IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイリスオーヤマ株式会社の特許一覧

特開2024-95115位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法
<>
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図1
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図2
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図3
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図4
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図5
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図6
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図7
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図8
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図9
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図10
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図11
  • 特開-位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095115
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20240703BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20240703BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240703BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20240703BHJP
【FI】
G01S5/14
G01S5/02 Z
H05B47/19
H04W4/029
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212154
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】平間 美香
(72)【発明者】
【氏名】尾形 大輔
【テーマコード(参考)】
3K273
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA31
3K273RA17
3K273TA54
3K273TA57
3K273UA13
3K273UA15
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA28
5J062BB05
5J062CC15
5J062CC18
5J062DD23
5K067BB41
5K067BB45
(57)【要約】
【課題】 通信トラフィックを低減することが可能な位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法を提供すること。
【解決手段】 位置検出システムA1は、無線タグWtと、複数の照明装置Lと、制御装置Ctと、を備えており、複数の中継ユニットおよび制御装置は、無線通信ネットワークを構築し、複数の照明装置Lは、複数の第1中継ユニットと、1以上の第2中継ユニットと、を含み、複数の第1中継ユニットは、第1ビーコン信号Bs1を送信し、無線タグWtは、受信時のRSSI値および自己のタグ識別情報を含む第2ビーコン信号Bs2を送信し、第1中継ユニットは、第2ビーコン信号Bs2を受信せず、第2中継ユニットは、第2ビーコン信号を受信Bs2し、転送データTs送信し、転送データTsは、無線通信ネットワークCn1を経由して制御装置Ctに受信され、制御装置Ctは、解析部61に転送データを送信する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグと、
複数の中継ユニットと、
制御装置と、を備えており、
前記複数の中継ユニットおよび前記制御装置は、無線通信ネットワークを構築し、
前記複数の中継ユニットは、複数の第1中継ユニットと、1以上の第2中継ユニットと、を含み、
前記複数の第1中継ユニットは、自ユニットのユニット識別情報を含む第1ビーコン信号を送信し、
前記無線タグは、前記複数の第1中継ユニットからの前記第1ビーコン信号を受信し、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、受信時のRSSI値および自己のタグ識別情報を含む第2ビーコン信号を送信し、
前記第1中継ユニットは、前記第2ビーコン信号を受信せず、
前記第2中継ユニットは、前記第2ビーコン信号を受信し、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、前記RSSI値および前記タグ識別情報と、時刻情報と、を含む転送データ送信し、
前記転送データは、前記無線通信ネットワークを経由して前記制御装置に受信され、
前記制御装置は、解析部に前記転送データを送信する、位置検出システム。
【請求項2】
前記第2中継ユニットは、前記第1ビーコン信号を送信しない、請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記複数の第1中継ユニットおよび前記1以上の第2中継ユニットは、第1無線通信部と第2無線通信部と、を有し、
前記第1無線通信部は、前記無線通信ネットワークでの無線通信を行い、
前記第2無線通信部は、前記第1ビーコン信号を送信するビーコン送信モードと、前記第2ビーコン信号を受信するビーコン受信モードと、を切替可能であり、
前記複数の第1中継ユニットの前記第2無線通信部は、前記ビーコン送信モードに切り替えられており、
前記1以上の第2中継ユニットの前記第2無線通信部は、前記ビーコン受信モードに切り替えられており、
前記転送データは、前記第1無線通信部から所定間隔で送信される定期無線信号を介して、前記無線通信ネットワークにおいて隣接する前記中継ユニットに送信される、請求項2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記無線タグは、基準電波強度以上の前記第1ビーコン信号を用いて、前記第2ビーコン信号を生成する、請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項5】
請求項1に記載の位置検出システムにおいて前記第2中継ユニットとして用いられる照明装置であって、
制御部、電源部、第1無線通信部、第2無線通信部および光源部を有し、
前記制御装置から送信された前記光源部を制御するための照明制御信号と、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、前記RSSI値および前記タグ識別情報と、前記時刻情報と、を含む前記転送データと、を、所定間隔で送信する、照明装置。
【請求項6】
請求項1に記載の位置検出システムに用いられる無線タグであって、
第3無線通信部、記憶部、制御部および自己発電部を有し、
前記第3無線通信部が、前記複数の第1中継ユニットから前記第1ビーコン信号を受信し、
前記自己発電部は、前記第1ビーコン信号の受信による電磁誘導により生じた電力を出力し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記タグ識別情報を含む前記第2ビーコン信号を前記第3無線通信部から送信する、無線タグ。
【請求項7】
複数の第1中継ユニットが、自ユニットのユニット識別情報を含む第1ビーコン信号を出力するステップと、
無線タグが、前記第1ビーコン信号を受信するステップと、
前記無線タグが、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、受信時のRSSI値および自己のタグ識別情報を含む第2ビーコン信号を送信するステップと、
第2中継ユニットが、前記第2ビーコン信号を受信するステップと、
前記第2中継ユニットが、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、前記RSSI値および前記タグ識別情報を含む転送データを、無線通信ネットワークを経由して、クラウドに送信するステップと、
前記クラウドの解析部が、前記第2ビーコン信号に含まれた前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報および前記RSSI値を利用した三点測位方式により、前記無線タグの位置を解析するステップと、
を備える、位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビーコン信号を利用した位置検出システムが種々に提案されている。特許文献1には、従来の位置検出システムの一例が開示されている。同文献の図14に開示された位置検出システムは、位置検出の対象物である機器と複数の灯器との間で、ビーコン信号の送受信が行われる。複数の灯器は、クラウドサーバーと通信可能である。機器によるビーコン信号の受信状態に関する情報が、複数の灯器からクラウドサーバーに送信される。クラウドサーバーでは、機器の位置情報の解析が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-511821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器の個数や灯器の設置数が増加すると、複数の灯器とクラウドサーバーとの間の通信トラフィックが逼迫するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、通信トラフィックを低減することが可能な位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される位置検出システムは、無線タグと、複数の中継ユニットと、制御装置と、を備えており、前記複数の中継ユニットおよび前記制御装置は、無線通信ネットワークを構築し、前記複数の中継ユニットは、複数の第1中継ユニットと、1以上の第2中継ユニットと、を含み、前記複数の第1中継ユニットは、自ユニットのユニット識別情報を含む第1ビーコン信号を送信し、前記無線タグは、前記複数の第1中継ユニットからの前記第1ビーコン信号を受信し、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、受信時のRSSI値および自己のタグ識別情報を含む第2ビーコン信号を送信し、前記第1中継ユニットは、前記第2ビーコン信号を受信せず、前記第2中継ユニットは、前記第2ビーコン信号を受信し、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、前記RSSI値および前記タグ識別情報と、時刻情報と、を含む転送データ送信し、前記転送データは、前記無線通信ネットワークを経由して前記制御装置に受信され、前記制御装置は、解析部に前記転送データを送信する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2中継ユニットは、前記第1ビーコン信号を送信しない。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の第1中継ユニットおよび前記1以上の第2中継ユニットは、第1無線通信部と第2無線通信部と、を有し、前記第1無線通信部は、前記無線通信ネットワークでの無線通信を行い、前記第2無線通信部は、前記第1ビーコン信号を送信するビーコン送信モードと、前記第2ビーコン信号を受信するビーコン受信モードと、を切替可能であり、前記複数の第1中継ユニットの前記第2無線通信部は、前記ビーコン送信モードに切り替えられており、前記1以上の第2中継ユニットの前記第2無線通信部は、前記ビーコン受信モードに切り替えられており、前記転送データは、前記第1無線通信部から所定間隔で送信される定期無線信号を介して、前記無線通信ネットワークにおいて隣接する前記中継ユニットに送信される。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無線タグは、基準電波強度以上の前記第1ビーコン信号を用いて、前記第2ビーコン信号を生成する。
【0010】
本発明の第2の側面によって提供される照明装置は、本発明の第1の側面によって提供される位置検出システムにおいて前記第2中継ユニットとして用いられる照明装置であって、制御部、電源部、第1無線通信部、第2無線通信部および光源部を有し、前記制御装置から送信された前記光源部を制御するための照明制御信号と、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、前記RSSI値および前記タグ識別情報と、前記時刻情報と、を含む前記転送データと、を、所定間隔で送信する。
【0011】
本発明の第3の側面によって提供される無線タグは、本発明の第1の側面によって提供される位置検出システムに用いられる無線タグであって、第3無線通信部、記憶部、制御部および自己発電部を有し、前記第3無線通信部が、前記複数の第1中継ユニットから前記第1ビーコン信号を受信し、前記自己発電部は、前記第1ビーコン信号の受信による電磁誘導により生じた電力を出力し、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記タグ識別情報を含む前記第2ビーコン信号を前記第3無線通信部から送信する。
【0012】
本発明の第3の側面によって提供される位置検出方法は、複数の第1中継ユニットが、自ユニットのユニット識別情報を含む第1ビーコン信号を出力するステップと、無線タグが、前記第1ビーコン信号を受信するステップと、前記無線タグが、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、受信時のRSSI値および自己のタグ識別情報を含む第2ビーコン信号を送信するステップと、第2中継ユニットが、前記第2ビーコン信号を受信するステップと、前記第2中継ユニットが、前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報、前記RSSI値および前記タグ識別情報を含む転送データを、無線通信ネットワークを経由して、クラウドに送信するステップと、前記クラウドの解析部が、前記第2ビーコン信号に含まれた前記複数の第1中継ユニットの前記ユニット識別情報および前記RSSI値を利用した三点測位方式により、前記無線タグの位置を解析するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信トラフィックを低減することができる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムを示すシステム構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムを示す概略平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの照明装置を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る第1中継ユニットと第2中継ユニットとの機能を示す表である。
図5】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの照明装置の無線送受信を示すタイミングチャートである。
図6】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの無線タグを示すブロック図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの制御装置を示すブロック図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの携帯端末を示すブロック図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムのシーケンスダイアグラムである。
図10】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムのシーケンスダイアグラムである。
図11】本発明の第2実施形態に係る位置検出システムを示すシステム構成図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る第1中継ユニットと第2中継ユニットとの機能を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0018】
<第1実施形態>
図1図10は、本発明の第1実施形態に係る位置検出システムを示している。本実施形態の位置検出システムA1は、複数の照明装置L、制御装置Ct、無線タグWtおよびクラウドCLを備える。また、図示された例においては、位置検出システムA1は、携帯端末Mdをさらに備えていてもよい。位置検出システムA1は、無線タグWtの位置検出を行うシステムである。
【0019】
〔照明装置L(中継ユニット)〕
照明装置Lは、本発明における中継ユニットの具体例である。中継ユニットの具体例としては、照明装置Lに限定されない。たとえば、以降に説明する照明装置Lから光源部11を除いた専用の構成の中継ユニットを用いてもよい。
【0020】
複数の照明装置Lは、たとえば室内の照明に用いられ、天井、壁面、床面、出入口等の種々の箇所に設置される。また、照明装置Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明装置Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。図2は、複数の照明装置Lがたとえば天井にマトリクス状に設置された例を示している。以降の説明においては、照明装置Lの一般的な構成を述べる場合に照明装置Lと称するとともに、複数の照明装置Lを区別する場合に照明装置L1-1・・・L1-n,L2-1・・・L2-m等の符号を適宜用いる場合がある。図1および図2における複数の照明装置Lは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成、異なる形態であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明装置Lが同一の構成である場合を例に説明する。
【0021】
図3は、照明装置Lのブロック図である。照明装置Lは、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15を備える。
【0022】
光源部11は、照明装置Lにおいて発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDまたは複数の有機EL素子等とからなる。また、照明装置Lは、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0023】
制御部12は、たとえば制御装置Ctからの制御信号等に基づいて、照明装置Lの各部を制御するためのものである。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。なお、記憶部13は、照明装置Lの筐体(図示略)に内蔵されるものに限定されず、照明装置Lの筐体の外部に着脱可能に設けられるものであってもよい。
【0024】
無線通信モジュール14は、制御装置Ctおよび通信ネットワークを構成する他の照明装置Lと、無線タグWtと無線通信を行うための通信部であり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信モジュール14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、これに限定されない。本実施形態の無線通信モジュール14は、第1無線通信部141および第2無線通信部142を有する。
【0025】
無線通信モジュール14の機能を例示すると、制御装置Ctからのデータを受信し、受信したデータに含まれる信号(たとえば指定信号)を制御部12に送信する。また、データを受信したことを示すアクノリッジ信号を制御装置Ctに送信する。また、照明装置Lの動作状況を示すステータス情報信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0026】
本実施形態においては、複数の照明装置Lの各々が有する固有の照明装置ID等の自ユニットを識別するユニット識別情報が、無線通信モジュール14に記憶されている。ユニット識別情報の具体例は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスや独自で付与した識別番号、位置情報である。以下の説明においては、照明装置Lのユニット識別情報として、位置情報が採用されている。一方、後述の位置検出方法において、クラウドCLが照明装置LのMACアドレスや独自で付与した識別番号と位置情報との対応情報を有している場合、ユニット識別情報としてMACアドレスや独自で付与した識別番号を採用してもよい。なお、ユニット識別情報は、第1無線通信部141および第2無線通信部142のいずれか、もしくはこれら以外の無線通信モジュール14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。無線通信モジュール14は、受信した信号のうち、自装置の照明装置IDに対する信号であると認識した場合に、当該信号を制御部12に伝達する。
【0027】
第1無線通信部141は、第1無線電波を用いて、制御装置Ctおよび他の照明装置Lと無線通信を行う。第1無線電波を用いた無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第1プロトコルを用いた無線通信として説明する。第1プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz、13.56MHz帯等が例示される。また、第1プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。
【0028】
本実施形態においては、第1無線通信部141を有する複数の照明装置Lと制御装置Ctとが、たとえば2.4GHz帯の第1無線電波を用いた独自プロトコルにより、図1に示すメッシュネットワークである無線通信ネットワークCn1を構築している。無線通信ネットワークCn1では、第1無線通信が行われる。第1プロトコルは、後述のように複数の照明装置L間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。
【0029】
なお、本実施形態においては、制御装置Ctは、無線通信ネットワークCn1のルートノード(root node)である。複数の照明装置Lのいずれかは、GM(ゲートウェイモジュール)として機能してもよい。ゲートウェイモジュールは、クラスタのルートノードであり、制御装置Ctに接続する。このとき、ゲートウェイモジュールは、他のゲートウェイモジュールとともにメッシュネットワークを構築し、制御装置Ctに通信接続する。ゲートウェイモジュールは、他のゲートウェイモジュールや制御装置Ctとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。同様に、照明装置Lも他の照明装置Lまたはゲートウェイモジュールとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。通常の照明装置Lもゲートウェイモジュールとして機能する照明装置Lも、ハードウェア構成は同じである。照明装置Lが搭載するソフトウエアを異なるようにするか、モード切替によって通常の照明装置Lとして動作するか、ゲートモウェイジュールとして動作するかを切り替えてもよい。
【0030】
第2無線通信部142は、第2無線電波の送信および受信の少なくともいずれかを行うためのものである。第2無線電波は、第1無線電波と異なる無線電波であり、周波数帯やプロトコルが互いに異なる。また、第1無線電波と第2無線電波の周波数帯や送信プロトコルを同じものを採用し、電力が異なるように設定するようにしてもよい。異なる電力の第1無線電波と第2無線電波を利用することでも、照明装置L等の中継ユニットは、第1無線電波を用いた無線通信ネットワークCn1を構成し、第1無線電波とは別に第2無線電波を出力することといえる。第2無線電波を用いた第2無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第2プロトコルを用いた無線通信として説明する。第2プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。第2プロトコルとしては、たとえば近距離に位置する無線タグWtと無線通信を行うことを意図した場合に、たとえば、Bluetooth(登録商標)が選択される。
【0031】
第2無線通信部142は、第1ビーコン信号Bs1の送信および第2ビーコン信号Bs2の受信の少なくともいずれかを行う。本実施形態においては、第2無線通信部142は、無線タグWtからの第2ビーコン信号Bs2を受信する。第1ビーコン信号Bs1は、たとえば所定間隔毎に送信される。ビーコン信号を所定の時間間隔で送信する送信間隔は、たとえば、100~500msである。出力間隔を長くすれば、電力消費を抑えることができる。
【0032】
第1ビーコン信号Bs1は、照明装置Lのユニット識別情報を含む信号である。第1ビーコン信号Bs1に含まれるユニット識別情報は、たとえば照明装置Lの位置情報、MAC(Media Access Control)アドレス等の照明装置ID等である。
【0033】
本実施形態の第2無線通信部142は、ビーコン送信モードとビーコン受信モードとに切り替え可能である。図4に示すように、ビーコン送信モードは、第2無線通信部142から第1ビーコン信号Bs1の送信を行い、第2ビーコン信号Bs2の受信を行わないモードである。ビーコン受信モードは、第1ビーコン信号Bs1の送信を行わず、第2ビーコン信号Bs2の受信を行うモードである。複数の照明装置Lのうち、第2無線通信部142がビーコン送信モードに設定された照明装置Lは、本発明の第1中継ユニットに相当し、第2無線通信部142がビーコン受信モードの設定された照明装置Lは、本発明の第2中継ユニットに相当する。本実施形態においては、複数の照明装置Lのうち第1中継ユニットに相当するものを、照明装置L1-1・・・L1-nと定義し、第2中継ユニットに相当するものを、照明装置L2-1・・・L2-mと定義している。
【0034】
本実施形態においては、第1無線通信部141は、定期無線信号を送信する。定期無線信号は、所定間隔(たとえば100~10000ms)で定期的に送信される無線信号である。たとえば、照明装置Lに対する照明制御信号は、定期無線信号を介して転送される。図5(a)に示すように、本実施形態において第1中継ユニットとして設定された照明装置L1-1・・・L1-nの無線通信モジュール14では、第1無線通信部141からの定期無線信号の送信と、第2無線通信部142による第1ビーコン信号Bs1の送信とが、時間軸上において順に実行される。また、図5(b)に示すように、本実施形態において第2中継ユニットとして設定された照明装置L2-1・・・L2-mの無線通信モジュール14では、第1無線通信部141からの定期無線信号の送信と、第2無線通信部142による第2ビーコン信号Bs2の受信とが、時間軸上において順に実行される。
【0035】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信モジュール14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0036】
〔無線タグWt〕
無線タグWtは、本実施形態の位置検出システムA1において管理対象となるデバイスである。図6は、無線タグWtのブロック図である。本実施形の無線タグWtは、制御部42、記憶部43、第3無線通信部44および電源部45を備える。なお、無線タグWtの具体的構成は何ら限定されず、チップ状の専用のタグデバイスとして構成されていてもよい。あるいは、無線タグWtは、ユーザに携帯される携帯品に組み込まれていてもよく、特定のアプリケーションを実装した携帯端末であってもよい。携帯品の具体的構成は、何ら限定されない。携帯品としては、たとえば、カード、タグ、ウエアラブル端末、スマートフォン等が挙げられる。カードの具体例としては、たとえば交通系ICカードが挙げられる。あるいは、社員等が所有するIDカードに内蔵されたもの、店舗等のカートに外付け配置されたもの、巡回ロボットおよびクリーナーなどの電化製品に内蔵されたもの、会議室内の椅子や机および掃除用具などに取り付けられたもの、などが例示される。
【0037】
制御部42は、無線タグWtの各部を制御するためのものである。制御部42の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部43は、制御部42の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。本実施形態においては、記憶部43には、無線タグWt毎に固有の自己のタグ識別情報が記憶されている。タグ識別情報の具体例は何ら限定されず、たとえばタグIDまたは識別アドレス等であってもよい。
【0038】
また、制御部42は、第2ビーコン信号Bs2を生成する。第2ビーコン信号Bs2は、複数のユニット識別情報、複数のRSSI値およびタグ識別情報含む。複数のユニット識別情報は、第1中継ユニットとして設定された複数の照明装置L1-1・・・1-1nに含まれる複数の照明装置Lから送信された第1ビーコン信号Bs1に含まれるユニット識別情報である。複数のRSSI値は、第1中継ユニットとして設定された複数の照明装置L1-1・・・1-1nに含まれる複数のLから送信された第1ビーコン信号Bs1を受信した時の受信電波強度である。
【0039】
第3無線通信部44は、対応する照明装置Lと上述した第2無線電波(第2プロトコル)を用いた第2無線通信を行うためのものである。第3無線通信部44は、第1中継ユニットとして設定された複数の照明装置L1-1・・・1-1nからの第1ビーコン信号Bs1を受信し、第2ビーコン信号Bs2を送信する。
【0040】
本実施形態においては、制御部42は、複数の照明装置L1-1・・・1-1nからの第1ビーコン信号Bs1のうち、受信電波強度が基準電波強度以上の第1ビーコン信号Bs1を用いて、第2ビーコン信号Bs2を生成する。たとえば、図1および図2(図中の左上領域に無線タグWtが存在する場合)においては、照明装置L1-1,L1-2,L1-3からの第1ビーコン信号Bs1の受信電波強度が、基準電波強度以上であり、照明装置L1-4からの第1ビーコン信号Bs1の受信電波強度は、基準電波強度未満である。このため、制御部42は、照明装置L1-1,L1-2,L1-3からの第1ビーコン信号Bs1に含まれるユニット識別情報およびそれぞれのRSSI値と、タグ識別情報と、を含む第2ビーコン信号Bs2を生成する。なお、本実施形態とは異なり、制御部42は、受信したすべての第1ビーコン信号Bs1を用いて第2ビーコン信号Bs2を生成してもよい。
【0041】
電源部45は、制御部42および第3無線通信部44等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部45は、たとえば乾電池あるいは充電可能なバッテリーである。バッテリーの充電方式は、接触式の充電器を利用するものでも、非接触式の充電器を利用するものでもよい。また、電源部45は、商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するものであってもよい。
【0042】
本実施形態においては、電源部45は、自己発電部により構成されている。この電源部45は、アンテナ部451を有しており、第1無線電波や第2無線電波等の無線電波をアンテナ部451によって受信すると、自己発電を行う。この自己発電は、無線電波をエネルギー変換することによって実行するものであり、たとえば、無線電波の受信によって生じる誘導電流を利用する。誘導電流の起電のための無線電波の電力は、5dBm以上が好ましく、更に10dBm以上の無線電波を受信することにより無線タグWtの各部を制御することが十分な誘導電流を起電することができる。電源部45が自己発電した電力は、制御部42および第3無線通信部44等に供給される。
【0043】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の中継ユニット(照明装置L)および無線タグWtを用いた管理方法や、複数の照明装置Lの点灯制御を行うものである。制御装置Ctは、本実施形態の場合には、複数の中継ユニット(複数の照明装置L)が設置されている室内に設置されていてもよいし、別のフロア等に設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L)とがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L)とは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、位置検出システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよく、他の構成において複数の制御装置Ctを備えていてもよい。
【0044】
図7は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0045】
表示部21は、後述する位置検出システムA1の位置検出方法においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0046】
制御部22は、複数の中継ユニット(照明装置L)および無線タグWtを用いた位置検出方法や、複数の照明装置Lの点灯制御を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、対象とする中継ユニット(照明装置L)へ照明制御データを送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0047】
無線通信部24は、複数の中継ユニット(複数の照明装置L)の無線通信モジュール14の第1無線通信部141と無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1プロトコルを用いた無線通信である。図1に示す例においては、制御装置Ctは、複数の中継ユニット(複数の照明装置L)とともに無線通信ネットワークCn1を構成する。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の中継ユニット(複数の照明装置L)への照明制御データを無線通信ネットワークCn1を介して送信する。なお、制御装置Ctは、無線通信部24に加えて、公衆通信ネットワークCn2を介した無線通信または有線通信等を行う通信回路を有している。公衆通信ネットワークCn2は、たとえばインターネット通信回線網やLTE(Long Term Evolution)規格、5G、6Gなどに準拠した携帯電話回線網のいずれか、あるいはこれらの組み合わせによって構成される。
【0048】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0049】
制御装置Ctは、複数の中継ユニット(複数の照明装置L)の照明装置ID等のユニット識別情報や無線タグWtのタグ識別情報を保有しており、これらがたとえば記憶部23に記憶されている。制御装置Ctが保有するユニット識別情報は、たとえば照明装置Lが保有する照明装置IDとしてのMACアドレスや位置情報であってもよい。制御装置Ctが有するタグ識別情報は、無線タグWtが保有するタグIDまたは識別アドレスであってもよい。
【0050】
〔携帯端末Md〕
携帯端末Mdは、位置検出システムA1における複数の中継ユニット(照明装置L)の状態や、無線タグWtの位置をユーザが確認等するために用いられる装置である。携帯端末Mdの具体的構成は、何ら限定されず、たとえば、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
【0051】
図8に示すように、本実施形態の携帯端末Mdは、表示部51、制御部52、記憶部53、無線通信部54、電源部55および操作部58を備える。
【0052】
表示部51は、携帯端末Mdの操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部51は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。
【0053】
無線通信部54は、公衆通信ネットワークCn2を介した無線通信を行う。無線通信部54は、たとえばLTE規格の携帯電話通信網を介した無線通信を行う。これにより、携帯端末Mdは、クラウドCLと通信可能である。また、携帯端末Mdは、制御装置Ctと通信してもよい。
【0054】
制御部52は、携帯端末Mdの各部を制御するためのものである。制御部52の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部53は、制御部52の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0055】
電源部55は、表示部51、制御部52および無線通信部54等の動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部55は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリーである。バッテリーの充電方式は、接触式の充電器を利用するものでも、非接触式の充電器を利用するものでもよい。
【0056】
操作部58は、携帯端末Mdを操作するためのものである。操作部58は、たとえばキーボードおよびマウス等である。なお、表示部51がタッチパネルとして機能する場合、携帯端末Mdは、操作部58を備えていなくてもよい。
【0057】
〔クラウドCL〕
クラウドCLは、位置検出システムA1において無線タグWtの位置情報を解析する。位置情報の解析手法としては、たとえば三点測位が挙げられる。クラウドCLは、たとえば商用クラウドサービス等によって構築されており、図1に示すように、解析部61、記憶部62および通信部63を有する。
【0058】
解析部61は、制御装置Ctから送信された転送データ信号Tsに基づいて、無線タグWtの位置情報を解析する。解析部61には、たとえばCPU等が用いられる。なお、本発明における解析部は、クラウドCLの解析部61に限定されず、たとえば複数の照明装置Lと同じ室内または別のフロアや別の建物に設置されたサーバに含まれていてもよい。
【0059】
記憶部62は、位置検出システムA1における各種情報を保存するものであり、半導体メモリ、ハードディスク等が用いられる。通信部63は、公衆通信ネットワークCn2を介して、制御装置Ctと通信を行うものであり、有線通信および無線通信のいずれかまたは双方が可能である。また、クラウドCLは、公衆通信ネットワークCn2を介して携帯端末Mdと通信可能であってもよい。
【0060】
次に、位置検出システムA1による位置検出方法について、図9および図10を参照しつつ以下に説明する。
【0061】
まず、図9に示すように、時間情報の同期および無線通信ネットワークCn1の構築を行う(ステップS1)。
【0062】
無線通信ネットワークCn1の構築では、たとえば、所定の設定装置または携帯端末Md等を用いて複数の照明装置L(中継ユニット)の識別アドレスを決定する。複数の照明装置L(中継ユニット)毎に、固有情報であるMACアドレスおよび識別アドレスを含む識別信号が生成される。次いで、各照明装置L(中継ユニット)において、無線通信モジュール14の第1無線通信部141が識別信号を受信し、制御部12に識別信号を転送する。識別信号を受けた制御部12は、識別アドレスを各々の記憶部13に記憶する。これにより、制御装置Ctおよび複数の照明装置Lによって無線通信ネットワークCn1が構築される。
【0063】
時刻情報の同期は、無線通信ネットワークCn1を構成する制御装置Ctおよび複数の照明装置L(中継ユニット)を対象として行う。具体的には、図示しない時計ユニットが時刻情報を送信し、制御装置Ctが受信する。制御装置Ctは、時刻情報を第1プロトコルに変換することにより時刻データを作成し、無線通信ネットワークCn1を介して複数の照明装置L(中継ユニット)に送信する。時刻情報を受信した照明装置Lは、自装置の時刻を時刻データに同期させ、また時刻データを次の照明装置Lに転送する。
【0064】
次に、第1中継ユニットおよび第2中継ユニットを設定する(ステップS2)。複数の照明装置Lの第1無線通信部141をビーコン送信モードおよびビーコン受信モードのいずれかに切替設定する。この設定は、たとえば、制御装置Ctから無線通信ネットワークCn1を介して複数の照明装置Lに設定情報を送信することによって行ってもよい。あるいは、複数の照明装置L毎に、設定者が設定作業を行ってもよい。設定者が設定作業を行う場合、ステップS2の後にステップS1を実行してもよい。これにより、複数の照明装置Lは、第1中継ユニットとしての複数の照明装置L1-1・・・L1-nと、第2中継ユニットとしての複数の照明装置L2-1・・・L2-mとに設定される。
【0065】
次に、第1中継ユニットである複数の照明装置L1-1・・・L1-nが、第1ビーコン信号Bs1を送信する(ステップS3)。第1ビーコン信号Bs1は、各照明装置Lのユニット識別情報を含む。第1ビーコン信号Bs1の送信は、無線通信モジュール14の第2無線通信部142から第2プロトコルを用いた無線通信によって送信される。第2中継ユニットに設定された複数の照明装置L2-1・・・L2-mの第2無線通信部142は、ビーコン受信モードに設定されているため、第1ビーコン信号Bs1を送信しない。
【0066】
次に、複数の照明装置L1-1・・・L1-nからの第1ビーコン信号Bs1を無線タグWtが受信する(ステップS4)。無線タグWtの制御部42は、第2無線通信部142が受信した複数の照明装置L1-1・・・L1-nからの第1ビーコン信号Bs1を用いて第2ビーコン信号Bs2を生成する。本実施形態においては、制御部42は、第2無線通信部142による受信電波強度が基準電波強度以上である第1ビーコン信号Bs1を用いて第2ビーコン信号Bs2を生成する。図示された例においては、照明装置L1-1,L1-2,L1-3からの受信電波強度が基準電波強度である。このため、制御部42は、照明装置L1-1,L1-2,L1-3からの第1ビーコン信号Bs1を用いて第2ビーコン信号Bs2を生成する。なお、無線タグWtの位置情報の解析において三点測位を用いる場合、3つ以上の照明装置Lからの第1ビーコン信号Bs1が基準電波強度以上となるように、基準電波強度の設定を行うことが好ましい。制御部42は、照明装置L1-1,L1-2,L1-3のユニット識別情報、照明装置L1-1,L1-2,L1-3からの第1ビーコン信号Bs1の受信電波強度であるRSSI値およびタグ識別情報を含む第2ビーコン信号Bs2を生成する。
【0067】
次に、無線タグWtは、第2ビーコン信号Bs2を送信する(ステップS5)。第2ビーコン信号Bs2の送信は、第3無線通信部44から第2プロトコルを用いた無線通信によって行われる。
【0068】
次に、照明装置L2-1が、第2ビーコン信号Bs2を受信し、転送データ信号Tsを生成し、転送データ信号Tsを転送する(ステップS6)。第1中継ユニットに設定された複数の照明装置L1-1・・・L1-nの第2無線通信部142は、ビーコン送信モードに設定されているため、第2ビーコン信号Bs2を受信しない。照明装置L2-1の制御部12は、第2ビーコン信号Bs2に含まれる照明装置L1-1,L1-2,L1-3のユニット識別情報、照明装置L1-1,L1-2,L1-3からの第1ビーコン信号Bs1のRSSI値および無線タグWtのタグ識別情報を含み、さらに時刻情報を含む転送データ信号Tsを生成する。そして、照明装置L2-1の制御部12は、無線通信モジュール14の第1無線通信部141から転送データ信号Tsを無線通信ネットワークCn1を介して転送する。
【0069】
無線通信ネットワークCn1に属する複数の照明装置Lは、照明装置L2-1からの転送データ信号Tsを順次転送する(ステップS7)。第1中継ユニットおよび第2中継ユニットのいずれに設定された照明装置Lであっても、無線通信ネットワークCn1における転送を行う。これらの転送は、複数の照明装置L(中継ユニット)から定期的に送信される定期無線信号を介した送信によって行われる。なお、定期無線信号を介した転送データ信号Tsの転送と、照明制御信号の転送とは、時間軸上において順に(あるいは交互に)行われる。
【0070】
次に、無線通信ネットワークCn1を転送された転送データ信号Tsを、制御装置Ctが受信する。制御装置Ctは、受信した転送データ信号Tsを、クラウドCLに転送する(ステップS8)。制御装置Ctからの転送データ信号Tsの転送は、公衆通信ネットワークCn2を介して行われる。
【0071】
次に、クラウドCLの解析部61は、受信した転送データ信号Tsを用いて、無線タグWtの位置情報を解析する(ステップS9)。無線タグWtの位置情報を解析する手法は何ら限定されず、たとえば三点測位方式が用いられる。たとえば、転送データ信号Tsに含まれる照明装置L1-1,L1-2,L1-3のユニット識別情報を元に、照明装置L1-1,L1-2,L1-3の位置情報を特定する。ユニット識別情報が照明装置L1-1,L1-2,L1-3の位置情報である場合は、特別な特定処理は不要である。ユニット識別情報がMACアドレス等の照明装置IDである場合、クラウドCLの記憶部62には、個々の照明装置Lの照明装置IDと位置情報とがあらかじめ記憶されている。解析部61は、ユニット識別情報と位置情報との対応付けにより、照明装置L1-1,L1-2,L1-3の位置情報を特定する。そして、照明装置L1-1,L1-2,L1-3の位置情報を用いて三点測位方式により無線タグWtの位置情報を解析する。これにより、転送データ信号Tsに含まれた時刻情報によって特定される時刻における無線タグWtの位置が特定される。ステップS3~S9が適宜繰り返されることにより、たとえば、図2において第1時刻に図中左上に存在した無線タグWtが第2時刻には図中右下に存在した場合、第1時刻における位置と第2時刻における位置とが、クラウドCLの解析部61によって解析される。
【0072】
クラウドCLによって解析された無線タグWtの位置情報は、たとえば公衆通信ネットワークCn2を介して携帯端末Mdに送信されてもよい。携帯端末Mdは、たとえば無線タグWtの位置情報を取得する要求コマンドをクラウドCLに送信する。クラウドCLは、要求コマンドを受信すると、無線タグWtの位置情報を携帯端末Mdに送信する。
【0073】
携帯端末Mdは、たとえば表示部51に複数の照明装置Lが設置された室内のマップ画面および無線タグWtのタグ情報画面を表示してもよい。当該マップ画面には、複数の照明装置Lの配置や、複数の特定領域が表示されてもよい。また、これらの照明装置Lに対して、ある時刻において無線タグWtが存在した位置をアイコン等によって表示してもよい。位置情報画面には、無線タグWtを保持するユーザの名前、タグ識別情報を表示してもよい。たとえば、無線タグWtを保有するユーザがマップ画面における複数の特定領域のいずれかに進入した時刻や退出した時刻が、タグ情報画面に表示されてもよい。
【0074】
なお、上述の例では、携帯端末Mdから要求コマンドを送信したがこれに限定されず、たとえばクラウドCLが所定間隔(たとえば10分毎の所定の時間間隔で送信する送信間隔のことである)に解析した位置情報を送信し、携帯端末Mdがこの位置情報を受信する構成であってもよい。これにより、上述のマップ画面およびタグ情報画面は、所定時間毎に自動で更新される。
【0075】
次に、位置検出システムA1、照明装置Lおよび無線タグWtの作用について説明する。
【0076】
本実施形態によれば、第1中継ユニットである照明装置L1-1・・・L1-nは、第2ビーコン信号Bs2を受信しない。第2ビーコン信号Bs2の受信と転送データ信号Tsの生成および送信(図10のステップS6)は、第2中継ユニットの照明装置L2-1・・・L2-mが行う。仮に、照明装置L2-1・・・L2-mだけでなく、照明装置L1-1・・・L1-nがステップS6を行うと、同一の無線タグWtから受信した第2ビーコン信号Bs2を用いて作成された転送データ信号Tsが、より多くの照明装置Lから送信(転送)される。このような多数の転送データ信号Tsの転送は、無線通信ネットワークCn1の通信トラフィックを逼迫させるおそれがある。本実施形態においては、第1中継ユニットである照明装置L1-1・・・L1-nは転送データ信号Tsを生成および転送しないため、無線通信ネットワークCn1において転送される転送データ信号Tsの通信量を減少させることが可能である。したがって、無線通信ネットワークCn1の通信トラフィックを低減させることができる。
【0077】
また、第2中継ユニットの照明装置L2-1・・・L2-mは、第1ビーコン信号Bs1の送信を行わない。これにより、第1ビーコン信号Bs1が送受信される第2プロトコルの無線通信の通信トラフィックを低減させることができる。
【0078】
照明装置Lの無線通信モジュール14の第2無線通信部142は、ビーコン送信モードとビーコン受信モードとに切替可能である。これにより、同一の仕様の複数の照明装置Lを用いて、複数の照明装置Lのいずれを第1中継ユニットとし、いずれを第2中継ユニットとするかを、より柔軟性高く決定することができる。たとえば、室内の天井にすでに設置されている複数の照明装置Lを対象として、ビーコン送信モードとビーコン受信モードとを適宜切り替えることにより、第1中継ユニットとしての照明装置Lと、第2中継ユニットとしての照明装置Lの割合や配置を任意に変更可能である。
【0079】
無線タグWtの制御部42は、受信電波強度が基準電波強度以上である第1ビーコン信号Bs1を用いて第2ビーコン信号Bs2を生成する。これにより、第2ビーコン信号Bs2に不要に多数の照明装置Lからの第1ビーコン信号Bs1のユニット識別情報およびRSSI値が含まれてしまうことを回避可能であり、通信データ量を削減することができる。
【0080】
第2中継ユニットである照明装置Lにおいて、無線通信モジュール14の第1無線通信部141は、定期無線信号を介して転送データ信号Tsの転送と、照明制御信号の転送とを、順に(あるいは交互に)行う。これにより、同一の通信プロトコルである第1通信プロトコルの無線通信によって異なる信号を送信しつつ、通信品質の低下を抑制することができる。
【0081】
無線タグWtの電源部45がアンテナ部451を用いた自己発電を行う場合、無線タグWtにバッテリ等を搭載する必要がない。
【0082】
図11および図12は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。また、各変形例および各実施形態における各部の構成は、技術的な矛盾を生じない範囲において相互に適宜組み合わせ可能である。
【0083】
<第2実施形態>
図11および図12は、本発明の第2実施形態に係る位置検出システムを示している。本実施形態の位置検出システムA2は、第2中継ユニットとして用いられる照明装置Lの設定が、上述した実施形態と異なっている。
【0084】
本実施形態においては、第2中継ユニットの照明装置Lは、無線通信モジュール14の第2無線通信部142がビーコン送受信モードに設定される。ビーコン送受信モードに設定された第2無線通信部142は、第1ビーコン信号Bs1の送信および第2ビーコン信号Bs2の受信の双方を行う。このため、図11に示す例においては、第2中継ユニットである照明装置L2-1,L2-2からも第1ビーコン信号Bs1が送信されている。また、図示された例においては、受信電波強度が基準電波強度であるものとして、照明装置L1-2,L1-3,L2-1からの第1ビーコン信号Bs1が、無線タグWtにおける第2ビーコン信号Bs2の生成に用いられる。
【0085】
本実施形態によっても、通信トラフィックを低減することができる。また、第1中継ユニットの照明装置L1-1・・・L1-nだけでなく、第2中継ユニットの照明装置L2-1・・・L-mからも第1ビーコン信号Bs1が送信される。これにより、無線タグWtの位置情報の解析をより正確に行うことができる。
【0086】
本発明に係る位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る位置検出システム、照明装置、無線タグおよび位置検出方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0087】
A1,A2:位置検出システム
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信モジュール
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信部
25 :電源部
42 :制御部
43 :記憶部
44 :第3無線通信部
45 :電源部
51 :表示部
52 :制御部
53 :記憶部
54 :無線通信部
55 :電源部
58 :操作部
61 :解析部
62 :記憶部
63 :通信部
141 :第1無線通信部
142 :第2無線通信部
451 :アンテナ部
Bs1 :第1ビーコン信号
Bs2 :第2ビーコン信号
CL :クラウド
Cn1 :無線通信ネットワーク
Cn2 :公衆通信ネットワーク
Ct :制御装置
L :照明装置
Md :携帯端末
Ts :転送データ信号
Wt :無線タグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12