(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009523
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】タンクシステム、液化二酸化炭素の移送方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20240116BHJP
B63B 27/24 20060101ALI20240116BHJP
B63B 25/08 20060101ALI20240116BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F17C13/00 302D
B63B27/24 A
B63B25/08 B
B63H21/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111111
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】安部 和也
(72)【発明者】
【氏名】小形 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋介
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB13
3E172BA06
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD01
3E172BD05
3E172DA90
3E172EA03
3E172EA46
3E172KA02
3E172KA03
(57)【要約】
【課題】液化二酸化炭素の移送時に、ドライアイスの生成を有効に抑える。
【解決手段】タンクシステムは、液化二酸化炭素を貯留可能な第一タンクと、一端部が第一タンク内に接続された配管と、配管の一端部から他端部側に向かって第一タンク内の液化二酸化炭素を圧送可能なポンプと、配管内の流路を開閉可能な第一バルブと、配管における第一バルブよりも他端部側に設けられて、配管の流路を開閉可能な第二バルブと、第一バルブと第二バルブとの間の配管内を加圧可能な加圧部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化二酸化炭素を貯留可能な第一タンクと、
前記第一タンク内の前記液化二酸化炭素を前記第一タンクの外部に導く配管と、
前記配管の一端部から他端部側に向かって前記第一タンク内の前記液化二酸化炭素を圧送可能なポンプと、
前記配管内の流路を開閉可能な第一バルブと、
前記配管における前記第一バルブよりも前記他端部側に設けられて、前記配管の流路を開閉可能な第二バルブと、
前記第一バルブと前記第二バルブとの間の前記配管内を加圧可能な加圧部と、
を備えるタンクシステム。
【請求項2】
前記加圧部は、前記第一バルブと前記第二バルブとの間の前記配管内に前記配管の外部から加圧流体を送り込む
請求項1に記載のタンクシステム。
【請求項3】
前記加圧流体は、二酸化炭素ガスである
請求項2に記載のタンクシステム。
【請求項4】
前記第一バルブと前記第二バルブとの間の前記配管内の圧力を検出する第一圧力センサーと、
前記第一圧力センサーにより検出された前記配管内の圧力を監視する監視装置と、を備える
請求項1又は2に記載のタンクシステム。
【請求項5】
前記監視装置は、前記配管内の圧力が、予め定められた第一閾値以上である場合に、前記ポンプを駆動可能とする
請求項4に記載のタンクシステム。
【請求項6】
前記監視装置は、前記配管内の圧力が、予め定められた第一閾値以上である場合に、前記第一バルブを開動作可能とする
請求項4に記載のタンクシステム。
【請求項7】
前記配管の前記他端部が接続され、前記液化二酸化炭素を貯留可能な第二タンクと、
前記第二タンク内の圧力を検出する第二圧力センサーと、をさらに備え、
前記監視装置は、前記第二圧力センサーで検出された前記第二タンク内の圧力が、予め定められた第二閾値以上である場合に、前記第二バルブを開動作可能とする
請求項6に記載のタンクシステム。
【請求項8】
前記配管は、前記一端部から前記他端部側に向かって流れる前記液化二酸化炭素を分流させることが可能な複数の分岐配管を備え、
前記第一バルブ、及び前記第二バルブは、前記分岐配管ごとに設けられている
請求項1又は2に記載のタンクシステム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のタンクシステムにおける液化二酸化炭素の移送方法であって、
前記第一バルブ、及び前記第二バルブを閉じた状態で、前記加圧部により、前記第一バルブと前記第二バルブとの間の前記配管内を加圧するステップと、
前記第一バルブ、及び前記第二バルブを開き、前記第一タンク内の前記液化二酸化炭素を、前記配管を通して前記第一タンク外に吐出するステップと、を含む
液化二酸化炭素の移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タンクシステム、液化二酸化炭素の移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、液化ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)を貯蔵するタンクを備えた船舶(輸入船)から、陸上設備(輸入ターミナル)に、液化ガスを移送するための移送装置(天然ガス移送装置)を備えた構成が開示されている。このような構成では、船舶は、タンク内の液化ガスを移送装置により陸上設備のタンクに移送する。
このように、第一タンク(船舶のタンク)から第二タンク(陸上設備のタンク)に液化ガスを移送する場合、第一タンクと第二タンクとが、接続管によって接続される。接続管には、接続管内の流路を開閉する弁が設けられ、第一タンクから第二タンクに液化ガスを移送する際には、接続管内の流路を開閉する弁を開き、第一タンクと第二タンクとを連通させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タンクに液化二酸化炭素が貯蔵されている場合、接続管内の流路を開閉する弁を開くと、接続管内にドライアイスが生成されてしまうことがある。具体的には、弁を開く前の段階で、弁に対し、接続管における液化二酸化炭素の流通方向の下流側で、接続管内に液化二酸化炭素が存在していない、もしくは十分に加圧されていない状態で、弁を開き、第一タンク内の液化二酸化炭素が接続管内に流れ込むと、液化二酸化炭素が減圧されて、ドライアイスが生成される可能性がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、液化二酸化炭素の移送時に、ドライアイスの生成を有効に抑えることができるタンクシステム、液化二酸化炭素の移送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るタンクシステムは、第一タンクと、配管と、ポンプと、第一バルブと、第二バルブと、加圧部と、を備える。前記第一タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記配管は、前記第一タンク内の前記液化二酸化炭素を前記第一タンクの外部に導く。前記ポンプは、前記配管の一端部から他端部側に向かって前記第一タンク内の液化二酸化炭素を圧送可能である。前記第一バルブは、前記配管内の流路を開閉可能である。前記第二バルブは、前記配管における前記第一バルブよりも前記他端部側に設けられている。前記第二バルブは、前記配管の流路を開閉可能である。前記加圧部は、前記第一バルブと前記第二バルブとの間の前記配管内を加圧可能である。
【0007】
本開示に係る液化二酸化炭素の移送方法は、上記したようなタンクシステムにおける液化二酸化炭素の移送方法である。前記液化二酸化炭素の移送方法は、加圧するステップと、吐出するステップと、を含む。前記加圧するステップは、前記第一バルブ、及び前記第二バルブを閉じた状態で、前記加圧部により、前記第一バルブと前記第二バルブとの間の前記配管内を加圧する。前記吐出するステップは、前記第一バルブ、及び前記第二バルブを開き、前記第一タンク内の前記液化二酸化炭素を、前記配管を通して前記第一タンク外に吐出する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のタンクシステム、液化二酸化炭素の移送方法によれば、液化二酸化炭素の移送時に、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係る監視装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係る監視装置の機能ブロック図である。
【
図4】本開示の第一実施形態に係る液化二酸化炭素の移送方法の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の第一実施形態に係るタンクシステムにおいて、配管内を加圧する状態を示す図である。
【
図6】本開示の第一実施形態に係るタンクシステムにおいて、液化二酸化炭素を移送する状態を示す図である。
【
図7】本開示の第一実施形態の第一変形例に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
【
図8】本開示の第一実施形態の第二変形例に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
【
図9】本開示の第一実施形態の第三変形例に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
【
図10】本開示の第二実施形態に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
【
図11】本開示の第二実施形態に係るタンクシステムにおいて、配管内を加圧する状態を示す図である。
【
図12】本開示の第二実施形態に係るタンクシステムにおいて、他方の第二タンクに液化二酸化炭素を移送する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係るタンクシステム、液化二酸化炭素の移送方法について、
図1から
図6を参照して説明する。
(タンクシステムの全体構成)
図1に示すように、この実施形態のタンクシステム1Aは、第一タンク11と、第二タンク12と、配管20Aと、ポンプ30と、第一バルブ31と、第二バルブ32と、加圧部40と、監視装置60と、を主に備えている。
【0011】
第一タンク11は、液化二酸化炭素Lを貯留可能である。第一タンク11は、例えば、船舶、洋上浮体設備、陸上設備等に備えられる。
第二タンク12は、液化二酸化炭素Lを貯留可能である。第二タンク12は、例えば、船舶、洋上浮体設備、陸上設備等に備えられる。
【0012】
タンクシステム1Aは、第一タンク11から第二タンク12へと、第一タンク11に貯留された液化二酸化炭素Lを移送する。例えば、タンクシステム1Aは、船舶に設けられた第一タンク11から、洋上浮体設備、又は陸上設備に設けられた第二タンク12に、液化二酸化炭素Lを移送する。また、タンクシステム1Aは、船舶に設けられた第一タンク11から、他の船舶に設けられた第二タンク12に、液化二酸化炭素Lを移送する。また、例えば、洋上浮体設備、又は陸上設備に設けられた第一タンク11から、船舶に設けられた第二タンク12に、液化二酸化炭素Lを移送するようにしてもよい。また、第一タンク11、及び第二タンク12の双方を、同一の船舶に備え、同一の船舶内で、第一タンク11から第二タンク12へと液化二酸化炭素Lを移送するようにしてもよい。同様に、第一タンク11、及び第二タンク12の双方を、洋上浮体設備、又は陸上設備に備え、同一の設備内で、第一タンク11から第二タンク12へと液化二酸化炭素Lを移送するようにしてもよい。
【0013】
言い換えれば、液化二酸化炭素Lの移送方向によって、第一タンク11と、第二タンク12との何れであるかが定まる。具体的には、二つのタンクがある場合、液化二酸化炭素Lの供給元となるタンクが、第一タンク11となる。またこの場合、液化二酸化炭素Lの供給先となるタンクが、第二タンク12となる。つまり、二つのタンクがある場合、液化二酸化炭素Lの移送方向に応じて、第一タンク11と第二タンク12とが入れ替わることがある。
【0014】
本実施形態で例示する第一タンク11、第二タンク12は、それぞれ、筒状部13と、鏡板部14と、を備えている。筒状部13は、円筒状に形成される。鏡板部14は、筒状部13の長手方向の両端部にそれぞれ配置されている。各鏡板部14は、半球状で、筒状部13の長手方向両端の開口を閉塞している。なお、第一タンク11、第二タンク12は、円筒状に限られるものではなく、球形、方形等、他の形状であってもよい。また、第一タンク11と、第二タンク12とは、同一形状であるとは限らず、その形状が互いに異なっていてもよい。第一タンク11と、第二タンク12とは、大きさ(容量)が異なっていてもよい。また、第一タンク11と、第二タンク12とは、その設置高さが異なっていてもよいし、同一であってもよい。
【0015】
配管20Aは、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを第一タンク11の外部に導く。配管20Aは、第一タンク11内と第二タンク12内とを連通可能である。配管20Aは、吐出管21Aと、供給管23と、中間管22と、を備えている。
【0016】
吐出管21Aは、配管20Aの一端部20a側に配置されている。吐出管21Aは、第一タンク11内に連通している。本実施形態において、吐出管21Aは、第一タンク11の外部から第一タンク11の頂部を貫通し、第一タンク11の内部に延びている。吐出管21Aの先端部は、第一タンク11内の下部に配置されている。吐出管21Aの先端部には、ポンプ30が設けられている。
【0017】
供給管23は、配管20Aの他端部20b側に配置されている。供給管23は、第二タンク12内に連通している。供給管23は、例えば、第二タンク12の外部から第二タンク12の頂部を貫通し、第二タンク12の内部に延びている。供給管23の先端部は、第二タンク12内の下部において、下方に向けて開口している。
【0018】
中間管22は、配管20Aの一端部20a側と他端部20b側との中間部20cに配置されている。中間管22は、吐出管21Aと供給管23との間に配置されている。例えば、第一タンク11と第二タンク12とが、配管20Aを介して常時接続されている場合、中間管22は、吐出管21A、及び供給管23に固定的に接続されている。例えば、第一タンク11が船舶に設けられ、第二タンク12が陸上設備、又は洋上浮体設備に設けられている場合は、中間管22は、吐出管21A、供給管23に対して着脱可能に接続されている。本実施形態では、例えば、中間管22と吐出管21Aとは、後述する第一バルブ31の部分で接続され、中間管22と供給管23とは、後述する第二バルブ32の部分で接続されているものとする。
【0019】
ポンプ30は、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを吸い込む。ポンプ30は、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、配管20Aの一端部20aから他端部20b側に向かって第一タンク11外(船外)に送出する。
【0020】
第一バルブ31は、配管20Aの一端部20a側に配置されている。本実施形態において、第一バルブ31は、吐出管21Aと中間管22との間に配置されている。第一バルブ31は、例えば遠隔操作により、配管20A内の流路を開閉可能である。
【0021】
第二バルブ32は、第一バルブ31に対して、配管20A内における液化二酸化炭素Lの流通方向の下流側に配置されている。第二バルブ32は、第一バルブ31に対して、配管20Aの他端部20b側に配置されている。本実施形態において、第二バルブ32は、中間管22と供給管23との間に配置されている。第二バルブ32は、例えば遠隔操作により、配管20A内の流路を開閉可能である。
【0022】
加圧部40は、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A(中間管22)内を加圧可能である。加圧部40は、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内に配管20Aの外部から加圧流体を送り込む。本実施形態では、加圧流体として、例えば二酸化炭素ガスを、配管20Aの外部から配管20A内に送り込む。加圧流体としては、二酸化炭素ガスに限らず、例えば、窒素等の不活性ガスを採用してもよい。
【0023】
加圧部40は、加圧配管41と、加圧バルブ42と、を備えている。加圧配管41の基端部は、加圧流体供給源(図示せず)となる、二酸化炭素ガスの貯留タンクに接続されている。加圧配管41の先端部は、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20Aの中間管22に接続されている。加圧バルブ42は、加圧配管41に設けられている。加圧バルブ42は、遠隔操作により、加圧配管41内の流路を開閉可能である。
【0024】
監視装置60は、第一タンク11から第二タンク12に液化二酸化炭素Lを移送する場合に、各部の圧力を監視する。このため、タンクシステム1Aは、第一圧力センサー51と、第二圧力センサー52と、を備えている。第一圧力センサー51は、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内の圧力を検出する。第二圧力センサー52は、第二タンク12内の圧力を検出する。第一圧力センサー51,第二圧力センサー52は、圧力の検出信号を、監視装置60に送信する。
【0025】
(ハードウェア構成図)
図2は、本開示の第一実施形態に係る監視装置のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、監視装置60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のストレージ64、信号送受信モジュール65を備えるコンピュータである。
【0026】
(機能ブロック図)
図3は、本開示の第一実施形態に係る監視装置の機能ブロック図である。
図3に示すように、監視装置60のCPU61は予めストレージ64に記憶されたプログラムを実行することにより、信号受信部71、インターロック制御部72、指令信号出力部73の各機能構成を実現する。
信号受信部71は、ハードウェアである信号送受信モジュール65を介して第一圧力センサー51、第二圧力センサー52の検出信号を受信する。
【0027】
インターロック制御部72は、信号受信部71によってそれぞれ受信した、第一圧力センサー51により検出された配管20A内の圧力と、第二圧力センサー52により検出された第二タンク12内の圧力と、を監視する。インターロック制御部72は、ポンプ30、第一バルブ31、及び第二バルブ32の各々について、動作の可否を制御する、いわゆるインターロック制御を行う。
【0028】
インターロック制御部72は、予め設定された条件が満足された場合のみ、ポンプ30のインターロックを解除し、遠隔操作によるポンプ30の駆動(起動)を可能とする。インターロック制御部72は、第一圧力センサー51によって検出される配管20A内の圧力が、予め定められた第一閾値以上である場合に、ポンプ30のインターロックを解除し、ポンプ30を駆動可能とする。
【0029】
インターロック制御部72は、予め設定された条件が満足された場合のみ、第一バルブ31、第二バルブ32の各々のインターロックを解除し、遠隔操作による開動作を可能とする。インターロック制御部72は、配管20A内の圧力が、予め定められた第一閾値以上である場合に、第一バルブ31のインターロックを解除し、第一バルブ31を開動作可能とする。インターロック制御部72は、第二圧力センサー52で検出された第二タンク12内の圧力が、予め定められた第二閾値以上である場合に、第二バルブ32のインターロックを解除し、第二バルブ32を開動作可能とする。第一閾値と第二閾値とは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0030】
指令信号出力部73は、インターロック制御部72で、ポンプ30、第一バルブ31、及び第二バルブ32の各々に対し、インターロックを解除する判断がなされた場合に、ハードウェアである信号送受信モジュール65を介してインターロック解除信号を送信する。
【0031】
(液化二酸化炭素の移送方法の手順)
図4は、本開示の第一実施形態に係る液化二酸化炭素の移送方法の手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、第一実施形態に係る液化二酸化炭素Lの移送方法S10は、加圧するステップS11と、圧力を判定するステップS12と、吐出するステップS13と、残量を判定するステップS14と、吐出を終了するステップS15と、を含む。
【0032】
第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを第二タンク12へと移送する前の段階では、ポンプ30は停止され、第一バルブ31、及び第二バルブ32は、閉じている。また、ポンプ30、第一バルブ31、第二バルブ32は、それぞれインターロックにより、遠隔操作が無効な状態とされている。
【0033】
図5は、本開示の第一実施形態に係るタンクシステムにおいて、配管内を加圧する状態を示す図である。
加圧するステップS11では、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを第二タンク12へと移送するに際し、まず、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内を加圧する。これには、
図5に示すように、第一バルブ31、及び第二バルブ32を閉じた状態とする。この状態で、加圧バルブ42を開き、加圧配管41を通して、加圧流体供給源(図示せず)から供給される加圧流体(二酸化炭素ガス)を、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内に送り込む。ここで、加圧流体は、予め設定された圧力以上に加圧されている。これにより、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内が加圧される。
【0034】
圧力を判定するステップS12では、監視装置60のインターロック制御部72が、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内の圧力を判定する。第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内の圧力は、第一圧力センサー51に検出され、その検出信号が監視装置60に送信される。監視装置60のインターロック制御部72では、信号受信部71で受信した第一圧力センサー51の検出信号に基づき、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内の圧力が第一閾値以上であるか否かを判定する。
この判定の結果、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内の圧力が、第一閾値以上ではない場合(ステップS12でNo)、ステップS11に戻り、配管20A内の加圧を継続する。
【0035】
また、圧力を判定するステップS12では、監視装置60のインターロック制御部72が、第二タンク12内の圧力も判定する。第二タンク12内の圧力は、第二圧力センサー52によって検出され、その検出信号が監視装置60に送信される。監視装置60では、信号受信部71で受信した第二圧力センサー52の検出信号に基づき、インターロック制御部72が、第二タンク12内の圧力が第二閾値以上であるか否かを判定する。
この判定の結果、第二タンク12内の圧力が第二閾値以上では無かった場合(ステップS12でNo)、第二タンク12内に、例えば外部から二酸化炭素ガスを送り込む等して、第二タンク12内の圧力を上昇させる。
【0036】
第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内の圧力が、第一閾値以上であり、かつ第二タンク12内の圧力が第二閾値以上である、という条件を満足した場合(ステップS12でYes)、例えば、オペレータに対し、配管20A内の加圧が完了した旨を報知する。これによって、例えば、遠隔操作により、オペレータが加圧バルブ42を閉じ、配管20A内の加圧を終了する。その後、ステップS13に進む。
【0037】
図6は、本開示の第一実施形態に係るタンクシステムにおいて、液化二酸化炭素を移送する状態を示す図である。
吐出するステップS13では、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、配管20Aを通して第一タンク11外に吐出する。これには、インターロック制御部72が、ポンプ30、第一バルブ31、及び第二バルブ32のインターロックを解除する。これにより、ポンプ30、第一バルブ31、及び第二バルブ32が、それぞれ、遠隔操作を受け付け可能な状態となる。
【0038】
その後、オペレータが、遠隔操作により、ポンプ30を起動すると、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lがポンプ30によって吸い上げられる。続いて、
図6に示すように、オペレータが、遠隔操作により、第一バルブ31を開動作させると、ポンプ30によって吸い上げられた液化二酸化炭素Lが、吐出管21Aから第一バルブ31を通過して中間管22へと吐出される。さらに、オペレータが、遠隔操作により、第二バルブ32を開動作させると、中間管22から供給管23へと液化二酸化炭素Lが流れ込み、第一タンク11内から第二タンク12内へと液化二酸化炭素Lが移送される。
【0039】
ここで、ステップS12では、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内の圧力が、第一閾値以上であり、かつ第二タンク12内の圧力が第二閾値以上である、という条件を満足した場合、ステップS13に進むようにしたが、これに限らない。例えば、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内の圧力が、第一閾値以上であった場合に、まず、ポンプ30、第一バルブ31のインターロックを解除し、その後、ポンプ30を起動し、第一バルブ31を開動作させてもよい。その後に、第二タンク12内の圧力が第二閾値以上であるか否かを確認し、第二タンク12内の圧力が第二閾値以上であった場合に、第二バルブ32のインターロックを解除し、第二バルブ32を開動作させるようにしてもよい。
【0040】
残量を判定するステップS14では、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lの残量を、液位計(図示せず)等によって確認する。第一タンク11内の液化二酸化炭素Lの残量が、予め設定した下限値に到達していなければ(ステップS14でNo)、ステップS13に戻り、第一タンク11から第二タンク12への液化二酸化炭素Lの移送を継続する。
第一タンク11内の液化二酸化炭素Lの残量が、予め設定した下限値に到達した場合(ステップS14でYes)、ステップS15に進む。
【0041】
吐出を終了するステップS15では、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lの、第一タンク11外への吐出を終了する。これには、まず、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lの残量が、予め設定した下限値に到達した旨をオペレータに報知し、これによりオペレータが、遠隔操作により、ポンプ30の駆動を停止させる。その後、オペレータが、遠隔操作により、第一バルブ31、及び第二バルブ32を閉じる。これにより、第一タンク11から第二タンク12への液化二酸化炭素Lの移送が完了する。
【0042】
なお、第一バルブ31、及び第二バルブ32を閉じるに先立ち、加圧部40から加圧流体を、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内に送り込むようにしてもよい。これにより、配管20A内に残留する液化二酸化炭素Lが、第一タンク11、第二タンク12に押し込まれる。この場合、第一バルブ31を開き、第二バルブ32を閉じておけば、配管20A内の液化二酸化炭素Lは、第一タンク11に押し戻される。また、第一バルブ31を閉じ、第二バルブ32を開いておけば、配管20A内の液化二酸化炭素Lは、第二タンク12に押し込まれる。
【0043】
(作用効果)
上記実施形態のタンクシステム1Aは、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内を加圧可能な加圧部40を備えている。このため、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、配管20Aを通して吐出するに先立ち、第一バルブ31と第二バルブ32との間で、加圧部40により配管20A内を加圧する。その後、第一バルブ31を開く。すると、第一バルブ31に対して液化二酸化炭素Lの流通方向の下流側で配管20A内が加圧されているため、液化二酸化炭素Lが第一バルブ31に対して下流側に流れ込んだときに、液化二酸化炭素Lの減圧を抑えることができる。したがって、第一バルブ31よりも下流側の配管20A内で、ドライアイスが生成されにくくなる。その結果、液化二酸化炭素Lの移送時に、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20Aの外部から加圧流体を配管20A内に送り込むことによって、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内を加圧することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、加圧流体として二酸化炭素ガスを、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内に送り込むことによって、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内を加圧しつつ、液化二酸化炭素Lに二酸化炭素以外のガスが混ざることを抑制できる。
【0046】
また、上記実施形態では、第一圧力センサー51が検出した、第一バルブ31と第二バルブ32との間における配管20A内の圧力を、監視装置60が監視することによって、第一タンク11からの液化二酸化炭素Lの吐出を、ドライアイスの生成を抑えながら良好に行うことができる。
【0047】
また、上記実施形態では、第一圧力センサー51で検出される配管20A内の圧力が、第一閾値以上である場合に、ポンプ30を駆動可能とする。これにより、第一圧力センサー51で検出される配管20A内の圧力が、第一閾値未満である場合に、ポンプ30が駆動されて、第一タンク11から配管20A内に液化二酸化炭素Lが送り込まれることが抑えられる。したがって、配管20A内で液化二酸化炭素Lが減圧されてドライライスが生成されることを抑えることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、第一圧力センサー51で検出される配管20A内の圧力が、第一閾値以上である場合に、第一バルブ31を開動作可能とする。これにより、第一圧力センサー51で検出される配管20A内の圧力が、第一閾値未満である場合に、第一バルブ31が開動作してしまい、第一バルブ31に対して下流側の配管20A内に液化二酸化炭素Lが送り込まれることが抑えられる。
【0049】
また、上記実施形態では、第二タンク12を備えることで、第一タンク11から第二タンク12に配管20Aを通して液化二酸化炭素Lを移送することができる。この場合、第二圧力センサー52で、第二タンク12内の圧力を検出する。これにより、第二バルブ32を開いたときに、第二バルブ32に対して下流側で第一タンク11から移送される液化二酸化炭素Lの減圧を抑えることができる。したがって、第二バルブ32の下流側の配管20A内で、ドライアイスが生成されることが抑えられる。
【0050】
上記実施形態の液化二酸化炭素Lの移送方法S10では、加圧部40により、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A内を加圧する。その後、第一バルブ31、及び第二バルブ32を開き、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、配管20Aを通して第一タンク11外に吐出する。このように、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、配管20Aを通して吐出するに先立ち加圧することで、液化二酸化炭素Lが第一バルブ31に対して下流側に流れ込んだときに、液化二酸化炭素Lの減圧を抑えることができる。したがって、第一バルブ31よりも下流側の配管20A内で、ドライアイスが生成されにくくなる。その結果、液化二酸化炭素Lの移送時に、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0051】
(第一実施形態の変形例)
上記第一実施形態では、吐出管21Aが、第一タンク11の外部から第一タンク11の頂部を貫通し、第一タンク11の内部に延び、その先端部にポンプ30が設けられている。吐出管21A、及びポンプ30の配置は、これに限らず、例えば、以下の各変形例に示すように、適宜変更可能である。
図7は、本開示の第一実施形態の第一変形例に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
例えば、
図7に示す第一実施形態の第一変形例のように、タンクシステム1Bの配管20Bの一端部20a側に設けられた吐出管21Bは、第一タンク11の外部から第一タンク11の側部の鏡板部14を貫通して、第一タンク11の内部に延びていてもよい。ポンプ30は、第一タンク11内で吐出管21Bの先端部に設けられている。
【0052】
図8は、本開示の第一実施形態の第二変形例に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
例えば、
図8に示す第一実施形態の第二変形例のように、タンクシステム1Cの配管20Cの一端部20a側に設けられた吐出管21Cは、第一タンク11の外部から第一タンク11の側部の鏡板部14に接続されていてもよい。吐出管21Cの先端部は、第一タンク11内で側方に向けて開口している。ポンプ30は、第一タンク11の外部で、吐出管21Cの途中に設けられている。
【0053】
図9は、本開示の第一実施形態の第三変形例に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
例えば、
図9に示す第一実施形態の第三変形例のように、タンクシステム1Dの配管20Dの一端部20a側に設けられた吐出管21Dは、第一タンク11の外部から第一タンク11の底部に接続されていてもよい。吐出管21Dの先端部は、第一タンク11内で上方に向けて開口している。ポンプ30は、第一タンク11の外部で、吐出管21Dの途中に設けられている。
【0054】
<第二実施形態>
次に、本開示に係るタンクシステム、液化二酸化炭素の移送方法の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と配管20Bの構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
(タンクシステムの全体構成)
図10は、本開示の第二実施形態に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。
図10に示すように、本実施形態において、タンクシステム1Eは、例えば二つの第二タンク12A,12Bを備えている。なお、
図10は、タンクシステム1Eの構成をあくまでも模式的に示したものであり、一方の第二タンク12Aと、他方の第二タンク12Bとは、上下方向で異なる位置に配置されているわけではない。
【0055】
第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを第一タンク11の外部に導く配管20Eは、吐出管21Eと、複数の分岐配管25A,25Bと、複数の供給管23A,23Bと、を備えている。
【0056】
吐出管21Eは、配管20Eの一端部20a側に配置されている。吐出管21Eは、第一タンク11内に連通している。この第二実施形態では、ポンプ30が吐出管21Eの基端部に設けられている。
【0057】
複数の供給管23A,23Bは、配管20Eの他端部20b側に配置されている。供給管23Aは、第二タンク12A内に連通している。供給管23Bは、第二タンク12B内に連通している。
【0058】
分岐配管25A,25Bは、配管20Eの一端部20a側と他端部20b側との間に配置されている。分岐配管25A,25Bは、配管20Eの一端部20aから他端部20b側に向かって流れる液化二酸化炭素Lを分流させることが可能である。分岐配管25A,25Bは、吐出管21Eから二つに分岐して設けられている。分岐配管25Aは、吐出管21Eと供給管23Aとの間に配置されている。分岐配管25Bは、吐出管21Eと供給管23Aとの間に配置されている。
【0059】
第一バルブ31、第二バルブ32は、分岐配管25A,25Bごとに設けられている。
換言すると、分岐配管25Aは、第一バルブ31と、第二バルブ32と、を備えている。第一バルブ31は、分岐配管25Aにおいて、配管20Eの一端部20a側(吐出管21E側)に配置されている。第二バルブ32は、第一バルブ31に対して、分岐配管25Aにおいて、配管20Eの他端部20b側(供給管23A側)に配置されている。
分岐配管25Bは、第一バルブ31と、第二バルブ32と、を備えている。第一バルブ31は、分岐配管25Bにおいて、配管20Eの一端部20a側(吐出管21E側)に配置されている。第二バルブ32は、第一バルブ31に対して、分岐配管25Bにおいて、配管20Eの他端部20b側(供給管23B側)に配置されている。
【0060】
加圧部40は、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20E(分岐配管25A,25B)内を加圧可能である。加圧部40は、第一バルブ31と第二バルブ32との間の分岐配管25A内に、外部から加圧流体を送り込む。加圧部40は、第一バルブ31と第二バルブ32との間の分岐配管25B内に、外部から加圧流体を送り込む。
【0061】
分岐配管25Aには、第一バルブ31と第二バルブ32との間で、加圧配管41Aの先端部が接続されている。加圧配管41Aには、加圧バルブ42Aが設けられている。
分岐配管25Bには、第一バルブ31と第二バルブ32との間で、加圧配管41Bの先端部が接続されている。加圧配管41Bには、加圧バルブ42Bが設けられている。
分岐配管25A,25Bの基端部は、加圧流体供給源(図示せず)となる、二酸化炭素ガスの貯留タンクに接続されている。
【0062】
タンクシステム1Eは、第一圧力センサー51と、第二圧力センサー52と、を備えている。第一圧力センサー51は、分岐配管25A,25Bの各々に設けられている。第一圧力センサー51は、分岐配管25A,25Bの各々において、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20E内の圧力を検出する。
第二圧力センサー52は、第二タンク12A,12Bの各々に設けられている。第二圧力センサー52は、第二タンク12A,12B内の圧力を検出する。
【0063】
このようなタンクシステム1Eでは、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lの吐出先を、複数の第二タンク12A,12B間で適宜切り替えることができる。なお、詳細説明は省略するが、第一実施形態と同様に、タンクシステム1Eにおいても、監視装置60によって、ポンプ30、第一バルブ31、第二バルブ32の各々について、インターロック制御が行われるようになっており、特に第一バルブ31、第二バルブ32については、分岐配管25A,25Bごとに個別にインターロック制御が可能となっている。
【0064】
図11は、本開示の第二実施形態に係るタンクシステムにおいて、一方の第二タンクに液化二酸化炭素を移送している状態を示す図である。
図11に示すように、例えば、一方の第二タンク12Aに連通する分岐配管25Aの第一バルブ31、第二バルブ32を開いた状態で、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、一方の第二タンク12Aに移送している場合を考える。この場合、他方の第二タンク12Bに連通する分岐配管25Bの第一バルブ31、第二バルブ32は、閉じている。
第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、他方の第二タンク12Bに移送するには、分岐配管25Bの第一バルブ31、及び第二バルブ32を閉じた状態で、加圧配管41Bに設けられた加圧バルブ42Bを開く。これにより、加圧配管41Bを通して、第一バルブ31と第二バルブ32との間で、加圧配管41B内に加圧流体が送り込まれ、加圧配管41B内が加圧される。
【0065】
続いて、第一圧力センサー51で検出される、第一バルブ31と第二バルブ32との間における加圧配管41B内の圧力が、第一閾値を超えていた場合、加圧バルブ42Bを閉じ、分岐配管25B内の加圧を終了する。
【0066】
図12は、本開示の第二実施形態に係るタンクシステムにおいて、他方の第二タンクに液化二酸化炭素を移送する状態を示す図である。
その後、
図12に示すように、分岐配管25Bに設けられた第一バルブ31を開く。すると、第一タンク11から吐出される液化二酸化炭素Lが、分岐配管25B内に流れこむ。さらに、第二圧力センサー52によって検出される第二タンク12Bが、第二閾値を超えた場合に、分岐配管25Bに設けられた第二バルブ32を開く。これにより、第二タンク12から吐出される液化二酸化炭素Lが、分岐配管25B、供給管23Bを通して、他方の第二タンク12Bに移送される。
【0067】
その後は、分岐配管25Aに設けられた第一バルブ31、第二バルブ32を閉じれば、第一タンク11から吐出される液化二酸化炭素Lの移送先が、一方の第二タンク12Aから他方の第二タンク12Bに切り替わる。
また、分岐配管25Aに設けられた第一バルブ31、第二バルブ32を開いたままとし、第一タンク11から吐出される液化二酸化炭素Lを、一方の第二タンク12Aと、他方の第二タンク12Bとに分岐させて移送させるようにしてもよい。
【0068】
(作用効果)
上記実施形態のタンクシステム1Eでは、複数の分岐配管25A,25Bのそれぞれは、第一バルブ31と、第二バルブ32と、を備えている。これにより、複数の分岐配管25A,25Bのいずれかに、第一タンク11から吐出される液化二酸化炭素Lを流通させるに際し、第一バルブ31と第二バルブ32との間で、加圧部40により分岐配管25A,25B内を加圧する。その後、第一バルブ31を開く。すると、第一バルブ31に対して下流側の分岐配管25A,25B内が加圧されているため、液化二酸化炭素Lが第一バルブ31に対して下流側に流れ込んだときに、液化二酸化炭素Lの減圧を抑えることができる。したがって、配管20E内でドライアイスが生成されにくくなる。その結果、液化二酸化炭素Lの移送時に、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0069】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記第二実施形態では、二組の分岐配管25A,25B、供給管23A,23Bを、第二タンク12A,12Bを備えるようにしたが、これらを3組以上備えるようにしてもよい。
【0070】
<付記>
各実施形態に記載のタンクシステム1A~1E、液化二酸化炭素Lの移送方法S10は、例えば以下のように把握される。
【0071】
(1)第1の態様に係るタンクシステム1A~1Eは、液化二酸化炭素Lを貯留可能な第一タンク11と、前記第一タンク11内の前記液化二酸化炭素Lを前記第一タンク11の外部に導く配管20A~20Eと、前記配管20A~20Eの一端部20aから他端部20b側に向かって前記第一タンク11内の前記液化二酸化炭素Lを圧送可能なポンプ30と、前記配管20A~20E内の流路を開閉可能な第一バルブ31と、前記配管20A~20Eにおける前記第一バルブ31よりも前記他端部20b側に設けられて、前記配管20A~20Eの流路を開閉可能な第二バルブ32と、前記第一バルブ31と前記第二バルブ32との間の前記配管20A~20E内を加圧可能な加圧部40と、を備える。
【0072】
このタンクシステム1A~1Eは、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A~20E内を加圧可能な加圧部40を備えている。このため、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、配管20A~20Eを通して吐出するに先立ち、第一バルブ31と第二バルブ32との間で、加圧部40により配管20A~20E内を加圧する。その後、第一バルブ31を開く。すると、第一バルブ31に対して液化二酸化炭素Lの流通方向の下流側で配管20A~20E内が加圧されているため、液化二酸化炭素Lが第一バルブ31に対して下流側に流れ込んだときに、液化二酸化炭素Lの減圧を抑えることができる。したがって、第一バルブ31よりも下流側の配管20A~20E内で、ドライアイスが生成されにくくなる。その結果、液化二酸化炭素Lの移送時に、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0073】
(2)第2の態様に係るタンクシステム1A~1Eは、(1)のタンクシステム1A~1Eであって、前記加圧部40は、前記第一バルブ31と前記第二バルブ32との間の前記配管20A~20E内に前記配管20A~20Eの外部から加圧流体を送り込む。
【0074】
これにより、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A~20Eの外部から加圧流体を配管20A~20E内に送り込むことによって、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A~20E内を加圧することができる。
【0075】
(3)第3の態様に係るタンクシステム1A~1Eは、(2)のタンクシステム1A~1Eであって、前記加圧流体は、二酸化炭素ガスである。
【0076】
これにより、第一バルブ31と第二バルブ32との間で、加圧流体として二酸化炭素ガスを配管20A~20E内に送り込むことによって、第一バルブ31と第二バルブ32との間の配管20A~20E内を加圧しつつ、液化二酸化炭素Lに二酸化炭素以外のガスが混ざることを抑制できる。
【0077】
(4)第4の態様に係るタンクシステム1A~1Eは、(1)又は(2)のタンクシステム1A~1Eであって、前記第一バルブ31と前記第二バルブ32との間の前記配管20A~20E内の圧力を検出する第一圧力センサー51と、前記第一圧力センサー51により検出された前記配管20A~20E内の圧力を監視する監視装置60と、を備える。
【0078】
これにより、第一圧力センサー51が検出した、第一バルブ31と第二バルブ32との間における配管20A~20E内の圧力を、監視装置60が監視することによって、第一タンク11からの液化二酸化炭素Lの吐出を、ドライアイスの生成を抑えながら良好に行うことができる。
【0079】
(5)第5の態様に係るタンクシステム1A~1Eは、(4)のタンクシステム1A~1Eであって、前記監視装置60は、前記配管20A~20E内の圧力が、予め定められた第一閾値以上である場合に、前記ポンプ30を駆動可能とする。
【0080】
これにより、第一圧力センサー51で検出される配管20A~20E内の圧力が、第一閾値以上である場合に、ポンプ30を駆動可能とする。これにより、第一圧力センサー51で検出される配管20A~20E内の圧力が、第一閾値未満である場合に、ポンプ30が駆動されて、第一タンク11から配管20A~20E内に液化二酸化炭素Lが送り込まれることが抑えられる。したがって、配管20A~20E内で液化二酸化炭素Lが減圧されてドライライスが生成されることを抑えることができる。
【0081】
(6)第6の態様に係るタンクシステム1A~1Eは、(4)又は(5)のタンクシステム1A~1Eであって、前記監視装置60は、前記配管20A~20E内の圧力が、予め定められた第一閾値以上である場合に、前記第一バルブ31を開動作可能とする。
【0082】
これにより、第一圧力センサー51で検出される配管20A~20E内の圧力が、第一閾値以上である場合に、第一バルブ31を開動作可能とする。これにより、第一圧力センサー51で検出される配管20A~20E内の圧力が、第一閾値未満である場合に、第一バルブ31が開動作してしまい、第一バルブ31に対して下流側の配管20A~20E内に液化二酸化炭素Lが送り込まれることが抑えられる。
【0083】
(7)第7の態様に係るタンクシステム1A~1Eは、(4)から(6)の何れか一つのタンクシステム1A~1Eであって、前記配管20A~20Eの前記他端部20bが接続され、前記液化二酸化炭素Lを貯留可能な第二タンク12と、前記第二タンク12内の圧力を検出する第二圧力センサー52と、をさらに備え、前記監視装置60は、前記第二圧力センサー52で検出された前記第二タンク12内の圧力が、予め定められた第二閾値以上である場合に、前記第二バルブ32を開動作可能とする。
【0084】
これにより、第二タンク12を備えることで、第一タンク11から第二タンク12に配管20A~20Eを通して液化二酸化炭素Lを移送することができる。この場合、第二圧力センサー52で、第二タンク12内の圧力を検出する。これにより、第二バルブ32を開いたときに、第二バルブ32に対して下流側で第一タンク11から移送される液化二酸化炭素Lの減圧を抑えることができる。したがって、第二バルブ32の下流側の配管20A~20E内で、ドライアイスが生成されることが抑えられる。
【0085】
(8)第8の態様に係るタンクシステム1Eは、(1)から(7)の何れか一つのタンクシステム1Eであって、前記配管20Eは、前記一端部20aから前記他端部20b側に向かって流れる前記液化二酸化炭素Lを分流させることが可能な複数の分岐配管25A,25Bを備え、前記第一バルブ31、及び前記第二バルブ32は、前記分岐配管25A,25Bごとに設けられている。
【0086】
これにより、複数の分岐配管25A,25Bのそれぞれは、第一バルブ31と、第二バルブ32と、を備えている。これにより、複数の分岐配管25A,25Bのいずれかに、第一タンク11から吐出される液化二酸化炭素Lを流通させるに際し、第一バルブ31と第二バルブ32との間で、加圧部40により分岐配管25A,25B内を加圧する。その後、第一バルブ31を開く。すると、第一バルブ31に対して下流側の分岐配管25A,25B内が加圧されているため、液化二酸化炭素Lが第一バルブ31に対して下流側に流れ込んだときに、液化二酸化炭素Lの減圧を抑えることができる。したがって、配管20E内でドライアイスが生成されにくくなる。
【0087】
(9)第9の態様に係る液化二酸化炭素Lの移送方法S10は、(1)から(8)の何れか一つのタンクシステム1A~1Eにおける液化二酸化炭素Lの移送方法S10であって、前記第一バルブ31、及び前記第二バルブ32を閉じた状態で、前記加圧部40により、前記第一バルブ31と前記第二バルブ32との間の前記配管20A~20E内を加圧するステップS11と、前記第一バルブ31、及び前記第二バルブ32を開き、前記第一タンク11内の前記液化二酸化炭素Lを、前記配管20A~20Eを通して前記第一タンク11外に吐出するステップS13と、を含む。
【0088】
この液化二酸化炭素Lの移送方法S10では、加圧部40により、前記第一バルブ31と前記第二バルブ32との間で前記配管20A~20E内を加圧する。その後、第一バルブ31、及び前記第二バルブ32を開き、前記第一タンク11内の前記液化二酸化炭素Lを、前記配管20A~20Eを通して前記第一タンク11外に吐出する。このように、第一タンク11内の液化二酸化炭素Lを、配管20A~20Eを通して吐出するに先立ち加圧することで、液化二酸化炭素Lが第一バルブ31に対して下流側に流れ込んだときに、液化二酸化炭素Lの減圧を抑えることができる。したがって、第一バルブ31よりも下流側の配管20A~20E内で、ドライアイスが生成されにくくなる。その結果、液化二酸化炭素Lの移送時に、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【符号の説明】
【0089】
1A~1E…タンクシステム 11…第一タンク 12,12A,12B…第二タンク 13…筒状部 14…鏡板部 20A~20E…配管 20a…一端部 20b…他端部 20c…中間部 21A~21E…吐出管 22…中間管 23,23A,23B…供給管 25A,25B…分岐配管 30…ポンプ 31…第一バルブ 32…第二バルブ 40…加圧部 41,41A,41B…加圧配管 42,42A,42B…加圧バルブ 51…第一圧力センサー 52…第二圧力センサー 60…監視装置 61…CPU 62…ROM 63…RAM 64…ストレージ 65…信号送受信モジュール 71…信号受信部 72…インターロック制御部 73…指令信号出力部 L…液化二酸化炭素 S10…液化二酸化炭素の移送方法 S11…加圧するステップ S12…圧力を判定するステップ S13…吐出するステップ S14…残量を判定するステップ S15…吐出を終了するステップ