(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009520
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/36 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B65D33/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111108
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和貴
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA36
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA12
3E064FA04
3E064GA01
3E064HA06
3E064HB10
3E064HM01
3E064HN05
3E064HP01
3E064HP02
3E064HS05
(57)【要約】
【課題】注出口が閉塞することを抑制できる構造を有する包装袋を提供する。
【解決手段】本発明の包装袋の一つの態様は、前面部材と、背面部材と、前面部材の周縁と背面部材の周縁とを互いに接合することにより形成された周縁部と、前面部材と背面部材との間に形成された収納部と、を備える包装袋であって、周縁部の一部を含み、切取り線に沿って切り取り可能な切取り部が設けられ、切取り部が切取り線に沿って切り取られることで、収納部の内部と収納部の外部とを繋ぐ注出口が形成され、切取り部に含まれる周縁部の一部には、切取り線から包装袋の外側に向かって延びる2本の第1切れ込みが形成され、切取り部は、2本の第1切れ込み同士の間に位置する挿入部を有し、切取り部が切取り線に沿って切り取られた状態において、挿入部は、注出口が開口する方向に延びる折り目が付けられた状態で注出口内に挿入可能であることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面部材と、背面部材と、前記前面部材の周縁と前記背面部材の周縁とを互いに接合することにより形成された周縁部と、前記前面部材と前記背面部材との間に形成された収納部と、を備える包装袋であって、
前記周縁部の一部を含み、切取り線に沿って切り取り可能な切取り部が設けられ、
前記切取り部が前記切取り線に沿って切り取られることで、前記収納部の内部と前記収納部の外部とを繋ぐ注出口が形成され、
前記切取り部に含まれる前記周縁部の一部には、前記切取り線から前記包装袋の外側に向かって延びる2本の第1切れ込みが形成され、
前記切取り部は、前記2本の第1切れ込み同士の間に位置する挿入部を有し、
前記切取り部が前記切取り線に沿って切り取られた状態において、前記挿入部は、前記注出口が開口する方向に延びる折り目が付けられた状態で前記注出口内に挿入可能であることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記切取り部のうち前記挿入部を挟んだ両側に位置する一対の側部には、それぞれ第2切れ込みが形成され、
前記第2切れ込みに沿って前記側部の一部を切り起こすことで、前記切取り線から離れる向きに突出する返し部が形成され、
前記周縁部のうち前記注出口が形成される部分を挟んだ両側の部分のそれぞれには、前記切取り線に沿って切り取られた状態における前記切取り部の前記返し部が差し込み可能な差込み穴が形成されている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記切取り線が延びる方向において、前記挿入部の寸法は、前記注出口の寸法よりも大きい、請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記前面部材と前記背面部材との少なくとも一方の部材のうち前記収納部を形成する部分には、前記収納部の外側に向かって膨らみ、前記注出口が形成される部分よりも内側から少なくとも前記注出口が形成される部分まで延びるエンボス部が形成されている、請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項5】
前記2本の第1切れ込みは、前記切取り線のうち、前記注出口が形成される部分を挟んだ両側部分からそれぞれ延びている、請求項1または2に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
液体などの内容物を収納する収納部を有する包装袋が知られている。例えば、特許文献1には、そのような包装袋として、自立型袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような包装袋においては、収納部を押圧して収納された内容物を注出口から注出しようとした際に、内容物の圧力によって、収納部が過度に膨らむことで、注出口が両端に向かって引っ張られ、注出口が閉塞してしまう場合があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、注出口が閉塞することを抑制できる構造を有する包装袋を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装袋の一つの態様は、前面部材と、背面部材と、前記前面部材の周縁と前記背面部材の周縁とを互いに接合することにより形成された周縁部と、前記前面部材と前記背面部材との間に形成された収納部と、を備える包装袋であって、前記周縁部の一部を含み、切取り線に沿って切り取り可能な切取り部が設けられ、前記切取り部が前記切取り線に沿って切り取られることで、前記収納部の内部と前記収納部の外部とを繋ぐ注出口が形成され、前記切取り部に含まれる前記周縁部の一部には、前記切取り線から前記包装袋の外側に向かって延びる2本の第1切れ込みが形成され、前記切取り部は、前記2本の第1切れ込み同士の間に位置する挿入部を有し、前記切取り部が前記切取り線に沿って切り取られた状態において、前記挿入部は、前記注出口が開口する方向に延びる折り目が付けられた状態で前記注出口内に挿入可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、包装袋において、注出口が閉塞することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】一実施形態の包装袋を示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【
図3】一実施形態の包装袋の一部を示す図であって、
図1における部分拡大図である。
【
図4】一実施形態の切取り部を切り取った後の包装袋の一部を示す斜視図である。
【
図5】一実施形態の切取り部を切り取った後の包装袋の一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数などを、実際の構造における縮尺および数などと異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面には、適宜、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。Z軸は、鉛直方向を示している。X軸およびY軸は、鉛直方向と直交する方向を示しており、互いに直交する方向を示している。以下の説明においては、X軸に沿った方向を“前後方向X”と呼び、Y軸に沿った方向を“左右方向Y”と呼び、Z軸に沿った方向を“鉛直方向Z”と呼ぶ。前後方向Xと左右方向Yと鉛直方向Zとは、互いに直交する方向である。前後方向XのうちX軸の矢印が向く側(+X側)を“前側”と呼び、前後方向XのうちX軸の矢印が向く側と逆側(-X側)を“後側”と呼ぶ。左右方向YのうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を“右側”と呼び、左右方向YのうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を“左側”と呼ぶ。鉛直方向ZのうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を“上側”と呼び、鉛直方向ZのうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を“下側”と呼ぶ。
【0011】
図1は、本実施形態の包装袋10を示す正面図である。
図2は、包装袋10を示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
図3は、包装袋10の一部を示す図であって、
図1における部分拡大図である。
図1から
図3に示す包装袋10は、詰め替え用の容器であり、例えばパウチ(袋状柔軟性包装体)として用いられる。包装袋10の内部には、詰め替え先の容器である本体容器に補充するための液状の内容物が充填される。内容物としては、例えば、液体調味料や、化粧品、液体洗剤などが挙げられる。本実施形態において包装袋10は、自立可能なスタンディングパウチである。
【0012】
図2に示すように、包装袋10は、前面部材20と、前面部材20と接合された背面部材30と、を備える。また、前面部材20の下部と背面部材30の下部との間には、底面部材40が設けられる。前面部材20、背面部材30、および底面部材40は、柔軟性を有するプラスチック製のフィルムで構成されている。前面部材20、背面部材30、および底面部材40をそれぞれ構成するフィルムは、基材層と中間層とシーラントとが積層されて構成されている。前面部材20、背面部材30、および底面部材40には、パウチとして用いられる公知の構成を有するフィルムまたはシートを適用することができる。一例として、このフィルムは、外側の基材層としてナイロン(NY)フィルム、中間の中間層としてポリエステルフィルム、および内側のシーラントとして線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムからなる三層構造を有する。なお、前面部材20、背面部材30、および底面部材40は、基材層とシーラントとの二層構造であってもよい。また、前面部材20、背面部材30、および底面部材40は、柔軟性を有するプラスチック製のシートで構成されていてもよい。
【0013】
前面部材20と背面部材30とは、前後方向Xに互いに接合されている。前面部材20および背面部材30は、前後方向Xに見て、鉛直方向Zに長い略長方形状である。前面部材20は背面部材30の前側(+X側)に位置し、背面部材30は前面部材20の後側(-X側)に位置する。前面部材20の周縁と背面部材30の周縁とは、熱融着性を有するシーラントを熱融着させることにより、互いに接合され、周縁部50が形成されている。
【0014】
図1に示すように、周縁部50は、右側(+Y側)に位置する右側周縁部51と、左側(-Y側)に位置する左側周縁部52と、上側(+Z側)に位置する上側周縁部53と、一対の注出口周縁部54a,54bと、切取り周縁部55と、を有する。右側周縁部51および左側周縁部52は、鉛直方向Zに延びている。上側周縁部53は、左右方向Yに延びている。上側周縁部53の右側の端部は、右側周縁部51の上側の端部に繋がっている。
【0015】
一対の注出口周縁部54a,54bは、周縁部50のうち後述する注出口90が形成される部分を挟んだ両側の部分である。注出口周縁部54aは、上側周縁部53の左側(-Y側)の端部に繋がっている。注出口周縁部54bは、左側周縁部52の上側の端部に繋がっている。
図3に示すように、一対の注出口周縁部54a,54bのそれぞれには、差込み穴73a,73bが形成されている。本実施形態において一対の差込み穴73a,73bは、一対の注出口周縁部54a,54bのそれぞれを前後方向Xに貫通するスリットである。差込み穴73a,73bは、前後方向Xに見て、後述する切取り線70cと平行な方向に延びている。差込み穴73a,73bは、前後方向Xに見て、右側(+Y側)に向かうに従って上側に位置する向きに直線状に延びている。
【0016】
切取り周縁部55は、周縁部50のうち後述する切取り線70cに沿って切り取り可能とされた部分である。切取り周縁部55は、一対の注出口周縁部54a,54b同士を繋いでいる。切取り周縁部55は、略長方形状の包装袋10における周縁部50のうち上側かつ左側(-Y側)の角部を構成している。切取り周縁部55は、左側かつ上側に凸となる三角形状の角部55aを有する。
【0017】
図2に示すように、包装袋10の下部において、底面部材40が上に向かって凸となるように折りたたまれた状態で、底面部材40の前端部41と前面部材20の下端部21とが熱融着により互いに接合され、底面部材40の後端部42と背面部材30の下端部31とが熱融着により互いに接合されている。また、図示は省略するが、底面部材40の前端部41と後端部42とは、左右方向Yの両端部において熱融着により互いに接合されている。これにより、前面部材20の下端部と背面部材30の下端部とが底面部材40を介して接合されている。
【0018】
前面部材20と背面部材30と底面部材40とが接合されることにより、前面部材20と背面部材30との間には、内容物を収納する収納部60が形成される。内容物が収納部60に充填されると、内容物の重量により底面部材40の上端の折り目43が下方に移動するとともに、底面部材40が前後方向Xに広がる。これにより、包装袋10の容積が増加するとともに、包装袋10に自立性が付与される。
【0019】
図1に示すように、収納部60は、収納本体部61と、突出部62と、を有する。収納本体部61は、前後方向Xに見て、鉛直方向Zに長い略長方形状である。突出部62は、収納本体部61の左側(-Y側)の端部における上端部から左側かつ斜め上方に突出している。
図3に示すように、突出部62は、収納本体部61に繋がる第1部分62aと、第1部分62aの左側かつ斜め上方に繋がる第2部分62bと、を有する。第1部分62aは、一対の注出口周縁部54a,54b同士の間に位置する。第2部分62bは、突出部62の先端部である。例えば、包装袋10が自立して置かれた状態においては、収納本体部61内の一部のみに内容物が収納され、突出部62内には内容物が収納されていない。
【0020】
包装袋10は、注出口90が形成される注出口形成部70を備える。本実施形態において注出口形成部70は、略長方形状の包装袋10における上側かつ左側(-Y側)の角部に設けられている。注出口形成部70は、左側かつ斜め上方に突出している。注出口形成部70は、注出口90が形成される本体部70aと、本体部70aの左側かつ斜め上方に繋がる切取り部70bと、を有する。本体部70aは、一対の注出口周縁部54a,54bと、収納部60における突出部62の第1部分62aと、を有する。切取り部70bは、切取り周縁部55と、収納部60における突出部62の第2部分62bと、を有する。
【0021】
本体部70aと切取り部70bとの間には、切取り線70cが形成されている。切取り線70cは、本体部70aと切取り部70bとの境界線である。切取り線70cは、使用者等が手で力を加えることで容易に破断可能となっている部分である。本実施形態において切取り線70cは、前後方向Xに見て、右側(+Y側)に向かうに従って上側に位置する向きに直線状に延びている。切取り線70cは、例えば、包装袋10の外表面に印刷された印刷部を含む。切取り線70cには、切取り線70cの破断性を向上させるために、傷加工が施されていてもよい。切取り線70cは、前後方向Xに見て、突出部62における第1部分62aと第2部分62bとの境界部分と重なる位置に配置されている。
【0022】
使用者等は、切取り部70bを手指で摘んで力を加えることで、切取り線70cを破断し、切取り部70bを包装袋10から切り取ることができる。このように、切取り部70bは、切取り線70cに沿って切り取り可能となっている。
図4は、切取り部70bを切り取った後の包装袋10の一部を示す斜視図である。
図5は、切取り部70bを切り取った後の包装袋10の一部を示す正面図である。
図4および
図5に示すように、切取り部70bが切り取られることで、収納部60における突出部62の先端部である第2部分62bが切り取られ、第1部分62aの先端部が、包装袋10の外部に開口する注出口90となる。このように、切取り部70bが切取り線70cに沿って切り取られることで、収納部60の内部と収納部60の外部とを繋ぐ注出口90が形成される。本実施形態において注出口90は、左側(-Y側)かつ上側を向く向きに開口する。
【0023】
図3に示すように、切取り部70bに含まれる周縁部の一部、すなわち切取り周縁部55には、切取り線70cから包装袋10の外側に向かって延びる2本の第1切れ込み71a,71bが形成されている。本実施形態において2本の第1切れ込み71a,71bは、切取り線70cのうち、注出口90が形成される部分を挟んだ両側部分からそれぞれ延びている。上述したように切取り部70bが切り取られることで突出部62の第1部分62aの先端部が注出口90となるため、“注出口90が形成される部分”とは、第1部分62aのうち第2部分62bに繋がる側の端部である。2本の第1切れ込み71a,71bは、収納部60における突出部62を挟んで配置されている。本実施形態において2本の第1切れ込み71a,71bは、切取り線70cが延びる方向および前後方向Xの両方と直交する方向に延びている。具体的に2本の第1切れ込み71a,71bは、切取り線70cから左側(-Y側)かつ斜め上方に直線状に延びている。
【0024】
切取り部70bは、2本の第1切れ込み71a,71b同士の間に位置する挿入部74を有する。挿入部74は、切取り周縁部55のうち2本の第1切れ込み71a,71b同士の間に位置する部分と、収納部60における突出部62の第2部分62bと、を有する。切取り線70cが延びる方向において、挿入部74の寸法は、注出口90の寸法よりも大きい。切取り線70cが延びる方向における注出口90の寸法は、注出口90が形成される部分における切取り線70cが延びる方向の寸法、すなわち第1部分62aのうち第2部分62bに繋がる側の端部における切取り線70cが延びる方向の寸法と等しい。
【0025】
切取り部70bは、一対の側部75a,75bを有する。一対の側部75a,75bは、切取り部70bのうち挿入部74を切取り線70cが延びる方向に挟んだ両側にそれぞれ位置する部分である。一対の側部75a,75bは、それぞれ切取り周縁部55の一部によって構成されている。
【0026】
一対の側部75a,75bには、それぞれ第2切れ込み72c,72dが形成されている。第2切れ込み72c,72dは、第1切れ込み71a,71bが延びる方向における切取り線70cが位置する側と逆側に凸となるV字状の切れ込みである。第2切れ込み72c,72dに沿って側部75a,75bの一部を切り起こすことで、切取り線70cから離れる向きに突出する返し部72a,72bが形成される。本実施形態において一対の返し部72a,72bは、前後方向Xに見て、第1切れ込み71a,71bが延びる方向における切取り線70cが位置する側と逆側に凸となる鋭角な角部を有する三角形状である。一対の返し部72a,72bは、切取り線70cが延びる方向に挿入部74を挟んで配置されている。
【0027】
図1に示すように、前面部材20のうち収納部60を形成する部分には、収納部60の外側に向かって膨らみ、注出口90が形成される部分よりも内側から少なくとも注出口90が形成される部分まで延びるエンボス部80が形成されている。前面部材20のうち収納部60を形成する部分とは、前面部材20のうち周縁部50の内側に位置する部分である。エンボス部80は、前面部材20のうち収納部60の収納本体部61を形成する部分から、前面部材20のうち収納部60の突出部62を形成する部分まで、湾曲して延びている。
【0028】
図3に示すように、エンボス部80は、注出口90が形成される部分よりも内側から注出口90が形成される部分まで延びる第1エンボス部81と、第1エンボス部81のうち注出口90が形成される部分に位置する端部に繋がる第2エンボス部82と、を有する。第2エンボス部82は、前面部材20のうち収納部60における突出部62の第2部分62bを形成する部分に設けられている。
図4に示すように、エンボス部80は、前側(+X側)に凸となる向きに膨らんでいる。
【0029】
本実施形態では、背面部材30のうち収納部60を形成する部分にも、エンボス部84が形成されている。エンボス部84は、エンボス部80に対して前後方向Xに対称に配置されている点を除いて、エンボス部80と同様である。エンボス部84は、後側(-X側)に凸となる向きに膨らんでいる。
【0030】
図4および
図5に示すように、切取り部70bが切取り線70cに沿って切り取られた状態において、挿入部74は、注出口90が開口する方向に延びる折り目55bが付けられた状態で注出口90内に挿入可能である。本実施形態において折り目55bは、切取り周縁部55の角部55aの頂点を通っている。挿入部74は、折り目55bに沿って切取り部70bの全体が折り曲げられた状態で、注出口90内に挿入される。
図4および
図5に示す例では、前側(+X側)から見て、挿入部74を含む切取り部70bは、折り目55bに沿って谷折りに折り曲げられている。折り目55bのうち挿入部74に設けられた部分は、エンボス部80,84のうち注出口90の縁部に設けられた部分と前後方向Xに対向している。なお、折り目55bは、切取り部70bが切り取られる前から形成されていてもよいし、切取り部70bが切り取られた後に切取り部70bが折り曲げられることで形成されてもよい。
【0031】
切取り部70bが切り取られた状態では、一対の第1切れ込み71a,71bのうち切取り線70c側の端部が開放され、一対の第1切れ込み71a,71bを開くことが可能となる。一対の第1切れ込み71a,71bを開くことで、
図4に示すように、一対の第1切れ込み71a,71b内に注出口90の縁部を差し込むことができる。これにより、挿入部74と一対の側部75a,75bとの間でそれぞれ注出口90の縁を挟むことができ、切取り部70bを注出口90に取り付けることができる。また、一対の第1切れ込み71a,71bを開くことで、挿入部74を注出口90内に挿入しつつ、一対の側部75a,75bを一対の注出口周縁部54a,54bの前側(+X側)に重なる位置に配置することができる。このように一対の側部75a,75bを配置することで、
図5に示すように、一対の側部75a,75bに形成された一対の返し部72a,72bを、一対の注出口周縁部54a,54bに形成された一対の差込み穴73a,73bにそれぞれ差し込むことができる。これにより、一対の側部75a,75bが一対の注出口周縁部54a,54bのそれぞれに対して引っ掛かり、切り取られた状態の切取り部70bをより強固に注出口90に取り付けることができる。
【0032】
次に、包装袋10の使用時の動作について説明する。まず、使用者は、内容物が充填された包装袋10の切取り部70bを、切取り線70cに沿って切り取り、注出口90を形成する。次に使用者は、切取り部70bに折り目55bを付けた状態で挿入部74を注出口90に挿入しつつ、一対の第1切れ込み71a,71bを広げて挿入部74と一対の側部75a,75bとのそれぞれの間で注出口90の縁を挟み込ませて、切取り部70bを注出口90に取り付ける。また、使用者は、一対の側部75a,75bの一部を一対の第2切れ込み72c,72dに沿って後側(-X側)に切り起こして、一対の返し部72a,72bを形成し、一対の返し部72a,72bを一対の差込み穴73a,73bのそれぞれに差し込む。これにより、切取り部70bがより強固に注出口90に取り付けられる。
【0033】
次に、使用者は、切り取られた切取り部70bが注出口90に取り付けられた状態で、包装袋10を傾けながら図示しない本体容器の開口に注出口90を挿入し、収納部60内に収納された内容物を本体容器内に詰め替える。注出口90から注出される内容物は、例えば、折り目55bに沿って折り曲げられた切取り部70b上に沿って流れて、本体容器内に流入する。
【0034】
本実施形態によれば、切取り部70bに含まれる周縁部50の一部には、切取り線70cから包装袋10の外側に向かって延びる2本の第1切れ込み71a,71bが形成されている。切取り部70bは、2本の第1切れ込み71a,71b同士の間に位置する挿入部74を有する。切取り部70bが切取り線70cに沿って切り取られた状態において、挿入部74は、注出口90が開口する方向に延びる折り目55bが付けられた状態で注出口90内に挿入可能である。そのため、挿入部74を注出口90に挿入した状態で切取り部70bを注出口90に取り付けておくことで、注出口90から内容物を本体容器内に注出する際に内容物の圧力によって注出口90が閉じようとしても、折り目55bが付けられた挿入部74があることで注出口90が閉塞されることを抑制できる。つまり、折り曲げられた挿入部74と注出口90の内面との間には少なくとも隙間を空けておくことができる。したがって、本実施形態によれば、注出口90が閉塞することを抑制でき、注出口90を介して内容物を好適に注出することができる。また、注出口90から注出された内容物を挿入部74に付けられた折り目55bに沿って案内することができるため、内容物を好適に本体容器内に注ぐことができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、切取り部70bのうち挿入部74を挟んだ両側に位置する一対の側部75a,75bには、それぞれ第2切れ込み72c,72dが形成されている。第2切れ込み72c,72dに沿って側部75a,75bの一部を切り起こすことで、切取り線70cから離れる向きに突出する返し部72a,72bが形成される。周縁部55のうち注出口90が形成される部分を挟んだ両側の部分、すなわち注出口周縁部54a,54bのそれぞれには、切取り線70cに沿って切り取られた状態における切取り部70bの返し部72a,72bが差し込み可能な差込み穴73a,73bが形成されている。そのため、上述したようにして、一対の返し部72a,72bを一対の差込み穴73a,73bに差し込むことで、一対の返し部72a,72bが一対の注出口周縁部54a,54bに対して、注出口90が開口する向きに引っ掛かる。これにより、切取り部70bを注出口90に対して、より強固に取り付けることができる。したがって、注出口90から注出される内容物によって切取り部70bが力を受けても、切取り部70bが注出口90から外れることを抑制できる。そのため、注出口90が閉塞することをより抑制できる。
【0036】
また、本実施形態によれば、切取り線70cが延びる方向において、挿入部74の寸法は、注出口90の寸法よりも大きい。そのため、切取り部70bを切り取った後、挿入部74に折り目55bを付けて挿入部74を折り曲げた状態としないと、挿入部74を注出口90内に挿入できない。これにより、挿入部74を注出口90内に挿入した状態において、折り曲げられた挿入部74が折り曲げられる前の状態に戻ってしまうことを抑制できる。したがって、注出口90内において挿入部74が折り曲げられた状態が好適に維持される。そのため、注出口90が閉塞することを挿入部74によってより好適に抑制できる。
【0037】
また、本実施形態によれば、前面部材20のうち収納部60を形成する部分には、収納部60の外側に向かって膨らみ、注出口90が形成される部分よりも内側から少なくとも注出口90が形成される部分まで延びるエンボス部80が形成されている。そのため、エンボス部80によって、注出口90の内縁と挿入部74との隙間を大きくすることができる。これにより、注出口90から内容物をより好適に注出させることができる。また、エンボス部80に沿って内容物を案内しつつ注出できるため、注出口90から注出される内容物の流れを好適に整えやすく、内容物をより本体容器内に注ぎやすい。本実施形態では、背面部材30に対してもエンボス部84が形成されているため、注出口90から内容物をさらにより好適に注出させることができる。
【0038】
なお、仮に切取り部70bを注出口90に取り付けない状態であっても、エンボス部80,84が設けられていれば、エンボス部80,84によって注出口90に隙間を確保しやすく、エンボス部80,84が設けられていない状態に比べれば注出口90が閉塞することを抑制できる。しかしながら、収納部60内の内容物の圧力が大きくなって注出口90が引っ張られると、当該圧力に耐えきれずにエンボス部80,84が潰れて注出口90が閉塞してしまう場合がある。そのため、エンボス部80,84を設けるだけでは、注出口90が閉塞することを十分に抑制できることができない。本実施形態では、切取り部70bによって注出口90が閉塞することを抑制しつつ、さらにエンボス部80,84を設けることで、注出口90から内容物を好適に注出できる。
【0039】
また、本実施形態によれば、2本の第1切れ込み71a,71bは、切取り線70cのうち、注出口90が形成される部分を挟んだ両側部分からそれぞれ延びている。そのため、切取り線70cが延びる方向において挿入部74の寸法を注出口90の寸法よりも好適に大きくできる。また、2本の第1切れ込み71a,71bが、注出口90が形成される部分を挟まずに形成されている場合に比べて、切取り部70bが大きく出っ張ることを抑制できる。
【0040】
以上に本発明における実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施形態の構成のみに限定されず、以下の構成および方法を採用することもできる。
【0041】
包装袋において切取り部が設けられる位置は、特に限定されない。2本の第1切れ込みは、切取り線から包装袋の外側に向かって延びているならば、切取り部に含まれる周縁部の一部におけるいずれの箇所に設けられていてもよい。切取り部に形成される第2切れ込みは、1つのみであってもよいし、3つ以上であってもよい。第2切れ込みに沿って側部の一部を切り起こすことで形成される返し部は、切取り線から離れる向きに突出しているならば、どのような形状であってもよい。切取り部には、第2切れ込みが形成されていなくてもよい。
【0042】
エンボス部は、注出口が形成される部分よりも内側から少なくとも注出口が形成される部分まで延びていれば、どのような形状に延びていてもよい。エンボス部は、前面部材と背面部材との一方の部材のみに形成されていてもよい。エンボス部は、前面部材と背面部材との少なくとも一方において2つ以上形成されていてもよい。エンボス部は、前面部材と背面部材とのいずれの部材にも形成されていなくてもよい。
【0043】
以上、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【実施例0044】
本発明の実施例1~3を作って比較例1,2との比較を行い、本発明の有用性について確認した。実施例1は、上述した実施形態の包装袋10に対して、一対の返し部72a,72b、一対の差込み穴73a,73b、およびエンボス部80,84が設けられていない点のみが異なる包装袋とした。実施例2は、上述した実施形態の包装袋10に対して、エンボス部80,84が設けられていない点のみが異なる包装袋とした。実施例3は、上述した実施形態の包装袋10と同様の包装袋とした。
【0045】
比較例1,2は、切り取った切取り部を注出口に取り付けない従来の包装袋とした。比較例1は、上述した実施形態のエンボス部80,84のようなエンボス部も形成されていない包装袋とした。比較例2は、上述した実施形態のエンボス部80,84のようなエンボス部が形成されている包装袋とした。
【0046】
実施例1~3および比較例1,2において、前面部材、背面部材、および底面部材を形成するフィルムの基材層は、延伸ナイロンフィルム(ONY)(株式会社暁星ジャパン製,GQ91-A,厚さ15μm)とした。実施例1~3および比較例1,2において、前面部材、背面部材、および底面部材を形成するフィルムの中間層は、アルミ蒸着したポリエステルフィルム(VMPET)(尾池工業株式会社製,テトライトEXE,厚さ12μm)とした。実施例1~3および比較例1,2において、前面部材、背面部材、および底面部材を形成するフィルムのシーラントは、リニアローデンポリエチレンフィルム(LLDPE)(三井化学東セロ株式会社製,TUX-MC-S,厚さ100μm)とした。
【0047】
実施例1~3および比較例1,2のそれぞれに対して、包装袋の収納部内に内容物としての水を350ml充填し、切取り部を切り取って注出口を形成した後に、収納部を両手で加圧して充填された水が注出口から全て注出し終わるまでの時間(注ぎ時間)を計測した。実施例1~3については、切り取った切取り部を注出口に取り付けた状態で、水を注出した。比較例1,2については、切取り部は切り取った後に除去した。また、当該水を注出する操作を各実施例について10回ずつ行い、注出途中に切取り部が脱落した回数をカウントした。結果を以下の表1に示す。表1では、水を注出する際に注出口が閉塞して注ぎ時間が60秒以上となった場合については計測対象外として、「閉塞」と記載している。
【0048】
【0049】
上記の表1に示すように、比較例1,2では注出口が閉塞して60秒以上かけても内容物としての水を注出し終わらなかったのに対して、実施例1~3では、いずれも注ぎ時間が20秒よりも短かった。これにより、実施例1~3のように切取り部を注出口に取り付けることで、好適に内容物としての水を注出できることが確かめられた。また、エンボス部が設けられた実施例3では、実施例1,2に比べて、注ぎ時間がより短かった。これにより、切取り部を注出口に取り付けることに加えてエンボス部を設けることで、内容物をより速く注出できることが確かめられた。
【0050】
また、上記の表1に示すように、返し部を設けた実施例2,3では、10回の注出操作のうちで切取り部が1度も脱落しなかった。このことから、返し部を設けることで、注出口に取り付けられた切取り部の脱落を好適に抑制して、より好適に内容物を注出できることが確かめられた。以上により、本発明の有用性を確かめられた。
10…包装袋、20…前面部材、30…背面部材、55b…折り目、50…周縁部、60…収納部、70b…切取り部、70c…切取り線、71a,71b…第1切れ込み、72a,72b…返し部、72c,72d…第2切れ込み、73a,73b…差込み穴、74…挿入部、75a,75b…側部、80,84…エンボス部、90…注出口