(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095246
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】リング状連結具、該リング状連結具に用いられる結束具、及び該リング状連結具を備えた斜面安定化構造
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
E02D17/20 103A
E02D17/20 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212389
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219358
【氏名又は名称】東亜グラウト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】木村 佳嗣
(72)【発明者】
【氏名】張 満良
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DB01
2D044DB02
2D044EA00
(57)【要約】
【課題】急激な荷重が作用した際に迅速に荷重を受けることができ、且つ立木の成長などによる緩やかな拡径方向の荷重が作用した場合にも追従して拡径を許容することのできるとともに、立木に容易に設置することができるリング状連結具、該リング状連結具に用いられる結束具、及び、該リング状連結具を備えた斜面安定化構造を提供すること。
【解決手段】リング状連結具10は、斜面Sに存在する立木30に1本の線材12を3回以上巻回して設置されるリング体14と、前記リング体の所定箇所で該リング体を構成する線材を挿通させて束ねる筒状体であって、前記挿通状態にて前記線材との間に、前記線材が摺動可能な隙間が確保されている結束具20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜面に存在する立木に1本の線材を3回以上巻回して設置されるリング体と、
前記リング体の所定箇所で該リング体を構成する前記線材を挿通させて束ねる筒状体であって、前記挿通状態にて前記線材との間に、前記線材が摺動可能な隙間が確保されている結束具と、
を備えることを特徴とするリング状連結具。
【請求項2】
前記筒状体である結束具の壁部には、軸方向に長い貫通孔が設けられており、硬鋼線で形成された前記線材の一方の端部が前記貫通孔から引き出されてなることを特徴とする請求項1に記載のリング状連結具。
【請求項3】
前記貫通孔の長手方向の両端部の内壁面は、前記線材の引き出し方向に傾斜した面として形成されていることを特徴とする請求項2に記載のリング状連結具。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記結束具の軸方向の一方の端部側寄りに形成されていることを特徴とする請求項2に記載のリング状連結具。
【請求項5】
前記結束具は、前記線材よりも軟質の材料で形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のリング状連結具。
【請求項6】
前記結束具にて前記筒状体の断面における前記線材の割合は、30%~60%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリング状連結具。
【請求項7】
前記結束具の長さは、前記リング体の半径の0.2~0.3倍の大きさに設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリング状連結具。
【請求項8】
立木に硬鋼線で形成された1本の線材を3回以上巻回して設置されるリング体に用いられ、該リング体を構成する前記線材を内部に挿通させて束ねる結束具であって、
前記挿通状態にて前記線材と内壁面との間に、前記線材が摺動可能な隙間が確保される内径を有する筒状体に形成され、
壁部には、軸方向に長い貫通孔が設けられていることを特徴とする結束具。
【請求項9】
複数の立木が存在する地山の斜面に敷設された一つのネット体と、
前記ネット体の周囲に存在する幾本かの前記立木に設置された請求項1に係るリング状連結具と、
を備え、
前記ネット体の網目に前記リング体が挿通された状態で、前記ネット体と前記各リング状連結具とが連結されたことを特徴とする斜面安定化構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材を複数回巻いて形成されたリング体を備えたリング状連結具、該リング状連結具のリング体を束ねる結束具、及び該リング状連結具を介して立木とネット体とを連結することにより、立木を反力体として利用する斜面安定化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地山斜面に生息する立木は、その根系と地盤との間に強い結合作用を有することから、支柱やアンカー等と同様に反力体として利用することができる。立木を反力体として利用した構造物として、山地斜面に生息した立木を利用した斜面安定化構造が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、地山斜面に斜面の崩壊を防止する斜面保護用のネットを敷設し、このネットを斜面に生息している立木に連結した斜面安定化構造が記載されている。この斜面安定化構造において、立木は、立木が挿通された形で外周を囲むようにリング状の連結具が設置され、このリング状の連結具がネットに連結されている。リング状連結具は、巻回して形成することから立木の大きさに合わせて現場で設置できるものであり、線材を立木の外周に複数回巻き付けてリング体を形成した後、このリング体の線材を束ねる結束具をリング体にカシメ固定することによって形成される。
【0004】
立木に設置されるリング状連結具には、基本的な機能として、斜面の何らかの変動によりネットが荷重を受けた場合に、立木が反力体となってその荷重を受け止められるように、荷重を立木に伝達することが求められる。また、他の機能として、立木が成長してリング状連結具が設置される幹部の径が大きくなった場合に、この径の変化に対応してリング体の径が拡がること、更には、現場で容易に施工できることが求められる。
【0005】
特許文献1に記載のリング状連結具は、立木の幹部との間に隙間を設けた状態で設置されており、これにより、ネットから荷重を受けた場合には、立木に接触した段階で荷重を立木に直ちに伝達することができ、立木が成長した場合には、幹部との間に設けられた隙間によって幹部の拡径変化に対応できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の結束具は断面がC型のスリーブ状であって、リング体に固くかしめられることで、リング体の環径(周長さ)が固定されている。幹部の外表面とリング体との間には隙間、すなわち遊びが存在するので、荷重が急に加わったときには、遊びを大きく取った場合、立木への荷重伝達機能発揮の迅速性が劣ることとなる。また、隙間を小さくして遊びを減らすと、設置時よりも環径を大きくすることができないため、長期的な立木の成長により幹部の径がリング体の環径よりも大きくなった場合に立木の成長を阻害することになる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、急激な荷重が作用した際に迅速に荷重を受けることができ、且つ立木の成長などによる緩やかな拡径方向の荷重が作用した場合にも追従して拡径を許容することのできるとともに、立木に容易に設置することができるリング状連結具、該リング状連結具に用いられる結束具、及び、該リング状連結具を備えた斜面安定化構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のリング状連結具は、
斜面に存在する立木に1本の線材を3回以上巻回して設置されるリング体と、
前記リング体の所定箇所で該リング体を構成する線材を挿通させて束ねる筒状体であって、前記挿通状態にて前記線材との間に、前記線材が摺動可能な隙間が確保されている結束具と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、1本の線材を立木に複数回巻回しつつ上記筒状体に全体を挿通させることでリング状連結具の立木への設置を容易に行うことができる。
こうして立木に設置された本発明に係るリング状連結具は、立木が成長してリング体を内側から径方向外側へ押す力がリング体の全周に亘って加わると、結束具と線材との間に隙間があって線材が非固定状態であることから、立木の成長に伴う拡径に対してはこれに追従してリング体の径が広がっていくことが許容される。
一方、リング状連結具に何らかの急激な荷重の付加、例えば、リング体の一部に集中して径方向外側への引張り力が作用した場合、この力の作用点およびその近傍で線材同士が強く擦られて大きな摩擦抵抗力が生じるとともに、結束具の取付け箇所では結束具の内壁面と線材との間および線材同士の間に大きな摩擦抵抗力が生じる。これにより、リング体が急激に拡径することは防止され、荷重が作用した部位の線材は屈曲し、この屈曲部に荷重が集中した状態で荷重が立木に伝達される。したがって、リング状連結具を他の部材に連結することでその部材側から加えられる荷重に対して立木を反力体として機能させることが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリング状連結具において、
前記筒状体である結束具の壁部には、軸方向に長い貫通孔が設けられており、硬鋼線で形成された前記線材の一方の端部が前記貫通孔から引き出されてなることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、筒状の結束具の壁部に形成された貫通孔から結束具の外へ引き出された線材は、結束具内でほぼ平行に円形状を形成している他の巻回された線材部分に対して傾斜した状態となる。すなわち、線材は硬鋼線で形成されており、柔軟に曲がることはないことから、貫通孔から引き出されることでこの引き出される線材の手前側の部分は下方に押し下げられる。これにより、この線材部分が他の巻回された線材を押し下げ、また、間に割り込む状態が生まれ、巻回された線材全体の結束具内部及びその近傍の外側部分での摩擦力が増大し、リング体に対する外方からの急激な引張り力に対する拡径の抑制をより的確なものとすることが可能となっている。
したがって、上述のように、一部に急激な荷重が加えられた場合、リング体は拡径が抑制され、屈曲変形された状態で、荷重を的確に立木に伝達させることができ、立木の反力体としての機能を向上させることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のリング状連結具において、
前記貫通孔の長手方向の両端部の内壁面は、前記線材の引き出し方向に傾斜した面として形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、貫通孔に線材の端部を通す際に、貫通孔の内壁面が垂直ではなく引き出し方向に沿った傾斜面となっているので、貫通孔からの硬鋼線の線材の引き出しを容易なものとすることができ、リング状連結具の設置作業の容易化が図られる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のリング状連結具において、
前記貫通孔は、前記結束具の軸方向の一方の端部側寄りに形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、結束具の貫通孔に一本の線材を結束具の内側から外側に向かって通す際に、貫通孔が結束具の一方の端部に寄りに形成されているので、この一方の端部側から結束具内に線材の挿入を行うことで、挿入したその先端を貫通孔から外に出す作業をより容易に行うことが可能となる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載のリング状連結具において、
前記結束具は、前記線材よりも軟質の材料で形成されたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、リング体に急激に大きな引張り力が加わった場合に、結束具を断面が潰れるように変形させて、結束具における摩擦抵抗を向上させることができ、これにより、リング体が拡径することへの抵抗力を大きくすることができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載のリング状連結具において、
前記結束具にて前記筒状体の断面における前記線材の割合は、30%~60%の範囲であることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、結束具とその内部を挿通する線材との間に適度な隙間を設けて、立木の成長時にリング体を拡げることを許容するとともに、急激に大きな引張力が作用した場合に、結束具およびその近傍に生じる摩擦抵抗力をより適切なものにしてリング体の拡径を抑えることができる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載のリング状連結具において、
前記結束具の長さは、前記リング体の半径の0.2~0.3倍の大きさに設定されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、リング体の周長に対する結束具の長さを適切なものにして、立木が成長する際に、結束具によって線材の摺動が妨げられることを適切に防止することができる。
【0023】
また、請求項8に記載の結束具は、
立木に硬鋼線で形成された1本の線材を3回以上巻回して設置されるリング体に用いられ、該リング体を構成する前記線材を内部に挿通させて束ねる結束具であって、
前記挿通状態にて前記線材と内壁面との間に、前記線材が摺動可能な隙間が確保される内径を有する筒状体に形成され、
壁部には、軸方向に長い貫通孔が設けられていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、挿通されたリング体を構成する線材と内壁面との間の隙間により、内部からの拡径力により徐々にリング体を構成する線材は内部で摺動することが可能であり、リング体の径が拡がることを許容することができる。一方、リング体に対する外方からの急激な引張り力が生じた場合には、この力の作用点およびその近傍で線材同士が強く擦られて大きな摩擦抵抗力が生じるとともに、結束具の取付け箇所では結束具の内壁面と線材との間および線材同士の間に大きな摩擦抵抗力が生じることからリング体の急激な拡径は防止される。
また、リング体を立木に設置する際に、リング体を構成する線材の一方の端部を結束具の壁部に設けられた貫通孔から引き出した状態とすることができる。これにより、貫通孔から結束具の外へ引き出された線材が、結束具内でほぼ平行に円形状を形成している他の複数の線材に対して傾斜した状態となる。すなわち、線材は硬鋼線で形成されており、柔軟に曲がることはないことから、貫通孔から引き出されることでその手前側の線材部分は下方に押し下げられる。これにより、この線材部分が他の巻回された線材を押し下げ、また、間に割り込む状態が生まれ、巻回された線材全体の結束具内部及びその近傍の外側部分での摩擦力が増大し、リング体に対する外方からの引張り力に対する拡径の抑制をより的確なものとすることが可能となっている。
【0025】
また、請求項9に記載の斜面安定化構造は、
複数の立木が存在する地山の斜面に敷設された一つのネット体と、
前記ネット体の周囲に存在する幾本かの前記立木に設置された請求項1に係るリング状連結具と、
を備え、
前記ネット体の網目に前記リング体が挿通された状態で、前記ネット体と前記各リング状連結具とが連結されたことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、斜面に敷設された一つのネット体をその周囲に存在する立木にリング状連結具を用いて連結することで、斜面崩壊の初動によってネット体に荷重が作用した際に、リング状連結具を介してこの荷重を近傍の立木に速やかに伝達することができる。これにより、ネット体に対する急激な荷重に対して立木を反力体として利用して、ネット体による斜面崩壊防止機能を的確なものとすることができる。
また、立木の成長によりリング状連結具のリング体が拡径した場合にも、リング体がネット体の網目に挿通された状態であって固定されていないことから、ネット体によってリング体の拡径が阻害されることもない。
また、ネット体とリング状連結具とは、リング状連結具の設置作業においてリング体を形成する際に、1本の線材をネット体の網目に通しつつ立木に巻回することで連結することができることから施工作業の煩雑さを生起させることもない。
【発明の効果】
【0027】
本発明リング状連結具、該リング状連結具に用いられる結束具、及び、該リング状連結具を備えた斜面安定化構造によれば、立木を巻いて囲むようにリング体及び結束具を設置することで立木が成長した場合には、リング状連結具の結束具と線材との隙間の存在により立木の成長を許容することができ、一方、リング状連結具に急激に大きな荷重が作用した場合には、摩擦抵抗力により、リング体の拡径を抑えることができ、これにより、受けた荷重を立木に伝達することができる。したがって、立木を反力体として的確に利用することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係るリング状連結具の平面図である。
【
図2】リング状連結具に用いられる結束具の斜視図である。
【
図3】
図2に示す結束具のA-A線に沿う断面図である。
【
図4】結束具に線材が挿通された状態を説明する図である。
【
図8】リング状連結具を備えた斜面安定化構造の模式図である。
【
図9】リング状連結具の設置状態を説明する平面図である。
【
図11】リング状連結具が拡径した状態を示す平面図である。
【
図12】リング状連結具に作用させた荷重と、それに伴うリング状連結具の変位の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るリング状連結具10の平面図である。リング状連結具10は、地山斜面に生息する立木を構造物の反力体として利用する場合に、当該立ち義をネットやロープ等と連結する連結具として用いることができる。
図1では、リング状連結具10が設置される立木30の外周を仮想線で示している。リング状連結具10は、硬鋼線で形成された1本の線材12を複数回巻されてなるリング体14と、リング体14の所定箇所でリング体14を構成する線材12を挿通させて束ねる結束具20と、を備える。
【0030】
リング体14は、線材12を巻回して環状に形成した巻回物である。線材12の巻回数は3回以上であって、4回~10回の範囲であることが好ましく、5回~7回の範囲であることがより好ましい。線材12の巻回数は、適用される立木30の径の大きさや、リング体14に連結されるネットやワイヤロープ等の関係を考慮して適宜設定することができる。
【0031】
リング体14を構成する線材12は、硬鋼線であり、例えば、JIS G 3506に規定された硬鋼線材から製造された線材、例えば、硬鋼線(JIS G 3521)や亜鉛めっき鋼線(JIS G 3548)等を用いることができる。硬鋼線材である線材12の直径は、例えば2mm~5mmの大きさ、好ましくは3mm~4mmの大きさとすることができ、線材12の引張強度は、800N/mm2~2000N/mm2とすることができる。硬鋼線材から制作された線材12は、JIS G 3505に規定された軟鋼線材から製造された鉄線(一般に、引張強度が290N/mm2~540N/mm2)と比較して塑性変形し難く、高い引張強度及びバネ性を有する。線材12には防食処理が施されていることが好ましく、有利な防食処理としては、硬鋼線の表面に先ずZn/Alメッキを施し、その上に飽和ポリエステル(PET)の被覆を設ける方法が挙げられる。なお、リング体14を構成する線材12は、軟鋼線で形成されていてもよく、金属以外の材料、例えば、カーボン繊維、ガラス繊維又はアラミド繊維等によって形成された線材12や、防食性の高い樹脂製の線材12であってもよい。後述するように、貫通孔24を有する結束具20を用いる場合、硬鋼線で形成された線材12を用いることが好ましい。
【0032】
結束具20は、リング体14を内部に挿通させて束ねる筒形状である。結束具20の内径は、線材12の太さや巻回数に応じて適宜設定することができる。本実施形態において、結束具20は、線材12の挿通状態にて線材12との間に、線材12が摺動可能な大きさ隙間が確保されている。結束具20の材料は特に限定されないが、線材12よりも軟質の材料で形成されることが好ましく、例えば、鋼製の線材12に対して、アルミニウム製や樹脂製の結束具20を用いることが好ましい。
【0033】
図1、
図2及び
図3に示すように、結束具20は、筒状に形成されており、壁部(周壁)に軸方向に長い貫通孔24を有している。本実施形態では、結束具20が円筒状に形成されているが、筒の断面形状は円形に限られず、楕円形や多角形であってもよい。また、本実施形態では、貫通孔24が楕円形状に形成されているが、貫通孔24の形状はこれに限られず、長方形状や他の多角形状であってもよい。
【0034】
結束具20の軸方向の長さは、リング体14の径の大きさによって適宜設定することができ、結束具20の内径の大きさは、リング体14を形成する線材12の太さや巻き数に応じて適宜設定することができる。例として、直径が2mm~5mmの線材12で形成された直径が250mm~450mmのリング体14に対して、結束具20の軸方向の長さは30~60mm、内径は8~25mmとすることができる。
【0035】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、貫通孔24の長手方向(すなわち、結束具20の軸方向)の両端部の内壁面25が、結束具20の径方向に対して、傾斜した面として形成されている。後述するように、リング状連結具10の製作状態では、貫通孔24から1本の線材12が結束具20の内側から外側へ引き出された状態となり、貫通孔24の内壁面25は、線材12の引き出し方向に傾斜した面として形成されている。貫通孔24は、結束具20の軸方向の一方の端部側寄りに形成されていることが好ましい。本実施形態では、結束具20の一方の端部である第1の端部21寄りに貫通孔24が形成されている。貫通孔24の内壁面25は、径方向内側から外側に向かうにしたがって、結束具20の第1の端部21から第2の端部22へ向かう傾斜面に形成されている。内壁面25の傾斜角度は、結束具20の軸方向に対して15°~40°であることが好ましく、20°~30°であることがより好ましい。貫通孔24の第1の端部21からの距離dは3mm~9mmであることが好ましく、4mm~7mmであることがより好ましい。
【0036】
図1及び
図4に示すように、リング状連結具10において、結束具20はリング体14に対して非固定状態となっており、結束具20において、線材12は結束具20の内周面との間に隙間を持って挿通された状態となっている。また、リング状連結具10において、線材12の一方の端部は、結束具20の貫通孔24から引き出された状態、具体的には、貫通孔24の内側から外側へ一本の線材12が引き出された状態となっている。リング状連結具10は、この貫通孔24から引き出された線材12によって、結束具20に挿通された線材12が、結束具20の内周面に押付けられた状態となっている。なお、
図1では、線材12の一方の端部側にのみ結束具20を設けているが、結束具20は線材12の両端部に取付けられるように、2つ設けられていてもよい。
【0037】
上述したリン状連結具10では、その内部に挿通されたリング体14を構成する線材12と結束具20の内壁面との間の隙間により、内部からの拡径力(すなわち、リング状連結具10が設置される立木30の成長によってリング体14に作用する拡径力)によりリング体14を構成する線材12は内部で徐々に摺動することができる。これにより、リン状連結具10は、立木30の成長に伴ってリング体14の径が拡がることを許容することができる。一方、リング体14に対して急激な引張り力が生じた場合には、この力の作用点およびその近傍で線材12同士が強く擦られて大きな摩擦抵抗力が生じるとともに、結束具20の取付け箇所では結束具20の内壁面と線材12との間および線材12同士の間に大きな摩擦抵抗力が生じ、これによってリング体14の急激な拡径が防止される。
【0038】
また、本実施形態の結束具20では、リング体14を立木30に設置する際に、リング体14を構成する線材12の一方の端部を結束具20の壁部に設けられた貫通孔24から引き出した状態とすることができ、これにより、貫通孔24から引き出された線材12が、結束具20内でほぼ平行にのびる他の複数の線材に対して傾斜した状態となる。具体的には、線材12は硬鋼線で形成されており柔軟に曲がることはないことから、貫通孔24から引き出されて傾斜状態となることで、他の線材12は結束具20の内壁面に押し付けられた状態となるとともに、結束具20内およびその近傍の線材12同士が密に接触した状態となる。これにより、リング体14に引張り力が作用した場合の摩擦抵抗力が増大し、リング体14に急激な引張り力が作用した際にリング体14が屈曲するように変形させて、拡径の抑制をより的確なものとすることができる。また、本実施形態では、結束具20が線材12よりも軟質の材料で形成されているため、リング体14に急激に大きな引張り力が加わった場合に、結束具20を断面が潰れるように変形させて、結束具20における摩擦抵抗力を向上させることができる。
【0039】
図5~
図7は、結束具20内の線材12の状態を説明する図であり、符号20は結束具の内壁を示し、結束具20内に線材12を複数本挿通した状態を示している。
図5に示すように、結束具20内に線材12を密に挿通した場合、立木30の成長時に結束具20内で線材12を摺動させてリング体14を拡径させることが困難になる。線材12を摺動させるには、
図6及び
図7に示すように仮想的に線材12を略均等に配置した場合に、各線材12と結束具20の内壁との間に隙間が設けられる程度に、線材12が挿通されることが好ましい。
【0040】
リング状連結具10では、線材12の巻回数が、好ましくは4回~10回、より好ましくは5回~7回であり、結束具20にて、筒状体の断面(すなわち結束具20の中空断面)における線材12の割合が、30%~60%の範囲であることが好ましい。ここで、線材12の割合とは、貫通孔24から線材12が結束具20の外へ引き出される場合、結束具20内にて線材12の本数が多い領域の断面における線材12の割合である。このような割合にすることで、結束具20とその内部を挿通する線材12との間に適度な隙間を設けて、立木30の成長時にリング体14を拡げることを許容することができる。また、急激に大きな引張力が作用した場合には、結束具20およびその近傍に生じる摩擦抵抗力をより適切なものにしてリング体14の拡径を抑えることができる。
【0041】
さらに、リング状連結具10において、結束具20の軸方向の長さは、リング体14の半径の0.2~0.3倍の大きさに設定されていることが好ましい。ここで、リング体14の半径とは、リング体14を円形状にした場合の半径である。このような長さ比にすることで、リング体14の周長に対する結束具20の長さを適切なものにして、立木30が成長する際に、結束具20によって線材12の摺動が妨げられることを適切に防止することができる。
【0042】
本実施形態のリング状連結具10は、一例として、
図8に示すように、立木30を利用した斜面安定化構造1に用いることができる。斜面安定化構造1は、複数の立木30が存在する地山の斜面Sに敷設された一つのネット体40と、斜面Sに自生する立木30の外周を囲むように設置されて立木30とネット体40とを連結するリング状連結具10と、を備える。リング状連結具10は、少なくとも、ネット体40の周囲に存在する幾本かの立木30に設置される。さらに、本実施形態の斜面安定化構造1は、ネット体40を斜面Sに固定する複数のアンカー部材50を備える。
【0043】
ネット体40は、金属製のワイヤーを編み込んで形成されている。このワイヤーは、例えば、リング体14を形成する線材12と同様の硬鋼線材で制作されたワイヤーとすることができる。ワイヤーは、好ましくは素線引張強度が400N/mm2~2,000N/mm2の範囲のものが用いられ、より好ましくは、1,000N/mm2~2,000N/mm2の範囲のものが用いられる。ワイヤーを構成する硬鋼線の直径φは、2.6mm~4.0mmの範囲であり、3.0mm以上のものが好ましい。ワイヤーには防食処理が施されていることが好ましく、有利な防食処理としては、硬鋼線の表面に先ずZn/Alメッキを施し、その上に飽和ポリエステル(PET)の被覆を設ける方法が挙げられる。なお、他の防食処理も適用可能である。また、ワイヤーは、金属製のものに限られず、例えば、カーボン繊維、ガラス繊維又はアラミド繊維等によって形成されたワイヤーや、防食性の高い樹脂製ワイヤーを用いることができる。さらに、ネット体40として、ジオグリッドを使用してもよい。ジオグリッドを使用する場合、斜面80に沿ってほぼ平面状に敷設される。
【0044】
本実施形態のネット体40は、菱形の網目を有する。ネット体40の網目の大きさは、例えば、一方の対角線長さが50mm~150mm、他方の対角線長さが50mm~200mmとすることができる。なお、ネット体40の網目の形状は菱形に限られず、円形や楕円形、三角形等、適宜選択することができる。
【0045】
図9は、リング状連結具10の設置状態を説明する平面図である。
図9では、ネット体40及びリング状連結具10を実線で示し、立木30の外周を二点鎖線で示している。なお、
図9において、破線で示す符号40及び太い二点鎖線で示す符号14は、後述する斜面崩壊の初動時のネット体40と、これに伴うリング体14の変形状態とを示している。
図9にて実線で示すように、ネット体40は、斜面Sにおいて立木30がある位置を避けて、すなわち、立木30がある部位のネット体40に穴を設けて敷設される。リング状連結具10は、立木30の外周を囲むように設置される。ネット体40と、立木30の外周に設置されたリング状連結具10とは、リング状連結具10を設置する際に、ネット体40の網目にリング体14が挿通されるように線材12を巻回することで連結することができる。また、これとともに、リング体14とネット体40を接続金具を用いて連結してもよい。
【0046】
リング体14とネット体40を連結する接続金具は、例えば、ネット体40やリング体14を構成している線材と同様の硬鋼線を加工にすることで製作することができ、その形状は、例えば、楕円形や楕円形に近い多角形等の環状に形成することができる。環状の接続金具は、その内部にリング体14とネット体40を構成するワイヤーとが挿通されるように環状に形成することで、これらを接続することができる。硬鋼線で形成された接続金具は、リング体14やネット体40と同等又はそれ以上の強度を有する。なお、接続金具は、これに限られず、ネット体40とリング状連結具10を接続可能な既存の金具(例えばシャックル等)を用いることができる。
【0047】
アンカー部材50は、
図10に示すように、地中に埋め込まれて地中の安定地盤まで延びるアンカーボルト52と、アンカーボルト52の地上側の端部に取付けられるプレート54と、アンカーボルト52端部に螺合されるナット58とを備える。なお、
図10では、斜面S上に敷設されたネット体40を太い破線で示している。
【0048】
プレート54は、中央部にアンカーボルト52が挿通される貫通孔を有する板材であり、斜面Sとの間にネット体40を挟み込んだ状態でナット58により斜面Sに固定される。プレート54は、例えば、鋼板や補強材が埋め込まれた樹脂板等によって形成することができる。
【0049】
アンカー部材50は、アンカーボルト52をネット体40の網目に貫通させ、斜面Sとプレート54とによってネット体40を挟み込んだ状態となるように、プレート54をアンカーボルト52の頭部に取付け、ナット58をアンカーボルト52に螺合することで、ネット体40をプレート54によって斜面S側に押付けて固定することができる。
【0050】
次に、上述した斜面安定化構造10の施工方法を説明する。まず、斜面Sに複数のアンカーボルト52を打設する(アンカー打設工程)。次に、設置対象となる斜面Sにネット体40を敷設する(ネット体敷設工程)。斜面Sにおいて立木30が生息している部位では、ネット体40に穴を設けるようにして、立木30を避けた状態でネット体40を敷設する。ネット体40は、例えば、
図9に示す接続用クリップ46やワイヤー等を用いて分離した2つのネット体40を接続する等により、立木30を囲む態様で簡易に敷設することが可能である。
【0051】
次に、立木30の外周を囲むように、リング状連結具10を設置する(リング状連結具設置工程)。リング状連結具10は、筒状の結束具20に線材12を複数回通して、立木30の外周を囲むリング体14にすることで形成することができ、簡易に立木30に設置することができる。また、この際、立木30近傍のネット体40の網目を通すように線材12を巻回することで、リング状連結具10をネット体40に連結することが可能である。このリング状連結具10は、立木30の外周との間に隙間を設けた状態で、立木30の根元部分(すなわち、斜面Sに近接する部分)に設置される。リング状連結具10の内径は、設置される立木30の外周との間の隙間が狭くなるように、外周大きさとほぼ同じか、これよりも僅かに大きく設定されることが好ましい。
【0052】
また、リング状連結具10を形成する際に、線材12の端部12aは、結束具20の貫通孔24から結束具20の外部へ引き出した状態とする。この端部12aの引き出し長さは、立木30が成長して、これに伴ってリング体14の径が大きくなった場合に、端部12aが貫通孔24内に入り込むことがない長さに設定されることが好ましい。線材12の端部12aの貫通孔24からの引き出し長さは、例えば、好ましくは設置時のリング体14の全周長の1/2以上の長さ、より好ましくは全周長以上の長さとすることができる。なお、リング状連結具10の設置とネット体40の斜面Sへの敷設は、同時に施工してもよい。本実施形態では、
図8に示すように、ネット体40の周辺部を立木30に設けたリング状連結具10に連結・固定している。
【0053】
次に、ネット体40から突出したアンカーボルト52の頭部をプレート54の貫通孔に通し、その後、ナット54を螺合して、アンカーボルト52にプレート54を取付ける。これにより、ネット体40は、斜面Sに対して上方から押し付けられて固定される。なお、プレート54の取付けは、ネット体40を敷設した後であればよく、例えば、リング状連結具10とネット体40とを連結する前であってもよい。
【0054】
上述した斜面安定化構造1では、斜面Sに敷設された一つのネット体40をその周囲や、ネット体40の穴の内部に存在する立木30にリング状連結具を用いて連結することで、斜面崩壊の初動によってネット体40に荷重が作用した際に、リング状連結具10を介してこの荷重を近傍の立木30に速やかに伝達することができる。これにより、ネット体40に対する急激な荷重に対して立木30を反力体として利用して、ネット体40による斜面崩壊防止機能を的確なものとすることができる。また、立木30の成長によりリング状連結具10のリング体40が拡径した場合、リング体40がネット体40の網目に挿通された状態であって固定されていないことから、ネット体40によってリング体14の拡径が阻害されることもない。
【0055】
上述した斜面安定化構造1において、リング状連結具10の立木30への設置は、線材12をリング体14とする工程を、立木30を巻いて囲むように行うことにより、施工現場にて容易に行うことができる。また、ネット体40とリング状連結具10とは、リング状連結具10の設置作業においてリング体14を形成する際に、1本の線材12をネット体40の網目に通しつつ立木30に巻回することで連結することができることから施工作業の煩雑さを生起させることもない。立木30に設置されたリング状連結具10は、
図11に示すように、立木30が成長してリング体14を内側から径方向外側へ押す力がリング体14の全周に亘って加わった場合、結束具20と線材12との間に隙間があって、線材12が非固定状態であることから、立木30の成長に伴う拡径に対して、これに追従してリング体14の径が広がっていくことが許容される。
【0056】
また、斜面安定化構造1が施工された斜面Sにおいて、斜面崩壊の初動が生じ、ネット体40に荷重が作用した場合(すなわち、
図9において破線で示すように立木30の周囲のネット体40に斜面下方側への引張り力が作用した場合)、リング状連結具10には、立木30の成長時とは異なり、ネット体40を介して急激な引張荷重が作用する。このような状態では、リング状連結具10のリング体14において、ネット体40との接続部に荷重が集中して、リング体14を径方向外側へ引っ張る力が作用する。この際、この引張荷重の作用点及びその近傍で、リング体14を構成している線材12同士が強く擦られて大きな摩擦抵抗力が生じる。また、この際、結束具20の取付け部位で、結束具20の内壁面と線材12との間、及び、線材12同士の間に大きな摩擦抵抗力が生じる。これにより、
図9において二点鎖線で示すように、リング状連結具10において大きな荷重が作用したネット体40との接続部位のリング体14が屈曲し、この屈曲部に荷重が集中することで、リング体14は拡径することなく、ネット体40から受けた荷重を立木30に伝達することができる。これにより、リング状連結具10を介してネット体40から加えられる荷重に対して立木30を反力体として機能させることができる。
【0057】
図12は、リング状連結具10に作用させた荷重と、それに伴うリング状連結具10の変位(すなわち、リング体14の周長の変化量)の関係を示すグラフである。
図12に示す引張試験では、リング状連結具10として、硬鋼線で形成された直径3mmの線材12と、アルミニウム合金製の結束具20とを用い、線材12の巻数を5回、円形のリング体14の直径を313mmとし、結束具20は、長さが40mm、外径が13mm、内径が11mmとした。グラフにおいて実線は、リング状連結具10の一部に急激に大きな荷重をさせた場合(すなわち、斜面崩壊時にネット体40を介してリング体14に急激に大きな荷重が作用する状況)を示しており、破線は、リング状連結具10の全周に亘って荷重をゆっくり作用させた場合(すなわち、立木30が成長してリング体14の全周に徐々に荷重が作用する状況)を示している。グラフの実線に示されるように、急激に荷重が作用すると、リング体14の周長はほぼ変わらずに、大きな荷重により破断する。また、グラフの破線で示されるように、リング体14の全周にゆっくり荷重を作用させた場合には、破断することなく、リング体14の周長が長くなる(すなわち、リング体14が拡径する)。このように、本実施形態のリング状連結具10は、立木30が成長する状況では、リング体14の拡径を許容する一方、リング体14に大きな力が急激に作用した場合には、ほぼ拡径せずにリング体14が受けた荷重を立木30に伝達することが可能である。
【0058】
また、本実施形態のリング状連結具10では、結束具20の壁部に形成された貫通孔24に一本の線材12が挿通されて結束具20の内側から外側へ引き出された状態となっている。このように形成されたリング状連結具10では、貫通孔24から引き出された線材12が、結束具20内でほぼ平行に伸びる他の複数の線材12に対して傾斜した状態となり、この引き出された線材12によって、結束具20内の線材12同士が押し付けられた状態となる。これにより、結束具20及びその近傍における線材12同士の接触面積を大きくすることができるので、リング状連結具10に急激かつ大きな荷重が作用した際にリング体14の拡径を抑制する摩擦抵抗力を増加させることができ、リング体14をより確実に屈曲変形させて、立木30への荷重伝達性能を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態の結束具20は、貫通孔24が結束具20の第1の端部21寄りに形成されているため、この第1の端部21から結束具20内に挿入された線材12の先端を貫通孔24に通して結束具20の外側へ出す作業を容易に行うことができる。また、本実施形態のように、貫通孔24の内壁面25が傾斜面となっている場合には、この傾斜に沿って線材12を容易に引き出すことができるので、リング状連結具10の設置作業をより容易に行うことができる。
【0060】
なお、本発明は上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、結束具20は貫通孔24を有していない構造であってもよい。かかる場合、リング状連結具10は、線材12を単に結束具20内に挿通させた構造となる。
【0062】
また、立木30に設置されるリング状連結具10には、ネット体40ではなく、ロープを連結して、立木30を反力体として利用する構造であってもよい。例えば、2本の立木にリング状連結具10を設置し、この2つのリング状連結具10の間をロープで連結してもよい。かかる場合には、リング状連結具10を介してロープに作用した引張力を立木に伝達することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 斜面安定化構造
10 リング状連結具
12 線材
14 リング体
20 結束具
21 第1の端部
22 第2の端部
24 貫通孔
25 貫通孔の内壁面
30 立木
40 ネット体
44 接続金具
50 アンカー部材
52 アンカーボルト
54 プレート
58 ナット
S 斜面