(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095255
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20240703BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B05B11/00 102B
B05B11/00 102G
B65D47/34 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212406
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA02
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】付勢部材の初期付勢力に起因するノズル部材の上方、かつ前方への変位を抑制し、所望の噴出量を確保できるトリガー式液体噴出器を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様のトリガー式液体噴出器は、噴出器本体と、前方に開口する噴出口が形成されたノズル部材と、を備えている。噴出器本体は、縦供給筒部と、主ポンプ部、及び主ポンプ部との間に配置された付勢部材によって前方付勢状態で後方移動可能に設けられたトリガー部を有するトリガー機構と、を備えている。ノズル部材は、トリガー部を前後動可能に支持する第1支持部と、トリガー部が最前端位置にあるときにトリガー部が後方から当接することで、前トリガー部の前方への移動を規制する第2支持部と、を備えている。トリガー部が最前端位置にあるときの付勢部材の初期付勢力は4.0N以上7.0N以下に設定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方に設けられ、前後方向に沿うノズル軸線上で前方に開口する噴出口が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延び、液体が流通する縦供給筒部と、
前記縦供給筒部を通じて液体を前記噴出口に向けて送り出す主ポンプ部、及び前記主ポンプ部との間に配置された付勢部材によって前方付勢状態で後方移動可能に設けられ、前記主ポンプ部を動作させるトリガー部を有するトリガー機構と、を備え、
前記ノズル部材は、
前記ノズル軸線に対して下方に位置する部分に、前記トリガー部を前後動可能に支持する第1支持部と、
前記トリガー部が最前端位置にあるときに前記トリガー部が後方から当接することで、前記トリガー部の前方への移動を規制する第2支持部と、を備え、
前記トリガー部が最前端位置にあるときの前記付勢部材の初期付勢力は4.0N以上7.0N以下に設定されているトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記主ポンプ部は、
前記縦供給筒部に連通するとともに、前方に開口する主シリンダと、
前記主シリンダとの間に介在する前記付勢部材によって前方に付勢されるとともに、前記トリガー部の後方への移動に伴い前記主シリンダに対して後方に移動する主ピストンと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記縦供給筒部及び前記ノズル部材の間に設けられるとともに、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの軸線に沿う軸方向に移動可能に配置され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備えている請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記噴出器本体は、前記縦供給筒部内に連通するとともに、前記縦供給筒部に対して前方に延びる射出筒部を備え、
前記ノズル部材は、前記射出筒部が嵌め込まれるとともに、前記射出筒部内と前記噴出口とを連通させる連結筒を備えている請求項1又は請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記付勢部材は、金属製である請求項1又は請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器として、液体が流通する噴出器本体と、前方に向けて液体を噴出する噴出口を有し、噴出器本体の前端部に取り付けられたノズル部材と、噴出器本体内の液体を噴出口に向けて流通させるトリガー機構と、を備える構成が開示されている(下記特許文献1参照)。トリガー機構は、噴出器本体内に連通するシリンダと、シリンダの内周面上を前後方向に摺動するピストンと、付勢部材によって前方に向けて付勢されるとともにノズル部材に回転可能に支持されたトリガー部と、を備えている。
この構成によれば、トリガー部を後方に引くと、ピストンによってシリンダ内が加圧されることで、噴出器本体内の液体が噴出口に向けて流れる。これにより、液体が噴出口を通じて噴出される。一方、トリガー部が前方に復帰する過程でシリンダ内が減圧されることで、容器体内の液体が噴出器本体を通じてシリンダ内に吸い上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トリガー部が最前端位置にある状態において、付勢部材は自然長に対して圧縮された状態でシリンダとトリガー部との間に介在している。そのため、トリガー部は、最前端位置において付勢部材の初期付勢力(セット荷重)によって前方に向けて付勢されている。この場合、トリガー部は、最前端位置において、ノズル部材に備えられた規制部に後方から当接することで、ノズル部材に対する前方への移動が規制されている。
【0005】
しかしながら、規制部には、トリガー部から受ける前方への荷重に起因して、ノズル部材と噴出器本体との連結部分を起点としたモーメントが発生する。そのため、付勢部材の初期付勢力が大き過ぎると、上述したモーメントによってノズル部材が上方かつ前方に変位する可能性があった。ノズル部材が使用に耐え得る許容値以上変位すると、ピストンが所望の位置よりも前進し、シリンダ内に液体が吸い上げられる際にシリンダ内に外気が流入してしまう可能性がある。この場合には、所望の噴出量を確保できず、信頼性の低下に繋がる。
【0006】
本発明は、付勢部材の初期付勢力に起因するノズル部材の上方、かつ前方への変位を抑制し、所望の噴出量を確保できるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方に設けられ、前後方向に沿うノズル軸線上で前方に開口する噴出口が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延び、液体が流通する縦供給筒部と、前記縦供給筒部を通じて液体を前記噴出口に向けて送り出す主ポンプ部、及び前記主ポンプ部との間に配置された付勢部材によって前方付勢状態で後方移動可能に設けられ、前記主ポンプ部を動作させるトリガー部を有するトリガー機構と、を備え、前記ノズル部材は、前記ノズル軸線に対して下方に位置する部分に、前記トリガー部を前後動可能に支持する第1支持部と、前記トリガー部が最前端位置にあるときに前記トリガー部が後方から当接することで、前記トリガー部の前方への移動を規制する第2支持部と、を備え、前記トリガー部が最前端位置にあるときの前記付勢部材の初期付勢力は4.0N以上7.0N以下に設定されている。
【0008】
本態様によれば、付勢部材の初期付勢力を4.0N以上に設定することで、トリガー部を介して主ポンプ部を操作した際に、主ポンプ部に対して所望の荷重を付与することができる。これにより、所望量の液体を噴出口に向けて効果的に送り出すことができる。
一方、付勢部材の初期付勢力を7.0N以下に設定することで、トリガー部が最前端位置にあるとき、ノズル部材と噴出器本体との接続部分を起点として、付勢部材の付勢力に起因して第2支持部に作用するモーメントが発生したとしても、ノズル部材の上方かつ前方へ使用に耐え得る許容値以上変位することを抑制できる。これにより、長期に亘って所望の噴出量を確保し、優れた信頼性を得ることができる。
【0009】
上記態様に係るトリガー式液体噴出器において、前記主ポンプ部は、前記縦供給筒部に連通するとともに、前方に開口する主シリンダと、前記主シリンダとの間に介在する前記付勢部材によって前方に付勢されるとともに、前記トリガー部の後方への移動に伴い前記主シリンダに対して後方に移動する主ピストンと、を備え、前記噴出器本体は、前記縦供給筒部及び前記ノズル部材の間に設けられるとともに、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの軸線に沿う軸方向に移動可能に配置され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備えていることが好ましい。
本態様のように、貯留シリンダ及び貯留プランジャを備える構成では、貯留プランジャを軸方向の一方側に移動させる必要があるため、主ポンプ部によって送り出される液体の圧力を比較的高くする必要がある。そのため、貯留シリンダ及び貯留プランジャを備える構成では、主ピストンの付勢力を確保するために、付勢部材の初期付勢力を大きく設定する傾向になる。
これに対しても、本態様のように、付勢部材の初期付勢力を4.0N以上7.0N以下に設定しておくことで、ノズル部材の上方かつ前方へ使用に耐え得る許容値以上変位することを抑制した上で、所望の噴出量を確保し易い。
【0010】
上記態様に係るトリガー式液体噴出器において、前記噴出器本体は、前記縦供給筒部内に連通するとともに、前記縦供給筒部に対して前方に延びる射出筒部を備え、前記ノズル部材は、前記射出筒部が嵌め込まれるとともに、前記射出筒部内と前記噴出口とを連通させる連結筒を備えていることが好ましい。
本態様のようにノズル部材が射出筒部に連結される構成では、射出筒部の曲げ剛性等によっては付勢部材の付勢力に起因して第2支持部に作用するモーメントによりノズル部材が上方かつ前方へ変位し易い。
これに対しても、本態様のように、付勢部材の初期付勢力を4.0N以上7.0N以下に設定しておくことで、ノズル部材の上方かつ前方へ使用に耐え得る許容値以上変位することを抑制した上で、所望の噴出量を確保し易い。
【0011】
上記態様に係るトリガー式液体噴出器において、前記付勢部材は、金属製であることが好ましい。
本態様によれば、樹脂製の付勢部材を用いる場合に比べてへたり等が少なく、付勢力が比較的必要な場合であっても所望の付勢力を長期に亘って維持し易い。その結果、トリガー式液体噴出器の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、付勢部材の初期付勢力に起因するノズル部材の上方、かつ前方への変位を抑制し、所望の噴出量を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【
図2】実施形態に係るトリガー式液体噴出器の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、トリガー式液体噴出器1が容器体Aに取り付けられた噴出容器を例にして説明する。
図1に示すトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出口4が形成されたノズル部材3と、噴出器本体2及びノズル部材3を覆うカバー100と、を備えている。本実施形態において、容器体A内に収容される液体としては、住居用や食器用の洗剤、空間や衣類等に用いる消臭・芳香剤、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等を含む除菌用アルコール等が挙げられる。なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部材は、特に記載のない限り、樹脂材料により形成された成形品とされている。樹脂材料としては、PP(ポリエチレン)やPOM(ポリアセタール)、軟質PE(ポリエチレン)等が各構成部材に応じて選択的に用いられている。
【0015】
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、装着キャップ11と、貯留ポンプ部12と、射出筒部13と、主ポンプ部14を有するトリガー機構15と、を有している。
【0016】
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線Oと呼ぶ。軸線Oに沿う方向を上下方向とし、上下方向において、容器体A側を下側とし、その反対側を上側とする。上下方向から見て、軸線Oに交差する一方向を前後方向L1と呼び、上下方向及び前後方向L1の双方に直交する方向を左右方向L2と呼ぶ。前後方向L1において、ノズル部材3側を前側とし、その反対側を後側とする。
【0017】
縦供給筒部10は、主ポンプ部14によって容器体A内から吸い上げられる液体が流通する。縦供給筒部10は、上方に位置するものほど外径が縮小する多段の二重筒状に形成されている。縦供給筒部10は、装着キャップ11によって、容器体Aに装着される。縦供給筒部10の下端開口部内には、パイプ16の上部が嵌め込まれている。パイプ16は、トリガー式液体噴出器1が容器体Aに装着された状態において、容器体A内を下方に延びている。
【0018】
縦供給筒部10内には、ボール弁21が設けられている。ボール弁21は、縦供給筒部10に設けられた下弁座部10aに対し、下弁座部10aの上方から接離可能に設けられている。ボール弁21は、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主ポンプ部14との間の連通及び遮断を切り替える。具体的に、ボール弁21は、主ポンプ部14(後述する主シリンダ41)による加圧時に容器体A内と主ポンプ部14との連通を遮断するとともに、主ポンプ部14による減圧時に容器体A内と主ポンプ部14との連通を許容する逆止弁とされている。
【0019】
縦供給筒部10内において、ボール弁21よりも上方に位置する部分には、貯留弁26が設けられている。貯留弁26は、縦供給筒部10に設けられた上弁座部10bに対し、上弁座部10bの上方から接離可能に設けられている。貯留弁26は、縦供給筒部10を通じた主ポンプ部14と貯留ポンプ部12との連通及び遮断を切り替える。具体的に、貯留弁26は、主ポンプ部14の加圧時に縦供給筒部10から貯留ポンプ部12(後述する貯留シリンダ31)内への液体の供給を許容するとともに、貯留ポンプ部12から縦供給筒部10内への液体の流出を規制する逆止弁とされている。
【0020】
縦供給筒部10の上端部には、前方に向けて延びる接続筒部29が設けられている。接続筒部29内は、縦供給筒部10内に連通している。縦供給筒部10の前方であって、接続筒部29と装着キャップ11との間に位置する部分には、シリンダ用筒部30が設けられている。シリンダ用筒部30は、縦供給筒部10から前方に向けて突出するとともに、前方に向けて開口している。
【0021】
貯留ポンプ部12は、貯留シリンダ31と、貯留プランジャ32と、付勢部材33と、を備えている。
貯留シリンダ31は、縦供給筒部10の上方に設けられている。貯留シリンダ31は、後方に開口する有頂筒状に形成されている。貯留シリンダ31内には、主ポンプ部14によって送り出された液体が、縦供給筒部10内及び接続筒部29内を通じて供給される。貯留シリンダ31の前壁部31bには、前壁部31bを前後方向L1に貫通する連通口31cが形成されている。連通口31cは、貯留シリンダ31の中心軸線上(以下、軸線O1という。)に位置している。本実施形態において軸線O1は、前後方向L1に延びている。すなわち、本実施形態において前後方向L1は、軸線O1に沿う軸方向に相当する。本実施形態において後方は、軸方向の一方側に相当する。また、本実施形態において前方は、軸方向の他方側に相当する。但し、軸方向は、前後方向L1と一致していなくてもよい。
【0022】
貯留プランジャ32は、貯留シリンダ31内を前後方向L1に移動可能に設けられている。貯留プランジャ32は、後方に向けて開口する有頂筒状に形成されている。貯留プランジャ32は、貯留シリンダ31の内周面上を前後方向L1に密に摺動する。貯留プランジャ32は、最前端位置において、縦供給筒部10内と噴出口4(射出筒部13内)との連通を遮断する。貯留プランジャ32は、最前端位置から後方に移動したときに、縦供給筒部10内と噴出口4(射出筒部13内)とを連通させる。貯留シリンダ31において、貯留プランジャ32よりも前方に位置する空間は、貯留空間31aとして機能する。
【0023】
貯留空間31aは、接続筒部29を通して縦供給筒部10内に常時連通する一方、貯留プランジャ32の移動によって射出筒部13内に連通可能である。貯留空間31aには、縦供給筒部10内を通過した液体が貯留される。貯留空間31aは、貯留シリンダ31内への液体の供給によって貯留プランジャ32が後方に向けて移動することで拡張する。貯留プランジャ32が最前端位置にいるとき、貯留空間31aは、射出筒部13内との連通が遮断されている。貯留プランジャ32が最前端位置から後退すると、貯留空間31aは、射出筒部13内と連通する。
【0024】
付勢部材33は、貯留プランジャ32の後方に設けられている。付勢部材33は、貯留プランジャ32と貯留シリンダ31との間に介在して、貯留プランジャ32を前方に向けて付勢している。なお、付勢部材33は、例えば金属製のコイルばねである。
【0025】
図2に示すように、射出筒部13は、貯留シリンダ31から前方に向けて延びている。射出筒部13内は、貯留シリンダ31の連通口31cを通じて貯留空間31aに連通可能である。すなわち、射出筒部13は、連通口31cの周囲を取り囲んだ状態で、前壁部31bから前方に延びている。本実施形態において、射出筒部13の中心軸線を軸線O2と呼ぶ。軸線O2は、軸線O1に対して上方にオフセットした状態で、軸線O1と平行に延びている。但し、軸線O2は、軸線O1と同軸上に配置されていてもよい。また、軸線O2に沿う軸方向は、前後方向L1と一致していなくてもよい。以下の説明において、軸線O2に直交する方向をノズル径方向といい、軸線O2回りに周回する方向をノズル周方向という場合がある。なお、射出筒部13は、貯留シリンダ31や縦供給筒部10の外筒部分等とともに、PP等により一体形成されている。
【0026】
射出筒部13の外径は、貯留シリンダ31の外径よりも小さい。射出筒部13の根元部分には、リブ35が形成されている。リブ35は、ノズル径方向の外側に突出するとともに、前後方向L1に延びている。リブ35の後端縁は、前壁部31bに連なっている。本実施形態において、リブ35は、ノズル周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0027】
図2に示すように、ノズル部材3は、射出筒部13に対して前方から組み付けられている。ノズル部材3は、射出筒部13内を流れる液体を前方に向けて噴出する噴出口4を有している。ノズル部材3は、連結筒3aと、規制壁(第2支持部)3bと、係合片3cと、突出壁3dと、軸受部(第1支持部)3eと、ノズル筒3gと、を備えている。なお、ノズル部材3は、PP等により一体に形成されている。
【0028】
連結筒3aは、軸線O2と同軸に配置されている。連結筒3aの内側には、射出筒部13が連結筒3aの後方から嵌め込まれている。連結筒3aの後端縁は、リブ35に前方から近接している。
【0029】
規制壁3bは、連結筒3aの前端開口縁からノズル径方向の外側に張り出している。規制壁3bのうち連結筒3aに対して下方に位置する部分は、連結筒3aに対して上方に位置する分よりも長くなっている。
係合片3cは、規制壁3bのうち連結筒3aに対して上方に位置する部分から後方に片持ちで延びている。係合片3cの後端部は、貯留シリンダ31から前方に延びる連結片31dに前後方向L1で係合している。
【0030】
突出壁3dは、規制壁3bのうち連結筒3aに対して下方に位置する部分から後方に延びている。突出壁3dの上端縁は、連結筒3aに連なっている。
軸受部3eは、突出壁3dに対して左右方向L2の両側に一対で設けられている。各軸受部3eは、後方に向けて開口する側面視でC字状に形成されている。図示の例において、各軸受部3eは、突出壁3dから左右方向L2の両側に延びる支持壁3fにそれぞれ連なっている。
【0031】
ノズル筒3gは、規制壁3bから前方に向けて突出している。ノズル筒3gは、軸線O2と同軸に配置された有頂筒状に形成されている。ノズル筒3gは、規制壁3bに形成された連通孔3hを通じて連結筒3a内に連通している。ノズル筒3gの頂壁部には、噴出口4が形成されている。本実施形態において、噴出口4の中心軸線(ノズル軸線)O4は、軸線O2と同軸に配置されている。但し、中心軸線O4は、軸線O2に対してずれて配置されていてもよい。なお、ノズル筒3gの根元部分には、リブ3iが形成されている。リブ3iは、ノズル筒3gからノズル径方向の外側に突出するとともに、前後方向L1に延びている。リブ3iの後端縁は、規制壁3bに連なっている。本実施形態において、リブ3iは、ノズル周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0032】
図1、
図2に示すように、トリガー機構15は、主ポンプ部14と、トリガー部40と、ストッパ50と、を備えている。
主ポンプ部14は、トリガー部40の操作に応じて容器体A内の液体の貯留及び圧送を行う。主ポンプ部14は、主シリンダ41と、主ピストン42と、を備えている。
主シリンダ41は、シリンダ本体41aと、ピストンガイド41bと、フランジ部41cと、を備えている。
シリンダ本体41aは、前後方向L1に沿うポンプ軸線O3を中心とし、前方に向けて開口する有底筒状に形成されている。シリンダ本体41aは、シリンダ用筒部30にシリンダ用筒部30の前方から嵌め込まれている。シリンダ本体41aは、縦供給筒部10内のうちボール弁21よりも上方に位置する部分に連通している。シリンダ本体41aの前部には、空気置換孔41dが形成されている。空気置換孔41dは、シリンダ本体41aとシリンダ用筒部30との間の空間S1に連通している。空間S1は、縦供給筒部10に形成された連通孔10c,10dを通じて容器体A内に連通している。
【0033】
ピストンガイド41bは、シリンダ本体41aの底部から前方に向けて突出している。ピストンガイド41bは、ポンプ軸線O3と同軸に配置された筒状に形成されている。
フランジ部41cは、シリンダ本体41aの前端開口縁においてポンプ軸O3から離れる向きに張り出している。フランジ部41cは、シリンダ用筒部30の前端縁にシリンダ用筒部30の前方から近接又は当接している。
【0034】
主ピストン42は、前後方向L1に移動可能に主シリンダ41内に設けられている。主ピストン42は、連係部42aと、摺動部42bと、を備えている。
連係部42aは、ポンプ軸線O3上を前後方向L1に延びている。連係部42aは、有頂筒状に形成されている。連係部42aは、前端部が主シリンダ41(シリンダ本体41a)から突出した状態で、主シリンダ41内に配置されている。連係部42a内には、ピストンガイド41bが嵌め込まれている。連係部42aの後端内周縁は、主シリンダ41に対する主ピストン42の前後動に伴いピストンガイド41bの外周面上を密に摺動する。
【0035】
連係部42aとピストンガイド41bとで囲まれた部分には、付勢部材43が介在している。付勢部材43は、例えばポンプ軸O3と同軸に配置された金属製のコイルばねである。但し、付勢部材43は、用途に応じて樹脂製を採用してもよい。付勢部材43は、シリンダ本体41aの底部と連係部42aの前端部との間に介在している。これにより、主ピストン42は、前方付勢状態で前後方向L1に移動可能に構成されている。
【0036】
摺動部42bは、連係部42aの後端部に連なっている。摺動部42bは、ポンプ軸線O3と同軸に配置された筒状に形成されている。摺動部42bは、連係部42aの周囲を取り囲んでいる。摺動部42bは、シリンダ本体41aの内周面に密接している。摺動部42bは、主シリンダ41に対する主ピストン42の前後動に伴い、シリンダ本体41aの内周面上を密に摺動する。なお、摺動部42bは、主ピストン42が最前端位置にあるとき空気置換孔41dを塞いでいる。
【0037】
トリガー部40は、主ピストン42の前方に配置されて、主ピストン42を押込操作するためのものである。トリガー部40は、ベース部40aと、操作片40bと、押込突起40cと、を備えている。なお、トリガー部40は、PP等により一体形成されている。すなわち、トリガー部40、射出筒部13及びノズル部材3は、同一材料(PP)により形成されている。
【0038】
ベース部40aは、トリガー部40の上端部を構成する。ベース部40aは、上方及び後方に向けて開放された箱型に形成されている。ベース部40aは、ベース側壁51と、ベース前壁52と、ベース底壁53と、を備えている。
【0039】
ベース側壁51は、突出壁3dに対して左右方向L2の両側にそれぞれ配置されている。各ベース側壁51には、左右方向L2の外側に突出する軸部51aが形成されている。各軸部51aは、対応する軸受部3eにそれぞれ嵌め込まれている。これにより、トリガー部40は、左右方向L2に沿う軸線O5回りに回転可能にノズル部材3に支持されている。図示の例において、軸線O2及び軸線O5間の上下方向の距離、及び軸線O5及びポンプ軸線O3間の上下方向の距離は、同等になっている。
【0040】
ベース前壁52は、ベース側壁51における前端縁同士を左右方向L2に接続している。ベース前壁52は、トリガー部40が最前端位置にあるとき、規制壁3bのうち連結筒3aよりも下方に位置する部分に後方から当接している。これにより、トリガー部40が最前端位置にあるとき、ノズル部材3に対する前方への移動が規制されている。
ベース底壁53は、ベース底壁53における下端縁同士を左右方向L2に接続している。ベース部40aのうち突出壁3dと重なり合う部分には、逃げ部55が形成されている。逃げ部55は、ベース前壁52及びベース底壁53に亘って形成されている。
【0041】
操作片40bは、ベース底壁53から下方に延びている。具体的に、操作片40bは、下方に向かうに従い前方に向けて湾曲しながら延びている。操作片40bは、後方に向けて開口する箱型に形成されている。
押込突起40cは、操作片40bの上部において、操作片40bの前壁から後方に向けて突出している。押込突起40cは、連係部42aの前端部に連係部42aの前方から係合(例えば、当接)している。押込突起40cは、主ピストン42を介して付勢部材43によって前方に付勢されている。これにより、トリガー部40は、前方付勢状態で後方移動可能に構成されている。
【0042】
ストッパ50は、操作片40bにおける押込突起40cよりも下方に位置する部分に、左右方向L2に沿う軸線回りに回転可能に支持されている。ストッパ50は、ロック位置と、ロック解除位置と、の間を回転する。ストッパ50は、ロック位置において、操作片40bと主シリンダ41(フランジ部41c)との間に配置されている。ストッパ50は、ロック位置において、フランジ部41cの下部に前方から当接することで、トリガー部40の後方への移動を規制している。ストッパ50は、ロック解除位置において、操作片40bの内側に収納されている。これにより、トリガー部40の後方への移動が許容される。
【0043】
カバー100は、側面視においてT字状に形成されるとともに、前方及び下方に向けて開口する箱型に形成されている。カバー100は、噴出口4を前方に露呈させた状態で、噴出器本体2及びノズル部材3を上方、後方及び側方から取り囲んでいる。
【0044】
次に、上述したトリガー式液体噴出器1の作用について説明する。以下の説明では、ストッパ50がロック位置にある状態を初期状態として説明する。
まず、
図1に示すように、ロック位置にあるストッパ50を、ロック解除位置に移動させる。これにより、主シリンダ41に対する主ピストン42の後方移動が許容される。
【0045】
続いて、トリガー式液体噴出器1において、液体を噴出させるには、装着キャップ11に手を掛け回した状態でトリガー部40に指を引っ掛ける。トリガー式液体噴出器1を把持した状態で、トリガー部40を後方に引く。すると、主ピストン42が最前端位置から後方に移動する。主ピストン42が主シリンダ41内を後方に向けて移動することで、主シリンダ41内が加圧される。すると、主シリンダ41内の液体が縦供給筒部10内に供給される。縦供給筒部10内に供給された液体は、ボール弁21を下方に向けて押し付けるとともに、貯留弁26を上方に向けて押し上げる。これにより、ボール弁21が下弁座部10aに接触した状態で、貯留弁26が上弁座部10bから上方に離反する。
【0046】
貯留弁26が上弁座部10bから上方に離反すると、縦供給筒部10内の液体が、接続筒部29を通して、貯留シリンダ31(貯留空間31a)内に供給される。貯留空間31a内に液体が供給されると、貯留空間31aが加圧される。これにより、貯留プランジャ32が付勢部材33の付勢力に抗して後方に移動する。その結果、貯留シリンダ31内に液体が貯留される。
【0047】
貯留プランジャ32が後方に移動することで、貯留空間31aと射出筒部13内とが連通口31cを通じて連通する。これにより、貯留シリンダ31内に貯留されている液体が、射出筒部13内を噴出口4に向けて流れる。その後、射出筒部13を通過した液体は、連結筒3a及びノズル筒3gを通じて噴出口4から外部に噴出される。なお、トリガー部40の操作を解除すると、付勢部材43の付勢力によって主ピストン42が主シリンダ41内を前方に向けて復元移動し、これに伴いトリガー部40も前方に復元移動する。その結果、主シリンダ41内が減圧する。すると、ボール弁21が下弁座部10aから浮き上がり、容器体A内と主シリンダ41とが縦供給筒部10内を通じて連通する。一方、貯留弁26は、上弁座部10bに着座した状態を維持することで、縦供給筒部10内を通じた主シリンダ41内と貯留シリンダ31内との連通が遮断される。その結果、容器体A内の液体が縦供給筒部10内に吸い上げられる。縦供給筒部10内に流入した液体は、主シリンダ41内に導入されることで、次の噴出操作に備えることができる。主シリンダ41内の負圧によって容器体A内の液体が吸い上げられる際、容器体A内には主ポンプ部14によって吸い上げられた液体に替わって外気が導入される。具体的に、外気は、空気置換孔41dを通じて空間S1内に流入した後、連通孔10c,10dを通じて容器体A内に流入する。
【0048】
本実施形態のように、貯留ポンプ部12を備える構成では、トリガー部40を操作する度に、主シリンダ41から供給される液体のうち、一部の液体が噴出口4を通じて噴出されるとともに、一部の液体が貯留空間31aに貯留される。そのため、トリガー部40の操作を停止した場合、貯留空間31aへの液体の供給は停止するものの、付勢部材33の付勢力によって貯留プランジャ32が前方移動することで、貯留空間31aに貯留された液体が継続的に射出筒部13に供給される。これにより、噴出口4を通じて液体を噴出させ続けることができる。
【0049】
ここで、トリガー部40は、付勢部材43によって前方に付勢された状態で、軸線O5回りに回転可能に構成されている。具体的に、トリガー部40は、ベース前壁52が規制壁3bに後方から当接することで、最前端位置が規定されている。トリガー部40は、最前端位置において、少なくとも付勢部材43の初期付勢力によって前方に付勢されている。本実施形態において、付勢部材43の初期付勢力は、4.0N以上7.0N以下に設定されている。なお、初期付勢力とは、主シリンダ41と主ピストン42との間に付勢部材43を圧縮させた状態で組み付けることのみで発生する付勢力であって、後述するように主ピストン42のストロークや液体の膨張等による付勢力の増減を排除した値である。
【0050】
ところで、ノズル部材3に対して上下方向や前後方向L1に荷重が作用すると、ノズル部材3には連結筒3aと射出筒部13との連結部分(射出筒部13の根元部分)を起点としたモーメントが発生する。そのため、付勢部材43の初期付勢力が大き過ぎると、上述したモーメントによって射出筒部13が上方に撓み変形することで、ノズル部材3が上方かつ前方に変位する可能性があった。ノズル部材3が使用に耐え得る許容値以上変位すると、主ピストン42が所望の位置よりも前進し、主ピストン42の最前端位置において空気置換孔41dと主シリンダ41内とが連通してしまう可能性がある。すると、主シリンダ41内に液体が吸い上げられる際に、連通孔10c,10d及び空気置換孔41dを通じて、又は主シリンダ41と主ピストン42との間を通じて主シリンダ41内に容器体A内の外気(空気)が流入してしまう。この場合には、所望の噴出量を確保できず、信頼性の低下に繋がる。
【0051】
例えば本実施形態のトリガー式液体噴出器1では、ノズル部材3の先端部(ノズル筒3g)に対して上方に向けて10.0N以上の荷重が作用すると、ノズル部材3が上方かつ前方に変位し始める。そして、ノズル部材3の先端部に35.0N以上の荷重が作用すると、ノズル部材3が使用に耐え得る許容値以上に変位する可能性がある。
一方、主シリンダ41内に液体(例えば、界面活性剤を含有する水溶液)が収容された状態で、主ピストン42を最前端位置から最後端位置まで移動させるには、15.0N以上30.0N以下の荷重が必要になる。また、トリガー式液体噴出器1では、主シリンダ41内に液体が収容されたまま高温化で放置されると、液体の膨張等によって主シリンダ41内の圧力が変動する。そのため、トリガー部40が最前端位置にある状態でのトリガー部40に加えられる前方付勢力(例えば付勢部材43の初期付勢力と、液体の膨張力に起因して発生する主ピストン42に作用する力と、の和)は、付勢部材43の初期付勢力よりも大きくなる可能性がある。
【0052】
そこで、本実施形態では、上述したように付勢部材43の初期付勢力を4.0N以上7.0N以下に設定する構成とした。
このように、付勢部材43の初期付勢力を4.0N以上に設定することで、トリガー部40を介して主ポンプ部14を操作した際に、主ポンプ部14に対して所望の荷重を付与することができる。これにより、所望量の液体を噴出口4に向けて効果的に送り出すことができる。
一方、付勢部材43の初期付勢力を7.0N以下に設定することで、トリガー部40が最前端位置にあるとき、ノズル部材3と噴出器本体2との連結部分(射出筒部13の根元部分)を起点として、付勢部材43の付勢力に起因して規制壁3bに作用するモーメントが発生したとしても、ノズル部材3の上方かつ前方へ使用に耐え得る許容値以上変位することを抑制できる。これにより、長期に亘って所望の噴出量を確保し、優れた信頼性を得ることができる。
【0053】
ここで、本願発明者は、付勢部材43の初期付勢力を変数として、トリガー式液体噴出器1の複数のサンプルを用意し、40℃の恒温槽にセットして時間経過に伴う噴出量(g)の変化を測定した。各種サンプルの初期付勢力は、以下の通りである。
比較例1:7.5N
比較例2:3.0N
実施例1:6.8N
実施例2:4.0N
噴出量は、組立直後(恒温槽へのセット直後)、1日経過後、3日経過後、1週間経過後でそれぞれ測定した。また、以下で示す噴出量の数値は、複数(例えば、5本)のサンプルで得られた噴出量の平均値である。なお、容器体A内に収容した液体は、水である。
【0054】
測定の結果、比較例1では、組立直後に11.26gの噴出量が確保でき、3日経過後までは噴出量が徐々に増加する傾向となった。これは、時間経過に伴い、付勢部材43の復元力によって主ピストン42が徐々に前方に移動することで、主シリンダ41内に液体が流入してくるためであると考えられる。一方、比較例1では、1週間経過後に組立直後よりも噴出量が低下する結果となった(測定結果は9.476g)。これは、付勢部材43の初期付勢力が大き過ぎた結果、上述したようにノズル部材3の上方かつ前方へ変位し、空気置換孔41dや主ピストン42と主シリンダ41との間の隙間等から主シリンダ41内に空気が流入したためであると考えられる。
【0055】
比較例2では、組立直後に噴出量が7.82gしか得られず、所望の噴出量が確保できなかった。これは、付勢部材43の初期付勢力が小さ過ぎて主シリンダ41内に十分な液体を取り込めなかったためである。
【0056】
これに対して、実施例1や実施例2においては、組立直後から1週間経過後の何れの時点でも、十分な噴出量を確保できる結果となった。これは、付勢部材43の初期付勢力が十分で、かつノズル部材3の変位も許容値未満であったことを示している。特に、実施例1のように、付勢部材43の初期付勢力を6.8Nに設定することで、組立直後に11.28gの噴出量を確保しつつ、1週間経過後にも12.0124gの噴出量を確保することができた。これにより、初期付勢力を4N以上6.8N以下(特に、6.8N)に設定することで、製造ばらつき等に関わらず、ノズル部材3の変位を確実に抑制し、所望の噴出量を確保できる。
【0057】
本実施形態のトリガー式液体噴出器1において、噴出器本体2は、縦供給筒部10内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダ31と、貯留シリンダ31内で前後方向L1に移動可能な貯留プランジャ32と、を備えている構成とした。
本実施形態のように、貯留シリンダ31及び貯留プランジャ32を備える構成では、貯留プランジャ32を後方(軸方向の一方側)に移動させる必要があるため、主ポンプ部14によって送り出される液体の圧力を比較的高くする必要がある。そのため、貯留シリンダ31及び貯留プランジャ32を備える構成では、主ピストン42の付勢力を確保するために、付勢部材43の初期付勢力を大きく設定する傾向になる。
これに対しても、本実施形態のように、付勢部材43の初期付勢力を4.0N以上7.0N以下に設定しておくことで、ノズル部材3の上方かつ前方へ使用に耐え得る許容値以上変位することを抑制した上で、所望の噴出量を確保し易い。
しかも、本実施形態では、付勢部材43に金属製のコイルばねを用いているため、樹脂製の付勢部材を用いる場合に比べてへたり等が少なく、付勢力が比較的必要な場合であっても所望の付勢力を長期に亘って維持し易い。その結果、トリガー式液体噴出器1の耐久性を向上させることができる。
【0058】
本実施形態のトリガー式液体噴出器1において、ノズル部材3は、射出筒部13が嵌め込まれるとともに、射出筒部13内と噴出口4とを連通させる連結筒3aを備えている構成とした。
本実施形態のようにノズル部材3が射出筒部13に連結される構成では、射出筒部13の曲げ剛性等によっては付勢部材43の付勢力に起因して規制壁3bに作用するモーメントによりノズル部材3が上方かつ前方へ変位し易い。
これに対しても、本実施形態のように、付勢部材43の初期付勢力を4.0N以上7.0N以下に設定しておくことで、ノズル部材3の上方かつ前方へ使用に耐え得る許容値以上変位することを抑制した上で、所望の噴出量を確保し易い。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、トリガー式液体噴出器1が貯留ポンプ部12を備える構成について説明したが、この構成に限られない。本発明に係るトリガー式液体噴出器1は、主ポンプ部14から送り出される液体が貯留されずに噴出される構成であってもよい。
上述した実施形態では、ノズル部材3が射出筒部13を介して噴出器本体2に連結される構成について説明したが、この構成に限られない。ノズル部材3は、噴出器本体2に対して例えば一体に形成される等してもよい。
【0060】
上述した実施形態では、ノズル部材3の第1支持部として、トリガー部40を回転可能に支持する軸受部3eを例にして説明したが、この構成に限られない。第1支持部は、トリガー部40を前後方向L1にスライド可能に支持していてもよい。
上述した実施形態では、ノズル部材3の第2支持部として、トリガー部40の上端部(ベース部40a)が後方から当接する規制壁3bを例にして説明したが、この構成に限られない。第2支持部は、トリガー部40における上下方向の任意の位置を支持してもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0062】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
<1>液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方に設けられ、前後方向に沿うノズル軸線上で前方に開口する噴出口が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延び、液体が流通する縦供給筒部と、
前記縦供給筒部を通じて液体を前記噴出口に向けて送り出す主ポンプ部、及び前記主ポンプ部との間に配置された付勢部材によって前方付勢状態で後方移動可能に設けられ、前記主ポンプ部を動作させるトリガー部を有するトリガー機構と、を備え、
前記ノズル部材は、
前記ノズル軸線に対して下方に位置する部分に、前記トリガー部を前後動可能に支持する第1支持部と、
前記トリガー部が最前端位置にあるときに前記トリガー部が後方から当接することで、前記トリガー部の前方への移動を規制する第2支持部と、を備え、
前記トリガー部が最前端位置にあるときの前記付勢部材の初期付勢力は4.0N以上7.0N以下に設定されているトリガー式液体噴出器。
<2>前記主ポンプ部は、
前記縦供給筒部に連通するとともに、前方に開口する主シリンダと、
前記主シリンダとの間に介在する前記付勢部材によって前方に付勢されるとともに、前記トリガー部の後方への移動に伴い前記主シリンダに対して後方に移動する主ピストンと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記縦供給筒部及び前記ノズル部材の間に設けられるとともに、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの軸線に沿う軸方向に移動可能に配置され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備えている<1>に記載のトリガー式液体噴出器。
<3>前記噴出器本体は、前記縦供給筒部内に連通するとともに、前記縦供給筒部に対して前方に延びる射出筒部を備え、
前記ノズル部材は、前記射出筒部が嵌め込まれるとともに、前記射出筒部内と前記噴出口とを連通させる連結筒を備えている<1>又は<2>に記載のトリガー式液体噴出器。
<4>前記付勢部材は、金属製である<1>から<3>の何れかに記載のトリガー式液体噴出器。
【符号の説明】
【0063】
1:トリガー式液体噴出器
2:噴出器本体
3:ノズル部材
3a:連結筒
3b:規制壁(第2支持部)
3e:軸受部(第1支持部)
4:噴出口
10:縦供給筒部
13:射出筒部
14:主ポンプ部
15:トリガー機構
31:貯留シリンダ
32:貯留プランジャ
40:トリガー部
41:主シリンダ
42:主ピストン
43:付勢部材
A:容器体
O1:軸線
O4:中心軸線(ノズル軸線)