(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095193
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】脱酸素剤、脱酸素剤の製造方法、及び包装食品
(51)【国際特許分類】
B01J 20/22 20060101AFI20240703BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240703BHJP
A23L 3/3436 20060101ALI20240703BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B01J20/22 A
B01J20/30
A23L3/3436
B01D53/14 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212296
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100226023
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】植木 達也
【テーマコード(参考)】
4B021
4D020
4G066
【Fターム(参考)】
4B021LA17
4B021MC04
4B021MC05
4B021MK02
4B021MK08
4B021MK14
4B021MK26
4B021MP07
4B021MQ04
4D020AA02
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4G066AA05D
4G066AA17D
4G066AA36D
4G066AA43D
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4G066AB06B
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4G066AE02D
4G066CA37
4G066DA03
4G066EA07
4G066FA02
4G066FA27
4G066FA28
4G066FA37
(57)【要約】
【課題】
包装容器がしぼむことによる外観の悪化を抑制可能な脱酸素剤を提供すること。
【解決手段】
主剤と、アルカリ剤と、反応触媒と、水と、活性炭とを含み、二酸化炭素発生可能量が酸素吸収可能量よりも大きい、脱酸素剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物である主剤と、アルカリ剤と、反応触媒と、水と、多孔質体とを含み、
二酸化炭素発生可能量が酸素吸収可能量よりも大きい、脱酸素剤。
【請求項2】
造粒物である、請求項1に記載の脱酸素剤。
【請求項3】
二酸化炭素発生可能量が酸素吸収可能量よりも0.1%以上大きい、請求項1又は2に記載の脱酸素剤。
【請求項4】
前記主剤がアスコルビン酸及びアスコルビン酸の立体異性体、並びにそれらの塩の少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の脱酸素剤。
【請求項5】
前記多孔質体が活性炭を含み、
前記活性炭が前記脱酸素剤に含まれる水分の5質量%以上を予め含む、請求項1又は2に記載の脱酸素剤。
【請求項6】
前記脱酸素剤の総量に基づいて、前記活性炭の含有量が15~25質量%である、請求項5に記載の脱酸素剤。
【請求項7】
更に炭酸水素塩を含む、請求項1又は2に記載の脱酸素剤。
【請求項8】
前記脱酸素剤の総量に基づいて、炭酸塩の含有量が20質量%以上であり、且つ水酸化カルシウムの含有量が1質量%以下である、請求項1又は2に記載の脱酸素剤。
【請求項9】
更に塩化カルシウムを含む、請求項1又は2に記載の脱酸素剤。
【請求項10】
前記脱酸素剤の総量に基づいて、前記主剤の含有量が30質量%以上である、請求項1又は2に記載の脱酸素剤。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の脱酸素剤の製造方法であって、
主剤と、アルカリ剤と、反応触媒と、水と、多孔質体とを含む原料を混合する工程を含み、乾燥工程を含まない、製造方法。
【請求項12】
食品と、請求項1又は2に記載の脱酸素剤と、包装袋とを備え、
前記食品、及び前記脱酸素剤は前記包装袋内に封入されており、
前記包装袋内における前記脱酸素剤の含有量が、当該脱酸素剤の酸素吸収可能量の50質量%未満であり、且つ前記包装袋内の空気量の0.4~0.8質量%である、包装食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は脱酸素剤、脱酸素剤の製造方法、及び包装食品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等の内容物を長期保存する方法の一つとして、包装容器内に内容物と共に脱酸素剤を封入する方法がある。この方法では、ガスバリア性の密封袋または密封容器内に食品および脱酸素剤を同封し、密封容器内の酸素を脱酸素剤に吸収させ、密封容器内の雰囲気を実質的に無酸素状態に保つことにより、酸化による品質劣化や、細菌や微生物の増殖等を抑える。現在、頻繁に用いられている脱酸素剤には、大きく2つの種類がある。鉄等を主剤とする無機系の脱酸素剤と、アスコルビン酸等の酸素吸収物質を主剤とする有機系の脱酸素剤がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本発明者らが鋭意検討したところによれば、包装袋等の包装容器内に収容する内容物の中には、例えば、二酸化炭素の吸収能が高いものなどがあり、包装体内に脱酸素剤と共に収容した際に、脱酸素剤による酸素吸収反応と合わせて包装袋内の空気量が大きく減少し、包装袋がしぼむものがあることが判明した。この場合、包装体の外観の悪化を招き得る。
【0005】
本開示は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、包装容器がしぼむことによる包装体の外観の悪化を抑制することができる脱酸素剤を提供することを目的とする。また、本開示によれば、そのような脱酸素剤の製造方法、及びそのような脱酸素剤を含む包装食品を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の実施形態を含む。
[1]
有機物である主剤と、アルカリ剤と、反応触媒と、水と、多孔質体とを含み、
二酸化炭素発生可能量が酸素吸収可能量よりも大きい、脱酸素剤。
[2]
造粒物である、[1]の脱酸素剤。
[3]
二酸化炭素発生可能量が酸素吸収可能量よりも0.1%以上大きい、[1]又は[2]の脱酸素剤。
[4]
前記主剤がアスコルビン酸及びアスコルビン酸の立体異性体、並びにそれらの塩の少なくとも一種を含む、[1]~[3]のいずれか一つの脱酸素剤。
[5]
前記多孔質体が活性炭を含み、
前記活性炭が前記脱酸素剤に含まれる水分の5%以上を含む、[1]~[4]のいずれか一つの脱酸素剤。
[6]
前記脱酸素剤の総量に基づいて、前記活性炭の含有量が15~25質量%である、[5]の脱酸素剤。
[7]
更に炭酸水素塩を含む、[1]~[6]のいずれか一つの脱酸素剤。
[8]
前記脱酸素剤の総量に基づいて、炭酸塩の含有量が20質量%以上であり、且つ水酸化カルシウムの含有量が1質量%以下である、[1]~[7]のいずれか一つの脱酸素剤。
[9]
更に塩化カルシウムを含む、[1]~[8]のいずれか一つの脱酸素剤。
[10]
前記脱酸素剤の総量に基づいて、前記主剤の含有量が30質量%以上である、[1]~[9]のいずれか一つの脱酸素剤。
[11]
[1]~[10]のいずれか一つの脱酸素剤の製造方法であって、
主剤と、アルカリ剤と、反応触媒と、水と、多孔質体とを含む原料を混合する工程を含み、乾燥工程を含まない、製造方法。
[12]
食品と、[1]~[10]のいずれか一つの脱酸素剤と、包装袋とを備え、
前記食品、及び前記脱酸素剤は前記包装袋内に封入されており、
前記包装袋内における前記脱酸素剤の含有量が、当該脱酸素剤の酸素吸収可能量の50質量%未満であり、且つ前記包装袋内の空気量の0.4~0.8質量%である、包装食品。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、包装容器がしぼむことによる包装体の外観の悪化を抑制可能な脱酸素剤を提供することができる。また、本開示によれば、そのような脱酸素剤の製造方法、及びそのような脱酸素剤を含む包装食品を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態の脱酸素剤は、主剤と、アルカリ剤と、反応触媒と、水と、多孔質体とを含み、二酸化炭素発生可能量が酸素吸収可能量よりも大きい。このような脱酸素剤によれば、酸素の吸収量を二酸化炭素の発生量が上回るため、例えば、内容物による二酸化炭素の吸収があるなど、包装容器内の気体量の減少を引き起こす要因があっても包装容器がしぼむことを抑制できる。そのため、包装容器がしぼむことによる包装食品等の包装体の外観の悪化を抑制できる。
また、本実施形態の脱酸素剤は、主剤と、アルカリ剤と、反応触媒と、水と、多孔質体とを含むものであってよく、主剤として酸素と反応して二酸化炭素を放出する化合物を含み、アルカリ剤として炭酸塩及び炭酸水素塩の少なくとも一方を含むものであってよい。このような脱酸素剤によれば、内容物による二酸化炭素の吸収があるなど、包装容器内の気体量の減少を引き起こす要因があっても包装容器がしぼむことによる包装食品等の包装体の外観の悪化を抑制できる。
【0009】
ここで、脱酸素剤の酸素吸収可能量及び二酸化炭素発生可能量は、その脱酸素剤が吸収及び発生できる酸素量及び二酸化炭素量であり、例えば、ml/gの単位で表すことができる。脱酸素剤の酸素吸収可能量及び二酸化炭素発生可能量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
(1)酸素バリア性を持つ袋の中に、計量した脱酸素剤と所定量の空気とを封入する。
(2)45℃環境化で3日間以上静置する。
(3)バリア袋内のO2濃度、CO2濃度を測定する。
(4)翌日再度O2濃度、CO2濃度を測定し、前日と変わらないことを確認する。
(5)(4)で測定したO2濃度、CO2濃度から以下の式を元に酸素吸収可能量及び二酸化炭素発生可能量を算出する。
O2吸収可能量[ml/g]=充填空気量[ml]×((20.9[%]-最終O2濃度[%])/100)/脱酸素剤充填量[g]
CO2発生可能量[ml/g]=充填空気量[ml]×(最終CO2濃度[%]/100)/脱酸素剤充填量[g]
【0010】
脱酸素剤について、(二酸化炭素発生可能量)-(酸素吸収可能量)の値は、1ml/g以上であってよく、2ml/g以上であってよく、3ml/g以上であってよい。(二酸化炭素発生可能量)-(酸素吸収可能量)の値は、25ml/g以下であってよく、20ml/g以下であってよい。
【0011】
脱酸素剤について、二酸化炭素発生可能量は、酸素吸収可能量よりも、0.1%以上大きくてよく、1%以上大きくてよく、3%以上大きくてよく、5%以上大きくてもよい。
【0012】
脱酸素剤の酸素吸収可能量は、40ml/g以上であってよく、60ml/g以上であってよく、80ml/g以上であってよい。脱酸素剤の酸素吸収可能量は、150ml/g以下であってよい。
【0013】
脱酸素剤の二酸化炭素発生可能量は、40ml/g以上であってよく、60ml/g以上であってよく、80ml/g以上であってよい。脱酸素剤の二酸化炭素発生可能量は、160ml/g以下であってよい。
【0014】
本実施形態の脱酸素剤に含まれる主剤は、有機物であり、酸素吸収物質である。主剤としては、酸素と反応して二酸化炭素を放出する化合物が挙げられ、具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸の立体異性体、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸の立体異性体の塩等が挙げられる。主剤として、1種又は2種以上の化合物を使用することができる。
【0015】
アスコルビン酸の立体異性体は、エリソルビン酸であってよい。アスコルビン酸及びアスコルビン酸の立体異性体は、L体であってよい。アスコルビン酸及びアスコルビン酸の立体異性体の塩は、アルカリ金属塩であってよく、ナトリウム塩であってよい。また、アスコルビン酸、アスコルビン酸の立体異性体、及びそれらの塩は、水和物であってもよい。
【0016】
脱酸素剤における主剤の含有量は、脱酸素剤の総量に対して15~40質量%であってよく、20~35質量%であってよい。脱酸素剤における主剤の含有量は、脱酸素剤の総量に対して20質量%以上であってよく、25質量%以上であってよく、30質量%以上であってよい。
【0017】
アルカリ剤としては、水に溶解させて水溶液とした際にアルカリ性を示す化合物であってよく、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩等が挙げられる。アルカリ剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩であってよい。具体的なアルカリ剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化ラジウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸水素リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸水素二カリウム等が挙げられる。脱酸素剤は、炭酸塩及び炭酸水素塩の少なくとも一方を含んでいてよい。アルカリ剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0018】
脱酸素剤におけるアルカリ剤の含有量は、脱酸素剤の総量に対して0.5~15質量%であってよく、1~10質量%であってよく、1.5~8質量%であってよい。
【0019】
アルカリ剤は、炭酸塩を含んでいてよく、アルカリ金属炭酸塩を含んでいてよく、炭酸ナトリウムを含んでいてよい。脱酸素剤における炭酸塩の含有量は、脱酸素剤の総量に対して25質量%以上であってよい。
【0020】
脱酸素剤は、炭酸水素塩を含んでいてもよい。炭酸水素塩は、アルカリ金属の炭酸水素の塩であってよく、炭酸水素ナトリウム(重曹)であってよい。炭酸水素塩は脱酸素剤中で二酸化炭素を放出する傾向がある。脱酸素剤における炭酸水素塩の含有量は、脱酸素剤の総量に対して10~30質量%であってよく、15~25質量%であってよい。
【0021】
脱酸素剤は、二酸化炭素放出能を有する化合物を含むと好ましい。そのような化合物としては、炭酸カルシウム等の炭酸塩が挙げられる。炭酸塩はアルカリ剤として含まれていてもよい。
【0022】
脱酸素剤におけるアルカリ土類金属の水酸化物の含有量は、他の成分の含有量にもよるが、脱酸素剤の総量に対して1質量%以下であってよく、0.5質量%以下であってよく、0.1質量%以下であってよい。アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウムが挙げられる。脱酸素剤は、アルカリ土類金属の水酸化物、特に水酸化カルシウムを含まなくてもよい。アルカリ土類金属の水酸化物は、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムを形成する傾向があるため、アルカリ土類金属の水酸化物の含有量が上記範囲であると、二酸化炭素発生量に対する悪影響を十分に抑制できる。
【0023】
反応触媒としては、遷移金属化合物が挙げられる。遷移金属化合物は、酸素吸収組成物の状態では、酸素吸収物質を含む液剤に溶解していてもよい。遷移金属化合物に含まれる遷移金属元素の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びマンガンが挙げられる。遷移金属化合物は、例えば、遷移金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、有機酸塩、酸化物、水酸化物、又はキレート化合物であってもよい。遷移金属化合物は、遷移金属元素を含む複塩であってもよい。遷移金属化合物としては、塩化銅(I)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、水酸化銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、塩化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、塩化ニッケル、硫酸鉄(II)等が挙げられる。遷移金属化合物は、鉄の化合物であってもよい。反応触媒は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0024】
脱酸素剤における反応触媒の含有量は、脱酸素剤の総量に対して0.5~15質量%であってよく、1~10質量%であってよく、1.5~8質量%であってよい。
【0025】
多孔質体としては、例えば、活性炭、ゼオライト粒子、ベントナイト粒子、活性アルミナ粒子、活性白土、ケイ酸カルシウム粒子、珪藻土等が挙げられる。多孔質体は、活性炭を含んでいてよい。
【0026】
脱酸素剤における多孔質体の含有量は、脱酸素剤の総量に対して10~30質量%であってよく、15~25質量%であってよい。
【0027】
多孔質体は、造粒時に粉末の原料が舞い上がらないよう、活性炭が水分を予め含んでいてよい。活性炭は、脱酸素剤に含まれる水分の5%以上を予め含んでいてよく、8~60%を予め含んでいてよく、10~50%を予め含んでいてよい。
【0028】
脱酸素剤における活性炭の含有量は、脱酸素剤の総量に対して10~30質量%であってよく、15~25質量%であってよい。
【0029】
脱酸素剤に含まれる水は脱酸素剤の各原料に含まれる水和水であってもよく、多孔質体に予め(混合前に)含まれる(含浸された)水であってよい。脱酸素剤における水の含有量は、脱酸素剤の総量に対して5~25質量%であってよく、10~20質量%であってよい。
【0030】
脱酸素剤は、造粒性の向上のため、塩化カルシウムを含んでいてもよい。脱酸素剤における塩化カルシウムの含有量は、脱酸素剤の総量に対して0.1~5質量%であってよく、0.5~3質量%であってよい。
【0031】
脱酸素剤は、造粒物が容易に形成できるように、バインダーを更に含有していてもよい。バインダーの具体例としては、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン及びセルロースが挙げられる。脱酸素剤におけるバインダーの含有量は、脱酸素剤の総量に対して0.1~5質量%であってよく、0.5~3質量%であってよい。
【0032】
本実施形態の脱酸素剤は、粉体であってもよいが、造粒物であってもよい。造粒方法としては、特に制限はないが、例えば、押出造粒、攪拌造粒、流動層造粒、転動造粒、圧縮造粒等が挙げられる。押出造粒は、例えば、所定の開孔を有するスクリーンを用いて行うことができる。
【0033】
造粒物の形状は、特に限定されないが、例えば球状又は円柱状であってもよい。
【0034】
本実施形態の脱酸素剤の製造方法は、特に制限はないが、主剤と、アルカリ剤と、反応触媒と、水と、多孔質体と、その他の任意成分を含む原料を混合する工程を含む方法であってよい。脱酸素剤が造粒物である場合、上記原料を混合する工程の後に得られた混合物を造粒する工程を備えていてもよい。また、原料の飛散を防ぐため、脱酸素剤の製造方法は、原料、混合物又は脱酸素剤を乾燥する工程(乾燥工程)を含まなくてよい。
【0035】
脱酸素剤は、脱酸素剤が脱酸素剤用の包材に封入された脱酸素剤包装体の形態で使用されてもよい。包材は、通気性の包装体であってよい。
【0036】
脱酸素剤は、包装袋等の包装容器に収容されるべき内容物と共に包装容器に収容された状態で使用されてよい。内容物としては食品、輸液、医薬品、嫌気性細胞培養キット等が挙げられる。輸液は、輸液バッグに収容された状態で包装袋に内包されていてよい。
【0037】
本実施形態の包装食品は、食品と、上記脱酸素剤と、包装袋とを備え、食品、及び有機系脱酸素剤は包装袋内に封入されており、包装袋内における有機系脱酸素剤の含有量が、当該有機系脱酸素剤の酸素吸収可能量の50質量%未満であり、且つ包装袋内の空気量の0.4~0.8質量%であってよい。このような空気量であると、脱酸素剤の酸素吸収量と二酸化炭素発生量とのバランスが良い傾向にある。包装袋は、ガスバリア性の包装袋であってよい。
【実施例0038】
(脱酸素剤の製造)
表1の組成で脱酸素剤の粉原料を密封状態で均一に混合した後、水を添加しながら再度混合したものを押出造粒機により造粒することで、顆粒状の造粒物を得た。なお、各実施例において原料である活性炭に含まれる水の含有量は、脱酸素剤に含まれる水分量全体に対して、実施例1:45.1質量%、実施例2:16.6質量%、実施例3:15.7質量%、実施例4:20.7質量%であった。
・主剤:エリソルビン酸Na・1H2O
・アルカリ剤:Na2CO3
・活性炭1:カルボラフィンW-30(含水量30質量%)
・活性炭2:太閤S-W50(含水量50質量%)
・Ca(OH)2
・バインダー:KCフロック( W400G )
・炭酸水素塩:NaHCO3
・CaCl2・2H2O
・反応触媒:FeSO4・7H2O
【0039】
【0040】
上述の(1)~(5)により、脱酸素剤の粉末、及び造粒物について酸素吸収可能量及び二酸化炭素発生可能量を測定した。比較例1として、凸版印刷株式会社製の脱酸素剤「鮮度保持剤Cタイプ」を使用した。比較例2として三菱ガス化学株式会社製の脱酸素剤「エージレスGEタイプ」(有機系炭酸ガス発生タイプ)を使用した。結果を表2に示す。
【0041】