(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095250
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】コンクリート打継ぎ方法及びウォータージェット処理装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20240703BHJP
E01C 3/02 20060101ALI20240703BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E04G21/02 103A
E01C3/02
B26F3/00 R
B26F3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212396
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】尾口 佳丈
(72)【発明者】
【氏名】桝本 恵太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 廣直
(72)【発明者】
【氏名】紙本 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 了
(72)【発明者】
【氏名】渕先 弘一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 啓助
(72)【発明者】
【氏名】宇津野 修
【テーマコード(参考)】
2D051
2E172
3C060
【Fターム(参考)】
2D051CA02
2E172AA05
2E172DD07
3C060AA14
3C060CE08
3C060CE23
3C060CE28
(57)【要約】
【課題】打継される新旧コンクリートの一体性を向上するコンクリート打継ぎ方法及びウォータージェット処理装置を提供する。
【解決手段】コンクリート打継ぎ方法は、硬化した後の旧コンクリートであるフーチング1に新コンクリートを打継ぐコンクリート打継ぎ方法であって、フーチング1の打継面1aにウォータージェットによる表面処理を施す第1処理工程と、第1処理工程の後、打継面1aにウォータージェットにより直線状の溝31を所定の間隔をあけて平行に複数形成する第2処理工程と、第2処理工程後の打継面1aに接する新コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化した後の旧コンクリートに新コンクリートを打継ぐコンクリート打継ぎ方法であって、
前記旧コンクリートの打継面にウォータージェットによる表面処理を施す第1処理工程と、
前記第1処理工程の後、前記打継面にウォータージェットにより直線状の溝を所定の間隔をあけて平行に複数形成する第2処理工程と、
前記第2処理工程後の前記打継面に接する前記新コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備えるコンクリート打継ぎ方法。
【請求項2】
前記第1処理工程では、ウォータージェットノズルを有しノズル移動装置に着脱可能に取付けられる第1のノズル部品が前記ノズル移動装置によって前記打継面に沿って移動され、
前記第2処理工程では、前記第1のノズル部品が第2のノズル部品に交換され、当該第2のノズル部品が前記ノズル移動装置によって前記打継面に沿って移動される、請求項1に記載のコンクリート打継ぎ方法。
【請求項3】
前記2処理工程は、
前記ノズル移動装置によって前記第2のノズル部品が前記溝の形成方向に直線的に移動される直線移動処理を含み、
前記第2のノズル部品は、前記直線移動処理における移動方向に交差する方向に並ぶ複数のウォータージェットノズルを有している、請求項2に記載のコンクリート打継ぎ方法。
【請求項4】
前記溝は、鉛直成分を含む方向に延在する、請求項1~3の何れか1項に記載のコンクリート打継ぎ方法。
【請求項5】
旧コンクリートに新コンクリートを打継ぐときに前記旧コンクリートの打継面にウォータージェットによる処理を施すウォータージェット処理装置であって、
前記ウォータージェットを噴射するウォータージェットノズルと、
前記ウォータージェットノズルを有するノズル部品が着脱可能に取付けられ、当該ウォータージェットノズルを前記打継面に沿って二次元的に移動させるノズル移動装置と、を備え、
前記ノズル部品は複数のウォータージェットノズルを有している、ウォータージェット処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打継ぎ方法及びウォータージェット処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載のコンクリート打継ぎ方法が知られている。このコンクリート打継ぎ方法では、旧コンクリートの打継面にディスクグラインダー等の工具で平行な溝が形成される。このように凹凸が形成された打継面に接するように新コンクリートが打設されることで、新旧のコンクリートの一体化を図ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、旧コンクリートの打継面を機械的な工具で目荒しすると、旧コンクリートの表面には目に見えない大きさのマイクロクラックが発生することが知られている。このようなマイクロクラックは新旧コンクリートの一体性を低下させる要因になり得る。この課題に鑑み、本発明は、打継される新旧コンクリートの一体性を向上するコンクリート打継ぎ方法及びウォータージェット処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は以下の通りである。
【0006】
〔1〕硬化した後の旧コンクリートに新コンクリートを打継ぐコンクリート打継ぎ方法であって、前記旧コンクリートの打継面にウォータージェットによる表面処理を施す第1処理工程と、前記第1処理工程の後、前記打継面にウォータージェットにより直線状の溝を所定の間隔をあけて平行に複数形成する第2処理工程と、前記第2処理工程後の前記打継面に接する前記新コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備えるコンクリート打継ぎ方法。
【0007】
〔2〕前記第1処理工程では、ウォータージェットノズルを有しノズル移動装置に着脱可能に取付けられる第1のノズル部品が前記ノズル移動装置によって前記打継面に沿って移動され、前記第2処理工程では、前記第1のノズル部品が第2のノズル部品に交換され、当該第2のノズル部品が前記ノズル移動装置によって前記打継面に沿って移動される、〔1〕に記載のコンクリート打継ぎ方法。
【0008】
〔3〕前記2処理工程は、前記ノズル移動装置によって前記第2のノズル部品が前記溝の形成方向に直線的に移動される直線移動処理を含み、前記第2のノズル部品は、前記直線移動処理における移動方向に交差する方向に並ぶ複数のウォータージェットノズルを有している、〔2〕に記載のコンクリート打継ぎ方法。
【0009】
〔4〕前記溝は、鉛直成分を含む方向に延在する、〔1〕~〔3〕の何れか1項に記載のコンクリート打継ぎ方法。
【0010】
〔5〕旧コンクリートに新コンクリートを打継ぐときに前記旧コンクリートの打継面にウォータージェットによる処理を施すウォータージェット処理装置であって、前記ウォータージェットを噴射するウォータージェットノズルと、前記ウォータージェットノズルを有するノズル部品が着脱可能に取付けられ、当該ウォータージェットノズルを前記打継面に沿って二次元的に移動させるノズル移動装置と、を備え、前記ノズル部品は複数のウォータージェットノズルを有している、ウォータージェット処理装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、打継される新旧コンクリートの一体性を向上するコンクリート打継ぎ方法及びウォータージェット処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態のコンクリート打継ぎ方法が適用されるフーチングを示す斜視図である。
【
図2】本実施形態のコンクリート打継ぎ方法の第1及び第2処理工程を示す斜視図である。
【
図3】(a)は第1処理工程で使用されるノズル部品を示す図であり、(b)は第2処理工程で使用されるノズル部品を示す図である。
【
図4】(a)は、第2処理工程後の打継面を示す正面図であり、(b)は、この打継面を拡大して模式的に示す断面図である。
【
図5】(a)は、道路床版同士の拡幅工事後の状態を示す断面図であり、(b)は、その拡幅工事における第1及び第2処理工程後の道路床版を下方から見上げた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明に係るコンクリート打継ぎ方法及びウォータージェット処理装置の実施形態について詳細に説明する。本実施形態のコンクリート打継ぎ方法は、
図1に示されるように、道路橋の既設のフーチング1,2の拡幅工事に適用される。フーチング1,2は既設のものであるので、当然ながら完全に硬化したコンクリート躯体である。この拡幅工事では、橋軸直角方向に並ぶフーチング1,2同士を繋ぐように新設のコンクリート躯体3が構築される。各図面では、橋軸方向を矢印A、橋軸直角方向を矢印Wで表す。
【0014】
このような既設のフーチング1と新設のコンクリート躯体3との打継ぎ、及び既設のフーチング2と新設のコンクリート躯体3との打継ぎに、本実施形態のコンクリート打継ぎ方法が適用される。フーチング1の打継面1a及びフーチング2の打継面2aは鉛直面をなしている。また、このコンクリート打継ぎ方法に、本実施形態のウォータージェット処理装置が使用される。
【0015】
本実施形態のコンクリート打継ぎ方法は、打継面1a,2aの目荒し処理に関する第1及び処理工程と、コンクリート打設工程と、を備えるものである。以下、各工程について説明する。
【0016】
(第1処理工程)
まず、第1処理工程では、
図2に示されるようにウォータージェット処理装置10が準備される。ウォータージェット処理装置10は、ウォータージェットにより打継面1aの目荒し処理を行なうための装置である。ウォータージェット処理装置10は、ウォータージェットを噴射するノズル部品11と、ノズル部品11を打継面1aに沿って二次元的に移動させるノズル移動装置13と、を備えている。ノズル部品11は、
図3(a)に示されるように、ウォータージェットノズル11aを備え、ウォータージェットノズル11aはウォータージェットJの噴射口11bを有している。ノズル部品11は給水口11cを通じて外部から給水を受け、ウォータージェットノズル11aの先端の噴射口11bからウォータージェットJを噴射し打継面1aに衝突させるものである。
図2に示されるように、更にウォータージェット処理装置10は、水槽15の水を加圧してノズル部品11に送出する超高圧ポンプ17と、ノズル移動装置13の動作を制御する制御装置19と、を備えている。
【0017】
この第1処理工程では、ウォータージェット処理装置10のノズル移動装置13が打継面1a上に設置される。ノズル移動装置13はノズル保持部21を備えている。ノズル保持部21には、ノズル部品11が着脱可能に取付けられ、ウォータージェットJの噴射方向が打継面1aに垂直に向けられる。更にノズル移動装置13は、打継面1aに沿って水平に延びノズル保持部21が搭載された水平レール23と、水平レール23の両端を保持し鉛直に延びる一対の鉛直レール25,25と、を備えている。鉛直レール25,25は打継面1a上に固定される。
【0018】
制御装置19の制御下でノズル移動装置13が駆動されたとき、ノズル保持部21は水平レール23上を移動可能であり、水平レール23は鉛直レール25,25上を平行移動可能である。このようなノズル移動装置13により、ウォータージェットノズル11aは打継面1aに沿って二次元的に移動可能である。なお、ウォータージェットノズル11aの可動範囲は、鉛直レール25,25の長さ及び水平レール23の長さによって制限される。
【0019】
上記のようにノズル移動装置13が設置された後、打継面1aには、ウォータージェットJによる表面処理が施される。具体的には、ウォータージェットノズル11aが、ウォータージェットJを噴射しながら、制御装置19の制御下で可動範囲全体を満遍なく移動する。打継面1a上でウォータージェットが衝突した箇所では、コンクリートが削り取られ凹凸が生じる。例えば、ウォータージェットノズル11aが可動範囲の上端から下端まで(または下端から上端まで)鉛直に直線的に移動した後、ウォータージェットノズル11aが所定の移動ピッチで左に(または右に)に水平移動する、といったことが繰り返される。この表面処理では、上記可動範囲内における打継面1a全体が等方的に満遍なく目荒しされる。このような等方的な均等な目荒しが適切に行なわれるために、ノズル保持部21に対しウォータージェットノズル11aが円錐状に回転してもよいし、ウォータージェットノズル11aが揺動してもよい。更に、ノズル部品11への給水流量・給水圧力、噴射口11bの口径、スタンドオフ距離、ノズル部品11の鉛直方向の移動速度、ノズル部品11の水平方向の移動ピッチ、等が調整されてもよい。以上のようにして、第1処理工程では、ウォータージェットJによる表面処理が打継面1aに施される。なお、打継面2aに施される表面処理も同様であるので、重複する説明を省略する。
【0020】
(第2処理工程)
第2処理工程では、上記の第1処理工程の後、打継面1a上に設置されているノズル移動装置13はそのまま残置され、ノズル保持部21のノズル部品11(第1のノズル部品)が、
図3(b)に示されるノズル部品12(第2のノズル部品)に交換される。ノズル部品12は、ノズル保持部21に取付けられる1つの給水口12cと、給水口12cの下流側で分岐された複数の(図の例では5個の)ウォータージェットノズル12aと、を備えている。各ウォータージェットノズル12aは、その先端に噴射口12bを有している。ノズル部品12がノズル保持部21に取付けられた状態では、複数のウォータージェットノズル12a及び噴射口12bは水平方向に並び、その配列ピッチは例えば100mmである。このノズル部品12は、各噴射口12bから1本ずつ、複数のウォータージェットJ2を噴出することができる。
【0021】
この状態で、ノズル部品12が、各噴射口12bを通じて複数本のウォータージェットJ2を噴射しながら、制御装置19の制御下で可動範囲全体を満遍なく移動する。例えば、ノズル部品12が可動範囲の上端から下端まで(または下端から上端まで)鉛直に直線的に移動した後(直線移動処理)、ノズル部品12が、所定の移動ピッチで左に(または右に)に水平移動する、といったことが繰り返される。なお、上記の水平移動の移動ピッチは、噴射口12bの数と配列ピッチとの積である。また、ここでは、ウォータージェットノズル12aはノズル保持部21に固定され、ノズル保持部21に対して回転したり揺動したりしないようにしてもよい。
【0022】
このような第2処理工程では、上記可動範囲内における打継面1aに対し、
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、ウォータージェットJ2による直線状の溝31が平行に多数形成される。なお、
図4(b)は溝31の近傍の断面をあくまで模式的に示すものであり、実際の溝31は、
図4(b)のような明瞭な輪郭の溝になるとは限らない。溝31は鉛直方向に延在し、溝31同士の間隔は噴射口12bの配列ピッチに等しい。このような溝31が適切に形成されるために、ノズル部品12によるウォータージェットJ2のエネルギー分布が各噴射口12bの正面の位置に特に偏る仕様になっていてもよい。また、ノズル部品12への給水流量・給水圧力、噴射口12bの口径、スタンドオフ距離、ノズル部品12の鉛直方向の移動速度、噴射口12bの配列ピッチ、等が調整されてもよい。
【0023】
例えば本発明者らの試験によれば、一例として、口径0.024inchの2穴の噴射口をもつウォータージェットノズルを使用して、給水流量17L/分、給水圧力200MPa、スタンドオフ距離200mm、コンクリート表面に対するノズルの移動速度約0.5m/Sの条件でウォータージェットによる表面処理を施せば、硬化した後のコンクリートの表面に溝を形成可能であることが判った。
【0024】
以上のようにして、第2処理工程では、打継面1aに対してウォータージェットJ2による直線状の溝31が所定の等間隔をあけて平行に複数形成される。打継面2aに施される処理も同様であるので、重複する説明を省略する。なお、第2処理工程では、上記のように複数の噴射口12bを有するノズル部品12が使用されることは必須ではない。例えば、1個の噴射口12bを有するノズル部品12を用いて、ノズル部品12の水平方向の移動ピッチを適切に調整して溝31が形成されるようにしてもよい。
【0025】
上述のような第1処理工程と、第2処理工程と、が各々の打継面1a,2a上でノズル移動装置13を盛り替えながら繰り返されることで、
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、打継面1a全体に第1及び第2処理工程による目荒しが施される。なお、例えば、打継面1a,2aの水平方向の端部に対して第1及び第2処理工程が実行される場合には、打継面1a,2aの端部から外方にはみ出す位置に一方の鉛直レール25を配置する必要がある。このような位置に鉛直レール25を配置できるように、フーチング1,2には、打継面1a,2aの端部から外方にはみ出すように、鉛直レール25を取付けるためのブラケット等が設置されてもよい。これにより、打継面1a,2aの端部まで第1及び第2処理工程の目荒しを施すことができ、
図4(a)に示されるように、溝31は、打継面1a,2a上の全体に亘って形成される。
【0026】
(コンクリート打設工程)
上記のような第1及び第2処理工程の後、コンクリート型枠(図示せず)が設置され、
図1に示されるように、処理後の打継面1a,2aに接する新コンクリートがフーチング1,2同士の間のスペースに打設され、新設のコンクリート躯体3が構築される。
【0027】
以上説明したような本実施形態のコンクリート打継ぎ方法及びウォータージェット処理装置による作用効果について説明する。
【0028】
本実施形態のコンクリート打継ぎ方法では、コンクリート打設工程の前に、第1及び第2処理工程において、打継面1a,2aの目荒しが行なわれる。この目荒しは、ウォータージェットJ,J2によるものであるので、例えば、機械的なチッピングで目荒しを行なう手法に比較して、打継面1a,2aに発生するマイクロクラックが抑制される。従って、マイクロクラックに起因する新旧コンクリートの一体性の低下が抑えられ、その結果、既設のフーチング1,2と新設のコンクリート躯体3との一体性が向上する。
【0029】
また、第2処理工程において、打継面1a,2aに溝31が形成されるので、当該溝31の存在により、既設のフーチング1,2と新設のコンクリート躯体3との一体性が向上する。また、第2処理工程の前に、第1処理工程において打継面1a,2a全体が等方的に満遍なく目荒しされるので、溝31と溝31との間の中間部分32(
図4(b))にも目荒しが施されている。従って、溝31の部分のみならず、中間部分32においても新旧コンクリートの一体性が確保される。
【0030】
また、第1処理工程と第2処理工程とでは、同じノズル移動装置13が使用される。従って、第1処理工程から第2処理工程に移行する際には、ノズル部品11,12を交換するだけで済み、第1及び第2処理工程を効率よく実行することができる。
【0031】
また、第2処理工程では、複数の噴射口12bを有するノズル部品12が使用されれば、一度で複数の溝31が形成され、第2処理工程を効率よく実行することができる。
【0032】
また、打継面1a,2aに形成される溝31は鉛直方向に延びるものである。このように、打継面1a,2aに形成される溝31が鉛直成分を含む方向に延在する場合、コンクリート打設工程においては、打継面1a,2aの位置においてコンクリート中の気泡が溝31に引っ掛からずに上方に抜けやすい。その結果、打継面1a,2aの溝31内にもコンクリートが良好に充填される。
【0033】
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、下記の変形例を構成することも可能である。各実施形態等の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0034】
本実施形態のコンクリート打継ぎ方法は、例えば、フーチング1,2にそれぞれ支持される道路床版51,52の拡幅工事にも適用されてもよい。道路床版51,52は既設のものであるので、当然ながら完全に硬化したコンクリート躯体である。
図5(a)に示されるように、この拡幅工事では、橋軸直角方向に並ぶ道路床版51,52同士を繋ぐように新設のコンクリート躯体53が構築される。道路床版51の下面は湾曲しており、道路床版52側に近づくに従って高くなる形状をなしている。この道路床版51の下面のうち、道路床版52に近い側の端部が、コンクリート躯体53に接する打継面51aである。道路床版52は道路床版51と対称の形状をなしている。すなわち、道路床版52の下面は、道路床版51と同様に湾曲しており、道路床版51側に近づくに従って高くなる形状をなしている。この道路床版52の下面のうち、道路床版51に近い側の端部が、コンクリート躯体53に接する打継面52aである。
【0035】
打継面51a,52aには、それぞれ、前述と同様に、ノズル移動装置13が取付けられ、ウォータージェット処理装置10によって第1処理工程と第2処理工程が実行される。これにより、
図5(b)に示されるように、打継面51a,52aには、橋軸方向に所定の等間隔をあけて、平行に並ぶ多数の直線状の溝31が形成される。その後、コンクリート型枠(図示せず)が設置され、打継面51a,52aに接するように新コンクリートが打設され新設のコンクリート躯体53が構築される(コンクリート打設工程)。なお、このコンクリート躯体53を支持するために、道路床版51,52同士の間には、コンクリート躯体3(
図1)から上方に延びる脚部54が別途構築される。
【0036】
打継面51aに形成される溝31の延在方向は、橋軸直角方向成分と鉛直成分とを有しており、当該溝31は、道路床版52側に近づくに従って高くなっている。同様に、打継面52aに形成される溝31の延在方向は、橋軸直角方向成分と鉛直成分とを有しており、当該溝31は、道路床版51側に近づくに従って高くなっている。この構成によれば、コンクリート打設工程においては、打継面51a,52aの位置においてコンクリート中の気泡が溝31に引っ掛からずに溝31の延在方向に移動して上方に抜けやすい。その結果、打継面51a,52aの溝31内にもコンクリートが良好に充填される。
【符号の説明】
【0037】
1,2…フーチング(旧コンクリート)、3…コンクリート躯体(新コンクリート)、1a,2a…打継面、10…ウォータージェット処理装置、11…ノズル部品(第1のノズル部品)、11a,12a…ウォータージェットノズル、11b,12b…噴射口、13…ノズル移動装置、J,J2…ウォータージェット、31…溝、51,52…道路床版(旧コンクリート)、51a,52a…打継面、53…コンクリート躯体(新コンクリート)。