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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095252
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電動車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20240703BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20240703BHJP
   B60Q 1/44 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H05B47/105
B60L7/14
B60Q1/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212401
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 和男
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
5H125
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA30
3K273RA08
3K273SA24
3K273SA40
3K273SA46
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA52
3K273TA62
3K273TA70
3K273UA27
3K273UA29
3K339AA22
3K339AA29
3K339BA22
3K339BA30
3K339CA13
3K339CA30
3K339EA09
3K339FA10
3K339GB21
3K339GB26
3K339JA21
3K339JA22
3K339KA27
3K339MA10
3K339MC41
3K339MC48
3K339MC52
3K339MC53
3K339MC56
3K339MC77
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125CB02
5H125CD03
5H125EE09
5H125EE41
(57)【要約】
【課題】ドライバに違和感を抱かせることなく、ドライバ自身の意図するタイミングで制動灯を点灯または消灯させること。
【解決手段】ハイブリッドシステム10のECU31(電動車両の制御装置)は、制動灯を点灯するためのモータの回生による制動力の点灯閾値と、制動灯を消灯するための前記制動力の消灯閾値と、を含む複数の閾値情報を記憶する記憶部と、複数の閾値情報の中から、ユーザにより閾値情報の選択を受け付ける入力部と、選択された閾値情報を、記憶部に設定する設定部と、記憶部に設定された閾値情報の前記点灯閾値に基づいて制動灯の点灯制御を行い、記憶部に設定された閾値情報の前記消灯閾値に基づいて前記制動灯の消灯制御を行う制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制動灯を点灯するためのモータの回生による制動力の点灯閾値と、前記制動灯を消灯するための前記制動力の消灯閾値と、を含む複数の閾値情報を記憶する記憶部と、
前記複数の閾値情報の中から、ユーザにより前記閾値情報の選択を受け付ける入力部と、
選択された前記閾値情報を、前記記憶部に設定する設定部と、
前記記憶部に設定された前記閾値情報の前記点灯閾値に基づいて前記制動灯の点灯制御を行い、前記記憶部に設定された前記閾値情報の前記消灯閾値に基づいて前記制動灯の消灯制御を行う制御部と、
を備える、
電動車両の制御装置。
【請求項2】
前記入力部は、前記モータが前記回生を行っている場合には、前記複数の閾値情報の中からユーザにより前記閾値情報の選択があっても前記選択を受け付けず、前記モータが前記回生を行わなくなった場合に、前記複数の閾値情報の中からユーザにより前記閾値情報の選択があった場合に前記選択を受け付け、
前記設定部は、前記閾値情報の選択を受け付けた場合に、直ちに、選択された前記閾値情報を前記記憶部に設定する、
請求項1に記載の電動車両の制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記入力部が、前記モータが前記回生を行っている場合において、前記複数の閾値情報の中からユーザにより前記閾値情報の選択を受け付けた場合でも、前記モータが前記回生を行わなくなってから、選択された前記閾値情報を、前記記憶部に設定する、
請求項1に記載の電動車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクセルが閉じた際に駆動モータに生じる回生トルク等の制動力を用いて車両を減速させる制御が行われる電動車両において、制動力が所定の値を超えたときに制動灯を点灯または消灯する制御が行われる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ドライバが、制動灯を自身の意図するタイミングで点灯または消灯させるため、メータに表示された制動灯の点灯状態を参照しながらアクセルの開閉を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-139282号公報
【特許文献2】特開2022-109066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された車両の制御装置にあっては、制動灯を点灯または消灯させるためにアクセルの開閉を調整するが、アクセルの調整による車両の減速がドライバの求める減速と一致せず、ドライバが運転に違和感を覚える場合がある。
【0006】
本発明の目的は、ドライバに違和感を抱かせることなく、ドライバ自身の意図するタイミングで制動灯を点灯及び消灯させることが可能な電動車両の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明にかかる電動車両の制御装置は、制動灯を点灯するためのモータの回生による制動力の点灯閾値と、制動灯を消灯するための制動力の消灯閾値と、を含む複数の閾値情報を記憶する記憶部と、複数の閾値情報の中から、ユーザにより閾値情報の選択を受け付ける入力部と、選択された閾値情報を、記憶部に設定する設定部と、記憶部に設定された閾値情報の点灯閾値に基づいて制動灯の点灯制御を行い、記憶部に設定された閾値情報の消灯閾値に基づいて制動灯の消灯制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、ドライバは違和感を覚えることなく、自身の意図するタイミングで制動灯を点灯または消灯させることができる。
【0009】
また、本発明にかかる電動車両の制御装置において、入力部は、モータが回生を行っている場合には、複数の閾値情報の中からユーザにより閾値情報の選択があっても選択を受け付けず、モータが回生を行わなくなった場合に、複数の閾値情報の中からユーザにより閾値情報の選択があった場合に当該選択を受け付ける。そして、設定部は、閾値情報の選択を受け付け場合に、直ちに、選択された閾値情報を記憶部に設定する。
【0010】
この構成によれば、ドライバの意図に反して制動灯が点灯及び消灯することが回避されるため、ドライバは、後続車に余計なストレスを与えることなく運転することができる。
【0011】
また、本発明にかかる電動車両の制御装置において、設定部は、入力部が、モータが回生を行っている場合において、複数の閾値情報の中からユーザにより閾値情報の選択を受け付けた場合でも、モータが回生を行わなくなってから、選択された閾値情報を記憶部に設定する。
【0012】
この構成によれば、ドライバは、閾値情報の選択を、任意のタイミングで行うことができる。
【0013】
また、本発明にかかる電動車両の制御装置において、入力部は、電動車両の車速が所定速度より大きい場合に、複数の閾値情報の中からユーザにより閾値情報の選択があっても選択を受け付けず、電動車両の車速が所定速度以下になった場合に、複数の閾値情報の中からユーザにより閾値情報の選択を受け付ける。そして、設定部は、閾値情報の選択を受け付け場合に、直ちに、選択された閾値情報を記憶部に設定する。
【0014】
この構成によれば、ドライバは、車速が所定以下になるまで閾値情報の選択ができないため、例えば高速走行中の脇見運転等が防止される。また、車速が所定以下に抑えられているため、ドライバの意図に反して制動灯が点灯及び消灯した場合でも後続車が急激に接近する可能性が低減される。結果として、ドライバの安全が確保される。
【0015】
また、本発明にかかる電動車両の制御装置において、設定部は、入力部が、電動車両の車速が所定速度より大きい場合において、複数の閾値情報の中からユーザにより閾値情報の選択を受け付けた場合でも、電動車両の車速が所定速度以下になってから、選択された閾値情報を、記憶部に設定する。
【0016】
この構成によれば、車速が所定以下に抑えられているため、ドライバの意図に反して制動灯が点灯及び消灯した場合でも後続車が急激に接近する可能性が低減される。結果として、ドライバの安全が確保される。
【0017】
また、本発明にかかる電動車両の制御装置において、複数の閾値情報の消灯閾値は同一の値である。
【0018】
この構成によれば、ドライバの意図に反して制動灯が点灯または消灯することが低減される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ドライバに違和感を抱かせることなく、ドライバ自身の意図するタイミングで制動灯を点灯または消灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置の表示部の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置が行う設定変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置が行う点灯/消灯処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、変形例1にかかるハイブリッド車両の制御装置が行う設定変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、ハイブリッド車両の制御装置の動作の一例を示すタイムチャートである。
図8図8は、変形例2にかかるハイブリッド車両の制御装置が行う設定変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9図9は、ハイブリッド車両の制御装置の動作の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
(実施形態)
図1を用いて、本発明の実施形態のハイブリッド車両1の制御装置を説明する。図1は、実施形態にかかるハイブリッド車両1の制御装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
(ハイブリッド車両1の制御装置の全体構成)
ハイブリッド車両1は、シリーズ方式のハイブリッドシステム10を搭載している。ハイブリッドシステム10は、エンジン11と、発電モータ(MG1)12と、駆動モータ(MG2)13と、バッテリ14と、PCU(Power Control Unit:パワーコントロールユニット)15とを備える。なお、ハイブリッド車両1は、電動車両の一例である。
【0024】
駆動モータ13は、例えば、永久磁石同期モータである。駆動モータ13の回転軸は、ハイブリッド車両1の駆動系に連結されている。ハイブリッド車両1の減速時には、駆動モータ13が回生運転されて、駆動輪から駆動モータ13に伝達される動力が交流電力に変換される。このとき、駆動モータ13が走行駆動系の抵抗となり、この抵抗によりハイブリッド車両1が減速される。
【0025】
PCU15は、駆動モータ13等の駆動を制御するためのユニットである。
【0026】
ハイブリッド車両1には、複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が搭載されている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、マイコンには、例えば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。複数のECUは、ハイブリッドシステム10の各構成要素を互いに接続する車内ネットワーク50、いわゆるCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。各ECUには、制御に必要な各種センサが接続されており、その接続されたセンサの検出信号が入力される。また、各ECUには、各種センサから入力される検出信号以外に制御に必要な情報が他のECUから入力される。
【0027】
図1には、複数のECUのうち、ハイブリッドシステム10を制御するECU31が示されている。なお、ECU31は、本開示におけるハイブリッド車両1の制御装置の一例である。ECU31には、アクセルセンサ32と、車速センサ33と、表示部34と、が接続されている。
【0028】
アクセルセンサ32は、ユーザとしてのドライバ(運転者)等により足踏み操作される図示せぬアクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力する。車速センサ33は、ハイブリッド車両1の走行に伴って発生するパルス信号を検出信号として出力する。
【0029】
表示部34は、タッチ入力可能な入力表示デバイスである。表示部34は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、または、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)等の表示装置である。表示部34は、ハイブリッド車両1の車室内のドライバ等が視認可能な位置に配置される。表示部34は、制動灯40の点灯状態等を表示する画面を出力する。
【0030】
(ハイブリッド車両1の制御装置の機能構成)
次に、図2を用いて、ECU31の機能構成について説明する。図2は、実施形態にかかるハイブリッド車両1の制御装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0031】
ECU31は、CPUによって、当該ECU31を動作させる制御プログラムをROMから読み出して実行することによって、図2に示す記憶部41と、入力部42と、設定部43と、トルク算出部44と、判定部45と、制御部46と、表示制御部47と、を機能部として実現する。
【0032】
記憶部41は、複数の閾値情報THを記憶する。閾値情報THには、制動灯40を点灯させるための回生トルクTの閾値である点灯閾値と、制動灯40を消灯させるための回生トルクTの閾値である消灯閾値とが含まれる。本実施形態において、回生トルクTの消灯閾値は点灯閾値よりも小さい値を有している。また、複数の閾値情報THのそれぞれに含まれる点灯閾値及び消灯閾値は、互いに異なる値を有している。即ち例えば、複数の閾値情報THのうち、閾値情報T1は、点灯閾値T11及び消灯閾値T12を含み、閾値情報T2は、閾値情報T1の点灯閾値T11よりも小さな点灯閾値T21及び閾値情報T1の消灯閾値T12よりも小さな消灯閾値T22を含んでいてもよい。このように、記憶部41は互いに値の異なる点灯閾値及び消灯閾値を含んだ閾値情報THを予め記憶している。
【0033】
入力部42は、タッチ式の表示部34からのドライバ等の利用者からのタッチ入力を受け付け可能となっている。具体的には、入力部42は、表示部34で後述する図3の画面に表示された複数の閾値情報THの中からドライバ等による閾値情報THの選択をタッチ入力で受け付ける。例えば、ドライバ等が、表示部34を操作することによって任意の閾値情報THを選択すると、入力部42は、当該閾値情報THの選択を受け付ける。なお、入力はタッチ式で入力されることに限定されるものではない。
【0034】
具体的には、入力部42は、後述する判定部45において駆動モータ13が回生運転を行っていると判定された場合には、ドライバ等による閾値情報THの選択があっても選択を受け付けない。一方、入力部42は、判定部45において駆動モータ13が回生運転を行わなくなったと判定された場合には、当該選択を受け付ける。
【0035】
設定部43は、選択が受け付けられた閾値情報THを、記憶部41に設定する。具体的には、設定部43は、入力部42において閾値情報THの選択が受け付けられた場合に、直ちに、選択された閾値情報THを記憶部41に設定する。このようにして、ドライバ等によって選択された閾値情報THが、制動灯40を点灯または消灯させるための情報として記憶部41に記憶される。
【0036】
トルク算出部44は、アクセルセンサ32の検出信号から、アクセルペダルの最大操作量に対する現在の操作量の割合であるアクセル開度を算出する。また、トルク算出部44は、車速センサ33の検出信号から、その検出信号(パルス信号)の周波数を算出して、その周波数をハイブリッド車両1の車速Vに換算する。
【0037】
また、トルク算出部44は、算出したアクセル開度と車速Vに基づいて回生トルクTを算出する。具体的には、トルク算出部44は、予め、アクセル開度と車速Vとが入力された際に必要となる回生トルクTを出力するテーブルを記憶している。トルク算出部44は、当該テーブルに基づいて、回生トルクTを算出する。
【0038】
また、トルク算出部44は、算出した回生トルクTを発生させるように、PCU15に対して指示を与える。そして、PCU15は、与えられた指示を駆動モータ13に与える。駆動モータ13においてこのような回生トルクTが発生することによりハイブリッド車両1は減速する。
【0039】
判定部45は、駆動モータ13が回生運転を行っているか否かを判定する。即ち、判定部45は、算出された回生トルクTがゼロであるか否かを判定する。即ち、回生トルクTがゼロである場合には、判定部45は、駆動モータ13が回生運転を行っていないと判定し、回生トルクTがゼロでない場合には、判定部45は、駆動モータ13が回生運転を行っていると判定する。
【0040】
また、判定部45は、ハイブリッド車両1の車速Vが所定の閾値である車速Vaか否かを判定する。
【0041】
また、判定部45は、算出された回生トルクTと、設定された閾値情報THとに基づいて、回生トルクTが閾値情報THに含まれる点灯閾値及び消灯閾値を超えているか否かを判定する。具体的には、判定部45は、回生トルクTが、設定された閾値情報THに含まれる点灯閾値以上であるかを判定する。また、判定部45は、算出された回生トルクTが、設定された閾値情報THに含まれる消灯閾値以下であるかを判定する。
【0042】
制御部46は、判定結果に基づいて、制動灯40を点灯及び消灯させる制御を行う。具体的には、制御部46は、回生トルクTが、所定の点灯閾値以上であると判定された場合には、制動灯40を点灯させる制御を行う。これにより、後続車両のドライバに対して、ハイブリッド車両1が減速することが報知される。
【0043】
また、制御部46は、回生トルクTが、所定の消灯閾値以下であると判定された場合には、制動灯40を消灯させる制御を行う。これにより、後続車両のドライバに対して、例えばハイブリッド車両1が減速を緩めることが報知される。なお本実施形態において、回生トルクTが消灯閾値より大きく点灯閾値より小さい場合には、制動灯40の点灯は任意とする。
【0044】
表示制御部47は、制動灯40の点灯状態を表示部34に表示させる制御を行う。ここで図3を用いて、表示部34の表示画面について説明する。図3は、実施形態にかかるハイブリッド車両1の制御装置の表示部34の一例を示す図である。
【0045】
図3に示す例は、制御部46において、制動灯40を点灯させる制御が行われている場合を想定したものである。表示部34の表示領域341には、制動灯40が点灯状態であることを示す「制動灯の点灯状態「点灯」」と表示されている。
【0046】
また、表示制御部47は、設定された閾値情報THを表示部34に表示させる制御を行う。図3に示す例は、設定部43において、閾値情報T2が設定されている場合を想定したものである。表示部34の表示領域342には、閾値情報T2が設定されていることを示す「現在の設定「T2:標準」」と表示されている。これによりドライバは、現在設定されている閾値情報THを一目で認識できるため、焦り等を感じることなく運転を継続することができる。
【0047】
また、表示制御部47は、ドライバ等により選択可能な閾値情報THを表示部34に表示させる制御を行う。図3に示す例は、閾値情報THとして例えば、閾値情報T1~T3が記憶部41に記憶されている場合を想定したものである。この場合、表示部34の入力領域343には、閾値情報T1~T3のそれぞれと対応づけられた選択ボタン34a~34cが表示される。例えば、ドライバ等により選択ボタン34cがタッチされると、選択ボタン34cに対応づけられた閾値情報T3の選択が入力部42において受け付けられる。
【0048】
このようにして、表示部34には、現在設定されている閾値情報THと、ドライバ等により選択可能な複数の閾値情報THとが併せて表示されるため、ドライバ等は、現在設定されている閾値情報THを認識したうえで、次に設定したい閾値情報THを選択する操作を行うことができる。
【0049】
(ハイブリッド車両1の制御装置が行う処理の流れ)
次に、図4及び図5を用いて、ECU31が行う処理の流れについて説明する。ECU31は、ドライバ等により選択が受け付けられた閾値情報THを設定するための設定変更処理と、設定された閾値情報THに基づいて制動灯40を点灯及び消灯させる制御を行うための点灯/消灯処理と、を実行する。
【0050】
まず図4を用いて、設定変更処理の流れについて説明する。図4は、実施形態にかかるハイブリッド車両1の制御装置が行う設定変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
表示制御部47は、ドライバ等により選択可能な閾値情報THを、図3の画面に示すように、表示部34に表示する制御を行う(ステップS11)。
【0052】
トルク算出部44は、アクセル開度及び車速Vを取得する(ステップS12)。また、トルク算出部44は、アクセル開度及び車速Vに基づいて、必要な回生トルクTを算出する(ステップS13)。
【0053】
判定部45は、算出された回生トルクTがゼロか否かを判定する(ステップS14)。回生トルクTがゼロであると判定されると(ステップS14:Yes)、処理はステップS15に進む。一方、回生トルクTがゼロであると判定されないと(ステップS14:No)、処理はステップS12に戻る。従って、回生トルクTがゼロでない間は、ドライバ等が図3の画面で閾値情報THを選択しても、その選択は受け付けられない。
【0054】
ステップS14において、回生トルクTがゼロであると判定されると、入力部42は、ドライバ等による閾値情報THの選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS15)。ドライバ等による選択が受け付けられたと判定されると(ステップS15:Yes)、処理はステップS16に進む。一方、ドライバ等による選択が受け付けられたと判定されないと(ステップS15:No)、処理はステップS15に戻る。
【0055】
ステップS15において、ドライバ等による閾値情報THの選択が受け付けられたと判定されると、設定部43は、選択された閾値情報THを直ちに記憶部41に設定し(ステップS16)、設定変更処理は終了する。
【0056】
次に図5を用いて、点灯/消灯処理の流れについて説明する。図5は、実施形態にかかるハイブリッド車両1の制御装置が行う点灯/消灯処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0057】
トルク算出部44は、アクセル開度及び車速Vを取得する(ステップS17)。また、トルク算出部44は、アクセル開度及び車速Vに基づいて、必要な回生トルクTを算出する(ステップS18)。
【0058】
制御部46は、制動灯40が現在点灯状態か否かを判定する(ステップS19)。制動灯40が点灯していると判定されると(ステップS19:Yes)、処理はステップS22へ進む。一方、制動灯40が点灯していると判定されないと(ステップS19:No)、処理はステップS20へ進む。
【0059】
ステップS19において、制動灯40が点灯状態であると判定されると、判定部45は、算出された回生トルクTが、設定された閾値情報THの点灯閾値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。回生トルクTが、点灯閾値以上であると判定されると(ステップS22:Yes)、制御部46は、引き続き制動灯40を点灯させる制御を実行し(ステップS23)、点灯/消灯処理を終了する。一方で、回生トルクTが、設定された閾値情報THの点灯閾値以上であると判定されないと(ステップS22:No)、制御部46は、制動灯40を消灯させる制御を実行し(ステップS21)、点灯/消灯処理を終了する。
【0060】
またステップS19において、制動灯40が点灯状態であると判定されないと、判定部45は、算出された回生トルクTが、設定された閾値情報THの消灯閾値以下であるか否かを判定する(ステップS20)。回生トルクTが、消灯閾値以下であると判定されると(ステップS20:Yes)、制御部46は、制動灯40を消灯させる制御を実行し(ステップS21)、点灯/消灯処理を終了する。
【0061】
一方、回生トルクTが、設定された閾値情報THの消灯閾値以下であると判定されないと(ステップS20:No)、制御部46は、制動灯40を点灯させる制御を実行し(ステップS23)、点灯/消灯処理を終了する。
【0062】
(ハイブリッド車両1の制御装置が行う動作の一例)
次に、図7を用いて、実施形態のECU31が行う動作の一例について説明する。図7は、ハイブリッド車両1の制御装置の動作の一例を示すタイムチャートである。図7の横軸は時刻tを表す。また、図7の各グラフの縦軸は、時刻tにおける回生トルクTと、記憶部41に設定されている閾値情報THと、制動灯40の点灯状態と、減速度aと、を表す。なお、図7は、各量の時間変化の要点を簡略的に描画したものであって、実際の時間変化とは異なる部分もある。
【0063】
なお、図7のうち、時刻to~時刻tdにおける動作が、実施形態のECU31が行う動作の一例に相当する。
【0064】
時刻toにおいて、記憶部41には閾値情報T2が設定されているものとする。そして、時刻taにおいて、ドライバ等が、複数の閾値情報THの中から閾値情報T1を選択する場合を想定する。なお時刻taにおいて、回生トルクTは発生しておらず、また制動灯40は消灯している。
【0065】
時刻taにおいて、判定部45は、回生トルクTがゼロであると判定する。ドライバ等の操作による閾値情報T1の選択が入力部42によって受け付けられると、設定部43は、選択された閾値情報T1を直ちに記憶部41に設定する。これにより、閾値情報T2から閾値情報T1へと設定が変更される。
【0066】
時刻tbにおいて、図示せぬアクセルペダルが開放され、回生トルクTが発生し始める。即ち、ハイブリッド車両1は減速を開始する。
【0067】
時刻tdにおいて、判定部45は、回生トルクTが、閾値情報T1の点灯閾値T11以上になったと判定する。制御部46は、制動灯40を点灯させる制御を行う。
【0068】
なお、この後も閾値情報T1が記憶部41に設定され続けた場合、時刻tfにおいて、判定部45は、回生トルクTが、閾値情報T1の消灯閾値T12以下になったと判定する。制御部46は、制動灯40を消灯させる制御を行う。
【0069】
(作用効果)
以上説明したように、実施形態にかかるハイブリッドシステム10のECU31には、回生トルクTの点灯閾値と、消灯閾値とが含まれる複数の閾値情報THが予め記憶されている。これらの閾値情報THの中から、ドライバ等が任意の閾値情報THを選択すると、選択された閾値情報THが制動灯40の点灯及び消灯のために設定される。これにより、ドライバ等は、制動灯40を点灯及び消灯させるタイミングを自身の意図に合わせて変更することができる。
【0070】
具体的には例えば、下り坂が多い場所を走行するとき等、早めに制動灯40を点灯させて後続車に知らせたい場合がある。このような場合、ドライバ等は、値の小さな点灯閾値が含まれる閾値情報THを選択する。これにより、発生する回生トルクTが小さくても容易に点灯閾値を超えるため、早いタイミングで制動灯40を点灯させることができる。
【0071】
また例えば、静かな住宅街等を走行するとき等、制動灯40の点灯及び消灯を頻繁に行いたくない場合がある。このような場合、ドライバ等は、値の大きな点灯閾値及び消灯閾値が含まれる閾値情報THを選択する。これにより、発生する回生トルクTが大きくなったタイミングで点灯閾値以上、または消灯閾値以下となるため、制動灯40の点灯及び消灯を遅らせることができる。
【0072】
また例えば、乗車人数や積載量が多いとき等には、同じ回生トルクTが作用した場合でもハイブリッド車両1が減速され難い場合がある。このような場合、減速していないにも関わらず制動灯40が点灯してしまう場合がある。そのため、ドライバ等は、値の大きな点灯閾値が含まれる閾値情報THを選択する。これにより、発生する回生トルクTが大きくなったタイミングで点灯閾値以上となるため、制動灯40の点灯を遅らせることができる。
【0073】
このように、ドライバ等は、表示部34をタップ等して任意の閾値情報THを選択するだけで、制動灯40の点灯及び消灯タイミングを早めたり遅くしたりできる。このようにして、ドライバは違和感を抱くことなく運転を継続することができる。
【0074】
また、実施形態にかかるハイブリッドシステム10のECU31は、回生トルクTがゼロになった場合に、ドライバ等による閾値情報THの選択を受け付けて、受け付けた閾値情報THを制動灯40の点灯及び消灯のために設定する。言い換えれば、ECU31(即ち、入力部42)は、回生トルクTがゼロにならない限り、ドライバ等が閾値情報THの選択を入力しても、当該選択を受け付けない。
【0075】
これにより、ハイブリッド車両1の減速中に点灯閾値及び消灯閾値が変更されなくなるため、例えば減速度aが一定であるにも関わらず、消灯閾値が変更されることによって制動灯40が意図に反して消灯してしまうといった事態が回避される。結果として例えば、減速が緩められたものと勘違いした後続車が接近すること等が回避されるため、ドライバ等の安全が確保される。また「減速度要求が下がる場合に消灯してもよい」という法規からの逸脱を回避できる。
【0076】
また例えば、減速度aが一定であるにも関わらず、点灯閾値が変更されることによって制動灯40が意図に反して点灯してしまうといった事態が回避される。結果として、制動灯40の頻繁な点灯が低減されるため、後続車に余計なストレスを与えることを回避できる。
【0077】
(変形例1)
次に、図6を用いて、実施形態の変形例1のECU31について説明する。変形例1のECU31においては、回生トルクTがゼロでない場合であっても、ドライバ等により閾値情報THの選択があった場合には当該選択を受け付ける点が、上述の実施形態と異なる。なお、変形例1において、上述の実施形態と共通する部分については説明を適宜省略する。
【0078】
変形例1の入力部42は、駆動モータ13が回生運転を行っていると判定された場合であっても、閾値情報THの選択を受け付ける。即ち、変形例1の入力部42は、回生トルクTがゼロでない場合でも、ドライバ等による閾値情報THの選択を受け付ける。
【0079】
変形例1の設定部43は、駆動モータ13が回生運転を行っていると判定された場合には、選択が受け付けられた閾値情報THを記憶部41に設定せず、駆動モータ13が回生運転を行わなくなったと判定された場合に、当該閾値情報THを記憶部41に設定する。
【0080】
(ハイブリッド車両1の制御装置が行う処理の流れ)
図6は、変形例1にかかるハイブリッド車両1の制御装置が行う設定変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図6のステップS31の処理は、図4のステップS11に相当する処理である。
【0081】
入力部42は、ドライバ等による閾値情報THの選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS32)。このとき、入力部42は、回生トルクTがゼロでない場合であっても、閾値情報THの選択を受け付ける。ドライバ等による選択が受け付けられたと判定されると(ステップS32:Yes)、処理はステップS33に進む。一方、選択が受け付けられたと判定されない場合(ステップS32:No)、処理はステップS32に戻る。
【0082】
ステップS32において、ドライバ等による閾値情報THの選択が受け付けられたと判定されると、トルク算出部44は、アクセル開度及び車速Vを取得する(ステップS33)。また、トルク算出部44は、アクセル開度及び車速Vに基づいて、回生トルクTを算出する(ステップS34)。
【0083】
判定部45は、算出された回生トルクTがゼロか否かを判定する(ステップS35)。回生トルクTがゼロであると判定されると(ステップS35:Yes)、処理はステップS36に進む。一方、回生トルクTがゼロであると判定されないと(ステップS35:No)、処理はステップS33に戻る。従って、回生トルクTがゼロでない間は、選択が受け付けられても、閾値情報THは設定されない。
【0084】
ステップS35において、回生トルクTがゼロであると判定されると、設定部43は、ステップS32で選択が受け付けられた閾値情報THを記憶部41に設定し(ステップS36)、設定変更処理は終了する。
【0085】
なお、変形例1においても、図5の点灯/消灯処理に相当する処理が実行される。
【0086】
(ハイブリッド車両1の制御装置が行う動作の一例)
変形例1のECU31が行う動作の一例について説明する。なお、図7のうち、時刻te~時刻tgにおける動作が、変形例1のECU31が行う動作の一例に相当する。
【0087】
時刻teにおいて、記憶部41には閾値情報T1が設定されているものとする。そして時刻teにおいて、ドライバ等が、複数の閾値情報THの中から閾値情報T3を選択する場合を想定する。なお時刻teにおいては、回生トルクTが発生しており、制動灯40は点灯している。
【0088】
時刻teにおいて、入力部42は、ドライバ等の操作による閾値情報T3の選択を受け付ける。
【0089】
時刻tfにおいて、判定部45は、回生トルクTが、閾値情報T1の消灯閾値T12以下であると判定する。制御部46は、制動灯40を消灯させる制御を行う。
【0090】
時刻tgにおいて、判定部45は、回生トルクTがゼロであると判定する。設定部43は、受け付けられていた閾値情報T3を記憶部41に設定する。これにより、閾値情報T1から閾値情報T3へと設定が変更される。
【0091】
(作用効果)
以上説明したように、変形例1のハイブリッドシステム10のECU31は、回生トルクTがゼロでない場合にドライバ等による閾値情報THの選択を受け付けた場合でも、回生トルクTがゼロになってから、受け付けた閾値情報THを制動灯40の点灯制御及び消灯制御のために設定する。言い換えれば、ECU31(即ち、入力部42)は、回生トルクTがゼロでない場合も、ドライバ等からの選択入力を受け付けるが、ECU31(即ち、設定部43)は、回生トルクTがゼロにならない限り、ドライバ等の操作により受け付けられた閾値情報THを設定しない。
【0092】
これにより、ドライバ等は、ハイブリッド車両1が回生運転をしているしていないに関わらず任意のタイミングで表示部34を操作し、次に設定したい閾値情報THを選択することができる。また、その他、上述の実施形態のハイブリッドシステム10のECU31と同様の効果を奏することができる。
【0093】
(変形例2)
次に、図8を用いて、実施形態の変形例2のECU31について説明する。変形例2のECU31においては、ハイブリッド車両1の車速Vが所定の車速Va以下である場合に、ドライバ等の操作による閾値情報THの選択を受け付けるという点が、上述の実施形態とは異なる。なお、変形例2において、上述の実施形態と共通する部分については説明を適宜省略する。
【0094】
変形例2の入力部42は、ハイブリッド車両1の車速Vが、車速Vaより大きいと判定された場合には、ドライバ等による閾値情報THの選択があっても選択を受け付けず、車速Vが、車速Va以下であると判定された場合に、当該選択を受け付ける。なお、車速Vが車速Va以下である場合には、車速が0の場合、すなわちハイブリッド車両1が停止している場合も含まれる。
【0095】
(ハイブリッド車両1の制御装置が行う処理の流れ)
図8は、変形例2にかかるハイブリッド車両1の制御装置が行う設定変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図8のステップS41の処理は、図4のステップS11に相当する処理である。
【0096】
トルク算出部44は、車速Vを取得する(ステップS42)。
【0097】
判定部45は、取得された車速Vが所定の閾値である車速Va以下であるか否かを判定する(ステップS43)。車速Vが車速Va以下であると判定されると(ステップS43:Yes)、処理はステップS44へ進み、図4のステップS15以降に相当する処理を行う。一方、車速Vが車速Va以下であると判定しない(ステップS43:No)と、処理はステップS42に戻る。従って、車速Vが閾値である車速Vaより大きい間は、ドライバ等が図3の画面で閾値情報THを選択しても、その選択は受け付けられない。
【0098】
以上のようにして設定変更処理は終了する。なお、車速Vaはゼロであってもよい。
【0099】
なお、変形例2においても、図5の点灯/消灯処理に相当する処理が実行される。
【0100】
(ハイブリッド車両1の制御装置が行う動作の一例)
ここで図9を用いて、変形例2のECU31が行う動作の一例について説明する。図9は、ハイブリッド車両1の制御装置の動作の一例を示すタイムチャートである。図9の横軸は時刻tを表す。そして、図9の各グラフの縦軸は、時刻tにおける車速Vと、記憶部41に設定されている閾値情報THと、を示す。なお、図9は、各量の時間変化の要点を簡略的に描画したものであって、実際の時間変化とは異なる部分もある。
【0101】
なお、図9のうち、時刻to~時刻thにおける動作が、変形例2のECU31が行う動作に相当する。
【0102】
時刻toにおいて、記憶部41には閾値情報T2が設定されているものとする。そして、時刻thにおいて、ドライバ等が、複数の閾値情報THの中から閾値情報T1を選択する場合を想定する。なお時刻thにおいて、車速Vは車速Va以下である。
【0103】
時刻thにおいて、判定部45は、車速Vが車速Va以下であると判定する。入力部42が、ドライバ等の操作による閾値情報T1の選択を受け付けると、設定部43は、選択された閾値情報T1を直ちに記憶部41に設定する。これにより、閾値情報T2から閾値情報T1へと設定が変更される。
【0104】
(作用効果)
以上説明したように、変形例2にかかるハイブリッドシステム10のECU31は、車速Vが所定の車速Va以下になった場合に、ドライバ等による閾値情報THの選択を受け付けて、選択された閾値情報THを制動灯40の点灯及び消灯のために設定する。言い換えれば、ECU31(即ち、入力部42)は、車速Vが車速Va以下にならない限り、ドライバ等が閾値情報THの選択を入力しても、当該選択を受け付けない。
【0105】
これにより、ドライバ等は、車速Vが所定以下になるまで表示部34を操作することができないため、高速走行中における脇見運転等が防止される。
【0106】
また、車速Vが所定以下に抑えられているため、例えば、走行中に消灯閾値が変更されることによって制動灯40が意図に反して消灯した場合でも、後続車が急激に接近する可能性が低減されるため、ドライバ等の安全を確保できる。
【0107】
(変形例3)
次に、実施形態の変形例3のECU31について説明する。変形例3のECU31は、上述の変形例2の変形例であって、車速Vが車速Va以下でない場合であっても、ドライバ等により閾値情報THの選択があった場合には当該選択が受け付ける点が、上述の変形例2と異なる。なお、変形例3において、上述の変形例2と共通する部分については説明を適宜省略する。
【0108】
変形例3の入力部42は、ハイブリッド車両1の車速Vが、車速Vaより大きいと判定された場合であっても、閾値情報THの選択を受け付ける。即ち、変形例3の入力部42は、車速Vが、車速Va以下でない場合でも、ドライバ等による閾値情報THの選択を受け付ける。
【0109】
変形例3の設定部43は、車速Vが、車速Vaより大きいと判定された場合には、選択が受け付けられた閾値情報THを記憶部41に設定せず、車速Vが、車速Va以下になったと判定された場合に、当該閾値情報THを記憶部41に設定する。
【0110】
(ハイブリッド車両1の制御装置が行う処理の流れ)
変形例3にかかるハイブリッド車両1の制御装置において設定変更処理が行われる際には、入力部42は、ドライバ等による閾値情報THの選択を受け付けたか否かを判定する。このとき、入力部42は、車速Vが車速Va以下でない場合であっても、閾値情報THの選択を受け付ける。ドライバ等による選択が受け付けられたと判定されるとトルク算出部44は、車速Vを取得する。
【0111】
判定部45において、車速Vが車速Va以下であると判定されると、設定部43は、選択された閾値情報THを記憶部41に設定し、設定変更処理は終了する。なお、車速Vaはゼロであってもよい。
【0112】
なお、変形例3においても、図5の点灯/消灯処理に相当する処理が実行される。
【0113】
(ハイブリッド車両1の制御装置が行う動作の一例)
ここで図9を用いて、変形例3のECU31が行う動作の一例について説明する。なお、図9のうち、時刻ti~時刻tjにおける動作が、変形例3のECU31が行う動作に相当する。
【0114】
時刻tiにおいて、記憶部41には閾値情報T1が設定されているものとする。そして、時刻tiにおいて、ドライバ等が、複数の閾値情報THから閾値情報T3を選択する場合を想定する。なお時刻tiにおいて、車速Vは車速Vaを超えているものとする。
【0115】
時刻tiにおいて、入力部42は、ドライバ等の操作による閾値情報T3の選択を受け付ける。
【0116】
時刻tjにおいて、判定部45は、車速Vが、車速Va以下であると判定する。設定部43は、受け付けられていた閾値情報T3を記憶部41に設定する。これにより、閾値情報T1から閾値情報T3へと設定が変更される。
【0117】
(作用効果)
以上説明したように、変形例3のハイブリッドシステム10のECU31は、車速Vが車速Vaを超えている場合にドライバ等による閾値情報THの選択を受け付けた場合でも、車速Vが車速Va以下になってから、受け付けた閾値情報THを制動灯40の点灯制御及び消灯制御のために設定する。言い換えれば、ECU31(即ち、入力部42)は、車速Vが車速Vaより大きい場合でもドライバ等からの選択入力を受け付けるが、ECU31(即ち、設定部43)は、車速Vが車速Va以下にならない限り、ドライバの操作により受け付けられた閾値情報THを設定しない。これにより、上述の変形例2のハイブリッドシステム10のECU31と同様の効果を奏することができる。
【0118】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、上述した実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0119】
例えば、上述の実施形態及び変形例において、複数の閾値情報THのそれぞれに含まれる点灯閾値及び消灯閾値は、互いに異なる値を有していると説明したが、これに限定されない。即ち、複数の閾値情報THにおいて、消灯閾値は同一の値を有していてもよい。このように複数の閾値情報THの消灯閾値を一定にすることで、制動灯40の意図に反する頻繁な点灯または消灯を低減させることができる。
【0120】
また、上述の実施形態及び変形例において、回生トルクTがゼロの場合、及び車速Vが車速Va以下である場合に閾値情報THが記憶部41に設定されると説明したが、これに限定されない。即ち例えば、回生トルクTが、現在設定されている閾値情報THの消灯閾値を下回っている場合、即ち制動灯40が消灯している場合にのみ、選択された閾値情報THが記憶部41に設定される仕様にしてもよい。これによりドライバ等が閾値情報THの設定変更を制限される時間が短縮されるため、ドライバ等のストレスが低減される。なおこのとき、閾値情報THの変更によって消灯している制動灯40が点灯しても許容可としてよい。
【0121】
また例えば、回生トルクTが、ドライバ等により選択可能な閾値情報THのうち最も値の小さな消灯閾値を下回っている場合にのみ、選択された閾値情報THが記憶部41に設定される仕様にしてもよい。これにより例えば、閾値情報THが変更されることによって、意図に反して制動灯40が点灯すること等を回避できる。結果として例えば、回生トルクTが現在設定されている閾値情報THの消灯閾値以下となるまで、点灯している制動灯40が消灯されないといった事態を回避できる。即ち、「減速度要求が下がる場合に消灯してもよい」という法規からの逸脱を回避できる。
【0122】
また、上述の実施形態及び変形例において、駆動モータ13の回生による制動力として、回生トルクTに基づいて制動灯40を点灯及び消灯させる制御を行ったが、これに限定されない。即ち例えば、駆動モータ13の回生による減速度aに基づいて、制動灯40を点灯及び消灯させる制御を行ってもよい。なおこのとき、ECU31には、図示せぬ加速度センサが接続され、加速度センサの検出信号から減速度aが取得されてもよい。
【0123】
また、上述の実施形態及び変形例において、閾値情報THは記憶部41に予め記憶されており、記憶された閾値情報THの中からドライバ等により選択された閾値情報THが設定されると説明したが、これに限定されない。即ち例えば、閾値情報THは、ディーラ等の専用ツールによって設定されてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 ハイブリッド車両
31 ECU(電動車両の制御装置)
32 アクセルセンサ
33 車速センサ
34 表示部
40 制動灯
41 記憶部
42 入力部
43 設定部
44 トルク算出部
45 判定部
46 制御部
47 表示制御部
T 回生トルク
TH 閾値情報
V,Va 車速
a 減速度
t,ta,tb,tc,td,te,tf,tg,th,ti,tj,to 時刻
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9