(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095245
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20240703BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240703BHJP
F16H 57/03 20120101ALI20240703BHJP
【FI】
F16H57/04 P
H02K7/116
F16H57/03
F16H57/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212388
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】里田 大志
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良亮
【テーマコード(参考)】
3J063
5H607
【Fターム(参考)】
3J063AA04
3J063AB02
3J063AB12
3J063AC01
3J063AC11
3J063BA11
3J063CD43
3J063XD03
3J063XD15
3J063XD23
3J063XD33
3J063XD43
3J063XD47
3J063XD62
3J063XD72
3J063XD73
3J063XE40
3J063XF02
5H607AA02
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB05
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE34
5H607EE36
5H607GG01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポンプによる気泡の吸い込みを抑制しつつ、ギヤによる流体のかき上げ量を確保できる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置は、モータシャフトを有するモータと、モータの動力を伝達する複数のギヤを有する伝達機構と、伝達機構を支持する複数のベアリングと、モータを収容するモータ室、および伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、少なくとも一部がハウジングに設けられ、流体が流れる流路と、流路中に配置されギヤ室に開口する流入口から流体を吸い込み圧送するポンプを備える。ギヤ室には、ギヤ室を第1領域A1と第2領域A2とに区画する区画壁67が設けられ、第1領域には、複数のギヤのうち最も大径のリングギヤ51が配置される。第2領域には、流入口91pが配置される。流路は、筒状部の内周面に流体を供給する第1流路部96と筒状部の内周面から第1領域に位置する開口端まで延びる第2流路部99とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線を中心に回転するモータシャフトを有するモータと、
前記モータの軸方向一方側に位置し、前記モータの動力を伝達する複数のギヤを有する伝達機構と、
前記伝達機構を支持する複数のベアリングと、
前記モータを収容するモータ室、および前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、
少なくとも一部が前記ハウジングに設けられ、流体が流れる流路と、
前記流路中に配置され前記ギヤ室に開口する流入口から前記流体を吸い込み圧送するポンプを備え、
前記ギヤ室には、前記ギヤ室を第1領域と第2領域とに区画する区画壁が設けられ、
前記第1領域には、前記複数のギヤのうち最も大径のリングギヤが配置され、
前記第2領域には、前記流入口が配置され、
前記ハウジングは、前記ベアリングを保持する筒状部を有し、
前記流路は、
前記筒状部の内周面に前記流体を供給する第1流路部と、
前記筒状部の内周面から前記第1領域に位置する開口端まで延びる第2流路部と、を有する、
駆動装置。
【請求項2】
前記筒状部は、前記第2領域、又は前記第2領域の上側に配置される、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記区画壁には、前記第1領域と前記第2領域とを繋ぐ少なくとも一つの連通孔が設けられる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記開口端は、前記少なくとも一つの連通孔のうち最も上側に配置される連通孔の上端よりも下側に位置する、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記開口端は、前記少なくとも一つの連通孔のうち最も上側に配置される連通孔の下端よりも下側に位置する、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、第1部材、および第2部材を有し、前記第1部材と前記第2部材とは、軸方向に突き合わされて前記ギヤ室を構成し、
前記流入口は、前記第1部材に設けられ、
前記区画壁は、前記第1部材の一部である第1部分と、前記第2部材の一部である第2部分と、が軸方向に突き合わされて構成され、
前記連通孔は、前記第1部分と前記第2部分との境界上に設けられ、
前記連通孔の流路断面のうち、前記境界よりも前記第2部分側の面積は、前記境界よりも前記第1部分側の面積よりも大きい、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記区画壁は、前記リングギヤの歯先に沿って円弧状に延びており、
前記区画壁には、前記連通孔として、前記区画壁の下端に位置する第1連通孔と、前記第1連通孔よりも上側に位置する第2連通孔と、が設けられる、
請求項3~6の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第2連通孔の断面積は、前記第1連通孔の断面積よりも大きい、
請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記複数のギヤは、
前記リングギヤと、
前記リングギヤに動力を伝える複数の伝達ギヤと、を有し、
前記ハウジングは、前記伝達機構を軸方向一方側から覆う側壁部を有し、
前記側壁部は、
軸方向から見て、前記伝達ギヤと重なる第1側壁領域と、
軸方向から見て、前記第1側壁領域の外側に位置し前記リングギヤと重なる第2側壁領域と、を有し、
前記第2側壁領域は、前記第1側壁領域よりも軸方向他方側に位置する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記ギヤ室の内側面には、少なくとも一つのリブが設けられ、
前記開口端は、前記リブの側面に位置する、
請求項1に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車に搭載される駆動装置として、モータを収容するモータ室と、伝達機構を収容するギヤ室と、これら二室を隔てる隔壁部と、を備えるハウジングを有する駆動装置が知られている。また、このような駆動装置の内部には、オイルなどの流体が貯留されており、当該流体によって、駆動装置内のギヤおよびベアリングの潤滑を行うとともに、モータの冷却が行われている。特許文献1には、ポンプを用いてモータに流体を供給する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ギヤのかき上げ時には、ギヤが流体内に空気を巻き込むことがあるため、ポンプが流体内の空気(気泡)を吸い込んでしまい、ポンプによる流体の圧送効率を低下させる虞がある。そこで、ギヤの周りに仕切り壁を設けて、流体内の気泡が、ポンプの吸い込み口に達し難くすることが考えられる。しかしながら、この場合、ギヤによる流体のかき上げが進むとともにギヤの周囲の流体の液位が低下してしまい、ギヤによるかき上げ量が減少してしまうという問題があった。
【0005】
本発明の一態様は、ポンプによる気泡の吸い込みを抑制しつつ、ギヤによる流体のかき上げ量を確保できる駆動装置の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様の駆動装置は、モータ軸線を中心に回転するモータシャフトを有するモータと、前記モータの軸方向一方側に位置し、前記モータの動力を伝達する複数のギヤを有する伝達機構と、前記伝達機構を支持する複数のベアリングと、前記モータを収容するモータ室、および前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、少なくとも一部が前記ハウジングに設けられ、流体が流れる流路と、前記流路中に配置され前記ギヤ室に開口する流入口から前記流体を吸い込み圧送するポンプを備える。前記ギヤ室には、前記ギヤ室を第1領域と第2領域とに区画する区画壁が設けられる。前記第1領域には、前記複数のギヤのうち最も大径のリングギヤが配置される。前記第2領域には、前記流入口が配置される。前記ハウジングは、前記ベアリングを保持する筒状部を有する。前記流路は、前記筒状部の内周面に前記流体を供給する第1流路部と、前記筒状部の内周面から前記第1領域に位置する開口端まで延びる第2流路部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、ポンプによる気泡の吸い込みを抑制しつつ、ギヤによる流体のかき上げ量を確保できる駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の駆動装置の概念図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のギヤ室、および隔壁の正面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のギヤカバーをギヤ室側から見た正面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の区画壁の模式図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のギヤカバーの斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のギヤカバーの一部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、変形例の末端流路部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る駆動装置について説明する。以下の説明では、本実施形態の駆動装置1が水平な路面上に位置する図示しない車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。
【0010】
図面には、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、上下方向である。上下方向とは、例えば鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。本実施形態では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、駆動装置1が搭載される車両の前後方向である。本実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。Y軸方向は、後述する第1軸線J1、第2軸線J2、および第3軸線J3の軸方向に相当する。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0011】
各図に適宜示す第1軸線J1、第2軸線J2、第3軸線J3は、互いに平行であり、Y軸方向(すなわち車両の左右方向であり、水平面に沿う方向)に延びる。本実施形態では、特に断りのない限り、第1軸線J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、第1軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、第1軸線J1を中心とする周方向、すなわち、第1軸線J1の軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。また、以下の説明において、軸方向一方側とは、Y軸に沿う方向のうち+Y側を意味し、軸方向他方側とは、Y軸に沿う方向のうち-Y側を意味する。なお、本実施形態において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。
【0012】
図1は、駆動装置1の概念図である。
本実施形態の駆動装置1は、電気自動車(EV)に搭載され、その動力源として使用される。なお、駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等、モータを動力源とする車両に搭載されていてもよい。
【0013】
図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、伝達機構3と、複数のベアリングB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7と、インバータ7と、ハウジング6と、流体Oと、ポンプ8と、クーラ9と、を備える。モータ2、伝達機構3、複数のベアリングB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、およびインバータ7は、ハウジング6内に収容される。複数のベアリングB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7は、それぞれ伝達機構3、およびモータ2のロータ20を支持する。流体Oは、ハウジング6内に貯留される。ポンプ8およびクーラ9は、ハウジング6の外側面に固定される。
【0014】
<モータ>
本実施形態のモータ2は、三相交流モータである。モータ2は、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備える。モータ2は、伝達機構3の軸方向他方側(-Y側)に位置する。モータ2は、水平方向に延びる第1軸線(モータ軸線)J1を中心として回転するロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ25と、を備える。本実施形態のモータ2は、ステータ25の内側にロータ20が配置されるインナーロータ型モータである。モータ2の構成は、本実施形態に限定されない。
【0015】
ロータ20は、水平方向に延びる第1軸線J1を中心に回転する。ロータ20は、モータシャフト21と、モータシャフト21の外周面に固定されるロータコア24と、ロータコアに固定されるロータマグネット(図示略)と、を有する。
【0016】
モータシャフト21は、第1軸線J1を中心として軸方向に沿って延びる。モータシャフト21は、第1軸線J1を中心として回転する。モータシャフト21は、軸方向一方側(+Y側)の端部は、伝達機構3の第1シャフト46が連結される。これにより、ロータ20のトルクは、伝達機構3に伝達される。モータシャフト21は、中空状のシャフトである。モータシャフト21には、中空部21hから径方向外側に延びる孔が設けられる。モータシャフト21は、ベアリングB5、B6を介してハウジング6に回転可能に支持される。
【0017】
ステータ25は、ハウジング6に保持される。ステータ25は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ25の外周面は、ハウジング6の内周面と対向する。ステータ25は、第1軸線J1を中心とする環状のステータコア27と、ステータコア27に装着されるコイル26と、を有する。ステータコア27は、ハウジング6に固定される。
【0018】
コイル26は、図示しないインシュレータを介してステータコア27の各ティース部にそれぞれ装着される。コイル26は、複数のコイル線から構成される。また、コイル26は、棒状の導体を複数連結して構成されていてもよい。コイル26は、ステータコア27の軸方向両端部からそれぞれ突出するコイルエンドを有する。コイル26には、バスバー30が接続される。コイル26には、バスバー30を介して交流電流が供給される。
【0019】
<伝達機構>
伝達機構3は、モータ2の軸方向一方側(+Y側)に位置する。伝達機構3は、モータ2の動力を伝達する複数のギヤ41、42、43、51を有する。伝達機構3は、モータ2から出力され回転を減じるとともに、モータ2から出力されるトルクを増大させ出力シャフト55から出力する。
【0020】
伝達機構3は、第1シャフト46と、第1ギヤ41と、第2シャフト45と、第2ギヤ42と、第3ギヤ43と、差動装置5と、出力シャフト55と、を有する。第1シャフト46および第2シャフト45は、それぞれ中空状のシャフトである。第1シャフト46、第2シャフト45および出力シャフト55は、互いに並行して延びる。
【0021】
第1シャフト46および第1ギヤ41は、第1軸線J1を中心に配置される。第1シャフト46は、第1軸線J1の軸方向に延びる。第1シャフト46は、軸方向他方側(-Y側)の端部でモータシャフト21に繋がる。第1ギヤ41は、第1シャフト46の外周面に設けられる。第1ギヤ41は、第1シャフト46とともに、第1軸線J1を中心に回転する。第1シャフト46は、ベアリングB1、B2を介してハウジング6に回転可能に支持される。
【0022】
第2シャフト45、第2ギヤ42、および第3ギヤ43は、第1軸線J1と平行な第2軸線J2を中心に配置される。第2シャフト45は、第2軸線J2の軸方向に沿って延びる。第2シャフト45は、ベアリングB3、B4を介してハウジング6に回転可能に支持される。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、第2シャフト45の外周面に、軸方向に互いに間隔をあけて設けられる。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、第2シャフト45とともに、第2軸線J2を中心として回転する。第2ギヤ42は、第1ギヤ41に噛み合う。第3ギヤ43は、差動装置5のリングギヤ51と噛み合う。
【0023】
差動装置5は、リングギヤ51と、差動機構5aと、を有する。差動装置5は、リングギヤ51において第3ギヤ43に噛み合う。リングギヤ51は、第1軸線J1と平行な第3軸線J3周りに回転する。リングギヤ51は、伝達機構3の複数のギヤのうち最も大径のギヤである。リングギヤ51は、ベアリングB7を介してハウジング6に回転可能に支持される。リングギヤ51の回転は差動機構5aに伝わり、さらに差動機構5aに接続される出力シャフト55から出力される。差動機構5aは、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の出力シャフト55にトルクを伝える。出力シャフト55は、第3軸線J3に沿って延びる。出力シャフト55は、車輪に連結される。
【0024】
モータ2から出力されるトルクは、モータシャフト21、第1シャフト46、第1ギヤ41、第2ギヤ42、第2シャフト45および第3ギヤ43を介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達され、さらに、差動機構5a、および出力シャフト55を介して車輪に伝わる。このように、伝達機構3は、車両の車輪にモータ2のトルクを伝達する。
【0025】
<インバータ>
インバータ7は、図示略のバッテリから供給される直流電流を交流電流に変換する。インバータ7は、バスバー30を介して、ステータ25のコイル26に接続される。インバータ7は、バスバー30を介してモータ2に電力を供給しモータ2を制御する。
【0026】
<ハウジング>
ハウジング6には、モータ2を収容するモータ室6Aと、伝達機構3を収容するギヤ室6Bと、インバータ7を収容するインバータ室6Cと、が設けられる。ギヤ室6Bは、モータ室6Aの軸方向一方側(+Y側)に位置する。また、インバータ室6Cは、モータ室6Aの上側(+Z側)に位置する。
【0027】
ハウジング6内には、流体Oが貯留される。また、ハウジング6には、流路90が設けられる。流体Oは、流路90を通過してハウジング6内を循環する。流体Oは、モータ2の冷却用の冷媒としての機能と、伝達機構3の潤滑用としての機能と、を果たす。流体Oとしては、潤滑油および冷却油の機能を果たすために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0028】
ハウジング6の内部空間の下部領域には、流体Oが溜る。すなわち、流体Oは、ハウジング6内の下部領域に溜まる。以下、ハウジング6内の下部領域であって、流体Oが貯留される領域を貯留部Pと呼ぶ。本実施形態のハウジング6において、モータ室6Aの底面とギヤ室6Bの底面とは、上下方向位置が略一致している。このため、貯留部Pは、モータ室6Aの下部領域とハウジング6の下部領域とに跨って設けられる。
【0029】
貯留部Pの流体Oには、リングギヤ51が浸かる。リングギヤ51は、第3軸線J3周りの回転に伴い、貯留部Pの流体Oをかき上げてギヤ室6B内に拡散する。リングギヤ51にかき上げられる流体Oは、ギヤ室6B内の各ギヤに供給されてギヤの歯面などの潤滑に利用される。
【0030】
また、貯留部Pの流体Oは、流路90を通過してモータ室6Aの上部領域、およびギヤ室6Bの上部領域に送られる。モータ室6Aの上部領域に送られた流体Oは、モータ2の表面を伝ってモータ2を冷却した後に、モータ室6Aの下部領域の貯留部Pに滴下する。また、ギヤ室6Bの上部領域に送られた流体Oは、伝達機構3の各ギヤ、および伝達機構3を支持するベアリングを潤滑した後に、ギヤ室6Bの下部領域の貯留部Pに滴下する。
【0031】
ハウジング6は、複数の部材を組み合わせて構成される。ハウジング6は、ハウジング本体(第1部材)61と、ハウジング本体61の軸方向他方側(-Y側)に位置するモータカバー63と、ハウジング本体61の軸方向一方側(+Y側)に位置するギヤカバー(第2部材)62と、ハウジング本体61の上側(+Z側)に位置するインバータカバー64と、を有する。ハウジング本体61とモータカバー63とは、軸方向に突き合わされてモータ室6Aを構成する。ハウジング本体61とギヤカバー62とは、軸方向に突き合わされてギヤ室6Bを構成する。ハウジング本体61とインバータカバー64とは、略上下方向に突き合わされてインバータ室6Cを構成する。
【0032】
ハウジング本体61は、モータ室6Aとギヤ室6Bとを区画する隔壁65を有する。隔壁65は、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる。隔壁65は、ベアリングを介してモータ2および伝達機構3のシャフトを支持する。
【0033】
隔壁65には、ポンプ連通孔65aと隔壁開口65bとシャフト挿通孔65cとが設けられる。ポンプ連通孔65a、隔壁開口65b、およびシャフト挿通孔65cは、隔壁65を貫通する。ポンプ連通孔65a、隔壁開口65b、およびシャフト挿通孔65cは、モータ室6Aとギヤ室6Bとを繋ぎ、これらを互いに連通させる。
【0034】
シャフト挿通孔65cは、軸方向から見て、第1軸線J1を中心とする略円形である。シャフト挿通孔65cには、モータシャフト21を保持するベアリングB5、および第1シャフト46を保持するベアリングB2が配置される。モータシャフト21と第1シャフト46とは、シャフト挿通孔65cの内部で互いに連結される。
【0035】
図2は、ギヤ室6B、および隔壁65の正面図である。
図2に示すように、隔壁開口65b、およびポンプ連通孔65aは、隔壁65の下端部に配置される。なお、
図1に示す隔壁開口65b、およびポンプ連通孔65aの位置関係は模式化されたものであり、実際の位置を再現するものではない。
図2に示すように、実際の隔壁開口65b、およびポンプ連通孔65aは、ギヤ室6Bの底面の上側に並んで配置される。
【0036】
図1に示すように、ポンプ連通孔65aは、モータ室6Aとギヤ室6Bとにそれぞれ開口する。ポンプ連通孔65aの経路中には、合流流路部91aが開口する。合流流路部91aは、ポンプ8の吸込口8cに繋がる。
【0037】
図2に示すように、合流流路部91aの上流側の端部は、ポンプ連通孔65aの側面と底面とに跨って開口する。本実施形態のポンプ8は、ポンプ連通孔65aに対し車両後側(-X側)に配置される。合流流路部91aは、前後方向に沿って延びる。合流流路部91aは、ポンプ連通孔65aとポンプの吸込口8cとの間で、車両後側(-X側)に向かうに従い上側(+Z側)に緩やかに傾斜する。
【0038】
図1に示すように、ポンプ連通孔65aのうち合流流路部91aの開口よりもギヤ室6B側の領域は、第1分岐流路部91bを構成する。また、ポンプ連通孔65aのうち合流流路部91aの開口よりもモータ室6A側の領域は、第2分岐流路部91cを構成する。第1分岐流路部91bは、ギヤ室6Bに開口し、第2分岐流路部91cは、モータ室6Aに開口する。第1分岐流路部91b、第2分岐流路部91c、および合流流路部91aは、吸入流路部91を構成する。
【0039】
ここで、第1分岐流路部91bのギヤ室6Bへの開口を第1流入口(流入口)91pと呼び、第2分岐流路部91cのモータ室6Aへの開口を第2流入口91qと呼ぶ。ギヤ室6B内の流体Oは、第1流入口91pから吸入流路部91に流入する。一方で、モータ室6A内の流体Oは、第2流入口91qから吸入流路部91に流入する。ギヤ室6B、およびモータ室6Aからそれぞれ流入した流体Oは、ポンプ連通孔65a内で合流して合流流路部91aを通ってポンプ8に吸い込まれる。本実施形態によれば、ポンプ8は、第1分岐流路部91b、および第2分岐流路部91cを介しモータ室6Aおよびギヤ室6Bの何れからも流体Oを吸入することができる。
【0040】
ここで、ポンプに繋がる吸入流路部がギヤ室のみに開口する構造の場合、流体をギヤ室へ導くためにはギヤ室をモータ室より下側に配置するなど、ハウジングの構造が制限される可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、ポンプ8がギヤ室6B、およびモータ室6Aの何れからも流体Oを吸い込むため、ハウジング6の構造の自由度を高めて駆動装置1の小型化を図ることができる。特に、本実施形態のようにモータ室6A、およびギヤ室6Bの底面を上下方向において略同一の高さとする場合には、モータ室6Aをギヤ室6Bへ軸方向に投影した投影面積を広くすることができ、軸方向から見た駆動装置1の寸法を小型化できる。
【0041】
図3は、ギヤカバー62をギヤ室6B側から見た正面図である。
ギヤカバー62は、ギヤ室6Bの軸方向一方側(+Y側)から覆う側壁部62wを有する。すなわち、ハウジング6は、側壁部62wを有する。側壁部62wは、軸方向と直交する平面(XZ平面)に沿って延びる。
【0042】
側壁部62wには、第1筒状部62a、第2筒状部62b、および第3筒状部62cが設けられる。すなわち、ハウジング6は、第1筒状部62a、第2筒状部62b、および第3筒状部62cを有する。第1筒状部62a、第2筒状部62b、および第3筒状部62cは、側壁部62wの軸方向他方側(-Y側)を向く面から軸方向他方側に突出する。
【0043】
第1筒状部62aは、第1軸線J1を中心とする筒状である。第1筒状部62aは、ベアリングB1を保持する。第1筒状部62aは、ベアリングB1を介して第1シャフト46を回転可能に支持する。第2筒状部62bは、第2軸線J2を中心とする筒状である。第2筒状部62bは、ベアリングB3を保持する。第2筒状部62bは、ベアリングB3を介して第2シャフト45を回転可能に支持する。第2筒状部62bの外側面は、第1筒状部62aの外側面と繋がる。第3筒状部62cは、第3軸線J3を中心とする筒状である。第3筒状部62cは、ベアリングB7を保持する。第3筒状部62cは、ベアリングB7を介してリングギヤ51を回転可能に支持する。
【0044】
図2、および
図3に示すように、ギヤ室6Bには、リングギヤ51の歯先に沿って湾曲して延びる区画壁67が設けられる。区画壁67は、隔壁65側から軸方向一方側(+Y側)に突出する第1部分67P(
図2)と、ギヤカバー62側から軸方向他方側(-Y側)に突出する第2部分67Q(
図3)とが突き合わされて構成される。区画壁67は、第3軸線J3を中心として略円弧状に延びる。区画壁67は、リングギヤ51の歯先に沿って湾曲する。区画壁67は、第3軸線J3の径方向内側を向く面によって貯留部Pの流体Oを、リングギヤ51の歯先に沿って第3軸線J3周りの周方向に誘導する。区画壁67により、リングギヤ51は効率的に流体Oかき上げることができる。
【0045】
図2に示すように、区画壁67は、第1流入口91pとリングギヤ51との間に位置する。区画壁67は、ギヤ室6Bを、リングギヤ51が配置される第1領域A1と、第1流入口91pが配置される第2領域A2とに区画する。本実施形態によれば、リングギヤ51による流体Oの撹拌によって生じる気泡が、第1流入口91pを介して吸入流路部91に侵入することを抑制できる。これにより、ポンプ8の吸込口8cに気泡が侵入することを抑制でき、気泡の吸い込みによるポンプ8の圧送効率の低減を抑制できる。
【0046】
なお、本明細書において、第1領域A1および第2領域A2は、ギヤ室6B内で区画壁67によって区画される領域であり、ギヤ室6B内において区画壁67の上端よりも下側に位置する。
【0047】
本実施形態では、第2領域A2に配置される流入口(第1流入口91p)は、ハウジング6の一部である。しかしながら、流入口は、ギヤ室6Bに開口して流体Oを流入させ、ポンプ8内に流体Oを導く入口部分であれば、その他の構成であってもよい。一例として、流入口は、ギヤ室6Bに直接的に開口するポンプ8の吸込口であってもよい。また、流入口(第1流入口91p)は、ギヤ室6Bの底面の上側に配置されなくともよい。例えば、流入口(第1流入口91p)は、ギヤ室6Bの底面に配置されていてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、区画壁67がリングギヤ51の歯先に沿って湾曲する場合について説明した。しかしながら、区画壁67は、第1流入口91pとリングギヤ51との間に位置していれば、第1流入口91pへの気泡の流入を抑制することができ、その構成は本実施形態に限定されない。
【0049】
図3に示すように、区画壁67には、第1連通孔67aおよび第2連通孔67bが設けられる。連通孔67a、および第2連通孔67bは、区画壁67を厚さ方向に貫通する。第1連通孔67aは、区画壁67の下端に位置する。一方で、第2連通孔67bは、第1連通孔67aよりも上側に位置する。
【0050】
ギヤ室6Bに区画壁67を設けることで、第2領域A2に溜まる流体Oはリングギヤ51の周囲(第1領域A1)には自由に流入し難くなる。このため、リングギヤ51による第1領域A1の流体Oのかき上げによって第2領域A2へと移動した流体Oは、第1領域A1に流入し難い。リングギヤ51による第1領域A1の流体Oのかき上げが進むことで、第1領域A1内の流体Oの液位が低下するためリングギヤ51による流体Oのかき上げ量が低下し、ギヤ室6B内の各ギヤへの流体Oの供給が不足する虞がある。本実施形態によれば、区画壁67に第1連通孔67a、および第2連通孔67bが設けられることで、第2領域A2から第1領域A1に流体Oを導くことができ、リングギヤ51による流体Oのかき上げ量の低下を抑制できる。なお、この効果は、区画壁67に少なくとも一つの連通孔(第1連通孔67a、又は第2連通孔67b)が設けられていれば得ることができるものである。すなわち、区画壁67には、第1連通孔67aおよび第2連通孔67bの少なくともいずれか一方が設けられていればよく、連通孔は複数設けられてもよい。
【0051】
本実施形態によれば、第1連通孔67aが区画壁67の下端に設けられることで、第2領域A2の液位の高さに関わらず第2領域A2から第1領域A1に流体Oを移動させることができ、第1領域A1の流体Oの不足を第2領域A2から補うことができる。また、本実施形態の区画壁67は、リングギヤ51の歯先に沿って略円弧状に延びる。これにより、区画壁67は、第1領域A1の流体Oをリングギヤ51とともにリングギヤ51の回転方向に流動しやすくすることができる。区画壁67の下端に設けられる第1連通孔67aの断面積を大きくし過ぎると、第1領域A1でリングギヤ51とともにリングギヤ51の回転方向に流れる流体が、第1連通孔67aを通って第2領域A2に流入してしまい、流体Oを十分にかき上げられない虞がある。本実施形態によれば、複数の連通孔(第1連通孔67aおよび第2連通孔67b)を設けることで、それぞれの連通孔の断面積を小さくしても第2領域A2から第1領域A1への流体Oの供給量を確保することが可能となり、リングギヤ51による流体Oのかき上げを好適に行いつつ、第1領域A1内の流体Oの液位の低下を抑制することができる。また、本実施形態では、第2連通孔67bの断面積は、第1連通孔67aの断面積よりも大きい。このため、第1連通孔67aを介する第1領域A1から第2領域A2への流体Oの移動を抑制することで第1領域A1内の流体Oの液位の低下を抑制しつつ、第2領域A2内の流体Oの液位が高まった場合は第2連通孔67bを介する第2領域A2から第1領域A1への流体Oの移動量を確保できる。なお、第1連通孔67a、および第2連通孔67bの「断面積」は、それぞれ第1連通孔67a、および第2連通孔67bを通る流体Oの流動方向と交差する断面積における流路断面積を意味する。
【0052】
図4は、区画壁67の模式図である。
区画壁67は、ハウジング本体61の一部である第1部分67Pと、ギヤカバー62の一部である第2部分67Qと、が軸方向に突き合わされて構成される。第2部分67Qの軸方向他方側(-Y側)を向く端面には、切欠部67c、67eが設けられる。第1部分67Pの軸方向一方側(+Y側)を向く端面は、切欠部67c、67eの開口を覆う。第1連通孔67aは、切欠部67eの内縁および第1部分67Pの端面で囲まれた領域に設けられる。第2連通孔67bは、切欠部67cの内縁および第1部分67Pの端面で囲まれた領域に設けられる。すなわち、第1連通孔67a、および第2連通孔67bは、切欠部67c、67eが設けられる第1部分67Pと、切欠部が設けられていない第2部分67Qとを組み合わせて構成される。
【0053】
本実施形態によれば、ドリル加工などの後加工を行うことなく区画壁67に第1連通孔67a、および第2連通孔67bを形成することができ、駆動装置1の製造コストを低減できる。さらに、第1連通孔67a、および第2連通孔67bをドリル加工で形成する場合と比較して、第1連通孔67a、および第2連通孔67bの形状をおよび位置の自由度を高められ、より好ましい位置により好ましい大きさの第1連通孔67a、および第2連通孔67bを形成できる。
【0054】
図1に示すように、伝達機構3において、互いに噛み合う第3ギヤ43およびリングギヤ51は、互いに噛み合う第1ギヤ41および第2ギヤ42よりも、隔壁65側に配置される。伝達機構3の複数のギヤのうち最も直径が大きいギヤは、リングギヤ51である。リングギヤ51を隔壁65に近づけて配置することで、ギヤ室6B内でリングギヤ51と軸方向に重なる領域を、軸方向に小型化することができ、駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0055】
伝達機構3の複数のギヤを、リングギヤ51と、それ以外の伝達ギヤ41、42、43とに分類する。すなわち、伝達機構3の複数のギヤ41、42、43、51は、リングギヤ51と、リングギヤ51に動力を伝える伝達ギヤ41、42、43と、を有する。ギヤカバー62の側壁部62wは、軸方向から見て、伝達ギヤ41、42、43と重なる第1側壁領域62Aと、軸方向から見て、リングギヤ51と重なる第2側壁領域62Bと、を有する。なお、第2側壁領域62Bは、第1側壁領域62Aの外側に位置しており、リングギヤ51のみと重なる領域である。軸方向から見て、リングギヤ51、および何れかの伝達ギヤに重なる側壁部62wの領域は、第2側壁領域62Bには含まず、第1側壁領域62Aに含む。また、
図1は、伝達機構3の様子を模式化したものであり、軸方向ではなく車両前後方向に重なる部分の一部が軸方向に重なるように図示されている。
【0056】
図5は、ギヤカバー62の斜視図である。
図5に示すように、第2側壁領域62Bは、第1側壁領域62Aよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。本実施形態によれば、最も大径であるリングギヤ51を隔壁65側に近づけて配置することで、リングギヤ51に重なる第2側壁領域62Bを第1側壁領域62Aよりも隔壁65側に配置できる。これにより、ハウジング6の小型を図ることができる。さらに、第2側壁領域62Bを隔壁65に近づけて配置することで、リングギヤ51の周囲のギヤ室6Bの軸方向寸法を小さくすることができる。これにより、ギヤ室6Bの第1領域A1に溜る流体Oの液面を高く保つことができ、リングギヤ51によるかき上げの効率を高めることができる。
【0057】
<流路>
図1に示す流路90は、流体Oが流れる循環経路である。すなわち、流体Oは、ハウジング6に設けられた流路90を流れる。流路90は、少なくとも一部がハウジング6に設けられていればよい。流路90は、貯留部Pから流体Oをモータ2、および伝達機構3に供給する流体Oの経路である。なお、本明細書において「流路」とは、定常的に一方向に向かう流体Oの流動を作る経路のみならず、流体Oを一時的に滞留させる経路、および流体Oが滴り落ちる経路をも含む概念である。
【0058】
流路90中には、ポンプ8、クーラ9、第1供給管(第1供給部)93A、第2供給管(第2供給部)95A、および第3供給管94Aが配置される。第1供給管93A、第2供給管95Aおよび第3供給管94Aは、ハウジング6の内部に配置される。
【0059】
ポンプ8は、ギヤ室6Bに開口する第1流入口91p、およびモータ室6Aに開口する第2流入口91qから流体Oを吸い込み圧送する。これにより、ポンプ8は、流体Oをモータ2、および伝達機構3に供給する。本実施形態のポンプ8は、電気により駆動する電動ポンプである。
【0060】
クーラ9は、流路90の流体Oを冷却する。クーラ9の内部には、図示略の冷媒が流れる。クーラ9は、流体Oの熱を冷媒に移動させる熱交換器である。
【0061】
第1供給管93A、および第2供給管95Aは、モータ室6Aに配置される。第1供給管93A、および第2供給管95Aは、それぞれ軸方向に沿って延びる。第1供給管93A、および第2供給管95Aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、隔壁65に支持され、軸方向他方側(-Y側)の端部は、モータカバー63に支持される。第1供給管93A、および第2供給管95Aには、ステータ25に向けて開口する複数の噴射孔が設けられる。第1供給管93Aおよび第2供給管95Aは、ともにモータ2の上側に配置される。なお、
図1において、第2供給管95Aはモータ2の下側に図示されるが、これは模式化に伴う図示であり、実際の構造を表すものではない。
【0062】
第3供給管94Aは、ギヤ室6Bに配置される。第3供給管94Aは、軸方向に沿って延びる。第3供給管94Aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ギヤカバー62に支持され、軸方向他方側(-Y側)の端部は、隔壁65に支持される。本実施形態の第3供給管94Aは、第1供給管93Aと同軸上に配置される。第3供給管94Aには、伝達機構3に向けて開口する複数の噴射孔が設けられる。
【0063】
本実施形態の流路90は、吸入流路部91と第1圧送流路部91Aと第2圧送流路部92と第3圧送流路部93と第4圧送流路部94と第5圧送流路部95と潤滑供給流路部(第1流路部)96と末端流路部(第2流路部)99とを有する。第3圧送流路部93、第4圧送流路部94、および第5圧送流路部95は、それぞれ第1供給管93A、第2供給管95A、第3供給管94Aの内部を通る流路である。
【0064】
吸入流路部91は、貯留部Pとポンプ8とを繋ぐ流路である。吸入流路部91は、第1分岐流路部91b、第2分岐流路部91c、および合流流路部91aを有する。
【0065】
第1圧送流路部91Aは、ポンプ8からモータカバー63まで延びる。第1圧送流路部91Aの経路中には、クーラ9が配置される。
【0066】
第2圧送流路部92は、モータカバー63に設けられる。第2圧送流路部92は、上流側の端部で第1圧送流路部91Aに繋がる。第2圧送流路部92は、途中で3つに分岐し、1つ目の分岐流路で第2供給管95Aに繋がり、2つ目の分岐流路でモータシャフト21の中空部21hに繋がり、3つ目の分岐流路で第1供給管93Aに繋がる。第2圧送流路部92内に流入した流体Oの一部は、第2供給管95Aと中空部21hと第1供給管93Aとにそれぞれ流入する。
【0067】
第2供給管95Aに供給される流体Oは、第2供給管95Aの内部に設けられる第5圧送流路部95を流れる。第5圧送流路部95に流入した流体Oは、第2供給管95Aに設けられる噴出孔を介してモータ2に供給される。
【0068】
モータシャフト21の中空部21hに供給される流体Oの一部は、モータシャフト21を支持するベアリングB6に供給されてベアリングを潤滑し、さらに、モータシャフト21に設けられ中空部21hにつながる孔を通過した後、遠心力によってロータ20から径方向外側に飛散してステータ25に供給される。
【0069】
第1供給管93Aに供給される流体Oは、第1供給管93Aの内部に設けられる第3圧送流路部93を流れる。第3圧送流路部93を流れる流体Oの一部は、第1供給管93Aに設けられる噴出孔を介してモータ2に供給される。第3圧送流路部93の下流側の端部は、第4圧送流路部94に繋がる。
【0070】
第4圧送流路部94は、第3供給管94Aの内部に設けられる。第4圧送流路部94に流入した流体Oの一部は、第3供給管94Aに設けられる噴出孔を介して伝達機構3に供給される。第4圧送流路部94の下流側の端部は、潤滑供給流路部96に繋がる。
【0071】
潤滑供給流路部96は、ギヤカバー62に設けられる。潤滑供給流路部96は、第2筒状部62bの内周面、および第1筒状部62aの内周面に流体Oを供給する。潤滑供給流路部96に流入した流体Oは、第2シャフト45を支持するベアリングB3、および第1シャフト46を支持するベアリングB1に供給される。潤滑供給流路部96は、第1供給部96aと、第2供給部96bと、を有する。
【0072】
図3に示すように、ギヤカバー62の側壁部62wには、第3供給管94Aが挿入される支持孔62hが設けられる。第1供給部96aは、ギヤカバー62の側壁部62wの軸方向他方側(-Y側)を向く面に設けられる溝である。第1供給部96aは、支持孔62hから第2筒状部62bの内側まで延びる。第3供給管94Aの端部から流出する流体Oは、第1供給部96aを通って第2筒状部62bの内側に達しベアリングB3を潤滑する。
【0073】
第2供給部96bは、第2筒状部62bの内側面と第1筒状部62aの内側面とを繋ぐ孔部である。第2供給部96bの第2筒状部62bの内側面における開口は、第2筒状部62bの内側面の下端部に位置する。このため、第2筒状部62bの内側に溜まった流体Oは、第2供給部96bに自然と導かれる。第2筒状部62bの内側の流体Oは、第2供給部96bを通って第1筒状部62aの内側に達しベアリングB1を潤滑する。
【0074】
末端流路部99は、側壁部62wに設けられる孔部である。末端流路部99は、第1筒状部62aの内側面とギヤ室6Bの第1領域A1とを繋ぐ。末端流路部99の第1筒状部62aの内側面における開口は、第1筒状部62aの内側面の下端部に位置する。このため、第1筒状部62aの内側に溜まった流体Oは、末端流路部99に導かれる。
【0075】
末端流路部99は、第1領域A1において開口する開口端99aを有する。開口端99aは、第1領域A1に位置する。すなわち、末端流路部99は、第1筒状部62aの内周面から第1領域A1に位置する開口端99aまで延びる。第1筒状部62aの内側の流体Oは、末端流路部99を通って第1領域A1に達する。
【0076】
上述したように、リングギヤ51による第1領域A1の流体Oのかき上げによって第1領域A1内の流体Oの液位が低下する。これにより、リングギヤ51による流体Oのかき上げ量が低下し、ギヤ室6B内の各ギヤへの流体Oの供給が不足する虞がある。本実施形態によれば、流路90は、末端流路部99を有することで、区画壁67を挟んで第1領域A1と反対の領域に貯留された流体Oを、第1領域A1へと導くことができる。これにより、第1領域A1の液位の低下を抑制し、リングギヤ51のかき上げによる各ギヤへの流体Oの供給不足を抑制できる。
【0077】
本実施形態において、第1筒状部62aは、第2領域A2の上側に配置されるため、第1筒状部62aから流体Oが溢れる場合、この溢れでた流体Oは、第2領域A2に流入する。本実施形態によれば、第1筒状部62aに末端流路部99を接続することで、第1筒状部62aから溢れて第2領域A2に流入するはずの流体Oを、第1領域A1に供給できる。第1筒状部62aは、第2領域A2、又は第2領域A2の上側に配置されていればよい。また、第1筒状部62aは、全体が第2領域A2、又は第2領域A2の上側に配置される場合のみならず、少なくとも一部が第2領域A2の一部に配置されていてもよい。
【0078】
なお、流路部(末端流路部99)が接続される筒状部(第1筒状部62a)は、上述の配置に限らず、第1領域A1、または第1領域A1の上側に配置されていてもよい。この場合においても、流路部は、筒状部から第1領域A1に安定的に流体Oを送ることができ、筒状部から溢れた流体を第1領域A1に流入させる場合と比較して、第1領域A1の液位を早く高くすることができる。
【0079】
上述したように、第1領域A1の流体Oが不足する場合、流体Oは、区画壁67に設けられる第1連通孔67a、および第2連通孔67bを介して第2領域A2から第1領域A1に供給される。しかしながら、駆動装置1が搭載される車両が傾く場合などに第1連通孔67a、および第2連通孔67bを介した流体Oの移動が十分に行われないことが想定される。本実施形態によれば、流路90を介して、第1領域A1とは異なる領域(本実施形態では第2領域A2およびモータ室6A)に貯留された流体Oを、第1領域A1に供給することで、第1領域A1への流体Oの供給量が車両の傾きの影響を受け難く、第1領域A1に安定的に流体Oを供給できる。
【0080】
本実施形態の末端流路部99の上流側には第1筒状部62a、および第2筒状部62bが配置される。したがって、第1領域A1に供給される流体Oは、ベアリングB1、B3を潤滑したうえで余剰した流体Oである。本実施形態の流路90によれば、第1領域A1への流体Oの供給よりも、ベアリングB1、B3の潤滑を優先することができ、ベアリングB1、B3の焼き付きを効果的に抑制できる。
【0081】
本実施形態の流路90中の流体Oは、ポンプ8によって圧送される。本実施形態のポンプ8は電気的に制御される電動ポンプである。このため、ポンプ8は、伝達機構3の動作と連動して駆動するメカニカルポンプである場合と比較して、伝達機構3の駆動状態と無関係に第1領域A1に流体Oを安定的に供給することができる。具体的には、例えば、上り坂において、駆動装置1が搭載された車両が傾き、かつ、伝達機構3の回転速度が遅くなる場合であっても、第1領域A1とは異なる領域に貯留された流体Oを、第1領域A1に安定的に供給することができ、第1領域A1内の流体Oの液位が下がることを抑制することができる。
【0082】
本実施形態の末端流路部99の開口端99aは、第2連通孔67bの上端よりも下側に位置することが好ましい。開口端99aが第2連通孔67bの上端よりも上側に配置されると、第1領域A1の液面が第2連通孔67bより低い場合に、開口端99aから吐出される流体Oが、区画壁67の表面を伝い第2連通孔67bから第2領域A2に直接的に流出してしまうことが懸念される。この場合、末端流路部99から吐出された流体Oは、第1領域A1に供給されないため、第1領域A1内の流体Oの液位を高めることができる。本実施形態によれば、開口端99aが第2連通孔67bの上端よりも下側に配置されることで開口端99aから吐出される流体Oによって第1領域A1内の液位を高めることができ、ひいてはリングギヤ51は、効率的に流体Oをかき上げることができるここで、開口端99aは、駆動装置が搭載される車両が水平面上に停車した状態で、第2連通孔67bの上端よりも下側に位置していればよい。
【0083】
なお、開口端99aは、区画壁67に設けられる少なくとも一つの連通孔67a、67bのうち最も上側に配置される連通孔67bの上端よりも下側に配置されていればよい。最も上側に配置される連通孔67bは、第1領域A1の液面よりも上側に配置されやすいため、開口端99aがこの連通孔67bよりも上側に配置される場合に、開口端99aから吐出される流体Oがそのまま第2領域A2に流れ易くなる。ここで、「少なくとも一つの連通孔のうち最も上側に配置される連通孔」とは、区画壁67に設けられる連通孔が複数の場合には、全ての連通孔のうち最も上側に配置される一つを意味し、区画壁67に設けられる連通孔が一つの場合は、当該連通孔を意味する。
【0084】
図7には、本実施形態に採用可能な変形例の末端流路部199の開口端199aを示す。本変形例の開口端199aは、最も上側に配置される連通孔167bの下端よりもさらに下側に位置する。開口端199aから吐出される流体Oは下側に流れるため、連通孔167bの下端よりも下側に開口端199aを配置することで連通孔167bから第2領域A2に第2領域A2に直接的に流出することをさらに抑制できる。本変形例によれば、開口端199aから吐出される流体Oによって第1領域A1の液位を高めることができる。すなわち、開口端199aは、少なくとも一つの連通孔167a、167bのうち最も上側に配置される連通孔167bの下端よりもさらに下側に位置することが好ましい。
【0085】
図4に示すように、本実施形態の第1連通孔67a、および第2連通孔67bは、互いに突き合わされるハウジング本体61の第1部分67Pとギヤカバー62の第2部分67Qとの境界BL上に設けられる。なお、ここで境界BLとは、第1部分67Pと第2部分67Qとが突き合わされて接触する接触面、およびその延長面である。
【0086】
本実施形態において、第1連通孔67a、および第2連通孔67bは、第2部分67Qの切欠部67c、67eと第1部分67Pの端面とで囲まれた領域にそれぞれ設けられる。このため、第1連通孔67aの流路断面のうち、境界BLよりも第2部分67Q側(+Y側)の面積は、境界BLよりも第1部分67P側(-Y側)の面積よりも大きい。同様に、第2連通孔67bの流路断面のうち、境界BLよりも第2部分67Q側(+Y側)の面積は、境界BLよりも第1部分67P側(-Y側)の面積よりも大きい。
【0087】
本実施形態では、第1流入口91pは、ハウジング本体61に設けられる。第1流入口91pは、ギヤ室6Bからポンプ8に流体Oを導く。第1連通孔67a、および第2連通孔67bは、リングギヤ51の撹拌に伴う気泡の通り道になり得る。第1連通孔67a、および第2連通孔67bを第1流入口91pからできるだけ離間させることで、第1連通孔67a、および第2連通孔67bを通過した気泡が第1流入口91pに達しにくくなる。本実施形態によれば、第1連通孔67a、および第2連通孔67bをそれぞれ境界BLに対し第2部分67Q側に偏って配置することで、第1連通孔67a、および第2連通孔67bを第1流入口91pから離間させることができ、ポンプ8への気泡の吸い込みを抑制できる。
【0088】
本実施形態では、連通孔67a、67bを構成する切欠部67c、67eが第2部分67Q側のみに設けられる場合について説明した。しかしながら、
図4に破線で示すように、連通孔67a、67bは、第1部分67Pの切欠部67d、67fと第2部分67Qの切欠部67c、67eとを向かい合わせて組み合わせることで構成されていてもよい。この場合、第2部分67Qの切欠部67eの面積を第1部分67Pの切欠部67fの面積よりも大きくすることで、第1連通孔67aを境界BLよりも第2部分67Q側に偏って配置できる。同様に、第2部分67Qの切欠部67cの面積を第1部分67Pの切欠部67dの面積よりも大きくすることで、第2連通孔67bを境界BLよりも第2部分67Q側に偏って配置できる。
【0089】
図6は、ギヤカバー62をギヤ室6B側から見た斜視図である。
図6に示すように、ギヤカバー62の側壁部62wには、複数のリブ62rが設けられる。複数のリブ62rは、側壁部62wのギヤ室6B側を向く面に設けられ、ギヤ室6B側に突出する。すなわち、ギヤ室6Bの内側面には、少なくとも一つのリブ62rが設けられる。本実施形態において、複数のリブ62rは格子状に配置される。本実施形態によれば、側壁部62wにリブ62rを設けることでハウジング6を補強することができる。
【0090】
本実施形態の開口端99aは、1つのリブ62rの側面62sに位置する。ここでリブ62rの側面62sとは、リブ62r突出する方向、およびリブ62rが延びる方向と、それぞれ略直交する方向を向く一対の面の何れか一方である。
【0091】
本実施形態によれば、開口端99aをリブ62rの側面62sに配置することで、開口端99aの開口方向を区画壁67と反対側に向けることができる。これにより、開口端99aから吐出される流体Oが区画壁67の連通孔67a、67bに直接的に流入し第2領域A2に流れ出てしまうことを抑制できる。さらに、リブ62rの側面62sに開口端99aを設けることで、ドリルを開口端99a側から挿入して末端流路部99を形成する場合に、ドリルの先端が安定し易くドリル加工を安定的に行うことができる。
【0092】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0093】
上述の実施形態の伝達機構の各軸の構成は一例である。伝達機構を構成するシャフトは、3本に限定されない。また、複数のシャフトのうち2つは、一方が他方の中空部を通過するように同軸上に配置されていてもよい。
【0094】
本実施形態では、第1供給部96aは、支持孔62hと第2筒状部62bの内側とを繋いでいるが、支持孔62hと第1筒状部62aの内側とを繋いでもよい。また、本実施形態では、末端流路部99は、第1筒状部62aの内側面と第1領域A1とを繋いでいるが、第2筒状部62bと第1領域A1とを繋いでいてもよい。ハウジング6に貯留される流体Oは、特に限定されず、オイル以外の流体であってもよい。流体供給部によってモータに供給される流体は、例えば、水であってもよい。
【0095】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータ軸線を中心に回転するモータシャフトを有するモータと、前記モータの軸方向一方側に位置し、前記モータの動力を伝達する複数のギヤを有する伝達機構と、前記伝達機構を支持する複数のベアリングと、前記モータを収容するモータ室、および前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、少なくとも一部が前記ハウジングに設けられ、流体が流れる流路と、前記流路中に配置され前記ギヤ室に開口する流入口から前記流体を吸い込み圧送するポンプを備え、前記ギヤ室には、前記ギヤ室を第1領域と第2領域とに区画する区画壁が設けられ、前記第1領域には、前記複数のギヤのうち最も大径のリングギヤが配置され、前記第2領域には、前記流入口が配置され、前記ハウジングは、前記ベアリングを保持する筒状部を有し、前記流路は、前記筒状部の内周面に前記流体を供給する第1流路部と、前記筒状部の内周面から前記第1領域に位置する開口端まで延びる第2流路部と、を有する、駆動装置。
(2) 前記筒状部は、前記第2領域、又は前記第2領域の上側に配置される、(1)に記載の駆動装置。
(3) 前記区画壁には、前記第1領域と前記第2領域とを繋ぐ少なくとも一つの連通孔が設けられる、(1)又は(2)に記載の駆動装置。
(4) 前記開口端は、前記少なくとも一つの連通孔のうち最も上側に配置される連通孔の上端よりも下側に位置する、(3)に記載の駆動装置。
(5) 前記開口端は、前記少なくとも一つの連通孔のうち最も上側に配置される連通孔の下端よりも下側に位置する、(3)に記載の駆動装置。
(6) 前記ハウジングは、第1部材、および第2部材を有し、前記第1部材と前記第2部材とは、軸方向に突き合わされて前記ギヤ室を構成し、前記流入口は、前記第1部材に設けられ、前記区画壁は、前記第1部材の一部である第1部分と、前記第2部材の一部である第2部分と、が軸方向に突き合わされて構成され、前記連通孔は、前記第1部分と前記第2部分との境界上に設けられ、前記連通孔の流路断面のうち、前記境界よりも前記第2部分側の面積は、前記境界よりも前記第1部分側の面積よりも大きい、(3)~(5)の何れか一項に記載の駆動装置。
(7) 前記区画壁は、前記リングギヤの歯先に沿って円弧状に延びており、前記区画壁には、前記連通孔として、前記区画壁の下端に位置する第1連通孔と、前記第1連通孔よりも上側に位置する第2連通孔と、が設けられる、(3)~(6)の何れか一項に記載の駆動装置。
(8) 前記第2連通孔の断面積は、前記第1連通孔の断面積よりも大きい、(7)に記載の駆動装置。
(9) 前記複数のギヤは、前記リングギヤと、前記リングギヤに動力を伝える複数の伝達ギヤと、を有し、前記ハウジングは、前記伝達機構を軸方向一方側から覆う側壁部を有し、前記側壁部は、軸方向から見て、前記伝達ギヤと重なる第1側壁領域と、軸方向から見て、前記第1側壁領域の外側に位置し前記リングギヤと重なる第2側壁領域と、を有し、前記第2側壁領域は、前記第1側壁領域よりも軸方向他方側に位置する、(1)~(8)の何れか一項に記載の駆動装置。
(10) 前記ギヤ室の内側面には、少なくとも一つのリブが設けられ、前記開口端は、前記リブの側面に位置する、(1)~(9)の何れか一項に記載の駆動装置。
【符号の説明】
【0096】
1…駆動装置、2…モータ、3…伝達機構、6…ハウジング、6A…モータ室、6B…ギヤ室、8…ポンプ、21…モータシャフト、41…第1ギヤ(伝達ギヤ)、42…第2ギヤ(伝達ギヤ)、43…第3ギヤ(伝達ギヤ)、51…リングギヤ、61…ハウジング本体(第1部材)、62…ギヤカバー(第2部材)、62r…リブ、62s…側面、62w…側壁部、62A…第1側壁領域、62B…第2側壁領域、67…区画壁、67a…第1連通孔、67b…第2連通孔、67P…第1部分、67Q…第2部分、90…流路、91p…第1流入口(流入口)、96…潤滑供給流路部(第1流路部)、99…末端流路部(第2流路部)、99a…開口端、167a,167b…連通孔、A1…第1領域、A2…第2領域、B1,B2,B3,B4,B5,B6,B7…ベアリング、BL…境界、J1…第1軸線(モータ軸線)、O…流体