(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095247
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】表示方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/431 20110101AFI20240703BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20240703BHJP
H04B 1/16 20060101ALI20240703BHJP
H04H 20/22 20080101ALI20240703BHJP
【FI】
H04N21/431
H04N21/442
H04B1/16 A
H04H20/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212391
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上市 信介
【テーマコード(参考)】
5C164
5K061
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164UA04S
5C164UB41P
5C164UB93P
5C164YA24
5C164YA30
5K061BB06
5K061CC49
5K061CD04
5K061FF16
(57)【要約】
【課題】解像度と放送方式の異なる同一内容番組(コンテンツ)の放送を放送波の受信状態に応じて切り替え表示する場合に、状況においてより適切な放送の表示を選択すること。
【解決手段】実施形態に係る切り替え方法は、車両に設置され、同一コンテンツを異なる映像解像度と放送方式で放送する第1の番組と第2の番組の放送波を受信可能な受信装置の表示方法である。受信装置は、第1の番組を視聴中に、第1の番組の受信強度が予め設定された第1の閾値以下になった場合、第2の番組を表示し、その後第1の番組の受信強度が第1の閾値以上である第2の閾値以上になった場合に、第1の番組を表示する。受信装置は、受信装置の位置が第1の番組を受信していた放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近である場合には、第1の番組の受信強度が第2の閾値以上となった場合であっても第2の番組の表示を継続する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置され、同一コンテンツを異なる映像解像度と放送方式で放送する第1の番組と第2の番組の放送波を受信可能な受信装置の表示方法であって、
前記第1の番組を視聴中に、前記第1の番組の受信強度が予め設定された第1の閾値以下になった場合、前記第2の番組を表示し、その後前記第1の番組の受信強度が前記第1の閾値以上である第2の閾値以上になった場合に、前記第1の番組を表示し、
前記受信装置の位置が前記第1の番組を受信していた放送局の前記放送波の受信可能範囲の境界付近である場合には、前記第1の番組の受信強度が前記第2の閾値以上となった場合であっても前記第2の番組の表示を継続する
表示方法。
【請求項2】
車両に設置され、同一コンテンツを異なる映像解像度と放送方式で放送する第1の番組と第2の番組の放送波を受信可能な受信装置の表示方法であって、
前記第1の番組を視聴中に、前記第1の番組の受信強度が予め設定された第1の閾値以下になった場合、前記第2の番組を表示し、その後前記第1の番組の受信強度が前記第1の閾値以上である第2の閾値以上になった場合に、前記第1の番組を表示し、
前記第2の番組が緊急放送を受信している場合には、前記第1の番組の受信強度が前記第2の閾値以上となった場合であっても前記第2の番組の表示を継続する
表示方法。
【請求項3】
前記受信装置は、
表示している第1の放送波の受信強度が第1の閾値以下になった場合であって、第2の放送波の受信強度が予め設定された第1の閾値以上の場合に、前記第2の放送波に切り替えて表示し、
表示している第1の放送波の受信強度が第1の閾値以下になった場合であって、第2の放送波の受信強度が予め設定された第1の閾値以下の場合に、警告、または、表示を消す
請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記第1の番組は、前記第2の番組より解像度が高い番組である、
請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項5】
前記第1の番組は、4Kテレビジョン放送で、前記第2の番組は、2Kテレビジョン放送である、
請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項6】
前記受信装置は、
表示する放送波を切り替える際に、放送波を切り替えることを示すメッセージを出力させる
請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項7】
前記受信装置は、
ユーザごとの、前記第1の番組及び前記第2の番組のそれぞれの好みの度合いを学習し、
前記好みの度合いが大きい番組が優先して表示されるように、放送波の切り替えを制御する
請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項8】
前記受信装置は、
ユーザごとの、前記第1の番組を表示した時間と、前記第2の番組を表示した時間との割合に基づき、前記好みの度合いを学習する
請求項7に記載の表示方法。
【請求項9】
前記受信装置は、
ユーザごとの、前記第1の番組の放送波と前記第2の番組の放送波との間のユーザの操作に基づく切り替えの発生回数に基づき、前記好みの度合いを学習する
請求項7に記載の表示方法。
【請求項10】
前記受信装置は、
前記好みの度合いを、放送波に基づくコンテンツが提供されるエリア、コンテンツが提供される時間帯、及びコンテンツの種別の少なくともいずれかの条件に対応付けて学習し、
前記条件に合致するコンテンツであって、前記好みの度合いが大きい放送波に基づくコンテンツが優先して表示されるように、放送波の切り替えを制御する
請求項7に記載の表示方法。
【請求項11】
前記受信装置は、
前記第1の番組の放送波に基づくコンテンツを表示するか、前記第2の番組の放送波に基づくコンテンツを表示するか、又は前記第1の番組の放送波に基づくコンテンツと前記第2の番組の放送波に基づくコンテンツのいずれかを自動的に切り替えるか、をユーザが選択可能なインタフェースを表示し、
前記インタフェースにおいて、前記第1の番組の放送波に基づくコンテンツと前記第2の番組の放送波に基づくコンテンツのいずれかを自動的に切り替えることが選択された場合、放送波の切り替えを行い、
前記インタフェースにおいて、前記第1の番組の放送波に基づくコンテンツを表示すること、又は前記第2の番組の放送波に基づくコンテンツを表示することが選択された場合、表示することが選択されたコンテンツを常に表示する
請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項12】
車両に設置され、同一コンテンツを異なる映像解像度と放送方式で放送する第1の番組と第2の番組の放送波を受信可能な表示装置であって、
複数のアンテナと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記第1の番組を視聴中に、前記第1の番組の受信強度が予め設定された第1の閾値以下になった場合、前記第2の番組を表示し、その後前記第1の番組の受信強度が前記第1の閾値以上である第2の閾値以上になった場合に、前記第1の番組を表示し、
前記表示装置の位置が前記第1の番組を受信していた放送局の前記放送波の受信可能範囲の境界付近である場合には、前記第1の番組の受信強度が前記第2の閾値以上となった場合であっても前記第2の番組の表示を継続する
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示方法及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、地上波デジタルテレビ放送の4K放送の規格化が進み、2K放送とは異なる方式が有力視されている。例えば、4K放送と2K放送は、異なる帯域(同じ物理CHではなく、異なる物理CHで電波発射される)となる可能性がある。
【0003】
また、複数の放送局から適正な放送局を自動選局する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
4K放送といった高品質の放送が開始され、同一内容の番組であっても解像度と放送方式の異なる複数の放送(例えば4K放送と2K放送)が受信可能となった場合に、複数の放送の同一内容番組(コンテンツ)を切り替えて表示することが考えられる。例えば、特許文献1のような、親局とサテライト局の受信中の放送について受信状態を監視し、同じ放送局の電波品質の良い方に切り替える方法を採用することが考えられる。このような解像度と放送方式の異なる複数の放送が受信可能な場合では、基本的には高解像度である方の放送を優先して表示した方が良いが、状況によっては低解像度の放送の表示を維持した方がよい場合がある。例えば、受信装置の位置が、高解像度の放送における放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近である場合は、高解像度の放送と低解像度の放送の切り替えが頻繁に発生してしまう可能性がある。また、災害発生時には、放送の安定性が高く、緊急放送が放送される可能性が高い低解像度の放送を受信していた方が良い。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、解像度と放送方式の異なる同一内容番組(コンテンツ)の放送を放送波の受信状態に応じて切り替え表示する場合に、状況においてより適切な放送の表示を選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る切り替え方法は、車両に設置され、同一コンテンツを異なる映像解像度と放送方式で放送する第1の番組と第2の番組の放送波を受信可能な受信装置の表示方法である。受信装置は、第1の番組を視聴中に、第1の番組の受信強度が予め設定された第1の閾値以下になった場合、第2の番組を表示し、その後第1の番組の受信強度が第1の閾値以上である第2の閾値以上になった場合に、第1の番組を表示する。受信装置は、受信装置の位置が第1の番組を受信していた放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近である場合には、第1の番組の受信強度が第2の閾値以上となった場合であっても第2の番組の表示を継続する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、解像度と放送方式の異なる同一内容番組(コンテンツ)の放送を放送波の受信状態に応じて切り替え表示する場合に、状況においてより適切な放送の表示を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、放送波の受信について説明する図である。
【
図2】
図2は、放送波の受信品質に応じた動作を説明する図である。
【
図3】
図3は、放送波の受信品質に応じた動作を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る受信装置の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、チャンネルリストの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、受信するコンテンツの切り替えについて説明する図である。
【
図9】
図9は、放送波の制御方法を選択するインタフェースの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る受信装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る切り替え方法及び受信装置について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
本実施形態では、受信した放送波に基づきテレビジョン放送を出力する受信装置が、4Kテレビジョン放送(以下、4K放送)と2Kテレビジョン放送(以下、2K放送)を切り替える。
【0012】
第1の番組は、4Kテレビジョン放送で、第2の番組は、2Kテレビジョン放送である。また、テレビジョン放送である4K放送及び2K放送の放送内容を、コンテンツと呼ぶ場合がある。コンテンツは、例えば映像及び音声を含む。
【0013】
また、第1の番組は、第2の番組より解像度が高い番組である。例えば、第1の番組の解像度が4Kであれば、第2の番組の解像度は2Kである。また、例えば、第1の番組の解像度が8Kであれば、第2の番組の解像度は2K又は4Kである。ただし、第1の番組と第2の番組の解像度の組み合わせは、ここで示したものに限られない。
【0014】
8Kの横の画素数は7680画素であり、縦の画素数は4320画素である。また、4Kの横の画素数は3840画素であり、縦の画素数は2160画素である。また、2Kの横の画素数は1920画素であり、縦の画素数は1080画素である。
【0015】
図1は、放送波の受信について説明する図である。
図1に示すように、車両1は、受信装置10を備える。また、受信装置10は、基地局2から送出される放送波31及び放送波32を受信する。
【0016】
放送波31は、4K放送の放送波である。放送波32は、2K放送の放送波である。このように、放送波31と放送波32とでは互いに方式が異なる。ただし、放送波31と放送波32は、同じ放送局のものであってもよい。
【0017】
例えば、放送波31を基に出力されるコンテンツの映像と、放送波32を基に出力されるコンテンツの映像とでは、内容は同じであるが、解像度が異なる。放送波31を基に出力されるコンテンツの映像は、いわゆる4Kの解像度で出力される。一方、放送波32を基に出力されるコンテンツの映像は、いわゆる2Kの解像度で出力される。
【0018】
なお、放送波31と放送波32は、4K放送の放送波と2K放送の放送波に限られず、方式が異なるものであればよい。
【0019】
受信装置10が車両のような移動体に備えられている場合、放送波の受信品質が変化しやすく、本実施形態の効果が得られやすい。例えば、受信装置10を備えた車両の移動により、受信装置10と基地局との距離が変化することで受信品質が変わる場合がある。また、例えば、建造物が、受信装置10を備えた車両と基地局との間に入り遮蔽されることで受信品質が変わる場合がある。一方で、受信装置10は、移動体に限られず、受信装置10は、建物等に備えられていてもよい。
【0020】
受信装置10は、車両に設置され、同一コンテンツを異なる映像解像度と放送方式で放送する第1の番組と第2の番組の放送波を受信可能である。受信装置10は、第1の番組を視聴中に、第1の番組の受信強度が予め設定された第1の閾値以下になった場合、第2の番組を表示し、その後第1の番組の受信強度が第1の閾値以上である第2の閾値以上になった場合に、第1の番組を表示する。受信装置10は、受信装置10の位置が第1の番組を受信していた放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近である場合には、第1の番組の受信強度が第2の閾値以上となった場合であっても第2の番組の表示を継続する。
【0021】
なお、放送方式とは、放送波の信号の伝送方式、圧縮方式等である。また、受信強度は受信装置10が受信した電波の強度である。
【0022】
また、受信装置10は、受信装置10の位置が第1の番組を受信していた放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近であるか否かを、第1の番組と第2の番組の受信可能な場所を示す地図情報を基に判定する。また、受信装置10は、受信装置10の位置が第1の番組を受信していた放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近であるか否かを判定する方法は、地図情報を利用した方法に限られない。
【0023】
また、受信装置10は、第2の番組が緊急放送を受信している場合には、第1の番組の受信強度が第2の閾値以上となった場合であっても第2の番組の表示を継続する。
【0024】
また、受信装置10は、第2の番組を放送中に第1の番組の受信系に不具合発生した場合は、第1の番組の受信強度が第2の閾値以上となった場合であっても第2の番組の表示を継続する。
【0025】
また、表示装置が放送波を表示することは、受信装置10が放送波に基づくコンテンツ(テレビ番組等)を表示部に表示させることと同意であるものとする。
【0026】
放送波31と放送波32は、同一内容の複数の放送波の一例である。また、表示部は、ディスプレイとスピーカを備えた、いわゆるテレビジョン装置である。表示部は、4K及び2Kの解像度で映像を表示できるものとする。
【0027】
すなわち、受信装置10は、放送局から送出される4Kテレビジョン放送の電波である放送波31と、放送局から送出される2Kテレビジョン放送の電波である放送波32と、のいずれかに基づくコンテンツを表示部に表示させる。
【0028】
このように、受信装置10は、表示部に画像を表示させることにより、表示装置として機能する。受信装置10は、カーナビゲーションシステムの一部であってもよい。
【0029】
また、受信装置10は、複数の放送波の受信品質を監視する。例えば、受信品質は、電波である放送波のS/N比(又はC/N比)及び受信強度等に基づいて決定される。受信装置10は、コンテンツが表示中であっても表示中でなくても、放送波の監視を行うことができる。
【0030】
受信装置10は、表示部が放送波31に基づくコンテンツ(4K放送)を表示中であって、放送波31の受信品質(例えば、受信強度)が第1の閾値以下になった場合、表示部が表示するコンテンツを、放送波32に基づくコンテンツ(2K放送)に切り替える。
【0031】
受信装置10は、表示部が放送波32に基づくコンテンツ(2K放送)を表示中であって、放送波31の受信品質(例えば、受信強度)が第2の閾値を超えた場合、表示部が表示するコンテンツを、放送波31に基づくコンテンツ(4K放送)に切り替える。ただし、第2の閾値は、第1の閾値以上である。
【0032】
これにより、受信装置10は、4K放送と2K放送のうち好みの放送方式(この場合は4K放送)を優先して表示することができる。
【0033】
図2に、受信品質が受信強度によって示される場合の受信装置10の動作の例を示す。
図2は、放送波の受信品質に応じた動作を説明する図である。
【0034】
図2に示すように、受信装置10は、表示している放送波31の受信強度が第1の閾値以下になった場合であって、放送波32の受信強度が予め設定された第1の閾値以上の場合に、放送波32に切り替えて表示する。一方、受信装置10は、表示している放送波31の受信強度が第1の閾値以下になった場合であって、放送波32の受信強度が予め設定された第1の閾値以下の場合に、警告、または、表示を消す。また、受信装置10は、放送波32を表示中に、放送波31の受信強度が第2の閾値以上になった場合に、放送波31に切り替えて表示する。
【0035】
図3は、放送波の受信品質に応じた動作を説明するフローチャートである。ここでは、優先される放送波として4K放送の放送波がユーザによって選択されているものとする。
図3に示すように、受信装置10は、まず表示中の放送波が放送波31(4K放送)であるか、放送波32(2K放送)であるかによって処理を分岐させる(ステップS51)。
【0036】
受信装置10は、表示中の放送波が4K放送であって(ステップS51、4K放送)、4K放送の受信強度が第1の閾値以下(ステップS52、Yes)、かつ2K放送の受信強度が第1の閾値以上(ステップS53、Yes)である場合、2K放送の放送波に切り替えてステップS51に戻る(ステップS54)。ステップS52でNo、又はステップS53でNoの場合、受信装置10は、放送波を切り替えずにステップS51に戻る。
【0037】
受信装置10は、表示中の放送波が2K放送であって(ステップS51、2K放送)、4K放送の受信強度が第2の閾値以上(ステップS55、Yes)である場合、受信装置10は、受信装置10の位置が4K放送を受信していた放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近であるか否かを判定する(ステップS56)。受信装置10は、地
図DB134から取得した情報を基に、受信装置10の位置が4K放送を受信していた放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近であるか否かを判定する。
【0038】
受信装置10は、ステップS56でNoの場合、4K放送の放送波に切り替えてステップS51に戻る(ステップS57)。ステップS56でYesの場合、受信装置10は、放送波を切り替えずにステップS51に戻る。
【0039】
受信装置10は、表示中の放送波が2K放送であって(ステップS51、2K放送)、4K放送の受信強度が第2の閾値以上でなく(ステップS55、No)、かつ4K放送の受信強度が第1の閾値以下(ステップS58、Yes)であり、かつ2K放送の受信強度が第1の閾値以下(ステップS59、Yes)である場合、警告、または表示を消してステップS51に戻る(ステップS60)。ステップS58でNo、又はステップS59でNoの場合、受信装置10は、引き続き表示を続け、ステップS51に戻る。
【0040】
図4を用いて、受信装置10の構成を説明する。
図4は、実施形態に係る受信装置の構成の一例を示す図である。
【0041】
図4に示すように、受信装置10は、受信部11、表示部12、記憶部13及び制御部14を有する。
【0042】
受信部11は、放送波を受信する。受信部11は、複数のアンテナを備える。受信部11は、複数のアンテナの一部を使ってコンテンツを表示するための放送波を受信し、残りを使って受信品質を監視する対象の放送波を受信することができる。
【0043】
表示部12は、
図1で説明した通り、ディスプレイとスピーカを備えた、いわゆるテレビジョン装置である。表示部12は、4K及び2Kの解像度で映像を表示できるものとする。
【0044】
記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子によって実現される。
【0045】
記憶部13は、4K放送DB131、2K放送DB132、嗜好DB133、及び地
図DB134を含む。
【0046】
図5に示すように、4K放送DB131、2K放送DB132は、各放送のチャンネルリストを記憶する。
図5は、チャンネルリストの一例を示す図である。4K放送DB131及び2K放送DB132は、放送波を受信する際に利用される。
【0047】
図5の例では、4K放送のチャンネルリストに、29CH、34CHが含まれることが示されている。また、
図5の例では、2K放送のチャンネルリストに、13CH、22CHが含まれることが示されている。
【0048】
また、4K放送DB131及び2K放送DB132には、各チャンネルには、放送局及び対応する周波数のリストが対応付けられて記憶されている。
【0049】
4K放送DB131及び2K放送DB132には、受信装置10が製品として出荷される際に、デフォルトのチャンネルリストが内蔵されていてもよい。また、受信装置10は、周波数リスト等に変更が生じた場合、放送波として受信した変更後のデータを基に、4K放送DB131及び2K放送DB132を更新することができる。
【0050】
特に、2K放送に対応する4K放送のチャンネルは、適宜追加されていくことが考えられる。このため、4K放送DB131を最新の状態に保つことは、ユーザの満足度の向上に寄与すると考えられる。
【0051】
図6に示すように、嗜好DB133には、ユーザごとの放送波の嗜好に関するが記憶される。
図6は、嗜好DBの一例を示す図である。嗜好DB133は、後に説明する学習処理に利用される。
【0052】
図6に示すように、嗜好DB133には、「ユーザID」、「エリア」、「時間帯」、「種別」、「4K/2K視聴比率」、「4K→2K切り替え回数/日」、「2K→4K切り替え回数/日」という項目が含まれる。嗜好DB133に含まれる項目は、
図6に示すものに限られない。
【0053】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための情報である。ユーザは、例えば車両1の乗員である。
【0054】
「エリア」、「時間帯」及び「種別」は、それぞれユーザコンテンツを視聴していたエリア、ユーザがコンテンツを視聴していた時間帯及びユーザが視聴していたコンテンツの種別である。なお、ユーザがコンテンツを視聴することは、受信装置10がコンテンツを表示することと同等の意味であるものとする。
【0055】
「4K/2K視聴比率」は、ユーザが4K放送を視聴していた時間と、2K放送を視聴していた時間の比率を示す情報である。「4K/2K視聴比率」は、ユーザが2K放送を視聴していた時間に対する、ユーザが4K放送を視聴していた時間の割合で表される。
【0056】
「4K→2K切り替え回数/日」は、ユーザが4K放送から2K放送へ手動で切り替えを行った回数である。また、「2K→4K切り替え回数/日」は、ユーザが2K放送から4K放送へ手動で切り替えを行った回数である。回数は、例えばある期間における1日当たりの平均で表される。
【0057】
図6の例では、ユーザIDが「U101」であるユーザが、「関東」エリアにおいて、「12:00-15:00」の時間帯に、種別が「ドラマ」であるコンテンツを視聴したことが示されている。さらに、その際の、「4K/2K視聴比率」が「1.2」であり、「4K→2K切り替え回数/日」が「2」であり、「2K→4K切り替え回数/日」が「0」であることが示されている。
【0058】
地
図DB134には、放送局が送出する4K放送の放送波を受信可能な範囲を示す地図情報が記憶される。受信装置10は、受信装置10の現在位置と地図情報を比較することで、受信装置10が4K放送の放送波を受信可能な範囲の境界にあるか否かを判定することができる。
【0059】
図4に戻り、制御部14は、監視部141と、切り替え部142と、表示制御部143と、学習部144と、を備える。制御部14は、コントローラの一例である。
【0060】
制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、ハードディスクドライブ、入出力ポート等を有するコンピュータ及び各種の回路を含む。制御部14は、複数のコンピュータを含んでもよい。
【0061】
コンピュータのCPUは、例えばROM等の記憶デバイスに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部14の監視部141、切り替え部142、表示制御部143、学習部144として機能する。
【0062】
制御部14の一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0063】
監視部141は、複数のアンテナのうちの1つである第1のアンテナを使って、表示部12が表示中のコンテンツに対応する放送波と異なる放送波の受信品質を監視する。受信部11は、複数のアンテナのうちの第1のアンテナ以外のアンテナを使って、表示部12が表示中のコンテンツに対応する放送波を受信する。
【0064】
これにより、表示中のコンテンツへの影響を抑えつつ監視を行うことができる。
【0065】
切り替え部142は、表示部12が放送波31に基づくコンテンツを表示中であって、放送波31の受信品質が閾値以下になった場合、表示部が表示するコンテンツを、放送波32に基づくコンテンツに切り替える。
【0066】
切り替え部142は、表示部12が放送波32に基づくコンテンツを表示中であって、放送波31の受信品質が閾値を超えた場合、表示部12が表示するコンテンツを、放送波31に基づくコンテンツに切り替える。
【0067】
なお、表示制御部143は、切り替え部142による切り替えの制御に従ってコンテンツを表示部12に表示させる。
【0068】
図7を用いて、受信装置10の動作を説明する。
図7は、受信するコンテンツの切り替えについて説明する図である。また、ここではアンテナの数は4本であるものとする。
【0069】
図7の左側に示すように、表示部12は、4K放送(放送波31に基づくコンテンツ)を表示しているものとする。
【0070】
このとき、表示制御部143は、3本のアンテナで受信した放送波31に基づき4K放送を表示させる。また、監視部141は、コンテンツの表示に使用されていない残りの1本のアンテナを使い、2K放送のチャンネル(放送波32)の受信品質を監視する。なお、監視部141は、4K放送の受信状態により、放送波31の監視を行うことができる。
【0071】
切り替え部142は、監視部141の監視結果が、放送波31の受信品質が閾値以下になったことを示している場合(
図7の4K品質劣化)、表示部12が表示するコンテンツを、放送波32に基づくコンテンツ(2K放送)に切り替える。
【0072】
続いて、
図7の右側に示すように、表示部12は、2K放送(放送波32に基づくコンテンツ)を表示しているものとする。
【0073】
このとき、表示制御部143は、3本のアンテナで受信した放送波32に基づき2K放送を表示させる。また、監視部141は、コンテンツの表示に使用されていない残りの1本のアンテナを使い、4K放送のチャンネル(放送波31)の受信品質を監視する。なお、監視部141は、2K放送の受信状態により、放送波32の監視を行うことができる。
【0074】
切り替え部142は、監視部141の監視結果が、放送波31の受信品質が閾値を超えたことを示している場合(
図7の4K品質改善)、表示部12が表示するコンテンツを、放送波31に基づくコンテンツ(4K放送)に切り替える。
【0075】
また、切り替え部142は、コンテンツの切り替えの際に、音声のタイミングを合わせることで、ユーザに違和感を生じさせないようにすることができる。
【0076】
(確認メッセージの表示)
また、表示制御部143は、表示部12が表示するコンテンツを切り替える際に、表示部12に、コンテンツを切り替えることを示すメッセージを出力させることができる。
【0077】
図8は、メッセージの一例を示す図である。
図8の例では、表示部12に、「4K放送の電波が弱くなっています。2K放送に切り替えますか?」というメッセージが表示される。さらに、表示部12は、所定のボタン、タッチパネル又は音声入力等により、ユーザから切り替えの可否を示す入力を受け付ける。なお、受信装置10は、音声によりメッセージを出力してもよい。
【0078】
切り替え部142は、ユーザが2K放送への切り替えを許可しなかった場合、4K放送の放送波31の受信品質が閾値以下であったとしても、2K放送への切り替えを行わない。すなわち、切り替え部142は、4K放送の放送波31の受信品質が閾値以下になった場合であって、ユーザが2K放送への切り替えを許可した場合のみ、2K放送への切り替えを行う。
【0079】
なお、表示制御部143は、初回のみ確認のメッセージを表示するようにしてもよい。例えば、表示制御部143は、2K放送への切り替えの可否をユーザが1度選択した場合、同じ日(又は一定の期間)には、
図8のメッセージを表示しない。そして、切り替え部142は、ユーザが最後に行った選択に従って切り替えの制御を行う。
【0080】
このように、ユーザの意向をコンテンツの切り替え制御に反映させることで、ユーザビリティが向上する。
【0081】
(切り替えモードの選択)
さらに、表示制御部143は、放送波31に基づくコンテンツを表示するか、放送波32に基づくコンテンツを表示するか、又は放送波31に基づくコンテンツと放送波32に基づくコンテンツのいずれかを自動的に切り替えるか、をユーザが選択可能なインタフェースを表示部12に表示させる。
【0082】
切り替え部142は、インタフェースにおいて、放送波31に基づくコンテンツと放送波32に基づくコンテンツのいずれかを自動的に切り替えることが選択された場合、表示部12が表示するコンテンツの切り替えを行う。
【0083】
また、切り替え部142は、インタフェースにおいて、放送波31に基づくコンテンツを表示すること、又は放送波32に基づくコンテンツを表示することが選択された場合、表示することが選択されたコンテンツを、表示部12に常に表示させる。
【0084】
図9は、放送波の制御方法を選択するインタフェースの一例を示す図である。
図9に示すように、表示制御部143は、選択肢として「4K放送のみ」、「2K放送のみ」、「Auto」を表示部12に表示させる。
【0085】
「4K放送のみ」及び「2K放送のみ」は、4K放送又は2K放送のいずれかのみが表示され、通り切り替え部142による切り替えが行われないモードである。
【0086】
「Auto」は、通り切り替え部142がコンテンツを切り替えるモードである。
【0087】
図9に示すインタフェースは、設定メニュー等でユーザによって指定された場合に表示されるものであってもよいし、その日に初めて受信装置10が起動された場合に表示されるものであってもよい。
【0088】
このように、ユーザの意向をコンテンツの切り替え制御に反映させることで、ユーザビリティが向上する。
【0089】
(ユーザの嗜好の学習)
学習部144は、ユーザごとの、放送波31及び放送波32のそれぞれの好みの度合いを学習する。
【0090】
そして、切り替え部142は、好みの度合いが大きい放送波に基づくコンテンツが優先して表示されるように、表示部12が表示するコンテンツの切り替えを制御する。
【0091】
学習部144は、
図6で説明した嗜好DB133に、ユーザごとの各項目値(パラメータ)を記録していくことにより学習を行う。なお、学習部144は、受信装置10を利用するユーザが入力するIDによってユーザを識別してもよいし、顔認識等の手段によりユーザを識別してもよい。
【0092】
学習部144は、ユーザごとの、放送波31に基づくコンテンツを表示した時間と、放送波32に基づくコンテンツを表示した時間との割合に基づき、好みの度合いを学習する。また、学習部144は、ユーザごとの、放送波31に基づくコンテンツと放送波32に基づくコンテンツとの間のユーザの操作に基づく切り替えの発生回数に基づき、好みの度合いを学習する。
【0093】
学習部144は、
図6の「4K/2K視聴比率」、「4K→2K切り替え回数/日」、「2K→4K切り替え回数/日」といった項目の値が大きいほど、当該ユーザの4K放送の好みの度合いが大きいとみなすことができる。
【0094】
また、学習部144は、好みの度合いを、コンテンツが提供されるエリア、コンテンツが表示される時間帯、及びコンテンツの種別の少なくともいずれかの条件に対応付けて学習する。切り替え部142は、条件に合致するコンテンツであって、好みの度合いが大きい放送波に基づくコンテンツが優先して表示されるように、表示部12が表示するコンテンツの切り替えを制御する。
【0095】
学習部144は、
図6の「エリア」、「時間帯」、「種別」といった項目の値を条件とみなすことができる。
【0096】
例えば、ユーザIDが「U101」であるユーザが、「関東」エリアにおいて、「12:00-15:00」の時間帯に、種別が「ドラマ」であるコンテンツを視聴している場合、当該レコードの「4K/2K視聴比率」、「4K→2K切り替え回数/日」、「2K→4K切り替え回数/日」が好みの度合いに相当する。
【0097】
これにより、ユーザの4K放送及び2K放送の好み、ユーザの視聴環境(エリア、時間帯)、及びユーザが視聴するコンテンツの種別に応じて最適なコンテンツを提供することができる。
【0098】
例えば、ユーザが、ドラマ、スポーツ等の映像が重視される番組については高画質の4K放送を所望し、ニュース、天気予報等の情報が重視される番組については2K放送を許容することが考えられる。
【0099】
また、学習部144及び切り替え部142は、
図6の嗜好DB133の値をそのまま好みの度合いとして利用するだけでなく、各値を基に計算された指標を好みの度合いとして利用することができる。
【0100】
その場合、学習部144は、嗜好DB133の各項目の値を説明変数として、好みの度合いを目的変数として表示するディープラーニング等の機械学習モデルの学習を行う。切り替え部142は、学習済みの機械学習モデルを利用して、ユーザごとの4K放送及び2K放送の好みの度合いを得ることができる。
【0101】
図10を用いて、受信装置10の処理の流れを説明する。
図10は、実施形態に係る受信装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0102】
図10に示すように、まず、受信装置10は、表示中のコンテンツが4K放送であるか2K放送であるかを確認する(ステップS101)。なお、受信装置10は、ステップS101の処理を、一定時間ごと(例えば1分ごと)に行うようにしてもよい。
【0103】
表示中のコンテンツが4K放送である場合(ステップS101、4K放送)、受信装置10は、4K受信品質が劣化しているか否かを判定する(ステップS102)。受信装置10は、監視部141の監視結果を基に、4K受信品質を判定する。
【0104】
4K受信品質が劣化している場合(ステップS102、Yes)、受信装置10は、2K放送への切り替え可否を確認する(ステップS103)。例えば、受信装置10は、
図8のような画面により確認を行う。
【0105】
ユーザが切り替えを許可した場合(ステップS104、Yes)、受信装置10は、2K放送への切り替えを行う(ステップS105)。その後、受信装置10は、ステップS101に戻る。
【0106】
また、4K受信品質が劣化していない場合(S102、No)、及びユーザが切り替えを許可しなかった場合(ステップS104、No)は、受信装置10は、ステップS101に戻る。
【0107】
表示中のコンテンツが2K放送である場合(ステップS101、2K放送)、受信装置10は、4K受信品質が改善したか否かを判定する(ステップS106)。受信装置10は、監視部141の監視結果を基に、4K受信品質を判定する。
【0108】
4K受信品質が改善している場合(ステップS106、Yes)、受信装置10は、4K放送への切り替え可否を確認する(ステップS107)。例えば、受信装置10は、
図8のような画面により確認を行う。
【0109】
ユーザが切り替えを許可した場合(ステップS108、Yes)、受信装置10は、4K放送への切り替えを行う(ステップS109)。その後、受信装置10は、ステップS101に戻る。
【0110】
また、4K受信品質が改善していない場合(S106、No)、及びユーザが切り替えを許可しなかった場合(ステップS108、No)は、受信装置10は、ステップS101に戻る。
【0111】
なお、
図10における受信品質の判定及び、切り替え時の動作の具体例は、
図3で説明した通りである。
【0112】
これまで説明してきたように、実施形態の受信装置10は、車両に設置され、同一コンテンツを異なる映像解像度と放送方式で放送する第1の番組と第2の番組の放送波を受信可能である。受信装置10は、第1の番組を視聴中に、第1の番組の受信強度が予め設定された第1の閾値以下になった場合、第2の番組を表示し、その後第1の番組の受信強度が第1の閾値以上である第2の閾値以上になった場合に、第1の番組を表示する。受信装置10は、受信装置10の位置が第1の番組を受信していた放送局の放送波の受信可能範囲の境界付近である場合には、第1の番組の受信強度が第2の閾値以上となった場合であっても第2の番組の表示を継続する。
【0113】
これにより、解像度と放送方式の異なる同一内容番組(コンテンツ)の放送を放送波の受信状態に応じて切り替え表示する場合に、状況においてより適切な放送の表示を選択することができる。
【0114】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 車両
10 受信装置
11 受信部
12 表示部
13 記憶部
14 制御部
31、32 放送波
131 4K放送DB
132 2K放送DB
133 嗜好DB
141 監視部
142 切り替え部
143 表示制御部
144 学習部