154998号公報
【特許文献4】特開2016-248390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性計測を、チャンバー内掘削土内に突起物を挿入したり、センシング部分を掘削土に密着させることなく実施できる塑性流動性計測装置を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成する本発明は以下のように例示することができる。
[1]
掘削土をチャンバー内において攪拌して塑性流動性を与え、当該掘削土の土圧を切刃に作用させて掘進を行う泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性を計測する装置であって、
送信アンテナと、
前記送信アンテナから放射され、前記チャンバー内の前記掘削土を通過してきた到来波を受信信号として受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信した前記受信信号を分析して前記掘削土の塑性流動性を判定する分析処理部と
を備えているチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【0013】
[2]
前記送信アンテナは、前記カッターヘッドの回転に伴って回転し、前記受信アンテナは位置固定されている[1]のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【0014】
[3]
前記送信アンテナは、前記カッターヘッドの背面側に配置され、前記受信アンテナは、前記チャンバーを隔てた隔壁部側に配置されている[1]又は[2]のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【0015】
[4]
前記送信アンテナが1台配備され、前記受信アンテナが複数台配備されていて、1台の前記送信アンテナから放射され、前記チャンバー内の前記掘削土を通過してきた到来波を複数台の前記受信アンテナが同時に受信信号として受信する[1]又は[2]のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【0016】
[5]
前記送信アンテナが1台配備され、前記受信アンテナが複数台配備されていて、1台の前記送信アンテナから放射され、前記チャンバー内の前記掘削土を通過してきた到来波を複数台の前記受信アンテナが同時に受信信号として受信する[3]のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【0017】
[6]
前記送信アンテナ、前記受信アンテナはそれぞれ複数台配備されていて、複数の前記送信アンテナの中の各送信アンテナからの放射が順次行われる[1]又は[2]のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【0018】
[7]
前記送信アンテナ、前記受信アンテナは、それぞれ、複数台配備されていて、複数の前記送信アンテナの中の各送信アンテナからの放射が順次行われる[3]のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【0019】
[8]
前記送信アンテナは、前記カッターヘッドの回転の中心となる回転中心軸を中心として前記カッターヘッドが回転する円周方向に隣接する送信アンテナとの間に所定の間隔を空けて複数個配置されている[1]のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【0020】
[9]
前記受信アンテナは、前記チャンバーを隔てた隔壁部側に複数個配置されている[8]のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性計測を、チャンバー内掘削土内に突起物を挿入したり、センシング部分を掘削土に密着させることなく実施できる塑性流動性計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の一実施形態に係るチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置の構成の一例を説明する概念図。
【
図2】この発明の一実施形態に係るチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置における送信アンテナ、受信アンテナの配置形態の一例を説明する概念図。
【
図3】この発明の一実施形態に係るチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置のシステム構成の一例を説明する概念図。
【
図4】(a)
図2でカッターヘッドの背面側に配置される複数台の送信アンテナの配置形態の一例を
図2のB-B方向で見て表す図、(b)
図2で隔壁部側に配置される複数台の受信アンテナの配置形態の一例を
図2のA-A方向で見て表す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
泥土圧式シールド掘削機では、
図1図示のように、先端側(
図1の左側)にカッターヘッドを有するカッター装置の背後に掘削土を取り込むチャンバーが配備されている。チャンバー内に取り込んだ掘削土に対して加水ベントナイト、高分子材料、等の薬液、気泡、等の添加剤を添加し、不図示の攪拌翼で攪拌して掘削土に所定の塑性流動性を持たせ、その土圧をカッターヘッドの切羽に作用させ、切羽を安定に保持しつつ掘進が行われる。
【0024】
この実施形態のチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置は、
図1図のように、掘削土をチャンバー内において攪拌して塑性流動性を与え、掘削土の土圧を切り刃に作用させて掘進を行う泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性を計測する装置である。
【0025】
この実施形態に係るチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置は、
図1図示のように送信アンテナTXと、受信アンテナRXとを備えており、更に、
図3に図示されている分析処理部を備えている。
【0026】
送信アンテナTXと受信アンテナRXとは、送信アンテナTXから放射され、チャンバー内の掘削土を通過してきた到来波を受信アンテナRXが受信信号として受信する関係にある。
【0027】
また、分析処理部は、受信アンテナRXで受信した受信信号を分析して掘削土の塑性流動性を判定する処理を行う。
【0028】
例えば、泥土圧式シールド掘削機で掘進が行われるエリアの土砂に対して上述した添加剤を添加して、上述したように泥土圧式シールド掘削機のチャンバー内で攪拌が行われて土砂に塑性流動性が与えられた状態を再現し、このときの送信アンテナTXから放射される電波の透過計測データをあらかじめ実験によって入手して基準データとしておく。
【0029】
コンピュータからなる分析処理部で、受信アンテナRXが受信した信号成分を、前記基準データの基準成分と比較することで、電圧レベル、通過時間、周波数成分などを計測・分析してチャンバー内掘削土の塑性流動性を計測するものである。
【0030】
送信アンテナTX、受信アンテナRXは上述した機能を発揮できれば良いので、チャンバー内で上述したように攪拌されている掘削土に接触しない形態で配置することができる。
【0031】
これによって、泥土圧式シールド工法におけるチャンバー内掘削土の塑性流動性計測を、チャンバー内掘削土内に突起物を挿入したり、センシング部分を掘削土に密着させることなく実施できる。
【0032】
これにより、チャンバー内に突起物を取り付けることなく、塑性流動性の分布把握が可能になり、チャンバー内で土砂が攪拌しても、チャンバー内掘削土の塑性流動性計測装置に故障が発生するおそれはない。
【0033】
図3は、この発明の一実施形態に係るチャンバー内掘削土の電波式塑性流動性計測装置のシステム構成の一例を説明する概念図である。
【0034】
図3では、カッターヘッド側に複数個の送信アンテナT1、T2、T3、T4が配備され、チャンバーを隔てた隔壁部側に複数個の受信アンテナR1、R2、R3、R4が配備されている。
【0035】
カッターヘッド側にはカッターヘッド側隔壁、隔壁部側には隔壁部側隔壁がそれぞれ配備されていることで、送信アンテナT1、T2、T3、T4、受信アンテナR1、R2、R3、R4は、チャンバー内で攪拌されている掘削土に接触しない形態になっている。
【0036】
送信アンテナTXから放射され、チャンバー内の掘削土を通過してきた到来波を受信アンテナRXが受信信号として受信する関係になっていて、送信アンテナTX、受信アンテナRXが、チャンバー内で攪拌されている掘削土に接触しない構造であればよいので、
図3で説明している構造とは異なる他の種々の実施形態によって、送信アンテナTX、受信アンテナRXが、チャンバー内で攪拌されている掘削土に接触しない構造にすることができる。
【0037】
前記において、送信アンテナTXは、カッターヘッドの回転に伴って回転し、受信アンテナRXは位置固定されている配置形態にすることができる。
【0038】
例えば、送信アンテナTXは、カッターヘッドの背面側に配置して、カッターヘッドの回転に伴って回転する構成にすることができる。
【0039】
一方、受信アンテナRXは、チャンバーを隔てた隔壁部側に配置することで、位置固定されている配置形態にすることができる。
【0040】
カッターヘッドの回転に伴って回転する送信アンテナTXから放射され、チャンバー内の掘削土を通過してきた到来波を受信アンテナRXが受信信号として受信して分析が行われることで、チャンバー内の全体のデータを得て、チャンバー内全体の塑性流動性分布を把握することが容易になり、塑性流動性計測の信頼性を向上させる上で有利である。
【0041】
なお、隔壁部側に位置固定的に配置する受信アンテナRXは、隔壁部側に取り付け、取り外し可能な構造にして、隔壁部側に受信アンテナRXを取り付ける位置を任意に変更できるようにすることができる。このようにすれば測定精度を向上させる上で有利である。
【0042】
前記において、送信アンテナTXが1台配備され、受信アンテナRXが複数台配備されていて、1台の送信アンテナTXから放射され、チャンバー内の掘削土を通過してきた到来波を複数台の受信アンテナTXが同時に受信信号として受信する構成にすることもできる。
【0043】
リアルタイムで流動性を把握し、チャンバー内の全体のデータを得て、チャンバー内全体の塑性流動性分布を把握する上で有利である。
【0044】
前記において、送信アンテナTXが複数台配備されていて、複数の送信アンテナTXの中の各送信アンテナTXからの電波の放射が順次行われる構成にすることができる。
【0045】
例えば、
図4(a)図示のように、送信アンテナT1、T4が、カッターヘッドの回転の中心となる回転中心軸を中心としてカッターヘッドが回転する円周方向に隣接する送信アンテナT1、T4との間に所定の間隔を空けて複数個配置する構成にすることができる。
図4(a)では、送信アンテナT1、T4はカッターヘッドが回転する円周方向で180度の円周角で配置されている。また、
図4(a)では、送信アンテナT1、T4の半径方向で内側に、カッターヘッドが回転する円周方向で180度の円周角で送信アンテナT2、T3が配置されている。
【0046】
図4(a)に例示するように、複数の送信アンテナTXを、カッターヘッドの回転の中心となる回転中心軸を中心としてカッターヘッドが回転する円周方向に隣接する送信アンテナTXとの間に所定の間隔を空けて複数個配置している場合、カッターヘッドが回転していないときでも、円周方向に並んで配置されている複数の送信アンテナTXの中の円周方向における各送信アンテナTXから電波の放射を順次行うようにすると、カッターヘッドが回転していない状態、すなわち、夜間などでカッターヘッドの回転を停止しているときでも、土砂の分布などの塑性流動性分布、添加剤の水分置換量、不要土砂の流入監視などを行う上で有利である。
【0047】
図4(b)は、
図2で隔壁部側に配置される複数台の受信アンテナRXの配置形態の一例を
図2のA-A方向で見て表す図である。
【0048】
複数台の受信アンテナRXも、
図4(b)図示のように、カッターヘッドの回転の中心となる回転中心軸を中心としてカッターヘッドが回転する円周方向に隣接する受信アンテナRXとの間に所定の間隔を空けて複数個配置する構成にすることができる。
【0049】
図4(b)図示の実施形態では、受信アンテナR1、R2、R6、R5がカッターヘッドが回転する円周方向で45度ずつの円周角の関係で配置され、受信アンテナR8、R9、R11、R1がカッターヘッドが回転する円周方向で45度ずつの円周角の関係で配置され、受信アンテナR5と受信アンテナR8とは円周方向で90度の円周角の関係で配置されている。
【0050】
そして、受信アンテナR1、R2、R6、R5、R8、R9、R11の半径方向で内側に、カッターヘッドが回転する円周方向で90度の円周角で受信アンテナR3、R7、R4、R10が配置されている。
【0051】
いずれにしても、複数の送信アンテナTXや、複数の受信アンテナRXを使用する場合、チャンバー内の土砂を電波が均一に透過する配置形態にすることが望ましい。この場合、泥土圧式シールド掘削機の直径、すなわち、カッターヘッドの直径の大きさや、使用する波長を考慮して、望ましい配置形態を採用することになる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。