(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000952
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】メルトブローン型不織布の作製用のプラント
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
D04H3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023000754
(22)【出願日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102022000013132
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】522435104
【氏名又は名称】フラテッリ チェカット ミラノ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリコ ジュゼッペ
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AB03
4L047BA08
4L047EA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】メルトブローン型不織布の作製用のプラントを提供する。
【解決手段】ポリマー液からポリマーフィラメントを分注するよう構成され、かつポリマーフィラメントを形成するのに好適な少なくとも1つのスピナレット(4)と、気体を受け取って、ディスペンサ(3)を出るポリマーフィラメントを誘導するのに好適なエアブレード(5)とを有する、ディストリビュータ(2)と流体通路接続しているディスペンサ(3)とを備える、メルトブローン型不織布の作製用のプラント(1)であって、前記スピナレット(4)は、隣接され、かつそれぞれが各々の送達方向(4a)に向かってポリマー液を運搬するよう構成された主要流出口(40a)を含む複数のピナクル(40)を有し、前記エアブレード(5)は、気体ジェットを運搬して、送達方向(4a)それぞれに向かって収束するよう適合されている、プラント(1)とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ケースに動作可能に接続するよう構成され、かつポリマー液を運搬するのに好適な前記ケースの主要導管との流体通路接続状態におくのに好適な少なくとも1つの主要アクセスと、気体を運搬するのに好適な前記ケースの各々の二次導管との流体通路接続状態にそれぞれおかれるのに好適な複数の二次アクセスとを有するディストリビュータと、
-前記ポリマー液からポリマーフィラメントを分注するよう構成され、かつ前記ポリマーフィラメントを形成するのに好適な少なくとも1つのスピナレットと、前記気体を受け取って、ディスペンサを出る前記ポリマーフィラメントを誘導するのに好適なエアブレードとを有する、前記ディストリビュータと流体通路接続しているディスペンサと
を備える、メルトブローン型不織布の作製用のプラントであって、
-互いに隣接され、かつそれぞれが各々の送達方向に沿って前記ポリマー液を誘導するよう構成された少なくとも1つの主要流出口を含む複数のピナクルを有するスピナレットと、
-前記ポリマーフィラメントを誘導するように前記気体のジェットを運搬して、前記送達方向のそれぞれに向かって収束するよう適合されている前記エアブレードと
を特徴とする、プラント。
【請求項2】
前記送達方向は、互いに平行である、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
前記複数のピナクルは、一体化されている、請求項1に記載のプラント。
【請求項4】
前記スピナレットは、各ピナクルに関して、前記各々のピナクルに対して両側に配置され、かつ前記エアブレードに向かって前記気体を運搬するよう構成された二次流出口の対を有し、前記プラントは、少なくとも各二次アクセスを二次流出口の各前記対との流体通路接続状態におくよう構成された移送デバイスをさらに備える、請求項1に記載のプラント。
【請求項5】
前記ディストリビュータは、複数の二次アクセスを有し、前記移送デバイスはさらに、各主要アクセスを各々の前記主要流出口との流体通路接続状態におくよう構成される、請求項4に記載のプラント。
【請求項6】
前記移送デバイスはさらに、前記主要アクセスを前記主要流出口のそれぞれとの流体通路接続状態におくよう構成される、請求項4に記載のプラント。
【請求項7】
前記移送デバイスは、前記主要アクセスと流体通路接続した少なくとも1つの主要流入口と、すべてが前記主要流入口と、またはそれぞれが各々の前記主要流入口と、かつそれぞれが各々の前記主要流出口と流体通路接続した複数の主要分岐と、各々の二次流入口とそれぞれが流体通路接続した複数の前記二次流入口と、複数の二次分岐の対とを有し、各対において、前記二次分岐は、すべてが各々の前記二次流入口と、かつそれぞれが二次流出口の各々の前記対の各々の前記二次流出口と流体通路接続している、請求項4に記載のプラント。
【請求項8】
前記移送デバイスは、前記スピナレットに全体が含まれ、前記ディストリビュータは、前記主要アクセスおよび前記主要流入口を流体通路接続状態におくよう構成された主要送達チャネル(22)と、それぞれが各々の前記二次アクセスを各々の前記二次流入口との流体通路接続状態におくよう構成された複数の二次送達チャネル(23)とを有する、請求項7に記載のプラント。
【請求項9】
前記移送デバイスは、前記ディストリビュータに一体化して含まれ、前記主要流入口は、前記主要アクセスに対応し、前記二次流入口はそれぞれ、各々の前記二次アクセスに対応し、前記スピナレットは、前記ピナクルそれぞれに関して、各々の前記主要分岐および前記主要流出口を流体通路接続状態におくよう構成された主要送達チャネル(42)と、それぞれが二次分岐の同じ前記対の各々の前記二次分岐を二次流出口の同じ前記対の各々の前記二次流出口との流体通路接続状態におくよう構成された二次送達チャネル(43)の対とを有する、請求項7に記載のプラント。
【請求項10】
前記ディストリビュータは、支持プレートと、ブレーカープレートとを有し、前記移送デバイスは、前記支持プレートと、前記ブレーカープレートとの間の1または複数に一体化して含まれる、請求項4に記載のプラント。
【請求項11】
前記ディストリビュータおよび前記ディスペンサは、主要方向に主に沿っており、前記主要分岐のそれぞれが、前記主要流入口と反対の主要端を画定し、前記二次分岐のそれぞれが、前記二次流入口と反対の二次端を画定し、前記主要端および前記二次端は、各ピナクルに関して、かつ前記主要端と、隣接する前記二次端の対とを含む各群に関して、少なくとも前記二次端が前記主要方向に垂直な方向に関して互いに不整列であるように前記主要方向に平行に主要平面において分布する、請求項7に記載のプラント。
【請求項12】
前記主要端および前記二次端は、同じ前記群の前記主要端および前記二次端がすべて、前記主要方向に垂直な方向に関して互いに不整列である結果となるように主要平面において分布する、請求項11に記載のプラント。
【請求項13】
各ピナクルに関して、かつ前記各群に関して、少なくとも1つの前記主要端および1つの前記二次端は、前記主要方向に対して横断する展開方向に沿って互いに整列されている、請求項11に記載のプラント。
【請求項14】
前記スピナレットは、少なくとも1つのフィルターを収容するよう構成され、かつ前記ディストリビュータに隣接して配置される少なくとも1つの座部を有する、請求項8または9に記載のプラント。
【請求項15】
前記座部は、前記主要流入口と、前記主要送達チャネル(22)との間、または前記主要分岐のそれぞれと、各々の前記主要送達チャネル(42)との間に配置される、請求項14に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルにおいて特定されるタイプのメルトブローン型不織布の作製用のプラントに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、頭字語TNTによっても知られる不織布を直接的または間接的に生産するためのポリマーフィラメントの押出用のプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
周知されているように、不織布、またはTNTは、繊維製品と同様の工業製品であるが、織物および編物以外の処理によって得られる。したがって、不織布内では、繊維は、任意の秩序構造が特定されずに、ランダムなパターンを提示するのに対して、織布では、繊維は、通常縦糸および横糸と呼ばれる2つの主方向および直交方向を提示する。
【0004】
現在、製品自体の使用に主に関連した、使用される製造技術に応じて、不織布を含有する複数の製品が生産されている。
【0005】
特に、高品質TNTは、公衆衛生製品で有名であり、低品質TNTは、特にジオテックス用に使用されている。
【0006】
技術的観点から、英語圏の用語である不織布(non-woven fabric)としても知られる不織布は、基本的にスパンレース、スパンボンドおよびメルトブローンに分類することができる。
【0007】
スパンレース布は、材料に等方向性強度を付与する処理を受ける。この特性に、ビスコース、ポリエステル、綿、ポリアミドおよびマイクロファイバーなどの種々の材料において生産される可能性に、2つの考え得る仕上げ、すなわち滑らかな仕上げまたは有孔の仕上げに、また多数の滑らかなカラーまたは印刷カラーに起因して、スパンレースは、公衆衛生部門、ならびに自動車、化粧品、工業または使い捨て部門に好適である。
【0008】
通常ポリプロピレンから作製されるスパンボンドは、農業、衛生、建築、家具、マットレスおよび他の関連部門において多くの用途を有する不織布である。適切な処置により、各部門:蛍光、ソフトカレンダ仕上げ(soft calendered)、抗ダニ、難燃、抗菌、帯電防止、抗UVおよびその他用に、一連の非常に特殊な製品を生産することができる。印刷、積層、フレキソ印刷および自己接着性などの多数の仕上げもまた、スパンボンドに適用することができる。
【0009】
TNTメルトブローンは、従来のTNTより高い技術的特性を達成するために特定のスピナレットで作製される。実際に、メルトブローン布は、液体および気体の物質の両方に対する高いフィルタリング力を有する繊維を特徴とする。
【0010】
メルトブローン不織布の生産プラントは従来、
図10~
図11に示されるような構成要素からなる。
【0011】
それらは、メルトブローン繊維実現デバイスおよびプロセスが適切に機能するのに必要とされるすべての部品を封入するケースからなる。また、既知のプラントは概して、第1支持体と、ブレーカープレートと、ピナクルスピナレットと、第2支持体と、エアブレードとを備える。
【0012】
ブレーカーシートまたはブレーカープレートの目的は、ポリマー、通常ポリプロピレンをピナクルスピナレットに対して導いてフィルタリングすることである。後者は、予測通り、ポリプロピレンを圧力下で出すことを可能にする有孔ピナクル部分を有するデバイスである。
【0013】
第1支持体は本質的に、ケースと、ブレーカープレートとの間の接続要素である一方で、第2支持体は、エアブレードを支持するのに使用され、ケース内部にブレーカープレートおよびメルトブローンデバイスを閉じ込めるように配置される。
【0014】
場合により、第2支持体およびエアブレードを画定するプレートは一致してもよく、システムの構成要素を限定している。他方で、エアブレードは、空気流、場合によっては非乱流をピナクルにおける孔に向かって誘導するようにメルトブローンデバイスのピナクルを包み込むケーシングからなる。
【0015】
手順の観点から、ポリマー材料は、ケースに入り、およそ240℃~270℃の温度でそれを通る行程を始める。
【0016】
それは、まず第1支持体にそれからブレーカープレートに、最後にピナクルスピナレットに誘導されて、特に、ピナクル上の孔に向かって加圧される。
【0017】
通常、ピナクルは、0.15mmから0.4mmまで様々な直径を有し、かつ直径のサイズの10倍~13倍の様々な孔の深さを有する、主要方向に沿って整列された30個~50個の孔/インチ(2.54センチメートル)を有する。
【0018】
ポリマーはピナクルの孔から出現するとすぐに、それはエアブレードによって画定される両面からの空気流に衝突する。
【0019】
エアブレードは基本的に、0.7mmから2mmで延在する放出ギャップ、またはスリットに収束する2つの導管からなり、空気はおよそ180℃でそこへ出ていく。
【0020】
ブレード内部の空気の加速が、ポリマーとの接触時に後者を微粒子化する流を作り出すのを可能にして、微細粒子を含むスプレーを生産し、それらはさらに高速で動き得るマット上に沈降する。
【0021】
したがって、ケースは、ポリマー流入口チャネルを有することに加えて、エアブレードに供給するための空気流入口チャネルを有する。
【0022】
記載の既知の技術は、幾つかの大きな欠点を含んでいる。
【0023】
特に、既知の技術のメルトブローンプラントは、本質的に1または複数の列の不織布のみが、同じピナクルから堆積され得る固定の構成を画定している。
【0024】
したがって、ポリマーフィラメントの2番目の列がコンベヤローラ上に堆積され得る場合、少なくともケースと、支持プレートと、ブレーカープレートと、ピナクルスピナレットと、エアブレードとを備える第2デバイスを有する必要がある。
【0025】
当然のことながら、この必要性は、基本的に設備費用の合計と運用および維持費の合計とによって付与される経済的観点で非常に大きな影響がある。
【0026】
この状況では、本発明に基づく技術的課題は、前述の欠点の少なくとも一部を実質的に除去することが可能なメルトブローン型不織布の作製用のプラントを考案することである。
【0027】
上記技術的課題の文脈において、1列を超えるポリマーフィラメントを作製することが可能なメルトブローン型不織布の作製用のプラントを得ることが、本発明の重要な範囲である。
【0028】
また、前述の利点を実現するのに必要とされる構成要素の数を減少させることが可能なメルトブローン型不織布の作製用のプラントを達成することが、本発明の重要な範囲である。
【0029】
さらに、従来のプラントの構成要素が、プラントの加工費を減少させるように少なくとも部分的に使用されるのを可能にするメルトブローン型不織布の作製用のプラントを実現することが、本発明のさらなる範囲である。
【0030】
結論として、本発明の別の目的は、運用および維持の両方の観点から経済的であるメルトブローン型不織布の作製用のプラントを得ることである。
【0031】
指定した技術的課題および目的は、添付の請求項1で請求されるようなメルトブローン型不織布の作製用のプラントによって達成される。
【0032】
好ましい技術的解決法は、従属請求項において強調される。
【0033】
本発明の特徴および利点は、発明の好ましい実施形態の詳細な説明によって、添付図面を参照して以下で明確化される:
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】移送デバイスがディスペンサに一体化して含まれる、本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの断面図を示す図である。
【
図2】本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの断面および分解組立図を示す図である。
【
図3】本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの下方からの斜視図である。
【
図4】本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの下方からの斜視図および分解組立図である。
【
図5a】同組立体の1つのみの主要端と1つのみの二次端とが整列されている、本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの移送デバイスの分岐端の主要平面図を示す図である。
【
図5b】同群の端がすべて整列されている、本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの移送デバイスの分岐端の主要平面における図を示す図である。
【
図6】移送デバイスが、スピナレットに全体が含まれる、本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの断面図を示す図である。
【
図7】移送デバイスが、それぞれが各々の主要流出口と流体通路接続で複数の主要アクセスを有する本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの断面図である。
【
図8】ディストリビュータが、各々の主要流出口と流体通路接続で主要アクセスを有し、分岐が、
図1~
図4のプラントに関して代替的な方式で互いに交差している、さらなる実施形態の本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの断面図である。
【
図9】ディストリビュータが、それぞれが各々の主要流出口と流体通路接続で複数の主要アクセスを有し、分岐が、
図7のプラントに関して代替的な方式で互いに交差している、さらなる実施形態の本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントの断面図である。
【
図10】既知の技術のメルトブローン型不織布の作製用のプラントの断面図を示す図である。
【
図11】既知の技術のメルトブローン型不織布の作製用のプラントの断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本文書において、測定値、値、形状、および幾何学的表現(垂直性および平行性など)は、「約」のような文言または「およそ」もしくは「実質的に」などの他の類似用語と関連付けられる場合、生産および/または製造における誤差に起因する測定誤差または誤りを除くもの、とりわけ、それが関連付けられる値、測定値、形状、または幾何学的表現からの僅かな逸脱を除くものと捉えられるべきである。例えば、これらの用語は、値と関連付けられる場合、好ましくは値の10%以下の逸脱を示す。
【0036】
また、使用される場合、「第1」、「第2」、「より高い」、「より低い」、「主要」および「二次」などの用語は、順序、関係または相対位置の優先順位を必ずしも特定せず、それらの異なる構成要素を単に明確に区別するのに使用することができる。
【0037】
別記されない限り、以下の説明における結果として、「処理」、「コンピューティング」、「決定」、「計算」などの用語、または類似用語は、コンピュータシステムのレジスタおよび/またはメモリの電子量などの物理量として表されるデータを、コンピュータシステム、レジスタもしくは他のストレージ、トランスミッションまたは情報表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータにおいて操作および/または変換するコンピュータまたは類似の電子計算デバイスの動作および/またはプロセスを指す。この文書で報告される測定値およびデータは、別記されない限り、国際標準大気ICAO(ISO 2533:1975)において実行されたものと考えられるべきである。
【0038】
図を参照して、本発明によるメルトブローン型不織布の作製用のプラントは全体的に、番号1によって参照される。
【0039】
プラント1は、好ましくはメルトブローン技術に基づいて、不織布を作製するよう構成される。後者は概して、コンベヤベルトに向かって誘導されるポリマーフィラメントを分配するよう、または1または複数のエアブレードと接触してピナクルにおける孔内にポリマーフィラメントを導入するよう設計された複数のマイクロメートルサイズの公称孔を用いて押し出されるべきメルトブローン高分子材料を提供する。
【0040】
これに関して、プラント1は、既知の技術の幾つかの要素を備える。
【0041】
好ましくは、プラント1は、少なくとも1つのディストリビュータ2を備える。
【0042】
ディストリビュータ2は実質的に、拡散経路を作り出すための各々のダクト内でのポリマー液および空気の分配を可能にするためのデバイスである。
【0043】
したがって、ディストリビュータ2は、ケース10に動作可能に接続されるよう構成されている。
【0044】
ケース10は本質的に、メルトブローンシステムの従来の要素である。特に、ケース10は、ポリマー液および気体がディストリビュータ2に運搬される部分である。
【0045】
そうして、ケース10は、ポリマー液を運搬するのに好適な少なくとも1つの主要導管10aと、気体を運搬するのに好適な複数の、例えば1対の二次導管10bとを有する。
【0046】
したがって、ディストリビュータ2は、少なくとも1つの主要アクセス20を有する。
【0047】
主要アクセス20は、主要導管10aとの流体通路接続状態におかれることが可能である。そうして、主要アクセス20は、ポリマー液がディストリビュータ2にアクセスする際に通る部分である。
【0048】
ディストリビュータ2は、少なくとも1つの二次アクセス21をさらに有する。好ましくは、ディストリビュータ2は、複数の二次アクセス21を有する。
【0049】
二次アクセスは、それぞれが各々の二次導管10bとの流体通路接続状態におかれることが可能である。そうして、二次アクセス21は、気体がディストリビュータ2にアクセスする部分を画定する。
【0050】
システム1は、少なくとも1つのディスペンサ3をさらに有する。
【0051】
ディスペンサ3は、ディストリビュータ2と流体通路接続している。特に、ディスペンサ3は、ディストリビュータ2から、ポリマー液および気体の両方を受け取る。
【0052】
そうして、ディスペンサ3は、ポリマーフィラメントをポリマー液から分注するよう構成される。
【0053】
したがって、これに関して、ディスペンサ3は、少なくとも1つのスピナレット4を有する。
【0054】
スピナレット4は実質的に、ポリマーフィラメントを形成することが可能である。したがって、スピナレット4は、フィラメントの形態でポリマー液を押し出すよう構成されたシステム1の部分である。
【0055】
ディスペンサ3は、エアブレード5をさらに有する。エアブレード5は実質的に、気体を受け取って、ディスペンサ3を出るポリマーフィラメントを誘導するよう適合されている。
【0056】
今記載した構成要素は、メルトブローンプラントすべてにとって実質的に一般的である。
【0057】
さらに、周知であるように、ディストリビュータ2およびディスペンサ3は、一般的に主要方向1aに沿って展開する。
【0058】
主要方向1aは、プラントの、特にポリマーフィラメント分注ラインの延在の方向である。
【0059】
続いて、プラント1は、記載の構成要素が主要方向1aに沿って実質的に周期的にまたは連続的に分布していることを考慮して、プラント1自体の主要方向1aに垂直なセクションに関して記載される。
【0060】
プラント1は、実際に、ある特定の特有の特徴を備えている。
【0061】
特に、好適には、スピナレット4は、複数のピナクル40を有する。
【0062】
ピナクル40は、実質的に尖った要素であり、その尖った端から、既に形成されたポリマー液のフィラメントが現れる。特に、各ピナクル40の端で、エアブレード5は、気体、通常空気を運搬して、ポリマー液をディスペンサ3から出るように誘導する。
【0063】
したがって、ピナクル40は、互いに隣接している。これは、ピナクル40が並んで主要方向1に平行して延びていることを意味する。
【0064】
好ましくは、ピナクル40は一体化されているが、必ずしもそうではない。したがって、40個のピークが、同じスピナレット4またはスピナレットに属する。
【0065】
したがって、換言すると、好適には、プラント1は、スピナレット4マルチピナクル40を備える。好適には、スピナレット4マルチピナクル40は、単一のメルトブローンプラント1内に配置される。ピナクル40は、数が2つまたはそれよりも多い場合がある。
【0066】
そうして、各ピナクル40は、少なくとも1つの主要流出口40aを有する。主要流出口40aは実質的に、ポリマー液を、各々の送達方向4aに沿って運搬するよう構成されている。そうして、主要流出口40aは、ピナクル40の流出口ディスペンサに対応する。
【0067】
各主要流出口40aの送達方向4aは、主要方向1aに関して垂直であるか、または傾斜している。さらに、好ましくは、主要流出口40aは、送達方向4aが互いに平行であるように構成されている。
【0068】
当然のことながら、ピナクル40は、既に述べたように断面図において少なくとも1つの主要流出口40aを有する。スピナレット4の深さ全体を考慮すると、例えば
図4に明確に示されるように、ピナクル40は、主要方向1aに沿ってまたは平行して同様に分布する複数の主要流出口40aを有する。
【0069】
スピナレット4はさらに好ましくは、各ピナクル40に関して、二次流出口41の対を有する。
【0070】
二次流出口41は、各々のピナクル40に対して両側に配置されることが好ましい。これによって、二次流出口41が、
図1~
図4の実施形態において示されるように、ピナクル40自体上で形成され得るか、または当該二次流出口41が、
図6の実施形態において示されるように、ピナクル40の側部で形成され得ることが意図される。
【0071】
主要流出口40と同様に、言うまでもなく、二次流出口41は、主要方向1aに沿ってまたは平行して分布することが好ましい。
【0072】
したがって、エアブレード5は、好適には、気体ジェットを運搬して、送達方向4aのそれぞれに向かって収束するよう構成されている。このように、気体ジェットは、各スピナレット40の主要流出口40aで合流して、特に送達方向4aに沿って、ディスペンサ3を出るポリマーフィラメントを誘導する。
【0073】
当然のことながら、エアブレード5もまた、主に主要方向1aに沿って延びている。そうして、詳細には、エアブレード5は、各主要流出口40aで主要方向1aに平行に、すなわち各ピナクル40の先端に平行に拡張しているスロットを画定し得る。
【0074】
プラント1は、移送デバイス6をさらに備える。
【0075】
移送デバイス6は、好適には、少なくとも各二次アクセス21を二次流出口41の各対との流体通路接続状態におくよう構成されている。さらに、一実施形態において、移送デバイス6はまた、好適には、主要アクセス20を主要流出口40aのそれぞれとの流体通路接続状態におくよう構成され得る。
【0076】
あるいは、代替的には、移送デバイス6はまた、複数の主要アクセス20を各々の主要流出口40aとの流体通路接続状態におくよう構成され得る。
【0077】
そうして、移送デバイス6は、従来の設備の少なくとも一部が、ポリマー液および気体を施設1のスピナレット4に運搬するのに使用されるのを可能にする。
【0078】
より詳細には、移送デバイス6は、少なくとも1つの主要流入口60を有する。
【0079】
主要流入口60は、主要流入口20と流体通路接続している。したがって、主要流入口60は、ポリマー液を主要流入口20から受け取ることが可能である。
【0080】
さらに、移送デバイス6は、複数の主要分岐61を有する。
【0081】
主要分岐61はすべて、主要流入口60と流体移送接続している。さらに、主要分岐61のそれぞれは、各々の主要流出口40aと流体通路接続している。
【0082】
システムが複数の主要アクセス20を備える場合、各主要分岐41は、各々の主要流入口60および各々の主要流出口40aと流体通路接続している。
【0083】
そうして、主要分岐61は実質的に、ポリマー液を主要流入口60から主要流出口40aのそれぞれに移送する。
【0084】
好適には、移送デバイス6はまた、複数の二次流入口62を有する。
【0085】
主要流入口62のそれぞれは、各々の二次流入口21と流体移送接続している。そうして、各主要流入口62は、気体、例えば空気を二次アクセス21から受け取る。さらに、移送デバイス6は、複数の対の二次分岐63を有する。
【0086】
各対において、二次分岐63は、すべてが各々の二次流入口62と流体通路接続している。さらに、同一の対では、二次分岐63のそれぞれが、二次流出口41の対、すなわち同じピナクル40にある二次流出口41の各々の二次流出口41と流体通路接続している。
【0087】
そのような構成を実現するために、幾つかの解決法が可能である。
【0088】
例えば、
図1~
図4に示される第1の実施形態では、移送デバイス6は、ディストリビュータ2に全体が含まれ得る。
【0089】
そうして、この文脈において、主要入力60は好ましくは、主要アクセス20に対応し、各二次入力62は、各々の二次アクセス21に対応する。そうして、スピナレット4は、各ピナクル40に関して、主要送達チャネル42および二次送達チャネル43の対を有し得る。
【0090】
主要送達チャネル42は好ましくは、主要分岐61および主要流出口40aを、流体通路接続状態におくよう構成されている。
【0091】
二次送達チャネル43の対のそれぞれが、各々の二次分岐63を二次流出口41の同じ上記対の各々の二次流出口41との流体通路接続状態におくよう構成されている。
【0092】
したがって、この実施形態では、スピナレット4は、従来の特性を画定する。
【0093】
他方で、ディストリビュータ2は、移送デバイス6を有する。
【0094】
ディストリビュータ2は、一体化され得るか、または2つの異なるブロックに分割され得る。
【0095】
例えば、ディストリビュータ2は、支持プレート7と、ブレーカープレート8とを有し得る。支持プレート7は、既知であるように、通常はケース10とブレーカープレート8との間に配置されるインターフェース要素である。ブレーカープレート8は、支持プレート7とスピナレット4との間の接続プレートである。
【0096】
好適には、移送デバイス6は、支持プレート7およびブレーカープレート8のうちの1または複数において一体化して含まれ得る。これによって、移送デバイス6が、支持プレート7とブレーカープレート8とのうちの1つにおいて拡張され得るか、またはそれが、部分的に支持プレート7において、および部分的にブレーカープレート8において拡張され得ることが意図される。
【0097】
図6に示される第2の実施形態では、移送デバイス6は、スピナレット4に全体が含まれ得る。
【0098】
この場合、スピナレット4は、先に示されたような従来の特徴はもはや有さない。さらに、移送デバイス2は、主要送達チャネル22と、二次送達チャネル23とを有する。
【0099】
主要送達チャネル22は、主要アクセス20および主要入口60を流体通路接続状態におくよう構成されている。
【0100】
他方で、二次送達チャネル23のそれぞれが、各々の二次アクセス21を各々の二次流入口62との流体通路接続状態におくよう構成されている。
【0101】
既に説明されているように、主要方向1aに垂直なプラントのセクションを検討する説明がなされている。
【0102】
しかしながら、プラント1はまた、主要方向1aに沿って拡張している。
【0103】
したがって、プラント1は、主要平面1bを画定してもよく、それに沿ってプラントの少なくとも一部が拡張される。
【0104】
主要平面1bは、主要方向1aに平行である。また、さらに詳細には、主要平面1bは、主要分岐61および二次分岐63の端によってアクセスされる仮想のまたはさらには物理的なインターフェース平面である。
【0105】
詳細には、主要分岐61のそれぞれが、主要端61aを画定する。
【0106】
主要端61aは実質的に、主要流入口60の反対側にある。
【0107】
対照的に、二次分岐63のそれぞれが、二次端63aを画定する。二次端63aは、好ましくは二次流入口62の反対側にある。
【0108】
そうして、
図5aに示されるように、端61a、端63aは、各ピナクル40に関して、かつ主要端61aと、隣接する二次端63aの対とを有する各群に関して、少なくとも二次端63aが、主要方向1aに垂直な方向に関して互いに不整列であるように主要平面1b上に分布している。
【0109】
あるいは、
図5bに示されるように、端61a、端63aのすべてが、主要方向1aに垂直な方向に関して互いに不整列であり得る。
【0110】
換言すると、同じピナクル40の上流または下流にあり、かつ互いに隣接する端61a、端63aは、同群に属する。
【0111】
さらに詳細には、好ましくは、各ピナクル40に関して、かつ各群に関して、同群の少なくとも1つの主要端61aおよび1つの二次端63aは、拡張方向6aに沿って互いに整列されている。拡張方向6aは、主要方向1aに横断する。
【0112】
さらに、拡張方向6aは好ましくは、
図5aおよび
図5bに明確に示されるように、互いに平行している。
【0113】
この構成は、好適には、各種分岐61、分岐63が互いに交差するのを防ぐ。
【0114】
結論として、システム1は、さらに詳細な特徴を規定し得る。
【0115】
例えば、スピナレット4は、少なくとも1つの座部44を有し得る。
【0116】
存在する場合、座部44は、少なくとも1つのフィルタ11を収容するよう構成されている。フィルタ11は、スピナレット4に入るポリマー液をフィルタリングするのに好適な海綿状要素で存在し得る。したがって、座部44は、好ましくはディストリビュータ2に隣接して配置される。
【0117】
特に、座部44は、好ましくは実施形態の第2の形態では、主要流入口60と、主要送達チャネル22との間に配置され得る。あるいは、座部44は、好ましくは実施形態の第1の形態では、上記主要分岐61のそれぞれと、各々の主要送達チャネル42との間に配置され得る。
【0118】
プラント1はまた、言うまでもなく、フィルタ11と、ケース10とを備え得る。
【0119】
構造に関して上述したメルトブローン型不織布の作製用のプラント1の動作は、メルトブローン型不織布の作製用の任意のプラントの動作と実質的に同様である。
【0120】
しかしながら、プラント1は、複数の隣接ピナクルが活用され得る事実に起因して、主要方向1aに平行である複数の平行な列を作製することを可能にする。
【0121】
本発明によるメルトブローン不織布を作製するためのプラント1は、重要な利点を達成する。
【0122】
実際に、プラント1は、1列を超えるポリマーフィラメントの実現を可能にする。複数の並んでいるピナクルを使用することができることにより、不織布の品質を改善し、かつ生産速度を高めることが可能になる。
【0123】
さらに、プラント1は、前述の利点の見返りとして、複数の列を分注するのに必要とされる構成要素の数を減少させることを可能にし、また、デバイスは従来の少なくともケースおよび場合によってはまたディスペンサ2も有し得るため、既知の技術のプラントの少なくとも一部を活用することを可能にする。
【0124】
そうして、デバイス1は、より低い設置の加工費を可能にし、どんな場合でも、運用および維持の両方の観点からより安価である。
【0125】
本発明は、特許請求の範囲によって規定されるような発明概念の範囲内で変更を受けやすい。
【0126】
例えば、代替的な実施形態では、
図7、
図8、
図9に示されるように、システム1のディストリビュータ2は、複数の主要アクセス20を有し得る。そうして、移送デバイス6はまた、各主要アクセス20を各々の主要流出口40aとの流体通路接続状態におくよう構成され得る。この場合、各主要アクセス20は、主要流入口60に対応することができ、各主要流入口60は、単一の主要分岐61を介して各々の主要流出口40aとの流体通路接続状態におかれ得る。
【0127】
この構成は、幾つかの不織布、または種々の材料の、すなわち種々のポリマーから作製される、フィラメントを含む不織布を作製するようにディスペンサの流出口で種々のタイプの2つのポリマーを運搬するのに容易に用いることができる。
【0128】
これに関して、詳細はすべて、均等な要素で置き換えることができ、材料、形状および寸法は任意であり得る。
【外国語明細書】