(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095212
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】炭化水素油の水素化処理触媒用担体、及びその製造方法、並びに炭化水素油の水素化処理触媒、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 32/00 20060101AFI20240703BHJP
B01J 35/60 20240101ALI20240703BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20240703BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20240703BHJP
B01J 37/03 20060101ALI20240703BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20240703BHJP
B01J 23/883 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B01J32/00
B01J35/10 301B
B01J37/08
B01J37/02 101Z
B01J37/03 B
B01J37/00 D
B01J23/883 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212328
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 一樹
(72)【発明者】
【氏名】松元 雄介
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA11
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
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4G169BA05A
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4G169BA43A
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4G169BC65A
4G169BC67A
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4G169BC68A
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4G169FA08
4G169FB05
4G169FB09
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB50
4G169FB61
4G169FB66
4G169FB67
4G169FC08
(57)【要約】
【課題】炭化水素油の水素化処理において高い脱硫活性を示す触媒を形成できる担体を提供すること。
【解決手段】アルミニウム、ケイ素、及び周期表第IV族元素の無機複合酸化物からなる担体であって、ケイ素の含有量が、ケイ素酸化物(SiO2)換算で5.0~25.0質量%であり、前記周期表第IV族元素がチタニウム、ジルコニウム、及びハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記周期表第IV族元素の含有量が酸化物換算で1.0~5.0質量%である、炭化水素油の水素化処理触媒用担体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム、ケイ素、及び周期表第IV族元素の無機複合酸化物からなる担体であって、
ケイ素の含有量が、ケイ素酸化物(SiO2)換算で5.0~25.0質量%であり、
前記周期表第IV族元素がチタニウム、ジルコニウム、及びハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記周期表第IV族元素の含有量が酸化物換算で1.0~5.0質量%である、
炭化水素油の水素化処理触媒用担体。
【請求項2】
250℃におけるピリジン脱着に基づき赤外分光法で測定したルイス酸量が150μmol/g以上、かつブレンステッド酸量が2.0~10μmol/gである請求項1に記載の水素化処理触媒用担体。
【請求項3】
水銀圧入法で測定した平均細孔径が50~90Åであり、
水のポアフィリング法で測定した細孔容積が0.65~0.85ml/gであり、
窒素吸着法で測定した比表面積が350~450m2/gである、
請求項1又は2に記載の水素化処理触媒用担体。
【請求項4】
請求項1に記載の水素化処理触媒用担体と、前記担体に担持された活性金属成分とを含み、前記活性金属成分が周期表第VI族元素、及び周期表第VIII族元素を含む、炭化水素油の水素化処理触媒。
【請求項5】
前記周期表第VI族元素がモリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方であり、
前記周期表第VIII族元素がコバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である、
請求項4に記載の水素化処理触媒。
【請求項6】
前記周期表第VI族元素の担持量が、酸化物換算で、前記担体100質量部に対して15~22質量部の範囲にあり、
前記周期表第VIII族元素の担持量が、酸化物換算で、前記担体100質量部に対して2~8質量部の範囲にある、
請求項4に記載の水素化処理触媒。
【請求項7】
請求項1に記載の水素化処理触媒用担体の製造方法であって、
アルミニウム塩水溶液と、ケイ素酸化物成分と、前記周期表第IV族元素の塩とを混合してスラリーを得る工程と、
前記スラリーの固形分を成型した後、加熱処理して担体を得る工程とを有し、
前記ケイ素酸化物成分の量が、前記水素化処理触媒用担体中で、ケイ素酸化物(SiO2)の量に換算して5.0~25.0質量%となる量であり、
前記周期表第IV族元素の塩の量が、前記水素化処理触媒用担体中で、前記周期表第IV族元素の酸化物の量に換算して1.0~5.0質量%となる量である、
水素化処理触媒用担体の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の水素化処理触媒用担体に、周期表第VI族元素及び周期表第VIII族元素を含む水溶液を含浸させ、次いで前記水溶液が含侵された前記水素化処理触媒用担体を加熱処理して水素化処理触媒を得る、請求項4に記載の水素化処理触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素存在下で炭化水素油中の硫黄分を除去するための水素化処理触媒、及びその製造方法、並びにこのような水素化処理触媒に用いられる担体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素油の水素化処理は、触媒を用いて高温高圧下にて反応を進行させるが、反応条件を低温、低圧下することによりプロセスの経済性が高まるため、円滑に生産可能で高活性な水素化処理触媒が望まれている。
【0003】
従来、アルミナを主体とした担体に、周期表第VI族元素及びVIII族元素から選ばれた活性金属成分が担持された触媒が広く使用されている。更なる触媒性能の向上のため、担体と活性金属の両側面から、各種成分や調製方法などが検討されている。例えば、担体の固体酸性質を制御することで、難脱性物質に対する活性や水素化分解活性を高めている報告がされている。
【0004】
特許文献1には、シリカを30質量%以上含むシリカ-アルミナに加え、ボリア、チタニア、ジルコニア、トリア及びハフニアからなる群より選択される少なくとも一種の金属成分を金属量として0.01重量%~8重量%含有する担体について開示されている。ブレンステッド酸量が50μmol/g以上である担体に活性成分としてモリブデンやニッケルを担持して水素化処理触媒として用いている。
【0005】
特許文献2には、Al2O3/SiO2/P2O5系で、SiO2とP2O5をそれぞれ0.5~8.0質量%及び1.0~5.0質量%含む担体について開示されている。活性成分としてモリブデンやニッケル、コバルトに加えてリンを配合させ、ブレンステッド酸の発現を最小限にしたうえでルイス酸量を増大させていることが特徴である。
【0006】
特許文献3には、40~90質量%のゼオライトを含むシリカ-アルミナを主体とした担体について開示されている。活性成分として白金、パラジウムなどの貴金属を担持している水素化処理触媒として用いている。ゼオライトと非結晶性のシリカ-アルミナとの組み合わせが、貴金属触媒の活性の改善及び触媒の性能の改善の両方を生じる、すなわち水素化された供給原料の改善された特性を生じると記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-5600号公報
【特許文献2】国際公開第2020/066555号
【特許文献3】特表2003-531002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、環境規制が厳しくなる中、水素化処理生成油中の硫黄濃度をできるだけ下げることが求められている。既存の触媒には、炭化水素油の水素化処理用途における活性の点でさらなる改良の余地があった。
【0009】
本発明は、水素化脱硫活性に優れる、炭化水素油の水素化処理触媒の製造に有用な担体、及びその製造方法、並びに水素化脱硫活性に優れる、炭化水素油の水素化処理触媒、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、たとえば以下の[1]~[8]に関する。
[1]
アルミニウム、ケイ素、及び周期表第IV族元素(以下、「第三元素」ともいう。)の無機複合酸化物からなる担体であって、
ケイ素の含有量が、ケイ素酸化物(SiO2)換算で5.0~25.0質量%であり、
前記第三元素がチタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びハフニウム(Hf)であり、その含有量が前記第三元素の酸化物(TiO2、ZrO2又はHfO2)換算で1.0~5.0質量%である、
炭化水素油の水素化処理触媒用担体。
【0011】
[2]
250℃におけるピリジン脱着に基づき赤外分光法で測定したルイス酸量が150μmol/g以上であり、かつブレンステッド酸量が2.0~10μmol/gである、前記[1]の水素化処理触媒用担体。
【0012】
[3]
水銀圧入法で測定した平均細孔径が50~90Åであり、水のポアフィリング法で測定した細孔容積が0.65~0.85ml/gであり、窒素吸着法で測定した比表面積が350~450m2/gである、前記[1]又は[2]の水素化処理触媒用担体。
【0013】
[4]
前記[1]~[3]のいずれかの水素化処理触媒用担体と、前記担体に担持された活性金属成分とを含み、前記活性金属成分が周期表第VI族元素、及び周期表第VIII族元素を含む、炭化水素油の水素化処理触媒。
【0014】
[5]
前記周期表第VI族元素から選ばれる元素がモリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方であり、
周期表第VIII族元素から選ばれる元素がコバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である、
前記[4]の水素化処理触媒。
【0015】
[6]
前記周期表第VI族元素の担持量が、酸化物換算で、前記担体100質量部に対して15~22質量部の範囲にあり、
前記周期表第VIII族元素の担持量が、酸化物換算で、前記担体100質量部に対して2~8質量部の範囲にある、
前記[4]又は[5]の水素化処理触媒。
【0016】
[7]
前記[1]の水素化処理触媒用担体の製造方法であって、
アルミニウム塩水溶液と、ケイ素酸化物成分と、前記第三元素の塩とを混合してスラリーBを得る工程Bと、
前記スラリーBの固形分を成型した後、加熱処理して担体を得る工程Cとを有し、
前記ケイ素酸化物成分の量が、前記水素化処理触媒用担体中で、ケイ素酸化物(SiO2)の量に換算して5.0~25.0質量%となる量であり、
前記第三元素の塩の量が、前記水素化処理触媒用担体中で、前記第三元素の酸化物の量に換算して1.0~5.0質量%となる量である、
水素化処理触媒用担体の製造方法。
【0017】
[7-1]
前記工程Bが、
シリカヒドロゲルを準備する工程A1と、
前記工程A1で準備されたシリカヒドロゲルと塩基性アルミニウム塩水溶液とを混合して混合液(B11)を調製し、酸性アルミニウム塩水溶液と前記第三元素の塩とを混合して混合液(B12)を調製し、前記混合液(B11)と前記混合液(B12)とを混合して前記スラリー(B)を得る工程B1と、
を含む、前記[7]の水素化処理触媒用担体の製造方法。
【0018】
[7-2]
前記工程Bが、
ケイ素及び前記第三元素を含むヒドロゲル(以下、「シリカ複合ヒドロゲル」ともいう。)を得る工程A2と、
工程A2で準備されたシリカ複合ヒドロゲルと塩基性アルミニウム塩水溶液とを混合して混合液(B21)を調製し、前記混合液(B21)と酸性アルミニウム塩水溶液とを混合して前記スラリー(B)を得る工程B2と、
を含む、前記[7]の水素化処理触媒用担体の製造方法。
【0019】
[8]
前記[1]~[3]のいずれかの水素化処理触媒用担体に、周期表第VI族元素及び周期表第VIII族元素を含む水溶液を含浸させ、次いで前記水溶液が含侵された前記水素化処理触媒用担体を加熱処理して水素化処理触媒を得る、前記[4]の水素化処理触媒の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の水素化処理触媒用担体を用いることにより、炭化水素油の水素化処理において優れた脱硫活性を示す触媒を得ることができる。特に、密度、硫黄分及び窒素分のいずれの値も大きい炭化水素油では、水素化処理反応が進行し難いところ、本発明の水素化処理触媒用担体を用いることにより、このような炭化水素油の水素化処理においても優れた脱硫活性を示す触媒を得ることができる。また、本発明の水素化処理触媒用担体の製造方法によれば、上述した当該担体を簡便的に製造できる。さらに、本発明の水素化処理触媒の製造方法によれば、当該触媒を簡便に製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。まず、本発明に係る水素化処理触媒用担体について説明する。
[水素化処理触媒用担体]
本発明に係る水素化処理触媒用担体(以下、単に「本担体」ともいう。)は、アルミニウム、ケイ素、及び周期表第IV族元素(第三元素)の無機複合酸化物からなり、ケイ素の含有量が、ケイ素酸化物(SiO2)換算で5.0質量%以上であり、好ましくは6.5質量%以上、さらに好ましくは、8.0質量%以上である。また上限値としては、25.0質量%以下であり、好ましくは、20.0質量%以下であり、さらに好ましくは、15.0質量%以下である。
【0022】
また、前記第三元素はチタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びハフニウム(Hf)からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、本担体中の前記第三元素の含有量は酸化物(TiO2、ZrO2又はHfO2)換算で1.0質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以上、上限値としては、5.0質量%以下であり、好ましくは4.0質量%以下である。
【0023】
各々がこの範囲にあることで、本発明に係る水素化処理触媒用担体は、水素化処理反応に対して最適な固体酸量及び細孔容積を有し、脱硫性能において向上している。
前記無機複合酸化物は、本発明の効果を損なわない範囲で、アルミニウム、ケイ素、第三元素、及び酸素以外の元素(たとえば、リン、マグネシウム、ホウ素)を含んでいてもよい。すなわち、前記無機複合酸化物は、アルミニウム、ケイ素、第三元素及び任意の元素の複合酸化物であってもよい。任意の元素の含有量は、その酸化物(例えば、P2O5、MgO、B2O3)換算で、たとえば0.5質量%以下である。前記無機複合酸化物は、前記任意の元素を含んでいなくてもよい。
【0024】
本担体の、後述する実施例で採用された条件又はこれと同等の条件の下で、250℃におけるピリジン脱着に基づき赤外分光法で測定したルイス酸量は、好ましくは150μmol/g以上、より好ましくは180μmol/g以上である。
【0025】
本発明の水素化処理触媒用担体は、ルイス酸量がこの範囲にあると、活性点が良質であり、活性金属と共に触媒を構成した際に担体-活性金属との相互作用が調節されており、脱硫活性に優れる。一方、使用上の汎用性を考慮し過度の水素化脱硫反応の抑制の観点からは、ルイス酸量の上限値は、230μmol/gであってもよい。
【0026】
ルイス酸量は、たとえば後述する製造方法において、例えば前記無機複合酸化物担体に含まれるアルミニウム、ケイ素、及び第三元素の割合を調節することにより、増減させることができる。
【0027】
本担体の、後述する実施例で採用された条件又はこれと同等の条件の下で、250℃におけるピリジン脱着に基づき赤外分光法で測定したブレンステッド酸量は、好ましくは2.0μmol/g以上、より好ましくは2.5μmol/g以上であり、その上限値は、好ましくは10μmol/g以下、より好ましくは8.0μmol/g以下である。ブレンステッド酸量がこの範囲にあると、本発明の水素化処理触媒は、過剰な分解活性の付与又はコーク生成を主体とした活性劣化の促進を抑制し、炭化水素油中の含硫黄化合物に対する脱硫性能が向上する。
【0028】
ブレンステッド酸量は、たとえば後述する製造方法において、例えば前記無機複合酸化物担体に含まれるアルミニウム、ケイ素、及び第三元素の割合を調節することにより、増減させることができる。
【0029】
本担体の水銀圧入法で測定した平均細孔径は50~90Åであることが好ましい。平均細孔径がこの範囲にあると原料油が細孔内で十分拡散されるため水素化処理反応に有用である。
【0030】
本担体の水のポアフィリング法で測定した細孔容積は0.65~0.85ml/gであることが好ましい。細孔容積がこの範囲にあると、原料油が細孔内で十分拡散されるため水素化処理反応に有用である。
【0031】
本担体の窒素吸着法で測定した比表面積は350~450m2/gであることが好ましい。比表面積が350m2/g以上であることは、前記担体に担持される活性金属が凝集することを防ぐ観点から好ましい。一方、比表面積が450m2/g以下であることは、本発明の触媒の平均細孔径又は細孔容積が小さくなり脱硫性能が低下するということを防ぐ観点から好ましい。
【0032】
[水素化処理触媒用担体の製造方法]
本担体の製造方法は、
アルミニウム塩水溶液と、ケイ素酸化物成分(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)、ケイ酸ナトリウムのヒドロゲルなどのケイ酸塩)と、前記第三元素の塩とを混合してスラリーを得る工程と、
前記スラリーの固形分を成型した後、加熱処理して担体を得る工程とを有し、
前記ケイ素酸化物成分の量が、前記水素化処理触媒用担体中で、ケイ素酸化物(SiO2)の量に換算して5.0~25.0質量%となる量であり、
前記第三元素の塩の量が、前記水素化処理触媒用担体中で、前記第三元素の酸化物(TiO2、ZrO2又はHfO2)の量に換算して1.0~5.0質量%となる量である、
水素化処理触媒用担体の製造方法である。
【0033】
本担体の製造方法の好ましい態様として、以下に説明する第1の製造方法、及び第2の製造方法が挙げられる。
前記第1の製造方法では、シリカヒドロゲルを準備する工程A1と、前記工程A1で準備されたシリカヒドロゲルと塩基性アルミニウム塩水溶液とを混合して混合液(B11)を調製し、酸性アルミニウム塩水溶液と第三元素の塩とを混合して混合液(B12)を調製し、前記混合液(B11)と前記混合液(B12)とを混合してスラリー(B1)を得る工程B1と、前記スラリー(B1)の固形分を成型した後、加熱処理して担体を得る工程C1とを実施する。
【0034】
前記第2の製造方法では、ケイ素及び第三元素の酸化物のヒドロゲル(以下、「シリカ複合ヒドロゲル」ともいう。)を得る工程A2と、前記工程A2で準備されたシリカ複合ヒドロゲルと塩基性アルミニウム塩水溶液とを混合して混合液(B21)を調製し、前記混合液(B21)と酸性アルミニウム塩水溶液とを混合してスラリー(B2)を得る工程B2と、前記スラリー(B2)の固形分を成型した後、加熱処理して担体を得る工程C2とを実施する。
【0035】
前記第1の製造方法及び前記第2の製造方法では、ケイ素酸化物成分がアルミニウム塩水溶液中にシリカヒドロゲル、又はケイ素及び前記第三元素を含むヒドロゲル(以下「シリカ複合ヒドロゲル」ともいう。)の形で懸濁していることから、ケイ素が均一に分散し、以って平均細孔径、細孔容積などが好ましい範囲に調整され、脱硫性能に優れた触媒を構成できる担体が得られる、と考えらえる。
【0036】
次に、前記第1の製造方法及び前記第2の製造方法における各工程について詳述する。
【0037】
<工程A1>
工程A1は、シリカヒドロゲルを準備する工程である。
シリカヒドロゲルは、市販品であってもよく、酸性水溶液とアルカリ金属ケイ酸塩水溶液とを混合して調製してもよい。
後者において、前記酸性水溶液としては、例えば硫酸水溶液、硝酸水溶液、塩酸が挙げられ、硫酸水溶液が好ましい。アルカリ金属珪酸塩水溶液としては、例えば珪酸ナトリウム水溶液及び珪酸カリウム水溶液が挙げられ、珪酸ナトリウム水溶液(珪酸ソーダ水溶液)が好ましい。前記シリカヒドロゲルは、例えば、25質量%の硫酸水溶液にSiO2濃度8.5質量%の珪酸ソーダ水溶液を添加して調製することができる。
【0038】
<工程A2>
工程A2は、シリカ複合ヒドロゲルを準備する工程である。
シリカ複合ヒドロゲルは、市販品であってもよく、酸性水溶液とアルカリ金属ケイ酸塩水溶液と第三元素の塩の水溶液とを混合して調製してもよい。
【0039】
後者において、前記酸性水溶液としては、例えば硫酸水溶液、硝酸水溶液、塩酸が挙げられ、硫酸水溶液が好ましい。アルカリ金属珪酸塩水溶液としては、例えば珪酸ナトリウム水溶液及び珪酸カリウム水溶液が挙げられ、珪酸ナトリウム水溶液(珪酸ソーダ水溶液)が好ましい。第三元素の塩の例は後述する。前記シリカ複合ヒドロゲルは、例えば、25質量%の硫酸水溶液と第三元素を含む金属塩の混合水溶液にSiO2濃度8.5質量%の珪酸ソーダ水溶液を添加して調製することができる。
【0040】
<工程B1及び工程B2>
工程B1では、工程A1で準備されたシリカヒドロゲルを水に懸濁して所定濃度(通常2.5~16.5質量%、好ましくは3.5~15.5質量%)に調整し、塩基性アルミニウム塩水溶液(これはアルカリ性の水溶液である。)と混合して混合液(B11)を調製し、この混合液(B11)とは別に酸性アルミニウム塩水溶液(これは酸性の水溶液である。)と第三元素の塩とを混合して水溶液(B12)を調製し、前記混合液(B11)と前記水溶液(B12)とを、pHが通常6.5~9.5、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは6.8~8.0になるように混合してスラリー(B1)、すなわちアルミニウム、ケイ素及び第三元素の無機複合酸化物水和物のスラリーを得る。
【0041】
工程B2では、工程A2で準備されたシリカ複合ヒドロゲルを水に懸濁して所定濃度(通常2.5~16.5質量%、好ましくは3.5~15.5質量%)に調整し、塩基性アルミニウム塩水溶液(これはアルカリ性の水溶液である。)と混合して混合液(B21)を調製し、この混合液(B21)と酸性アルミニウム塩水溶液(これは酸性の水溶液である。)とを、pHが6.5~9.5、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは6.8~8.0になるように混合してスラリー(B2)、すなわちアルミニウム、ケイ素及び第三元素の無機複合酸化物水和物のスラリーを得る。
【0042】
工程B1及びB2において、塩基性アルミニウム塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが好適に使用される。また、酸性アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが好適に使用される。
【0043】
工程B1及びB2において、上記の成分にカルボン酸塩を混合してもよい。カルボン酸塩の例としては、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、及びシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルコン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの塩、好ましくはナトリウム塩などのアルカリ金属塩が挙げられ、無機複合酸化物担体100質量%に対して0.5~4.0質量%となる量の範囲で添加することが好ましい。
【0044】
<工程C1及び工程C2>
工程C1では工程B1で得られた無機複合酸化物水和物のスラリー、すなわち前記スラリー(B1)の固形分を、工程C2では工程B2で得られた無機複合酸化物水和物のスラリー、すなわち前記スラリー(B2)の固形分を、成型した後、加熱処理して担体を得る。たとえば、前記スラリー(B1)又は前記スラリー(B2)を、それぞれ、所望により熟成(加熱)した後、洗浄して副生塩を除き、得られた水和物のスラリーを、所望により更に加熱熟成し、慣用の手段により、例えば、加熱捏和して成型可能な捏和物とした後、押出成型等により所望の形状に成型する。そして、この成型体について、通常70~150℃、好ましくは90~130℃で乾燥した後、更に400~800℃、好ましくは450~600℃で、0.5~10時間、好ましくは2~5時間焼成して、アルミニウム、ケイ素、及び第三元素を含有する無機複合酸化物担体を得る。
【0045】
前記工程A2、及びB1で使用する第三元素の塩の例としては、硫酸チタン、酢酸チタン、塩化チタン、硝酸チタン、乳酸チタン、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ハフニウム、硝酸ハフニウム、フッ化ハフニウム、臭化ハフニウム、シュウ酸ハフニウムなどが挙げられ、硫酸チタン、酢酸チタン、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ハフニウム、硝酸ハフニウムが好適に使用できる。
【0046】
本担体の第1の製造方法及び本担体の第2の製造方法のいずれにおいても、各原料は、製造される担体における各元素の割合が本発明に係る担体中の各元素の割合となるような割合、すなわちケイ素がケイ素酸化物(SiO2)換算で5.0~25.0質量%となり、第三元素がその酸化物(TiO2、ZrO2又はHfO2)換算で1.0~5.0質量%となる割合(各割合の好ましい範囲も上述のとおりである。)で、使用される。
【0047】
[水素化処理触媒及びその製造方法]
本発明に係る水素化処理触媒(以下、単に「本触媒」ともいう。)は、
本発明に係る水素化処理触媒用担体と、前記担体に担持された活性金属成分とを含み、前記活性金属成分が周期表第VI族元素、及び周期表第VIII族元素を含むことを特徴としている。
【0048】
上述した本発明に係る水素化処理触媒用担体に、周期表第VI族元素と、周期表第VIII族元素とを含む水溶液を含浸させ、次いで前記水溶液が含侵された本担体を加熱処理することで水素化処理触媒(以下、「本触媒」ともいう。)が簡便に得られる。
【0049】
加熱処理の温度は、好ましくは100~600℃、より好ましくは200~600℃の範囲にある。
また、本触媒をさらに硫黄含有ガス等により硫化処理することが脱硫効果向上の観点より好ましい。
【0050】
前記周期表第VI族元素はモリブデンであってもよく、タングステンであってもよく、モリブデン及びタングステンの両方であってもよい。前記周期表第VIII族元素はコバルトであってもよく、ニッケルであってもよく、コバルト及びニッケルの両方であってもよい。本触媒では、周期表第VI族元素の担持量が、酸化物換算で、前記担体100質量部に対して15~22質量部の範囲にあり、周期表第VIII族元素の担持量が、酸化物換算で、前記担体100質量部に対して2~8質量部の範囲にあることが、脱硫活性及び触媒寿命の観点から好ましい。
【0051】
周期表第VI族元素を含む金属成分の原料としては、例えば、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステンが好ましい。
周期表第VIII族元素を含む金属成分の原料としては、例えば、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルトが好ましい。
【実施例0052】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
[測定方法]
各種測定は以下のように行った。
【0053】
<ピリジン吸着に基づくFT-IRによる担体のブレンステッド酸量及びルイス酸量>
測定試料33mgを、内径20mmのディスクに充填し、赤外分光測定装置(日本分光社製、FT-IR4600)内に設置した。測定雰囲気を500℃で1時間真空排気し、その後30℃まで冷却した。その後、再び150℃まで昇温し、ピリジンを試料に吸着させてピリジン吸着スペクトルを取得した。更に250℃で測定雰囲気を真空排気した後、ピリジン脱離後のスペクトルを取得した。そしてピリジン吸着前後の差スペクトルをとり、その1500cm-1付近の吸収バンドのピーク値からブレンステッド酸量、1450cm-1付近の吸収バンドのピーク値からルイス酸量を求めた。
【0054】
<水銀圧入法による担体の平均細孔径>
測定試料を磁製ルツボに約3g採取し、500℃の温度で1時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得たのち、水銀圧入法(カンタクローム社製 ポアマスター GT-60、水銀の接触角:150度、表面張力:480dyn/cm)によって測定した。平均細孔径は細孔容積の50%に相当する細孔直径とした。
【0055】
<水のポアフィリング法による担体の細孔容積の測定方法>
測定試料を磁製ルツボに約30g採取し、500℃の温度で1時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得たのち、水のポアフィリング法により細孔容積を測定した。
【0056】
<窒素吸脱着測定のBET一点法による担体の比表面積>
測定試料を磁製ルツボ(B-2型)に約30mL採取し、500℃の温度で1時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、試料の比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
【0057】
<担体成分(アルミニウム、ケイ素、第三元素)及び金属成分(モリブデン、コバルト、ニッケル)の含有量>
測定試料3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、乾燥(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、Na2O2 2g及びNaOH 1gを加えて15分間溶融した。さらに、H2SO4 25mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS-8100、解析ソフトウェアICPS-8000)を用いて、各成分の含有量を酸化物換算基準(Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、MoO3、NiO、CoO)で測定した。
【0058】
[実施例1](第1の製造方法)
〈シリカヒドロゲルの調製〉(工程A1)
60Lスチームジャケット付きタンクに濃度が25.0質量%の硫酸水溶液8.12kgを入れ、40℃に加温した。この硫酸水溶液に濃度8.5質量%の珪酸ソーダ47.07kgを90分で添加してpH4.0に調整した。次いで、150分間熟成した後、15.0質量%アンモニア水を添加してpH7.0に調製した後、120分間熟成を行い、シリカヒドロゲルを得た。
【0059】
〈無機複合酸化物水和物スラリーaの調製〉(工程B1)
100Lスチームジャケット付きタンクに、工程A1で得られたシリカヒドロゲル3.33kgをイオン交換水48.14kgに懸濁して、濃度6.5質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.50kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液141gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液aを調製した。
【0060】
塩基性アルミニウム混合水溶液aとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.86kgをイオン交換水14.14kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム219gを混合し、酸性アルミニウム混合水溶液aを調製した。
【0061】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液aを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液aを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーaを調製した。スラリーaのpHは7.2であった。
【0062】
〈担体aの調製〉(工程C1)
得られた無機複合酸化物水和物スラリーaを撹拌しながら60℃で1時間熟成した後、平板フィルターを用いて脱水し、更に、0.3質量%アンモニア水溶液150Lで洗浄した。洗浄後のケーキ状のスラリーをAl2O3濃度換算で6.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した後、15質量%アンモニア水でpHを10.0に調整した。これを還流機付熟成タンクに移し、撹拌しながら95℃で10時間熟成した。熟成終了後のスラリーを脱水し、スチームジャケットを備えた双腕式ニーダーにて練りながら所定の水分量まで濃縮捏和した。得られた捏和物を押し出し成型機にて直径が1.8mmの円柱形状に成型し、110℃で乾燥した。乾燥した成型品は電気炉で550℃の温度で3時間焼成し、担体aを得た。担体aは、ケイ素がSiO2濃度換算で10.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で2.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で88.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0063】
〈水素化処理触媒aの調製〉
三酸化モリブデン(Climax(株)製;MoO3濃度99.0質量%)250gと炭酸コバルト((株)田中化学研究所製;CoO濃度61.0質量%)88gと炭酸ニッケル(正同化学工業(株)製;NiO濃度55.0質量%)24gとを、イオン交換水400mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、クエン酸(扶桑化学工業(株)製)164gを加えて溶解させ、含浸液aを作製した。この含浸液aの全量を、1000gの担体aに噴霧含浸させた後、担体aを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒a(以下、単に「触媒」ともいう。以下の実施例についても同様である。)を得た。
【0064】
[実施例2](第1の製造方法)
〈無機複合酸化物水和物スラリーbの調製〉(工程B1)
100Lスチームジャケット付きタンクに、実施例1の工程A1で得られたシリカヒドロゲル3.33kgをイオン交換水49.52kg懸濁して、濃度6.3質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.38kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液138gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液bを調製した。
【0065】
塩基性アルミニウム混合水溶液bとは別に、濃度がAl2O3換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.68kgをイオン交換水13.82kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム439gを混合し、酸性アルミニウム混合水溶液bを調製した。
【0066】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液bを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液bを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーbを調製した。スラリーbのpHは7.2であった。
【0067】
〈担体bの調製〉(工程C1)
得られた無機複合酸化物水和物スラリーbを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体bを得た。担体bは、ケイ素がSiO2濃度換算で10.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で4.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で86.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0068】
〈水素化処理触媒bの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体bに噴霧含浸させた後、担体bを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒bを得た。
【0069】
[実施例3](第1の製造方法)
〈無機複合酸化物水和物スラリーcの調製〉(工程B1)
100Lスチームジャケット付きタンクに、実施例1の工程A1で得られたシリカヒドロゲル2.00kgをイオン交換水49.04kgに懸濁して、濃度3.9質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.75kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液147gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液cを調製した。
【0070】
塩基性アルミニウム混合水溶液cとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液8.21kgをイオン交換水14.79kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム219gを混合し、酸性アルミニウム混合水溶液cを調製した。
【0071】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液cを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液cを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーcを調製した。スラリーcのpHは7.2であった。
【0072】
〈担体cの調製〉(工程C1)
得られた無機複合酸化物水和物スラリーcを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体cを得た。担体cは、ケイ素がSiO2濃度換算で6.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で2.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で92.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0073】
〈水素化処理触媒cの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体cに噴霧含浸させた後、担体cを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒cを得た。
【0074】
[実施例4](第1の製造方法)
〈無機複合酸化物水和物スラリーdの調製〉(工程B1)
100Lスチームジャケット付きタンクに、実施例1の工程A1で得られたシリカヒドロゲル8.00kgをイオン交換水48.69kgに懸濁して、濃度14.1質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.63kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液118gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液dを調製した。
【0075】
塩基性アルミニウム混合水溶液dとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液6.61kgをイオン交換水11.89kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム219gを混合し、酸性アルミニウム混合水溶液dを調製した。
【0076】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液dを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液dを一定速度で10分間添加して、無機複合酸化物水和物スラリーdを調製した。スラリーdのpHは7.2であった。
【0077】
〈担体dの調製〉(工程C1)
得られた無機複合酸化物水和物スラリーdを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体dを得た。担体dは、ケイ素がSiO2濃度換算で24.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で2.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で74.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0078】
〈水素化処理触媒dの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体dに噴霧含浸させた後、担体dを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒dを得た。
【0079】
[実施例5](第1の製造方法)
〈無機複合酸化物水和物スラリーeの調製〉(工程B1)
100Lスチームジャケット付きタンクに、実施例1の工程A1で得られたシリカヒドロゲル3.33kgをイオン交換水48.78kgに懸濁して、濃度6.4質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.57kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液141gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液eを調製した。
【0080】
塩基性アルミニウム混合水溶液eとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.63kgをイオン交換水13.75kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、TiO2濃度換算で33.0質量%の硫酸チタン121gをイオン交換水679gで希釈した混合し、酸性アルミニウム混合水溶液eを調製した。
【0081】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液eを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液eを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーeを調製した。スラリーeのpHは7.2であった。
【0082】
〈担体eの調製〉(工程C1)
得られた無機複合酸化物水和物スラリーeを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体eを得た。担体eはケイ素がSiO2濃度換算で10.0質量%(担体基準)、チタンがTiO2濃度換算で2.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で88.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0083】
〈水素化処理触媒eの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体eに噴霧含浸させた後、担体eを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒eを得た。
【0084】
[実施例6](第1の製造方法)
〈無機複合酸化物水和物スラリーfの調製〉(工程B1)
100Lスチームジャケット付きタンクに、実施例1の工程A1で得られたシリカヒドロゲル3.33kgをイオン交換水49.16kgに懸濁して、濃度6.3質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.52kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液138gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液fを調製した。
【0085】
塩基性アルミニウム混合水溶液fとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.23kgをイオン交換水13.02kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、TiO2濃度換算で33.0質量%の硫酸チタン242gをイオン交換水1.36kgで希釈した混合し、酸性アルミニウム混合水溶液fを調製した。
【0086】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液fを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液fを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーfを調製した。スラリーfのpHは7.2であった。
【0087】
〈担体fの調製〉(工程C1)
得られた無機複合酸化物水和物スラリーfを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体fを得た。担体fはケイ素がSiO2濃度換算で10.0質量%(担体基準)、チタンがTiO2濃度換算で4.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で86.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0088】
〈水素化処理触媒fの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体fに噴霧含浸させた後、担体fを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒fを得た。
【0089】
[実施例7](第2の製造方法)
〈シリカ複合ヒドロゲルの調製〉(工程A2)
タンクにイオン交換水20.01kgと25.0質量%硫酸水溶液3.79kgとZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム3.65kgを入れ、40℃に加温した。この硫酸水溶液にSiO2濃度換算で8.5.0質量%の珪酸ソーダを90分で添加してpH4.0に調節した。次いで、150分間熟成した後、15.0質量%アンモニア水を添加してpH7.0に調製した後、120分間熟成を行い、シリカ複合ヒドロゲルを得た。
【0090】
〈無機複合酸化物水和物スラリーgの調製〉(工程B2)
100Lスチームジャケット付きタンクに、工程A1で得られたシリカ複合ヒドロゲル4.00kgをイオン交換水48.36kgに懸濁して、濃度7.6質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.50kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液141gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液gを調製した。
【0091】
塩基性アルミニウム混合水溶液gとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.86kgをイオン交換水14.14kgで希釈し、酸性アルミニウム水溶液gを調製した。
【0092】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液gを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム水溶液gを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーgを調製した。スラリーgのpHは7.2であった。
【0093】
〈担体gの調製〉(工程C2)
得られた無機複合酸化物水和物スラリーgを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体gを得た。担体gは、ケイ素がSiO2濃度換算で10.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で2.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で88.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0094】
〈水素化処理触媒gの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体gに噴霧含浸させた後、担体gを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒gを得た。
【0095】
[比較例1]
〈アルミナスラリーhの調製〉
100Lスチームジャケット付きタンクに、イオン交換水48.59kgと、濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6.25kgと濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液160gを加え、塩基性アルミニウム水溶液hを調製した。
【0096】
塩基性アルミニウム水溶液hとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液8.93kgをイオン交換水16.07kgで希釈し、酸性アルミニウム水溶液hを調製した。
【0097】
次に、前記塩基性アルミニウム水溶液hを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム水溶液hを一定速度で10分間かけて添加して、アルミナスラリーhを調製した。スラリーhのpHは7.2であった。
【0098】
〈担体hの調製〉
得られたアルミナスラリーhを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体hを得た。担体hは、アルミニウムがAl2O3濃度換算で100.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0099】
〈水素化処理触媒hの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体hに噴霧含浸させた後、担体hを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒hを得た。
【0100】
[比較例2]
〈無機複合酸化物水和物スラリーiの調製〉
100Lスチームジャケット付きタンクに、工程A1で得られたシリカヒドロゲル10.00kgをイオン交換水48.58kgに懸濁して、濃度17.1質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6.07kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液109gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液iを調製した。
【0101】
塩基性アルミニウム混合水溶液iとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液6.07kgをイオン交換水10.93kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム219gを混合し、酸性アルミニウム混合水溶液iを調製した。
【0102】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液iを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液iを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーiを調製した。スラリーiのpHは7.2であった。
【0103】
〈担体iの調製〉
得られた無機複合酸化物水和物スラリーiを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体iを得た。担体iは、ケイ素がSiO2濃度換算で30.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で2.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で68.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0104】
〈水素化処理触媒iの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体iに噴霧含浸させた後、担体iを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒iを得た。
【0105】
[比較例3]
〈無機複合酸化物水和物スラリーjの調製〉
100Lスチームジャケット付きタンクに、工程A1で得られたシリカヒドロゲル667gをイオン交換水49.12kgに懸濁して、濃度1.3質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6.00kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液154gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液jを調製した。
【0106】
塩基性アルミニウム混合水溶液jとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液8.57kgをイオン交換水15.43kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム219gを混合し、酸性アルミニウム混合水溶液jを調製した。
【0107】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液jを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液jを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーjを調製した。スラリーjのpHは7.2であった。
【0108】
〈担体jの調製〉
得られた無機複合酸化物水和物スラリーjを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体jを得た。担体jは、ケイ素がSiO2濃度換算で2.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で2.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で96.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0109】
〈水素化処理触媒jの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体jに噴霧含浸させた後、担体jを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒jを得た。
【0110】
[比較例4]
〈無機複合酸化物水和物スラリーkの調製〉
100Lスチームジャケット付きタンクに、工程A1で得られたシリカヒドロゲル3.33kgにイオン交換水50.65kgに懸濁して、濃度6.2質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.13kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液131gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液kを調製した。
【0111】
塩基性アルミニウム混合水溶液kとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.32kgをイオン交換水13.18kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム877gを混合し、酸性アルミニウム混合水溶液kを調製した。
【0112】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液kを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液kを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーkを調製した。スラリーkのpHは7.2であった。
【0113】
〈担体kの調製〉
得られた無機複合酸化物水和物スラリーkを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体kを得た。担体kは、ケイ素がSiO2濃度換算で10.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で8.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で82.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0114】
〈水素化処理触媒kの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体kに噴霧含浸させた後、担体kを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒kを得た。
【0115】
[比較例5]
〈無機複合酸化物水和物スラリーlの調製〉
100Lスチームジャケット付きタンクに、工程A1で得られたシリカヒドロゲル3.33kgをイオン交換水48.46kgに懸濁して、濃度6.4質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.61kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液144gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液lを調製した。
【0116】
塩基性アルミニウム混合水溶液lとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液8.02kgをイオン交換水14.73kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO2濃度換算で18.0質量%の硫酸ジルコニウム22gを混合し、酸性アルミニウム混合水溶液lを調製した。
【0117】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液lを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム混合水溶液lを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーlを調製した。スラリーlのpHは7.2であった。
【0118】
〈担体lの調製〉
得られた無機複合酸化物水和物スラリーlを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体lを得た。担体lは、ケイ素がSiO2濃度換算で10.0質量%(担体基準)、ジルコニウムがZrO2濃度換算で0.2質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で89.8質量%(担体基準)含有されていた。
【0119】
〈水素化処理触媒lの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体lに噴霧含浸させた後、担体lを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒lを得た。
【0120】
[比較例6]
〈無機複合酸化物水和物スラリーmの調製〉
100Lスチームジャケット付きタンクに、工程A1で得られたシリカヒドロゲル3.33kgをイオン交換水48.40kgに懸濁して、濃度6.4質量%へ調節した後に、この懸濁液に濃度がAl2O3換算で22.0質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.63kgと、濃度25.0質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液144gを加え、塩基性アルミニウム混合水溶液mを調製した。
【0121】
塩基性アルミニウム混合水溶液mとは別に、濃度がAl2O3換算で7.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液8.04kgをイオン交換水14.73kgで希釈し、酸性アルミニウム水溶液mを調製した。
【0122】
次に、前記塩基性アルミニウム混合水溶液mを撹拌しながら、これに酸性アルミニウム水溶液mを一定速度で10分間かけて添加して、無機複合酸化物水和物スラリーmを調製した。スラリーmのpHは7.2であった。
【0123】
〈担体mの調製〉
得られた無機複合酸化物水和物スラリーmを実施例1に記載の工程Cと同様の操作を行い、担体mを得た。担体mは、ケイ素がSiO2濃度換算で10.0質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で90.0質量%(担体基準)含有されていた。
【0124】
〈水素化処理触媒mの調製〉
実施例1と同様に含侵液aを調製し、この含浸液aの全量を、担体mに噴霧含浸させた後、担体mを250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒mを得た。
【0125】
以上のようにして得られた実施例1~7、及び比較例1~6における各担体と触媒の性状について表1に示す。
実施例1~7、及び比較例1~6の各触媒について、触媒性能を評価した。
【0126】
(触媒性能の評価のための確認試験)
各触媒を固定床反応装置に充填し、触媒に含まれている酸素原子を脱離させて活性化するために、予備硫化処理した。この処理は、硫黄化合物を含む液体又は気体を200℃~400℃の温度、常圧~100MPaの水素圧雰囲気下の管理された反応容器中で流通させることによって行われる。
【0127】
次いで、固定床流通式反応装置内に、減圧軽油(15℃における密度0.930g/cm3、硫黄分2.86質量%、窒素分0.120質量%)を150ml/時間の速度で供給して水素化脱硫処理を行い、水素化精製を行なった。その際の反応条件は、水素分圧が4.5MPa、液空間速度が1.5h-1、水素油比が250Nm3/klである。そして反応温度を350~400℃の範囲で変化させ、各温度における精製油中の硫黄分析を行い、精製油中の硫黄分が0.1質量%になる温度をそれぞれ求めた。
以上の確認試験の結果について、各触媒の触媒性能を表1に示す。
【0128】