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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095104
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 8/00 20060101AFI20240703BHJP
   B60K 15/01 20060101ALI20240703BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B60K8/00
B60K15/01 B
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212143
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高木 貴大
(72)【発明者】
【氏名】石見 憲一
(72)【発明者】
【氏名】坂野 倫祥
(72)【発明者】
【氏名】高木 剛
(72)【発明者】
【氏名】南出 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】網谷 幸大
(72)【発明者】
【氏名】林 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲平
(72)【発明者】
【氏名】森田 篤士
(72)【発明者】
【氏名】風間 勇
(72)【発明者】
【氏名】松井 謙史朗
(72)【発明者】
【氏名】石原 健二
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038CB06
3D038CB09
3D038CC14
3D038CC16
3D038CD14
3D038CD19
3D235AA14
3D235AA19
3D235CC12
3D235CC15
3D235CC22
3D235CC24
3D235HH63
(57)【要約】
【課題】水素ガスの充填作業性の高い作業車両を提供する。
【解決手段】車体と、前記車体を走行可能に支持する走行装置と、水素ガスを貯蔵する水素タンクと、前記水素ガスをエネルギー源として、前記走行装置を駆動させる駆動装置と、前記水素タンクに前記水素ガスを充填する際に外部の水素ガス供給機のガス充填ノズルを接続するガス充填口と、前記車体と前記ガス充填口とを連結し、且つ当該ガス充填口と前記車体との相対位置を移動させる移動機構と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体を走行可能に支持する走行装置と、
水素ガスを貯蔵する水素タンクと、
前記水素ガスをエネルギー源として、前記走行装置を駆動させる駆動装置と、
前記水素タンクに前記水素ガスを充填する際に外部の水素ガス供給機のガス充填ノズルを接続するガス充填口と、
前記車体と前記ガス充填口とを連結し、且つ当該ガス充填口と前記車体との相対位置を移動させる移動機構と、を備えている作業車両。
【請求項2】
前記移動機構は、先端部に前記ガス充填口が設けられ、且つ基端部が前記車体に枢支連結された揺動フレームを備えている請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記ガス充填口から前記水素タンクに前記水素ガスを導くガス導入管路を備え、
前記ガス導入管路は、前記揺動フレームに沿って延設されている請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記移動機構は、前記揺動フレームを前記車体の後部に沿って左右方向に延在させた折畳位置と、前記揺動フレームを前記車体の後部後方へ延在させた展開位置と、に前記揺動フレームを変位させるヒンジ部を備えている請求項2に記載の作業車両。
【請求項5】
前記ガス充填口は、前記揺動フレームが前記折畳位置に変位されたときに、当該ガス充填口の接続端部を前記車体の後方へ向けた姿勢で配置され、前記揺動フレームが前記展開位置に変位されたときに、前記接続端部を前記車体の側方へ向けた姿勢で配置される請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記ガス充填口から前記水素タンクに前記水素ガスを導くガス導入管路を備え、
前記移動機構は、先端部に前記ガス充填口が接続され、且つ基端部が前記ガス導入管路に接続された可曲性を有する延長配管を備えている請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
前記移動機構は、前記ガス充填口を前記車体に近づける方向へ移動させたときに、前記延長配管を収容するパイプ収容部を有している請求項6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記移動機構は、前記パイプ収容部に前記延長配管を収容させた短縮位置と、前記パイプ収容部の外部に前記延長配管を露出させた延長位置と、に前記延長配管を変位させるパイプ駆動部を有している請求項7に記載の作業車両。
【請求項9】
前記移動機構は、前記車体の運転席の周囲に立設された保護フレームに設けられている請求項1~8のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項10】
前記移動機構は、前記車体に立設され、且つ前記水素タンクを支持する固定フレームに設けられている請求項1~8のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項11】
前記移動機構は、前記ガス充填口を前記車体に近づける方向へ移動させたときに、当該ガス充填口を前記車体と前記固定フレームとの間に配置させる請求項10に記載の作業車両。
【請求項12】
前記駆動装置は、
前記走行装置を駆動する駆動モータと、
前記水素ガスにより発電し、前記駆動モータに電力を供給する燃料電池ユニットと、を有している請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池から供給された電力で駆動する作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脱炭素化を実現するため、水素を燃料とする燃料電池から供給された電力で駆動する車両の開発が進んでいる。特許文献1に開示された燃料電池車両は、走行用モータに電力を供給する燃料電池スタックと、燃料電池スタックに供給するための燃料ガスを貯蔵する燃料タンクと、車両外部から燃料タンクに燃料ガスを充填するガス充填口と、を備えている。ガス充填口は、車体の側部後寄りの位置に設けられた充填用リッドボックス内に設けられている。このものでは、充填用リッドボックス内のガス充填口に充填ノズルを接続させると、燃料ガスが所望の流量に調整されてガス充填口に供給される。その結果、燃料ガスは、車体内部の燃料ガス充填配管を通して燃料タンクに充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-147043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トラクタなどの作業車両は、一般に車体周りの構造が複雑であり、車体の側部に比較的大きなホイールやクローラが設けられたものや、車体の後部に作業装置を連結し牽引するための連結機構が設けられたものがある。そのため、この種の作業車両において、上記従来の燃料電池車両のように、車体の充填用リッドボックス内にガス充填口が埋設されていると、ガス充填口に充填ノズルを接続し難く、燃料ガスの充填作業を円滑に行うことができない問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、充填作業性の良好な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0007】
本発明の一態様に係る作業車両は、車体と、前記車体を走行可能に支持する走行装置と、水素ガスを貯蔵する水素タンクと、前記水素ガスをエネルギー源として、前記走行装置を駆動させる駆動装置と、前記水素タンクに前記水素ガスを充填する際に外部の水素ガス供給機のガス充填ノズルを接続するガス充填口と、前記車体と前記ガス充填口とを連結し、且つ当該ガス充填口と前記車体との相対位置を移動させる移動機構と、を備えている。
【0008】
前記移動機構は、先端部に前記ガス充填口が設けられ、且つ基端部が前記車体に枢支連結された揺動フレームであってもよい。
【0009】
前記ガス充填口から前記水素タンクに前記水素ガスを導くガス導入管路を備え、前記ガス導入管路は、前記揺動フレームに沿って延設されてもよい。
【0010】
前記移動機構は、前記揺動フレームを前記車体の後部に沿って左右方向に延在させた折畳位置と、前記揺動フレームを前記車体の後部後方へ延在させた展開位置と、に前記揺動フレームを変位させるヒンジ部を備えてもよい。
【0011】
前記ガス充填口は、前記揺動フレームが前記折畳位置に変位されたときに、当該ガス充填口の接続端部を前記車体の後方へ向けた姿勢で配置され、前記揺動フレームが前記展開位置に変位されたときに、前記接続端部を前記車体の側方へ向けた姿勢で配置されてもよい。
【0012】
前記ガス充填口から前記水素タンクに前記水素ガスを導くガス導入管路を備え、前記移動機構は、先端部に前記ガス充填口が接続され、且つ基端部が前記ガス導入管路に接続された可曲性を有する延長配管を有してもよい。
【0013】
前記移動機構は、前記ガス充填口を前記車体に近づける方向へ移動させたときに、前記延長配管を収容するパイプ収容部を有してもよい。
【0014】
前記移動機構は、前記パイプ収容部に前記延長配管を収容させた短縮位置と、前記パイ
プ収容部の外部に前記延長配管を露出させた延長位置と、に前記延長配管を変位させるパイプ駆動部を有してもよい。
【0015】
前記移動機構は、前記車体の運転席の周囲に立設された保護フレームに設けられてもよい。
【0016】
前記移動機構は、前記車体に立設され、且つ前記水素タンクを支持する固定フレームに設けられてもよい。
【0017】
前記移動機構は、前記ガス充填口を前記車体に近づける方向へ移動させたときに、当該ガス充填口を前記車体と前記固定フレームとの間に配置させるものとしてもよい。
【0018】
前記駆動装置は、前記走行装置を駆動する駆動モータと、前記水素ガスにより発電し、前記駆動モータに電力を供給する燃料電池ユニットと、を有してもよい。
【発明の効果】
【0019】
上記作業車両によれば、ガス充填口とガス充填ノズルとの接続位置の自由度が高く、水素ガスの充填作業性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の作業車両の左側方視図である。
図2】本発明の作業車両の上方視図である。
図3】本発明の作業車両の後方視図である。
図4】本発明の作業車両の基本構成を示すブロック図である。
図5】移動機構周辺の後方視図である。
図6】移動機構周辺の上方視図である。
図7】他の実施形態の作業車両の上方視図である。
図8】他の実施形態の作業車両の基本構成を示すブロック図である。
図9】他の実施形態の移動機構周辺の上方視図である。
図10】マニピュレータを連結させた状態の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の作業車両1は、トラクタであり、且つ燃料電池で発生した電力を用いて駆動するFCV(Fuel Cell Vehicle)の一種である。尚、本発明に係る作業車両1は、トラクタに限定されない。例えば、本発明に係る作業車両1は、トラクタ以外の農業機械、建設機械、ユーティリティビークル等であってもよい。
【0022】
以下、作業車両1が前進後退する方向(図1図2の矢視X1,X2方向、図3の手前側奥側方向)を前後方向、作業車両1が前進後退する方向に対して水平に直交する方向(図1の手前側奥側方向、図2図3の矢視Y1,Y2方向)を左右方向、作業車両1が前進後退する方向に対して垂直に直交する方向(図1図3の矢視Z1,Z2方向、図2の手前側奥側方向)を上下方向として説明する。
【0023】
図1図3に示すように、作業車両1は、車体2と、車体2に設けられた運転席P1の周囲を覆うキャビン3と、車体2を走行可能に支持する走行装置4と、水素ガスを貯蔵する水素タンク5と、水素ガスをエネルギー源として走行装置4を駆動させる駆動装置6と、を備えている。図1図4に示すように、駆動装置6は、走行装置4を駆動する駆動モータ7と、水素ガスにより発電し、駆動モータ7に電力を供給する燃料電池スタック(燃料電池ユニット)8と、燃料電池スタック8から供給される電力を貯留するバッテリユニット9と、を有している。
【0024】
車体2は、金属製のフレーム材などを組み合わせて形成されており、キャビン3、走行装置4、および駆動装置6を支持している。図1図3に示すように、車体2は、固定フレーム10を備えている。図1に示すように、キャビン3は、車体2の上部後寄りの位置に設けられている。燃料電池スタック8は、車体2の上部前寄りの位置に設けられ、且つボンネット11の内部に収容されている。即ち、燃料電池スタック8は、運転席P1の前方位置に設けられ、且つ車両前部のハウジング(ボンネット11)により覆われている。
【0025】
図1図3に示すように、固定フレーム10の上フレーム部10aには、水素タンク5を収容するタンクケース12が設けられている。固定フレーム10の後フレーム部10b
には、水素タンク5に水素ガスを充填する際に、車両外部に設置された水素ガス供給機GSのガス充填ノズルG1を接続するガス充填口(レセプタクル)13が設けられている。
【0026】
図1に示すように、固定フレーム10は、車体2の上部に立設されている。固定フレーム10は、長軸状の管体であり、キャビン3およびボンネット11を跨ぐように車体2の上方へ湾曲するアーチ状に形成されている。詳しくは、固定フレーム10は、前端が車体2におけるボンネット11の前下方位置に連結され、後端が車体2におけるキャビン3の後下方位置に連結されている。尚、固定フレーム10は、ボンネット11の後方位置においてキャビン3を跨ぐように車体2の上方へ湾曲するアーチ状に形成されてもよい。
【0027】
図2に示すように、固定フレーム10は、ボンネット11を挟んで左右両側方位置に一対並設されており、タンクケース12をキャビン3の上方位置にて下方から支持している。即ち、水素タンク5は、左右2つの固定フレーム10を介して車体2に支持されている。固定フレーム10は、水素タンク5を安定して支持する機能と、走行時や作業時の車体2の振動を吸収して水素タンク5への衝撃を緩和する機能と、を兼備している。
【0028】
図1に示すように、左右の上フレーム部10aはそれぞれ、前後方向へ略直線状に形成されている。タンクケース12は、左右の上フレーム部10aに支持固定されている。図1図3に示すように、左右の後フレーム部10bはそれぞれ、上下方向へ略直線状に形成されている。図3に示すように、左右の後フレーム部10b相互間には、左右方向へ略平行に延長する上下一対の連結バー10cが設けられている。上下の連結バー10c相互間には、ガス充填口13と車体2との相対位置を移動させる移動機構14が設けられている。
【0029】
タンクケース12は、複数の水素タンク5を収容可能な箱体であり、固定ブラケットやボルトナット、溶接等により上フレーム部10aに固定(リジット固定)されている。本実施形態のタンクケース12は、外部から水素タンク5を熱的および物理的に保護可能な材質および厚みの鋼材によって形成されている。尚、タンクケース12は、収容される水素タンク5の全体を覆う箱状に形成されているが、上方に開口するバケット状に形成されてもよいし、下方に開口するカバー状に形成されてもよい。
【0030】
キャビン3は、運転席P1を保護する保護機構であり、運転席P1の前後左右位置に立設される複数のパネル15と、隣接するパネル15同士の突き合わせ端縁に沿って運転席P1の周囲に立設される保護フレームとしてのピラー16と、ピラー16の上部に連設支持されるルーフ17と、を有している。固定フレーム10の上フレーム部10aは、ルーフ17の上面部と略平行に前後方向へ延長形成されている。タンクケース12は、上フレーム部10aに固定されている。
【0031】
走行装置4は、車体2の左右の側部に回転可能に支持されたホイールであり、左右一対の前輪4Aと、左右一対の後輪4Bと、を含んでいる。本実施形態では、前輪4Aおよび後輪4Bのいずれか一方または両方に対して駆動モータ7から動力が伝達される。尚、駆動モータ7から動力が伝達されて駆動輪となる前輪4Aおよび後輪4Bのいずれか一方または両方は、クローラであってもよい。
【0032】
水素タンク5は、炭素繊維やガラス繊維で強化された硬質合成樹脂等によって形成された略円筒状の高圧容器であり、キャビン3の上方位置に設けられたタンクケース12の内部に単数又は複数収容されている。本実施形態の作業車両1は、タンクケース12の内部に3つの水素タンク5が前後横並びに収容されている。このように、本実施形態の作業車両1は、水素タンク5がキャビン3(運転席P1)の上方位置に配されているため、車体2に対する駆動モータ7や燃料電池スタック8、バッテリユニット9の配置構成の自由度が高い。また、従来のエンジン駆動式の車両から本実施形態の作業車両1のようなモータ駆動式の車両に設計変更するにあたり、各部材の配置構成を大幅に変更する必要もない。
【0033】
尚、水素タンク5の搭載数は、3つに限定されない。例えば、水素タンク5は、作業車両1に1つのみ搭載されてもよいし、2つ搭載されてもよいし、4つ以上搭載されてもよい。また、水素タンク5の配置は、キャビン3の上方位置に限定されない。例えば、水素タンク5は、キャビン3の後部に設けられてもよいし、運転席P1の下方の空間に設けられてもよいし、ボンネット11の内部に設けられてもよい。
【0034】
図4に示すように、水素タンク5は、バルブユニット18を介してガス導入配管L1およびガス導出配管L2に連結されている。ガス導入配管L1は、ガス充填口13とバルブユニット18とを繋ぐガス導入管路であり、車両外部からガス充填口13に導入される水素ガスを水素タンク5へ導く。ガス導出配管L2は、燃料電池スタック8とバルブユニット18とを繋ぐガス導出管路であり、水素タンク5内に貯蔵された水素ガスを燃料電池スタック8へ導く。このように、水素タンク5は、車両外部からガス充填口13に導入される水素ガスを貯蔵し、燃料電池スタック8に供給する。尚、バルブユニット18は、開閉弁や減圧弁等を有しており、水素タンク5に貯蔵された水素ガスを所定の流量に調整した上で、ガス導出配管L2を通じて燃料電池スタック8に導出させる。
【0035】
駆動モータ7は、回転するロータと、複数のコイルを有するステータと、を有しており、所定のトルクおよび回転速度で出力軸を回転駆動させる。図1に示すように、駆動モータ7は、燃料電池スタック8の後方位置で且つ運転席P1の下方位置に配設されている。上記出力軸は、ミッションケース19に接続されている。
【0036】
尚、駆動モータ7は、作業車両1に複数搭載されてもよい。詳しくは、例えば、作業車両1は、前輪4A用の駆動モータ7と、後輪4B用の駆動モータ7とを備えており、これら駆動モータ7の動力を前輪4Aおよび後輪4Bにそれぞれ出力する。或いは、駆動モータ7は、前輪4Aおよび後輪4Bの4輪全てに独立して設けられており、これら駆動モータ7の動力を対応する前輪4Aおよび後輪4Bにそれぞれ出力する。このように、作業車両1は、前後左右の走行装置4にそれぞれ独立して駆動モータ7が設けられたものとすれば、上記ミッションケース19のような動力伝達装置を搭載する必要がなくなるから、駆動装置6の構成をシンプル且つコンパクトにすることが可能となる。
【0037】
ミッションケース19は、駆動モータ7の後部に連設されている。ミッションケース19は、内部にトランスミッション、クラッチ、デファレンシャルギヤ等が組み込まれており、駆動モータ7の出力軸から入力された動力を減速または増速し、走行装置4(前輪4Aおよび/または後輪4B)に出力する。本実施形態の作業車両1は、車体2の上部に1基のみ駆動モータ7が設けられており、当該駆動モータ7の動力をミッションケース19にて左右の後輪4Bに分配して出力する。
【0038】
ミッションケース19は、駆動モータ7の動力を走行装置4に出力するだけでなく、その動力の一部を車体2の後部に設けられたPTO軸(パワーテイクオフ軸)20にも出力する。詳しくは、図3に示すように、PTO軸20は、車体2の後部に設けられている。図4に示すように、PTO軸20は、ミッションケース19に連結されており、作業車両1に連結して用いられる耕運機やベーラ等の作業装置(インプルメント)E1に駆動モータ7の動力を伝達する。このように、本実施形態の作業車両1は、燃料電池スタック8で発生させた電力を用いて、作業装置E1を作動させることも可能となる。
【0039】
燃料電池スタック8は、略矩形箱状の電池ケーシングの内部に、正極および負極の2種類の電極を備えた単セルを積層状態で複数並設して構成されたものであり、各単セルで発電された電力を集約することで、駆動モータ7の駆動に要する電圧および電流の電力を発生させる。燃料電池スタック8は、図示しない冷媒流路を通じてラジエータ21,22に接続されており、ラジエータ21,22から温度調整用の冷却液を循環供給させることで、上記電極が所定温度に調整される。これにより、燃料電池スタック8は、高い発電効率を維持できる。
【0040】
図4に示すように、燃料電池スタック8は、昇圧回路23を介してインバータ24に接続されている。昇圧回路23は、燃料電池スタック8で発生させた電力を昇圧させる。インバータ24は、昇圧回路23から入力される直流電力を三相交流電力に変換して駆動モータ7に出力する。即ち、燃料電池スタック8は、昇圧回路23で昇圧された電力により駆動モータ7を駆動させる。尚、作業車両1は、駆動モータ7よりも低電圧で作動する弱電の電装品を有しており、これら弱電の電装品に対しては、降圧回路で降圧された電力が供給される。本実施形態の作業車両1は、上記弱電の電装品として、バッテリユニット9、ラジエータ21,22、および空調装置25を有しており、上記降圧回路として、第1DC/DCコンバータ26、および第2DC/DCコンバータ27を有している。
【0041】
第1DC/DCコンバータ26および第2DC/DCコンバータ27は、入力された直流電力の電圧をさらに低い電圧に変換する降圧コンバータである。第1DC/DCコンバータ26は、上記のように降圧させた電力をバッテリユニット9や空調装置25に供給する。第2DC/DCコンバータ27は、上記のように降圧させた電力をラジエータ21,22に供給する。図1に示すように、インバータ24、第1DC/DCコンバータ26、および第2DC/DCコンバータ27は、車体2の上部に置ける運転席P1の下方位置に配設されている。
【0042】
図1図2に示すように、燃料電池スタック8およびラジエータ21,22は、ボンネット11の内部に収容されている。ラジエータ21,22は、車体2の上部における燃料電池スタック8の前方位置および後方位置にそれぞれ設けられている。ラジエータ21,22は、燃料電池スタック8の前方位置に配される第1ラジエータ21と、燃料電池スタック8の後方位置に配される第2ラジエータ22と、を含んでいる。本実施形態では、第1ラジエータ21および第2ラジエータ22は共に、図示しない冷媒通路を通じて燃料電池スタック8に接続され、上記のように電極の温度調整に用いられる。尚、第1ラジエータ21および第2ラジエータ22の何れか一方(例えば、第1ラジエータ21)は、燃料電池スタック8ではなく、空調装置25(図4参照)に接続され、キャビン3の内部を冷却するのに用いられてもよい。
【0043】
第1ラジエータ21および第2ラジエータ22は共に、ラジエータファンを有しており、当該ラジエータファンを回転駆動させることによって冷却風を発生させ、ラジエータ21,22に循環供給される冷却液との熱交換を行う。尚、図示しないが、上記ラジエータファンによってラジエータ21,22に供給する空気(冷気)は、ボンネット11に開設された給気孔からボンネット11の内部の冷気流路に導入される。また、ラジエータ21,22において熱交換された後の空気(暖気)は、ボンネット11の内部に設けられた暖気流路を通って、ボンネット11に開設された排気孔から車体外部に導出される。
【0044】
バッテリユニット9は、リチウムイオン電池や鉛蓄電池等の充放電型の二次電池であり、燃料電池スタック8で発生させた電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をインバータ24等に適宜出力する。図2に示すように、バッテリユニット9は、車体2の右側部における前輪4Aと後輪4Bとの間に設けられたケーシング30の内部に収容されている。
【0045】
図5図6に示すように、ガス充填口13は、車体2(固定フレーム10)の後部に設けられている。詳しくは、ガス充填口13は、キャビン3の後方位置に設けられた充填口ホルダ13aに固定されている。充填口ホルダ13aは、移動機構14に設けられている。
【0046】
移動機構14は、左右一方の後フレーム部10bに枢支連結された揺動フレーム31と、揺動フレーム31を後フレーム部10bに枢支連結させるヒンジ部32と、を備えている。充填口ホルダ13aは、揺動フレーム31の先端に固定されている。
【0047】
揺動フレーム31は、長軸状の枠体であり、左右の後フレーム部10b相互間に亘って連結バー10cと略平行に延設されている。揺動フレーム31は、基端のヒンジ部32が左右一方(本実施形態では、左方)の後フレーム部10bに枢支連結され、且つ先端に充填口ホルダ13aが設けられている。尚、揺動フレーム31は、断面略U字状や略L字状に形成された枠体であってもよいし、断面略矩形状や略円形状に形成された管体であってもよい。また、揺動フレーム31は、後フレーム部10bではなく、キャビン3の後部のピラー16に枢支連結されてもよいし、キャビン3の側部に枢支連結されてもよいし、キャビン3と異なる車体2の外装カバーに枢支連結されてもよい。
【0048】
図5に示すように、ヒンジ部32は、揺動フレーム31を車体2の後部に沿って左右方向へ延在させた折畳位置と、揺動フレーム31を車体2の後部後方へ延在させた展開位置とに変位させる。本実施形態では、揺動フレーム31は、折畳位置から車体2の左後方へ略90度回動した展開位置まで変位可能に構成されている。尚、揺動フレーム31の回動角度は、上記のように略90度に限定されない。例えば、揺動フレーム31は、折畳位置から車体2の左方へ略180度回動した展開位置まで変位可能に構成されてもよい。
【0049】
ヒンジ部32と反対側(本実施形態では、右方)の後フレーム部10bには、ガス充填
口13の移動を阻止するロック機構33が設けられている。詳しくは、ロック機構33は、右方の後フレーム部10bにおける上下の連結バー10c相互間に設けられており、揺動フレーム31が折畳位置にあるとき、充填口ホルダ13aを嵌合保持する。これにより、揺動フレーム31は、展開方向への回動が不能となる。即ち、ガス充填口13の展開位置への移動が不能となる。一方、作業者がロック機構33を手動でロック解除操作すれば、充填口ホルダ13aは、ロック機構33との嵌合状態が解除される。これにより、揺動フレーム31は、展開方向への回動が可能となる。即ち、ガス充填口13の展開位置への移動が可能となる。このように、本実施形態の作業車両1は、ロック機構33によってガス充填口13を折畳位置にて固定保持できるから、走行時や作業時の車体2の振動によりガス充填口13が車体2から離反するのを確実に防止できる。尚、ロック機構33は、後フレーム部10bではなく、揺動フレーム31の先端に設けられ、後フレーム部10bに嵌合することによって、ガス充填口13の移動を阻止するものとしてもよい。
【0050】
ガス充填口13は、揺動フレーム31の延長方向(折畳位置における左右方向)に対して略水平に直交する方向(折畳位置における前後方向)に突設されている。従って、揺動フレーム31が折畳位置にあるとき、ガス充填口13は、先端の接続端部13bを車体2の後方へ向けた姿勢で、車体2の後部に近接して配される。一方、揺動フレーム31が展開位置にあるとき、ガス充填口13は、先端の接続端部13bを車体2の側方へ向けた姿勢で、車体2の後方に離反して配される。即ち、本実施形態の作業車両1は、揺動フレーム31を折畳位置(車体2に近づける方向)に変位させることで、ガス充填口13を車体2に固定させることが可能となる。一方、揺動フレーム31を展開位置(車体2から離れる方向)に変位させることで、車体2の後側方の少し離れた位置から、ガス充填口13に対してガス充填ノズルG1を接続させることが可能となる。このように、本実施形態の作業車両1は、揺動フレーム31を回動させることで、ガス充填口13の位置および向きを異ならせることができる。
【0051】
ガス充填口13は、ガス導入配管L1に接続されている(図4参照)。ガス導入配管L1は、揺動フレーム31、ヒンジ部32、および後フレーム部10bに沿って延設され、バルブユニット18に接続されている。本実施形態では、ガス導入配管L1は、可曲性を有するガスホースであり、揺動フレーム31の動きに合わせて自在に変形する。ガス導入配管L1は、例えば、水素ガスを外部に透過させない合成樹脂素材と金属製のワイヤとを組み合わせて形成された複合材料のガスホースによって構成される。尚、ガス導入配管L1は、揺動フレーム31、ヒンジ部32、および後フレーム部10bの内空部に挿通されてもよいし、接続部等の十分な気密性を確保可能であれば、揺動フレーム31、ヒンジ部32、および後フレーム部10bをそれぞれ1つのガス管路となるように連結し、ガス導入配管L1としてもよい。また、ガス導入配管L1は、ヒンジ部32の周辺のみ揺動フレーム31の動きに合わせて変形可能であれば、金属製のガス管など可曲性を有しない管体により構成されてもよい。
【0052】
<他の実施形態>
上記実施形態の作業車両1は、ガス充填口13と車体2との相対位置を移動させる移動機構14として、後フレーム部10bに枢支連結された揺動フレーム31を備えたものを説明したが、図7に示すように、作業車両1は、移動機構14として、揺動フレーム31に代えて、可曲性を有する延長配管34を備えてもよい。
【0053】
詳しくは、延長配管34は、可曲性を有する長尺のガスホースであり、例えば、水素ガスを外部に透過させない合成樹脂素材と金属製のワイヤとを組み合わせて形成された複合材料のガスホースによって構成される。図8に示すように、延長配管34は、先端部にガス充填口13が接続され、且つ基端部がガス導入配管L1に接続されている。尚、本実施形態のガス導入配管L1は、後述するパイプ収容部36とバルブユニット18との間に延設されるガス導入管路であり、金属製のガス管など可曲性を有しない管体により構成される。或いは、ガス導入配管L1は、延長配管34と共に1本の管体により構成されてもよい。
【0054】
図7に示すように、延長配管34は、車体2の後部に設けられた筒状のスリーブ35に
挿通されている。スリーブ35は、キャビン3のルーフ17の後部から左右一方(本実施形態では、右方)の後フレーム部10bに沿って延設されている。充填口ホルダ13aは、先端の接続端部13bを車体2の側方へ向けた姿勢でスリーブ35の下端部に取り外し可能に連結されている。尚、充填口ホルダ13aは、ガス充填口13の先端の接続端部13bを車体2の後方へ向けた姿勢でスリーブ35に連結されてもよい。
【0055】
ルーフ17の内部には、延長配管34の一部を収容するパイプ収容部36が設けられている。延長配管34は、充填口ホルダ13aをスリーブ35に連結させた状態のとき、一部を撓ませた状態でパイプ収容部36に収容される。従って、充填口ホルダ13aをスリーブ35から取り外し、車体2の側方や後方へ離反させれば、延長配管34は、スリーブ35の外部に露出された延長状態となる。一方、充填口ホルダ13aをスリーブ35に取り付け、車体2の後部に近接させれば、延長配管34は、スリーブ35の内部に収容された短縮状態となる。
【0056】
即ち、本実施形態の作業車両1は、延長配管34をパイプ収容部36の内部に収容させた延長位置(車体2から離れる方向)に変位させることで、車体2の後側方の少し離れた位置から、ガス充填口13に対してガス充填ノズルG1を接続させることが可能となる。一方、延長配管34をパイプ収容部36の外部に露出させた短縮位置(車体2に近づける方向)に変位させることで、ガス充填口13を車体2に固定させることが可能となる。このように、本実施形態の作業車両1は、延長配管34を伸長および短縮させることで、ガス充填口13の位置および向きを異ならせることができる。また、本実施形態の延長配管34は、可曲性を有する部材により形成されているから、ガス充填口13の位置および向きをより自在に変更できる。尚、パイプ収容部36は、ルーフ17の内部ではなく、キャビン3の内部に設けられてもよいし、タンクケース12の内部に設けられてもよい。
【0057】
図8に示すように、パイプ収容部36は、作業車両1に設けられた図示しない操作スイッチ等の操作に応じて、延長配管34を短縮位置と延長位置とに変位させるパイプ駆動部37を備えている。図示しないが、例えば、パイプ駆動部37は、延長配管34を保持するパイプホルダと、上記パイプホルダを所定方向に移動させるアクチュエータと、を有しており、バッテリユニット9から供給される電力により上記アクチュエータを駆動させ、延長配管34の一部をパイプ収容部36の内部に引き込んだり、パイプ収容部36の外部に押し出したりさせる。尚、作業車両1は、パイプ駆動部37を有しておらず、作業者が手動で延長配管34をスリーブ35から外部に引き出したりスリーブ35の内部に押し戻したりするように構成されてもよい。
【0058】
上記実施形態では、ガス充填口13は、揺動フレーム31が折畳位置に変位されたとき、或いは延長配管34が短縮位置に変位されたとき、車体2の外部に突出した状態で配置されるものを説明したが、図9に示すように、ガス充填口13は、車体2の外部に突出しないよう、車体2と固定フレーム10との間、即ち、車体2における固定フレーム10よりも内側に配置されるように構成されてもよい。このようにすることで、作業者や樹木などの外物がガス充填口13に接触し難い。また、図示しないが、充填口ホルダ13aは、ガス充填口13を被閉する蓋体13cを有してもよい。このようにすることで、作業者や外物がガス充填口13により接触し難い。
【0059】
上記実施形態の作業車両1は、水素タンク5に水素ガスを貯蔵するにあたり、従来の燃料電池車両と同様、水素ガス供給機GSのガス充填ノズルG1を作業者が手動でガス充填口13に接続する必要がある。そこで、図10に示すように、作業車両1に、PTO軸20からの出力によって駆動するマニピュレータ(作業装置E1)を連結し、当該マニピュレータを操作してガス充填ノズルG1をガス充填口13に接続させるようにしてもよい。このようにすることで、ガス充填作業時の作業者の労力負担を軽減でき、且つ安全性も格段に向上する。
【0060】
<効果>
このように、上記実施形態の作業車両1は、車体2と、車体2を走行可能に支持する走行装置4と、水素ガスを貯蔵する水素タンク5と、水素ガスをエネルギー源として、走行装置4を駆動させる駆動装置6と、水素タンク5に水素ガスを充填する際に外部の水素ガ
ス供給機GSのガス充填ノズルG1を接続するガス充填口13と、車体2とガス充填口13とを連結し、且つ当該ガス充填口13と車体2との相対位置を移動させる移動機構14と、を備えている。この構成によれば、ガス充填口13を移動させてガス充填ノズルG1を接続できるから、ガス充填口13に対してガス充填ノズルG1を円滑に接続できる。よって、充填作業性が格段に向上する。
【0061】
また、移動機構14は、先端部にガス充填口13が設けられ、且つ基端部が車体2に枢支連結された揺動フレーム31を備えている。この構成によれば、揺動フレーム31を回動させれば、それに伴ってガス充填口13が移動するから、ガス充填口13に対するガス充填ノズルG1の接続作業を円滑に実行できる。よって、充填作業性が一層向上する。
【0062】
また、ガス充填口13から水素タンク5に水素ガスを導くガス導入管路L1を備え、ガス導入管路L1は、揺動フレーム31に沿って延設されている。この構成によれば、ガス導入管路L1が揺動フレーム31の円滑な回動の妨げになり難いから、ガス充填口13に対するガス充填ノズルG1の接続作業をより円滑に実行できる。よって、充填作業性が一層向上する。
【0063】
また、移動機構14は、揺動フレーム31を車体2の後部に沿って左右方向に延在させた折畳位置と、揺動フレーム31を車体2の後部後方へ延在させた展開位置と、に揺動フレーム31を変位させるヒンジ部32を備えている。この構成によれば、揺動フレーム31を折畳位置と展開位置との間で容易に切り替えできるから、ガス充填口13に対するガス充填ノズルG1の接続作業をより円滑に実行できる。よって、充填作業性が一層向上する。
【0064】
また、ガス充填口13は、揺動フレーム31が折畳位置に変位されたときに、当該ガス充填口13の接続端部を車体2の後方へ向けた姿勢で配置され、揺動フレーム31が展開位置に変位されたときに、同接続端部を車体2の側方へ向けた姿勢で配置される。この構成によれば、ガス充填口13の向きを、接続端部を車体2の後方へ向けた姿勢と接続端部を車体2の側方へ向けた姿勢との間で容易に切り替えできるから、水素ガス供給機GSに対して作業車両1を停車させる向きおよび位置の自由度が高い。よって、充填作業性が一層向上する。
【0065】
さらに、作業車両1は、ガス充填口13から水素タンク5に水素ガスを導くガス導入管路L1を備え、移動機構14は、先端部にガス充填口13が接続され、且つ基端部がガス導入管路L1に接続された可曲性を有する延長配管34を備えている。この構成によれば、延長配管34を曲げることでガス充填口13が移動するから、ガス充填口13に対するガス充填ノズルG1の接続作業を円滑に実行できる。また、ガス充填口13の向きの自由度も高い。よって、充填作業性が一層向上する。
【0066】
また、移動機構14は、ガス充填口13を車体2に近づける方向へ移動させたときに、延長配管34を収容するパイプ収容部36を有している。この構成によれば、ガス充填口13を車体2から離して使用しない場合に、延長配管34をパイプ収容部36に収容できるから、延長配管34が走行時や作業時の邪魔にならない。また、作業車両1の意匠性も損なわない。
【0067】
また、移動機構14は、パイプ収容部36に延長配管34を収容させた短縮位置と、パイプ収容部36の外部に延長配管34を露出させた延長位置と、に延長配管34を変位させるパイプ駆動部37を有している。この構成によれば、パイプ収容部36への延長配管34の収納動作、およびパイプ収容部36からの延長配管34の露出(引出)動作をパイプ駆動部37によって実行できるから、ガス充填口13に対するガス充填ノズルG1の接続作業をより円滑に実行できる。よって、充填作業性が一層向上する。
【0068】
また、移動機構14は、車体2の運転席P1の周囲に立設された保護フレーム16に設けられている。この構成によれば、移動機構14全体の剛性を確保できるから、ガス充填口13に対するガス充填ノズルG1の接続作業を円滑に実行できる。よって、充填作業性が一層向上する。
【0069】
また、移動機構14は、車体2に立設され、且つ水素タンク5を支持する固定フレーム10に設けられている。この構成によれば、移動機構14全体の剛性を確保できるから、
ガス充填口13に対するガス充填ノズルG1の接続作業を円滑に実行できる。よって、充填作業性が一層向上する。
【0070】
また、移動機構14は、ガス充填口13を車体2に近づける方向へ移動させたときに、ガス充填口13を車体2と固定フレーム10との間に配置させる。この構成によれば、ガス充填口13を車体2から離して使用しない場合に、ガス充填口13を固定フレーム10の内側(車体2側)に収容できるから、ガス充填口13が走行時や作業時の邪魔にならない。また、作業者や樹木などの外物がガス充填口13に接触するのも防止できる。
【0071】
また、駆動装置6は、走行装置4を駆動する駆動モータ7と、水素ガスにより発電し、駆動モータ7に電力を供給する燃料電池ユニット8と、を有している。この構成によれば、水素タンク5から供給される水素ガスを用いて燃料電池ユニット8で電力を発生させ、その電力により駆動モータ7を駆動させる作業車両1(所謂FCV)に本発明を適用できる。
【0072】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 作業車両
2 車体
3 キャビン
4 走行装置
5 水素タンク
6 駆動装置
7 駆動モータ
8 燃料電池スタック(燃料電池ユニット)
9 バッテリユニット
10 固定フレーム
11 ボンネット
12 タンクケース
13 ガス充填口
14 移動機構
16 ピラー(保護フレーム)
31 揺動フレーム
32 ヒンジ部
34 延長配管
36 パイプ収容部
37 パイプ駆動部
G1 ガス充填ノズル
GS 水素ガス供給機
L1 ガス導入配管(ガス導入管路)
P1 運転席
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10