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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095227
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】洗浄料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20240703BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240703BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/36
A61K8/34
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212356
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100227592
【弁理士】
【氏名又は名称】孔 詩麒
(72)【発明者】
【氏名】栗延 理絵
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB332
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC712
4C083AD041
4C083AD042
4C083CC22
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】水溶けが良く、かつ洗浄後に良好なしっとりさを有する新規な洗浄料組成物を提供する。
【解決手段】水と、高級脂肪酸及び/又はその塩と、下記式(1)で表される構造を有するポリマーとを含み、
式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、Aは、炭素数2~4のアルキレン基であり、かつm及びnは、それぞれ独立して、1.0~50であり、ポリマーの数平均分子量が、10,000以下であり、かつポリマーのIOB値が、0.4~1.8である、洗浄料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
高級脂肪酸及び/又はその塩と、
下記式(1)で表される構造を有するポリマーと
を含み、
【化1】
前記式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、Aは、炭素数2~4のアルキレン基であり、かつm及びnは、それぞれ独立して、1.0~50であり、
前記ポリマーの数平均分子量が、10,000以下であり、かつ
前記ポリマーのIOB値が、0.4~1.8である、
洗浄料組成物。
【請求項2】
前記式(1)において、Aが、下記式(2)で表され:
【化2】
前記式(2)において、Rは、炭素数1又は2のアルキル基である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、ランダム共重合体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の多価アルコールを更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記多価アルコールの合計含有量と前記ポリマーの含有量との比(前記多価アルコール:前記ポリマー)が、5:1~80:1である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ポリエチレングリコール骨格を有する成分の含有量が0.01質量%以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記高級脂肪酸が、炭素数12~18の脂肪酸である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
皮膚洗浄用である、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗顔等に用いられる洗浄料には、洗浄力と起泡性の観点から高級脂肪酸石鹸が配合されることが一般的である。そして、特に洗顔用洗浄料においては、洗浄力に加え、使用感や保湿性等を改善するために、界面活性剤、保湿剤及びその他の添加剤を組み合わせることが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、(A)高級脂肪酸塩から選ばれる一種又は二種以上、(B)ベタイン系両性界面活性剤、(C)平均重合度200~1540のポリエチレングリコール、(D)HLB=4以下のモノステアリン酸グリセリル((E)成分に該当する成分を除く)、(E)脂肪酸塩を含有した自己乳化型モノステアリン酸グリセリルを含有する洗浄料が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-214391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水溶けが良く、かつ洗浄後に良好なしっとりさを有する新規な洗浄料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明は、以下のとおりである。
【0007】
〈態様1〉
水と、
高級脂肪酸及び/又はその塩と、
下記式(1)で表される構造を有するポリマーと
を含み、
【化1】
前記式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、Aは、炭素数2~4のアルキレン基であり、かつm及びnは、それぞれ独立して、1.0~50であり、
前記ポリマーの数平均分子量が、10,000以下であり、かつ
前記ポリマーのIOB値が、0.4~1.8である、
洗浄料組成物。
〈態様2〉
前記式(1)において、Aが、下記式(2)で表され:
【化2】
前記式(2)において、Rは、炭素数1又は2のアルキル基である、
態様1に記載の組成物。
〈態様3〉
前記ポリマーが、ランダム共重合体である、態様1又は2に記載の組成物。
〈態様4〉
少なくとも1種の多価アルコールを更に含む、態様1~3のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様5〉
前記多価アルコールの合計含有量と前記ポリマーの含有量との比(前記多価アルコール:前記ポリマー)が、5:1~80:1である、態様4に記載の組成物。
〈態様6〉
ポリエチレングリコール骨格を有する成分の含有量が0.01質量%以下である、態様1~5のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様7〉
前記高級脂肪酸が、炭素数12~18の脂肪酸である、態様1~6のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様8〉
皮膚洗浄用である、態様1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水溶けが良く、かつ洗浄後に良好なしっとりさを有する新規な洗浄料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0010】
《洗浄料組成物》
本発明の洗浄料組成物(以下、単に「本発明の組成物」とも称する)は、
水と、
高級脂肪酸及び/又はその塩と、
下記式(1)で表される構造を有するポリマーと
を含み、
【化3】
式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、Aは、炭素数2~4のアルキレン基であり、かつm及びnは、それぞれ独立して、1.0~50であり、
ポリマーの数平均分子量が、10,000以下であり、かつ
ポリマーのIOB値が、0.4~1.8である、
洗浄料組成物
である。
【0011】
本発明の組成物は、水溶けが良く、かつ洗浄後に良好なしっとりさを有する。また、本発明の組成物は、水溶けが良い故に、起泡性も良い。
【0012】
理論に限定されるものではないが、これは、本発明のポリマーの特性、すなわち上記式(1)で示す特有の構造、特定の範囲の数平均分子量(10,000以下)、及び特定の範囲のIOB(Inorganic Organic Balance)値(0.4~1.8)に由来するものと推測する。
【0013】
また、特定の構造をもつ本発明ポリマーは、両親媒性であり、水相に溶解する傾向があるものの、疎水的な性質も有するため、本発明の組成物に含まれる高級脂肪酸及び/又はその塩や他の成分(例えば、保湿剤やノニオン界面活性剤等)、及びメイクの成分等との親和性もよく、皮膚との親和性もよいと考えられる。
【0014】
一般的に、洗浄料組成物の水溶けを改良するためにはポリエチレングリコール骨格を有する化合物が用いられる。これに対して、上記式(1)におけるAが以下に示す式(2)で表される本発明のポリマーは、ポリエチレングリコール骨格を有さないにもかかわらず、このような本発明のポリマーを含む本発明の組成物は、水溶け及び洗浄後のしっとりさに優れている。
【化4】
(Rは、炭素数1又は2のアルキル基)
【0015】
上記式(2)で表される部分の原料となるプロピレングリコール及びブチレングリコールは、ポリエチレングリコール骨格の原料となるエチレングリコールと比較して、天然由来の材料を入手しやすく、したがって、ポリエチレングリコール骨格を有さない本発明のポリマーで組成物の水溶け及び洗浄後のしっとりさを改善できることは好ましい。
【0016】
〈水〉
本発明の組成物は、水を含む。
【0017】
水としては、特に限定されるものではないが、化粧品、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
【0018】
本発明の組成物において、水の含有量は、特に限定されず、例えば、水以外の成分の含有量に応じて適宜調節することができる。より具体的には、水の含有量は、例えば、組成物全体に対して、5.0質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は30質量%以上であってよく、また、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、又は35質量%以下であってよい。
【0019】
〈高級脂肪酸〉
本発明の組成物は、高級脂肪酸及び/又はその塩を含む。すなわち、本発明の組成物は、高級脂肪酸を含んでもよく、高級脂肪酸塩を含んでもよく、又は高級脂肪酸と高級脂肪酸塩との混合物を含んでよいが、
【0020】
高級脂肪酸とは、炭素数が6以上の鎖状モノカルボン酸を指す。本発明において、高級脂肪酸としては、飽和、不飽和もしくは直鎖、分岐いずれの脂肪酸も用いることができるが、炭素数12~18の脂肪酸であることが好ましい。より具体的には、本発明の組成物に含まれ得る高級脂肪酸は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸の1種又は2種以上の組み合わせを含んでよい。これらの中でも、洗浄効果を向上させる観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸の2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、これら4種を組み合わせて用いることがより好ましい。
【0021】
本発明において、高級脂肪酸塩は、脂肪酸石鹸を構成する目的で配合しているので、高級脂肪酸塩の種類は特に限定されない。より具体的には、高級脂肪酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩等の金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチルプロパンジオール等のアルカノールアミン、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩であってよい。これらのうち、起泡性を向上させる観点からは、カリウム塩が好ましい。
【0022】
なお、本発明において、高級脂肪酸塩は、例えば組成物を調製する際に、高級脂肪酸を中和剤で中和することによって得ることができる。一般的には、完全に中和されるのではなく、生成物は未反応の高級脂肪酸も含んでいる。本発明において、高級脂肪酸の中和率は特に限定されないが、好ましくは60~90モル%であり、より好ましくは70~85モル%である。したがって、本発明による洗浄料において、好ましくは60~90モル%、より好ましくは70~85モル%の高級脂肪酸塩と、好ましくは10~40モル%、より好ましくは15~30モル%の高級脂肪酸とが含まれる。中和剤の含有量は特に限定されず、上記の中和率となるように、適宜、調節することができる。
【0023】
また、高級脂肪酸を中和するために中和剤としては、特に限定されず、高級脂肪酸石鹸の材料として一般的に用いられている中和剤であれば特に限定されない。より具体的には、中和剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、L-アルギニン、リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸、アンモニア水、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、水への溶解性、洗浄効果を良好にする観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選択される1種又は2種以上が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選択される1種又は2種以上がより好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される1種又は2種が好ましい。
【0024】
本発明の組成物において、高級脂肪酸及び/又はその塩の含有量は、特に限定されず、例えば、組成物全体に対して、5.0質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、又は25質量%以上であってよく、また、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下であってよい。なお、本発明において、「高級脂肪酸及び/又はその塩の含有量」とは、高級脂肪酸が単独で含まれる場合には、「高級脂肪酸の含有量」、高級脂肪酸塩が単独で含まれる場合には「高級脂肪酸塩の含有量」、高級脂肪酸と高級脂肪酸塩との両方が含まれる場合には、「高級脂肪酸及び高級脂肪酸塩の含有量の合計」を意味する。なお、高級脂肪酸塩として、高級脂肪酸塩の脂肪酸部分の基となる脂肪酸と中和剤を別個に添加して組成物を調製する場合には、当量で反応させた場合には得られた高級脂肪酸塩の量を「高級脂肪酸及び/又はその塩の含有量」として計算し、高級脂肪酸塩の脂肪酸部分の基となる高級脂肪酸の残量がある場合には、その残量と得られた高級脂肪酸塩の量との合計を「高級脂肪酸及び/又はその塩の含有量」として計算する。
【0025】
〈本発明のポリマー〉
本発明のポリマーは、下記式(1)で表される構造を有する:
【化5】
【0026】
式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。なお、本発明において、炭素数1~4のアルキル基として、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない限り、これらのアルキル基は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、特に限定されず、例えばハロゲノ基等が挙げられる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であってよい。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。また、mが2以上である場合、すなわち、複数のRが存在する場合、各々のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよく、特に、Rの少なくとも一部は、メチル基であることが好ましい。Rの少なくとも一部がメチル基である場合には、例えば、本発明の組成物の使用感を向上させる観点から好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、Rは、水素原子と炭素数1~4のアルキル基とが混在していている状態であってよい。すなわち、Rの一部は水素原子であり、かつ他の一部は炭素数1~4のアルキル基であってよい。好ましくは、Rの一部は水素原子であり、かつ他の一部はメチル基である。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、特に、メチル基であることがより好ましい。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、Rは、水素原子と炭素数1~4のアルキル基とが混在していている状態であってよい。すなわち、Rの一部は水素原子であり、かつ他の一部は炭素数1~4のアルキル基であってよい。好ましくは、Rの一部は水素原子であり、かつ他の一部はメチル基である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、特に、メチル基であることがより好ましい。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、R及びRの少なくとも一方は、メチル基であることが好ましい。
【0034】
式(1)において、Aは、炭素数2~4のアルキレン基である。より具体的には、Aは例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等であってよいが、これらに限定されない。特に、Aは、下記式(2)で表されることが好ましい:
【化6】
【0035】
式(2)において、Rは、炭素数1又は2のアルキル基である。より具体的には、Rは、メチル基又はエチル基であってよい。
【0036】
式(1)において、m及びnは、それぞれの構成単位の平均付加モル数を表す。m及びnは、それぞれ独立して、1.0~50であり、より具体的には、1.0以上、1.5以上、2.0以上、3.0以上、4.0以上、5.0以上、6.0以上、7.0以上、8.0以上、9.0以上、又は10以上であってよく、また50以下、45以下、40以下、35以下、34以下、32以下、30以下、28以下、26以下、25以下、24以下、22以下、20以下、18以下、16以下、15以下、14以下、12以下、10以下、又は5.0以下であってよい。
【0037】
また、式(1)において、mは、1.0以上14以下であることが好ましく、2.0以上5.0以下であることがより好ましい。また、式(1)において、nは、2.0以上34以下であることが好ましく、6.0以上12以下であることがより好ましい。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、m+nは、4.0以上、4.5以上、5.0以上、6.0以上、7.0以上、8.0以上、9.0以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、又は15以上であってよく、また50以下、45以下、40以下、35以下、30以下、25以下、20以下、15以下、又は12以下であってよい。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、式(1)において、m:nは、1:10~10:1であってよい。
【0040】
本発明のポリマーは、数平均分子量は、10,000以下である。より具体的には、本発明のポリマーの数平均分子量は、例えば、10,000以下、5,000以下、3,500以下、3,000以下、2,500以下、2,000以下、1,500以下、1,400以下、1,300以下、1,200以下、1,100以下、1,000以下、900以下、800以下、700以下、又は600以下であってよく、また130以上、150以上、200以上、250以上、300以上、350以上、400以上、450以上、又は500以上であってよい。また、本発明のポリマーの数平均分子量は、300以上3,500以下であることが好ましく、500以上1,200以下であることがより好ましい。
【0041】
本発明のポリマーのIOB値は、0.4~1.8である。より具体的には、本発明のポリマーのIOB値は、例えば、0.4以上、0.5以上、0.6以上、又は0.7以上であってよく、また1.8以下、1.6以下、1.4以下、又は1.2以下であってよい。また、本発明のポリマーのIOB値は、0.7以上1.2以下であることが好ましい。
【0042】
ここで、IOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、IOB値=無機性値/有機性値として表される。「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、p.11~17、三共出版、1984年発行参照)。なお、IOB値の決定方法については、実施例に記載の方法を参照できる。
【0043】
本発明のポリマーは、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
【0044】
本発明のポリマーの製造方法は、特に限定されず、例えば、各構成単位に対応するエポキシドを付加重合することによって行ったよい。また、付加重合は、ブロック重合であってもよく、ランダム重合であってもよいが、ランダム重合であることが好ましい。
【0045】
また、本発明のポリマーの製造方法は、上記の付加重合によって得られたポリマーに対して、更にハロゲン化アルキルと反応させることを更に含んでよい。ハロゲン化アルキルとの反応を介して、得られたポリマーの分子内の水酸基は、アルキル基によって封鎖されて、その結果ポリマー全体の疎水性を所望のとおりに調整することができる。本発明において、ポリマーの分子内において、アルキル基による水酸基の封鎖率は、例えば30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、又は55%以上であってよく、また60%以下、59%以下、58%以下、57%以下、56%以下、又は55%以下であってよい。なお、アルキル基による水酸基の封鎖率は、実施例に記載の方法によって求めることができる。
【0046】
本発明のポリマーの特徴の一つとして、高い水溶性及び高い脂溶性を兼備することである。
【0047】
本発明のポリマーの水への溶解度は、例えば、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は50質量%以上であり得る。
【0048】
また、本発明のポリマーの脂溶性の指標として、例えばオリーブ油への溶解度を用いることができる。本発明のポリマーのオリーブ油への溶解度は、例えば、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.10質量%以上、0.50質量%以上、又は1.00質量%以上であり得る。なお、本発明のポリマーのオリーブ油への溶解度の上限値は特に限定されず、例えば10質量%以下であってよい。
【0049】
本発明の組成物において、本発明のポリマーの含有量は、特に限定されず、例えば、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、又は4.0質量%以上であってよく、また、10.0質量%以下、9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、6.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.0質量%以下、又は1.0質量%以下であってよい。
【0050】
〈その他の成分〉
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の成分を更に含んでよい。以下では、その他の成分について、例示的に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0051】
なお、上述したように、一般的に、洗浄料組成物の水溶けを改良するためにはポリエチレングリコール骨格を有する化合物が用いられる。これに対して、上記式(1)におけるAが上記式(2)で表される本発明のポリマーは、ポリエチレングリコール骨格を有さないにもかかわらず、このような本発明のポリマーを含む本発明の組成物は、水溶け及び洗浄後のしっとりさに優れている。本発明の組成物は、ポリエチレングリコール骨格を有する成分を実質的に含まないか、又は含む場合にはその含有量が、0.01質量%以下、0.005質量%以下、又は0.001質量%以下であってよい。
【0052】
(多価アルコール)
本発明の組成物は、少なくとも1種の多価アルコールを更に含むことが好ましい。多価アルコールは、洗浄後のしっとりさを付与することができるからである。したがって、多価アルコールは、場合によって(種類によって)は保湿剤とも称することができる。
【0053】
多価アルコールとは、分子中に水酸基を2個以上もつアルコールである。本発明において、多価アルコールとして、特に限定されず、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、マルチトール、グルコース及びスクロース等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果をより向上させる観点から、多価アルコールは、ジプロピレングリコール、グリセリン、及びソルビトールからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0054】
本発明の組成物において、多価アルコールを含む場合のその含有量(2種類以上の多価アルコールの場合はその合計含有量)は、特に限定されず、例えば、組成物全体に対して、5.0質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は30質量%以上であってよく、また、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
【0055】
また、本発明の組成物において、多価アルコールを含む場合には、多価アルコールの合計含有量と、上述した本発明のポリマーの含有量との比(多価アルコール:本発明のポリマー)は、特に限定されず、例えば、5:1~80:1であってよく、又は5:1~70:1、5:1~60:1、若しくは8:1~30:1であってよい。
【0056】
(界面活性剤)
本発明の組成物は、界面活性剤を更に含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、泡質や泡もちを向上させる観点からは、ノニオン界面活性剤を用いることが好ましく、また、起泡性を向上させる観点からは、両性界面活性剤を用いることが好ましい。このため、本発明の組成物は、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤を併用することが好ましい。
【0057】
ノニオン界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ラウリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル;モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、カプリル酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油;硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン還元ラノリン等が挙げられる。
【0058】
本発明の組成物において、ノニオン界面活性剤を含む場合のその含有量は、特に限定されず、例えば、組成物全体に対して、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%以上、2.5質量%以上、3.0質量%以上、3.5質量%以上、又は4.0質量%以上であってよく、また、10質量%以下、9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、6.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、又は2.0質量%以下であってよい。
【0059】
両性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤及びスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。より具体的には、両性界面活性剤として、例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン(「ココアンホ酢酸ナトリウム」とも称する)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシエトキシエチル-N-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0060】
本発明の組成物において、両性界面活性剤を含む場合のその含有量は、特に限定されず、例えば、組成物全体に対して、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%以上、2.5質量%以上、3.0質量%以上、3.5質量%以上、又は4.0質量%以上であってよく、また、10質量%以下、9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、6.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、又は2.0質量%以下であってよい。
【0061】
本発明の組成物は、上述したその他の成分以外には、通常皮膚洗浄料に添加し得る成分を、本発明の効果を損なわない範囲において、任意に添加することができる。かかる成分として、緩衝剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム等)、キレート剤(例えば、EDTA等)、色素、香料等が挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。
【0062】
《本発明の組成物の製造方法》
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述した必須成分と、随意に添加するその他の成分とを混合することによって行うことができる。また、混合する際に、必要に応じて、例えば、加熱や攪拌等の手段を用いてもよい。
【0063】
《本発明の組成物の用途》
本発明の組成物は、例えば、皮膚用洗浄料、皮膚保湿用洗浄料として好適に用いることができる。本発明の組成物は、特に、洗顔料として好適に用いることができる。また、本発明の組成物は、起泡性に優れているため、例えば洗顔フォームと呼ばれてもよい。
【0064】
また、本発明の組成物の製品形態は、特に限定されず、例えばペースト状、フォーム状、乳液状、又はジェル状であってよい。ここで、「ペースト状」とは、室温(25℃)においてペースト状(糊状)を呈することを意味する。
【実施例0065】
以下に実施例を挙げて、本発明について更に詳しく説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
《合成例1及び2》
以下の合成例1及び2は、それぞれ下記式(3)で表される構造を有するポリマーを合成した:
【化7】
なお、式(3)において、[]内は、ランダム共重合体である。
【0067】
〈合成例1〉
合成例1:R=H、R=H、R=CH、R=CH、m=2.0、及びn=6.0のポリマー1
下記方法で合成を行い、ポリマー1を得た。
【0068】
メタノール128g及び触媒として水酸化カリウム6.4gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら80℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりグリシドール592gとプロピレンオキシド1392gの混合物を95℃にて20時間かけて滴下させ、その後5時間攪拌した。オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するため減圧-0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、合成例1のポリマー1、2000gを得た。
【0069】
以下では、得られたポリマー1に対して、各種の物性値を求めた。
【0070】
(数平均分子量)
得られたポリマー1の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により算出した。システムとしてSHODEX(登録商標) GPC101GPC専用システム、示差屈折率計としてSHODEX RI-71s、ガードカラムとしてSHODEX KF-G、カラムとしてHODEX KF804Lを3本連続装着し、カラム温度40℃、展開溶剤としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、得られた反応物の0.1重量%テトラヒドロフラン溶液0.1mlを注入し、BORWIN GPC計算プログラムを用いて屈折率強度と溶出時間で表されるクロマトグラムを得る。このクロマトグラムからポリエチレングリコールを標準とし、数平均分子量を求めたところ、約530であった。
【0071】
(重量平均分子量)
得られたポリマー1の重量平均分子量は、上記と同様にGPC計算によって求めて、約859であった。
【0072】
(多分散度)
上記で求めた数平均分子量及び重量平均分子量の結果から、ポリマー1の多分散度Mw/Mnは、1.62であった。
【0073】
(IOB値)
得られたポリマー1のIOB値は、以下のように求めたところ、1.1であった。
【0074】
より具体的には、ポリマー1において、有機性値として、炭素を20、iso分岐を-10にて計算した。また、無機性値は、水酸基を100、エーテル結合を20にて計算した。
・メタノール部位:(炭素数1、水酸基1)×1
有機性値:20
無機性値:100
・グリシドール部位:(炭素数3、iso分岐1、水酸基1、エーテル結合1)×2
有機性値:(60-10)×2=100
無機性値:(100+20)×2=240
・プロピレンオキシド部位:(炭素数3、iso分岐1、エーテル結合1)×6
有機性値:(60-10)×6=300
無機性値:20×6=120
以上、合計有機性値が420となる、合計無機性値が460となるため、IOB値が1.09となる。
【0075】
(曇点)
得られたポリマー1に対して、5wt%水溶液を調製し、85℃に加温後、冷却し、透明溶液となる温度は74℃であった。よって、ポリマー1の曇点は、74℃であることが分かった。
【0076】
(水酸基価)
得られたポリマー1の水酸基価は、JIS K-1557-1の測定方法に従い測定したところ、294であった。
【0077】
(水への溶解性)
得られたポリマー1の水への溶解性は、後述する「相溶性評価」の方法と同じように求めたところ、50質量%以上であった。
【0078】
(オリーブ油への溶解性)
得られたポリマー1のオリーブ油への溶解性は、以下のように求めた。すなわち、ポリマー1を、濃度が1.0wt%となるようオリーブ油と混合し、外観を確認した。均一であれば「〇」とした。この場合、ポリマー1のオリーブ油への溶解性は、1.0質量%であった。
【0079】
以上で測定したポリマー1の各種物性値は、下記の表1に示す。
【0080】
〈合成例2〉
合成例2:R=H及びCH、R=H及びCH、R=CH、R=CH、m=2.0、及びn=6.0のポリマー2
下記方法で合成を行い、ポリマー2を得た。
【0081】
メタノール128gと触媒として水酸化カリウム6.4gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら80℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりグリシドール592gとプロピレンオキシド1392gの混合物を95℃にて20時間かけて滴下させ、その後2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム244gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル200gを温度80~130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するため減圧-0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、ポリマー2、1820gを得た。塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が125であったことから、RとRにおけるメチル基と水素原子の割合(CH/H)は0.57であることが分かった。すなわち、ポリマー2の水酸基封鎖率が57%であった。
【0082】
上述したポリマー1の場合と同様に、得られたポリマー2に対して、各種の物性値を求めて、それぞれの結果は下記の表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
《実施例1~8、比較例1及び2、並びに参考例1》
以下の表2に示す処方を用いて、ペースト状の洗浄料組成物を調製した。なお、特に断りのない限り、表2中の数値は、配合量を表し、単位は質量%である。
【0085】
また、得られた各組成物に対して、比較例1の組成物を基準として、専門官能評価パネル5名の顔を洗浄させた際の、使用性(洗浄時の水溶け及び洗浄後のしっとりさ)を総合的に評価した。評価基準は、以下のとおりであり、評価結果を表2に示す。
【0086】
〈洗浄時の水溶け〉
・基準組成物:比較例1
・評価結果:
「A」:比較例1に比べて明らかな水溶けが良い;
「B」:比較例1に比べてやや水溶けが良い;
「C]:比較例1とほぼ同程度;
「D」:比較例1に比べてやや水溶けが悪い;
「E」:比較例1に比べて明らかに水溶けが悪い。
【0087】
なお、水溶けは、1gの組成物試料に対して10gの水と混ぜた際の組成物の溶けやすさによって判断した。
【0088】
〈洗浄後のしっとりさ〉
・基準組成物:比較例1
・評価結果:
「A」:比較例1に比べて明らかに肌のしっとり感を感じる;
「B」:比較例1に比べてやや肌のしっとり感を感じる;
「C]:比較例1とほぼ同程度;
「D」:比較例1に比べてやや肌のしっとり感を感じない;
「E」:比較例1に比べて明らかに肌のしっとり感を感じない。
【0089】
【表2】
【0090】
表2の結果から明らかなように、実施例1~8の洗浄料組成物は、いずれも、比較例1に比べて、水溶け及び洗浄後のしっとりさの両方において、明らかに向上されていることが分かった。
【0091】
一方、比較例2の洗浄料組成物では、両性界面活性剤の種類を変えて試みたが、比較例1に比べて、水溶け及び洗浄後のしっとりさのいずれの評価においても改善は見られなかった。
【0092】
なお、参考例1の洗浄料組成物は、比較例1に比べて、水溶け及び洗浄後のしっとりさの両方において、明らかに向上されているが、この参考例の洗浄料組成物には、ポリエチレングリコール骨格を有する成分が含有されている。
【0093】
これに対して、実施例1~8の洗浄料組成物は、いずれも、ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール骨格を有する成分を含んでいなかったにもかかわらず、水溶け及び洗浄後のしっとりさの両方において優れていることが分かった。