IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図1
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図2
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図3
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図4
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図5
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図6
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図7
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図8
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図9
  • 特開-運転支援装置及び運転支援方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095169
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】運転支援装置及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240703BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240703BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20240703BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W50/14
B60W40/02
B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212260
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 将史
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA60
3D241BB14
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241DA52Z
3D241DB32Z
3D241DC33Z
3D241DD11Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】退避場所まで後退する後退走行の開始に先立って退避場所に関する情報を得ること。
【解決手段】本開示に係る運転支援装置は、検出部、記憶部及び車両制御部を備える。検出部は、車両の前進走行時の走行経路に関する情報を検出する。記憶部は、走行経路に関する情報を記憶する。車両制御部は、記憶部により記憶された走行経路に関する情報に基づき、走行経路に沿って車両を後退させる後退支援走行を制御する。検出部は、車両の前進走行時に、周辺環境において車両の退避が可能な場所である退避候補をさらに検出する。記憶部は、退避候補を走行経路に関する情報に関連付けて記憶する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前進走行時の走行経路に関する情報を検出する検出部と、
前記走行経路に関する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部により記憶された前記走行経路に関する情報に基づき、前記走行経路に沿って前記車両を後退させる後退支援走行を制御する車両制御部と、を備え、
前記検出部は、前記車両の前進走行時に、周辺環境において前記車両の退避が可能な場所である退避候補をさらに検出し、
前記記憶部は、前記退避候補を前記走行経路に関する情報に関連付けて記憶する、
運転支援装置。
【請求項2】
前記検出部が検出する前記走行経路に関する情報は、前記車両の前進走行時の前記周辺環境の空間情報を含む、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
ユーザの操作を受け付ける受付部と、
後退支援機能の呼び出しを指示するユーザ操作が前記受付部により受け付けられたとき、前記退避候補の位置、前記退避候補までの距離、前記退避候補の広さ及び前記退避候補の画像情報のうちの少なくともいずれかを示す支援情報を前記ユーザに提示する表示制御部と、をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
表示制御部をさらに備え、
前記検出部は、前記車両の進行方向における、前記車両が走行可能な道路幅と、前記車両とは進行方向が対向する他の車両とをさらに検出し、
前記表示制御部は、
前記道路幅と前記他の車両の有無とに基づいて、前記車両と前記他の車両とが互いに前進してすれ違うことが不可であるかを判定し、
すれ違い不可と判定された場合に前記退避候補の位置、前記退避候補までの距離、前記退避候補の広さ及び前記退避候補の画像情報のうちの少なくともいずれかを示す支援情報をユーザに提示する、
請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記車両と他の車両との間で情報を送受信可能な通信部と、
前記通信部により前記他の車両から受信した情報に基づいて、前記車両と前記他の車両とのそれぞれについての前記退避候補までの後退走行の困難度を比較し、
前記困難度の比較結果に基づいて前記車両と前記他の車両とのいずれが後退するかを提案する支援情報をユーザに提示する
表示制御部と、をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記退避候補までの前記走行経路についての距離、勾配、走行可能な道路幅及びカーブ路の有無と、当該走行経路を走行する車両の大きさとのうちの少なくとも一つに基づいて、前記困難度を算出する、
請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記退避候補までの前記走行経路についての距離が予め定められたしきい値以上である場合、前記他の車両が後退することを要求する後退要求を前記通信部により前記他の車両へ送信する、
請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記後退支援走行により前記車両が前記退避候補の付近まで後退したとき、前記退避候補の位置を示す支援情報をユーザに提示する表示制御部をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記車両制御部は、前記後退支援走行により前記退避候補の付近まで前記車両が後退したとき、前記走行経路から前記退避候補までの経路で前記車両を移動させる、
請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記支援情報は、前記退避候補の画像情報を含む、
請求項8に記載の運転支援装置。
【請求項11】
車両の前進走行時の走行経路に関する情報を検出することと、
前記走行経路に関する情報を記憶することと、
記憶された前記走行経路に関する情報に基づき、前記走行経路に沿って前記車両を後退させる後退支援走行を制御することと、
前記車両の前進走行時に、周辺環境において前記車両の退避が可能な場所である退避候補をさらに検出することと、
前記退避候補を前記走行経路に関する情報に関連付けて記憶することと
を含む運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転により車両を移動させる運転支援の技術が知られている。このような運転支援の一つとして、前進走行時の走行軌跡を記憶しておき、所定の地点まで戻る後退走行経路を前進走行軌跡に基づいて算出し、後退走行のステアリング操作制御を行う技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-056173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば山道や住宅街の狭路といった狭い道路環境下で対向車両と遭遇した場合など、対向車両とのすれ違いが可能な退避場所まで後退しなければならない場合がある。このような場合、どこまで戻らないといけないのかが分からず、ユーザが不安を抱くおそれがあった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、退避場所まで後退する後退走行の開始に先立って退避場所に関する情報を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運転支援装置は、検出部と、記憶部と、車両制御部と、を備える。前記検出部は、前記車両の前進走行時の走行経路に関する情報を検出する。前記記憶部は、前記走行経路に関する情報を記憶する。前記車両制御部は、前記記憶部により記憶された前記走行経路に関する情報に基づき、前記走行経路に沿って前記車両を後退させる後退支援走行を制御する。前記検出部は、前記車両の前進走行時に、周辺環境において前記車両の退避が可能な場所である退避候補をさらに検出する。前記記憶部は、前記退避候補を前記走行経路に関する情報に関連付けて記憶する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、退避場所まで後退する後退走行の開始に先立って退避場所に関する情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る運転支援装置を搭載する車両の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る車両の運転席近傍の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る運転支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る運転支援装置の機能構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る支援処理において表示される表示画面の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る運転支援装置により実行される記憶走行処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る運転支援装置により実行される再生走行処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る運転支援装置により実行される再生走行処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る運転支援装置により実行される再生走行処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る運転支援装置により実行される再生走行処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る運転支援装置、車両、運転支援方法及びプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
なお、本開示の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、説明を適宜省略する場合もある。また、同一又は略同一の部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。また、例えば図面の視認性を確保する観点から、各図面の説明において主要な構成要素だけに参照符号を付し、既出の図において前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素であっても参照符号を付していない場合もある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る運転支援装置3を搭載する車両1の一例を模式的に示す図である。車両1は、図1に示すように、車体12と、車体12に所定方向に沿って配置された二対の車輪13とを有する。二対の車輪13は、一対のフロントタイヤ13f及び一対のリアタイヤ13rを含む。
【0012】
ここで、実施形態に係るフロントタイヤ13fは、第1の車輪の一例である。また、実施形態に係るリアタイヤ13rは、第2の車輪の一例である。なお、図1は、四つの車輪13を有する車両1を例示するが、これに限らない。車両1は、少なくとも一つのフロントタイヤ13fと、少なくとも一つのリアタイヤ13rを有していればよい。車両1の車輪13の数は二つ、三つ又は五つ以上の複数であってもよい。
【0013】
車体12は、車輪13により支持される。車両1は、図示しない駆動機を有し、当該駆動機の動力によって車両1の車輪13のうちの少なくとも1つの車輪(駆動輪)を駆動することにより移動可能である。なお、駆動機としては、ガソリンや水素などを燃料とするエンジンやバッテリからの電力を用いるモータ、あるいはエンジンとモータとの組合せなど、任意の駆動機が適用可能である。この場合、二対の車輪13が配置される所定方向が車両1の走行方向となる。車両1は、不図示のギアの切り替え等により前進又は後退することができる。また、車両1は、操舵により右左折することもできる。
【0014】
また、車体12は、フロントタイヤ13f側の端部である前端部Fと、リアタイヤ13r側の端部である後端部Rを有する。車体12は上面視で略矩形をしており、略矩形状の4つの角部を端部と呼ぶ場合もある。
【0015】
車体12の前後端部F,Rであって、車体12の下端付近には一対のバンパー14が設けられている。一対のバンパー14のうちのフロントバンパー14fは、車体12の下端部付近の前面全体と側面の一部とを覆う。一対のバンパー14のうちのリアバンパー14rは、車体12の下端部付近の後面全体と側面の一部とを覆う。
【0016】
車体12の所定の端部には、超音波等の音波の送受波を行うソナー15が設けられている。ソナー15は、送受波部15f,15rを含む。例えば、フロントバンパー14fには、一つ以上の送受波部15fが配置され、リアバンパー14rには、一つ以上の送受波部15rが配置される。また、送受波部15f,15rの数及び/又は位置は、図1に示す例に限らず、適宜変更可能である。例えば、車両1は、左右の側方に送受波部15f,15rを備えていてもよい。
【0017】
本実施形態においては、超音波等の音波を使用するソナー15を例示するが、これに限らない。例えば、車両1は、ソナー15に代えて、あるいはソナー15に加えて、電磁波を送受波するレーダーを有していてもよい。また、ソナー15は、単にセンサと称されてもよい。
【0018】
ソナー15は、音波の送受結果に基づいて、車両1の周囲の障害物を検出する。また、ソナー15は、音波の送受結果に基づいて、車両1の周囲の障害物と車両1との距離を計測する。ここで、実施形態に係るソナー15は、外界センサの一例である。なお、外界センサは、車両1に搭載された車載センサの一例であると表現することもできる。
【0019】
また、車両1は、車両1の周囲を撮影する全周囲カメラ16を有する。一例として、車両1は、全周囲カメラ16として、前方を撮影する前方カメラ16a、後方を撮影する後方カメラ16b、左側方を撮影する左側方カメラ16c及び右側方を撮影する右側方カメラ(図示を省略)を有する。
【0020】
以下、前方カメラ16a、後方カメラ16b、左側方カメラ16c及び右側方カメラを特に区別しない場合には、単に全周囲カメラ16と記載する。なお、全周囲カメラ16の位置及び/又は数は、図1に示す例に限らず適宜変更可能である。例えば、車両1は、前方カメラ16a及び後方カメラ16bの二台のみを有していてもよい。あるいは、車両1は、上述の例の他に、さらに他のカメラを有していてもよい。
【0021】
全周囲カメラ16は、車両1の周囲の映像を撮影可能であり、例えば、カラー画像を撮影するカメラである。なお、全周囲カメラ16が撮影する撮影画像は、動画でもよいし、静止画でもよい。また、全周囲カメラ16は、車両1に内蔵されたカメラであってもよいし、車両1に後付けされたドライブレコーダのカメラ等であってもよい。ここで、実施形態に係る全周囲カメラ16は、外界センサの一例である。
【0022】
次に、本実施形態の車両1の運転席近傍の構成について説明する。図2は、実施形態に係る車両1の運転席130a近傍の構成の一例を示す図である。
【0023】
車両1は、少なくとも一つの座席130を有する。図2は、座席130として運転席130a及び助手席130bを例示する。また、運転席130aの前方には、表示装置120、ステアリングホイール140、操作ボタン141、フロントガラス180及びダッシュボード190が設けられる。
【0024】
表示装置120は、車両1のダッシュボード190やコンソールに設けられたディスプレイである。表示装置120は、一例として、図2に示すようにダッシュボード190の中央に位置する。表示装置120は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。また、表示装置120は、タッチパネルディスプレイとして構成されていてもよい。なお、表示装置120は、カーナビゲーション装置の一部であってもよい。ここで、実施形態に係る表示装置120は、表示部の一例である。
【0025】
また、ステアリングホイール140は、運転席130aの正面に設けられ、運転者によって操作可能である。ここで、実施形態に係るステアリングホイール140は、操作部の一例である。ステアリングホイール140の回転角度、つまり操舵角と、操舵輪であるフロントタイヤ13fの向きの変化とは、電気的又は機械的に連動する。なお、操舵輪は、リアタイヤ13rでもよいし、フロントタイヤ13f及びリアタイヤ13rの両方であってもよい。
【0026】
操作部は、一例として、操作ボタン141,142であり、HMI21の一例である。操作部は、車両1の運転者による運転支援の開始指示や選択指示などの各種操作を入力する機能を有する。操作部は、ユーザからの操作ボタン141,142に対する各種の操作に応じ、後述する受付部302にユーザからの各種の操作に応じた信号を出力する。
【0027】
操作ボタン141は、ユーザによる操作を受け付け可能に構成されている。なお、本実施形態においてユーザは、例えば車両1の運転者である。操作ボタン141は、運転手からの押下を受け付けることにより、例えば後退運転支援機能の呼び出しや開始、駐車支援の開始を指示する運転手からの操作を受け付ける。
【0028】
なお、操作ボタン141は、インストルメントパネルに配置された例である。あるいは、その他にステアリングホイール140又はコンソールに設けられてもよい。図2の操作ボタン142は、操作ボタン141がコンソールに設けられた場合を例示する。なお、操作ボタン142は、操作ボタン141に代えて設けられる場合に限らず、操作ボタン141に加えて設けられてもよい。ここで、実施形態に係る操作ボタン141,142は、操作部の一例である。また、表示装置120がタッチパネルディスプレイとして構成されている場合には、表示装置120を操作部の一例とすることもできる。また、不図示のタブレット端末やスマートフォン、リモートコントローラ、電子キー等の車両1の外部から車両1に対して信号を送信可能な操作端末を、操作部の一例としてもよい。
【0029】
また、車両1は、図1に例示するように、運転支援装置3を搭載する。運転支援装置3は、車両1に搭載可能な情報処理装置であり、例えば、車両1の内部に設けられたECU(Electronic Control Unit)、あるいはOBU(On Board Unit)により実現される。あるいは、運転支援装置3は、車両1のダッシュボード付近に設置された外付けのコンピュータであってもよい。なお、運転支援装置3は、カーナビゲーション装置等を兼ねてもよい。
【0030】
図3は、実施形態に係る運転支援装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。運転支援装置3は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、HDD(Hard Disk Drive)34及びI/F(インタフェース)35を有する。CPU31、ROM32、RAM33、HDD34及びI/F(インタフェース)35は、バス39等により相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0031】
また、車両1は、図3に示すように、操舵角センサ17、車輪速センサ18、HMI21、操舵制御装置22及び駆動・ブレーキ制御装置23を有する。ソナー15、全周囲カメラ16、操舵角センサ17、車輪速センサ18、HMI21、操舵制御装置22及び駆動・ブレーキ制御装置23は、例えばI/F35を介して運転支援装置3に接続される。
【0032】
操舵角センサ17は、例えば車両1のステアリングホイール140がつながるステアリングシャフトに取り付けられる。操舵角センサ17は、運転者によるステアリングホイール140の操作量、すなわち操舵角に応じた信号を、例えばCAN(Controller Area Network)へ出力する。ここで、実施形態に係る操舵角センサ17は、車載センサの一例である。
【0033】
車輪速センサ18は、例えば車両1の車輪13の内側やドライブシャフトやアクスルハブなどの車軸、ブレーキロータやブレーキキャリパなどの回転部分に取り付けられる。車輪速センサ18は、車輪13の回転速度及び回転方向に応じた信号を、例えばCANへ出力する。ここで、車輪速センサ18は、車載センサの一例である。
【0034】
HMI21は、車両1の運転者に支援情報などの通知を出力するためのインタフェースである。HMI21は、例えば、車両1の運転席の周囲に設けられる。なお、HMI21は、車両1の運転者が認識可能に所定の通知を出力できればよく、後部座席など、運転席の周囲の他の部分に設けられていてもよい。また、HMI21は、車両1の運転者による運転支援や駐車支援の開始指示や選択指示などの各種操作を受け付けるためのインタフェースである。図2の表示装置120は、HMI21の一例である。ここで、HMI21は、表示部の一例である。
【0035】
なお、HMI21は、表示装置120に限らず、他の表示デバイスを含んでいてもよい。一例として、他の表示デバイスとは、運転手の前方、例えばフロントガラス180やダッシュボード(コンソール)190上に設けられた表示領域などに映像(虚像)を投影するHead Up Display(HUD)などの投影型の表示デバイスであってもよい。
【0036】
また、HMI21は、映像を表示する装置に限らず、通知音や警告音、音声を出力するスピーカなどの他の通知デバイスを含んでいてもよい。また、HMI21は、音声入力により車両1の運転手の各種操作を受け付けるマイクを含んでいてもよい。
【0037】
操舵制御装置22は、車両1の操舵を制御する。操舵制御装置22は、例えば、運転者によるステアリングホイール140の回転角、すなわち操舵角、あるいは運転支援装置3からの制御信号に応じた方向に車輪13を偏向する。なお、操舵制御装置22は、運転支援装置3からの制御信号に従いステアリングホイール140の回転角を変更する操舵アクチュエータ(図示しない)を有していてもよい。
【0038】
駆動・ブレーキ制御装置23は、車両1の加減速を制御する。駆動・ブレーキ制御装置23は、例えば、ブレーキアクチュエータ(図示しない)及びエンジンコントローラ(図示しない)を有する。ブレーキアクチュエータは、運転者によるブレーキペダルの操作量を検知するブレーキセンサ(図示しない)の検知結果、あるいは運転支援装置3からの制御信号に基づいて車両1の車輪13に制動をかける。アクセルコントローラは、運転者によるアクセルペダルの操作量を検知するアクセルセンサ(図示しない)の検知結果、あるいは運転支援装置3からの制御信号に基づいてエンジンやモータなどの駆動機の出力を制御することにより、車両1の加減速を制御する。
【0039】
なお、図3は、操舵制御装置22及び駆動・ブレーキ制御装置23が、運転支援装置3に含まれない場合を例示するが、これに限らない。これらの一部又はすべてが運転支援装置3に含まれていてもよい。
【0040】
CPU31は、運転支援装置3の全体を制御する演算装置である。CPU31は、ROM32やHDD34に記憶されたプログラムをRAM33にロードして実行することにより、後述する各処理を実現する。
【0041】
なお、実施形態に係るCPU31は、運転支援装置3におけるプロセッサの一例である。当該プロセッサとしては、CPU31に代えて、あるいはCPU31に加えて、他のプロセッサが設けられてもよい。他のプロセッサとしては、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種プロセッサや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)で実現される専用演算回路などが適宜利用可能である。
【0042】
ROM32は、CPU31による各種処理を実現するプログラムやパラメータ等を記憶する。
【0043】
RAM33は、例えば運転支援装置3の主記憶装置であり、CPU31による各種処理に必要なデータを一時的に記憶する。
【0044】
HDD34は、運転支援装置3で使用される各種のデータやプログラム等を記憶する。一例として、HDD34は、ソナー15、全周囲カメラ16、操舵角センサ17及び車輪速センサ18等の車両1に搭載された各種センサから得られた情報を保持する。なお、HDD34に代えて、あるいはHDD34に加えて、SSD(Solid State Drive)、Flashメモリ等の各種の記憶媒体や記憶装置が適宜利用可能である。
【0045】
I/F35は、データを送受信するためのインタフェースである。I/F35は、車両1に設けられた他のデバイス、例えばソナー15、全周囲カメラ16、操舵角センサ17及び車輪速センサ18等のセンサやHMI21からのデータを受信する。また、I/F35は、車両1に設けられた他のデバイス、例えばHMI21、操舵制御装置22及び駆動・ブレーキ制御装置23へデータを送信する。また、I/F35は、運転者によるアクセルペダルの操作量を検知するアクセルセンサ(図示しない)や運転者によるブレーキペダルの操作量を検知するブレーキセンサ(図示しない)からの信号、あるいはこれらの信号に基づく操作量を取得する。
【0046】
なお、I/F35は、車両1内のCAN等を介して車両1に搭載された他のECUとの間で情報の送受信をしてもよいし、インターネット等のネットワークを介して車両1の外部の情報処理装置と通信をしてもよい。一例として、I/F35は、例えばCANを介して他のECU又は車両1の各種の車載センサから、車速パルス、ヨーレートを含む各速度、加速度、位置情報、シフト情報などの車両1の状態に関する情報を取得する。
【0047】
なお、図3は、ソナー15、全周囲カメラ16、操舵角センサ17及び車輪速センサ18、HMI21、操舵制御装置22及び駆動・ブレーキ制御装置23が、運転支援装置3に含まれない場合を例示するが、これに限らない。これらの一部又はすべてが運転支援装置3に含まれていてもよい。
【0048】
図4は、実施形態に係る運転支援装置3の機能構成の一例を示す図である。運転支援装置3は、RAM33にロードされたプログラムをCPU31で実行することにより、図4に実線で示すように、取得部301、受付部302、地図情報生成部303、走行経路検出部304、退避空間検出部305、記憶部306、自己位置推定部307、経路追従演算部308、退避走行演算部309、出力制御部310及び車両制御部311としての機能を実現する。なお、本実施形態に係る運転支援装置3は、図4に破線で示す前方空間検出部312及び通信制御部313を含まない機能構成であるとする。
【0049】
ここで、実施形態に係る受付部302は、操作部の一例である。また、実施形態に係る取得部301、地図情報生成部303、走行経路検出部304及び退避空間検出部305は、それぞれ検出部の一例である。また、実施形態に係る自己位置推定部307、経路追従演算部308、退避走行演算部309及び車両制御部311は、それぞれ車両制御部の一例である。また、実施形態に係る出力制御部310は、表示制御部の一例である。なお、実施形態に係る自己位置推定部307、経路追従演算部308、退避走行演算部309及び出力制御部310のそれぞれを表示制御部の一例として捉えることもできる。
【0050】
取得部301は、車両1に設けられた他のデバイス、例えばソナー15、全周囲カメラ16、操舵角センサ17及び車輪速センサ18等のセンサからのデータを、例えばI/F35を介して取得する。
【0051】
一例として、取得部301は、車両1が移動する距離、速度及び方位を検出する車載センサと、車両1の周囲の空間情報を検出する外界センサとのそれぞれからの出力を取得する。
【0052】
受付部302は、ユーザからの各種の操作に応じた操作ボタン141や表示装置120などのHMI21の出力に基づいて、当該ユーザからの各種の操作を受け付ける。
【0053】
一例として、受付部302は、車両1が停車した状態で、操作ボタン141が押下された場合、表示装置120などのディスプレイへのメニュー表示となる、後退運転支援機能の呼び出しを要求する支援機能呼び出し指示として受け付ける。なお、操作ボタン141の押下に代えて、操作ボタン142やタッチパネルディスプレイとして構成された表示装置120のタッチパネル上のアイコンへのタッチ操作が行われた場合に支援機能呼び出し指示として受け付けてもよい。
【0054】
一例として、受付部302は、支援機能呼び出し指示が受け付けられた後に、支援情報の表示画面の操作アイコンに対してタッチ操作が行われた場合、後退運転支援による自動後退走行の開始を指示する後退開始指示として受け付ける。なお、タッチパネル上の操作アイコンへのタッチ操作に代えて、操作ボタン141の押下が行われた場合に後退開始指示として受け付けてもよい。
【0055】
地図情報生成部303は、記録走行において、車両1の周囲の環境、すなわち車両1の走行経路に沿って広がる空間である周辺環境を地図として定義する周辺環境マップを取得する。ここで、周辺環境マップは、走行経路に関する情報の一例である。また、周辺環境マップは、走行経路に沿って広がる空間である周辺環境についての情報であり、空間情報の一例である。また、記録走行とは、車両1の移動が低速前進走行である場合であるとする。
【0056】
一例として、地図情報生成部303は、車両1の移動が低速前進走行である場合に、周辺環境マップを取得する。例えば、地図情報生成部303は、車両1の前方、後方、左方及び右方のそれぞれの撮影画像、すなわち周辺画像から特徴点を抽出する。地図情報生成部303は、抽出された特徴点に基づいて車両1の周囲環境を定義することにより、周辺環境マップとして取得する。
【0057】
なお、特徴点の抽出の手法は特に限定されるものではなく、公知の手法を適用してよい。例えば、地図情報生成部303は、FAST(Features from Accelerated Segment Test)又はORB (Oriented FAST and Rotated BRIEF)等の手法により周辺画像から特徴点を抽出する。また、地図情報生成部303は、周辺画像から抽出した特徴点のうち、規定の条件を満たす特徴点を、優先的に記録してもよい。例えば、時系列で連続する複数の周辺画像のうち、撮影中に車両1が移動した距離が長いものから抽出された特徴点ほど、優先して特徴点として選定してもよい。
【0058】
例えば、地図情報生成部303は、抽出された特徴点に対して、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を活用し、各特徴点の位置を示す座標を検出して周辺環境マップを作成する。
【0059】
なお、各特徴点の位置座標を検出する際には、車両1の位置を並行して検出するが、車両1の位置検出を、SLAM技術と共にデットレコニング(Dead-Reckoning:DR)の技術を組み合わせて実施してもよい。
【0060】
なお、周辺環境マップは、撮影画像に基づく空間情報に加えて、ソナー15の出力に基づく空間情報により定義されてもよい。
【0061】
なお、車両1の位置、速度及び移動方向は、GPS(Global Positioning System)センサなどの全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)センサや加速度センサ、ジャイロセンサといった他の車載センサの出力を用いて取得されてもよい。つまり、車両1は、GNSSセンサや加速度センサ、ジャイロセンサといった他の車載センサを有していてもよい。なお、GNSSセンサとは、衛星からの電波を受信するGNSSアンテナと、当該GNSSアンテナにより受信した少なくとも二の衛星からの電波に基づき位置情報を得るGNSS回路とを含む。また、車両1の車両1の位置、速度及び移動方向は、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems:ITS)を利用して算出されてもよい。
【0062】
走行経路検出部304は、車両1の移動が低速前進走行である場合に、例えばSLAM技術及びデットレコニングの技術により検出される自己位置推定結果に基づいて、車両1の走行経路を検出する。ここで、走行経路は、走行経路に関する情報の一例である。
【0063】
一例として、走行経路検出部304は、取得部301により取得された各車輪13の回転方向及び回転速度に基づき、車両1が低速前進走行であるかを判定する。
【0064】
なお、車両1の速度及び移動方向は、CANを流れる車速パルスやシフト情報を用いて取得されてもよい。
【0065】
走行経路の検出に際しては、走行経路をほぼ同じ距離間隔で存在する点の集合で表し、各点は位置を示す座標とその位置における車両1の向きを表す方位、走行速度をパラメータとして保持する経路点群データとして検出する。
【0066】
退避空間検出部305は、車両1の移動が低速前進走行である場合に、外界センサの出力に基づいて、周辺環境において車両1の退避が可能な場所である退避候補を検出する。
【0067】
退避空間検出部305は、ソナー15の出力に基づき、車両1の左方及び右方のそれぞれに位置する少なくとも一つの障害物までの車両1からの距離を検出する。また、退避空間検出部305は、少なくとも一つの障害物までの車両1からの距離に基づいて、規定の大きさ以上の空き空間の位置を示す情報を車両1の退避場所の候補である退避候補として取得する。
【0068】
ここで、規定の大きさとは、車両1の車長及び車幅より大きい。一例として、規定の大きさは、例えば、走行帯上の車両1が退避のために、後退運転により進入して停車可能な大きさであり、走行帯からの距離、車両1の車長、車幅、最小回転半径などに基づいて設定される。規定の大きさは、例えば予め定められてROM32又はHDD34に記憶されている。
【0069】
なお、退避候補は、撮影画像に対する特徴点の抽出処理やエッジ検出処理、物体認識処理、ディープラーニングによる走行可能領域の抽出などの画像処理の結果に基づき取得又は補正されてもよい。
【0070】
記憶部306は、例えばROM32、RAM33又はHDD34によって構成される。記憶部306は、地図情報生成部303が生成する周辺環境マップと走行経路検出部304が検出する走行経路を記憶する。また、記憶部306は、退避候補を周辺環境マップと走行経路に関連付けて記憶する。
【0071】
自己位置推定部307は、車両1が後述の経路追従演算部308により走行経路に基づく自動走行をする際に、車両1の位置及び向きを推定する。ここで、走行経路に基づく自動走行とは、車両1の走行軌跡に沿って車両1を後退させる後退支援走行であり、再生走行の一例である。なお、車両1の走行軌跡とは、上述したように、車両1が低速前進走行である場合に実行される記録走行において取得された車両1の走行経路である。
【0072】
一例として、自己位置推定部307は、記憶部306により保持されている周辺環境マップの特徴点情報を読み出し、再生走行において取得される現在の周辺画像から抽出した特徴点と比較することにより、車両1の及び向きを推定する。
【0073】
なお、自己位置推定部307によって推定される車両1の位置及び向きは、それぞれ、取得済みの走行経路における開始位置及び開始方向などの基準位置及び基準方向に対する相対位置及び相対方向であればよいが、絶対位置及び絶対方向が使用されても構わない。
【0074】
なお、記録走行及び再生走行のそれぞれにおいて、車両1の位置は、基準位置からの車両1の移動量に基づくデットレコニングの技術を用いて取得される場合に限らず、公知のマップマッチングやGNSSセンサを用いて取得されてもよい。
【0075】
経路追従演算部308は、記憶部306により保持されている車両1の走行軌跡と、退避候補の位置と、自己位置推定部307により推定された車両1の位置とに基づいて、車両1が退避候補の付近まで後退したかを判定する。
【0076】
ここで、退避候補の付近とは、予め定められて記憶部306に格納されているしきい値より退避候補からの距離が短い位置である。例えば、退避候補の付近としては、走行軌跡から離れてその退避候補へ車両1を駐車又は停車させる際の開始位置に適した位置である。したがって、退避候補の付近についてのしきい値は、車両1の最小回転半径に応じて設定され得る。また、退避候補の付近についてのしきい値は、走行軌跡からの距離や走行軌跡に対する退避候補の向きに応じた変数として設定される場合もあり得る。なお、退避候補の付近は、走行軌跡に沿って後退する際の退避候補の手前であってもよいし、退避候補を超えた位置であってもよい。
【0077】
退避走行演算部309は、受付部302により退避運転支援の開始を指示するユーザ操作が受け付けられた場合、指定された退避位置まで車両1を移動させるための走行経路を算出する。
【0078】
一例として、退避走行演算部309は、外界センサにより退避候補の空間を再度検出し、退避候補の空間内における退避位置を算出する。開始指示が受け付けられた時点の車両1の位置、例えば退避候補の付近を開始位置として、開始位置から退避位置まで車両1を移動させるための走行経路を算出する。
【0079】
なお、退避位置の算出は、記憶部306に記憶した記録走行時に退避候補の位置情報から算出してもよい。
【0080】
また、退避位置までの走行経路の算出は再生走行開始地点においてあらかじめ実施しておいてもよい。
【0081】
出力制御部310は、退避候補に関する支援情報を生成する。また、出力制御部310は、生成した支援情報をHMI21によりユーザに提示する。なお、本実施形態では、画面表示により支援情報を提示する場合を例示するが、支援情報を提示する手法は、音声による提示であってもよい。
【0082】
一例として、出力制御部310は、受付部302により後退支援走行(再生走行)の機能の呼び出しを指示するユーザ操作が受け付けられた場合、退避候補の位置及び退避候補までの距離を示す支援情報をユーザに提示する。
【0083】
一例として、出力制御部310は、再生走行により車両1が退避候補の付近まで後退したとき、車両1を退避させる退避場所を示す支援情報をHMI21により表示する。
【0084】
図5は、実施形態に係る支援処理において表示される表示画面401の一例を示す図である。図5に示す例では、出力制御部310は、表示装置120などのHMI21に、退避候補の位置及び退避候補までの距離を示すメッセージ403を表示させる。メッセージ403の内容は、例えば「退避空間 候補(1)」といった退避候補を特定するための情報と、「後方40m」といった退避候補までの距離情報と、「左側」といった退避候補の位置情報とを含む。
【0085】
また、出力制御部310は、図5に例示するように、表示装置120などのHMI21に、退避候補503についての撮影画像405を表示させてもよい。ここで、撮影画像405は、退避候補の画像情報の一例である。つまり、実施形態に係る支援情報は、退避候補を撮影した撮影画像405を含んでいてもよい。撮影画像405は、退避候補503についての映像情報の一例である。図5に示す例では、撮影画像405は、道路501を記録走行する車両1が検出された退避候補503の右方に位置していたときに全周囲カメラ16により取得された撮影画像である。
【0086】
なお、図5は、全周囲カメラ16による複数の撮影画像を合成して得られた、車両1及び退避候補を上方から俯瞰的に見るトップビューが撮影画像405として表示される場合を例示するが、これに限らない。撮影画像405は、全周囲カメラ16による少なくとも一枚の撮影画像に基づく、退避候補を車両1から見るサイドビューであってもよい。また、撮影画像405は、静止画像であってもよいし、動画像であっても構わない。例えば、動画像としての撮影画像405は、車両1が退避候補から現在位置まで走行する記録走行において取得された動画像を逆再生する動画像である。
【0087】
また、出力制御部310は、図5に例示するように、後退運転支援の開始の操作を促す通知として、メッセージ407を表示させる。メッセージ407の内容は、例えば「後退運転支援を開始しますか?」のように、メッセージ403により提示する退避候補に車両1を後退させて退避させる自動後退が可能であることと、ユーザに操作を促すこととを含む。一例として、メッセージ407の表示は、後退運転支援の開始を指示する開始ボタンとして機能する操作アイコンである。
【0088】
なお、出力制御部310は、表示装置120などのHMI21に、後退運転支援の開始を指示する開始ボタンや、他の退避候補の提示を指示する変更ボタンなどを表示させてもよい。
【0089】
また、実施形態に係る支援情報は、退避候補の広さを示す情報を含んでいてもよい。ここで、退避候補の広さとは、退避候補の横幅と縦方向の長さとのうちの少なくともいずれかである。なお、退避候補の広さを示す情報は、車両1と退避候補との間の横幅や縦方向の長さの差分など、車両1の大きさに対する退避候補の大きさを示す情報であってもよい。また、退避候補の広さを示す情報は、「狭い」/「広い」、「易しい」/「難しい」といった広さの程度を示す情報であってもよい。
【0090】
このように、実施形態に係る各支援情報は、退避候補の位置、退避候補までの距離、退避候補の広さ及び退避候補の画像情報のうちの少なくともいずれかを示す情報である。
【0091】
なお、車両1が再生走行により退避候補の付近まで後退したときにユーザに提示される支援情報は、メッセージ403のような退避候補の位置及び退避候補までの距離の少なくともいずれかを提示する情報であってもよいし、退避場所についての撮影画像405を提示する情報であってもよいし、これらの組合せであってもよい。つまり、実施形態に係るいずれの支援情報も、退避候補を撮影した撮影画像405を含み得る。
【0092】
車両制御部311は、走行経路に追従するための車両1の操舵、制動及び加減速を制御する。
【0093】
一例として、車両制御部311は、記憶部306により保持されている車両1の走行軌跡と、自己位置推定部307により推定された車両1の位置及び方向とに基づいて、走行経路と車両1の位置及び方向の差分を検出し、差分を縮小するように、車両1の操舵、制動及び加減速の制御量のうちの少なくともいずれかを制御することにより、車両1を走行軌跡に追従させ、後退支援走行を制御する。
【0094】
次に、以上のように構成された運転支援装置3で実行される支援処理の流れを説明する。運転支援装置3で実行される支援処理は、記憶走行処理及び再生走行処理を含む。
【0095】
図6は、実施形態に係る運転支援装置3により実行される記憶走行処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0096】
運転支援装置3は、車両1が低速、かつ、前進走行、すなわち低速前進走行であるかを判定する(S101)。低速前進走行であると判定されなかったとき(S101:No)、図6の流れは、低速前進走行であると判定されるまで待機する。
【0097】
一方で、低速前進走行であると判定されたとき(S101:Yes)、運転支援装置3は、周辺環境マップ及び走行経路をそれぞれ取得し、周辺環境マップ及び走行経路を関連付けて記憶する(S102)。
【0098】
運転支援装置3は、退避場所の候補、すなわち退避候補が検出されたかを判定する(S103)。退避候補が検出されたと判定されたとき(S103:Yes)、運転支援装置3は、位置、大きさ等の退避候補の情報を走行経路に関連付けて記憶する(S104)。
【0099】
退避候補が検出されたと判定されなかったとき(S103:No)、あるいはS104の後、運転支援装置3は、記憶走行を終了するかを判定する(S105)。本判定では、例えば、車両1が低速前進走行では無くなった場合、後退運転支援の開始を指示するユーザ操作が受け付けられた場合に記憶走行を終了すると判定される。
【0100】
記憶走行を終了すると判定されなかったとき(S105:No)、図6の流れはS102の処理へ戻る。一方で、記憶走行を終了すると判定されたとき(S105:Yes)、図6の流れは終了する。
【0101】
なお、低速前進走行の場合に限らず、地図情報や道路情報から車両1が走行可能な道路幅、すなわち走行路が狭路であると検出された場合に走行経路、周囲環境マップ及び退避候補を取得する記録走行を実施してもよい。
【0102】
図7は、実施形態に係る運転支援装置3により実行される再生走行処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0103】
運転支援装置3は、後退運転支援が要求されたかを判定する(S201)。本判定では、例えば、操作ボタン141の押下などの後退運転支援機能を呼び出すユーザ操作、すなわち支援機能呼び出し指示が受け付けられた場合に後退運転支援が要求されたと判定される。ユーザは、例えば山道や住宅街の狭路において対向車と遭遇した場合、前方の走行路が駐車車両などの障害物により車両1の通り抜けが困難である場合など、後退しなければならない場面で操作ボタン141を押下して後退運転支援機能を呼び出す。
【0104】
後退運転支援が要求されたと判定されなかったとき(S201:No)、図7の流れは、後退運転支援が要求されたと判定されるまで待機する。一方で、後退運転支援が要求されたと判定されたとき(S201:Yes)、運転支援装置3は、退避候補の位置及び距離を示す支援情報をユーザに提示する(S202)。なお、運転支援装置3は、例えばユーザ操作に応じて他の退避候補についての支援情報を提示することもできる。例えば、複数の退避候補が検出されている場合、出力制御部310は、複数の退避候補についての支援情報をユーザ操作、あるいは所定の時間間隔で順次提示してもよいし、複数の退避候補についての支援情報を一覧表示してもよい。例えば、出力制御部310は、複数の退避候補のそれぞれについてメッセージ403だけを提示し、いずれかの退避候補が選択された場合に対応する撮影画像405やメッセージ407をさらに提示してもよい。
【0105】
S202の後、運転支援装置3は、自動走行で車両1を後退する後退運転支援を開始するかを判定する(S203)。本判定では、例えば、支援情報を提示する表示画面401において操作アイコンとしてのメッセージ407に対するユーザのタッチ操作が受け付けられた場合に後退運転支援を開始すると判定される。
【0106】
後退運転支援を開始すると判定されなかったとき(S203:No)、図7の流れは、S201へ戻る。
【0107】
一方で、後退運転支援を開始すると判定されたとき(S203:Yes)、運転支援装置3は、記録走行において保持された走行経路に沿って車両1を自動走行により後退させる自動後退走行を実行する(S204)。この自動後退走行は、後退運転支援を開始すると判定された時点の車両1の位置を開始位置として、後退運転支援を開始すると判定されたときに提示されていた、あるいはユーザに選択された退避候補の付近まで車両1を移動させる再生走行である。
【0108】
その後、運転支援装置3は、退避候補の付近まで車両1が後退したかを判定する(S205)。退避候補の付近まで後退したと判定されなかったとき(S205:No)、図7の流れはS204へ戻る。一方で、退避候補の付近まで後退したと判定されたとき(S205:Yes)、運転支援装置3は、退避場所を報知する(S206)。この退避場所は、後退運転支援を開始すると判定されたときに提示されていた、あるいはユーザに選択された退避候補の場所である。その後、図7の流れは終了する。
【0109】
このように、実施形態に係る運転支援装置3は、山道や住宅街などで低速前進走行している場合に走行経路、周辺環境マップ及び退避候補を検出し、周辺環境マップ及び退避候補の位置、広さなどの情報のそれぞれを走行経路に関連付けて保持する記憶走行を実施する。換言すれば、実施形態に係る運転支援装置3は、低速前進走行時に、車両1に搭載された車載センサにより道路幅が広い場所などの車両1の退避場所となり得る空間を退避候補として検出し、走行軌跡とともに退避空間の位置を保持する。
【0110】
この構成によれば、記憶走行により保持された走行軌跡に沿って車両を後退させる再生走行を行う運転支援機能を起動する時点で退避候補の位置や退避候補までの距離を既知の情報とすることができる。つまり、実施形態に係る運転支援装置3によれば、退避場所まで後退する後退走行の開始に先立って退避場所に関する情報を得ることができる。
【0111】
また、実施形態に係る運転支援装置3は、後退運転を支援する運転支援機能を起動する際に、退避候補の位置や退避候補までの距離を示す支援情報をユーザに提示する。
【0112】
この構成によれば、対向車と遭遇した場合など、後退して戻らなければならない状況において運転支援機能を起動する際に、退避候補までの戻る距離や退避候補の位置をユーザに通知し、提案することができる。したがって、実施形態に係る運転支援装置3によれば、ユーザは、提示された退避候補までの距離が遠いのか近いのかを容易に把握することができる。このように、後退走行開始前に予め退避空間の位置や距離をドライバーに通知して提案することで、どこまで戻らないといけないかがすぐには分からずドライバーが不安を抱くおそれを低減することができる。換言すれば、ドライバーに安心感を与え、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0113】
(第2の実施形態)
本実施形態では、再生走行処理の流れの別の一例について説明する。本実施形態では、第1の実施形態との相違点を主に説明する。
【0114】
本実施形態に係る運転支援装置3は、図4に破線で示す前方空間検出部312をさらに含む機能構成である。なお、本実施形態に係る運転支援装置3は、図4に破線で示す通信制御部313については含まない機能構成であるとする。
【0115】
前方空間検出部312は、取得部301により車載センサや外界センサから取得されたセンサ情報に基づいて、車両1の進行方向における道路幅と、対向車とを検出する。ここで、実施形態に係る前方空間検出部312は、検出部の一例である。
【0116】
図8は、実施形態に係る運転支援装置3により実行される再生走行処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。ここでは、図7の再生走行処理の流れとの相違点を主に説明し、重複する説明については適宜省略する。
【0117】
運転支援装置3は、ソナー15及び全周囲カメラ16の少なくともいずれかの出力に基づいて、車両1の進行方向における、車両1が走行可能な道路幅と、車両1とは進行方向が対向する他の車両(対向車両)とを監視する(S301)。
【0118】
車両1の進行方向における道路幅、対向する他の車両の検出は、車載センサとして、ソナー15及び全周囲カメラ16とは別に前方監視用途のカメラ、あるいは、LiDARなどを用いてもよい。
【0119】
また、運転支援装置3は、すれ違い不可を認識したかを判定する(S302)。具体的には、運転支援装置3は、走行可能な道路幅と対向車両の有無に基づいて、車両1と対向車両とが互いに前進してすれ違うことが不可であるかを判定する。例えば、運転支援装置3は、予め記憶部306に記憶された車両1の車幅や長さ、ホイールベースなどの車両1の情報と、検出した走行可能な道路幅とに基づいて、車両1が前進して対向車両とすれ違いが不可であるかを判定する。
【0120】
すれ違い不可を認識したと判定されなかったとき(S302:No)、図8の流れはS301に戻る。一方で、すれ違い不可を認識したと判定されたとき(S302:Yes)、運転支援装置3は、第1の実施形態において後退運転支援が要求されたと判定されたときと同様にして、S202~S206の処理を行う。なお、後退運転支援を開始すると判定されなかったとき(S203:No)、図8の流れは、S301へ戻る。
【0121】
なお、S301~S302の処理は、例えば取得部301と、前方空間検出部312により実行される。
【0122】
このように、本実施形態に係る運転支援装置3は、対向車両とのすれ違い不可が認識された場合に、退避候補までの戻る距離や退避候補の位置をユーザに通知し、提案することができる。したがって、ユーザの利便性をさらに向上することができる。
【0123】
(第3の実施形態)
本実施形態では、再生走行処理の流れの別の一例について説明する。本実施形態では、第1の実施形態との相違点を主に説明する。
【0124】
図9は、実施形態に係る運転支援装置3により実行される再生走行処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。ここでは、図7の再生走行処理の流れとの相違点を主に説明し、重複する説明については適宜省略する。
【0125】
退避候補の付近まで後退したと判定されたとき(S205:Yes)、運転支援装置3は、退避候補の付近まで後退する走行軌跡から退避候補までの経路で車両1を移動させる退避運転支援を実行するかを判定する(S401)。本判定では、例えば操作ボタン141の押下など、退避運転支援の実行を指示するユーザ操作が受付部302により受け付けられた場合に、退避運転支援を実行すると判定される。
【0126】
退避運転支援を実行すると判定されたとき(S401:Yes)、運転支援装置3は、走行軌跡から外れる経路で退避候補の付近から退避候補まで車両1を移動させる経路を算出し、算出した経路に沿って車両1を移動させる退避運転支援走行を制御する(S402)。
【0127】
退避運転支援を実行すると判定されなかったとき(S401:No)、あるいは車両1が退避運転支援により退避候補に移動されたとき、図9の流れは終了する。
【0128】
なお、S401の判定は必須ではない。退避候補の付近まで後退したと判定されたことに応じて退避運転支援を実行する流れであってもよい。
【0129】
なお、S401~S402の流れは、退避場所の報知(S206)に代えて実行される場合に限らず、退避場所の報知(S206)に加えて実行されてもよい。
【0130】
このように、本実施形態に係る運転支援装置3は、退避候補付近まで自動後退支援機能により車両1を後退したとき、退避運転機能により選択された退避候補の場所まで走行軌跡を離れて自動走行可能に構成されている。この構成によれば、記憶走行により保持された走行軌跡に沿った後退だけでなく、車両1の退避場所への退避も支援することができる。したがって、ユーザの利便性をさらに向上することができる。
【0131】
なお、本実施形態に係る技術は、上述の各実施形態に係る運転支援装置3に適宜適用することができる。
【0132】
(第4の実施形態)
本実施形態では、再生走行処理の流れの別の一例について説明する。本実施形態では、第2の実施形態との相違点を主に説明する。
【0133】
本実施形態に係る車両1は、車両と他の車両との間で情報を伝送する無線信号を送受信可能な無線通信装置(図示しない)をさらに有する。無線通信装置は、アンテナを有し、アンテナを介して、車両1と、他の車両又は路側機との間で無線信号の送受信を実行可能に構成される。無線信号の送受信は、例えば、車車間・路車間通信(Vehicle-to-cellular-Network:V2X)により行われる。
【0134】
なお、通信方式は、例えばIEEE準拠のDSRC方式や3GPP(登録商標)のセルラーV2X方式であるが、これに限定されない。また、無線信号は、特定の車両を宛先として指定する情報でもよいし、不特定の車両又は路側機から周囲へブロードキャストする情報でもよい。なお、無線信号は、路側機を介して複数の車両の間において送受信されてもよい。
【0135】
本実施形態に係る運転支援装置3は、図4に破線で示す通信制御部313をさらに含む機能構成である。なお、本実施形態に係る技術を第1の実施形態に係る運転支援装置3又は第3の実施形態に係る運転支援装置3に適用する場合、図4に破線で示す前方空間検出部312については含まない機能構成であってもよい。
【0136】
通信制御部313は、無線通信装置により受信した、対向車両からV2X通信によってブロードキャストされた当該対向車両に関する情報を伝送する無線信号を取得する。また、通信制御部313は、車両1に関する情報を伝送する無線信号を無線通信装置により周囲にブロードキャスト(送信)する。ここで、実施形態に係る通信制御部313は、通信部の一例である。
【0137】
図10は、実施形態に係る運転支援装置3により実行される再生走行処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。ここでは、図8の再生走行処理の流れとの相違点を主に説明し、重複する説明については適宜省略する。
【0138】
すれ違い不可を認識したと判定されたとき(S302:Yes)、運転支援装置3は、対向車両との間で車車間通信を行い、当該車車間通信により受信した対向車両に関する情報に基づいて、退避候補までの後退走行の困難度を対向車両と比較する(S601)。
【0139】
ここで、困難度とは、退避候補までの走行経路についての距離、勾配、走行可能な道路幅及びカーブ路の有無と、当該走行経路を走行する車両の大きさとのうちの少なくとも一つに基づいて算出される指標値である。
【0140】
一例として、退避候補までの走行経路についての距離が長いほど、困難度は高く算出される。
【0141】
一例として、退避候補までの走行経路についての勾配が大きいほど、困難度は高く算出される。
【0142】
一例として、退避候補までの走行経路についての勾配の数が多いほど、困難度は高く算出される。
【0143】
一例として、退避候補までの走行経路についての走行可能な道路幅が狭いほど、困難度は高く算出される。
【0144】
一例として、退避候補までの走行経路にカーブ路がある場合、カーブ路がない場合より困難度は高く算出される。
【0145】
一例として、退避候補までの走行経路についてのカーブ路の数が多いほど、困難度は高く算出される。
【0146】
一例として、退避候補までの走行経路についてのカーブ路の曲率が大きいほど、困難度は高く算出される。
【0147】
一例として、車両が大きいほど、困難度は高く算出される。
【0148】
なお、対向車両との間で送受信される情報は、困難度の算出に用いる上記のパラメータであってもよいし、算出された困難度の値であってもよい。また、車両1及び対向車両のいずれか一方の車両が情報を送出し、他方の車両が両車両の困難度を算出してもよい。
【0149】
なお、困難度の算出において、上記の各パラメータの間で異なる重み付けが設定されてもよい。例えば、退避候補までの距離について、他のパラメータより大きい重み付けをする態様があり得る。
【0150】
運転支援装置3は、自車両が後退するかを判定する(S602)。本判定では、例えば、車両1及び対向車両とのうちの困難度が低い車両が後退すると判定される。自車両が後退すると判定されなかったとき(S602:No)、運転支援装置3は、対向車両の退避を報知する(S603)。例えば、出力制御部310は、対向車両が退避すること、あるいは対向車両が退避するため後退不要であることを通知するメッセージを含む支援情報をHMI21によりユーザに提示する。この支援情報は、困難度の比較結果に基づいて車両1と対向車両とのいずれが後退するかを提案する支援情報の一例である。その後、図10の流れは終了する。
【0151】
一方で、自車両が後退すると判定されたとき(S602:Yes)、運転支援装置3は、退避候補までの距離及び退避候補の位置に加えて、自車両が後退することを通知するメッセージをさらに示す支援情報をユーザに提示する(S202)。この支援情報は、困難度の比較結果に基づいて車両1と対向車両とのいずれが後退するかを提案する支援情報の一例である。その後、運転支援装置3は、第2の実施形態において後退運転支援が要求されたと判定されたときと同様にして、S203~S206の処理を行う。
【0152】
なお、自車両と対向車両とのそれぞれについて困難度が算出され、算出された困難度が比較される場合を例示したが、これに限らない。例えば、困難度及び退避候補までの距離の少なくともいずれかが予め定められて記憶部306に記憶されたしきい値を超える場合に、対向車両の後退を要求する後退要求を示す無線信号を対向車両へ送出する態様もあり得る。この場合、対向車両から後退を要求する後退要求を示す無線信号を受信した場合には、自車両が後退すると判定され得る(S602:Yes)。
【0153】
このように、本実施形態に係る運転支援装置3は、互いに運転支援装置3を搭載する自車両と対向車両とのすれ違いが不可である場合には、困難度を比較することにより、いずれの車両が後退するかを判定する。この構成によれば、退避が容易な車両を後退させることができるため、ユーザの利便性をさらに向上することができる。
【0154】
なお、本実施形態に係る技術は、上述の各実施形態に係る運転支援装置3に適宜適用することができる。
【0155】
なお、上述の各実施形態において「Aであるかを判定する」とは、「Aであることを判定する」ことであってもよいし、「Aではないことを判定する」ことであってもよいし、「Aであるか否かを判定する」ことであっても構わない。
【0156】
上述の各実施形態の運転支援装置3で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、FD、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0157】
また、上述の各実施形態の運転支援装置3で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、運転支援装置3で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0158】
また、上述の各実施形態の運転支援装置3で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0159】
また、上述の各実施形態の運転支援装置3で実行されるプログラムは、上述した各機能部(取得部301、受付部302、地図情報生成部303、走行経路検出部304、退避空間検出部305、記憶部306、自己位置推定部307、経路追従演算部308、退避走行演算部309、出力制御部310、車両制御部311、前方空間検出部312及び通信制御部313)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU31がROM32又はHDD34からプログラムを読み出して実行することにより上記各機能部がRAM33上にロードされ、上記各機能部がRAM33上に生成されるようになっている。
【0160】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、退避場所まで後退する後退走行の開始に先立って退避場所に関する情報を得ることができる。
【0161】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0162】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(1)
車両の前進走行時の走行経路に関する情報を検出する検出部と、
前記走行経路に関する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部により記憶された前記走行経路に関する情報に基づき、前記走行経路に沿って前記車両を後退させる後退支援走行を制御する車両制御部と、を備え、
前記検出部は、前記車両の前進走行時に、周辺環境において前記車両の退避が可能な場所である退避候補をさらに検出し、
前記記憶部は、前記退避候補を前記走行経路に関する情報に関連付けて記憶する、
運転支援装置。
(2)
前記検出部が検出する前記走行経路に関する情報は、前記車両の前進走行時の前記周辺環境の空間情報を含む、
上記(1)に記載の運転支援装置。
(3)
ユーザの操作を受け付ける受付部と、
後退支援機能の呼び出しを指示するユーザ操作が前記受付部により受け付けられたとき、前記退避候補の位置、前記退避候補までの距離、前記退避候補の広さ及び前記退避候補の画像情報のうちの少なくともいずれかを示す支援情報を前記ユーザに提示する表示制御部と、をさらに備える、
上記(1)又は上記(2)に記載の運転支援装置。
(4)
表示制御部をさらに備え、
前記検出部は、前記車両の進行方向における、前記車両が走行可能な道路幅と、前記車両とは進行方向が対向する他の車両とをさらに検出し、
前記表示制御部は、
前記道路幅と前記他の車両の有無とに基づいて、前記車両と前記他の車両とが互いに前進してすれ違うことが不可であるかを判定し、
すれ違い不可と判定された場合に前記退避候補の位置、前記退避候補までの距離、前記退避候補の広さ及び前記退避候補の画像情報のうちの少なくともいずれかを示す支援情報をユーザに提示する、
上記(1)から上記(3)のうちのいずれかに記載の運転支援装置。
(5)
前記車両と他の車両との間で情報を送受信可能な通信部と、
前記通信部により前記他の車両から受信した情報に基づいて、前記車両と前記他の車両とのそれぞれについての前記退避候補までの後退走行の困難度を比較し、
前記困難度の比較結果に基づいて前記車両と前記他の車両とのいずれが後退するかを提案する支援情報をユーザに提示する
表示制御部と、をさらに備える、
上記(1)から上記(4)のうちのいずれかに記載の運転支援装置。
(6)
前記表示制御部は、前記退避候補までの前記走行経路についての距離、勾配、走行可能な道路幅及びカーブ路の有無と、当該走行経路を走行する車両の大きさとのうちの少なくとも一つに基づいて、前記困難度を算出する、
上記(5)に記載の運転支援装置。
(7)
前記表示制御部は、前記退避候補までの前記走行経路についての距離が予め定められたしきい値以上である場合、前記他の車両が後退することを要求する後退要求を前記通信部により前記他の車両へ送信する、
上記(5)又は上記(6)に記載の運転支援装置。
(8)
前記後退支援走行により前記車両が前記退避候補の付近まで後退したとき、前記退避候補の位置を示す支援情報をユーザに提示する表示制御部をさらに備える、
上記(1)から上記(7)のうちのいずれかに記載の運転支援装置。
(9)
前記車両制御部は、前記後退支援走行により前記退避候補の付近まで前記車両が後退したとき、前記走行経路から前記退避候補までの経路で前記車両を移動させる、
上記(1)から上記(8)のうちのいずれかに記載の運転支援装置。
(10)
前記支援情報は、前記退避候補の画像情報を含む、
上記(2)から上記(9)のうちのいずれかに記載の運転支援装置。
(11)
上記(1)から上記(10)のうちのいずれかに記載の運転支援装置と、
前記運転支援装置からの支援情報をユーザに提示する表示装置及びスピーカの少なくともいずれかと
を備える車両。
(12)
上記(1)から上記(10)のうちのいずれかに記載の運転支援装置と、
前記運転支援装置からの支援情報に基づいて操舵角、駆動及びブレーキのうちの少なくともいずれかを制御する制御装置と
を備える車両。
(13)
上記(1)から上記(10)のうちのいずれかに記載の運転支援装置と、
ソナー、全周囲カメラ、操舵角センサ、車輪速センサ、方位センサ及びGNSSセンサのうちの少なくともソナー又は全周囲カメラと
を備える車両。
(14)
車両の前進走行時の走行経路に関する情報を検出することと、
前記走行経路に関する情報を記憶することと、
記憶された前記走行経路に関する情報に基づき、前記走行経路に沿って前記車両を後退させる後退支援走行を制御することと、
前記車両の前進走行時に、周辺環境において前記車両の退避が可能な場所である退避候補をさらに検出することと、
前記退避候補を前記走行経路に関する情報に関連付けて記憶することと
を含む運転支援方法。
(15)
前記走行経路に関する情報は、前記車両の前進走行時の前記周辺環境の空間情報を含む、
上記(14)に記載の運転支援方法。
(16)
ユーザの操作を受け付けることと、
後退支援機能の呼び出しを指示するユーザ操作が受け付けられたとき、前記退避候補の位置、前記退避候補までの距離、前記退避候補の広さ及び前記退避候補の画像情報のうちの少なくともいずれかを示す支援情報を前記ユーザに提示することと、をさらに含む、
上記(14)又は上記(15)に記載の運転支援方法。
(17)
前記車両の進行方向における、前記車両が走行可能な道路幅と、前記車両とは進行方向が対向する他の車両とをさらに検出することと、
前記道路幅と前記他の車両の有無とに基づいて、前記車両と前記他の車両とが互いに前進してすれ違うことが不可であるかを判定することと、
すれ違い不可と判定された場合に前記退避候補の位置、前記退避候補までの距離、前記退避候補の広さ及び前記退避候補の画像情報のうちの少なくともいずれかを示す支援情報をユーザに提示することと、をさらに含む、
上記(14)から上記(16)のうちのいずれかに記載の運転支援方法。
(18)
前記車両と他の車両との間で情報を送受信することと、
前記他の車両から受信した情報に基づいて、前記車両と前記他の車両とのそれぞれについての前記退避候補までの後退走行の困難度を比較することと、
前記困難度の比較結果に基づいて前記車両と前記他の車両とのいずれが後退するかを提案する支援情報をユーザに提示することと、をさらに含む、
上記(14)から上記(17)のうちのいずれかに記載の運転支援方法。
(19)
前記退避候補までの前記走行経路についての距離、勾配、走行可能な道路幅及びカーブ路の有無と、当該走行経路を走行する車両の大きさとのうちの少なくとも一つに基づいて、前記困難度を算出すること、をさらに含む、
上記(18)に記載の運転支援方法。
(20)
前記退避候補までの前記走行経路についての距離が予め定められたしきい値以上である場合、前記他の車両が後退することを要求する後退要求を前記他の車両へ送信すること、をさらに含む、
上記(18)又は上記(19)に記載の運転支援方法。
(21)
前記後退支援走行により前記車両が前記退避候補の付近まで後退したとき、前記退避候補の位置を示す支援情報をユーザに提示すること、をさらに含む、
上記(14)から上記(20)のうちのいずれかに記載の運転支援方法。
(22)
前記後退支援走行により前記退避候補の付近まで前記車両が後退したとき、前記走行経路から前記退避候補までの経路で前記車両を移動させること、をさらに含む、
上記(14)から上記(21)のうちのいずれかに記載の運転支援方法。
(23)
前記支援情報は、前記退避候補の画像情報を含む、
上記(15)から上記(22)のうちのいずれかに記載の運転支援方法。
(24)
上記(14)から上記(23)のうちのいずれかに記載の運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(25)
コンピュータにより実行されるプログラムであって、上記(24)に記載のプログラムが記録された記録媒体(Computer Program Product)。
【符号の説明】
【0163】
1 車両
12 車体
13 車輪
14 バンパー
15 ソナー
16 全周囲カメラ
17 操舵角センサ
18 車輪速センサ
21 HMI(表示部,操作部)
22 操舵制御装置
23 駆動・ブレーキ制御装置
3 運転支援装置
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 HDD
35 I/F
39 バス
120 表示装置(表示部,操作部)
130 座席
140 ステアリングホイール(操作部)
141,142 操作ボタン(操作部)
180 フロントガラス
190 ダッシュボード
301 取得部
302 受付部
303 地図情報生成部(検出部)
304 走行経路検出部(検出部)
305 退避空間検出部(検出部)
306 記憶部
307 自己位置推定部(車両制御部)
308 経路追従演算部(車両制御部)
309 退避走行演算部(車両制御部)
310 出力制御部(表示制御部)
311 車両制御部
312 前方空間検出部(検出部)
313 通信制御部(通信部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10