(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095066
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】汚臭物用袋
(51)【国際特許分類】
B65F 1/00 20060101AFI20240703BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240703BHJP
B65F 1/14 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B65F1/00 J
B65D33/00 A
B65D33/00 Z
B65F1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212071
(22)【出願日】2022-12-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 有菜
【テーマコード(参考)】
3E023
3E064
【Fターム(参考)】
3E023BA04
3E023BA20
3E064BA24
3E064BA29
3E064BB03
3E064EA22
3E064EA30
3E064HA06
3E064HN70
(57)【要約】
【課題】ゴミ袋等に保管しても外側表面に雑菌等が繁殖することがなく、使用者の嫌悪感が少ない汚臭物廃棄袋を提供する。
【解決手段】汚臭物用袋を構成するシート材20は、最内側に配置される第1のフィルム層21と、最外側に配置される第2のフィルム層22と、第1のフィルム層21及び第2のフィルム層22の間に配置される第3のフィルム層23とを少なくとも備えている。第1のフィルム層21はポリオレフィン系樹脂、第2のフィルム層22は抗菌剤が添加されたポリオレフィン系樹脂、第3のフィルム層23は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂から構成されている。汚臭物用袋は、透明又は半透明の青系色に着色されており、汚臭物用袋の表面には、非透明のマーク12が互いに所定の間隔を空けて多数配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層以上のフィルム層を積層したシート材から成る汚臭物用袋であって、
前記シート材の最内側に配置された第1のフィルム層は、ポリオレフィン系樹脂から成り、
前記シート材の最外側に配置された第2のフィルム層は、抗菌剤を添加したポリオレフィン系樹脂から成り、
前記第1のフィルム層と前記第2のフィルム層の間に配置された第3のフィルム層は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂から成ることを特徴とする汚臭物用袋。
【請求項2】
前記第1のフィルム層は、抗菌剤が添加されていることを特徴とする請求項1に記載の汚臭物用袋。
【請求項3】
前記第1のフィルム層及び前記第3のフィルム層と、前記第2のフィルム層及び前記第3のフィルム層とは、接着層を介して接していることを特徴とする請求項1に記載の汚臭物用袋。
【請求項4】
前記第3のフィルム層は、前記エチレンビニルアルコール共重合樹脂の層の一方の面にポリアミド層を配置したことを特徴とする請求項3に記載の汚臭物用袋。
【請求項5】
前記シート材は、透明又は半透明の青系色に着色されていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の汚臭物用袋。
【請求項6】
前記シート材は、非透明の柄が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の汚臭物用袋。
【請求項7】
前記柄は、マークが互いに所定間隔を空けて多数配置されていることを特徴とする請求項6に記載の汚臭物用袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚臭物を収納する汚臭物用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、低密度ポリエチレン樹脂から成る外面フィルム層と、除菌剤及び消臭剤を混練した高密度ポリエチレン樹脂から成る内面フィルム層との2層から構成される汚臭物廃棄袋が開示されている。
【0003】
また、汚臭物を廃棄する樹脂シート体から成る袋体として、廃棄した内容物が外部から確認できるように透明である袋体を用いたり、又は全く内容物が確認することができない非透明である袋体を用いたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の汚臭物廃棄袋では、内面フィルムに除菌剤及び消臭剤を混練したフィルム層を採用しているため、袋体に入れた汚臭物に対して大腸菌等の雑菌の繁殖の防止や汚臭物から発生する悪臭を遮断することが可能である。
【0006】
しかし、汚臭物が入った汚臭物廃棄袋は、大きなゴミ袋やゴミ箱の中に入れて、ゴミ捨て日まで保管しなければならず、汚臭物廃棄袋の外側表面に雑菌等が繁殖することで、汚臭物廃棄袋から臭気が発生し、大きなゴミ袋内やゴミ箱内に臭気が充満することがある。
【0007】
また、外出時に汚臭物が入った袋体を鞄等に入れて家まで持ち帰る際に、透明である袋体を使用した場合では、袋体の中に入れた内容物、例えば、使用済みのお尻拭きシートやおむつ等が外側から確認できるものの、どのような状態なのか明瞭に分かってしまい不快に感じることがある。
【0008】
これに対して、非透明である袋体を使用した場合では、内容物が外側から全く確認できないため、どのような状態なのか分からず不安になることもある。
【0009】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、大きなゴミ袋等に保管しても外側表面に雑菌等が繁殖することがなく、使用者の嫌悪感が少ない汚臭物廃棄袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するための本発明に係る汚臭物用袋は、少なくとも3層以上のフィルム層を積層したシート材から成る汚臭物用袋であって、前記シート材の最内側に配置された第1のフィルム層は、ポリオレフィン系樹脂から成り、前記シート材の最外側に配置された第2のフィルム層は、抗菌剤を添加したポリオレフィン系樹脂から成り、前記第1のフィルム層と前記第2のフィルム層の間に配置された第3のフィルム層は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る汚臭物用袋によれば、大きなゴミ袋内やごみ箱内に、汚臭物が入った汚臭物用袋を廃棄した後であっても、汚臭物用袋から臭気が発生することはなく、ゴミ袋内やゴミ箱内に臭気が充満することもない。
【0012】
また、透明又は半透明の青系色のシート材を採用することで、外側から内容物を確認できると共に、汚臭物の色をカモフラージュすることができ、不快に感じることもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】汚臭物を収容し、開口部を封止した状態の汚臭物用袋の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は汚臭物用袋の外観図であり、汚臭物用袋10は開口部11を有し、シート材20から成る袋状をしており、例えば幅20cm、高さ30cm程度の大きさである。汚臭物用袋10の大きさは、用途に応じて適宜の大きさのものを採用することができる。
【0015】
この汚臭物用袋10は、透明又は半透明の青系色に着色されている。また、汚臭物用袋10の表面には、非透明の柄が形成されており、例えば多数の星状のマーク12が互いに所定の間隔を空けて多数配置されている。これらのマーク12には、星状以外にキャラクタ、文字のマークや、線状のマークを平行に所定の間隔を空けて配置して縞模様を形成するようにしてもよい。
【0016】
図2はシート材20の断面図であり、シート材20は少なくとも3層以上のフィルム層を積層して構成されており、最内側に配置される第1のフィルム層21と、最外側に配置される第2のフィルム層22と、第1のフィルム層21及び第2のフィルム層22の間に配置される第3のフィルム層23とを少なくとも備えている。
【0017】
このシート材20は、少なくとも上述の3層以上のフィルム層が積層されたものであればよいが、図示する第1、第2の接着層24、25等を含めて多数層に積層されたものが好ましい。
【0018】
第1のフィルム層21は、汚臭物用袋10の内側表面を構成する層であり、ポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等から構成されている。また、この第1のフィルム層21として、ポリエチレンを採用した場合には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を適宜に採用することができる。
【0019】
なお、第1のフィルム層21は、抗菌作用を有する一般的に広く使用される抗菌剤、例えば、銀系の抗菌剤が添加されたものであってもよい。
【0020】
第1のフィルム層21は、1層のポリオレフィン系樹脂層から成るものであってもよく、又は、2層以上のポリオレフィン系樹脂層を積層させたものであってもよく、例えば、前述の抗菌剤が添加されているポリオレフィン系樹脂層を内側に配置すると共に、抗菌剤が添加されていないポリオレフィン系樹脂層を外側に配置し、これらの2層を積層して第1のフィルム層21とすることもできる。また、互いに密度が異なるポリエチレン層を積層したものであっても支障はない。
【0021】
第2のフィルム層22は、汚臭物用袋10の外側表面を構成する層であり、前述の抗菌剤が添加されたポリオレフィン系樹脂から構成されている。このポリオレフィン系樹脂は、第1のフィルム層21と同様に、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。
【0022】
第3のフィルム層23は、第1のフィルム層21と第2のフィルム層22との間に配置されるフィルム層であり、例えば、エチレンビニルアルコール共重合樹脂から構成されている。
【0023】
このエチレンビニルアルコール共重合樹脂はガスバリア機能に優れるため、汚臭物からの臭気の透過を抑えることができる。しかし、このガスバリア機能は水蒸気との接触によって低下してしまうので、この第3のフィルム層23を、第1のフィルム層21と第2のフィルム層22との間に配置することにより、外部からの水蒸気との接触を防止している。水蒸気との接触を防止することで、ガスバリア性の低下を抑えることができ、臭気の透過を抑制することが可能である。
【0024】
第3のフィルム層23は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂の層からのみ成るものであってもよいが、エチレンビニルアルコール共重合樹脂の層の一方の面に、ポリアミド層を積層させたものを使用することもできる。
【0025】
この一方の面に積層したポリアミド層は、最内層側に積層させることもできるが、最外層側に積層させることがより好ましい。第3のフィルム層23がポリアミド層を更に備えることによって、汚臭物用袋10の強度を高めることができる。
【0026】
また、ポリアミド層を構成するポリアミドとして、ガスバリア性を備えるものを使用した場合にあっては、仮にエチレンビニルアルコール共重合樹脂が吸湿により、そのガスバリア性に低下がみられたときであっても、当該ポリアミド層がなおガスバリア層として機能するため、汚臭物用袋10の全体としてのガスバリア性を維持することができる。
【0027】
第1のフィルム層21及び第3のフィルム層23は、第1の接着層24を介して接していることが好ましい。これにより、第1のフィルム層21と第3のフィルム層23との接合を強めることができる。
【0028】
同様に、第2のフィルム層22及び第3のフィルム層23もまた、第2の接着層25を介して接していることが好ましい。これにより、第2のフィルム層22と第3のフィルム層23との接合を強めることができる。接着層を構成するための接着性樹脂として、例えばポリオレフィン系接着性樹脂等の適宜の接着剤を採用することができる。
【0029】
そして、好ましいシート材20の構成例として、最内層側から最外層側へと順に、第1のフィルム層21に相当する、第1層の高密度ポリエチレン層及び第2層の低密度ポリエチレン層、第1の接着層24に相当する第3層のポリオレフィン系接着性樹脂層、第3のフィルム層23に相当する、第4層のエチレンビニルアルコール共重合樹脂層及び第5層としてポリアミド層、第2の接着層25に相当する第6層のポリオレフィン系接着性樹脂層、第2のフィルム層22に相当する第7層の抗菌剤含有高密度ポリエチレン層から構成されている。
【0030】
図3は袋内に汚臭物F、例えば使用済みのお尻拭きシートや使用済みのおむつを収容し、開口部11を封止した状態の汚臭物用袋10の説明図である。透明又は半透明の青系色に着色されているシート材20から成る汚臭物用袋10に対して、使用者は内部の内容物を目視で確認することができると共に、その際に生じる嫌悪感を低減することができる。
【0031】
何故なら、汚臭物Fである使用済みのお尻拭きシート等は、特有の黄系の色を示し、この色は使用者に嫌悪感を生じさせるが、透明又は半透明の青系色に着色されたシート材20を通して透かし見ると、黄系の色から緑系の色として見えるため、使用者に嫌悪感を生じさせることが少ない。
【0032】
なお、シート材20に使用される青系色には、青色、紺色、紫色及び緑色が含まれ、シート材20を青系色に着色されたものとするに当たっては、シート材20を構成するフィルム層のうち一部の層が着色されていてもよく、全部の層が着色されていてもよい。
【0033】
また、シート材20には、非透明の柄を形成するマーク12が互いに所定間隔を空けて多数配置されていることで、袋内の汚臭物Fの一部が目隠しされ、更に嫌悪感が低下する。
【0034】
しかし、これらのマーク12の面積がシート材20表面の大部分を占めると内容物が外側から確認できないため、どのような状態なのか分からず不安になるので、シート材20表面の面積に対して、マーク12の面積は50%以下とすることが好ましい。
【0035】
また、非透明のマーク12は、印刷によって設けることができ、更に印刷に用いるインクに抗菌剤が添加されたものを用いることもできる。
【0036】
汚臭物用袋10は、2枚のシート材20を用い、互いに対向させた状態で、その一方を除く三方の周縁部分をヒートシールすることによって製造することができる。
【0037】
図3に示す汚臭物Fを収納した汚臭物用袋10は、外側表面を構成する第2のフィルム層22には抗菌剤が添加されているため、汚臭物用袋10の外側表面において雑菌等が繁殖することを抑制することを通じて、汚臭物用袋10からの臭気の発生を防止し、大きなゴミ袋内やゴミ箱内に臭気が充満することを防止することができる。また、袋内の汚臭物Fから発生する匂い等は、第3のフィルム層23によって通過が遮断され、袋の外部にまで漏れ出ることもない。
【0038】
また、シート材20として、透明又は半透明の青系色のものを採用することで、外側から内容物を確認できると共に、汚臭物Fの色をカモフラージュすることができ、不快に感じることもない。
【符号の説明】
【0039】
10 汚臭物用袋
12 マーク
20 シート材
21 第1のフィルム層
22 第2のフィルム層
23 第3のフィルム層
24 第1の接着層
25 第2の接着層