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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095237
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】田植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A01C11/02 350J
A01C11/02 350M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212373
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔一
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康司
(72)【発明者】
【氏名】黒田 智之
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064AC01
2B064CA06
2B064CA11
2B064CA19
2B064DB01
2B064DB03
2B064DB13
2B064DB15
2B064DB20
(57)【要約】
【課題】苗搬送路から苗載台に苗マットを移動させるときに苗マットの姿勢を変化させることを目的とする。
【解決手段】田植機1は、苗マットを後方に搬送するための苗搬送路60と、苗搬送路60の後方に設けられ、苗搬送路60の搬送方向に対して傾斜した苗載台30を備えた植付装置3と、苗搬送路60と苗載台30との間に設けられ、苗搬送路60の搬送方向に沿う第1姿勢と、苗載台30に沿う第2姿勢と、に姿勢を変化させる補助苗台70と、補助苗台70を第1姿勢と第2姿勢とに制御する制御部4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗マットを後方に搬送するための苗搬送路と、
前記苗搬送路の後方に設けられ、前記苗搬送路の搬送方向に対して傾斜した苗載台を備えた植付装置と、
前記苗搬送路と前記苗載台との間に設けられ、前記苗搬送路の搬送方向に沿う第1姿勢と、前記苗載台に沿う第2姿勢と、に姿勢を変化させる補助苗台と、
前記補助苗台を前記第1姿勢と前記第2姿勢とに制御する制御部と、を備えることを特徴とする田植機。
【請求項2】
前記苗搬送路に沿って前記補助苗台に前記苗マットを搬送する搬送装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記補助苗台上の前記苗マットを検知する第1センサを備え、
前記制御部は、前記補助苗台が前記第1姿勢であり、且つ、前記第1センサが前記苗マットを検知しなかった場合に、前記苗マットを前記補助苗台に搬送するように前記搬送装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の田植機。
【請求項4】
前記補助苗台上の前記苗マットを検知する第1センサと、
前記苗搬送路の後端部を開閉する第1開閉部と、を備え、
前記制御部は、前記補助苗台が前記第1姿勢でない場合、又は、前記第1センサが前記苗マットを検知した場合に、前記苗搬送路の後端部を閉じるように前記第1開閉部を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の田植機。
【請求項5】
前記補助苗台を左右方向に移動させる横送り駆動部を備え、
前記補助苗台の条数は、前記苗載台の条数よりも少なく、
前記制御部は、前記苗載台のいずれかに前記補助苗台を移動させるように前記横送り駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項6】
前記苗載台の条毎に前記苗マットを検知する第2センサと、
前記補助苗台の後端部を開閉する第2開閉部と、を備え、
前記制御部は、前記補助苗台が前記第2姿勢であり、且つ、前記第2センサが前記苗マットを検知しなかった場合に、前記補助苗台の後端部を開けるように前記第2開閉部を制御することを特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項7】
前記補助苗台を左右方向に移動させる横送り駆動部と、
前記苗載台の条毎に前記苗マットを検知する第2センサと、を備え、
前記制御部は、前記第2センサが前記苗マットを検知しなかった条に前記補助苗台を移動させるように前記横送り駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項8】
前記搬送装置は、前記苗搬送路に沿って後方及び前方に前記苗マットを搬送することを特徴とする請求項2に記載の田植機。
【請求項9】
前記搬送装置に対する操作を受け付ける操作部を備えることを特徴とする請求項2に記載の田植機。
【請求項10】
前記操作部は、前記苗搬送路の前端部に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の田植機。
【請求項11】
前記操作部は、前後両方向への搬送を同一の操作具で受け付けることを特徴とする請求項10に記載の田植機。
【請求項12】
前記苗搬送路は、前記苗搬送路上の前記苗マットを検知する第3センサを備え、
前記制御部は、前記苗マットを回収するモードである回収モードが設定され、前記第3センサが前記苗マットを検知した場合に、前方に前記苗マットを搬送するように前記搬送装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の田植機。
【請求項13】
前記苗搬送路は、前記苗搬送路の前端部で前記苗マットを検知する第4センサを備え、
前記制御部は、前記苗マットを回収するモードである回収モードが設定され、前記第4センサが前記苗マットを検知した場合に搬送を停止するように前記搬送装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の田植機。
【請求項14】
前記補助苗台は、前記第2姿勢よりも傾斜角の大きい第3姿勢に変化可能であることを特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項15】
開閉する蓋体を有する施肥装置を前記補助苗台の下方に備え、
前記補助苗台が前記第2姿勢又は前記第3姿勢である場合に、前記蓋体が開閉可能であることを特徴とする請求項14に記載の田植機。
【請求項16】
施肥装置を前記補助苗台の下方に備え、
前記補助苗台が前記第3姿勢である場合に、前記施肥装置が姿勢変更可能であることを特徴とする請求項14に記載の田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の前部に予備苗台を備えた田植機が知られているが、従来、植付作業中に植付装置に苗マットを補充するには、植付作業を中断して手作業で予備苗台から植付装置に苗マットを移す必要があり、作業者にとって負担が大きかった。そこで、苗マットの補充作業を軽減する技術が検討されている。例えば、特許文献1では、予備苗台から後方に苗マットを搬送する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-000138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、植付装置の苗載台は苗マットの搬送方向に対して傾斜しているため、苗載台に苗マットを移動させるときに苗マットの姿勢を変化させる必要がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、苗搬送路から苗載台に苗マットを移動させるときに苗マットの姿勢を変化させることのできる田植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る田植機は、苗マットを後方に搬送するための苗搬送路と、前記苗搬送路の後方に設けられ、前記苗搬送路の搬送方向に対して傾斜した苗載台を備えた植付装置と、前記苗搬送路と前記苗載台との間に設けられ、前記苗搬送路の搬送方向に沿う第1姿勢と、前記苗載台に沿う第2姿勢と、に姿勢を変化させる補助苗台と、前記補助苗台を前記第1姿勢と前記第2姿勢とに制御する制御部と、を備える。
【0007】
前記田植機は、前記苗搬送路に沿って前記補助苗台に前記苗マットを搬送する搬送装置を備えていてもよい。
【0008】
前記田植機は、前記補助苗台上の前記苗マットを検知する第1センサを備え、前記制御部は、前記補助苗台が前記第1姿勢であり、且つ、前記第1センサが前記苗マットを検知しなかった場合に、前記苗マットを前記補助苗台に搬送するように前記搬送装置を制御してもよい。
【0009】
前記補助苗台上の前記苗マットを検知する第1センサと、前記苗搬送路の後端部を開閉する第1開閉部と、を備え、前記制御部は、前記補助苗台が前記第1姿勢でない場合、又は、前記第1センサが前記苗マットを検知した場合に、前記苗搬送路の後端部を閉じるように前記第1開閉部を制御してもよい。
【0010】
前記田植機は、前記補助苗台を左右方向に移動させる横送り駆動部を備え、前記補助苗台の条数は、前記苗載台の条数よりも少なく、前記制御部は、前記苗載台のいずれかに前記補助苗台を移動させるように前記横送り駆動部を制御してもよい。
【0011】
前記田植機は、前記苗載台の条毎に前記苗マットを検知する第2センサと、前記補助苗台の後端部を開閉する第2開閉部と、を備え、前記制御部は、前記補助苗台が前記第2姿勢であり、且つ、前記第2センサが前記苗マットを検知しなかった場合に、前記補助苗台の後端部を開けるように前記第2開閉部を制御してもよい。
【0012】
前記田植機は、前記補助苗台を左右方向に移動させる横送り駆動部と、前記苗載台の条毎に前記苗マットを検知する第2センサと、を備え、前記制御部は、前記第2センサが前記苗マットを検知しなかった条に前記補助苗台を移動させるように前記横送り駆動部を制御してもよい。
【0013】
前記搬送装置は、前記苗搬送路に沿って後方及び前方に前記苗マットを搬送してもよい。
【0014】
前記田植機は、前記搬送装置に対する操作を受け付ける操作部を備えていてもよい。
【0015】
前記操作部は、前記苗搬送路の前端部に設けられていてもよい。
【0016】
前記操作部は、前後両方向への搬送を同一の操作具で受け付けてもよい。
【0017】
前記苗搬送路は、前記苗搬送路上の前記苗マットを検知する第3センサを備え、前記制御部は、前記苗マットを回収するモードである回収モードが設定され、前記第3センサが前記苗マットを検知した場合に、前方に前記苗マットを搬送するように前記搬送装置を制御してもよい。
【0018】
前記苗搬送路は、前記苗搬送路の前端部で前記苗マットを検知する第4センサを備え、前記制御部は、前記苗マットを回収するモードである回収モードが設定され、前記第4センサが前記苗マットを検知した場合に搬送を停止するように前記搬送装置を制御してもよい。
【0019】
前記補助苗台は、前記第2姿勢よりも傾斜角の大きい第3姿勢に変化可能であってもよい。
【0020】
前記田植機は、開閉する蓋体を有する施肥装置を前記補助苗台の下方に備え、前記補助苗台が前記第2姿勢又は前記第3姿勢である場合に、前記蓋体が開閉可能であってもよい。
【0021】
前記田植機は、施肥装置を前記補助苗台の下方に備え、前記補助苗台が前記第3姿勢である場合に、前記施肥装置が姿勢変更可能であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、苗搬送路から苗載台に苗マットを移動させるときに苗マットの姿勢を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る田植機を示す左側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る田植機を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る田植機の動力伝達機構を示す平面図である。
図4】苗搬送路、補助苗台、苗載台を模式的に示す側面図である。
図5】苗搬送路、補助苗台、苗載台を模式的に示す側面図である。
図6】苗搬送路、補助苗台、苗載台を模式的に示す側面図である。
図7】第1開閉部の構成を模式的に示す側面図である。
図8】第1開閉部の構成を模式的に示す側面図である。
図9】第2開閉部の構成を模式的に示す側面図である。
図10】第2開閉部の構成を模式的に示す側面図である。
図11】横送り駆動部の動作を示す平面図である。
図12】横送り駆動部の動作を示す平面図である。
図13】施肥装置を示す背面図である。
図14】施肥装置を示す背面図である。
図15】植付作業前の田植機の動作を示す流れ図である。
図16】補給処理の動作を示す流れ図である。
図17】供給モードと回収モードの動作を示す流れ図である。
図18】植付作業中の田植機の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る田植機1について説明する。
【0025】
最初に、田植機1の全体の構成について説明する。図1は、田植機1を示す左側面図である。図2は、田植機1を示す平面図である。図3は、田植機1の動力伝達機構20を示す平面図である。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0026】
田植機1(図1、2参照)は、走行体2と、走行体2の後方に設けられた植付装置3とを備える。田植機1は、走行体2によって走行しながら植付装置3によって苗の植付作業を行う。
【0027】
走行体2(図1、3参照)は、車体フレーム10と、車体フレーム10の前部の左右方向中央に設けられた駆動源11及びトランスミッション12と、車体フレーム10の前部に設けられた左右一対の前輪13と、車体フレーム10の後部に設けられた左右一対の後輪14と、を備える。
【0028】
駆動源11は、前輪13と後輪14を駆動する駆動力を発生させる。駆動源11は、例えば、軽油を燃料とする内燃機関である。駆動源11は、ボンネット21で覆われている。トランスミッション12(図3参照)は、駆動源11の後方に設けられ、駆動源11が発生した駆動力を変速する。トランスミッション12の左右には、フロントアクスル19が設けられている。前輪13は、フロントアクスル19に設けられた前車軸19Sに取り付けられ、トランスミッション12から伝達される駆動力によって駆動される。
【0029】
リアアクスル24は、トランスミッション12の後方に設けられ、前後方向を長手方向とするジョイント材23でトランスミッション12と結合されている。後輪駆動軸25は、ジョイント材23に沿って設けられ、トランスミッション12からリアアクスル24へ駆動力を伝達する。後輪14は、リアアクスル24に設けられた後車軸24Sに取り付けられ、後輪駆動軸25を介して伝達される駆動力によって駆動される。なお、後輪14に代えてクローラ(図示省略)が設けられていてもよい。
【0030】
運転席15(図1、2参照)は、ジョイント材23の上方に設けられている。運転席15の周囲には、操向ハンドル16、変速レバー、変速ペダル、ブレーキペダル(図示省略)等を備えている。前輪13は、操向ハンドル16の操作に連動して走行体2の操向を行う。ステップ17(図2参照)は、作業者の足場となる平板状の部材であり、運転席15の周囲とボンネット21の左右に設けられている。
【0031】
株間変速装置27(図1、3参照)は、リアアクスル24の上方の左右方向中央よりも右寄りの位置に設けられている。株間変速装置27は、トランスミッション12から駆動軸26を介して伝達された駆動力を株間の間隔に応じて変速し、植付駆動軸35を介して植付装置3に伝達する。株間変速装置27は、植付駆動軸35への駆動力を断続するPTO(Power Take-off)クラッチ(図示省略)を備えている。
【0032】
植付装置3(図1乃至3参照)は、苗マットが載置される苗載台30と、メインフレーム31と、を備える。苗マットが積載可能な幅を有する複数(本実施形態では、8つ)の苗載台30が、左右方向に並べて配置されている。メインフレーム31は、左右方向を長手方向とする棒状の部材であり、左右方向の中央にセンターケース33を備える。メインフレーム31の後方の左右方向の複数箇所(本実施形態では、4箇所)には、植付伝動ケース34が概ね等間隔に設けられている。植付伝動ケース34には、左右一対の移植機構32が設けられている。
【0033】
センターケース33の入力軸33Aには、自在継手36を介して植付駆動軸35が連結されている。センターケース33は、ベベルギアを含むギア列(図示省略)を備えている。センターケース33の出力軸33Bは、メインフレーム31に沿って設けられ、各植付伝動ケース34に接続されている。駆動力は、植付駆動軸35、センターケース33、植付伝動ケース34を介して移植機構32に伝達される。植付装置3は、苗載台30を左右方向にスライドさせる横送り駆動部(図示省略)を備えている。苗載台30は、図2に示される中立位置から左右方向にそれぞれ2分の1条分ずつスライド可能である。苗載台30が左右に往復するのと並行して、移植機構32が苗載台30から苗を取り出して圃場に植え付ける。
【0034】
植付装置3には、昇降装置22(図1参照)が設けられている。昇降装置22は、柱状フレーム10Pと、平行な上下一対のリンク部材22Lと、油圧シリンダ22Cと、を備える。車体フレーム10は、リアアクスル24から上方に設けられた柱状フレーム10Pによって支持されている。柱状フレーム10Pと苗載台30とは、一対のリンク部材22Lで連結されている。柱状フレーム10Pと苗載台30と一対のリンク部材22Lとの節点は、平行四辺形の4つの頂点を形成する。油圧シリンダ22Cは、ジョイント材23と下側のリンク部材22Lとに連結されている。油圧シリンダ22Cの伸縮により、柱状フレーム10P側の節点を支点として一対のリンク部材22Lが揺動することで、植付装置3が最下げ位置(図1の実線)と最上げ位置(図1の二点鎖線)との間で昇降する。
【0035】
[施肥装置]
図13、14は、施肥装置50を示す背面図である。施肥装置50は、運転席15と植付装置3との間に設けられている(図1参照)。施肥装置50(図13参照)は、左右方向に並ぶ複数(本実施形態では、8つ)のホッパ51と、ホッパ51毎に設けられた繰出装置52と、ブロワ54と、ブロワ54から各繰出装置52に向かって分岐したダクト(図示省略)と、各ダクトから各移植機構32の近傍に至る供給管(図示省略)と、を備える。各ホッパ51に貯留された肥料は、繰出装置52によって繰り出され、ブロワ54からの送風によって供給管を通じて圃場に供給される。
【0036】
施肥装置50の全体は、車体フレーム10に固定された固定フレーム55に支持されている。固定フレーム55の上方には、左右方向の2箇所に可動フレーム56が設けられている。可動フレーム56の左右方向の幅は、固定フレーム55のおよそ2分の1である。左側の可動フレーム56の左端部は、固定フレーム55の左端部にヒンジ56Hを介して結合されている。右側の可動フレーム56の右端部は、固定フレーム55の右端部にヒンジ56Hを介して結合されている。
【0037】
左右2つの可動フレーム56には、それぞれに、4つのホッパ51と、4つの繰出装置52と、が左右方向に並べて設けられている。繰出装置52は各ホッパ51の下方に設けられている。4つのホッパ51に対して、着脱可能な1つの蓋体51Cが設けられている。なお、蓋体51Cは、ホッパ51にヒンジ(図示省略)を介して結合されていてもよい。
【0038】
可動フレーム56と4つのホッパ51と4つの繰出装置52と1つの蓋体51Cとにより、ホッパユニット53が構成されている。左側のホッパユニット53は、左側のヒンジ56Hを支点として反時計回り方向(図14参照)に跳ね上げ可能である。右側のホッパユニット53は、右側のヒンジ56Hを支点として時計回り方向(図14参照)に跳ね上げ可能である。ホッパユニット53を跳ね上げることで、余った肥料の取出しや、ホッパ51の内部の清掃が容易になる。
【0039】
次に、苗マットを搬送する構成について説明する。図4乃至6は、苗搬送路60、補助苗台70、苗載台30を模式的に示す側面図である。本実施形態に係る田植機1は、苗マットを後方に搬送するための苗搬送路60と、苗搬送路60の後方に設けられ、苗搬送路60の搬送方向に対して傾斜した苗載台30を備えた植付装置3と、苗搬送路60と苗載台30との間に設けられ、苗搬送路60の搬送方向に沿う第1姿勢と、苗載台30に沿う第2姿勢と、に姿勢を変化させる補助苗台70と、補助苗台70を第1姿勢と第2姿勢とに制御する制御部4と、を備える。ここで、図4、6は、苗載台30が最下げ位置(実線)にあることを示し、図5は、苗載台30が最上げ位置(実線)にあることを示している。最下げ位置では、植付装置3による植付作業が可能であり、最上げ位置では、補助苗台70から苗載台30への苗マットの補給が可能である。なお、植付装置3については前述のとおりであるから、以下では、主に、苗搬送路60、補助苗台70、制御部4について説明する。
【0040】
[苗搬送路]
苗搬送路60(図1、2参照)は、運転席15を挟んで田植機1の左右両側に設けられ、補助フレーム10A等を介して車体フレーム10に支持されている。苗搬送路60の後端部は運転席15付近に位置し、前端部は、ボンネット21よりも前方に位置している。運転席15を挟んで左右両側にそれぞれ2条分ずつの苗搬送路60が設けられている。左側の2条の苗搬送路60と右側の2条の苗搬送路60との間の空間は、3条分の幅を有する。苗搬送路60は、1つ以上の搬送装置61で構成されている。本実施形態では、一例として、前後方向に並ぶ4つの搬送装置61で苗搬送路60が構成されている。搬送装置61(図1参照)は、フレーム61F、駆動ローラー61D、従動ローラー61N、搬送ベルト61B、駆動部61Mを備える。苗搬送路60は、2条分の幅を有し、2枚の苗マットが左右に並べて配置される。
【0041】
フレーム61Fは、前後方向を長手方向とする直方体状に形成され、直方体の上面に相当する部分が開口している。駆動ローラー61Dと従動ローラー61Nは、左右方向を軸方向として、それぞれフレーム61Fの後部、前部に設けられている。搬送ベルト61Bは、駆動ローラー61Dと従動ローラー61Nとに巻き掛けられている。搬送ベルト61Bの上面がフレーム61Fの上部の開口から露出している。駆動部61Mは、モーター61MMを備え、ギア列61MGを介して駆動ローラー61Dに駆動力を伝達する。搬送ベルト61Bの上面に苗マットを載せて図1における時計回り方向に搬送ベルト61Bを駆動することで、苗マットが後方に搬送される。なお、この例では、搬送装置61の各々に駆動部61Mが設けられているが、いずれか1つの搬送装置61に駆動部61Mが設けられていてもよい。この場合、搬送装置61間に設けられたベルト、ギア等で駆動力を分配するように構成される。また、搬送ベルト61Bに代えて、前後方向に並ぶ複数の駆動ローラー61Dが設けられていてもよい。
【0042】
[第1開閉部]
図7、8は、第1開閉部62の構成を模式的に示す側面図である。第1開閉部62は、苗搬送路60の後端部に設けられている。本実施形態では、4つの搬送装置61のうち最も後方の搬送装置61の後端部に第1開閉部62が設けられている。第1開閉部62は、開閉板62Pと、駆動部62Mと、を備える。開閉板62Pは、板状の部材である。開閉板62Pは、搬送装置61の後端部の下部に左右方向をヒンジ軸方向としてヒンジ結合されている。駆動部62Mは、開閉板62Pに設けられたセクターギア62MSと、セクターギア62MSに噛み合わされたピニオン62MPと、ピニオン62MPを駆動するモーター62MMと、を備える。セクターギア62MSの駆動により、苗搬送路60を閉鎖する閉状態(図7参照)と、苗搬送路60を開放する開状態(図8参照)とに、開閉板62Pが揺動する。なお、開閉板62Pは、くし状または棒状の部材であってもよい。
【0043】
[補助苗台]
補助苗台70(図1、2参照)は、苗搬送路60の後方に設けられている。補助苗台70は、搬送装置61と前後方向の長さが同等の板状の部材である。補助苗台70は、その上面が最後方の搬送装置61の搬送ベルト61Bの上面と概ね同一平面を形成するように配置されている。補助苗台70の上面の前部には、苗マットを検知する第1センサ81が設けられている。補助苗台70は、車体フレーム10の後端部から直立する補助フレーム10B(図1参照)を介して車体フレーム10に支持されている。
【0044】
補助苗台70は、揺動駆動部72(図1参照)を備える。補助苗台70は、左右方向を軸方向とするヒンジ軸71回りに揺動可能である。揺動駆動部72は、補助苗台70に設けられたセクターギア72Sと、セクターギア72Sに噛み合わされたピニオン72Pと、ピニオン72Pを駆動するモーター72Mと、を備える。揺動駆動部72がセクターギア72Sを駆動することにより、ヒンジ軸71を中心として補助苗台70が揺動する。なお、揺動駆動部72として、伸縮するシリンダ(油圧シリンダ、水圧シリンダ、空圧シリンダ、電動シリンダ)等が設けられていてもよい。その場合、シリンダの上端部が補助苗台70に連結され、シリンダの下端部が、前述した左右のホッパユニット53の間の位置で車体フレーム10又は固定フレーム55に連結されてもよい。
【0045】
図4、5、6は、それぞれ、第1姿勢、第2姿勢、第3姿勢を示している。第1姿勢は、補助苗台70が苗搬送路60の搬送方向に沿う姿勢であり、補助苗台70の傾斜角が最も小さい姿勢である。第2姿勢は、補助苗台70が植付装置3の苗載台30に沿う姿勢である。第2姿勢は、第1姿勢に対して傾斜角が概ね40°から50°程度大きい姿勢である。第3姿勢は、第2姿勢よりも傾斜角が大きい姿勢であり、第1姿勢に対して傾斜角が90°程度大きい姿勢である。第1姿勢、第2姿勢においては、施肥装置50の真上に補助苗台70が位置するため、施肥装置50のホッパユニット53を跳ね上げようとすると補助苗台70が干渉してしまうが、第3姿勢においては、補助苗台70がホッパユニット53と干渉しないため、ホッパユニット53の跳ね上げが可能となる。
【0046】
[横送り駆動部]
横送り駆動部73(図1、2参照)は、補助フレーム10Bの上端部に設けられている。横送り駆動部73は、左右方向を長手方向とする支持棒73Bと、支持棒73Bを左右方向にスライドさせるアクチュエータ73Aと、を備える。支持棒73Bには、4条分の補助苗台70が左右方向に並べて取り付られている。左から2番目と3番目の補助苗台70の間の空間は、2条分の幅を有する。補助苗台70は、左右方向に1条分スライド可能である。図2は、補助苗台70が1条分のスライド可能範囲の中央に位置している様子を示している。補助苗台70の左右方向の寸法は、苗搬送路60の左右方向の幅以内に収まる寸法である。補助苗台70が左右へ1条分スライドすれば、苗載台30への苗マットの供給は可能である。この場合、補助苗台70が苗搬送路60の左右幅内から外側へ出ることはない。なお、補助苗台70が苗搬送路60よりも左右方向外側に1条分スライド可能に構成されていてもよい。このように構成することでより柔軟な苗補給が実現できる。
【0047】
図11、12は、横送り駆動部73の動作を示す平面図である。図11は、補助苗台70の中立位置(図2参照)から右方に2分の1条分だけ補助苗台70をスライドさせ、且つ、苗載台30の中立位置(図2参照)から左方に2分の1条分だけ苗載台30をスライドさせた様子を示している。この場合、左から3、4、7、8番目の苗載台30に苗マットが供給可能となる。一方、図12は、補助苗台70の中立位置から左方に2分の1条分だけ補助苗台70をスライドさせ、且つ、苗載台30の中立位置から右方に2分の1条分だけ苗載台30をスライドさせた様子を示している。この場合、左から1、2、5、6番目の苗載台30に苗マットが供給可能となる。
【0048】
[第2開閉部]
図9、10は、第2開閉部74の構成を模式的に示す側面図である。第2開閉部74は、補助苗台70の後端部に設けられている。第2開閉部74は、開閉板74Pと、駆動部74Mと、を備える。開閉板74Pは、板状の部材である。開閉板74Pは、補助苗台70の後端部の下部に左右方向をヒンジ軸方向としてヒンジ結合されている。駆動部74Mは、開閉板74Pに設けられたセクターギア74MSと、セクターギア74MSに噛み合わされたピニオン74MPと、ピニオン74MPを駆動するモーター74MMと、を備える。セクターギア74MSの駆動により、苗マットの進路を閉鎖する閉状態(図9参照)と、苗マットの進路を開放する開状態(図10参照)とに、開閉板74Pが揺動する。
【0049】
[制御部]
制御部4(図1参照)は、演算部と、記憶部と、を備えている(図示省略)。記憶部は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等であり、プログラムやデータを記憶している。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、記憶部に記憶されたプログラムやデータを用いて演算処理を実行することで、田植機1の各部を制御する。なお、制御部4は、プログラムを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0050】
制御部4は、補助苗台70が第1姿勢であり、且つ、第1センサ81が苗マットを検知しなかった場合に、苗マットを補助苗台70に搬送するように搬送装置61を制御する。制御部4は、補助苗台70が第1姿勢でない場合、又は、第1センサ81が苗マットを検知した場合に、苗搬送路60の後端部を閉じるように第1開閉部62を制御する。苗載台30には、条毎に苗マットを検知する第2センサ82(図1参照)が設けられている。制御部4は、補助苗台70が第2姿勢であり、且つ、第2センサ82が苗マットを検知しなかった場合に、補助苗台70の後端部を開けるように第2開閉部74を制御する。制御部4は、第2センサ82が苗マットを検知しなかった条に補助苗台70を移動させるように横送り駆動部73を制御する。
【0051】
苗搬送路60は、苗搬送路60上の複数箇所に、苗マットを検知する第3センサ83を備える。例えば、第3センサ83は、苗搬送路60の前端の搬送装置61を除く3つの搬送装置61に設けられている。また、苗搬送路60は、苗搬送路60の前端の搬送装置61に、苗マットを検知する第4センサ84を備える。
【0052】
苗搬送路60は、搬送装置61に対する操作を受け付ける操作部63(図1参照)を備える。操作部63は、苗搬送路60の前端の搬送装置61に設けられている。操作部63は、前後両方向への搬送を同一の操作具で受け付ける。操作具は、例えば、前後方向に揺動可能なレバーであり、レバーが後方に操作された場合に苗搬送路60が供給モードに設定され、レバーが前方に操作された場合に苗搬送路60が回収モードに設定される。供給モードとは、苗搬送路60及び補助苗台70に苗マットを供給するモードであり、回収モードとは、苗搬送路60から苗マットを回収するモードである。
【0053】
制御部4は、供給モードが設定され、第3センサ83が苗マットを検知した場合に、後方に苗マットを搬送するように搬送装置61を制御する。また、制御部4は、回収モードが設定され、第3センサ83が苗マットを検知した場合に、前方に苗マットを搬送するように搬送装置61を制御する。また、制御部4は、回収モードが設定され、第4センサ84が苗マットを検知した場合に苗マットの搬送を停止するように搬送装置61を制御する。
【0054】
次に、田植機1の動作について説明する。以下の動作は、制御部4が田植機1の各部を制御することで実行される。
【0055】
図15は、植付作業前の田植機1の動作を示す流れ図である。なお、図15乃至18においては、苗マットを「苗」と略記している。
【0056】
最初に、制御部4は、第2センサ82から出力された検知信号から、全ての苗載台30に苗マットが積載されているか否かを判定する(ステップS01)。全ての苗載台30に苗マットが積載されていると判定した場合には(ステップS01:YES)、制御部4は、処理を終了する。
【0057】
一方、苗マットが積載されていない苗載台30がある場合には(ステップS01:NO)、制御部4は、全ての補助苗台70に苗マットが積載されているか否かを判定する(ステップS02)。全ての補助苗台70に苗マットが積載されていると判定した場合には(ステップS02:YES)、制御部4は、補助苗台70から苗載台30に苗マットを補給する処理(ステップS05(以下、補給処理という。))を実行する。
【0058】
図16は、補給処理の動作を示す流れ図である。最初に、制御部4は、搬送装置61を停止させ、補助苗台70後端の第2開閉部74を閉鎖する(ステップS11)。次に、制御部4は、苗マットが積載されていない苗載台30に対応する位置に補助苗台70をスライドさせる(ステップS12)。次に、制御部4は、補助苗台70を第2姿勢に制御し、苗載台30を最上げ位置に上昇させる(ステップS13)。次に、制御部4は、第2開閉部74を開放して(ステップS14)、ステップS02に遷移する。第2開閉部74の開放により、苗マットが重力の作用によって補助苗台70から苗載台30に落下し、苗載台30に苗マットが積載される。
【0059】
図15に戻り、苗マットが積載されていない補助苗台70がある場合には(ステップS02:NO)、制御部4は、苗搬送路60後端の搬送装置61に設けられた第3センサ83から出力された検知信号から、苗搬送路60後端の搬送装置61に苗マットが積載されているか否かを判定する(ステップS03)。苗搬送路60後端の搬送装置61に苗マットが積載されていないと判定した場合には(ステップS03:NO)、制御部4は、苗マットを後方へ搬送するように搬送装置61を制御し(ステップS06)、ステップS03の判定がYESになるまで、ステップS03とステップS06の処理を繰り返す。
【0060】
一方、苗搬送路60後端の搬送装置61に苗マットが積載されていると判定した場合には(ステップS03:YES)、制御部4は、第4センサ84から出力された検知信号から、苗搬送路60前端の搬送装置61に苗マットが積載されているか否かを判定する(ステップS04)。苗搬送路60前端の搬送装置61に苗マットが積載されていると判定した場合には(ステップS04:YES)、制御部4は、処理を終了する。
【0061】
一方、苗搬送路60前端の搬送装置61に苗マットが積載されていないと判定した場合には(ステップS04:NO)、制御部4は、苗搬送路60への苗マットの積載を促す報知を行う(ステップS07)。ここで、報知の手段としては、例えば、操向ハンドル16の近傍に設けられたモニタ(図示省略)に苗マットの積載を促すメッセージを表示させてもよく、苗マットの積載を促す音声をスピーカ(図示省略)から出力させてもよい。苗マットの積載を促す報知を受けた場合、作業者は、後述する供給モードを設定する。
【0062】
図17は、供給モードと回収モードの動作を示す流れ図である。最初に、制御部4は、操作部63から出力された制御信号から、供給モードが設定されたか否かを判定する(ステップS21)。供給モードが設定されていないと判定した場合には(ステップS21:NO),制御部4は、回収モードが設定されたか否かを判定する(ステップS31)。回収モードが設定されていないと判定した場合には(ステップS31:NO)、制御部4は、ステップS21に遷移する。
【0063】
ステップS21において、供給モードが設定されたと判定した場合には(ステップS21:YES)、制御部4は、補助苗台70を第1姿勢に制御し(ステップS22)、第1開閉部62を開放する(ステップS23)。次に、制御部4は、第3センサ83、第4センサ84で苗マットが検知されたか否かを判定する(ステップS24)。第3センサ83、第4センサ84で苗マットが検知されたと判定した場合には(ステップS24:YES)、制御部4は、搬送装置61を制御して、苗マットを後方へ搬送させる(ステップS25)。一方、第3センサ83、第4センサ84で苗マットが検知されなかったと判定した場合には(ステップS24:NO)、制御部4は、ステップS24の処理を繰り返す。
【0064】
ステップS26において、制御部4は、第1センサ81、第3センサ83、第4センサ84から出力された検知信号から、苗搬送路60と補助苗台70に苗マットが満載されたか否かを判定する(ステップS26)。苗搬送路60と補助苗台70に苗マットが満載されたと判定した場合には(ステップS26:YES)、制御部4は、ステップS21以降の処理を繰り返す。一方、苗搬送路60と補助苗台70に苗マットが満載されていないと判定した場合には(ステップS26:NO)、制御部4は、ステップS24以降の処理を繰り返す。
【0065】
ステップS31において、回収モードが設定されたと判定した場合には(ステップS31:YES),制御部4は、第3センサ83で苗マットが検知されたか否かを判定する(ステップS32)。第3センサ83で苗マットが検知されなかったと判定した場合には(ステップS32:NO)、制御部4は、ステップS35に遷移する。一方、第3センサ83で苗マットが検知されたと判定した場合には(ステップS32:YES)、制御部4は、搬送装置61を制御して、苗マットを前方へ搬送させ(ステップS33)、第4センサ84で苗マットが検知されたか否かを判定する(ステップS34)。第4センサ84で苗マットが検知されなかったと判定した場合には(ステップS34:NO),制御部4は、ステップS32以降の処理を繰り返す。
【0066】
一方、第4センサ84で苗マットが検知されたと判定した場合には(ステップS34:YES)、制御部4は、搬送装置61による苗マットの搬送を停止させ(ステップS35)、ステップS21以降の処理を繰り返す。
【0067】
図18は、植付作業中の田植機1の動作を示す流れ図である。最初に、制御部4は、第2センサ82から出力された検知信号から、苗載台30の苗マットが所定量まで減少したか否かを判定する(ステップS41)。ここで、第2センサ82は、苗マットが検知されている場合と苗マットが検知されていない場合とで異なるレベルの検知信号を出力する。苗マットが所定量まで減少したか否かの判定は、第2センサ82から出力される検知信号のレベルの変化によって判定される。苗載台30の苗マットが所定量まで減少していないと判定した場合には(ステップS41:NO)、制御部4は、ステップS41の処理を繰り返す。
【0068】
一方、苗載台30の苗マットが所定量まで減少したと判定した場合には(ステップS41:YES)、制御部4は、田植機1が植付作業中であるか否かを判定する(ステップS42)。田植機1が植付作業中であると判定した場合には(ステップS42:YES)、制御部4は、田植機1の車速を減速させて走行を停止させ(ステップS45)、株間変速装置27のPTOクラッチを切断し(ステップS46)、植付装置3を最上げ位置まで上昇させて(ステップS47)、ステップS51に遷移する。
【0069】
一方、田植機1が植付作業中でないと判定した場合には(ステップS42:NO)、制御部4は、田植機1が旋回中であるか否かを判定する(ステップS43)。田植機1が旋回中であると判定した場合には(ステップS43:YES)、制御部4は、ステップS51に遷移する。なお、旋回中の田植機1は、植付装置3が最上げ位置まで上昇した状態となっている。
【0070】
一方、田植機1が旋回中でないと判定した場合には(ステップS43:NO)、制御部4は、田植機1が走行停止中であるか否かを判定する(ステップS44)。田植機1が走行停止中であると判定した場合には(ステップS44:YES)、制御部4は、ステップS47に遷移する。一方、田植機1が走行停止中でないと判定した場合には(ステップS44:NO)、制御部4は、ステップS45に遷移する。
【0071】
ステップS51においては、制御部4は、前述の補給処理(図16参照)を実行する。次に、制御部4は、苗載台30に所定量の苗マットが積載されているか否かを判定する(ステップS52)。苗載台30に所定量の苗マットが積載されていると判定した場合には(ステップS52:YES)、制御部4は、処理を終了する。一方、苗載台30に所定量の苗マットが積載されていないと判定した場合には(ステップS52:NO)、制御部4は、苗搬送路60から補助苗台70に苗マットを補給し、ステップS51以降の処理を繰り返す。
【0072】
以上説明した本実施形態に係る田植機1によれば、苗マットを後方に搬送するための苗搬送路60と、苗搬送路60の後方に設けられ、苗搬送路60の搬送方向に対して傾斜した苗載台30を備えた植付装置3と、苗搬送路60と苗載台30との間に設けられ、苗搬送路60の搬送方向に沿う第1姿勢と、苗載台30に沿う第2姿勢と、に姿勢を変化させる補助苗台70と、補助苗台70を第1姿勢と第2姿勢とに制御する制御部4と、を備える。この構成によれば、苗搬送路60から苗載台30に苗マットを移動させるときに苗マットの姿勢を変化させることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、苗搬送路60に沿って補助苗台70に苗マットを搬送する搬送装置61を備える。この構成によれば、苗搬送路60から補助苗台70への苗マットの搬送を省力化することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、補助苗台70上の苗マットを検知する第1センサ81を備え、制御部4は、補助苗台70が第1姿勢であり、且つ、第1センサ81が苗マットを検知しなかった場合に、苗マットを補助苗台70に搬送するように搬送装置61を制御する。この構成によれば、補助苗台70に苗マットが供給可能な状態である場合に苗マットを供給することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、補助苗台70上の苗マットを検知する第1センサ81と、苗搬送路60の後端部を開閉する第1開閉部62と、を備え、制御部4は、補助苗台70が第1姿勢でない場合、又は、第1センサ81が苗マットを検知した場合に、苗搬送路60の後端部を閉じるように第1開閉部62を制御する。この構成によれば、苗マットの不要な移動を防ぐことができる。
【0076】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、補助苗台70を左右方向に移動させる横送り駆動部73を備え、補助苗台70の条数は、苗載台30の条数よりも少なく、制御部4は、苗載台30の複数の条のいずれかに補助苗台70を移動させるように横送り駆動部73を制御する。この構成によれば、補助苗台70と苗搬送路60をコンパクトに構成することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、苗載台30の条毎に苗マットを検知する第2センサ82と、補助苗台70の後端部を開閉する第2開閉部74と、を備え、制御部4は、補助苗台70が第2姿勢であり、且つ、第2センサ82が苗マットを検知しなかった場合に、補助苗台70の後端部を開けるように第2開閉部74を制御する。この構成によれば、苗マットの不要な移動を防ぐことができる。
【0078】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、補助苗台70を左右方向に移動させる横送り駆動部73と、苗載台30の条毎に苗マットを検知する第2センサ82と、を備え、制御部4は、第2センサ82が苗マットを検知しなかった条に補助苗台70を移動させるように横送り駆動部73を制御する。この構成によれば、苗マットがなくなった条に苗マットを供給することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、搬送装置61は、苗搬送路60に沿って後方及び前方に苗マットを搬送する。この構成によれば、苗搬送路60に残った苗マットの回収を省力化することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、搬送装置61に対する操作を受け付ける操作部63を備える。この構成によれば、作業者が状況に応じて搬送装置61を操作することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、操作部63は、苗搬送路60の前端部に設けられている。この構成によれば、田植機1に乗車してない作業者が畦畔等から苗マットを補給する場合に、苗マットの搬送を容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、操作部63は、前後両方向への搬送を同一の操作具で受け付ける。この構成によれば、部品数を抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、苗搬送路60上の苗マットを検知する第3センサ83を備え、制御部4は、苗マットを回収するモードである回収モードが設定され、第3センサ83が苗マットを検知した場合に、前方に苗マットを搬送するように搬送装置61を制御する。この構成によれば、苗マットを回収し終えるまで搬送装置61を作動させ続けるとエネルギーの無駄が生じる。エネルギーを節約するためには、必要なときだけ搬送装置61を作動させるようにこまめに操作部63を操作すればよいが、作業者の手間が増えてしまう。本実施形態によれば、手間をかけずにエネルギーを節約することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、苗搬送路60の前端部で苗マットを検知する第4センサ84を備え、制御部4は、第4センサ84が苗マットを検知した場合に搬送を停止するように搬送装置61を制御する。この構成によれば、苗搬送路60の前端部で苗マットの搬送を停止させる手間を省くことができる。
【0085】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、補助苗台70は、第2姿勢よりも傾斜角の大きい第3姿勢に変化可能である。この構成によれば、田植機1のメンテナンスが行いやすくなる。
【0086】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、開閉する蓋体51Cを有する施肥装置50を補助苗台70の下方に備え、補助苗台70が第2姿勢又は第3姿勢である場合に、蓋体51Cが開閉可能である。この構成によれば、補助苗台70を第2姿勢又は第3姿勢にすることで、蓋体51Cの開閉を伴う施肥装置50のメンテナンスや肥料の補給が容易になる。
【0087】
また、本実施形態に係る田植機1によれば、施肥装置50を補助苗台70の下方に備え、補助苗台70が第3姿勢である場合に、施肥装置50が姿勢変更可能である。この構成によれば、補助苗台70を第3姿勢にすることで、施肥装置50の姿勢変更を伴う施肥装置50のメンテナンスが容易になる。
【0088】
<付記>
本発明は、以下のように特定し得る。
【0089】
<付記1>
苗マットを後方に搬送するための苗搬送路と、
前記苗搬送路の後方に設けられ、前記苗搬送路の搬送方向に対して傾斜した苗載台を備えた植付装置と、
前記苗搬送路と前記苗載台との間に設けられ、前記苗搬送路の搬送方向に沿う第1姿勢と、前記苗載台に沿う第2姿勢と、に姿勢を変化させる補助苗台と、
前記補助苗台を前記第1姿勢と前記第2姿勢とに制御する制御部と、を備えることを特徴とする田植機。
【0090】
<付記2>
前記苗搬送路に沿って前記補助苗台に前記苗マットを搬送する搬送装置を備えることを特徴とする付記1に記載の田植機。
【0091】
<付記3>
前記補助苗台上の前記苗マットを検知する第1センサを備え、
前記制御部は、前記補助苗台が前記第1姿勢であり、且つ、前記第1センサが前記苗マットを検知しなかった場合に、前記苗マットを前記補助苗台に搬送するように前記搬送装置を制御することを特徴とする付記2に記載の田植機。
【0092】
<付記4>
前記苗搬送路の後端部を開閉する第1開閉部を備え、
前記制御部は、前記補助苗台が前記第1姿勢でない場合、又は、前記第1センサが前記苗マットを検知した場合に、前記苗搬送路の後端部を閉じるように前記第1開閉部を制御することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の田植機。
【0093】
<付記5>
前記補助苗台を左右方向に移動させる横送り駆動部を備え、
前記補助苗台の条数は、前記苗載台の条数よりも少なく、
前記制御部は、前記苗載台のいずれかに前記補助苗台を移動させるように前記横送り駆動部を制御することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載の田植機。
【0094】
<付記6>
前記苗載台の条毎に前記苗マットを検知する第2センサと、
前記補助苗台の後端部を開閉する第2開閉部と、を備え、
前記制御部は、前記補助苗台が前記第2姿勢であり、且つ、前記第2センサが前記苗マットを検知しなかった場合に、前記補助苗台の後端部を開けるように前記第2開閉部を制御することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1つに記載の田植機。
【0095】
<付記7>
前記補助苗台を左右方向に移動させる横送り駆動部と、
前記苗載台の条毎に前記苗マットを検知する第2センサと、を備え、
前記制御部は、前記第2センサが前記苗マットを検知しなかった条に前記補助苗台を移動させるように前記横送り駆動部を制御することを特徴とする付記6に記載の田植機。
【0096】
<付記8>
前記搬送装置は、前記苗搬送路に沿って後方及び前方に前記苗マットを搬送することを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項に記載の田植機。
【0097】
<付記9>
前記搬送装置に対する操作を受け付ける操作部を備えることを特徴とする付記2乃至8のいずれか1項に記載の田植機。
【0098】
<付記10>
前記操作部は、前記苗搬送路の前端部に設けられていることを特徴とする付記9に記載の田植機。
【0099】
<付記11>
前記操作部は、前後両方向への搬送を同一の操作具で受け付けることを特徴とする付記10に記載の田植機。
【0100】
<付記12>
前記苗搬送路は、前記苗搬送路上の前記苗マットを検知する第3センサを備え、
前記制御部は、前記苗マットを回収するモードである回収モードが設定され、前記第3センサが前記苗マットを検知した場合に、前方に前記苗マットを搬送するように前記搬送装置を制御することを特徴とする付記2乃至11のいずれか1つに記載の田植機。
【0101】
<付記13>
前記苗搬送路は、前記苗搬送路の前端部で前記苗マットを検知する第4センサを備え、
前記制御部は、前記苗マットを回収するモードである回収モードが設定され、前記第4センサが前記苗マットを検知した場合に搬送を停止するように前記搬送装置を制御することを特徴とする付記2乃至12のいずれか1つに記載の田植機。
【0102】
<付記14>
前記補助苗台は、前記第2姿勢よりも傾斜角の大きい第3姿勢に変化可能であることを特徴とする付記1乃至13のいずれか1つに記載の田植機。
【0103】
<付記15>
開閉する蓋体を有する施肥装置を前記補助苗台の下方に備え、
前記補助苗台が前記第2姿勢又は前記第3姿勢である場合に、前記蓋体が開閉可能であることを特徴とする付記14に記載の田植機。
【0104】
<付記16>
施肥装置を前記補助苗台の下方に備え、
前記補助苗台が前記第3姿勢である場合に、前記施肥装置が姿勢変更可能であることを特徴とする付記14に記載の田植機。
【符号の説明】
【0105】
1 田植機
3 植付装置
4 制御部
30 苗載台
50 施肥装置
60 苗搬送路
61 搬送装置
62 第1開閉部
63 操作部
70 補助苗台
73 横送り駆動部
74 第2開閉部
81 第1センサ
82 第2センサ
83 第3センサ
84 第4センサ
図1
図2
図3
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図5
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