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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095182
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】クッション体
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/14 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A47C27/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212283
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西川 康行
(72)【発明者】
【氏名】野々村 琢人
(72)【発明者】
【氏名】和田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】池田 奨
(72)【発明者】
【氏名】三宅 皓大
(72)【発明者】
【氏名】青木 真理
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB02
(57)【要約】
【課題】身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができるクッション体を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るクッション体は、平面視において、第1方向D1に沿って互いに隣接する一対の第1大スリット30、及び、第2方向D2に沿って互いに隣接する一対の第2大スリット50に囲まれた複数の大領域G1と、平面視において大領域G1の内部に形成されており、第1大スリット30、第1小スリット20、第2大スリット50、及び第2小スリット60に囲まれた複数の小領域G2と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に延在する上面と、前記上面とは反対側を向く下面とを有する柔軟性素材によって構成されたクッション体であって、
前記上面において前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って並ぶように格子状に配列された複数の凸部と、
前記凸部の根元から下方に延びると共に、前記第1方向に沿って並ぶ2つの前記凸部の間において前記第2方向に延びる複数の第1スリットと、
前記凸部の根元から下方に延びると共に、前記第2方向に沿って並ぶ2つの前記凸部の間において前記第1方向に延びる複数の第2スリットと、
を有し、
複数の前記第1スリットは、複数の第1小スリットと、前記凸部の根元から下方への深さが前記第1小スリットよりも深い複数の第1大スリットと、を含み、
複数の前記第2スリットは、複数の第2小スリットと、前記凸部の根元から下方への深さが前記第2小スリットよりも深い複数の第2大スリットと、を含み、
前記第1小スリット及び前記第1大スリットは、前記第1方向に沿って交互に配置されており、
前記第2小スリット及び前記第2大スリットは、前記第2方向に沿って交互に配置されており、
平面視において、前記第1方向に沿って互いに隣接する一対の前記第1大スリット、及び、前記第2方向に沿って互いに隣接する一対の前記第2大スリットに囲まれた複数の大領域と、
平面視において前記大領域の内部に形成されており、前記第1大スリット、前記第1小スリット、前記第2大スリット、及び前記第2小スリットに囲まれた複数の小領域と、
を有する、クッション体。
【請求項2】
前記凸部の前記第1方向への最大幅が1cm以上且つ4cm以下であり、
前記小領域の前記第1方向への最大幅が2cm以上且つ8cm以下であり、
前記大領域の前記第1方向への最大幅が3cm以上且つ15cm以下である、
請求項1に記載のクッション体。
【請求項3】
前記第1方向に沿って並ぶ2つの前記凸部の間における前記第1スリットが形成されていない部分であって、前記第2方向に延びる複数の第1凹部を有し、
前記第1大スリット、前記第1凹部、前記第1小スリット、前記第1凹部、及び前記第1大スリットが、この順で前記第1方向に沿って並んでいる、
請求項1又は2に記載のクッション体。
【請求項4】
前記第1方向に沿って並ぶ2つの前記凸部の間における前記第1スリットが形成されていない部分であって、前記第2方向に延びる複数の第1凹部を有し、
前記第1凹部は、前記第1凹部の下端において前記第1方向に拡張する拡張空間部を有する、
請求項1又は2に記載のクッション体。
【請求項5】
第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に延在する上面と、前記上面とは反対側を向く下面とを有する柔軟性素材によって構成されたクッション体であって、
前記上面において前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って並ぶように格子状に配列された複数の凸部と、
前記凸部の根元から下方に延びる複数の第3スリットと、
前記下面から上方に延びる複数の第4スリットと、
を有し、
前記上面は、複数の前記第3スリットに囲まれた第1包囲領域を有し、
前記下面は、複数の前記第4スリットに囲まれた第2包囲領域を有し、
前記第1包囲領域の面積と、前記第2包囲領域の面積とが互いに異なっている、
クッション体。
【請求項6】
前記第2包囲領域の面積が前記第1包囲領域の面積よりも広い、
請求項5に記載のクッション体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の身体が載せられるクッション体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、使用者の身体が載せられるマットレスが記載されている。マットレスは、第1のウレタンフォーム、第2のウレタンフォーム及び第3のウレタンフォームを含む3層構造を有する。第2のウレタンフォームは、第1のウレタンフォーム及び第3のウレタンフォームの間に挟まれている。第2のウレタンフォームは、第1のウレタンフォーム及び第3のウレタンフォームよりも硬い素材によって構成されている。
【0003】
第3のウレタンフォームは第2のウレタンフォームの上側に位置し、第1のウレタンフォームは第2のウレタンフォームの下側に位置する。第3のウレタンフォームには、放物線状を呈する複数の凸部が形成されており、2つの凸部の間には下方に延びる複数のスリットと、複数の凹部とが形成されている。各スリットは、第3のウレタンフォームから第1のウレタンフォームにまで達している。各凹部は、第2のウレタンフォームの上部にまで達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7018378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用者の身体が載せられるクッション体においては、更なる体圧分散性の向上が求められている。人の身体には、突出した部分、大きく硬い部分、及び凹んだ部分があり、更に、突出した部分でも、急峻に突出した部分と、緩やかに突出した部分とがある。このように、身体にはあらゆる形状の部分があるため、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることが求められる。
【0006】
本開示は、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができるクッション体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係るクッション体は、(1)第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延在する上面と、上面とは反対側を向く下面とを有する柔軟性素材によって構成されたクッション体である。クッション体は、上面において第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って並ぶように格子状に配列された複数の凸部と、凸部の根元から下方に延びると共に、第1方向に沿って並ぶ2つの凸部の間において第2方向に延びる複数の第1スリットと、凸部の根元から下方に延びると共に、第2方向に沿って並ぶ2つの凸部の間において第1方向に延びる複数の第2スリットと、を有する。複数の第1スリットは、複数の第1小スリットと、凸部の根元から下方への深さが第1小スリットよりも深い複数の第1大スリットと、を含む。複数の第2スリットは、複数の第2小スリットと、凸部の根元から下方への深さが第2小スリットよりも深い複数の第2大スリットと、を含む。第1小スリット及び第1大スリットは、第1方向に沿って交互に配置されており、第2小スリット及び第2大スリットは、第2方向に沿って交互に配置されている。クッション体は、平面視において、第1方向に沿って互いに隣接する一対の第1大スリット、及び、第2方向に沿って互いに隣接する一対の第2大スリットに囲まれた複数の大領域と、平面視において大領域の内部に形成されており、第1大スリット、第1小スリット、第2大スリット、及び第2小スリットに囲まれた複数の小領域と、を有する。
【0008】
このクッション体は、柔軟性素材によって構成されており、且つ、複数の凸部、複数の第1スリット、及び複数の第2スリットを上面に有する。第1スリットは第2方向に沿って延在しており、第2スリットは第1方向に沿って延在している。複数の第1スリットは、複数の第1小スリットと、第1小スリットよりも深い複数の第1大スリットとを含み、複数の第2スリットは、複数の第2小スリットと、第2小スリットよりも深い複数の第2小スリットとを含む。第1小スリット及び第1大スリットは第1方向に沿って交互に配置されており、第2小スリット及び第2大スリットは第2方向に沿って交互に配置されている。クッション体は、小領域と、平面視における面積が小領域よりも大きい大領域とを有する。大領域は、互いに隣接する一対の第1大スリット、及び互いに隣接する一対の第2大スリットによって囲まれた領域である。小領域は、大領域の内部に形成された領域であって、第1大スリット、第1小スリット、第2大スリット及び第2小スリットによって囲まれている。従って、凸部によって身体の急峻に突出した部分の体圧を分散し、小領域で身体の緩やかに突出した部分の体圧を分散し、大領域で身体の大きく硬い部分の体圧を分散することができる。よって、このクッション体では、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができる。
【0009】
(2)上記(1)において、凸部の第1方向への最大幅が1cm以上且つ4cm以下であってもよく、小領域の第1方向への最大幅が2cm以上且つ8cm以下であってもよく、大領域の第1方向への最大幅が3cm以上且つ15cm以下であってもよい。この場合、凸部における身体の急峻な部分の体圧分散、小領域における緩やかに突出した部分の体圧分散、及び大領域における大きく硬い部分の体圧分散、をより効果的に行うことができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、クッション体は、第1方向に沿って並ぶ2つの凸部の間における第1スリットが形成されていない部分であって、第2方向に延びる複数の第1凹部を有してもよい。第1大スリット、第1凹部、第1小スリット、第1凹部、及び第1大スリットが、この順で第1方向に沿って並んでいてもよい。この場合、凸部、第1大スリットと第1小スリットとの間の小領域、及び一対の第1大スリットの間の大領域、のそれぞれにおける体圧分散を一層効果的に行うことができる。
【0011】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、クッション体は、第1方向に沿って並ぶ2つの凸部の間における第1スリットが形成されていない部分であって、第2方向に延びる複数の第1凹部を有してもよく、第1凹部は、第1凹部の下端において第1方向に拡張する拡張空間部を有してもよい。この場合、一対の凸部の間に位置する第1凹部の下端に拡張空間部が形成されているので、凸部における体圧分散性を一層良好にすることができる。
【0012】
(5)本開示の別の側面に係るクッション体は、第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延在する上面と、上面とは反対側を向く下面とを有する柔軟性素材によって構成されたクッション体である。クッション体は、上面において第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って並ぶように格子状に配列された複数の凸部と、凸部の根元から下方に延びる複数の第3スリットと、下面から上方に延びる複数の第4スリットと、を有する。上面は、複数の第3スリットに囲まれた第1包囲領域を有する。下面は、複数の第4スリットに囲まれた第2包囲領域を有し、第1包囲領域の面積と、第2包囲領域の面積とが互いに異なっている。
【0013】
このクッション体は、柔軟性素材によって構成されており、複数の凸部、及び複数の第3スリットを上面に有し、複数の第4スリットを下面に有する。複数の第3スリットのそれぞれは凸部の根元から下方に延びており、複数の第4スリットのそれぞれは下面から上方に延びている。このクッション体は、複数の第3スリットによって囲まれた領域である第1包囲領域と、複数の第4スリットによって囲まれた領域である第2包囲領域とを有し、第1包囲領域の面積、及び第2包囲領域の面積は互いに異なっている。従って、上面に形成された凸部によって身体の急峻に突出した部分の体圧を分散し、第1包囲領域及び第2包囲領域のうち面積が小さい領域で身体の緩やかに突出した部分の体圧を分散できる。そして、第1包囲領域及び第2包囲領域のうち面積が大きい領域で身体の大きく硬い部分の体圧を分散できる。従って、このクッション体でも、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができる。
【0014】
(6)上記(5)において、第2包囲領域の面積が第1包囲領域の面積よりも広くてもよい。この場合、第1包囲領域で身体の突出した部分の体圧を分散できると共に、第2包囲領域で身体の大きく硬い部分の体圧を分散させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るクッション体を示す平面図である。
図2図1のクッション体を第1方向及び第3方向の双方に延びる平面で切断したときの断面図である。
図3図1のクッション体を第2方向及び第3方向の双方に延びる平面で切断したときの断面図である。
図4】(a)及び(b)は、身体の体圧分散の測定結果の例を示す図である。
図5図1のクッション体の一部を模式的に示す平面図である。
図6図1のクッション体における応力と圧縮率との関係を模式的に示すグラフである。
図7】第2実施形態に係るクッション体を示す平面図である。
図8図7のクッション体の底面図である。
図9図7のクッション体の断面図である。
図10図7のクッション体の一部を拡大した平面図である。
図11図8のクッション体の一部を拡大した底面図である。
図12】(a)は、第3実施形態に係るクッション体を示す平面図である。(b)は、図12(a)のクッション体の底面図である。
図13】第4実施形態に係るクッション体を示す平面図である。
図14】(a)は、第5実施形態に係るクッション体の凸部を示す平面図である。(b)は、(a)のクッション体を第1方向及び第3方向の双方に延びる平面で切断したときの断面図である。(c)は、(a)のクッション体を第2方向及び第3方向の双方に延びる平面で切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るクッション体の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るクッション体1を示す平面図である。クッション体1は、例えば、マットレス、布団又はクッション等の寝具として用いられる。本実施形態では、クッション体1がマットレスである例について説明する。クッション体1は、例えば、汚れ防止用のカバーに収容されて使用される。
【0019】
クッション体1は、柔軟性素材によって構成されている。柔軟性素材とは、身体の載置によって変形する柔らかさを備えた素材を示している。クッション体1は、例えば、発泡ウレタンによって構成されている。また、クッション体1は、バイオマスウレタン、軟質発泡性樹脂素材(低反発フォーム、ポリエチレンフォーム、無膜フォーム、若しくはラテックス(天然ゴム)、ポリエステル固綿素材、又は2次元加工機でカッティングできるもの)によって構成されていてもよい。
【0020】
クッション体1は、例えば、使用者の身体が載せられる上面2と、上面2とは反対側を向く下面7(図2参照)とを有する。上面2には複数の凸部3が形成されており、下面7は平坦状とされている。複数の凸部3は、第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに沿って並んでいる。すなわち、複数の凸部3は、クッション体1の上面2において格子状に配列されている。
【0021】
クッション体1は、平面視において第1方向D1に延びる短辺1bと、平面視において第1方向D1に交差する第2方向D2に延びる長辺1cとを有する。本実施形態において、第1方向D1は平面視におけるクッション体1の短手方向(幅方向)であり、第2方向D2は平面視におけるクッション体1の長手方向である。
【0022】
クッション体1は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する方向である第3方向D3に厚みを有する。上面2は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。下面7は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在すると共に、上面2から第3方向D3に離隔している。
【0023】
図2は、クッション体1を第1方向D1及び第3方向D3の双方に延びる平面で切断したときの断面図である。図3は、クッション体1を第2方向D2及び第3方向D3の双方に延びる平面で切断したときの断面図である。図2及び図3に示されるように、例えば、凸部3は、頂面が平坦状とされた放物線状を呈する。上面2は、上面2から窪むと共に第2方向D2に延在する複数の第1スリット8と、上面2から窪むと共に第1方向D1に延在する複数の第2スリット9とを有する。
【0024】
第1スリット8は、凸部3の根元から下方に延びると共に、第1方向D1に沿って並ぶ2つの凸部3の間において第2方向D2に延びる。第2スリット9は、凸部3の根元から下方に延びると共に、第2方向D2に沿って並ぶ2つの凸部3の間において第1方向D1に延びる。本実施形態において、スリットは、第3方向D3に沿って直線状に延びる部分を有する穴を示している。このように、スリットが第3方向D3に沿って直線状に延びる部分を有することにより、複数の凸部3をより柔軟に変形させることができる。
【0025】
例えば、下面7は、第2方向D2に沿って延びる複数のスリット40と、第1方向D1に沿って延びる複数のスリット70とを有する。複数のスリット40は第1方向D1に沿って並んでおり、複数のスリット70は第2方向D2に沿って並んでいる。各スリット40は第2方向D2に沿って直線状に延在しており、各スリット70は第1方向D1に沿って直線状に延在している。
【0026】
第2方向D2に沿ってクッション体1を見た場合において(第1方向D1及び第3方向D3に延在する面でクッション体1を切断したときの断面において)、2つの凸部3の間には第1スリット8又は第1凹部4が形成されている。第1凹部4は、例えば、第3方向D3に直線状に延びる部分を有しない。
【0027】
第1凹部4は、第1方向D1に沿って並ぶ2つの凸部3の間における第1スリット8が形成されていない部分に形成されている。各第1凹部4は第2方向D2に沿って延在している。第1凹部4は、第1凹部4の下端において第1方向D1に拡張する拡張空間部5を有する。
【0028】
拡張空間部5は、例えば、第1凹部4の下端において円形状又は楕円形状に拡張している。「拡張」とは広がっていることを示しており、「拡張空間部」はある箇所から広がった空間を示している。本実施形態では、拡張空間部は、凹部又はスリットの最も深い部分から、凹部又はスリットの深さ方向とは交差する方向に広がっている部位を示している。
【0029】
複数の第1スリット8は、複数の第1小スリット20と、凸部3の根元から下方への深さが第1小スリット20よりも深い第1大スリット30とを含む。「凸部の根元」は、凸部の下端部を示しており、例えば、凸部の側面視において当該凸部の幅が狭まるように第3方向から傾斜しはじめる部分を示している。第1小スリット20及び第1大スリット30は、第1方向D1に沿って交互に配置されている。例えば、第1大スリット30、第1凹部4、第1小スリット20、第1凹部4、及び第1大スリット30が、この順で第1方向D1に沿って並んでいる。
【0030】
第1小スリット20は、凸部3の根元から下面7に向かって延在する延在部21と、延在部21の下端から第1方向D1に拡張する拡張空間部22とを有する。延在部21は、第3方向D3に沿って直線状に延在している。延在部21は、第1方向D1に沿って並ぶと共に第3方向D3に延在する平坦面によって画成されている。例えば、拡張空間部22は、前述した拡張空間部5と同様、延在部21の下端において円形状又は楕円形状を呈する。
【0031】
第1大スリット30は、第1小スリット20の延在部21と同様の延在部31と、第1小スリット20の拡張空間部22と同様の拡張空間部32とを有する。第1大スリット30の延在部31の第3方向D3への長さは、第1小スリット20の延在部21の第3方向D3への長さよりも長い。例えば、拡張空間部32の大きさは、拡張空間部22の大きさ、及び拡張空間部5の大きさと同一である。しかしながら、拡張空間部32の大きさは、拡張空間部22の大きさ、又は拡張空間部5の大きさとは異なっていてもよい。また、拡張空間部22の大きさが拡張空間部5の大きさとは異なっていてもよい。ここで、「拡張空間部の大きさ」とは、側面視における拡張空間部の面積を示している。
【0032】
凸部3の頂面からの第1大スリット30の深さは、凸部3の頂面からの第1小スリット20の深さ、及び凸部3の頂面からの第1凹部4の深さよりも深い。そして、凸部3の頂面からの第1小スリット20の深さは、凸部3の頂面から第1凹部4の深さよりも深い。本実施形態において、「スリットの深さ」はスリットの下端に形成された拡張空間部の下端までの深さを示しており、「凹部の深さ」は凹部の下端に形成された拡張空間部の下端までの深さを示している。
【0033】
例えば、凸部3の頂面からの第1凹部4の深さはクッション体1の厚さ(第3方向D3への長さ)の10%以上且つ50%以下であり、凸部3の頂面からの第1小スリット20の深さはクッション体1の厚さの20%以上且つ70%以下である。例えば、凸部3の頂面からの第1大スリット30の深さは、クッション体1の厚さの30%以上且つ90%以下である。一例として、クッション体1の厚さが9cmである場合、凸部3の頂面からの第1凹部4の深さは1cm以上且つ4cm以下であり、凸部3の頂面からの第1小スリット20の深さは2cm以上且つ7cm以下であり、凸部3の頂面からの第1大スリット30の深さは4cm以上且つ8cm以下である。
【0034】
スリット40は、第1小スリット20の延在部21と同様の延在部41と、第1小スリット20の拡張空間部22と同様の拡張空間部42とを有する。スリット40は、第1小スリット20と第3方向に沿って対向している。下面7からスリット40の上端(拡張空間部42の上端)までの深さ(第3方向D3への長さ)は、例えば、凸部3の頂面からの第1凹部4の深さより深く、且つ、凸部3の頂面からの第1小スリット20の深さよりも浅い。しかしながら、下面7からスリット40の上端までの深さについては、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0035】
例えば、クッション体1は第3方向D3に沿って並ぶ複数の層を備える。当該複数の層では、例えば、硬度が互いに異なっている。一例として、クッション体1は、第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15を含む5層構造を有する。第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15は、この順で上面2から下面7に向かって並んでいる。第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15は、この順で第3方向D3に沿って並んでいる。第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15のそれぞれは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。
【0036】
例えば、第1層11は凸部3の頂面を構成する層である。凸部3は、例えば、第1層11及び第2層12によって構成されている。第1凹部4は、凸部3の頂面から第3層13の第3方向D3の途中部分まで達している。第1小スリット20は、凸部3の根元から第3層13の下端付近まで達している。第1大スリット30は、凸部3の根元から第4層14の第3方向D3の途中部分まで達している。また、スリット40は、下面7から第5層15の第3方向D3の途中部分まで達している。
【0037】
例えば、第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15のうち、第5層15が最も硬い。第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15のうち、例えば、第4層14の弾性(反発弾性)が最も高い。しかしながら、第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15の硬度及び弾性は上記の例に限られない。更に、クッション体1は、第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15のいずれかを有しないクッション体であってもよい。
【0038】
クッション体1は、例えば、二次元加工によって製造される。この場合、例えば、ソフトウェアに読み込ませた形状通りに刃物を稼働させることによって、種々の形状のクッション体1を製造できる。クッション体1の二次元加工は、例えば、第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15が貼り合わされた後に実行される。しかしながら、第1層11、第2層12、第3層13、第4層14及び第5層15の一部(例えば第5層15)が貼り合わされる前に二次元加工が実行されてもよく、貼り合わせと二次元加工の順序は適宜変更可能である。
【0039】
第1方向D1に沿ってクッション体1を見た場合において(第2方向D2及び第3方向D3に延在する面でクッション体1を切断したときの断面において)、2つの凸部3の間には第2スリット9又は第2凹部6が形成されている。第2凹部6は、例えば、第3方向D3に直線状に延びる部分を有しない。
【0040】
第2凹部6は、第2方向D2に沿って並ぶ2つの凸部3の間における第2スリット9が形成されていない部分に形成されている。各第2凹部6は第1方向D1に沿って延在している。第2凹部6は、拡張空間部5を有しない点で前述した第1凹部4とは異なっている。
【0041】
複数の第2スリット9は、複数の第2小スリット60と、凸部3の根元から下方への深さが第2小スリット60よりも深い複数の第2大スリット50とを含む。第2大スリット50及び第2小スリット60は、第2方向D2に沿って交互に配置されている。例えば、第2大スリット50、第2凹部6、第2小スリット60、第2凹部6、及び第2大スリット50が、この順で第2方向D2に沿って並んでいる。
【0042】
第2大スリット50は、第1小スリット20等と同様、延在部51と拡張空間部52とを有し、第2小スリット60は延在部61と拡張空間部62とを有する。延在部51及び延在部61のそれぞれは、第2方向D2に沿って並ぶと共に第3方向D3に延在する平坦面によって画成されている。
【0043】
第2大スリット50の延在部51の第3方向D3への長さは、第2小スリット60の延在部61の第3方向D3への長さよりも長い。凸部3の頂面からの第2大スリット50の深さは、凸部3の頂面からの第2小スリット60の深さ、及び凸部3の頂面からの第2凹部6の深さよりも深い。
【0044】
例えば、凸部3の頂面からの第2凹部6の深さは、凸部3の頂面からの第1凹部4の深さよりも浅い。例えば、凸部3の頂面からの第2凹部6の深さは、クッション体1の厚さの5%以上且つ40%以下であり、凸部3の頂面からの第2小スリット60の深さはクッション体1の厚さの25%以上且つ75%以下である。例えば、凸部3の頂面からの第2大スリット50の深さは、クッション体1の厚さの30%以上且つ80%以下である。一例として、凸部3の頂面からの第2小スリット60の深さは凸部3の頂面からの第1小スリット20の深さよりも深く、凸部3の頂面からの第2大スリット50の深さは凸部3の頂面からの第1大スリット30の深さよりも浅い。
【0045】
例えば、クッション体1の厚さが9cmである場合、凸部3の頂面からの第2凹部6の深さは0.5cm以上且つ3.5cm以下であり、凸部3の頂面からの第2小スリット60の深さは2.5cm以上且つ6.5cm以下であり、凸部3の頂面からの第2大スリット50の深さは3cm以上且つ7cm以下である。しかしながら、各スリットの深さの数値は、上記の例に限られず適宜変更可能である。例えば、スリット70の構成はスリット40の構成と同一であり、スリット70の延在方向がスリット40の延在方向とは異なっている。スリット70は第1方向D1に沿って延在している。
【0046】
例えば、第2凹部6は、凸部3の頂面から第3層13の上端まで達している。第2小スリット60は、凸部3の根元から第3層13の第3方向D3の途中部分まで達している。第2大スリット50は、凸部3の根元から第4層14の上側部分まで達している。スリット70は、下面7から第5層15の途中部分まで達している。
【0047】
ところで、クッション体に使用者の身体が載せられたときに、身体の各部からクッション体への圧力は身体の部位ごとに異なっている。図4(a)は仰向け時におけるクッション体への圧力分布の測定結果を示しており、図4(b)は横向き寝時におけるクッション体への圧力分布の測定結果を示している。各測定結果において、色彩が濃い箇所は高い圧力がかかっている箇所を示しており、色彩が薄い箇所は低い圧力がかかっている箇所を示している。
【0048】
図4(a)に示されるように、仰向け時においては、身体の肩甲骨の部分P1、肘の部分P2、仙骨の部分P3、及びかかとの部分P4からクッション体が高い圧力を受けていることが分かる。図4(b)に示されるように、横向き寝時においては、身体の肩の部分P5、大転子の部分P6、大腿部外側上顆の部分P7、及びくるぶしの部分P8からクッション体が高い圧力を受けていることが分かる。
【0049】
しかしながら、部分P1~P8の間では、圧力の強さ、及び平面視における圧力分布の広さが互いに異なっている。例えば、仙骨の部分P3は、他の部分と比較して高い圧力の部分が広くなっている。そして、くるぶしの部分P8は、他の部分と比較して高い圧力の部分が狭くなっている。
【0050】
上記の部分P1~P8等、圧力の強さ、及び平面視における圧力分布の広さが互いに異なる複数の部分からの圧力を適切に分散させるためには、互いに種類が異なる複数の凸部3のブロックを備えることが望ましい。図5は、複数の凸部3のブロックの例を示すクッション体1の平面図である。なお、図5では、一部の図示を簡略化している。
【0051】
クッション体1は、平面視において、第1方向D1に沿って互いに隣接する一対の第1大スリット30、及び第2方向D2に沿って互いに隣接する一対の第2大スリット50に囲まれた複数の大領域G1と、平面視において大領域G1の内部に形成された複数の小領域G2とを有する。小領域G2は、平面視において、第1大スリット30、第1小スリット20、第2大スリット50、及び第2小スリット60に囲まれた領域である。大領域G1は複数の凸部3からなる大ブロックであり、小領域G2は複数の凸部3からなる小ブロックである。大ブロックを構成する凸部3の数は、小ブロックを構成する凸部3の数よりも多い。
【0052】
例えば、平面視において、凸部3、小領域G2、及び大領域G1は正方形状を呈する。しかしながら、平面視における凸部3、小領域G2、及び大領域G1の形状は正方形状に限られず、長方形状であってもよい。例えば、凸部3の第1方向D1への最大幅は1cm以上且つ4cm以下である。小領域G2の第1方向D1への最大幅は2cm以上且つ8cm以下であり、大領域G1の第1方向D1への最大幅は3cm以上且つ15cm以下である。
【0053】
以上の凸部3、小領域G2及び大領域G1が設けられることにより、クッション体1では、身体の各部の体圧を適切に分散できる。例えば、くるぶしの部分P8等、他の部分と比較して高い圧力がかかっている部分の面積が小さい箇所、又は骨の凸部分では、凸部3によって適切に圧力分散できる。肩甲骨の部分P1等、高い圧力がかかっている部分の面積が比較的大きい箇所(例えば骨全体)では、小領域G2によって適切に圧力分散できる。そして、仙骨の部分P3又は筋肉等、高い圧力がかかっている部分の面積が更に大きい箇所では、大領域G1によって適切に圧力分散できる。このように、クッション体1では、身体の各部の圧力を凸部3、小領域G2及び大領域G1によって多段階的に且つ適切に分散させることができる。
【0054】
一例として、小領域G2は、第1方向D1に沿って並ぶ2個の凸部3の組が第2方向D2に2個並んで構成されている。大領域G1は、第1方向D1に沿って並ぶ4個の凸部3の組が第2方向D2に4個並んで構成されている。すなわち、小領域G2は2×2個の凸部3によって構成されており、大領域G1は4×4個の凸部3によって構成されている。しかしながら、小領域を構成する凸部3の数及び配置態様、並びに、大領域を構成する凸部3の数及び配置態様は、上記の例に限定されず適宜変更可能である。
【0055】
次に、本実施形態に係るクッション体1から得られる作用効果についてより詳細に説明する。図2図3及び図5に示されるように、クッション体1は、柔軟性素材によって構成されており、且つ、複数の凸部3、複数の第1スリット8、及び複数の第2スリット9を上面2に有する。第1スリット8は第2方向D2に沿って延在しており、第2スリット9は第1方向D1に沿って延在している。複数の第1スリット8は、複数の第1小スリット20と、第1小スリット20よりも深い複数の第1大スリット30とを含み、複数の第2スリット9は、複数の第2小スリット60と、第2小スリット60よりも深い複数の第2大スリット50とを含む。第1小スリット20及び第1大スリット30は第1方向D1に沿って交互に配置されており、第2小スリット60及び第2大スリット50は第2方向D2に沿って交互に配置されている。
【0056】
クッション体1は、小領域G2と、平面視における面積が小領域G2よりも大きい大領域G1とを有する。大領域G1は、互いに隣接する一対の第1大スリット30、及び互いに隣接する一対の第2大スリット50によって囲まれた領域である。小領域G2は、大領域G1の内部に形成された領域であって、第1大スリット30、第1小スリット20、第2大スリット50及び第2小スリット60によって囲まれている。従って、凸部3によって身体の急峻に突出した部分の体圧を分散し、小領域G2で身体の緩やかに突出した部分の体圧を分散し、大領域G1で身体の大きく硬い部分の体圧を分散することができる。よって、クッション体1では、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができる。
【0057】
本実施形態において、クッション体1では、多段階の凸部3のグループによって身体の種々の箇所の圧力を分散できる。図6は、クッション体1における応力と圧縮率との関係を模式的に示すグラフである。図6に示されるように、最も応力が低い部分は凸部3が潰れるときに相当する当該グラフの左端の谷の部分X1で圧力分散でき、2番目に応力が低い部分は小領域G2が潰れるときに相当する当該グラフの左から2番目の谷の部分X2で圧力分散できる。そして、3番目に応力が低い部分は大領域G1が潰れるときに相当する当該グラフの左から3番目の谷の部分X3で圧力分散でき、4番目に応力が低い部分は第5層15が潰れるときに相当する当該グラフの左から4番目の部分X4で圧力分散できる。このように、クッション体1では、種々の強さの圧力を適切に分散できる。
【0058】
更に、クッション体1では、凸部3において高い圧力がかかっている部分の面積が小さい箇所の圧力を分散でき、小領域G2において高い圧力がかかっている部分の面積が比較的大きい箇所の圧力を分散でき、大領域G1において高い圧力がかかっている部分の面積が更に大きい箇所の圧力を分散できる。
【0059】
本実施形態では、凸部3の第1方向D1への最大幅が1cm以上且つ4cm以下であり、小領域G2の第1方向D1への最大幅が2cm以上且つ8cm以下であり、大領域G1の第1方向D1への最大幅が3cm以上且つ15cm以下である。この場合、凸部3における身体の急峻な部分の体圧分散、小領域G2における緩やかに突出した部分の体圧分散、及び大領域G1における大きく硬い部分の体圧分散、をより効果的に行うことができる。
【0060】
本実施形態では、クッション体1は、第1方向D1に沿って並ぶ2つの凸部3の間における第1スリット8が形成されていない部分であって、第2方向D2に延びる複数の第1凹部4を有する。そして、第1大スリット30、第1凹部4、第1小スリット20、第1凹部4、及び第1大スリット30が、この順で第1方向D1に沿って並んでいる。この場合、凸部3、第1大スリット30と第1小スリット20との間の小領域G2、及び一対の第1大スリット30の間の大領域G1、のそれぞれにおける体圧分散を一層効果的に行うことができる。
【0061】
本実施形態において、第1凹部4は、第1凹部4の下端において第1方向D1に拡張する拡張空間部5を有する。この場合、一対の凸部3の間に位置する第1凹部4の下端に拡張空間部5が形成されているので、凸部3における体圧分散性を一層良好にすることができる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るクッション体101について図7及び図8を参照しながら説明する。図7はクッション体101の平面図を示しており、図8はクッション体101の底面図を示している。クッション体101の一部の構成は、前述したクッション体1の一部の構成と同一であるため、以下ではクッション体1の説明と重複する説明を適宜省略する。
【0063】
図7及び図8に示されるように、クッション体101は、使用者の身体が載せられる上面102と、上面102とは反対側を向く下面104とを有する。上面102には複数の凸部103が形成されており、下面104は平坦状とされている。クッション体101は、第1方向D1に延びる短辺101bと、第2方向D2に延びる長辺101cとを有する。
【0064】
クッション体101は、上面102から下方に延びる複数の第3スリット120と、下面104から上方に延びる複数の第4スリット130とを有する。例えば、上面102には、複数の第3スリット120を含む3つの組が第2方向D2に沿って並んでいる。下面104には、複数の第4スリット130を含む3つの組が第2方向D2に沿って並んでいる。例えば、第3スリット120の数は第4スリット130の数よりも多く、1つの第3スリット120の大きさ(占有する面積)は、1つの第4スリット130の大きさよりも小さい。
【0065】
図9は、クッション体101の縦断面図である。図7図9に示されるように、クッション体101は、凸部103の根元から下方に延びる複数の第3スリット120と、下面104から上方に延びる複数の第4スリット130とを有する。例えば、クッション体101は、第1層106及び第2層107を含む2層構造を有する。一例として、クッション体101は、凹凸が形成された一対のローラの間に挟み込まれたクッション体を切断する加工であるプロファイル加工によって製造される。一例として、第1層106及び第2層107は、別々にスリット加工される。すなわち、第1層106に第3スリット120が形成され、第2層107に第4スリット130が形成された後に、第1層106及び第2層107が互いに貼り合わされる。しかしながら、クッション体101の作製方法は上記の例に限定されない。
【0066】
第1層106及び第2層107は、この順で上面102から下面104に向かって並んでいる。例えば、第2層107の硬度は第1層106の硬度よりも高い。第1層106は複数の凸部103を含んでいる。例えば、第3スリット120は第1層106を第3方向D3に貫通しており、第4スリット130は第2層107を第3方向D3に貫通している。
【0067】
図10は、クッション体101の複数の凸部103を拡大した平面図である。図10に示されるように、複数の第3スリット120のそれぞれは、例えば、第1方向D1及び第2方向D2の双方に対して傾斜する方向に延在している。複数の第3スリット120は、平面視において左上から右下に延在する第3スリット120、及び平面視において右上から左下に延在する第3スリット120を含んでいる。
【0068】
第3スリット120は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に対して斜めに延在する延在部121と、延在部121の両端のそれぞれに位置する拡張部122とを有する。拡張部122は、例えば、延在部121の端部において円形状又は楕円形状に拡張している。延在部121は、例えば、曲線状を呈する。図10とは異なる例として、延在部121は、波形形状とされていてもよい。
【0069】
上面102は、複数の第3スリット120によって囲まれた第1包囲領域G11を有する。例えば、第1包囲領域G11は、平面視において左上から右下に延びる一対の第3スリット120、及び平面視において右上から左下に延びる一対の第3スリット120によって画成された領域である。第1包囲領域G11は、例えば、上面102において菱形状を呈する。
【0070】
図11は、クッション体101の下面104を拡大した底面図である。図11に示されるように、複数の第4スリット130のそれぞれは、第3スリット120と同様、第1方向D1及び第2方向D2の双方に対して傾斜する方向に延在している。複数の第4スリット130は、平面視において左上から右下に延在する第4スリット130、及び平面視において右上から左下に延在する第4スリット130を含んでいる。
【0071】
第4スリット130は、例えば、延在部121と同様の延在部131と、拡張部122と同様の拡張部132とを有する。延在部131の長さは、延在部121の長さよりも長い。下面104は、複数の第4スリット130によって囲まれた第2包囲領域G12を有する。
【0072】
第2包囲領域G12は、平面視において左上から右下に延びる一対の第4スリット130、及び平面視において右上から左下に延びる一対の第4スリット130によって画成された領域である。第2包囲領域G12は、例えば、下面104において菱形状を呈する。第2包囲領域G12の面積は、第1包囲領域G11の面積とは異なっている。図10及び図11の例では、第2包囲領域G12の面積は、第1包囲領域G11の面積よりも広い。しかしながら、第2包囲領域G12の面積は、第1包囲領域G11の面積より小さくてもよい。
【0073】
以上、第2実施形態に係るクッション体101は、柔軟性素材によって構成されており、複数の凸部103、及び複数の第3スリット120を上面102に有し、複数の第4スリット130を下面104に有する。複数の第3スリット120のそれぞれは凸部103の根元から下方に延びており、複数の第4スリット130のそれぞれは下面104から上方に延びている。クッション体101は、複数の第3スリット120によって囲まれた領域である第1包囲領域G11と、複数の第4スリット130によって囲まれた領域である第2包囲領域G12とを有し、第1包囲領域G11の面積、及び第2包囲領域G12の面積は互いに異なっている。
【0074】
従って、上面102に形成された凸部103によって身体の急峻に突出した部分の体圧を分散し、第1包囲領域G11及び第2包囲領域G12のうち面積が小さい領域で身体の緩やかに突出した部分の体圧を分散できる。そして、第1包囲領域G11及び第2包囲領域G12のうち面積が大きい領域で身体の大きく硬い部分の体圧を分散する。従って、クッション体101でも、第1実施形態のクッション体1と同様、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができる。
【0075】
第2実施形態において、第2包囲領域G12の面積が第1包囲領域G11の面積よりも広くてもよい。この場合、第1包囲領域G11で身体の突出した部分の体圧を分散できると共に、第2包囲領域G12で身体の大きく硬い部分の体圧を分散させることができる。
【0076】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係るクッション体200について図12(a)及び図12(b)を参照しながら説明する。図12(a)はクッション体200の上面201を示す平面図であり、図12(b)はクッション体200の下面204を示す底面図である。クッション体200は、枕のカバーの内部に収容される枕用芯材である。
【0077】
クッション体200は、前述したクッション体1等と同様、柔軟性素材によって構成されている。クッション体200は、クッション体1と同様、格子状に配列された複数の凸部203を有する。そして、クッション体200は、大領域G31と、小領域G32と、凸部領域G33とを有する。凸部領域G33は、1つの凸部203のみによって形成される領域である。
【0078】
大領域G31の外縁(図12(a)では二点鎖線で示した箇所)は、前述した一対の第1大スリット30、及び一対の第2大スリット50によって画成されている。すなわち、図12(a)において二点鎖線で示した箇所には、第1大スリット30又は第2大スリット50が延在している。
【0079】
また、図12(a)において一点鎖線で示した箇所には、第1小スリット20又は第2小スリット60が延在している。よって、小領域G32は、第1大スリット30、第1小スリット20、第2大スリット50、及び第2小スリット60によって囲まれた領域であるか、又は、一対の第1小スリット20、及び一対の第2小スリット60によって囲まれた領域である。
【0080】
クッション体200の下面204には、複数のスリット211が形成されている。複数のスリット211は、左上から右下に延びる複数のスリット211、及び右上から左下に延びる複数のスリット211を含んでいる。例えば、スリット211は波形形状を呈する。下面204は、例えば、複数の中領域G34を有する。中領域G34は、左上から右下に延びる一対のスリット211、及び右上から左下に延びる一対のスリット211によって囲まれた領域である。中領域G34は、例えば、菱形状を呈する。一例として、下面204には、4つの中領域G34が形成されている。
【0081】
以上、第3実施形態に係るクッション体200は、上面201に形成された大領域G31、小領域G32及び凸部領域G33と、下面204に形成された中領域G34とを有する。従って、前述したクッション体1等と同様、凸部領域G33によって身体の急峻に突出した部分の体圧を分散し、小領域G32で身体の緩やかに突出した部分の体圧を分散できる。そして、大領域G31で身体の大きく硬い部分の体圧を分散できる。従って、クッション体200では、クッション体1等と同様、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができる。更に、クッション体200は、下面204に中領域G34を有するため、更に高精度な体圧分散を実現可能である。
【0082】
第3実施形態に係るクッション体200では、大領域G31、小領域G32及び凸部領域G33が上面201に形成されており、中領域G34が下面204に形成されていた。しかしながら、第3実施形態に係るクッション体200は、中領域G34が上面201に形成された枕用芯材であってもよいし、大領域G31、小領域G32及び凸部領域G33が下面204に形成された枕用芯材であってもよい。更に、第3実施形態に係るクッション体200は、大領域G31、小領域G32及び凸部領域G33が上面201に形成されており且つ下面204は平坦な枕用芯材であってもよいし、中領域G34が上面201に形成されており且つ下面204は平坦な枕用芯材であってもよい。
【0083】
第3実施形態に係るクッション体200では、例えば、使用者の横向き寝のときには、小ブロックに相当する凸部領域G33で使用者のこめかみ及び頬骨を支え、中ブロックに相当する小領域G32又は中領域G34で使用者の耳を支え、更に、大ブロックに相当する大領域G31で使用者の頬全体を支えるようにしてもよい。また、使用者の仰向け寝のときには、大ブロックに相当する大領域G31で使用者の後頭部を支え、中ブロック又は小ブロックに相当する中領域G34、小領域G32又は凸部領域G33で使用者の首を支えてもよい。このように、第3実施形態に係るクッション体200では、使用者の頭部及び首の種々の部分を互いに異なる部分で支えることができるため、使用者に更に心地良い寝心地を提供できる。
【0084】
(第4実施形態)
第4実施形態に係るクッション体200Aについて図13を参照しながら説明する。図13は、クッション体200Aを示す平面図である。クッション体200Aは、複数の大スリット221によって画成される大領域G41と、複数の小スリット222によって画成される中領域G42と、前述の凸部領域G33と同様の小領域G43とを有する。例えば、小スリット222(中領域G42)と小領域G43がクッション体200Aの上面201を含む上層を構成し、大スリット221(大領域G41)が形成された下層が当該上層に貼り合わされてもよい。このクッション体200Aからは第3実施形態に係るクッション体200と同様の作用効果が得られる。
【0085】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係るクッション体について図14(a)、図14(b)及び図14(c)を参照しながら説明する。図14(a)は、第5実施形態に係るクッション体の平面図である。図14(b)は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在する平面に沿って当該クッション体を切断したときの断面図である。図14(c)は、第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在する平面に沿って当該クッション体を切断したときの断面図である。
【0086】
図14(a)、図14(b)及び図14(c)に示されるように、第5実施形態に係るクッション体は、上面において第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに沿って並ぶように格子状に配列された複数の凸部303を有する。例えば、側面視(第1方向D1又は第2方向D2に沿って見た場合)において、凸部303は台形状を呈する。凸部303の天面部は、例えば、矩形状を呈する。一例として、凸部303の天面部は正方形状を呈する。
【0087】
第5実施形態に係るクッション体は、凸部303が形成された上層311と、上層311の下方に位置する下層312とを有する。上層311の材料は、下層312の材料と同一であってもよいし、下層312の材料とは異なっていてもよい。第5実施形態に係るクッション体は、前述した第1小スリット20と同様の複数の第1小スリット320、前述した第1大スリット30と同様の複数の第1大スリット330、前述した第2大スリット50と同様の複数の第2大スリット350、及び、前述した第2小スリット60と同様の複数の第2小スリット360を有する。第1小スリット320及び第1大スリット330は第1方向D1に沿って交互に配置されており、第2大スリット350及び第2小スリット360は第2方向D2に沿って交互に配置されている。
【0088】
第1小スリット320は、第1方向D1に拡張する拡張部376を有する。これに対し、第1大スリット330は第3方向D3に沿って並ぶ第1拡張部377及び第2拡張部378を有し、第1拡張部377及び第2拡張部378のそれぞれが第1方向D1に拡張している。拡張部376、第1拡張部377及び第2拡張部378は、例えば、下層312に形成されている。第5実施形態に係るクッション体の第1方向D1の端部における第1拡張部377及び第2拡張部378と同一の高さの部分には、凹部が形成されている。
【0089】
第2小スリット360は、第2方向D2に拡張する拡張部386を有する。これに対し、第2大スリット350は第3方向D3に沿って並ぶ第3拡張部387及び第4拡張部388を有し、第3拡張部387及び第4拡張部388のそれぞれが第2方向D2に拡張している。拡張部386、第3拡張部387及び第4拡張部388は、例えば、下層312に形成されている。第5実施形態に係るクッション体の第2方向D2の端部における第3拡張部387及び第4拡張部388と同一の高さの部分には、凹部が形成されている。
【0090】
第5実施形態に係るクッション体では、第1方向D1の端部、及び第2方向D2の端部のそれぞれに第3方向D3に沿って並ぶ2つの凹部が形成されている。これにより、クッション性を一層高めることができる。なお、第1方向D1の端部において第3方向D3に沿って並ぶ2つの凹部、及び第2方向D2の端部において第3方向D3に沿って並ぶ2つの凹部は、第1実施形態~第4実施形態に係るクッション体に形成されていてもよい。更に、前述した第1拡張部377、第2拡張部378、第3拡張部387及び第4拡張部388が第1実施形態~第4実施形態に係るクッション体に形成されていてもよい。
【0091】
第5実施形態に係るクッション体は、凸部303の天面部によって構成された複数の極小領域R1を有する。第5実施形態に係るクッション体は、平面視において、第1方向D1に沿って互いに隣接する一対の第1大スリット330、及び第2方向D2に沿って互いに隣接する一対の第2大スリット350に囲まれた大領域R3を有する。そして、第5実施形態に係るクッション体は、平面視において大領域R3の内部に形成されており、第1大スリット330、第1小スリット320、第2大スリット350、及び第2小スリット360に囲まれた複数の小領域R2を有する。
【0092】
極小領域R1、小領域R2及び大領域R3のそれぞれは、例えば、長方形状(一例として正方形状)を呈する。しかしながら、極小領域R1、小領域R2及び大領域R3の形状は特に限定されない。極小領域R1の一辺の長さY1は小領域R2の一辺の長さY2より短く、大領域R3の一辺の長さY3は小領域R2の一辺の長さY2よりも長い。このように、第5実施形態に係るクッション体は、複数の大領域R3、及び複数の小領域R2を有するため、第1実施形態に係るクッション体1と同様の作用効果を奏する。
【0093】
以上、本開示に係るクッション体の種々の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。すなわち、クッション体の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。本開示に係るクッション体は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態及び第5実施形態から選択された実施形態の一部と、当該実施形態とは異なる実施形態の残部とが組み合わされたクッション体であってもよい。
【0094】
例えば、前述の実施形態では、延在部21の下端において円形状又は楕円形状を呈する拡張空間部22を有する第1小スリット20について説明した。しかしながら、拡張空間部の形状は、円形状又は楕円形状に限られず、例えば、多角形状であってもよい。すなわち、拡張空間部の形状は、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、又は八角形状であってもよい。この場合、クッション体を第1小スリット20の部分において一層潰れやすくすることができる。前述の実施形態では、延在部21及び拡張空間部22を有する第1小スリット20について説明した。しかしながら、第1小スリットの形状は、延在部21及び拡張空間部22を有する形状に限られず適宜変更可能である。第1大スリット30、スリット40、第2大スリット50、第2小スリット60及びスリット70についても同様である。
【0095】
前述の実施形態では、第1小スリット20、第1大スリット30、スリット40、第2大スリット50、第2小スリット60及びスリット70を有するクッション体1について説明した。しかしながら、これらのスリットの全てを備えていなくてもよく、例えば、スリット40及びスリット70の少なくともいずれかは省略可能である。
【符号の説明】
【0096】
1…クッション体、1b…短辺、1c…長辺、2…上面、3…凸部、4…第1凹部、5…拡張空間部、6…第2凹部、7…下面、8…第1スリット、9…第2スリット、11…第1層、12…第2層、13…第3層、14…第4層、15…第5層、20…第1小スリット、21…延在部、22…拡張空間部、30…第1大スリット、31…延在部、32…拡張空間部、40…スリット、41…延在部、42…拡張空間部、50…第2大スリット、51…延在部、52…拡張空間部、60…第2小スリット、61…延在部、62…拡張空間部、70…スリット、101…クッション体、101b…短辺、101c…長辺、102…上面、103…凸部、104…下面、106…第1層、107…第2層、120…第3スリット、121…延在部、122…拡張部、130…第4スリット、131…延在部、132…拡張部、200,200A…クッション体、201…上面、203…凸部、204…下面、211…スリット、221…大スリット、222…小スリット、303…凸部、311…上層、312…下層、320…第1小スリット、330…第1大スリット、350…第2大スリット、360…第2小スリット、376…拡張部、377…第1拡張部、378…第2拡張部、386…拡張部、387…第3拡張部、388…第4拡張部、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、G1…大領域、G2…小領域、G11…第1包囲領域、G12…第2包囲領域、G31…大領域、G32…小領域、G33…凸部領域、G34…中領域、G41…大領域、G42…中領域、G43…小領域、R1…極小領域、R2…小領域、R3…大領域、Y1,Y2,Y3…長さ。
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