(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095070
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ガルバノスキャナ、及び、ガルバノスキャナを用いて目標点の高さ位置を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/082 20140101AFI20240703BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B23K26/082
B23K26/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212079
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】沖田 功
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA00
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB12
4E168EA15
4E168EA17
(57)【要約】
【課題】ガルバノスキャナを用いて目標点の高さ位置を検出する。
【解決手段】ガルバノスキャナは、レーザー経路と、観察経路と、ガルバノミラーと、カメラと、コントローラとを備える。観察経路は、レーザー経路と同軸に配置される。カメラは、観察経路を介して、目標点を含む画像を示す画像データを生成する。コントローラは、レーザー経路と観察経路との光軸の角度が第1角度である場合に、画像データに基づいて、観察平面上における目標点の平面位置を示す第1平面位置を算出する。コントローラは、ガルバノミラーによって、レーザー経路と観察経路との光軸の角度を、第1角度と異なる第2角度に変更し、画像データに基づいて、観察平面上における目標点の平面位置を示す第2平面位置を算出する。コントローラは、第1平面位置と第2平面位置とに基づいて、観察平面に垂直な方向における目標点の高さ位置を算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー発振器からのレーザー光を対象物上の目標点に照射するガルバノスキャナであって、
前記レーザー光を前記目標点まで導くレーザー経路と、
前記レーザー経路に合流し、前記レーザー経路と同軸に配置され、前記目標点を含む画像を導く観察経路と、
前記レーザー経路と前記観察経路との光軸の角度を変更するように動作可能なガルバノミラーと、
前記観察経路を介して前記画像を撮影し、前記画像を示す画像データを生成するカメラと、
前記画像データに基づいて、所定の観察平面上における前記目標点の平面位置を算出するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記レーザー経路と前記観察経路との光軸の角度が第1角度である状態で、前記観察平面上における前記目標点の平面位置を示す第1平面位置を算出し、
前記ガルバノミラーによって、前記レーザー経路と前記観察経路との光軸の角度を、前記第1角度と異なる第2角度に変更し、
前記レーザー経路と前記観察経路との光軸の角度が前記第2角度である状態で、前記観察平面上における前記目標点の平面位置を示す第2平面位置を算出し、
前記第1平面位置と前記第2平面位置とに基づいて、前記観察平面に垂直な方向における前記目標点の高さ位置を算出する、
ガルバノスキャナ。
【請求項2】
前記観察平面に垂直な方向における前記レーザー光の焦点の高さ位置を変更する可動レンズをさらに備え、
前記コントローラは、
前記可動レンズによって、前記目標点の高さ位置に従って前記レーザー光の焦点の高さ位置を変更する、
請求項1に記載のガルバノスキャナ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記目標点の高さ位置に基づいて、前記レーザー光による前記対象物への加工の可否を判定する、
請求項1に記載のガルバノスキャナ。
【請求項4】
レーザー発振器からのレーザー光を対象物上の目標点に照射するガルバノスキャナを用いて、所定の観察平面に垂直な方向における前記目標点の高さ位置を検出するための方法であって、
前記ガルバノスキャナは、
前記レーザー光を前記目標点まで導くレーザー経路と、
前記レーザー経路に合流し、前記レーザー経路と同軸に配置され、前記目標点を含む画像を導く観察経路と、
前記レーザー経路と前記観察経路との光軸の角度を変更するように動作可能なガルバノミラーと、
を含み、
前記観察経路を介して取得された前記画像を示す画像データを取得することと、
前記レーザー経路と前記観察経路との光軸の角度が第1角度である状態で、前記画像データに基づいて、前記観察平面上における前記目標点の平面位置を示す第1平面位置を算出することと、
前記ガルバノミラーによって、前記レーザー経路と前記観察経路との光軸の角度を、前記第1角度と異なる第2角度に変更することと、
前記レーザー経路と前記観察経路との光軸の角度が前記第2角度である状態で、前記画像データに基づいて、前記観察平面上における前記目標点の平面位置を示す第2平面位置を算出することと、
前記第1平面位置と前記第2平面位置とに基づいて、前記観察平面に垂直な方向における前記目標点の高さ位置を算出すること、
を備える方法。
【請求項5】
前記目標点の高さ位置に従って前記レーザー光の焦点の高さ位置を変更することをさらに備える、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記目標点の高さ位置に基づいて、前記レーザー光による前記対象物への加工の可否を判定することをさらに備える、
請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガルバノスキャナ、及び、ガルバノスキャナを用いて目標点の高さ位置を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガルバノスキャナは、ガルバノミラーを備えており、ガルバノミラーを動作させてレーザー光の焦点位置を移動させる。それにより、ガルバノスキャナは、対象物上の所望の位置に溶接等の加工を施すことができる。
【0003】
また、ガルバノスキャナには、対象物上の目標点の位置を検出するための位置検出装置を備えるものがある。位置検出装置は、対象物の画像を解析することで、対象物上の目標点の位置を検出する。例えば、特許文献1では、位置検出装置として、画像検査用同軸カメラがガルバノスキャナに供えられている。画像検査用同軸カメラは、レーザー光と同じ経路で、対象物の画像を取得する。ガルバノスキャナは、対象物の画像を解析することで、対象物上の目標点の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したガルバノスキャナでは、画像を検出するための位置検出装置の光軸上に位置する点は、全て同じ位置の点として検出されてしまう。そのため、目標点の高さ位置を検出することはできない。本開示の目的は、ガルバノスキャナを用いて目標点の高さ位置を検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るガルバノスキャナは、レーザー発振器からのレーザー光を対象物上の目標点に照射する。ガルバノスキャナは、レーザー経路と、観察経路と、ガルバノミラーと、カメラと、コントローラとを備える。レーザー経路は、レーザー光を目標点まで導く。観察経路は、レーザー経路に合流し、レーザー経路と同軸に配置される。観察経路は、目標点を含む画像を導く。ガルバノミラーは、レーザー経路と観察経路との光軸の角度を変更するように動作可能である。カメラは、観察経路を介して、画像を撮影し、画像を示す画像データを生成する。コントローラは、画像データに基づいて、所定の観察平面上における目標点の平面位置を算出する。コントローラは、レーザー経路と観察経路との光軸の角度が第1角度である状態で、観察平面上における目標点の平面位置を示す第1平面位置を算出する。コントローラは、ガルバノミラーによって、レーザー経路と観察経路との光軸の角度を、第1角度と異なる第2角度に変更する。コントローラは、レーザー経路と観察経路との光軸の角度が第2角度である状態で、観察平面上における目標点の平面位置を示す第2平面位置を算出する。コントローラは、第1平面位置と第2平面位置とに基づいて、観察平面に垂直な方向における目標点の高さ位置を算出する。
【0007】
本開示の他の態様に係る方法は、レーザー発振器からのレーザー光を対象物上の目標点に照射するガルバノスキャナを用いて、所定の観察平面に垂直な方向における目標点の高さ位置を検出するための方法である。ガルバノスキャナは、レーザー経路と、観察経路と、ガルバノミラーとを含む。レーザー経路は、レーザー光を目標点まで導く。観察経路は、レーザー経路に合流し、レーザー経路と同軸に配置される。観察経路は、目標点を含む画像を導く。ガルバノミラーは、レーザー経路と観察経路との光軸の角度を変更するように動作可能である。当該方法は、観察経路を介して取得された画像を示す画像データを取得することと、レーザー経路と観察経路との光軸の角度が第1角度である状態で、画像データに基づいて、観察平面上における目標点の平面位置を示す第1平面位置を算出することと、ガルバノミラーによって、レーザー経路と観察経路との光軸の角度を、第1角度と異なる第2角度に変更することと、レーザー経路と観察経路との光軸の角度が第2角度である状態で、画像データに基づいて、観察平面上における目標点の平面位置を示す第2平面位置を算出することと、第1平面位置と第2平面位置とに基づいて、観察平面に垂直な方向における目標点の高さ位置を算出すること、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ガルバノミラーによって、レーザー経路と観察経路との光軸の角度が互いに異なる画像が取得される。各画像から算出される目標点の第1平面位置と第2平面位置とは、レーザー経路と観察経路との光軸の角度の違いに応じて異なる。そのため、第1平面位置と第2平面位置とに基づいて、目標点の高さ位置を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るレーザー加工システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】目標点の位置を算出するための処理を示すフローチャートである。
【
図3】レーザー経路と観察経路との光軸と対象物とを示す模式図である。
【
図4】カメラによる観察範囲の第1画像の一例を示す図である。
【
図5】カメラによる観察範囲の第2画像の一例を示す図である。
【
図6】高さの異なる部分を含む対象物の加工を行う場合の処理を示す図である。
【
図7】目標点の高さ位置に応じて加工の可否を判断する場合の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態に係るレーザー加工システムについて説明する。
図1は、レーザー加工システム1の構成を示すブロック図である。レーザー加工システム1は、レーザー光により対象物を溶接するシステムである。
図1に示すように、レーザー加工システム1は、レーザー発振器2とガルバノスキャナ3とを備える。レーザー発振器2は、光ファイバコネクタ4により、ガルバノスキャナ3と接続されている。
【0011】
ガルバノスキャナ3は、レーザー発振器2からのレーザー光を、対象物100上の目標点P0に照射する。ガルバノスキャナ3は、レーザー発振器2からのレーザー光を、対象物100上で移動させる。ガルバノスキャナ3は、ヘッド11と、カメラ12と、コントローラ13とを含む。ヘッド11は、レーザー経路14を含む。レーザー経路14は、レーザー光を、対象物100上の目標点P0まで導く。
【0012】
ヘッド11は、コリメートレンズ21と、可動レンズ22と、レンズアクチュエータ23と、集光レンズ24と、ダイクロイックミラー25と、ガルバノミラー26と、ミラーアクチュエータ27と、を備える。レーザー経路14は、コリメートレンズ21と、可動レンズ22と、集光レンズ24と、ダイクロイックミラー25と、ガルバノミラー26とを通り、目標点P0に向かう経路である。
【0013】
コリメートレンズ21は、レーザー発振器2からのレーザー光を平行光に変換する。可動レンズ22は、レーザー経路14に沿う方向に移動可能である。レンズアクチュエータ23は、可動レンズ22を、レーザー経路14に沿う方向に移動させる。可動レンズ22は、レーザー経路14に沿う方向に移動することで、レーザー光の焦点の高さ方向の位置を変更する。高さ方向とは、対象物100からヘッド11に向かう方向を意味し、図面におけるZ方向に相当する。ダイクロイックミラー25は、集光レンズ24を透過したレーザー光を、ガルバノミラー26に向けて反射する。
【0014】
ガルバノミラー26は、レーザー光を対象物100に向けて反射する。ガルバノミラー26は、回転可能に配置されている。ガルバノミラー26は、回転することで、レーザー光の焦点の位置を移動させる。ガルバノミラー26は、ミラーアクチュエータ27に接続されている。ミラーアクチュエータ27は、例えば電動モータである。ミラーアクチュエータ27は、ガルバノミラー26の回転角度を変更する。ガルバノミラー26の回転角度が変更されることで、レーザー経路14の光軸の角度が変更される。それにより、レーザー光の焦点の位置が変更される。
【0015】
ヘッド11は、観察経路15を含む。観察経路15は、目標点P0を含む画像をカメラ12へと導く。観察経路15は、所定の観察範囲30から、ガルバノミラー26とダイクロイックミラー25とを通り、カメラ12に向かう経路である。観察経路15は、レーザー経路14に合流し、レーザー経路14と同軸に配置される。詳細には、観察経路15は、レーザー経路14のうちダイクロイックミラー25からガルバノミラー26を通り目標点P0まで延びる部分と同軸に配置されている。
【0016】
観察範囲30内にある対象物100の画像を示す光(以下、単に「画像」と示す)は、ガルバノミラー26で反射され、ダイクロイックミラー25を透過して、カメラ12へ到達する。カメラ12は、単眼カメラである。カメラ12は、観察経路15を介して、観察範囲30内の画像を撮影する。カメラ12は、観察範囲30内の画像を示す画像データを生成する。
【0017】
観察範囲30の中心を通る観察経路15の光軸は、レーザー経路14の光軸と一致している。従って、レーザー光の焦点の位置は、観察範囲30すなわち画像の中心と一致している。ガルバノミラー26によって焦点の位置が移動すると、焦点の位置の移動に応じて、画像の観察範囲30も移動する。
【0018】
レーザー発振器2からのレーザー光は、レーザー経路14を通り、対象物100上の目標点P0に照射される。詳細には、レーザー光は、レーザー発振器2から光ファイバコネクタ4を通って、ヘッド11に送られる。レーザー光は、ヘッド11内において、コリメートレンズ21を通ることで、平行光に調整される。レーザー光は、可動レンズ22と集光レンズ24とを通り、ダイクロイックミラー25において、ガルバノミラー26に向かって反射される。レーザー光は、ガルバノミラー26において反射され、対象物100上の目標点P0に照射される。それにより、対象物100が、目標点P0において、レーザー光によって溶接される。
【0019】
コントローラ13は、ヘッド11を制御して、レーザー光の焦点の位置を移動させる。コントローラ13は、例えばプロセッサとメモリとを含む。コントローラ13は、ミラーアクチュエータ27を制御して、ガルバノミラー26の回転角度を変更する。コントローラ13は、ガルバノミラー26の回転角度を制御することで、レーザー経路14の光軸の角度を変更する。それにより、コントローラ13は、X-Y平面におけるレーザー光の焦点の位置(以下、平面位置と呼ぶ)を変更する。X-Y平面は、上述した高さ方向に垂直な平面である。
【0020】
コントローラ13は、レンズアクチュエータ23を制御して、可動レンズ22の位置を変更する。コントローラ13は、可動レンズ22の位置を制御することで、レーザー光の焦点の高さ方向(Z方向)における位置を変更する。
【0021】
コントローラ13は、入力されたプログラム及び溶接条件を示す設定データに従い、ガルバノミラー26の回転角度と可動レンズ22の位置とを制御することで、レーザー光の焦点を、対象物100上で、所定の軌道に従って移動させる。それにより、対象物100が、設定データに従って溶接される。
【0022】
また、コントローラ13は、画像データに基づいて画像を解析することで、目標点P0の位置を算出する。
図2は、目標点P0の位置を算出するための処理を示すフローチャートである。
図2に示すように、ステップS101で、コントローラ13は、レーザー経路14と観察経路15との光軸の角度を、第1角度A1に設定する。コントローラ13は、ガルバノミラー26の回転角度を制御することで、レーザー経路14と観察経路15との光軸の角度を、第1角度A1に設定する。それにより、
図3に示すように、所定の観察平面PL1に対するレーザー経路14と観察経路15との光軸Ax1の傾斜角度が第1角度A1に設定される。なお、
図3において、光軸Ax1は、レーザー経路14の光軸と、観察範囲30の中心を通る観察経路15の光軸とを示しており、観察平面PL1に対して第1角度A1で傾斜している。
【0023】
ステップ102で、コントローラ13は、第1画像データを取得する。
図4に示すように、カメラ12は、レーザー経路14の光軸Ax1の角度が第1角度A1である状態での観察範囲30を示す第1画像31を、観察経路15を通して取得する。コントローラ13は、カメラ12が生成した第1画像31を示す第1画像データを取得する。
【0024】
ステップS103で、コントローラ13は、第1平面位置P1を算出する。
図3に示すように、第1平面位置P1は、観察平面PL1上における目標点P0の平面位置を示す。観察平面PL1は、上述したX-Y平面に平行な平面である。コントローラ13は、観察平面PL1に対して第1角度A1で傾斜し、目標点P0を通る観察経路15の光軸Ax1’と観察平面PL1との交点を、第1平面位置P1として算出する。
【0025】
ステップS104で、コントローラ13は、レーザー経路14と観察経路15との光軸の角度を、第2角度A2に変更する。第2角度A2は、第1角度A1と異なる。コントローラ13は、ガルバノミラー26の回転角度を制御することで、レーザー経路14と観察経路15との光軸の角度を、第1角度A1から第2角度A2に変更する。
図3において、光軸Ax2は、観察平面PL1に対して第2角度A2で傾斜したレーザー経路14の光軸と、観察範囲30の中心を通る観察経路15の光軸とを示している、第1角度A1と第2角度A2とは予め定められて、コントローラ13に記憶されていてもよい。或いは、第1角度A1は、目標点P0の位置の検出開始時の初期値であり、コントローラ13は、第1角度A1に所定値を加えることで、第2角度A2を算出してもよい。
【0026】
ステップ105で、コントローラ13は、第2画像データを取得する。
図5に示すように、カメラ12は、レーザー経路14の光軸Ax2の角度が第2角度A2である状態での観察範囲30を示す第2画像32を、観察経路15を通して取得する。コントローラ13は、カメラ12が生成した第2画像32を示す第2画像データを取得する。
【0027】
ステップS106で、コントローラ13は、第2平面位置P2を算出する。
図3に示すように、第2平面位置P2は、観察平面PL1上における目標点P0の平面位置を示す。コントローラ13は、観察平面PL1に対して第2角度A2で傾斜し、目標点P0を通る観察経路15の光軸Ax2’と観察平面PL1との交点を、第2平面位置P2として算出する。
【0028】
第1平面位置P1と第2平面位置P2とは、X-Y平面における座標で示される。例えば、
図4に示すように、第1平面位置P1は、座標(x1,y1)で示される。
図5に示すように、第2平面位置P2は、座標(x2,y1)で示される。なお、本実施形態では、コントローラは、光軸を、Y軸方向に固定して、X軸方向に移動させている。しかし、コントローラは、光軸を、X軸方向に固定して、Y軸方向に移動させてもよい。或いは、コントローラは、光軸を、X軸方向とY軸方向とに移動させてもよい。
【0029】
ステップ107で、コントローラ13は、目標点P0の高さ位置を算出する。コントローラ13は、第1平面位置P1と第2平面位置P2と第1角度A1と第2角度A2とに基づいて、目標点P0の高さ位置を算出する。目標点P0の高さ位置は、Z方向における座標で示される。
【0030】
以上のように、コントローラ13は、カメラ12が取得した目標点P0を含む画像31,31を解析することで、目標点P0の観察平面PL1における第1平面位置P1と第2平面位置P2とを検出する。そして、コントローラ13は、第1平面位置P1と第2平面位置P2と光軸の角度A1,A2とから、観察平面PL1に垂直な方向における目標点P0の高さ位置を検出する。それにより、本実施形態に係るガルバノスキャナ3は、目標点P0の三次元位置を検出することができる。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0032】
レーザー加工システム1による加工は、溶接に限らず、切断、或いはマーキングなどの他の加工であってもよい。ガルバノスキャナ3の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、コリメートレンズ21、可動レンズ22、集光レンズ24、ダイクロイックミラー25、或いはガルバノミラー26の配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。レーザー経路14、或いは観察経路15において、他のミラー、或いはレンズが追加されてもよい。
【0033】
コントローラ13は、対象物100の加工中に、目標点P0の高さ位置に従ってレーザー光の焦点の高さ位置を変更してもよい。例えば、
図6に示すように、対象物100が、高さの異なる第1部分101と第2部分102とを含む場合、コントローラ13は、第1部分101の高さ位置Z1と第2部分102の高さ位置Z2とを検出する。コントローラ13は、第1部分101を加工する場合には、第1部分101の高さ位置Z1に合わせて、ガルバノミラー26を制御する。コントローラ13は、第2部分102を加工する場合には、第2部分102の高さ位置Z2に合わせて、ガルバノミラー26を制御する。それにより、ガルバノスキャナ3は、高さの異なる部分を含む対象物100を、連続的かつ自動的に加工することができる。
【0034】
コントローラ13は、加工の開始前に、目標点P0の高さ位置に基づいて、対象物100への加工の可否を判定してもよい。例えば、
図7に示すように、レーザー加工システム1に対象物100が設置された後、加工の開始前に、コントローラ13は、対象物100の高さ位置Z3を検出する。コントローラ13は、対象物100の高さ位置Z3が、所定の基準位置の高さZ4よりも低い場合には、加工を開始しない。或いは、コントローラ13は、対象物100の高さ位置Z3が、所定の基準位置の高さZ4よりも高い場合には、加工を開始しない。基準位置の高さZ4は、例えば、レーザーの焦点の限界位置によって定められてもよい。コントローラ13は、加工を開始しない場合には、警報を出力してもよい。警報は、例えば、ディスプレイに表示されてもよい。或いは、警報は、ランプの点灯であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本開示によれば、ガルバノスキャナを用いて目標点の高さ位置を検出することができる。
【符号の説明】
【0036】
2:レーザー発振器、 3:ガルバノスキャナ、 14:レーザー経路、 15:観察経路、 12:カメラ、 13:コントローラ、 22:可動レンズ、 26:ガルバノミラー、 P0:目標点、 P1:第1平面位置、 P2:第2平面位置