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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095257
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
G05F1/56 310L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212409
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 忠之
(72)【発明者】
【氏名】西上 義人
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430EE17
5H430FF02
5H430FF13
5H430HH03
5H430LA04
(57)【要約】
【課題】モードをシームレスに切り替え可能な電源回路を提供する。
【解決手段】第1入力ピンVIN1には、第1モードおよび第2モードにおいて第1入力電圧VIN1が入力される。第2入力ピンVIN2は、第1モードにおいて無入力であり、第2モードにおいて、第1入力電圧VIN1より低い第2入力電圧VIN2が入力される。第1制御回路120は、出力ピンVOUTに発生する出力電圧VOUTが第1目標電圧VREF1に近づくように第1出力トランジスタ112を制御する。第2制御回路140は、第1モードにおいて第2出力トランジスタ132を非導通状態とし、第2モードにおいて第2出力トランジスタ132を導通状態とする。第1目標電圧VREF1は切り替え可能であり、第2モードにおける第1目標電圧VREF1(MODE2)は、第1モードにおける第1目標電圧VREF1(MODE2)よりも低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モードおよび第2モードにおいて第1入力電圧を受ける第1入力ピンと、
前記第1モードにおいて無入力であり、前記第2モードにおいて、前記第1入力電圧より低い第2入力電圧を受ける第2入力ピンと、
出力ピンと、
前記第1入力ピンと前記出力ピンの間に設けられた第1出力トランジスタと、前記出力ピンに発生する出力電圧が第1目標電圧に近づくように前記第1出力トランジスタを制御する第1制御回路と、を含む第1出力回路と、
前記第2入力ピンと前記出力ピンの間に設けられる第2出力トランジスタと、前記第1モードにおいて前記第2出力トランジスタを非導通状態とし、前記第2モードにおいて前記第2出力トランジスタを導通状態とする第2制御回路と、を含む第2出力回路と、
を備え、
前記第1目標電圧は切り替え可能であり、前記第2モードにおける前記第1目標電圧は、前記第1モードにおける前記第1目標電圧よりも低い、電源回路。
【請求項2】
前記第2制御回路は、前記第2モードにおいてアクティブとなり、前記出力電圧が、前記第1モードにおける前記第1目標電圧と等しい第2目標電圧に近づくように、前記第2出力トランジスタを制御する、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記第1制御回路は、第1入力ノードに可変の第1基準電圧を受け、第2入力ノードに前記出力電圧に応じたフィードバック電圧を受け、出力ノードが前記第1出力トランジスタの制御電極と接続された第1オペアンプを含み、
前記第2制御回路は、第1入力ノードに第2基準電圧を受け、第2入力ノードに前記フィードバック電圧を受け、出力ノードが前記第2出力トランジスタの制御電極と接続された第2オペアンプを含む、請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記第2制御回路は、前記第1モードにおいて前記第2出力トランジスタをオフし、前記第2モードにおいて前記第2出力トランジスタをオンするように構成され、
前記第2入力電圧は、前記第1モードにおける前記第1目標電圧と等しい、請求項1に記載の電源回路。
【請求項5】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項1から4のいずれかに記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路において、電圧レベルが異なる2つの電源電圧が存在する場合、2入力、1出力の電源回路が使用される。この電源回路は、2つの入力ピンを有し、2つの入力ピンそれぞれに電源電圧を受け、出力ピンに接続される負荷に、安定化された出力電圧を供給する。電源回路は、第1入力ピンの電圧を利用して出力電圧を生成するモードと、第2入力ピンの電圧を利用して出力電圧を生成するモードと、が切り替え可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、モードをシームレスに切り替え可能な電源回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のある態様の電源回路は、第1モードおよび第2モードにおいて第1入力電圧を受ける第1入力ピンと、第1モードにおいて無入力であり、第2モードにおいて、第1入力電圧より低い第2入力電圧を受ける第2入力ピンと、出力ピンと、第1入力ピンと出力ピンの間に設けられた第1出力トランジスタと、出力ピンに発生する出力電圧が第1目標電圧に近づくように第1出力トランジスタを制御する第1制御回路と、を含む第1出力回路と、第2入力ピンと出力ピンの間に設けられる第2出力トランジスタと、第1モードにおいて第2出力トランジスタを非導通状態とし、第2モードにおいて第2出力トランジスタを導通状態とする第2制御回路と、を含む第2出力回路と、を備える。第1目標電圧は切り替え可能であり、第2モードにおける第1目標電圧は、第1モードにおける第1目標電圧よりも低い。
【0005】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0006】
本開示のある態様によれば、モードをシームレスに切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る電源回路を備えるシステムのブロック図である。
図2図2は、実施例1に係る電源回路を備える電源システムのブロック図である。
図3図3は、図2の電源回路の動作を説明する図である。
図4図4は、比較技術に係る電源回路を備える電源システムの回路図である。
図5図5は、図4の電源回路の動作を説明する図である。
図6図6は、実施例2に係る電源回路を備える電源システムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0009】
一実施形態に係る電源回路は、第1モードおよび第2モードにおいて第1入力電圧を受ける第1入力ピンと、第1モードにおいて無入力であり、第2モードにおいて、第1入力電圧より低い第2入力電圧を受ける第2入力ピンと、出力ピンと、第1入力ピンと出力ピンの間に設けられた第1出力トランジスタと、出力ピンに発生する出力電圧が第1目標電圧に近づくように第1出力トランジスタを制御する第1制御回路と、を含む第1出力回路と、第2入力ピンと出力ピンの間に設けられる第2出力トランジスタと、第1モードにおいて第2出力トランジスタを非導通状態とし、第2モードにおいて第2出力トランジスタを導通状態とする第2制御回路と、を含む第2出力回路と、を備える。第1目標電圧は切り替え可能であり、第2モードにおける第1目標電圧は、第1モードにおける第1目標電圧よりも低い。
【0010】
この構成によれば、第2モードの間も、第1制御回路は動作し続けるため、複雑な制御なしで、第2モードから第1モードへシームレスに切り替えることが可能となる。
【0011】
一実施形態において、第2制御回路は、第2モードにおいてアクティブとなり、出力電圧が第1モードにおける第1目標電圧と等しい第2目標電圧に近づくように、第2出力トランジスタを制御してもよい。この場合、第2制御回路と第2出力トランジスタは、リニアレギュレータとして機能する。
【0012】
一実施形態において、第1制御回路は、第1入力ノードに可変の第1基準電圧を受け、第2入力ノードに出力電圧に応じたフィードバック電圧を受け、出力ノードが第1出力トランジスタの制御電極と接続された第1オペアンプを含んでもよい。第2制御回路は、第1入力ノードに第2基準電圧を受け、第2入力ノードにフィードバック電圧を受け、出力ノードが第2出力トランジスタの制御電極と接続された第2オペアンプを含んでもよい。
【0013】
一実施形態において、第2制御回路は、第1モードにおいて第2出力トランジスタをオフし、第2モードにおいて第2出力トランジスタをオンするように構成され、第2入力電圧は、第1モードにおける第1目標電圧と等しくてもよい。この場合、第2制御回路と第2出力トランジスタは、ロードスイッチとして機能する。
【0014】
一実施形態において、電源回路は、ひとつの半導体基板に集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0015】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0016】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0017】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0018】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る電源回路100を備える電源システム200のブロック図である。電源回路100は、第1入力ピンVIN1、第2入力ピンVIN2、出力ピンVOUTを備える。第1入力ピンVIN1、第2入力ピンVIN2、出力ピンVOUTには、キャパシタC1,C2,C3が接続されている。
【0019】
システム200は、電源回路100、DC/DCコンバータ210、負荷220、ホストコントローラ230を備える。
【0020】
第1入力ピンVIN1には、第1モードMODE1および第2モードMODE2において第1入力電圧VIN1が供給される。第2入力ピンVIN2には、第1モードMODE1において無入力であり、第2モードMODE2において、第1入力電圧VIN1より低い第2入力電圧VIN2が供給される。DC/DCコンバータ210は第2モードMODE2においてアクティブとなり、第2入力電圧VIN2を生成する。第1モードMODE1と第2モードMODE2の切りかえは、ホストコントローラ230によって制御される。
【0021】
電源回路100は、出力ピンVOUTに接続される負荷220に、所定の電圧レベルVOUT(REF)に安定化された出力電圧VOUTを供給する。
【0022】
電源回路100は、第1出力回路110および第1制御回路120を備え、ひとつの半導体基板に集積化される。第1出力回路110は、リニアレギュレータであり、第1出力トランジスタ112および第1制御回路120を含む。第1出力トランジスタ112は、第1入力ピンVIN1と出力ピンVOUTの間に設けられる。本実施形態では、第1出力トランジスタ112はPMOS(P-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソースが第1入力ピンVIN1と接続され、ドレインが出力ピンVOUTと接続される。
【0023】
第1制御回路120は、出力ピンVOUTに発生する出力電圧VOUTが第1目標電圧VREF1に近づくように、第1出力トランジスタ112の制御電極(ゲート)の電圧をフィードバック制御する。
【0024】
第2出力回路130は、第2出力トランジスタ132および第2制御回路140を含む。第2出力トランジスタ132は、第2入力ピンVIN2と出力ピンVOUTの間に設けられる。本実施形態では、第2出力トランジスタ132はPMOS(P-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソースが第2入力ピンVIN2と接続され、ドレインが出力ピンVOUTと接続される。
【0025】
第2制御回路140は、第1モードMODE1において第2出力トランジスタ132を非導通(オフ)状態とし、第2モードMODE2において第2出力トランジスタ132を非導通状態とする。後述のように、第2出力回路130は、リニアレギュレータであってもよいし、ロードスイッチでもよい。
【0026】
第1制御回路120は、第1モードMODE1と第2モードMODE2とで、第1目標電圧VREF1の電圧レベルが切り替え可能となっており、第2モードMODE2における第1目標電圧VREF1(MODE2)は、第1モードMODE1における第1目標電圧VREF1(MODE1)よりも低い。第2モードMODE2における第1目標電圧VREF1(MODE2)は、第2モードMODE2において第2出力回路130が出力ピンVOUTに発生させる出力電圧VOUTよりも低く定められる。
【0027】
以上が電源回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0028】
第1モードMODE1では、第2入力電圧VIN2が供給されず、第2出力トランジスタ132はオフとなる。第1出力回路110はリニアレギュレータとして動作し、出力電圧VOUTが、第1目標電圧VREF(MODE1)に安定化される。
【0029】
第2モードMODE2では、第2入力電圧VIN2が供給され、第2出力トランジスタ132が導通状態となる。第2モードMODE2の間、出力ピンVOUTに生ずる出力電圧VOUTは第2出力回路130によって生成される。第1出力回路110は、電流ソース能力をもつが、電流シンク能力をもたない。したがって、第2モードMODE2の間、第1出力回路110は動作し続けているが、第1目標電圧VREF1(MODE2)が、第2出力回路130が発生する出力電圧VOUTよりも低いため、第1出力回路110は、出力電圧VOUTに影響を与えない。
【0030】
以上が電源回路100の動作である。この電源回路100によれば、第1モードと第2モードの両方において、第1出力回路110が動作し続けている。したがって、第2モードから第1モードへとシームレスに遷移させることができる。
【0031】
本開示は、図1のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本開示の範囲を狭めるためではなく、本開示や本発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0032】
(実施例1)
図2は、実施例1に係る電源回路100Aを備える電源システム200Aのブロック図である。第1出力回路110Aの第1制御回路120Aは、第1オペアンプ122および可変電圧源124を含む。可変電圧源124は、第1基準電圧VR1を生成する。
【0033】
第1オペアンプ122は、第1入力ノード(反転入力端子)に第1基準電圧VR1を受け、第2入力ノード(非反転入力端子)に、出力電圧VOUTに応じた第1フィードバック電圧VFB1を受ける。第1フィードバック電圧VFB1は、抵抗R11,R12によって出力電圧VOUTを分圧した電圧である。
【0034】
第1オペアンプ122の出力ノードは、第1出力トランジスタ112の制御電極(ゲート)と接続される。
【0035】
可変電圧源124は、第1モードMODE1において、第1レベルVR1(MODE1)の基準電圧VR1を生成し、第2モードMODE2において、第1レベルVR1(MODE1)より低い第2レベルVR1(MODE2)の基準電圧VR1を生成する。
REF1(MODE1)=VR1(MODE1)×(R11+R12)/R12
REF1(MODE2)=VR1(MODE2)×(R11+R12)/R12
【0036】
実施例1において、第2出力回路130Aは、第1出力回路110Aと同様にリニアレギュレータである。第2制御回路140は、第2モードMODE2においてアクティブとなり、出力電圧VOUTが第2目標電圧VREF2に近づくように、第2出力トランジスタ132のゲート電圧をフィードバック制御する。
【0037】
第2制御回路140は、第2オペアンプ142を含む。第2オペアンプ142は、第1入力ノード(反転入力端子)に第2基準電圧VR2を受け、第2入力ノード(非反転入力端子)に、第2フィードバック電圧VFB2を受ける。第2オペアンプ142の出力ノードは、第2出力トランジスタ132の制御電極(ゲート)と接続される。
REF2=VR2×(R21+R22)/R22
【0038】
第2オペアンプ142は、イネーブル端子ENを有しており、第1モードMODE1においてディセーブル状態となり、第2モードMODE2においては、イネーブル状態となる。
【0039】
実施例1においては、以下の関係式が成り立つ。
REF1(MODE2)<VREF1(MODE1)=VREF2
【0040】
たとえば、VIN1=5V,VIN2=3.3V、VREF1(MODE2)=2.9V、VREF1(MODE1)=VREF2=3Vとすることができる。
【0041】
図3は、図2の電源回路100Aの動作を説明する図である。電源回路100Aには、第1入力電圧VIN1が先行して供給される。時刻t~tの第2モードMODE2の間は、第1出力回路110Aと第2出力回路130Aが両方、動作しているが、第1出力回路110Aは出力電圧VOUTには影響を与えず、第2出力回路130Aによって出力電圧VOUTがVREF2=3Vに安定化される。
【0042】
時刻tに、第1モードMODE1に切り替わると、第2制御回路140Aがディセーブル状態となる。時刻tにおいて、第1制御回路120Aは動作しているため、第2モードMODE2から第1モードMODE1には、シームレスに切り替わることができる。
【0043】
時刻tに、第2モードMODE2に切り替わると、第2制御回路140Aが再びイネーブル状態となる。
【0044】
電源回路100Aの利点は、比較技術との対比によって明確となる。
【0045】
(比較技術)
図4は、比較技術に係る電源回路100Rを備える電源システム200Rの回路図である。比較技術は、第1出力回路110Rの第1制御回路120Rの構成が図3の第1制御回路120Aと異なっている。第1制御回路120Rの第1オペアンプ122Rは、第1モードMODE1においてイネーブルであり、第2モードMODE2においてディセーブルとなる。
【0046】
図5は、図4の電源回路100Rの動作を説明する図である。比較技術では、第1モードMODE1から第2モードMODE2に遷移する際に、第1オペアンプ122Rを先行してイネーブル状態に切り替える必要がある。したがって、複雑なタイミング制御が必要となる。これに対して、実施形態では、第1オペアンプ122は常にイネーブル状態であるため、複雑なタイミング制御は不要である。
【0047】
(実施例2)
図6は、実施例2に係る電源回路100Bを備える電源システム200Bの回路図である。第1出力回路110Bの構成は、図4の第1出力回路110Aと同様である。
【0048】
実施例1では、第2出力回路130Aがリニアレギュレータであったが、実施例2では、第2出力回路130Bは、ロードスイッチである。
【0049】
実施例2においては、以下の関係式が成り立つ。
REF1(MODE2)<VREF1(MODE1)=VIN2<VIN1
【0050】
たとえば、VIN1=5V,VIN2=3.0V、VREF1(MODE2)=2.9V、VREF1(MODE1)=3.0Vとすることができる。
【0051】
第2制御回路140Bは、第1モードMODE1において第2出力トランジスタ132をオフし、第2モードMODE2において第2出力トランジスタ132をフルオンする。たとえば第2制御回路140Bは、電流源144とスイッチ146を含む。スイッチ146は、第1モードMODE1においてオンであり、第2モードMODE2においてオフである。スイッチ146がオフとなると、第2出力トランジスタ132のゲート電圧が0Vとなり、第2出力トランジスタ132がフルオンする。
【0052】
(変形例)
第1出力トランジスタ112や第2出力トランジスタ132は、NMOSトランジスタで構成してもよい。その場合、第1オペアンプ122や第2オペアンプ142の入力の極性を入れ替えればよい。
【0053】
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものである。また、実施形態のみでなく、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
100 電源回路
VIN1 第1入力ピン
VIN2 第2入力ピン
VOUT 出力ピン
110 第1出力回路
112 第1出力トランジスタ
120 第1制御回路
122 第1オペアンプ
124 可変電圧源
130 第2出力回路
132 第2出力トランジスタ
140 第2制御回路
142 第2オペアンプ
200 電源システム
210 DC/DCコンバータ
220 負荷
230 ホストコントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6