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特開2024-95208三次元データスケール付与システム及び三次元データスケール付与プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095208
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】三次元データスケール付与システム及び三次元データスケール付与プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240703BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240703BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06T7/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212319
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】519111017
【氏名又は名称】株式会社AB.do
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】竹前 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 清
【テーマコード(参考)】
5B050
5L096
【Fターム(参考)】
5B050BA04
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA07
5B050EA05
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA27
5B050EA28
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5L096AA09
5L096EA03
5L096FA09
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA69
(57)【要約】      (修正有)
【課題】三次元データにスケールを付与できるシステム及びプログラムを提供する。
【解決手段】システムにおいて、クライアントPCは、測定対象物及び複数の基準物の点群データ又はモデルを取得し基準物として認定された点群データ又はモデルのうち基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出し、各基準物において検出した複数の頂点の座標データ及び各基準物の各辺の長さに関するデータをサーバPCに送信する。サーバPCは、受信した複数の頂点の座標データに基づいて各基準物の形状を三次元データ上で再現し再現した基準物が各辺の長さデータとなるように各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させねじれを加えるための変換行列を算出し、算出した変換行列をクライアントPCへ送信する。クライアントPCは、受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又はモデルを伸縮させねじれを加えることにより点群データ又はモデル全体のスケールを設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、
1又は複数のクライアントコンピュータと、
各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、
各前記クライアントコンピュータは、
測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してデジタルカメラによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している大きさ及び形状に対し、所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定する機能と、
基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データ、及び各基準物の各辺の長さに関するデータを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、
前記サーバコンピュータは、
前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した基準物が、前記クライアントコンピュータから受信した各辺の長さデータとなるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、
前記クライアントコンピュータは、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴とする三次元データスケール付与システム。
【請求項2】
請求項1記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してデジタルカメラによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データにおいて、各前記基準物における予め判明している大きさ及び形状に対し、所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定する機能と、
基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データ、及び各基準物の各辺の長さに関するデータを前記サーバコンピュータに送信する機能と、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項3】
請求項1記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した基準物が、前記クライアントコンピュータから受信した各辺の長さデータとなるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項4】
点群データによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、
1又は複数のクライアントコンピュータと、
各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、
各前記クライアントコンピュータは、
測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してデジタルカメラによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している各辺の長さに対し、所定の誤差範囲に含まれる辺の長さを有する物体を基準物として認定する機能と、
基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、
前記サーバコンピュータは、
前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した基準物が、正多面体となるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、
前記クライアントコンピュータは、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴とする三次元データスケール付与システム。
【請求項5】
請求項4記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してデジタルカメラによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している各辺の長さに対し、所定の誤差範囲に含まれる辺の長さを有する物体を基準物として認定する機能と、
基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項6】
請求項4記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した基準物が、正多面体となるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項7】
点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、
1又は複数のクライアントコンピュータと、
各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、
測定対象物の周囲に、2つの基準点が同一平面上に表示されており、該基準点の2点間の長さが判明しており且つ特殊模様が付された平面状基準物を複数配置してデジタルカメラによって前記複数の平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって前記複数の平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記平面状基準物における特殊模様を有する物体を平面状基準物として認定する機能と、
平面状基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、2つの基準点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、
前記サーバコンピュータは、
前記クライアントコンピュータから受信した各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各平面状基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した平面状基準物の2つの基準点が予め設定された長さとなるように、各平面状基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、
前記クライアントコンピュータは、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴とする三次元データスケール付与システム。
【請求項8】
請求項7記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
測定対象物の周囲に、2つの基準点が同一平面上に表示されており、該基準点の2点間の長さが判明しており且つ特殊模様が付された平面状基準物を複数配置してデジタルカメラによって前記複数の平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって前記複数の平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記平面状基準物における特殊模様を有する物体を平面状基準物として認定する機能と、
平面状基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、2つの基準点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項9】
請求項7記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
前記クライアントコンピュータから受信した各平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各平面状基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した平面状基準物の2つの基準点が予め設定された長さとなるように、各平面状基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の写真やレーザスキャンによる位置データから三次元データを生成した際に、三次元的に正確なスケールを付与するシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元データの生成については、特許文献1(特開2018-36897号公報)に示すように、測定対象物の周囲から複数枚の写真を撮影し、この複数枚の写真に基づいて点群データを取得する方法が知られている。
【0003】
特許文献1の画像処理方法によれば、複数のカメラで撮影したデータから点群データを抽出するが、その際カメラの位置、姿勢、焦点距離等のパラメータをカメラパラメータとして取得し、このカメラパラメータに基づいて視点からの距離を設定し、点群データの作成をしている。
【0004】
特許文献1に示すような方法により点群データを取得したとしても、点群データに正確なスケールを与えることができない。点群データにはそもそもスケールが存在しておらず、撮影された各点の位置が合成されてプロットされているだけである。
例えば、特許文献1では観察視点と対象物との間の距離分布を示す距離画像(デプスマップ)を作成しているが、所定の観察視点からの点群データまでの距離を設定するだけであって、取得した点群データ全体を三次元的に設定しているものではない。
このため、正確なスケールを有する三次元データを取得することができなかった。
【0005】
そこで、正確なスケールを有する三次元データを取得するために、特許文献2(特開2020-161034号公報)のような方法が提案されている。
特許文献2の方法によれば、測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置し、デジタルカメラによって複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データをコンピュータに入力し、各基準物の判明している大きさ及び形状をコンピュータに入力し、コンピュータは、複数の画像データ又は複数の位置データから測定対象物及び各基準物が含まれる点群データを取得し、点群データにおいて、各基準物における入力された大きさ及び形状に対して所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定し、認定した各基準物が、入力された大きさ及び形状となるように点群データを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ全体のスケールを設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-36897号公報
【特許文献2】特開2020-161034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載した方法によると、生成した点群データに対して、認定した各基準物が入力された大きさ及び形状となるように点群データを伸縮させ及び/又はねじれを加えて、点群データにスケールを付与することを1つのコンピュータ内で実行している。
また、点群データを伸縮させ及び/又はねじれを加える手法、すなわち三次元データの座標を変換するための変換行列の算出方法は常に進化しており、最新の算出方法により算出された変換行列を使用する必要がある。しかし、変換行列の算出方法は企業秘密に属する内容であり、変換行列の算出方法を広く公開してしまうと最新の変換行列の算出方法を創出した企業や個人の利益が損なわれる可能性があるため、変換行列の算出方法は秘匿にしておきたいという要望がある。
【0008】
一方、点群データにスケールを付与する方法を一般に広く利用してほしいという要望もあるが、従来の方法では、この方法を利用する者が個々に最新の変換行列の算出方法をアップデートしなくてはならず煩雑であるため、一般に広く利用してもらう際の障害になっているという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、変換行列の算出方法を秘匿にすることができ、且つ一般に広く利用可能な、三次元データにスケールを付与できるシステムを提供することにある。
【0010】
本発明にかかる三次元データスケール付与システムによれば、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、1又は複数のクライアントコンピュータと、各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、各前記クライアントコンピュータは、測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してデジタルカメラによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している大きさ及び形状に対し、所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定する機能と、基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データ、及び各基準物の各辺の長さに関するデータを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、前記サーバコンピュータは、前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した基準物が、前記クライアントコンピュータから受信した各辺の長さデータとなるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、前記クライアントコンピュータは、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴としている。
この構成を採用することによって、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
また、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルはデータ量が大きいため、直接サーバコンピュータへ点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを送信することは困難であるが、スケール付与に必要な各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の位置データのみをサーバコンピュータへ送信し、サーバコンピュータからは変換行列のみをクライアントコンピュータに送信するので、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとの間のデータのやりとりも容易であり、スムーズに点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのスケールを設定できる。
【0011】
また、請求項1記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してデジタルカメラによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している大きさ及び形状に対し、所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定する機能と、基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データ、及び各基準物の各辺の長さに関するデータを前記サーバコンピュータに送信する機能と、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【0012】
請求項1記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した基準物が、前記クライアントコンピュータから受信した各辺の長さデータとなるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【0013】
本発明にかかる三次元データスケール付与システムによれば、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、1又は複数のクライアントコンピュータと、各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、各前記クライアントコンピュータは、測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してデジタルカメラによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している各辺の長さに対し、所定の誤差範囲に含まれる辺の長さを有する物体を基準物として認定する機能と、基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、前記サーバコンピュータは、前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した基準物が、正多面体となるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、前記クライアントコンピュータは、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴としている。
この構成を採用することによって、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
また、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルはデータ量が大きいため、直接サーバコンピュータへ点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを送信することは困難であるが、スケール付与に必要な各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の位置データのみをサーバコンピュータへ送信し、サーバコンピュータからは変換行列のみをクライアントコンピュータに送信するので、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとの間のデータのやりとりも容易であり、スムーズに点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのスケールを設定できる。
【0014】
請求項4記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してデジタルカメラによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してレーザスキャナによって前記複数の基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している各辺の長さに対し、所定の誤差範囲に含まれる辺の長さを有する物体を基準物として認定する機能と、基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【0015】
請求項4記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した基準物が、正多面体となるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【0016】
本発明にかかる三次元データスケール付与システムによれば、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、1又は複数のクライアントコンピュータと、各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、測定対象物の周囲に、2つの基準点が同一平面上に表示されており、該基準点の2点間の長さが判明しており且つ特殊模様が付された平面状基準物を複数配置してデジタルカメラによって前記複数の平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって前記複数の平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記平面状基準物における特殊模様を有する物体を平面状基準物として認定する機能と、平面状基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、2つの基準点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、前記サーバコンピュータは、前記クライアントコンピュータから受信した各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各平面状基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した平面状基準物の2つの基準点が予め設定された長さとなるように、各平面状基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、前記クライアントコンピュータは、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴としている。
この構成を採用することによって、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの平面状基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
また、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルはデータ量が大きいため、直接サーバコンピュータへ点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを送信することは困難であるが、スケール付与に必要な各平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の位置データのみをサーバコンピュータへ送信し、サーバコンピュータからは変換行列のみをクライアントコンピュータに送信するので、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとの間のデータのやりとりも容易であり、スムーズに点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのスケールを設定できる。
【0017】
請求項7記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、測定対象物の周囲に、2つの基準点が同一平面上に表示されており、該基準点の2点間の長さが判明しており且つ特殊模様が付された平面状基準物を複数配置してデジタルカメラによって前記複数の平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって前記複数の平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記平面状基準物における特殊模様を有する物体を平面状基準物として認定する機能と、平面状基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、2つの基準点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの平面状基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【0018】
請求項7記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、前記クライアントコンピュータから受信した各平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各平面状基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した平面状基準物の2つの基準点が予め設定された長さとなるように、各平面状基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の三次元データスケール付与システムによれば、三次元データの座標を変換するための変換行列の算出方法を秘匿し、且つ広く一般に利用可能な三次元データスケール付与システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】三次元データスケール付与システムの全体構成を示す概略説明図である。
図2】測定対象物の周囲に基準物を配置した説明図である。
図3図2の平面図である。
図4】クライアントコンピュータの構成を示すブロック図である。
図5】クライアント用プログラムのフローチャートである。
図6】クライアント用プログラムの動作の概略説明図である。
図7】サーバコンピュータの構成を示すブロック図である。
図8】サーバ用プログラムのフローチャートである。
図9】サーバ用プログラムの動作の概略説明図である。
図10】変換行列を受け取ったクライアント用プログラムの動作の概略説明図である。
図11】歪み補正前の三次元データと歪み補正後の三次元データを比較する説明図である。
図12】第2実施形態における平面状基準物の説明図である。
図13】第2実施形態における測定対象物の周囲に複数の平面状基準物を配置した説明図である。
図14】第2実施形態におけるクライアント用プログラムのフローチャートである。
図15】第2実施形態におけるクライアント用プログラムの動作の概略説明図である。
図16】第2実施形態におけるサーバ用プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態は、測定対象物の周囲に予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置して、デジタルカメラによって測定対象物及び基準物を撮影し、その画像データに基づいて点群データを取得する点群データを取得していく方法である。
なお、本発明において三次元データとは、点群データだけでなく、点群データの点群に基づいたワイヤーフレームに面を張ったモデルを含むものとする。
【0022】
まず、本実施形態のシステム全体の構成について、図1に基づいて説明する。
本システム10は、サーバコンピュータ(以下、単にサーバと称する場合がある)12と、サーバ12とデータ通信可能となるようにインターネット11等の電気通信回線によって接続されている1又は複数台のクライアントコンピュータ(以下、単にクライアントPCと称する場合がある)14とを備えている。
【0023】
三次元データにスケールを付与するサービスを提供する事業者が、サーバ12を管理している。サーバ12は、インターネット11に接続されて各クライアントPC14との間でデータの送受信を実行可能である。サーバ12には、サーバ用プログラムP1が実行可能となるようにインストールされている。
【0024】
クライアントPC14は、事業者から三次元データにスケールを付与するサービスの提供を受けるクライアント(個人又は法人など)が所有するものであり、予め事業者から提供されたクライアント用プログラムP2が実行可能となるようにインストールされている。
【0025】
続いて、三次元データにスケールを付与する方法の流れを説明する。
最初に、測定対象物の撮影について説明する。
図2は測定対象物と基準物の配置状態を示す斜視図であり、図3は測定対象物と基準物の配置状態を示す平面図である。
測定対象物20は、どのようなものであってもかまわないが、図2図3では多面体形状の物体を例として挙げている。
【0026】
作業者は、測定対象物20の周囲に、測定対象物20を取り囲むように複数の基準物22a~22dを設置する。図2図3に示す例では、測定対象物20の周囲4箇所に立方体の基準物22a~22dを設置している。このことにより、点群データにおいては立方体の各基準物22a~22dで囲まれた内側に測定対象物20が配置されることになる。つまり図2に示すように、各基準物22a~22dの内側(測定対象物側)の任意の点を結ぶ直線で構成される四角形の内側に測定対象物20が配置されるよう、測定対象物20の周囲に各基準物22a~22dを配置する。
【0027】
本実施形態における基準物は、予めその大きさと形状が判明しているものであればどのようなものであっても構わないが、直線部分を有し且つその直線部分の長さが判明しているものである。本実施形態の基準物は、それぞれ大きさが異なる複数の立方体を採用しており、各立方体の辺の長さは予め測定されている。
図2図3の左手前の基準物22aの一辺の長さは2.0cm、右手前の基準物22bの一辺の長さは2.1cm、左奥の基準物22cの一辺の長さは2.1cm、右奥の基準物22dの一辺の長さは2.3cmであるとする。
ただし、複数の基準物の辺の長さはすべて同じであってもよい。例えば、複数の基準物全てが、一辺の長さが2.0cmの立方体であってもよい。
【0028】
基準物としては、その形状は立方体に限定するものではない。例えば直方体であってもよいし、他の形状であってもよい。
基準物の形状は、少なくとも長さが判明している直線部分(辺)が少なくとも1箇所形成されているものであればよい。
【0029】
次に、作業者はデジタルカメラで測定対象物を様々な角度から、測定対象物20及び複数の基準物22の全周囲をカバーできるように複数枚撮影する。また、撮影は、撮影範囲をオーバーラップさせて行うことが必要である。オーバーラップさせた部分については、後述するようにデータのマッチング処理を行う。
さらに、撮影枚数としては、正確な点群データを取得するためには多いほど良いが、クライアントPC14における処理時間との兼ね合いで作業者が適宜決定する。
【0030】
撮影完了後、作業者は、撮影した画像データをクライアントPC14に取り込ませる。
また、作業者は、基準物22a~22dの大きさ及び形状(本実施形態では各基準物は立方体であるので、立方体であること及び各基準物における一辺の長さ)をクライアントPC14に入力する作業を行う。
なお、基準物22a~22dの大きさ及び形状のクライアントPC14への入力作業は、画像データをクライアントPC14に取り込ませる前であってもよい。
【0031】
次に、図4にクライアントPC14の内部構成の概略を示す。
クライアントPC14は、一般的なパーソナルコンピュータを採用することができ、内部に制御部32と、記憶装置34、インターネット11等の電気通信回線と接続する通信機器37と、マウスやキーボード等から構成される入力装置36と、点群データを表示するモニタ38とを有している。
制御部32は、中央処理演算装置(CPU等)、メモリ(ROM、RAM)等を含み、クライアントPC14の全体動作を制御するとともに、記憶装置34に記憶されているプログラムに基づく機能を実行制御する。
またクライアントPC14は、GPUを備えたグラフィックボードを搭載していてもよい。
【0032】
記憶装置34は、ハードディスクドライブやSSD等から構成されている。記憶装置34は、撮影した画像データが記憶されるほか、三次元データにスケールを付与するためのクライアント用プログラムP2が記憶されている。
本実施形態における三次元データにスケールを付与するためのクライアント用プログラムP2は、画像データから点群データを生成する機能P2Aを有する。画像データから点群データを生成する機能自体は、公知である。ちなみに既存の点群データ生成プログラムとして、画像データから点群データを生成するStructure from Motion(SfM)やMulti-View Stereo(MVS)と呼ばれるソフトウェアが知られている。
【0033】
さらに、クライアント用プログラムP2は、点群データから基準物を検出する機能P2B、基準物を平面推定する機能P2C、基準物の頂点の座標を算出する機能P2D、頂点の座標を基準物ごとにグループ化して座標データとして送信する機能P2Eを有している。
なお、本実施形態におけるクライアント用プログラムP2は、点群データ生成機能P2A、基準物検出機能P2B、平面推定機能P2C、座標算出機能P2D、送信機能P2Eをそれぞれ別個のプログラムとして記憶装置34に記憶されていてもよい。
【0034】
次にクライアント用プログラムP2の動作概略を図5及び図6に基づいて説明する。
クライアント用プログラムP2は、実行開始されると、点群データ生成機能P2Aにより、取り込んだ複数の画像データから複数の特徴点を抽出する(ステップS101)。特徴点としては、他の箇所と色彩や形状が異なっている個所などを多く抽出する。
【0035】
次に、点群データ生成機能P2Aは、複数の画像データの特徴同士をマッチングさせるマッチング処理を実行する(ステップS102)。マッチング処理によって複数の画像データが点群データとして生成される(ステップS103)。
なお、点群データ生成機能P2Aは、マッチング処理までの間にカメラパラメータ等の入力による行列演算により、点群データが相対的に正しい位置となるように点群データを生成してもよい。
【0036】
続いて、クライアント用プログラムP2は、基準物検出機能P2Bにより点群データの中から基準物を見つけ出す(ステップS104)。
基準物検出機能P2Bは、上記のように予め作業者が入力した基準物の形状に基づいて実行される。本実施形態では、それぞれ大きさが異なる複数の立方体を基準物としているため、基準物を見つけ出す機能は、点群データの中から同一物体内で長さが同じ辺を複数有する物体を立方体として見つけ出す。
【0037】
基準物検出機能P2Bは、本実施形態では一辺2.0cm、2.1cm、2.3cmの各立方体を見つけ出すことになる。ただし、この時点(点群データの中から基準物を見つけ出す際)では、点群データに正確なスケールが与えられているわけではないので、基準物と思われる物体が、入力された値通りの立方体ではなく、例えば、一辺が2.0cmだが他の辺が2.1cmであったり、立方体の面が正方形ではなく台形であったりする。
【0038】
そこで、基準物検出機能P2Bは、予め入力された基準物の大きさ及び形状(本実施形態では立方体の一辺の長さの値)に対する所定の誤差範囲を予め決めておき、点群データ上で誤差範囲に含まれる範囲の辺の長さを有する物体を、基準物として認定する。
例えば、点群データ上での一辺の長さが、入力した実際の一辺の長さの±5~10%未満であれば、当該基準物として認定するようにする。
なお、基準物検出機能P2Bは、AIを用いることによって迅速かつ正確に基準物を検出できる。
【0039】
次に、クライアント用プログラムP2は、平面推定機能P2Cによって、基準物を平面推定する(ステップS106)。
平面推定機能P2Cは、公知の技術であるが、多数の点群データから基準物における隣接する3つの面を求めることに応用している。
本実施形態の平面推定機能P2Cは、点群データにおける各点が配置される平面を3面推定する。3つの平面が正確に推定できると、3つの面の交点としての頂点が正確に割り出される。
【0040】
次に、クライアント用プログラムP2は、座標算出機能P2Dによって、平面推定機能P2Cにより得られた基準物の各頂点の三次元データ上における座標を算出する(ステップS108)。
【0041】
そして、クライアント用プログラムP2は、送信機能P2Eによって、基準物ごとに算出した各頂点の座標をグループ化し、基準物ごとにグループ化した各頂点の座標を座標データとしてサーバ12へ送信する(ステップS110)。
なお、クライアント用プログラムP2は、送信機能P2Eによって、作業者により予め入力された各基準物の大きさ及び形状(本実施形態では、各基準物が立方体であること、及び各立方体の一辺の長さ)もサーバ12へ送信する。
【0042】
次に、サーバ側の構成及び動作について説明する。
図7にサーバ12の内部構成の概略を示す。
サーバ12は、サーバ用コンピュータを採用することができ、内部に制御部42と、記憶装置44、インターネット11等の電気通信回線と接続する通信機器47と、マウスやキーボード等から構成される入力装置46と、モニタ48とを有している。なお、入力装置46やモニタ48は本発明の実施に特に必要となる構成ではない。
【0043】
制御部42は、中央処理演算装置(CPU等)、メモリ(ROM、RAM)等を含み、サーバ12の全体動作を制御するとともに、記憶装置44に記憶されているプログラムに基づく機能を実行制御する。またサーバ12は、GPUを備えたグラフィックボードを搭載していてもよい。
【0044】
記憶装置44は、ハードディスクドライブやSSD等から構成されている。記憶装置44は、クライアントPC14から送信された基準物の各頂点の座標データや基準物の大きさ及び形状を記憶するほか、三次元データにスケールを付与するためのサーバ用プログラムP1が記憶されている。
本実施形態における三次元データにスケールを付与するためのサーバ用プログラムP1は、クライアントPC14から受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいて各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能P1A、再現した各基準物の歪みを検出する機能P1B、歪みのある基準物を正常な形状に戻すための変換行列を算出する機能P1C、変換行列をクライアントPC14へ送信する機能P1Dを備えている。
【0045】
次に、サーバ用プログラムP1の動作概略を図8図10に基づいて説明する。
サーバ12のサーバ用プログラムP1は、基準物再現機能P1Aによって、クライアントPC14から受信した、基準物ごとにグループ化された座標データに基づいて、各基準物を三次元データ上で再現する(ステップS200)。
【0046】
次に、サーバ用プログラムP1は、歪み検出機能P1Bによって、再現された各基準物の歪みを検出する(ステップS202)。
本実施形態では基準物は全て立方体であることが判明しているため、歪み検出機能P1Bは、再現された各立方体の辺の長さの比率を求める。1つの基準物のうち辺の長さの比率が異なる場合には、この基準物には歪みがあると判断する。
【0047】
次に、サーバ用プログラムP1は、検出した歪みに対して、変換行列算出機能P1Cによって、立方体である基準物の各辺が、予めクライアントPC14から送信された一辺の長さとなるような変換行列を算出する(ステップS204)。
変換行列は、基準物を伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、基準物の各辺の長さが、予めクライアントPC14から送信された一辺の長さとなるように三次元データを補正するものである。三次元データを伸縮させ及び/又はねじれを加える方法として、アフィン変換を挙げることができる。アフィン変換は、コンピュータグラフィックスにおいて図形を拡大、縮小、回転、平行移動、せん断させる公知の手法である。
なお、基準物が立方体の場合には、変換行列算出機能P1Cにおいて、1つの基準物内の各辺の長さの比率が同じ比率となるように三次元データを補正する変換行列を算出してもよい。
【0048】
また、変換行列算出機能P1Cについては、常に最新の変換行列の算出手法を適用できるよう、サーバ12を管理する事業者が変換行列算出機能P1Cをアップデートする必要がある。
【0049】
サーバ用プログラムP1は、送信機能P1Dによって、算出した変換行列をクライアントPC14へ送信する(ステップS206)。
【0050】
続いて、変換行列を受信したクライアントPC14の動作を図5図10に基づいて説明する。
クライアントPC14のクライアント用プログラムP2は、サーバ12から送信されてきた変換行列に基づいて各基準物の点群データを補正する(ステップS120)。
【0051】
なお、変換行列は、基準物ごとに異なる変換行列であるため、クライアント用プログラムP2は、基準物ごとに対応した変換行列に基づいて点群データを補正する。
点群データ内の全ての基準物に対して、サーバ12から送信されてきたそれぞれに対応する変換行列を適用させることにより、測定対象物20を含む三次元データ全体に、正確なスケールが付与される。
【0052】
図11に、測定対象物20の三次元データ全体に正確なスケールを付与する前と、正確なスケールを付与した後の一例を示す。
この例では、遺跡から出土した土器を想定対象物とし、この土器の三次元データを得た例について示している。図面左側の歪み補正前と記載されているものは、本実施形態による正確なスケール付与を施していない三次元データであり、土器の周囲に配置されている基準物の各辺の長さがバラバラであり、また土器も歪んでいることが一目で判明する。
一方、図面右側の歪み補正後と記載されているものは、本実施形態による正確なスケール付与を施した三次元データであり、土器の周囲に配置されている基準物の各辺の長さが10cmに揃っており、また土器の歪みも補正されていることがわかる。
このように、本実施形態における三次元データスケール付与システムによれば、歪みのない正確な三次元データを得ることができる。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態は、基準物を平面状基準物とした形態である。なお、上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図12に平面状基準物の例を示す。
図12には3つの平面状基準物50を示している。各平面状基準物50は、例えば紙やプラスチック板で構成された薄い長方形状であり、中心に白丸が形成されている黒丸が、所定距離離れて2つ形成されている。黒丸の中心の白丸が基準点となる。以下、基準点が中心に形成された黒丸をマーカー52と称して説明する。
2つのマーカー52の基準点同士の間の距離(白丸間の距離)は、平面状基準物50を作成する際に予め設定しておく。本実施形態では、基準点間距離を10cmに設定している。
【0054】
なお、図12に示す平面状基準物には、マーカー52の周囲に複数の円弧状の形状が形成されている。これは、マーカーであることを認識させるためと、基準物の固有番号を認識させるための両方の意味がある。以下、この円弧状の形状を識別部54と称する。
もし、識別部54が無い場合には、マーカー52は単なる黒丸であり、クライアントPC14のクライアント用プログラムP2が、このマーカー52の中心の白丸を基準点であると認識することが難しい場合がある。例えば、他に円形の箇所があればその箇所をマーカーとして誤認識してしまう可能性もある。
そこで、マーカー52の周囲にさらに複数の円弧からなる識別部54を配置し、この識別部54を含む形状を基準物であるとしてクライアント用プログラムP2に予め認識させておくことにより、点群データにおいて、識別部54を認識することでマーカー52の中心にある白丸が基準点であるということを認識することができる。
【0055】
また、マーカー52のそれぞれの周囲に配置された識別部54は、全て異なる形状にしている。
例えば、図12には、平面状基準物50の例を3つ記載しており、1つの平面状基準物50には2つのマーカー52が形成されている。1つの平面状基準物においても2箇所の識別部54はそれぞれ異なる円弧長のものが同じ個数か又は異なる個数配置されている。
また、ある平面状基準物50と、他の平面状基準物50とでは、形成されている識別部54が全て異なっている。
【0056】
つまり、平面状基準物50に形成される識別部54は、全て異なる形状を有しており、1つ1つのマーカー52を識別できるようにしている。1つ1つのマーカー52を識別できるようにすることによって、どの基準点同士の組み合わせが正しい組み合わせなのかをクライアント用プログラムP2が把握し、点群データから抽出した1つの平面状基準物50内の2つ基準点の座標をグループ化してサーバ12へ送信することができる。
【0057】
以下、本実施形態による三次元データへのスケール付与の流れについて説明する。
図13は、測定対象物20の周囲に複数の平面状基準物50を配置したところを示す。平面状基準物50は、地表面に配置するだけでなく、壁面への貼り付けも可能であるため、高さ方向へのスケール付与の正確性が高められる。
【0058】
作業者はデジタルカメラで測定対象物を様々な角度から、測定対象物20及び複数の平面状基準物50の全周囲をカバーできるように複数枚撮影する。また、撮影は、撮影範囲をオーバーラップさせて行う。オーバーラップさせた部分については、後述するようにデータのマッチング処理を行う。
さらに、撮影枚数としては、正確な点群データを取得するためには多いほど良いが、クライアントPC14における処理時間との兼ね合いで作業者が適宜決定する。
【0059】
撮影完了後、作業者は、撮影した画像データをクライアントPC14に取り込ませる。
また、作業者は、クライアントPC14に、基準物が平面状基準物であることを入力し、さらに各マーカー52の識別部54を含む形状をクライアントPC14に読み取らせ、識別部54の相違によって全てのマーカーに対して識別番号を付与する。また、1枚の平面状基準物50内における2つの識別番号は対になるものとしてクライアントPC14に記憶させる。
そして作業者は、1枚の平面状基準物50に存在する2つのマーカー52の基準点間の距離を入力する。基準点間の距離は、設定された識別番号同士の距離として設定する。
なお、各マーカー52の識別部54を含む形状、及び各基準点間の距離の入力作業は、撮影した画像データをクライアントPC14に取り込ませる前であってもよい。
【0060】
次にクライアント用プログラムP2の動作概略を図14及び図15に基づいて説明する。
クライアント用プログラムP2は、実行開始されると、点群データ生成機能P2Aにより、取り込んだ複数の画像データから複数の特徴点を抽出する(ステップS301)。特徴点としては、他の箇所と色彩や形状が異なっている個所などを多く抽出する。
【0061】
次に、点群データ生成機能P2Aは、複数の画像データの特徴同士をマッチングさせるマッチング処理を実行する(ステップS302)。マッチング処理によって複数の画像データが点群データとして生成される(ステップS303)。
なお、点群データ生成機能P2Aは、マッチング処理までの間にカメラパラメータ等の入力による行列演算により、点群データが相対的に正しい位置となるように点群データを生成してもよい。
【0062】
続いて、クライアント用プログラムP2は、基準物検出機能P2Bにより点群データの中から基準物を見つけ出す(ステップS304)。
基準物検出機能P2Bは、上記のように予め作業者が読み取らせた平面状基準物50のマーカー52及び識別部54を含む形状を探す。平面状基準物50に形成されているマーカー52は識別部54によってそれぞれ特有の形状として設定されているので、基準物検出機能P2Bは、識別番号とともにマーカー52を認識する。
【0063】
なお、クライアント用プログラムP2は、基準物が平面状基準物であることを認識しているため、平面推定機能P2Cを実行せずに、次の座標算出機能P2Dを実行する。
クライアント用プログラムP2は、座標算出機能P2Dによって、検出した各平面状基準物50における対となる基準点の座標を算出する(ステップS308)。
【0064】
そして、クライアント用プログラムP2は、送信機能P2Eによって、平面状基準物50ごとの基準点の座標をグループ化し、平面状基準物50ごとにグループ化した各基準点座標を座標データとしてサーバ12へ送信する(ステップS310)。
なお、クライアント用プログラムP2は、送信機能P2Eによって、基準物が平面状基準物であること、各平面状基準物の基準点同士の距離もサーバ12へ送信する。
【0065】
次に、サーバ用プログラムP1の動作概略を図16に基づいて説明する。
サーバ12のサーバ用プログラムP1は、基準物再現機能P1Aにより、クライアントPC14から受信した、平面状基準物ごとにグループ化された基準点の座標データに基づいて、各基準点を三次元データ上で再現する(ステップS400)。
【0066】
次に、サーバ用プログラムP1は、歪み検出機能P1Bによって、平面状基準物ごとの基準点間の距離を検出して歪みの有無を判断する(ステップS402)。
平面状基準物内の2つの基準点同士の距離がクライアントPC14より送られてきているため、歪み検出機能P1Bは、三次元データ上で再現した各基準点同士の距離がクライアントPC14より送られてきた各基準点同士の距離と異なる場合には歪みがあると判断する。
【0067】
次に、サーバ用プログラムP1は、変換行列算出機能P1Cによって、三次元データ上で再現した各基準点同士の距離が、クライアントPC14より送られてきた各基準点同士の距離と一致させるような変換行列を算出する(ステップS404)。
変換行列は、各基準点同士の位置を伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、クライアントPC14より送られてきた各基準点同士の距離となるように三次元データを補正するものである。三次元データを伸縮させ及び/又はねじれを加える方法として、アフィン変換を挙げることができる。アフィン変換は、コンピュータグラフィックスにおいて図形を拡大、縮小、回転、平行移動、せん断させる公知の手法である。
【0068】
サーバ用プログラムP1は、算出した変換行列をクライアントPC14へ送信する(ステップS406)。
【0069】
続いて、変換行列を受信したクライアントPC14の動作を図14に基づいて説明する。
クライアントPC14のクライアント用プログラムP2は、サーバ12から送信されてきた変換行列に基づいて平面状基準物50の点群データを補正する(ステップS320)。
【0070】
なお、変換行列は、平面基準物ごとに異なる変換行列であるため、クライアント用プログラムP2は、平面基準物ごとに対応した変換行列に基づいて点群データを補正する。
点群データ内の全ての平面基準物に対して、サーバ12から送信されてきたそれぞれに対応する変換行列を適用させることにより、測定対象物20を含む三次元データ全体に、正確なスケールが付与される。
【0071】
(他の実施形態)
上述してきた第1実施形態及び第2実施形態は、測定対象物の周囲に複数の基準物や複数の平面状基準物を配置して点群データを取得するものであった。
しかし、測定対象物の周囲に大きさ及び形状が判明している構造物が設けられている場合には、この構造物を基準物の代わりに用いることもできる。
【0072】
なお、上述してきた各実施形態では、デジタルカメラで撮影した複数の画像データに基づいて点群データを生成した例を説明した。
しかし、本発明における点群データの生成はレーザスキャナによって得られた位置データに基づいてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 三次元データスケール付与システム
11 インターネット
12 サーバコンピュータ
14 クライアントコンピュータ
20 測定対象物
22 基準物
32 制御部
34 記憶装置
36 入力装置
37 通信機器
38 モニタ
42 制御部
44 記憶装置
46 入力装置
47 通信機器
48 モニタ
50 平面状基準物
52 マーカー
54 識別部
P1 サーバ用プログラム
P1A 基準物再現機能
P1B 歪み検出機能
P1C 変換行列算出機能
P1D 送信機能
P2 クライアント用プログラム
P2A 点群データ生成機能
P2B 基準物検出機能
P2C 平面推定機能
P2D 座標算出機能
P2E 送信機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明にかかる三次元データスケール付与システムによれば、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、1又は複数のクライアントコンピュータと、各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、各前記クライアントコンピュータは、測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してデジタルカメラによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している大きさ及び形状に対し、所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定する機能と、基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データ、及び各基準物の各辺の長さに関するデータを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、前記サーバコンピュータは、前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した基準物が、前記クライアントコンピュータから受信した各辺の長さデータとなるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、前記クライアントコンピュータは、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴としている。
この構成を採用することによって、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
また、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルはデータ量が大きいため、直接サーバコンピュータへ点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを送信することは困難であるが、スケール付与に必要な各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の位置データのみをサーバコンピュータへ送信し、サーバコンピュータからは変換行列のみをクライアントコンピュータに送信するので、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとの間のデータのやりとりも容易であり、スムーズに点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのスケールを設定できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、請求項1記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してデジタルカメラによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データにおいて、各前記基準物における予め判明している大きさ及び形状に対し、所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定する機能と、基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データ、及び各基準物の各辺の長さに関するデータを前記サーバコンピュータに送信する機能と、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明にかかる三次元データスケール付与システムによれば、点群データによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、1又は複数のクライアントコンピュータと、各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、各前記クライアントコンピュータは、測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してデジタルカメラによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している各辺の長さに対し、所定の誤差範囲に含まれる辺の長さを有する物体を基準物として認定する機能と、基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、前記サーバコンピュータは、前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した基準物が、正多面体となるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、前記クライアントコンピュータは、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴としている。
この構成を採用することによって、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
また、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルはデータ量が大きいため、直接サーバコンピュータへ点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを送信することは困難であるが、スケール付与に必要な各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の位置データのみをサーバコンピュータへ送信し、サーバコンピュータからは変換行列のみをクライアントコンピュータに送信するので、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとの間のデータのやりとりも容易であり、スムーズに点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのスケールを設定できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項4記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してデジタルカメラによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してレーザスキャナによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している各辺の長さに対し、所定の誤差範囲に含まれる辺の長さを有する物体を基準物として認定する機能と、基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明にかかる三次元データスケール付与システムによれば、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、1又は複数のクライアントコンピュータと、各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、測定対象物の周囲に、2つの基準点が同一平面上に表示されており、該基準点の2点間の長さが判明しており且つ特殊模様が付された平面状基準物を複数配置してデジタルカメラによって複数の前記平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって複数の前記平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記平面状基準物における特殊模様を有する物体を平面状基準物として認定する機能と、平面状基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、2つの基準点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、前記サーバコンピュータは、前記クライアントコンピュータから受信した各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各平面状基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、前記再現した平面状基準物の2つの基準点が予め設定された長さとなるように、各平面状基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、前記クライアントコンピュータは、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴としている。
この構成を採用することによって、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの平面状基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
また、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルはデータ量が大きいため、直接サーバコンピュータへ点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを送信することは困難であるが、スケール付与に必要な各平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の位置データのみをサーバコンピュータへ送信し、サーバコンピュータからは変換行列のみをクライアントコンピュータに送信するので、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとの間のデータのやりとりも容易であり、スムーズに点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのスケールを設定できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項7記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、測定対象物の周囲に、2つの基準点が同一平面上に表示されており、該基準点の2点間の長さが判明しており且つ特殊模様が付された平面状基準物を複数配置してデジタルカメラによって複数の前記平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって複数の前記平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記平面状基準物における特殊模様を有する物体を平面状基準物として認定する機能と、平面状基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、2つの基準点を検出する機能と、前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴としている。
この構成によれば、クライアントコンピュータ側では、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルの平面状基準物をどのように伸縮させ及び/又はねじれを加えるかについての変換行列を算出しなくてもよく、サーバコンピュータ側では最新の変換行列の算出方法をアップデートしておけば、クライアントコンピュータ側でも最新の変換行列の算出方法に基づいた変換行列を使用して三次元データにスケールを付与することができる。このように、サーバコンピュータ側のみで最新の変換行列の算出方法をアップデートするためクライアントコンピュータ側に対して変換行列の算出方法を秘匿にできる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、
1又は複数のクライアントコンピュータと、
各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、
各前記クライアントコンピュータは、
測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してデジタルカメラによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している大きさ及び形状に対し、所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定する機能と、
基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データ、及び各基準物の各辺の長さに関するデータを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、
前記サーバコンピュータは、
前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した基準物が、前記クライアントコンピュータから受信した各辺の長さデータとなるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、
前記クライアントコンピュータは、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴とする三次元データスケール付与システム。
【請求項2】
請求項1記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してデジタルカメラによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データにおいて、各前記基準物における予め判明している大きさ及び形状に対し、所定の誤差範囲に含まれる大きさ及び形状を有する物体を基準物として認定する機能と、
基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データ、及び各基準物の各辺の長さに関するデータを前記サーバコンピュータに送信する機能と、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項3】
請求項1記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した基準物が、前記クライアントコンピュータから受信した各辺の長さデータとなるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項4】
点群データによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、
1又は複数のクライアントコンピュータと、
各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、
各前記クライアントコンピュータは、
測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してデジタルカメラによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め大きさ及び形状が判明している基準物を複数個配置してレーザスキャナによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している各辺の長さに対し、所定の誤差範囲に含まれる辺の長さを有する物体を基準物として認定する機能と、
基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、
前記サーバコンピュータは、
前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した基準物が、正多面体となるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、
前記クライアントコンピュータは、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴とする三次元データスケール付与システム。
【請求項5】
請求項4記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してデジタルカメラによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又は測定対象物の周囲に、予め各辺の長さが判明している正多面体である基準物を複数個配置してレーザスキャナによって複数の前記基準物を含めて前記測定対象物をスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記基準物における予め判明している各辺の長さに対し、所定の誤差範囲に含まれる辺の長さを有する物体を基準物として認定する機能と、
基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、基準物の外郭を構成する複数の頂点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各基準物のそれぞれにおいて検出した複数の頂点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項6】
請求項4記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
前記クライアントコンピュータから受信した複数の頂点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した基準物が、正多面体となるように、各基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項7】
点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルによって構成された三次元データにスケールを付与するシステムであって、
1又は複数のクライアントコンピュータと、
各前記クライアントコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されているサーバコンピュータと、を具備し、
測定対象物の周囲に、2つの基準点が同一平面上に表示されており、該基準点の2点間の長さが判明しており且つ特殊模様が付された平面状基準物を複数配置してデジタルカメラによって複数の前記平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって複数の前記平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記平面状基準物における特殊模様を有する物体を平面状基準物として認定する機能と、
平面状基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、2つの基準点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、を有し、
前記サーバコンピュータは、
前記クライアントコンピュータから受信した各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各平面状基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した平面状基準物の2つの基準点が予め設定された長さとなるように、各平面状基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を有し、
前記クライアントコンピュータは、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能を有することを特徴とする三次元データスケール付与システム。
【請求項8】
請求項7記載の三次元データスケール付与システムにおける、クライアントコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
測定対象物の周囲に、2つの基準点が同一平面上に表示されており、該基準点の2点間の長さが判明しており且つ特殊模様が付された平面状基準物を複数配置してデジタルカメラによって複数の前記平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度から撮影した画像データ、又はレーザスキャナによって複数の前記平面状基準物を含めて前記測定対象物を様々な角度からスキャンニングして取得した位置データから前記測定対象物及び各前記平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを取得する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおいて、各前記平面状基準物における特殊模様を有する物体を平面状基準物として認定する機能と、
平面状基準物として認定された前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、2つの基準点を検出する機能と、
前記点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルのうち、各前記平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データを前記サーバコンピュータに送信する機能と、
前記サーバコンピュータから受信した変換行列に基づいて各平面状基準物の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルを伸縮させ及び/又はねじれを加えることにより、点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデル全体のスケールを設定する機能と、を前記クライアントコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。
【請求項9】
請求項7記載の三次元データスケール付与システムにおける、サーバコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
前記クライアントコンピュータから受信した各平面状基準物の2つの基準点の三次元データ上の座標データに基づいてクライアントコンピュータ上の点群データ又は点群に基づくワイヤーフレームに面を張ったモデルにおける各平面状基準物の形状を三次元データ上で再現する機能と、
前記再現した平面状基準物の2つの基準点が予め設定された長さとなるように、各平面状基準物の形状を三次元データ上で伸縮させ及び/又はねじれを加えるための変換行列を算出する機能と、
算出した変換行列を前記クライアントコンピュータへ送信する機能と、を前記サーバコンピュータに実行させることを特徴とする三次元データスケール付与プログラム。