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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000951
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】減衰装置、洗濯機
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20231226BHJP
   D06F 37/04 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F16F15/02 A
F16F15/02 E
D06F37/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212081
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2022099548
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】細川 明宏
(72)【発明者】
【氏名】森 一志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕一
(72)【発明者】
【氏名】仲島 崇博
(72)【発明者】
【氏名】西岡 由行
(72)【発明者】
【氏名】星山 法行
(72)【発明者】
【氏名】キム ドヨン
(72)【発明者】
【氏名】キョン ヨンス
【テーマコード(参考)】
3B165
3J048
【Fターム(参考)】
3B165AA05
3B165AE01
3B165AE02
3B165AE05
3B165BA24
3B165BA83
3B165CA01
3B165CA08
3B165CB01
3B165CB31
3B165CD02
3B165CD05
3B165CD15
3B165GA02
3B165GA12
3B165GA25
3B165GA26
3B165JM02
3B165JM03
3J048AA02
3J048AC01
3J048AD12
3J048BE12
3J048CB23
3J048EA31
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、振動を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】一方の部材に一端が支持されたハウジング120と、他方の部材に一端が支持されるとともに他端がハウジング120内に挿入されたロッド110と、ハウジング120内においてロッド110の周囲に配置されて、ハウジング120に対して軸方向に直交する方向に回転することでハウジング120に対して軸方向に移動可能なスクリュギア140と、ハウジング120の支持部125とスクリュギア140との間に配置されて、ロッド110の外周面と接触して摩擦力を生じさせる摩擦部材150と、スクリュギア140を回転させることで、摩擦部材150をハウジング120とともにロッド110に対して移動可能にする第1状態と、摩擦部材150をロッド110とともにハウジング120に対して移動可能にする第2状態とに切り替え可能な切替ユニット160とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に移動する2つの部材のいずれか一方の部材に一端が支持されたハウジングと、
前記2つの部材のいずれか他方の部材に一端が支持されるとともに他端が前記ハウジング内に挿入され、当該他方の部材に対する前記一方の部材の移動に伴い、当該ハウジングに対して移動する棒状の棒状部材と、
前記ハウジング内において前記棒状部材の周囲に配置されて、当該ハウジングに対して前記棒状部材の軸方向に直交する方向に回転することで当該ハウジングに対して当該軸方向に移動可能な回転移動部材と、
前記ハウジングにおける前記棒状部材の挿入部と前記回転移動部材との間であって前記棒状部材の周囲に配置されて、当該棒状部材の外周面と接触して当該棒状部材との間に摩擦力を生じさせる摩擦部材と、
前記回転移動部材を回転させることで、前記摩擦部材を当該回転移動部材と前記ハウジングとにより挟み込み当該摩擦部材を当該ハウジングとともに前記棒状部材に対して移動可能にする第1状態と、当該摩擦部材を当該棒状部材とともに当該ハウジングに対して移動可能にする第2状態とに切り替え可能な切替手段と、
を備える減衰装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記回転移動部材を収容する収容部と、当該収容部の開口部を覆うとともに前記棒状部材を摺動可能に支持するカバーとを有する、
請求項1に記載の減衰装置。
【請求項3】
前記ハウジングの内面に螺旋状の溝が形成され、
前記回転移動部材の外面に前記溝と噛み合う螺旋状の凸部が形成されている、
請求項1に記載の減衰装置。
【請求項4】
前記摩擦部材の周囲に、一方の端部が前記回転移動部材に支持され、他方の端部が前記ハウジングに支持されたコイルバネを有する、
請求項1に記載の減衰装置。
【請求項5】
前記切替手段は、モータと、当該モータの回転軸に連結されて前記回転移動部材の外面に形成されたギアと噛み合うギアを有し当該モータの駆動力を当該回転移動部材に伝達する伝達部材とを有する、
請求項1に記載の減衰装置。
【請求項6】
前記切替手段は、前記伝達部材の回転角度を検出するセンサを有し、
前記伝達部材は、前記ギアと前記モータとの間に外周面から突出する複数の突起を有し、
前記センサは、前記突起の通過を検知することで前記回転角度を検出する光センサである、
請求項5に記載の減衰装置。
【請求項7】
前記切替手段は、さらに、前記回転移動部材又は当該回転移動部材とともに回転する部材に設けられた半径方向に突出する複数の突起の通過を検知することで当該回転移動部材の回転角度を検出するセンサを有する、
請求項1に記載の減衰装置。
【請求項8】
前記複数の突起は、螺旋状に設けられている、
請求項7に記載の減衰装置。
【請求項9】
前記複数の突起は、周方向に等間隔に設けられている、
請求項7に記載の減衰装置。
【請求項10】
前記第2状態では、前記棒状部材は、前記摩擦部材が前記回転移動部材又は前記ハウジングに接触することで軸方向の移動が抑制され、
前記摩擦部材は、円筒状であり、前記回転移動部材又は前記ハウジングと接触する端面は平面であり、当該端面よりも中央部側は半径方向に貫通する貫通孔が複数形成されている、
請求項1に記載の減衰装置。
【請求項11】
前記摩擦部材は、前記ハウジングと前記回転移動部材との間に組み付けられる前の形状が直方体状であり、前記貫通孔は、当該組み付けられる前の形状が、円、楕円、長円のいずれかである、
請求項10に記載の減衰装置。
【請求項12】
前記ハウジング又は前記回転移動部材は、前記摩擦部材との接触部位に前記軸方向に突出した突出部を有している、
請求項10に記載の減衰装置。
【請求項13】
前記突出部は、周方向に複数設けられている、
請求項12に記載の減衰装置。
【請求項14】
前記摩擦部材の周囲に、当該摩擦部材を保持する円筒状の保持部材を有し、
前記突出部の外側の部位における半径方向の大きさは前記保持部材の内径よりも小さく、当該突出部の内側の部位における半径方向の大きさは前記棒状部材の外径よりも大きい、
請求項12に記載の減衰装置。
【請求項15】
前記摩擦部材の周囲にコイルバネを有し、
前記コイルバネは、一方の端部が前記回転移動部材に支持され、他方の端部が前記ハウジングとの間に介在する介在部材に支持されている、
請求項1に記載の減衰装置。
【請求項16】
前記介在部材は、前記摩擦部材との接触部位に前記軸方向に突出した突出部を有している、
請求項15に記載の減衰装置。
【請求項17】
前記切替手段は、前記回転移動部材又は当該回転移動部材とともに回転する部材に設けられた外周面から半径方向に突出する突起群の通過を検知することで当該回転移動部材の回転角度を検出するセンサを有する、
請求項1に記載の減衰装置。
【請求項18】
前記突起群は、螺旋状に設けられている、
請求項17に記載の減衰装置。
【請求項19】
前記センサは、発光部と受光部とを有し、
前記突起群は、第1突起と、周方向の大きさが当該第1突起における周方向の大きさよりも大きくて前記第2状態である場合に前記発光部と前記受光部との間に位置する第2突起と、を有する、
請求項17に記載の減衰装置。
【請求項20】
前記突起群は、周方向の大きさが前記第1突起における周方向の大きさよりも小さな第3突起を有する、
請求項19に記載の減衰装置。
【請求項21】
前記第1突起は、周方向に等間隔に複数設けられている、
請求項19に記載の減衰装置。
【請求項22】
水槽と、
前記水槽内部に回転可能に取り付けられた回転体と、
前記水槽を収容する筐体と、
前記筐体と前記水槽との間に取り付けられた、請求項1から21のいずれか1項に記載の減衰装置と、
を備える洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減衰装置及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機のタブと共に振動する物体の振動度合に応じてダンピング力が変化し、振動を效果的に減衰しうるダンパが提案されている。
例えば、特許文献1に記載された洗濯機は、ダンパーシリンダーと、該ダンパーシリンダーの一端から挿入されてダンパーシリンダーの長さ方向に往復動するシャフトと、該シャフトに提供されてダンパーシリンダーの内壁との摩擦により振動を減衰し、ダンパーシリンダーの長さ方向に垂直な方向へ移動自在な摩擦部材と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-29585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗濯機の水槽の振動を抑制する減衰装置は、簡易な構成であることが望ましい。また、洗濯機に限らず、相対的に移動する2つの部材の少なくともいずれか一方の部材の振動を抑制する減衰装置は、簡易な構成であることが望ましい。
本発明は、簡易な構成で、振動を抑制することができる減衰装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、相対的に移動する2つの部材のいずれか一方の部材に一端が支持されたハウジングと、前記2つの部材のいずれか他方の部材に一端が支持されるとともに他端が前記ハウジング内に挿入され、当該他方の部材に対する前記一方の部材の移動に伴い、当該ハウジングに対して移動する棒状の棒状部材と、前記ハウジング内において前記棒状部材の周囲に配置されて、当該ハウジングに対して前記棒状部材の軸方向に直交する方向に回転することで当該ハウジングに対して当該軸方向に移動可能な回転移動部材と、前記ハウジングにおける前記棒状部材の挿入部と前記回転移動部材との間であって前記棒状部材の周囲に配置されて、当該棒状部材の外周面と接触して当該棒状部材との間に摩擦力を生じさせる摩擦部材と、前記回転移動部材を回転させることで、前記摩擦部材を当該回転移動部材と前記ハウジングとにより挟み込み当該摩擦部材を当該ハウジングとともに前記棒状部材に対して移動可能にする第1状態と、当該摩擦部材を当該棒状部材とともに当該ハウジングに対して移動可能にする第2状態とに切り替え可能な切替手段と、を備える減衰装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡易な構成で、振動を抑制することができる減衰装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る洗濯機の概略構成の一例を示す図である。
図2】ダンパの概略構成の一例を示す図である。
図3】(a)は、図2のIIIa部の拡大図の一例を示す図である。(b)は、(a)のIIIb方向に見た図の一例を示す図である。
図4】第1状態である場合のダンパの伸縮の態様の一例を示す図である。(a)は、ダンパが伸びた状態の一例を示す図であり、(b)は、ダンパが縮んだ状態の一例を示す図である。
図5】第2状態である場合のダンパの伸縮の態様の一例を示す図である。(a)は、ダンパが伸びた状態の一例を示す図であり、(b)は、ダンパが縮んだ状態の一例を示す図である。
図6】第2実施形態に係るダンパの概略構成の一例を示す図である。
図7】(a)は、保持部材の内側に組み付けられる前の摩擦部材の概略構成の一例を示す図である。(b)は、保持部材の内側に組み付けられた後の摩擦部材の概略構成の一例を示す図である。
図8】(a)及び(b)は、摩擦部材の第1貫通孔及び第2貫通孔の変形例の一例を示す図である。
図9】(a)、(b)及び(c)は、摩擦部材の変形例の一例を示す図である。
図10】第3実施形態に係るダンパの概略構成の一例を示す図である。
図11】第3実施形態に係る突起の概略構成の一例を示す図である。(a)は、突起を軸方向に直交する方向に見た図であり、(b)は、突起を軸方向に見た図である。
図12】第4実施形態に係るダンパの概略構成の一例を示す図である。
図13】第5実施形態に係るダンパの概略構成の一例を示す図である。
図14】介在部材の概略構成の一例を示す図である。
図15】第6実施形態に係るダンパの突起群の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る洗濯機1の概略構成の一例を示す図である。図1は、洗濯機1を右方向から見た断面図である。図1の左側が洗濯機1の手前側、図1の右側が洗濯機1の奥側であり、図1の上側が洗濯機1の上側、図1の下側が洗濯機1の下側である。
【0009】
洗濯機1は、水槽10と、水槽10の内部に回転可能に取り付けられた回転体の一例としての脱水槽20と、水槽10及び脱水槽20を収容する筐体30とを備えている。
脱水槽20の回転軸21は、前後方向に延びており、洗濯機1を手前側から見た場合に、脱水槽20の回転方向は左回転(反時計回転)である。
【0010】
筐体30は、外形が略直方体状であり、骨格をなす鋼製のフレーム30aと、フレーム30aよりも剛性が低い鉄板30bとを有している。筐体30の前面には、洗濯物を投入するための開口部が形成されており、扉31がこの開口部を開閉可能に筐体30に取り付けられている。
【0011】
また、洗濯機1は、モータ40と、モータ40の回転力を脱水槽20の回転軸21に伝達する伝達部50と、モータ40の駆動を制御する制御装置60とを備えている。
モータ40は、モータ40の回転角度を検出するレゾルバ、ロータリエンコーダ等の回転角度検出器41を有する3相ブラシレスモータであることを例示することができる。
伝達部50は、回転軸21に取り付けられたプーリや、プーリ間に掛け回されたベルト等により構成されている。
【0012】
制御装置60は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。制御装置60には、モータ40の回転角度検出器41からの出力信号が入力される。そして、制御装置60は、回転角度検出器41からの出力信号などに基づいてモータ40に供給するのに必要となる目標電流を設定するとともに、設定した目標電流に基づいてフィードバック制御を行う。
【0013】
また、洗濯機1は、筐体30のフレーム30aと水槽10との間に取り付けられたバネ70を備えている。バネ70は、複数設けられていることを例示することができる。
また、洗濯機1は、筐体30のフレーム30aと水槽10との間に取り付けられ、水槽10の振動を減衰させる減衰装置の一例としてのダンパ100を備えている。洗濯機1は、例えば、水槽10の下部の四隅のそれぞれと、筐体30の底部のフレーム30aとの間に連結された4つのダンパ100を有していることを例示することができる。加えて、洗濯機1は、例えば、水槽10の上部における手前側と奥側のそれぞれと、筐体30の左上部のフレーム30aとの間に連結された2つのダンパ100と、水槽10の右上部における手前側と奥側のそれぞれと、筐体30の右上部のフレーム30aとの間に連結された2つのダンパ100とを有していることを例示することができる。なお、上記8つのダンパ100の内、いずれかのダンパ100を備えていなくても良いし、上記8つのダンパ100に加えて他のダンパ100を備えていても良い。
【0014】
(ダンパ100)
図2は、ダンパ100の概略構成の一例を示す図である。
図3(a)は、図2のIIIa部の拡大図の一例を示す図である。図3(b)は、図3(a)のIIIb方向に見た図の一例を示す図である。
ダンパ100は、筐体30に一端が保持された棒状のロッド110と、一端が水槽10に保持されるとともにロッド110の他端が内部に挿入されたハウジング120とを有している。また、ダンパ100は、ハウジング120内においてロッド110の周囲に配置されて、ハウジング120に対してロッド110の軸方向に直交する方向に回転することでハウジング120に対して軸方向に移動可能なスクリュギア140を有している。また、ダンパ100は、ロッド110の周囲に配置されて、ロッド110の外周面と接触してロッド110との間に摩擦力を生じさせる摩擦部材150と、摩擦部材150を保持する円筒状の保持部材155と、一方の端部がハウジング120に支持されるとともに他方の端部がスクリュギア140に支持されるコイルバネ159と、を有している。また、ダンパ100は、スクリュギア140を回転させることで、摩擦部材150をハウジング120とともにロッド110に対して移動可能にする第1状態と、摩擦部材150をロッド110とともにハウジング120に対して移動可能にする第2状態とに切り替え可能な切替ユニット160を有している。
【0015】
((ロッド110))
ロッド110は、棒状の棒状部111と、筐体30に保持される被保持部112とを有している。
棒状部111は、円柱状であることを例示することができる。棒状部111の外径は、ハウジング120の後述する支持部125の内径以下であり、棒状部111における被保持部112とは反対側の端部がハウジング120の支持部125内に挿入されている。棒状部111がハウジング120の支持部125内を摺動することで、ダンパ100は伸縮する。
【0016】
被保持部112には、ロッド110を筐体30に接続するためのピン(不図示)が挿入されるピン孔112aが形成されている。ピン孔112aは、円柱状であることを例示することができる。
【0017】
以下では、棒状部111の中心線方向、言い換えれば、ハウジング120に対する棒状部111の移動方向を、単に「軸方向」と称する場合がある。また、軸方向における、水槽10側(図2では右側)を「第1側」、筐体30側(図2では左側)を「第2側」と称する場合がある。また、棒状部111の半径方向(図2では上下方向)は、「半径方向」と称し、半径方向において、棒状部111の中心軸側を、「内側」と称し、中心軸から離れる側を、「外側」と称する場合がある。
【0018】
((ハウジング120))
ハウジング120は、スクリュギア140や摩擦部材150等を収容する第1収容部121と、切替ユニット160を収容する第2収容部122と、第1収容部121の開口部を覆う第1カバー123と、第2収容部122の開口部を覆う第2カバー124と、を有している。また、ハウジング120は、ロッド110を摺動可能に支持する支持部125と、水槽10に保持される被保持部126と、を有している。
【0019】
被保持部126、支持部125、第1収容部121及び第1カバー123は、第1側から第2側にかけて順に設けられている。第1収容部121及び支持部125は、円筒状の部位であり、第2収容部122は、第1収容部121及び支持部125の外側であって第1収容部121及び支持部125における周方向の一部に設けられている。
【0020】
(((第1収容部121)))
第1収容部121は、内径及び外径が異なる3つの円筒状部である、第1円筒状部131、第2円筒状部132、第3円筒状部133を有している。第1円筒状部131、第2円筒状部132、第3円筒状部133は、第1側から第2側にかけて順に設けられており、内径及び外径が順に大きくなっている。
【0021】
第1円筒状部131は、主に、摩擦部材150、保持部材155及びコイルバネ159を収容する。第2円筒状部132は、主に、スクリュギア140の後述するギア部141を収容する。第3円筒状部133は、主に、スクリュギア140の後述するスクリュ部142を収容する。
【0022】
第2円筒状部132における、第2収容部122と対向する部位には、第2収容部122の内部と連通する連通孔132aが形成されている。
第3円筒状部133の内周面には、回転しながら軸方向へ移動する螺旋状の溝133aが形成されている。
【0023】
(((第2収容部122)))
第2収容部122は、第1収容部121の外側に設けられた複数の隔壁によって区画された空間であり、軸方向に直交するように第1側に設けられた第1隔壁122a、軸方向に直交するように第2側に設けられた第2隔壁122b、及び、軸方向に平行な2つの第3隔壁122cにより区画されている。第2収容部122は、切替ユニット160を構成する、後述する、モータ161、モータギア170、センサ180、制御基板185等を収容する。
【0024】
(((第1カバー123)))
第1カバー123は、円盤状の部材であるとともに、中央部に、ロッド110の棒状部111を摺動可能に支持する軸受け123aが設けられている。第1カバー123を、第1収容部121に装着する態様は特に限定されない。図2に示すように、第1カバー123の外周部に設けられた円筒状の部位と第1収容部121の第3円筒状部133における第2側の端部とを嵌合することを例示することができる。さらに、第1カバー123を第1収容部121に、ネジやボルト等の締付部材を用いて締め付けても良いし、第1カバー123と第1収容部121とを接着しても良い。
【0025】
(((第2カバー124)))
第2カバー124は、第2収容部122を構成する、第1隔壁122a、第2隔壁122b及び第3隔壁122cに装着されている。装着態様は特に限定されない。ネジやボルト等の締付部材を用いて締め付けても良いし、接着しても良い。第2カバー124は、後述する制御基板185を保持するとともに、コード186を通す軸方向に貫通する貫通孔124aが形成されている。
【0026】
(((支持部125)))
支持部125の内径は、ロッド110の棒状部111の外径よりも大きく、支持部125は、ロッド110を摺動可能に支持する。
【0027】
(((被保持部126)))
被保持部126には、ハウジング120を水槽10に接続するためのピン(不図示)が挿入されるピン孔126aが形成されている。ピン孔126aは、円柱状であることを例示することができる。
【0028】
((スクリュギア140))
スクリュギア140は、内径が同一で、外径が異なる2つの円筒状の部位であり、外周面にギアが形成されたギア部141と、外周面に螺旋状の凸部142aが形成されたスクリュ部142とを有している。ギア部141、スクリュ部142は、第1側から第2側にかけて順に設けられている。ギア部141及びスクリュ部142の内径はロッド110の棒状部111の外径よりも大きい。
【0029】
ギア部141のギアは、ギア面が軸方向に平行となるように形成されており、後述するモータギア170のギア172と噛み合う。ギア部141のギアにおける軸方向の大きさは、モータギア170のギア172における軸方向の大きさよりも大きく、スクリュギア140が軸方向に移動したとしても噛み合う大きさに設定されている。
ギア部141は、第1側の部位に内周面から内側に突出した突出部143を有している。突出部143は、コイルバネ159における第2側の端部を支持する。
【0030】
スクリュ部142の凸部142aは、ハウジング120の第3円筒状部133の内周面に形成された溝133aと噛み合っている。
スクリュギア140は、ギア部141のギアを介してロッド110の周囲を回転する駆動力が伝達されると、凸部142aがハウジング120の溝133aと噛み合っていることにより軸方向に移動する。
【0031】
ギア部141の外径は、ハウジング120の第1収容部121の第1円筒状部131の内径よりも大きく、かつ、第2円筒状部132の内径よりも小さい。スクリュ部142の外径は、ハウジング120の第1収容部121の第2円筒状部132の内径よりも大きく、かつ、凸部142aが第3円筒状部133の溝133aと噛み合っている。そして、スクリュギア140は、ギア部141がハウジング120の第2円筒状部132及び第3円筒状部133内に収容され、スクリュ部142が第3円筒状部133内に収容されている。
【0032】
((摩擦部材150))
摩擦部材150の材質は、耐摩耗性が優れた材質であれば特に限定されない。例えば、摩擦部材150の材質は、ウレタン樹脂、ウレタンゴムであることを例示することができる。また、摩擦部材150の材質は、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)であることを例示することができる。また、摩擦部材150の材質は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂であることを例示することができる。熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂を例示することができる。また、熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂を例示することができる。また、摩擦部材150の材質は、金属でも良い。金属としては、銅、真鍮を例示することができる。
【0033】
摩擦部材150は、保持部材155の内側に組み付けられる前の形状が、直方体状であり、円筒状の保持部材155の内側に組み付けられて円筒状となる。摩擦部材150が保持部材155の内側に組み付けられた状態における摩擦部材150の外径は、ハウジング120の支持部125の内径及びスクリュギア140の突出部143の内径よりも大きい。それゆえ、摩擦部材150は、軸方向の第1側の第1端面151がハウジング120の支持部125における第2側の端面と接触可能であり、軸方向の第2側の第2端面152がスクリュギア140の突出部143に接触可能である。
【0034】
((保持部材155))
保持部材155は、円筒状であり、軸方向の中央部に内周面から内側に突出した、断面三角形状の突起156が全周に亘って設けられている。保持部材155の内径は、摩擦部材150がロッド110の棒状部111の外周面に接触するように設定されている。つまり、保持部材155の内径は、棒状部111の外周面の径に摩擦部材150の肉厚(半径方向の大きさ)tの2倍を加えることにより得た値よりも小さい(保持部材155の内径<棒状部111の外周面の径+2×t)。
【0035】
保持部材155における軸方向の大きさは、摩擦部材150における軸方向の大きさよりも小さく設定されている。そして、保持部材155は、軸方向に直交する方向から見た場合に、保持部材155における第1側の端面から摩擦部材150の第1端面151が第1側に突出し、保持部材155における第2側の端面から摩擦部材150の第2端面152が第2側に突出するように、摩擦部材150の周囲に装着されている。
【0036】
保持部材155の外径は、ハウジング120の第1収容部121の第1円筒状部131の内径よりも小さく、保持部材155は、第1収容部121内において、支持部125とスクリュギア140との間に配置されている。
【0037】
((コイルバネ159))
コイルバネ159の内径は、保持部材155の外径よりも大きく、コイルバネ159の外径は、ハウジング120の第1収容部121の第1円筒状部131の内径よりも小さい。そして、コイルバネ159は、ハウジング120の第1収容部121の第1円筒状部131及び第2円筒状部132内において、保持部材155の外側に配置される。そして、コイルバネ159は、第1側の端部がハウジング120の支持部125における第2側の端面に支持されるとともに、第2側の端部がスクリュギア140の突出部143における第1側の端面に支持され、ハウジング120の支持部125とスクリュギア140とに対して、ハウジング120の支持部125とスクリュギア140とが離れる方向の力を付与する。
【0038】
((切替ユニット160))
切替ユニット160は、モータ161と、モータ161の回転軸162に連結されたモータギア170と、モータギア170の回転角度を検出するセンサ180と、モータ161を駆動させる駆動回路等が実装された制御基板185と、を有している。
【0039】
モータ161は、ステッピングモータであることを例示することができる。モータ161は、ハウジング120の第2収容部122内において、例えば第1収容部121を構成する第1円筒状部131及び第2円筒状部132の少なくともいずれかの外周面に固定されていることを例示することができる。
【0040】
モータギア170は、円柱状の軸部171と、軸部171の周囲に設けられたギア172と、軸部171の外周面から突出する複数の突起173と、を有している。
【0041】
軸部171は、第1側の端面から凹んだ凹部171aが形成されている。凹部171aに、モータ161の回転軸162が挿入されて、モータギア170とモータ161の回転軸162とが連結されることで、モータギア170は、モータ161の回転軸162とともに回転する。軸部171における第2側の端部は、ハウジング120の第2収容部122を構成する第2隔壁122bに形成された貫通孔又は凹部に回転可能に支持されている。
【0042】
ギア172は、ギア面が軸方向に平行となるように形成されている。ギア172の周方向の一部は、ハウジング120の第2円筒状部132に形成された連通孔132aを通り、第1収容部121内に入り込み、スクリュギア140のギア部141のギアと噛み合う。これにより、モータギア170は、モータ161の回転駆動力をスクリュギア140に伝達する。ギア172における軸方向の大きさは、スクリュギア140のギアにおける軸方向の大きさよりも小さく、スクリュギア140が軸方向に移動したとしても噛み合う大きさに設定されている。
【0043】
複数の突起173は、軸部171の周方向に等間隔に設けられている。突起173は、例えば8個設けられていることを例示することができる。また、突起173は、直方体状であることを例示することができる。ただし、複数の突起173は、周方向に等間隔に設けられていなくても良い。
【0044】
センサ180は、モータギア170の突起173よりも第1側に配置された発光部181と、突起173よりも第2側に配置された受光部182とを有する透過型の光センサであることを例示することができる。そして、発光部181が発光した光をモータギア170の突起173が遮ったことを受光部182が検知することで、モータギア170の回転角度を検出する。
【0045】
なお、センサ180は、発光部181がモータギア170の突起173よりも第2側に配置され、受光部182が突起173よりも第1側に配置されていても良い。また、センサ180は、透過型ではなく、反射型等の他のタイプの光センサであっても良い。
【0046】
制御基板185は、コード186を介して、制御装置60と電気的に接続されている。そして、制御基板185は、コード186を介して、センサ180の検出値を制御装置60に出力する。また、制御基板185は、コード186を介して、制御装置60からの指令値を受信して、モータ40の駆動を制御する。
制御基板185は、例えばネジやボルト等の締付部材を用いてハウジング120の第2カバー124に締め付けられることで、第2カバー124に支持されている。
【0047】
以上のように構成された切替ユニット160は、スクリュギア140を回転させることで、摩擦部材150をハウジング120とともにロッド110に対して移動可能にする第1状態と、摩擦部材150をロッド110とともにハウジング120に対して移動可能にする第2状態とに切り替え可能である。
【0048】
図4は、第1状態である場合のダンパ100の伸縮の態様の一例を示す図である。図4(a)は、ダンパ100が伸びた状態の一例を示す図であり、図4(b)は、ダンパ100が縮んだ状態の一例を示す図である。
図5は、第2状態である場合のダンパ100の伸縮の態様の一例を示す図である。図5(a)は、ダンパ100が伸びた状態の一例を示す図であり、図5(b)は、ダンパ100が縮んだ状態の一例を示す図である。
【0049】
第1状態では、図4に示すように、摩擦部材150は、スクリュギア140とハウジング120とにより挟み込まれてハウジング120と一体となってロッド110に対して移動する。つまり、摩擦部材150は、第1端面151がハウジング120の支持部125に接触し、第2端面152がスクリュギア140の突出部143に接触しているため、ハウジング120に対して移動することができない。それゆえ、水槽10が振動してロッド110とハウジング120とが相対的に移動する際には、摩擦部材150とハウジング120とが一体となってロッド110に対して移動する。その結果、ダンパ100には、摩擦部材150とロッド110との間に生じる摩擦力に起因する減衰力が生じる。
【0050】
第2状態では、図5に示すように、スクリュギア140とハウジング120の支持部125との間における軸方向の大きさが、摩擦部材150における軸方向の大きさよりも大きくなる。つまり、摩擦部材150は、スクリュギア140とハウジング120の支持部125との間を、軸方向に移動可能である。それゆえ、水槽10が振動してロッド110とハウジング120とが相対的に移動する際には、摩擦部材150とロッド110とが一体となってハウジング120に対して移動する。その結果、ダンパ100には、摩擦部材150とロッド110との間に生じる摩擦力に起因する減衰力が生じ難くなる。
【0051】
そして、ダンパ100が第1状態であるときに、モータ161の回転軸162及びモータギア170を一方の回転方向に回転させて、スクリュギア140を他方の回転方向に回転させることで、スクリュギア140を軸方向の第2側に移動させる。そして、モータ161の回転軸162及びモータギア170を予め定められた回転角度だけ回転させることで第2状態に移行させる。
【0052】
他方、ダンパ100が第2状態であるときに、モータ161の回転軸162及びモータギア170を他方の回転方向に回転させて、スクリュギア140を一方の回転方向に回転させることで、スクリュギア140を軸方向の第1側に移動させる。そして、モータ161の回転軸162及びモータギア170を予め定められた回転角度だけ回転させることで第1状態に移行させる。
【0053】
以上のように構成された洗濯機1においては、制御装置60は、脱水開始後に、脱水槽20の回転速度Nが所定回転速度Ntとなるまで、ダンパ100を第1状態とする。なお、所定回転速度Ntは、洗濯機1に共振が生じる脱水槽20の回転速度N(例えば250rpm)よりも大きな値であり、例えば、350rpmであることを例示することができる。ダンパ100が第1状態である場合には、摩擦部材150とロッド110との間に生じる摩擦力に起因する減衰力が生じるので、洗濯機1の振動は、例えばダンパ100を備えていない洗濯機の振動よりも小さくなる。その結果、洗濯機1によれば、共振点においても洗濯機1の振動を小さくすることができる。
【0054】
そして、制御装置60は、脱水開始後に、脱水槽20の回転速度Nが所定回転速度Ntとなったときに、ダンパ100を第1状態から第2状態に移行させるべく、モータ161の回転軸162を一方の回転方向に予め定められた回転角度だけ回転させる。ダンパ100が第2状態である場合には、摩擦部材150とロッド110との間に生じる摩擦力に起因する減衰力が生じ難いので、例えば脱水槽20の回転速度Nが所定回転速度Nt以上でも減衰力が生じる洗濯機と比較すると、所定回転速度Nt以上における脱水槽20の振動は筐体30に伝達され難くなる。それゆえ、脱水槽20の回転速度Nが所定回転速度Nt以上である場合の筐体30の振動は、例えば脱水槽20の回転速度Nが所定回転速度Nt以上でも減衰力が生じる洗濯機よりも、洗濯機1の方が小さくなる。
【0055】
以上、説明したように、ダンパ100は、相対的に移動する2つの部材である水槽10及び筐体30のいずれか一方の部材(例えば水槽10)に一端が支持されたハウジング120と、他方の部材(例えば筐体30)に一端が支持されるロッド110(棒状部材の一例)と、を備えている。ロッド110は、他端がハウジング120内に挿入され、他方の部材に対する一方の部材の移動に伴い、ハウジング120に対して移動する。また、ダンパ100は、ハウジング120内においてロッド110の周囲に配置されて、ハウジング120に対してロッド110の軸方向に直交する方向に回転することでハウジング120に対して軸方向に移動可能なスクリュギア140(回転移動部材の一例)を備えている。また、ダンパ100は、ハウジング120におけるロッド110の支持部125(挿入部の一例)とスクリュギア140との間であってロッド110の周囲に配置されて、ロッド110の外周面と接触してロッド110との間に摩擦力を生じさせる摩擦部材150を備えている。また、ダンパ100は、スクリュギア140を回転させることで、摩擦部材150をハウジング120とともにロッド110に対して移動可能にする第1状態と、摩擦部材150をロッド110とともにハウジング120に対して移動可能にする第2状態とに切り替え可能な切替ユニット160(切替手段の一例)を備えている。
【0056】
このように、ダンパ100においては、スクリュギア140を回転させることで、第1状態と第2状態とに切り替え可能であるので、例えば、ロッド110の内部又はハウジング120の支持部125の内部に、摩擦材が装着された部材をさらに設ける構成と比べて、簡易な構成である。
【0057】
ここで、第1状態では、摩擦部材150はスクリュギア140とハウジング120とにより挟み込まれてハウジング120と一体となってロッド110に対して移動し、第2状態では、ロッド110と摩擦部材150とが一体となってハウジング120に対して移動する。かかる構成により、スクリュギア140を回転させることで、第1状態と第2状態とに切り替えることを簡易な構成で実現できる。
【0058】
また、ハウジング120は、スクリュギア140を収容する第1収容部121(収容部の一例)と、第1収容部121の開口部を覆うとともにロッド110を摺動可能に支持する第1カバー123(カバーの一例)とを有している。かかる構成により、スクリュギア140をハウジング120内に確度高く収容することができ、スクリュギア140が損傷することを抑制することができる。また、ロッド110を、ハウジング120の支持部125と第1カバー123とで摺動可能に支持するとともに、スクリュギア140をロッド110と接触させることなく配置している。つまり、スクリュギア140は、ロッド110とは独立して存在し、ロッド110から半径方向の力を受けない。それゆえ、スクリュギア140の凸部142aとハウジング120の溝133aとの噛み合いにより、スクリュギア140が円滑に回転する。すなわち、仮にスクリュギア140がロッド110から半径方向の力を受けてしまうと、スクリュギア140の凸部142aとハウジング120の溝133aとの噛み合い部にも力が作用して摩擦力が大きくなりスクリュギア140が円滑に回転しなくなるが、スクリュギア140は、ロッド110から半径方向の力を受けないので、円滑に回転する。言い換えれば、スクリュギア140にロッド110から半径方向の力が作用しないようにするために、ハウジング120は、支持部125と第1カバー123とでロッド110を摺動可能に支持するように構成されている。
【0059】
また、ハウジング120の内面に螺旋状の溝133aが形成され、スクリュギア140の外面に溝133aと噛み合う螺旋状の凸部142aが形成されている。これにより、スクリュギア140を軸方向に直交する方向に回転させることで、スクリュギア140を軸方向移動させることができ、第1状態と第2状態とに切り替えることを簡易な構成で実現できる。また、回転軸の周囲に形成された溝133aと凸部142aとが噛み合うことにより回転駆動力を軸方向の移動に変換するので、例えばハウジング120の周方向の一部に力が作用する構成と比較して、ハウジング120の変形を抑制することができる。
【0060】
また、ダンパ100は、摩擦部材150の周囲に、一方の端部がスクリュギア140に支持され、他方の端部がハウジング120に支持されたコイルバネ159を有している。言い換えれば、ハウジング120内におけるロッド110の支持部125とスクリュギア140との間に、コイルバネ159が配置されている。それゆえ、コイルバネ159のバネ力が、スクリュギア140に対して第2側の方向に作用し、スクリュギア140の凸部142aにおける第2側の面と、ハウジング120の溝133aにおける第1側の面とが接触するように押さえつけられている。その結果、スクリュギア140の凸部142aの大きさがハウジング120の溝133aの大きさよりも小さくても、水槽10と筐体30とが相対的に移動した場合にスクリュギア140の凸部142aがハウジング120の溝133aに対して移動し難いため、凸部142aと溝133aとが衝突する音が発生することが抑制される。また、摩擦部材150がロッド110とともに移動可能な第2状態である場合に、仮に、摩擦部材150がスクリュギア140に衝突したとしても、スクリュギア140はハウジング120に対して移動し難いため、スクリュギア140とハウジング120とが衝突することに起因して生じる音の発生を抑制することができる。
【0061】
また、切替ユニット160は、モータ161と、モータ161の回転軸162に連結されてスクリュギア140の外面に形成されたギア部141のギアと噛み合うギア172を有しモータ161の駆動力をスクリュギア140に伝達するモータギア170(伝達部材の一例)と、モータギア170の回転角度を検出するセンサ180とを有している。これにより、ダンパ100の作動を制御する制御装置60は、センサ180の検出値に基づいてモータ161の駆動を制御することが可能となるので、例えば、第1状態から第2状態に移行させるときに、スクリュギア140を予め定められた回転角度回転させ、確度高く第2側に予め定められた距離移動させることが可能となる。
【0062】
そして、モータギア170は、ギア172とモータ161との間に外周面から半径方向の外側に突出する複数の突起173を有し、センサ180は、突起173の通過を検知することで回転角度を検出する光センサである。これにより、確度高く、モータギア170の回転角度を検出することが可能となる。
【0063】
なお、上述した第1実施形態においては、ダンパ100を洗濯機1に適用し、ハウジング120の一端が筐体30又は水槽10のいずれか一方の部材を支持し、ロッド110の一端が筐体30又は水槽10のいずれか他方の部材を支持するように設けているが、特にかかる態様に限定されない。ダンパ100を、相対的に移動する、いかなる2つの部材間に設けても良い。すなわち、ハウジング120の一端が相対的に移動する2つの部材のいずれか一方の部材を支持し、ロッド110の一端が2つの部材のいずれか他方の部材を支持するとともに他端がハウジング120の内部に挿入されるように設けても良い。
【0064】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係るダンパ200の概略構成の一例を示す図である。
第2実施形態に係るダンパ200は、第1実施形態に係るダンパ100に対して、ハウジング120、スクリュギア140、摩擦部材150それぞれに相当する、ハウジング220、スクリュギア240、摩擦部材250が異なる。以下、第1実施形態に係るダンパ100と異なる点について説明し、第1実施形態に係るダンパ100と同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0065】
(摩擦部材250)
図7(a)は、保持部材155の内側に組み付けられる前の摩擦部材250の概略構成の一例を示す図である。図7(b)は、保持部材155の内側に組み付けられた後の摩擦部材250の概略構成の一例を示す図である。
第2実施形態に係る摩擦部材250は、第1実施形態に係る摩擦部材150に対して、貫通孔が形成されている点が異なる。
より具体的には、摩擦部材250における第1側の第1端面151、及び、第2側の第2端面152は、平面である。そして、摩擦部材250には、第1端面151よりも軸方向の第2側に、周方向(図7(a)においては左右方向)に並んだ複数(図7(a)においては6つ)の円形状の第1貫通孔251が形成されている。複数の第1貫通孔251の中心位置は、第1端面151から予め定められた第1距離L1となるように形成されている。
【0066】
また、摩擦部材250には、第2端面152よりも軸方向の第1側に、周方向(図7(a)においては左右方向)に並んだ複数(図7(a)においては6つ)の円形状の第2貫通孔252が形成されている。複数の第2貫通孔252の中心位置は、第2端面152から予め定められた第2距離L2となるように形成されている。
【0067】
例えば、第1距離L1及び第2距離L2は4(mm)で、第1貫通孔251及び第2貫通孔252の径は3(mm)であることを例示することができる。このように、第1距離L1及び第2距離L2、第1貫通孔251及び第2貫通孔252の径は、第1端面151、第2端面152が平面となり、第1端面151、第2端面152から凹んだ凹部が形成されないように設定されている。
【0068】
第1貫通孔251と第2貫通孔252とは、周方向(図7(a)においては左右方向)にずれるように形成されている。つまり、図7(a)に示すように、第1貫通孔251の中心位置と、第2貫通孔252の中心位置とが周方向にずれている。これにより、例えば第1貫通孔251の中心位置と第2貫通孔252の中心位置との周方向の位置が同一である場合と比べて、摩擦部材250の耐久性を向上させることができる。
【0069】
摩擦部材250の材質は、耐摩耗性が優れた材質であり、かつ、弾性変形し易い材質であれば特に限定されない。例えば、摩擦部材250の材質は、ウレタン樹脂、ウレタンゴムであることを例示することができる。また、摩擦部材250の材質は、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)であることを例示することができる。
【0070】
(ハウジング220)
ハウジング220は、ハウジング120に対して、支持部125における第2側の端面から軸方向の第2側に突出した軸方向突出部221を有している。軸方向突出部221は、直方体状であり、周方向に複数(例えば8つ)設けられている。
【0071】
(スクリュギア240)
スクリュギア240は、スクリュギア140に対して、突出部143の内側の部位における第1側の端面から軸方向の第1側に突出した軸方向突出部241を有している。軸方向突出部241は、直方体状であり、周方向に複数(例えば8つ)設けられている。
【0072】
図8(a)及び図8(b)は、摩擦部材250の第1貫通孔251及び第2貫通孔252の変形例の一例を示す図である。
第1貫通孔251及び第2貫通孔252の形状は、円に限定されない。
例えば、図8(a)に示すように、長軸の方向が周方向(図8(a)においては左右方向)となる楕円であっても良い。あるいは、図示はしないが、第1貫通孔251及び第2貫通孔252の形状は、短軸の方向が周方向となる楕円であっても良い。
【0073】
また、図8(b)に示すように、正円を2つに割った半円の間に正円の直径と同じ大きさの幅の四角が設けられた形状(以下、この形状を「長円」と称する場合がある。)であり、長軸の方向が周方向(図8(b)においては左右方向)となる長円であっても良い。あるいは、図示はしないが、第1貫通孔251及び第2貫通孔252の形状は、短軸の方向が周方向となる長円であっても良い。
【0074】
なお、上記第1距離L1と第2距離L2とは同一でなくても良い。また、第1貫通孔251と第2貫通孔252とは同一でなくても良い。例えば、第1貫通孔251及び第2貫通孔252のいずれか一方が円で、他方が楕円であっても良い。
【0075】
以上、説明したように、ダンパ200においては、摩擦部材250は、円筒状であり、スクリュギア240又はハウジング220と接触する第1端面151,第2端面152(端面の一例)は平面であり、第1端面151,第2端面152よりも中央部側は半径方向に貫通する第1貫通孔251,第2貫通孔252(貫通孔の一例)が複数形成されている。これにより、仮に、摩擦部材250がスクリュギア240又はハウジング220に衝突したとしても、摩擦部材250が弾性変形し易いので、衝撃を和らげることができ、衝突することに起因して生じる音の発生を抑制することができる。
【0076】
摩擦部材250は、ハウジング220とスクリュギア240との間に組み付けられる前の形状が直方体状であり、第1貫通孔251,第2貫通孔252は、組み付けられる前の形状が、円、楕円、長円のいずれかである。これにより、第1端面151,第2端面152を平面としたまま、摩擦部材250を弾性変形し易い形状とすることができる。
【0077】
そして、ハウジング220又はスクリュギア240は、摩擦部材250との接触部位に軸方向に突出した軸方向突出部221,軸方向突出部241(突出部の一例)を有している。これにより、ハウジング220,スクリュギア240と、第1端面151,第2端面152との接触面積を低減することができ、衝突することに起因して生じる音の発生を抑制することができる。
【0078】
さらに、軸方向突出部221,軸方向突出部241は、周方向に複数(例えば8つ)設けられている。これにより、例えば軸方向突出部221,軸方向突出部241が全周に亘って設けられた円筒状である場合と比べて、第1端面151,第2端面152との接触面積をさらに低減することができ、衝突することに起因して生じる音の発生をさらに抑制することができる。
【0079】
なお、ダンパ200において、ハウジング220,スクリュギア240に、軸方向突出部221,軸方向突出部241を設けなくても良い。また、ハウジング220に軸方向突出部221を設け、スクリュギア240には軸方向突出部241を設けないようにしても良い。あるいは、スクリュギア240には軸方向突出部241を設け、ハウジング220に軸方向突出部221を設けないようにしても良い。
【0080】
また、ダンパ200は、摩擦部材250の周囲に、摩擦部材250を保持する円筒状の保持部材155を有し、軸方向突出部221,軸方向突出部241の外側の部位における半径方向の大きさは保持部材155の内径よりも小さく、軸方向突出部221,軸方向突出部241の内側の部位における半径方向の大きさはロッド110の外径よりも大きい。これにより、軸方向突出部221,軸方向突出部241が、保持部材155やロッド110と接触することが抑制される。
【0081】
図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、摩擦部材255の変形例の一例を示す図である。
摩擦部材255は、図9(a)、図9(b)及び図9(c)に示すように、第1端面151と第1貫通孔251との間にスリット256が形成されていても良い。また、摩擦部材255は、図9(a)、図9(b)及び図9(c)に示すように、第2端面152と第2貫通孔252との間にスリット257が形成されていても良い。スリット256、スリット257が形成されていても、ハウジング220,スクリュギア240と摩擦部材255とが衝突することに起因して生じる音の発生を抑制することができる。
【0082】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係るダンパ300の概略構成の一例を示す図である。
第3実施形態に係るダンパ300は、第1実施形態に係るダンパ100に対して、ハウジング120に相当するハウジング320、スクリュギア140に相当するスクリュギア340、及び、切替ユニット160に相当する切替ユニット360が異なる。そして、第3実施形態に係るダンパ300は、第1実施形態に係るダンパ100に対して、センサ180がスクリュギア340の回転角度を検出する点が異なる。以下、第1実施形態に係るダンパ100と異なる点について説明し、第1実施形態に係るダンパ100と同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0083】
ハウジング320は、第1収容部121に相当する第1収容部321と、第2収容部122と、第1カバー123と、第2カバー124と、支持部125と、被保持部126と、第1収容部321における周方向の開口部を覆う第3カバー327と、を有している。第1収容部321には、第2収容部122と対向しない位置、言い換えれば、連通孔132aが形成されていない位置に、内部と外部とを連通する外部連通孔321aが形成されている。第3カバー327は、第1収容部321における開口部である外部連通孔321aを覆うように第1収容部321に装着されている。第3カバー327を、第1収容部321に装着する態様は特に限定されない。ネジやボルト等の締付部材を用いて締め付けても良いし、接着しても良い。
【0084】
スクリュギア340は、ギア部141と、スクリュ部142と、突出部143とに加えて、ギア部141の内側の部位における第1側の端面から軸方向の第1側に円筒状に突出した円筒状突出部341を有している。円筒状突出部341の内径は、コイルバネ159の外形よりも大きく、かつ、円筒状突出部341の外径は、ハウジング120の第1収容部321の第1円筒状部131の内径よりも小さい。
【0085】
図11は、第3実施形態に係る突起342の概略構成の一例を示す図である。図11(a)は、突起342を軸方向に直交する方向に見た図であり、図11(b)は、突起342を軸方向に見た図である。
スクリュギア340は、円筒状突出部341の外周面から半径方向の外側に突出するとともに周方向に複数(図11においては7つ)設けられた直方体状の突起342を有している。図11(a)に示すように、複数の突起342は、スクリュ部142の凸部142aが描く螺旋と同形状の螺旋上に形成されている。また、複数の突起342は、周方向に等間隔に設けられている。
【0086】
図10に示すように、切替ユニット360は、モータ161と、モータギア170と、スクリュギア340の回転角度を検出するセンサ180と、制御基板185と、を有している。モータ161及びモータギア170は、第2収容部122内に設けられ、センサ180及び制御基板185は、第1収容部321内に設けられている。
【0087】
第3実施形態に係るセンサ180は、発光部181がスクリュギア340の突起342よりも第1側に配置され、受光部182が突起342よりも第2側に配置され、発光部181が発光した光を突起342が遮ったことを受光部182が検知することで、スクリュギア340の回転角度を検出する。なお、発光部181がスクリュギア340の突起342よりも第2側に配置され、受光部182が突起342よりも第1側に配置されていても良い。
【0088】
第3実施形態に係る制御基板185は、コード187を介して、制御装置60と電気的に接続されている。そして、制御基板185は、コード187を介して、センサ180の検出値を制御装置60に出力する。
また、第3実施形態に係る制御基板185は、例えばネジやボルト等の締付部材を用いてハウジング320の第3カバー327に締め付けられることで、第3カバー327に支持されている。
【0089】
以上のように構成された第3実施形態に係るダンパ300の切替ユニット360は、モータ161と、モータギア170と、スクリュギア340の回転角度を検出するセンサ180とを有している。これにより、ダンパ300の作動を制御する制御装置60は、センサ180の検出値に基づいてモータ161の駆動を制御することが可能となるので、例えば、第1状態から第2状態に移行させるときに、スクリュギア340を予め定められた回転角度回転させ、確度高く第2側に予め定められた距離移動させることが可能となる。また、制御装置60は、第2状態から第1状態に移行させるときに、スクリュギア340を予め定められた回転角度回転させ、確度高く第1側に予め定められた距離移動させることが可能となる。
【0090】
そして、スクリュギア340は、複数の突起342を有し、センサ180は、突起342の通過を検知することで回転角度を検出する光センサである。これにより、確度高く、スクリュギア340の回転角度を検出することが可能となる。つまり、仮にモータ161やモータギア170が故障したとしても、スクリュギア340の回転角度を正しく検出することができる。なお、スクリュギア340が突起342を有するので、第3実施形態に係るモータギア170は、突起173を有していなくても良い。
【0091】
また、第3実施形態に係るダンパ300においては、第2収容部122と第2カバー124とを一体的に構成しても良い。例えば、第1収容部321の外側に、第1隔壁122a、第2隔壁122b、及び、第3隔壁122cを設けることなく、第2カバー124に相当するカバーに、第1隔壁122a、第2隔壁122b、及び、第3隔壁122cに相当する隔壁を設けることで第2収容部122を構成しても良い。
【0092】
また、スクリュギア340は、ギア部141、スクリュ部142及び突出部143と、円筒状突出部341とを別体で構成し、円筒状突出部341を、例えば突出部143に嵌め込むことで一体化しても良い。かかる構成である場合、切替ユニット360は、モータ161と、モータギア170と、ギア部141、スクリュ部142及び突出部143(回転部材の一例)とともに回転する部材の一例としての円筒状突出部341に設けられた半径方向に突出する複数の突起342の通過を検知することでスクリュギア340の回転角度を検出するセンサ180と、を有して構成される。
また、第3実施形態に係るダンパ300のハウジング320、スクリュギア340、及び、切替ユニット360を、第2実施形態に係るダンパ200に適用しても良い。
【0093】
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態に係るダンパ400の概略構成の一例を示す図である。
第4実施形態に係るダンパ400は、第1実施形態に係るダンパ100に対して、ハウジング120に相当するハウジング420が異なる。
【0094】
ハウジング420は、第1収容部121に相当する第1収容部421と、第2収容部122と、第1カバー123に相当する第1カバー423と、第2カバー124と、支持部125と、被保持部126と、を有している。
【0095】
第1カバー423は、円盤状であるとともに、中央部に、ロッド110の棒状部111を摺動可能に支持する軸受け123aが設けられた円盤状部424と、円盤状部424における第1側の面から第1側に円筒状に突出した円筒状部425と、を有している。そして、円筒状部425の内周面には、スクリュ部142の凸部142aと噛み合う螺旋状の溝425aが形成されている。
【0096】
第1収容部421は、第1円筒状部131と、第2円筒状部132と、第3円筒状部133に相当する第3円筒状部433とを有している。そして、第3円筒状部433における第2側の端部は、第1カバー423の円筒状部425の周囲を覆う。第1カバー423を、第1収容部421に装着する態様は特に限定されない。図12に示すように、第1カバー423の円筒状部425と第1収容部421の第3円筒状部433における第2側の端部とを嵌合することを例示することができる。さらに、第1カバー423を第1収容部421に、ネジやボルト等の締付部材を用いて締め付けても良いし、第1カバー423と第1収容部421とを接着しても良い。
【0097】
以上のように構成されたダンパ400においては、ハウジング420は、スクリュギア140を収容する第1収容部421(収容部の一例)と、第1収容部421の開口部を覆うとともにロッド110を摺動可能に支持する第1カバー423(カバーの一例)とを有している。そして、第1カバー423の内面に螺旋状の溝425aが形成され、スクリュギア140の外面に溝425aと噛み合う螺旋状の凸部142aが形成されている。これにより、スクリュギア140を軸方向に直交する方向に回転させることで、スクリュギア140を軸方向移動させることができ、第1状態と第2状態とに切り替えることを簡易な構成で実現できる。また、回転軸の周囲に形成された溝425aと凸部142aとが噛み合うことにより回転駆動力を軸方向の移動に変換するので、例えばハウジング420の周方向の一部に力が作用する構成と比較して、ハウジング420の変形を抑制することができる。
【0098】
また、第4実施形態に係るダンパ400のハウジング420を、第2実施形態に係るダンパ200に適用しても良い。
また、第4実施形態に係るダンパ400のハウジング420の第1収容部421の第3円筒状部433及び第1カバー423を、第3実施形態に係るダンパ300のハウジング320の第1収容部321の第3円筒状部133及び第1カバー123の代わりに適用しても良い。
【0099】
<第5実施形態>
図13は、第5実施形態に係るダンパ500の概略構成の一例を示す図である。
第5実施形態に係るダンパ500は、第3実施形態に係るダンパ300に対して、コイルバネ159の第1側の端部とハウジング320との間に介在する介在部材510を有する点が異なる。以下、第3実施形態に係るダンパ300と異なる点について説明し、第3実施形態に係るダンパ300と同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、図13には、スクリュギア340が、ギア部141、スクリュ部142及び突出部143と、円筒状突出部341とが別体で構成され、円筒状突出部341が突出部143に嵌め込まれて一体化されている構成を示している。
【0100】
図14は、介在部材510の概略構成の一例を示す図である。
介在部材510は、中央部にロッド110の棒状部111を通す貫通孔511が形成された円環状の部材である。より具体的には、介在部材510は、薄肉の円環状部512と、円環状部512における第2側の面から第2側に円筒状に突出した円筒状部513と、円環状部512における第2側の面から第2側に突出した突出部514とを有している。
【0101】
円環状部512は、外径がハウジング320の第1円筒状部131の内径よりも小さく、第1円筒状部131に収容される。
円筒状部513は、内径が保持部材155の外径よりも大きく、外径がコイルバネ159の内径以下である。それゆえ、円筒状部513は、コイルバネ159の内側において、コイルバネ159が半径方向にずれるのを抑制する。
【0102】
突出部514は、円筒状部513の内側に設けられている。突出部514は、周方向に等間隔に複数(図14においては4個)設けられていることを例示することができる。突出部514は、周方向の中央部が最も第2側に突出するように周方向の端部から中央部にかけて徐々に第2側に突出している。
【0103】
以上説明したように、第5実施形態に係るダンパ500は、摩擦部材150の周囲にコイルバネ159を有し、コイルバネ159は、一方の端部の一例としての第1側の端部がスクリュギア340に支持され、他方の端部の一例としての第2側の端部がハウジング320との間に介在する介在部材510に支持されている。
【0104】
以上のように構成されたダンパ500においては、スクリュギア340が回転するのに伴ってコイルバネ159が回転したとしても、コイルバネ159の第2側の端部を支持する介在部材510がハウジング320に対して回転するので、コイルバネ159がハウジング120に対して円滑に回転することを可能とする。
【0105】
また、介在部材510は、摩擦部材150との接触部位に軸方向に突出した突出部514を有している。これにより、介在部材510と摩擦部材150との接触面積を低減することができ、介在部材510と摩擦部材150とが衝突することに起因して生じる音の発生を抑制することができる。
【0106】
なお、第5実施形態に係るダンパ500の介在部材510を、第1実施形態に係るダンパ100、第2実施形態に係るダンパ200、及び、第4実施形態に係るダンパ400に適用しても良い。
【0107】
<第6実施形態>
図15は、第6実施形態に係るダンパ600の突起群540の概略構成の一例を示す図である。
第6実施形態に係るダンパ600は、第5実施形態に係るダンパ500に対して、円筒状突出部341が有する複数の突起342に相当する突起群540が異なる。以下、第5実施形態に係るダンパ500と異なる点について説明し、第5実施形態に係るダンパ500と同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0108】
突起群540は、突起342と同様の中突起542と、周方向の大きさが中突起542における周方向の大きさよりも大きな大突起541と、周方向の大きさが中突起542における周方向の大きさよりも小さな小突起543とを有する。大突起541及び小突起543は、それぞれ周方向に一つ設けられ、中突起542は、周方向に複数(図15に示した例においては17個)設けられている。突起群540は、周方向に螺旋状に設けられている。
【0109】
大突起541における周方向の大きさは、中突起542における周方向の大きさの約5倍であることを例示することができる。そして、第6実施形態に係るダンパ600においては、第2状態であるときに、大突起541がセンサ180の発光部181と受光部182との間に配置されるように設定されている。
【0110】
ここで、センサ180は、発光部181が発光した光を突起群540のいずれかの突起(例えば中突起542)が遮ったことを検知したときに、その旨を示す第1信号(例えばHigh信号)を出力する。他方、センサ180は、発光部181が発光した光を突起(例えば中突起542)が遮らなくなったことを検知したときに、その旨を示す第2信号(例えばLow信号)を出力する。そして、制御装置60は、センサ180から受信した第1信号及び第2信号の数を数えることで、スクリュギア340がどれだけ回転したかを把握して、スクリュギア340の軸方向の移動を制御することが可能となる。
【0111】
制御装置60は、第1状態から第2状態に移行させるときには、スクリュギア340が軸方向の第2側に移動して第1カバー123に突き当たったことを把握した場合に、モータ161の駆動を停止する。つまり、スクリュギア340が軸方向の第2側に移動して第1カバー123に突き当たった場合にはスクリュギア340の回転が止まるため、制御装置60は、センサ180からの出力が第1信号から第2信号に、もしくは、第2信号から第1信号に変化しなくなる。そして、制御装置60は、センサ180からの出力信号が変化しなくなった後、予め定められた時間が経過したときに、モータ161の駆動を停止する。
【0112】
しかしながら、スクリュギア340が軸方向の第2側に移動して第1カバー123に突き当たったときに、突起(例えば中突起542)における周方向の端部が、発光部181と受光部182との間に位置する場合には、センサ180からの出力信号が第1信号又は第2信号のいずれかに安定せずに、第1信号と第2信号とを繰り返し出力する場合がある。その結果、制御装置60は、スクリュギア340が第1カバー123に突き当たっているにも拘らず、センサ180からの出力信号が変化し続けるため、スクリュギア340が第1カバー123に突き当たっていることを把握することができずに、モータ161の駆動を停止しない。
【0113】
そこで、第6実施形態に係るダンパ600においては、スクリュギア340が第1カバー123に突き当たった第2状態であるときに、大突起541がセンサ180の発光部181と受光部182との間に配置されるように設定する。これにより、例えば中突起542がセンサ180の発光部181と受光部182との間に配置されるように設定する場合と比較して、大突起541における周方向の端部が、発光部181と受光部182との間に位置し難くなる。つまり、大突起541における周方向の大きさは、中突起542における周方向の大きさよりも大きいため、スクリュギア340が第1カバー123に突き当たった第2状態であるときに、大突起541がセンサ180の発光部181と受光部182との間に配置され易い。その結果、制御装置60は、スクリュギア340が第1カバー123に突き当たったときに、確度高くモータ161の駆動を停止することが可能となる。
【0114】
小突起543における周方向の大きさは、中突起542における周方向の大きさの約1/2以下であることを例示することができる。これにより、小突起543が発光部181と受光部182との間を通過したときにセンサ180が出力する第1信号と第2信号との時間間隔の方が、中突起542が通過したときにセンサ180が出力する第1信号と第2信号との時間間隔よりも短くなる。それゆえ、小突起543が通過したときの第1信号及び第2信号をセンサ180から受信することで、制御装置60は、スクリュギア340の回転角度を精度高く把握することが可能となる。そのため、第2状態から第1状態に移行させるとき、制御装置60は、小突起543が通過したときの検出値に基づいて、精度高く、スクリュギア340を所望の位置に停止させることが可能となる。また、制御装置60は、例えば第2状態から第1状態に移行させるときに、小突起543が通過したときの第1信号及び第2信号に基づくことで、スクリュギア340が予め定められた位置まで軸方向の第1側に移動したことを精度高く判定することができる。
【0115】
以上説明したように、第6実施形態に係るダンパ600において、切替ユニット160は、スクリュギア340に設けられた外周面から半径方向に突出する突起群540の通過を検知することでスクリュギア340の回転角度を検出するセンサ180を有する。センサ180は、発光部181と受光部182とを有し、突起群540は、第1突起の一例としての中突起542と、周方向の大きさが中突起542における周方向の大きさよりも大きくて第2状態である場合に発光部181と受光部182との間に位置する第2突起の一例としての大突起541と、を有する。以上のように構成されたダンパ600においては、スクリュギア340が第1カバー123に突き当たったときに、確度高くモータ161の駆動を停止することが可能となる。
【0116】
また、突起群540は、周方向の大きさが中突起542における周方向の大きさよりも小さな第3突起の一例としての小突起543を有する。これにより、制御装置60は、小突起543が通過したときの検出値に基づいて、スクリュギア340を所望の位置に精度高く停止させることや、スクリュギア340が予め定められた位置まで軸方向の第1側に移動したことを精度高く判定することができる。
【0117】
なお、第6実施形態に係るダンパ600の突起群540を、第1実施形態に係るダンパ100、第2実施形態に係るダンパ200、第3実施形態に係るダンパ300、及び、第4実施形態に係るダンパ400に適用しても良い。
【符号の説明】
【0118】
1…洗濯機、10…水槽、20…脱水槽、30…筐体、100,200,300,400,500,600…ダンパ、110…ロッド、120,320…ハウジング、133a…溝、140,340…スクリュギア、142a…凸部、150,250…摩擦部材、151…第1端面、152…第2端面、155…保持部材、159…コイルバネ、160…切替ユニット、161…モータ、170…モータギア、173,342…突起、180…センサ、221,241…軸方向突出部、251…第1貫通孔、252…第2貫通孔、510…介在部材、540…突起群、541…大突起、542…中突起、543…小突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15