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特開2024-95260コネクタ装置、コネクタ、及びバーンイン検査方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095260
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】コネクタ装置、コネクタ、及びバーンイン検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/06 20060101AFI20240703BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
H01R31/06 Z
G01R31/26 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212418
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】青木 正義
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AC01
2G003AG08
(57)【要約】
【課題】バーンイン検査装置側のコネクタが被検査基板側のコネクタとの多数回の結合及び結合解除により短寿命になるおそれがある。
【解決手段】コネクタ装置9は、バーンイン検査対象の1以上の半導体装置が搭載された被検査基板上に実装されるべき第1コネクタ10と、バーンイン検査装置側に設けられ、かつ第1コネクタ10に結合可能である第2コネクタ20を含む。第1コネクタ10が、複数の第1コンタクト端子12を含む。第2コネクタ20が、複数の第2コンタクト端子22、及び少なくとも一つの中継部材30を含む。中継部材30が複数の中継導体を含む。複数の中継導体の各中継導体が、第1コンタクト端子12と第2コンタクト端子22の間の電気的導通を介在する。中継部材30が、第2コネクタ20において取り外し可能に設けられる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーンイン検査対象の1以上の半導体装置が搭載された被検査基板上に実装されるべき第1コネクタと、バーンイン検査装置側に設けられ、かつ前記第1コネクタに結合可能である第2コネクタを備えるコネクタ装置であって、
前記第1コネクタが、複数の第1コンタクト端子、及び少なくとも前記複数の第1コンタクト端子を支持する第1インシュレータを含み、
前記第2コネクタが、複数の第2コンタクト端子、少なくとも前記複数の第2コンタクト端子を支持する第2インシュレータ、及び少なくとも一つの中継部材を含み、
前記中継部材が複数の中継導体を含み、
前記複数の中継導体の各中継導体が、前記第1コンタクト端子と前記第2コンタクト端子の間の電気的導通を介在し、
前記中継部材が、前記第2コネクタにおいて取り外し可能に設けられる、コネクタ装置。
【請求項2】
前記第2コネクタは、前記複数の第2コンタクト端子と前記複数の中継導体が個別に接触して電気的に導通する所定位置に前記中継部材を位置決め固定するように構成される、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第2コネクタは、前記少なくとも一つの中継部材を少なくとも部分的に保持するように構成されたハウジングを含み、前記ハウジングにより保持された前記少なくとも一つの中継部材は、少なくとも一つのロック部材によって前記ハウジングに対して位置決め固定される、請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの中継部材は、少なくとも前記複数の中継導体が形成された中継基板を含み、前記ロック部材は、前記中継基板の1以上の切り欠きに対して係合する1以上のロック部を有する、請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、複数の前記中継基板を保持するように構成され、前記ロック部材は、前記ハウジングに対する前記複数の中継基板の位置決め固定のために共通に用いられる、請求項4に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの中継部材は、少なくとも前記複数の中継導体が形成された中継基板を含み、前記中継基板は、前記ハウジングに対する前記中継基板の挿入方向に直交する幅方向において第1及び第2端部を有し、
前記ロック部材は、前記中継基板の前記第1及び第2端部に個別に形成された第1及び第2切り欠きに対して個別に係合する第1及び第2ロック部を含む、請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記中継基板の前記第1端部が挿入される第1挿入溝が内壁面に形成された第1側壁と、前記中継基板の前記第2端部が挿入される第2挿入溝が内壁面に形成された第2側壁と、前記第1ロック部が挿入される第3挿入溝と、前記第2ロック部が挿入される第4挿入溝を有し、
前記第3挿入溝は、前記ハウジングに対する前記中継基板の挿入方向に直交する方向に沿って前記第1側壁内を延びて前記第1挿入溝に空間的に連通し、前記第4挿入溝は、前記ハウジングに対する前記中継基板の挿入方向に直交する方向に沿って前記第2側壁内を延びて前記第2挿入溝に空間的に連通する、請求項6に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、複数の前記中継基板を保持するように構成され、
前記第1側壁の内壁面には前記第1挿入溝がコネクタ高さ方向に沿って所定ピッチで形成され、前記第2側壁の内壁面には前記第2挿入溝が前記コネクタ高さ方向に沿って所定ピッチで形成され、
前記第3挿入溝は、前記第1挿入溝それぞれに空間的に連通するように前記コネクタ高さ方向に沿って延び、前記第4挿入溝は、前記第2挿入溝それぞれに空間的に連通するように前記コネクタ高さ方向に沿って延びる、請求項7に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
前記第2インシュレータが複数の平板状部材を含み、前記複数の平板状部材の各平板状部材が、前記複数の第2コンタクト端子に含まれる2以上の第2コンタクト端子を支持し、
前記ハウジングは、前記第2コネクタの幅方向において前記複数の平板状部材の配列を保持するように構成される、請求項3乃至8のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項10】
前記2以上の第2コンタクト端子の各第2コンタクト端子は、コンタクト部、DIP端子、及び前記コンタクト部と前記DIP端子を接続する中間配線を含み、
前記2以上の第2コンタクト端子は、前記中間配線が、前記ハウジングの係合溝に係合可能なように前記平板状部材から突出する係合突起を有する少なくとも一つの第2コンタクト端子を含む、請求項9に記載のコネクタ装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの中継部材は、少なくとも前記複数の中継導体が形成された中継基板を含み、
前記複数の第1及び第2コンタクト端子の各コンタクト端子が揺動可能なアーム片を含み、前記複数の第1及び第2コンタクト端子は、前記中継基板が前記アーム片の間で挟まれるように設けられる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項12】
前記中継基板の表裏面には、当該中継基板を挟む前記アーム片の一方のための表側のコンタクトパッドと、当該中継基板を挟む前記アーム片の他方のための裏側のコンタクトパッドが個別に形成される、請求項11に記載のコネクタ装置。
【請求項13】
バーンイン検査対象の1以上の半導体装置が搭載された異なる被検査基板に対して繰り返しバーンイン検査を行うバーンイン検査装置側に設けられるコネクタであって、
複数のコンタクト端子と、
少なくとも前記複数のコンタクト端子を支持する部分を含むインシュレータと、
少なくとも一つの中継部材を備え、
前記少なくとも一つの中継部材は、各中継導体が、前記複数のコンタクト端子と前記1以上の半導体装置の複数の接続端子の間の個別の電気的導通路の一部を形成する複数の中継導体を含み、
前記少なくとも一つの中継部材は、当該コネクタにおいて取り外し可能に設けられる、コネクタ。
【請求項14】
前記コネクタは、前記複数のコンタクト端子と前記複数の中継導体が個別に接触して電気的に導通する所定位置に前記中継部材を位置決め固定するように構成される、請求項13に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記コネクタは、前記少なくとも一つの中継部材を少なくとも部分的に保持するように構成されたハウジングと、前記ハウジングにより保持された前記少なくとも一つの中継部材を前記ハウジングに対して位置決め固定する少なくとも一つのロック部材を更に含む、請求項14に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記インシュレータが複数の平板状部材を含み、
前記ハウジングは、当該コネクタの幅方向において前記複数の平板状部材の配列を保持するように構成される、請求項15に記載のコネクタ。
【請求項17】
前記少なくとも一つの中継部材は、少なくとも前記複数の中継導体が形成された中継基板を含む、請求項13乃至16のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項18】
半導体装置が搭載された被検査基板をバーンイン検査する方法であって、
被検査基板に実装された第1コネクタを装置側基板に実装された第2コネクタに結合して前記被検査基板上の第1群の半導体ICをバーンイン検査装置に電気的に接続し、前記バーンイン検査装置が前記第1群の半導体ICに対してバーンイン検査を行う第1工程と、
前記被検査基板と同一又は異なる被検査基板に実装された第1コネクタを前記装置側基板に実装された前記第2コネクタに結合して前記被検査基板上の第2群の半導体ICを前記バーンイン検査装置に電気的に接続し、前記バーンイン検査装置が前記第2群の半導体ICに対してバーンイン検査を行う第2工程と、
前記第1工程と前記第2工程の間で、前記装置側基板の前記第2コネクタの既存の中継部材を別の中継部材に交換する工程を含み、
前記既存及び別の中継部材それぞれは、各中継導体が、前記第2コネクタのコンタクト端子と前記第1コネクタのコンタクト端子の間の電気的導通を介在する複数の中継導体を含み、
前記既存及び別の中継部材それぞれは、前記第2コネクタにおいて取り外し可能に設けられる、バーンイン検査方法。
【請求項19】
前記第2コネクタは、少なくとも部分的に前記中継部材を保持するハウジングと、前記ハウジングに対して前記中継部材を位置決め固定するロック部材を有する請求項18に記載のバーンイン検査方法であって、
前記ロック部材を用いて前記ハウジングに対して前記別の中継部材を位置決め固定する工程を更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置、コネクタ、及びバーンイン検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはバーンインテストボードに拡張コネクタを設けることが開示されている。特許文献2には互いに結合されるコネクタ同士の位置決めのために突起及び溝を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-193712号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1425367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バーンイン検査装置は、検査対象の異なる半導体装置が搭載された同一又は異なる被検査基板に対して繰り返しバーンイン検査を実施する。例えば、バーンイン検査装置は、第1群の半導体装置が搭載された第1の被検査基板についてバーンイン検査を実施し、第1の被検査基板の取り外し後、第2群の半導体装置が搭載された第2の被検査基板についてバーンイン検査を実施する。尚、異なるバーンイン検査のために共通の被検査基板を用いることもできる。バーンイン検査装置と被検査基板の間の接続は、コネクタ装置を用いることが一般的であるが、コネクタ同士の繰り返しの結合及び結合解除により問題が発生する場合があった。例えば、コンタクト端子同士の接触や擦れによってコンタクト端子の電気的特性(例えば、抵抗値)が変化し、バーンイン検査の信頼性に影響し得る。
【0005】
本願発明者は、上述の非限定の例示の説明に関して、バーンイン検査装置側のコネクタが被検査基板側のコネクタとの多数回の結合及び結合解除により(例えば、コンタクト端子同士の接触や擦れによって)短寿命になり易いという新たな課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコネクタ装置は、バーンイン検査対象の1以上の半導体装置が搭載された被検査基板上に実装されるべき第1コネクタと、バーンイン検査装置側に設けられ、かつ第1コネクタに結合可能である第2コネクタを備えるコネクタ装置である。第1コネクタが、複数の第1コンタクト端子、及び少なくとも複数の第1コンタクト端子を支持する第1インシュレータを含む。第2コネクタが、複数の第2コンタクト端子、少なくとも複数の第2コンタクト端子を支持する第2インシュレータ、及び少なくとも一つの中継部材を含む。中継部材が複数の中継導体を含む。複数の中継導体の各中継導体が、第1コンタクト端子と第2コンタクト端子の間の電気的導通を介在する。中継部材が、第2コネクタにおいて取り外し可能に設けられる。
【0007】
本開示の一態様に係るコネクタは、バーンイン検査対象の1以上の半導体装置が搭載された異なる被検査基板に対して繰り返しバーンイン検査を行うバーンイン検査装置側に設けられるコネクタであり、複数のコンタクト端子と、少なくとも複数のコンタクト端子を支持する部分を含むインシュレータと、少なくとも一つの中継部材を含む。少なくとも一つの中継部材は、各中継導体が、複数のコンタクト端子と1以上の半導体装置の複数の接続端子の間の個別の電気的導通路の一部を形成する複数の中継導体を含む。少なくとも一つの中継部材は、当該コネクタにおいて取り外し可能に設けられる。
【0008】
本開示の一態様に係る半導体装置が搭載された被検査基板をバーンイン検査する方法は、被検査基板に実装された第1コネクタを装置側基板に実装された第2コネクタに結合して被検査基板上の第1群の半導体ICをバーンイン検査装置に電気的に接続し、バーンイン検査装置が第1群の半導体ICに対してバーンイン検査を行う第1工程と、被検査基板と同一又は異なる被検査基板に実装された第1コネクタを装置側基板に実装された第2コネクタに結合して被検査基板上の第2群の半導体ICをバーンイン検査装置に電気的に接続し、バーンイン検査装置が第2群の半導体ICに対してバーンイン検査を行う第2工程と、第1工程と第2工程の間で、装置側基板の第2コネクタの既存の中継部材を別の中継部材に交換する工程を含む。既存及び別の中継部材それぞれは、各中継導体が、第2コネクタのコンタクト端子と第1コネクタのコンタクト端子の間の電気的導通を介在する複数の中継導体を含む。既存及び別の中継部材それぞれは、第2コネクタにおいて取り外し可能に設けられる。バーンイン検査方法は、ロック部材を用いてハウジングに対して別の中継部材を位置決め固定する工程を更に含むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様においては、バーンイン検査装置側のコネクタにおいて中継部材の交換が可能であり、バーンイン検査装置側のコネクタのより長期の使用が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】バーンイン検査装置と被検査基板の概略図である。
図2】装置側基板と被検査基板がコネクタ装置を介して結合した模式図である。
図3】被検査基板側のコネクタ(第1コネクタ)の斜視図である。
図4】バーンイン検査装置側のコネクタ(第2コネクタ)の斜視図である。
図5】結合解除状態のコネクタ装置の斜視図である。
図6】結合状態のコネクタ装置の斜視図である。
図7】第1コネクタの分解斜視図である。
図8】第2コネクタの分解斜視図である。
図9】第2コネクタの正面図である。
図10図9のX10-X10での概略的な断面図である。
図11】第1及び第2コンタクト端子が中継基板を介して導通した状態を示す模式図である。
図12】ハウジングの部分拡大図である。
図13】第2コンタクト端子を保持する第2平板状部材の斜視図である。
図14】第2平板状部材における第2コンタクト端子の配置及び構成を示す模式図である。
図15】中継基板の斜視図である。
図16】中継基板の構成例を示す模式図である。
図17】中継基板の構成例を示す模式図である。
図18】中継基板の構成例を示す模式図である。
図19】中継基板の構成例を示す模式図である。
図20】中継基板のパット配列例を示す模式図である。
図21】中継基板のパット配列例を示す模式図である。
図22】中継部材の表裏にアーム片が設けられて第1コンタクト端子に電気的に接続される変形例を示す模式図である。
図23】中継部材の表裏にアーム片が設けられて被検査基板に電気的に接続される変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る様々な実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。
【0012】
図1及び図2を参照して説明する。バーンイン検査装置1は、ソケット7(省略可能)を介して被検査基板8に搭載された検査対象の半導体IC(半導体装置の非限定の一例)をバーンイン検査する。バーンイン検査装置1は、典型的には、装置側基板6を有し、これに対して被検査基板8がコネクタ装置9を介して接続される。コネクタ装置9は、被検査基板8上に実装された第1コネクタ10と、装置側基板6上に実装された第2コネクタ20を有する。第1コネクタ10と第2コネクタ20を結合して電気的に接続することでバーンイン検査装置1(例えば、そのI/O回路5)に対して半導体ICが電気的に接続され、即ち、バーンイン検査装置1が半導体ICにアクセス可能になる。半導体ICは、典型的には、ロジック回路を内蔵するが、これに限られない。半導体IC以外の半導体装置も同様に検査可能である。
【0013】
ソケット7は、被検査基板8に実装され、検査対象の半導体ICを受容可能に構成される。バーンイン検査の度にソケット7において半導体ICが(即ち、検査済みのものが未検査のものに)交換される。バーンイン検査装置1の構成及び機能について詳述はしないが、概要としては、半導体ICに対して基準クロックとテストクロックを供給して半導体ICの出力波形パターンを取得し、その異常の有無を検査する。被検査基板8は、バーンイン検査装置1において温度及び/又は湿度が制御された検査室内に配置されて検査され得る。
【0014】
バーンイン検査装置1によるバーンイン検査は、次の工程を含む。第1コネクタ10を第2コネクタ20に結合して被検査基板8上の第1群の半導体ICをバーンイン検査装置1に電気的に接続し、バーンイン検査装置1が第1群の半導体ICをバーンイン検査する。第1コネクタ10を第2コネクタ20に結合して被検査基板8上の第2群の半導体ICをバーンイン検査装置1に電気的に接続し、バーンイン検査装置1が第2群の半導体ICをバーンイン検査する。後述の説明から分かるように、第1群の半導体ICに対するバーンイン検査と第2群の半導体ICに対する異なる時点のバーンイン検査の間で、第2コネクタ20の既存の中継部材を別の中継部材に交換することができ、これにより第2コネクタ20の長寿命化が促進される。尚、中継部材30の交換タイミングは、第1コネクタ10と第2コネクタ20の結合及び結合解除の回数や時間(例えば、3ヶ月に一回)に応じて決定することができる。
【0015】
尚、図2は、ソケット7及びそこに受容された半導体ICが、被検査基板8の配線、第1コネクタ10の導体、第2コネクタ20の導体、及び装置側基板6の配線を介してI/O回路5に接続されていることを模式的に示す。第1コネクタ10の個数、第2コネクタ20の個数は4つに限らず、基板サイズに応じて増減可能である。第1コネクタ10及び第2コネクタ20に関して、第1及び第2という用語は、その個数について何ら限定するものではない。
【0016】
図3乃至図6を参照して説明する。第1コネクタ10は、結合相手の第2コネクタ20に対面する結合面に5つのスロットSL1~SL5を有する。第2コネクタ20は、結合相手の第1コネクタ10に対面する結合面に5つのプラグ部PG1~PG5を有する。第1コネクタ10のスロットSL1~SL5に第2コネクタ20のプラグ部PG1~PG2が個別挿入されて両者が電気的に接続される。詳細には第1コネクタ10の第1コンタクト端子12と第2コネクタ20の後述の中継部材30が電気的に接続される。後述のように第2コネクタ20において中継部材30の中継導体と第2コンタクト端子22が電気的に接続されている。従って、第1コネクタ10と第2コネクタ20の結合によって、第1コンタクト端子12は、中継部材30を介して第2コンタクト端子22に電気的に接続される。
【0017】
第1コネクタ10にガイド溝R1,R2を形成し、第2コネクタ20にガイド突起P1,P2を形成することができる。第2コネクタ20に第1コネクタ10を結合する過程で、ガイド溝R1,R2にガイド突起P1,P2が進入し、第2コネクタ20に対する第1コネクタ10の水平移動が促進され、スロットSL1~SL5にプラグ部PG1~PG2が円滑に挿入される。尚、ガイド溝R1,R2及びガイド突起P1,P2は、いずれも第1コネクタ10及び第2コネクタ20が実装された基板の基板面に平行に延在する。
【0018】
図7を参照して説明する。第1コネクタ10は、複数の第1コンタクト端子12を支持する複数の第1平板状部材70’と、複数の第1平板状部材70’を受容及び保持する第1ハウジング40’と、第1ハウジング40’からの複数の第1平板状部材70’の脱落を防止するキャップ枠49’を有する。第1平板状部材70’は、複数の第1コンタクト端子12を支持する第1インシュレータである。第1平板状部材70’は、第1コネクタ10のコネクタ幅方向に薄厚の平板材であり、同コネクタ幅方向に直交する平面において複数の第1コンタクト端子12を支持する。コネクタ幅方向に複数の第1平板状部材70’が配列されることで一つの第1平板状部材70’により支持された第1コンタクト端子12の個数と第1平板状部材70’の個数の乗算値に等しいチャンネル数が得られる。尚、図7には2個の第1平板状部材70’しか図示していないが、実際には図3に示したようにコネクタ幅方向において多数の第1平板状部材70’が配置される。
【0019】
第1ハウジング40’は、コネクタ幅方向において対向配置された第1側壁41’と第2側壁42’と、コネクタ幅方向に延びて第1側壁41’と第2側壁42’を連結する連結板43’を含み、第2コネクタ20を臨む側と下方(基板側)において開口する。第1ハウジング40’は、第1コネクタ10の幅方向における複数の第1平板状部材70’の配列(例えば、それらの積層配列)を第1側壁41’と第2側壁42’の間で保持するように構成される。また、第1ハウジング40’は、第2コネクタ20(その第2ハウジング40)に対向する対向面48’を有する。
【0020】
第1側壁41’の内壁面には中継部材30の先端部32j(上述のプラグ部)が挿入される第1挿入溝61’がコネクタ高さ方向に所定ピッチで形成される。第2側壁42’の内壁面についても同様に第2挿入溝62’が形成される。各挿入溝は、第1ハウジング40’の対向面48’に挿入端を持つ態様でコネクタ奥行き方向沿いに延びる。第1ハウジング40’において同じ高さに位置する第1挿入溝61’及び第2挿入溝62’により一つの中継部材30が保持される。連結板43’は、天板と側板を含む。キャップ枠49’は、第1ハウジング40’からの第1平板状部材70’の脱落を防止するべく第1平板状部材70’を下方から支持する矩形枠であり、第1ハウジング40’に対して取付固定される。
【0021】
図8を参照して説明する。第2コネクタ20は、複数の第2コンタクト端子22を支持する複数の第2平板状部材70と、複数の第2平板状部材70を受容及び保持する第2ハウジング40と、第2ハウジング40からの複数の第2平板状部材70の脱落を防止するキャップ枠49を有する。第2平板状部材70は、複数の第2コンタクト端子22を支持する第2インシュレータである。第2平板状部材70は、第2コネクタ20のコネクタ幅方向に薄厚の平板材であり、同コネクタ幅方向に直交する平面において複数の第2コンタクト端子22を支持する。コネクタ幅方向に複数の第2平板状部材70が配列されることで一つの第2平板状部材70により支持された第2コンタクト端子22の個数と第2平板状部材70の個数の乗算値に等しいチャンネル数が得られる。尚、図8には2個の第2平板状部材70しか図示していないが、実際には図4に示したようにコネクタ幅方向において多数の第2平板状部材70が配置される。
【0022】
第2ハウジング40は、コネクタ幅方向において対向配置された第1側壁41と第2側壁42と、コネクタ幅方向に延びて第1側壁41と第2側壁42を連結する連結板43を含み、第1コネクタ10を臨む側と下方(基板側)において開口する。第2ハウジング40は、第2コネクタ20の幅方向における複数の第2平板状部材70の配列(例えば、それらの積層配列)を第1側壁41と第2側壁42の間で保持するように構成される。第2ハウジング40は、第1コネクタ10(その第1ハウジング40’)に対向する対向面48を有する。
【0023】
第1側壁41の内壁面には中継部材30の基端部32k(上述のプラグ部とは反対側の部分)が挿入される第1挿入溝61がコネクタ高さ方向に所定ピッチで形成される。第2側壁42の内壁面にも同様に第2挿入溝62が形成される。各挿入溝は、第2ハウジング40の対向面48に挿入端を持つ態様でコネクタ奥行き方向沿いに延びる。第2ハウジング40において同じ高さに位置する第1挿入溝61及び第2挿入溝62により一つの中継部材30が保持される。連結板43は、天板と側板を含む。キャップ枠49は、第2ハウジング40からの第2平板状部材70の脱落を防止するべく第2平板状部材70を下方から支持する矩形枠であり、第2ハウジング40に対して取付固定される。
【0024】
第2コネクタ20は、第1コネクタ10とは異なり、複数の中継部材30及びロック部材50を更に有する。中継部材30は、必ずしもこの限りではないが、中継基板として設けられ得る。この場合、中継部材30を比較的単純に(例えば、多層積層基板として)製造することができる。中継部材30を他の方法で製造することも可能である。
【0025】
中継部材30は、略矩形状の基板であって、その短幅方向において第1コネクタ10との関係でプラグ部として機能する先端部32jと、これとは反対側の基端部32kを有する。中継部材30は、その長幅方向において第1端部32aと第2端部32bを有し、これらの間に(第1コンタクト端子12と第2コンタクト端子22を個別接続するための)多数の中継導体を有する。中継部材30の第1端部32aに第1切り欠き33を形成し、第2端部32bに第2切り欠き34を形成することができ、これにより、ロック部材50による中継部材30の強固な位置決め固定が促進される。
【0026】
中継部材30には、第1コンタクト端子12と第2コンタクト端子22の電気的導通を介在する複数の中継導体35a,35b,35cを含む(図8では代表的にコネクタ幅方向の末端の3つの中継導体のみに符合を付している)。コネクタ幅方向に平行な軸線に沿って多数の中継導体35aが配置され、中継導体35bと中継導体35cについても同様である。第1コネクタ10と第2コネクタ20の結合方向において中継導体35aと中継導体35bの間で中継導体35cが挟まれる。また、同結合方向において中継導体35b,35cが中継部材30の内部配線を介して電気的に接続される。一例としては、第2コネクタ20の第2コンタクト端子22が中継導体35aに接触して電気的に導通する。中継部材30が第1コネクタ10に電気的に接続される時、第1コネクタ10の第1コンタクト端子12が中継導体35bに接触して電気的に導通する。このようにして中継部材30を介して第1及び第2コンタクト端子12,22が電気的に導通する。
【0027】
ロック部材50は、第2ハウジング40からの中継部材30の脱落を防止するために第2ハウジング40に取り付けられ、これにより、第2コンタクト端子22と中継導体35a,35cが個別に接触して電気的に導通する所定位置に中継部材30が位置決め固定される。ロック部材50は、コネクタ幅方向で対向配置された第1ロック部51及び第2ロック部52と、第1ロック部51及び第2ロック部52を連結する連結板55を有する。第1ロック部51の内壁面(第2ロック部52に対向する面)には凸条の第1ロック条53が形成され、第2ロック部52の内壁面(第1ロック部51に対向する面)には凸条の第2ロック条54が形成される。図示例を含む幾つかの場合、第1ロック部51及び第2ロック部52が、中継部材30の長手方向と同じ方向において間隔を空けて配置され、かつ連結板55が同方向に延びる。
【0028】
第2ハウジング40は、第1側壁41において上述の第1挿入溝61に空間的に連通するようにコネクタ高さ方向に延びる第3挿入溝63と、第2側壁42において上述の第2挿入溝62に空間的に連通するようにコネクタ高さ方向に延びる第4挿入溝64と、オプションとして更に第2ハウジング40の天板に凹設された凹部65を有する。第3挿入溝63に第1ロック部51が挿入される。第4挿入溝64に第2ロック部52が挿入される。
【0029】
第2ハウジング40に中継部材30の基端部32kが挿入されている時、第3挿入溝63に第1ロック部51を挿入し、第4挿入溝64に第2ロック部52を挿入する。これによって、中継部材30の第1切り欠き33に第1ロック条53が嵌合し、中継部材30の第2切り欠き34に第2ロック条54が嵌合する。斯くして、第2ハウジング40においてロック部材50により中継部材30が位置決め固定される。第2コネクタ20の組立の簡素化又は別の目的のため、複数個の中継部材30に対して共通のロック部材50を用いることができる。この場合、ロック部材50の一つのロック条は、第2ハウジング40により支持された複数の中継部材30の異なる第1切り欠き33(これらはコネクタ高さ方向に同軸配置されている)に係合する。ロック部材50の別のロック条についても同様、第2ハウジング40により支持された複数の中継部材30の異なる第2切り欠き34(これらはコネクタ高さ方向に同軸配置されている)に係合する。
【0030】
第2ハウジング40に対するロック部材50の取り付けが完了する時、第1ロック部51の外面の爪が第1側壁41の下面(第2コネクタ20が実装された装置側基板6の基板面を臨む面)により係止され、第2ロック部52の外面の爪が第2側壁42の下面(第2コネクタ20が実装された装置側基板6の基板面を臨む面)により係止され得る。また、連結板55が凹部65に受容されて天板から上方に突出しない。
【0031】
尚、中継部材30における切り欠きの位置及び個数は任意に変更可能である。中継部材30の長手方向における両端に切り欠きを形成することの追加又は代替として、両端の中間の任意に位置に1以上の切り欠きを形成することもできる。この切り欠きの位置及び個数の変更に応じてロック部材50の具体的な形状も適宜変更可能である。一つのロック部材50によりロックされる中継部材30の個数も適宜変更可能である。複数個の中継部材30のロックのために同数のロック部材50を設けることもできる。なお、第2コネクタ20における中継部材30のロックを全く別の方法で実施することもできることに留意されたい。例えば、中継部材30をロックする手段を第2平板状部材70に設けることもできる。また中継部材30が第2コンタクト端子22により強く挟まれることで中継部材30をロックすることもできる。
【0032】
図9乃至図10を参照して説明する。コネクタ高さ方向において異なる高さに異なる中継部材30が第2ハウジング40に対して取り付けられ、この結果、第2ハウジング40により保持される。図9には、合計5段の中継部材30が第2ハウジング40により保持されている。第2ハウジング40に対して中継部材30が取り付けられていない時、第2ハウジング40と複数の第2平板状部材70の組立品において5つのスロットが形成されている。幾つかの場合、これらのスロットは、第1コネクタ10のスロットSL1~SL5と同等のものである。この場合、第2平板状部材70が、第1平板状部材70’と完全に同一の部材である。
【0033】
第2ハウジング40と複数の第2平板状部材70の組立品のスロットに対して中継部材30がその基端部32kから挿入されると、中継部材30は、(第1挿入溝61及び第2挿入溝62と第1端部32a及び第2端部32bの係合により)第2ハウジング40により保持され、更には、(第2平板状部材70により保持された)第2コンタクト端子22に電気的に接続されることになる。具体的には、中継部材30の中継導体35a,35b,35cと第2コンタクト端子22が接触して電気的に導通する。この点に関して、第1コンタクト端子12と第2コンタクト端子22が直接的に接触しない。従って、第2コネクタ20に対する第1コネクタ10の結合及び結合解除の回数に比例して第2コンタクト端子22が摩耗することはない。中継導体35a,35b,35cのうち第1コンタクト端子12に接触する部分については摩耗が生じるおそれがある。しかしながら、第2コネクタ20において中継部材30が交換可能に設けられている。従って、第2コネクタ20の全体の交換の必要性はなく、第2コネクタ20の長期間に亘る使用が促進される。この点は、バーンイン検査の如く、第1及び第2コネクタの多数回の結合及び結合解除が予定されている用途において顕著な利益になる。例えば、コネクタ不良によるバーンイン検査装置のメンテナンス負担が軽減され、バーンイン検査の中断も抑制される。
【0034】
第2コンタクト端子22は、第2ハウジング40に対して多段で取り付けられる中継部材30との電気的な接続のために、同一の第2平板状部材70において個々に異なるサイズを持つことができる。例えば、最も下段の中継部材30に電気的に接続される第2コンタクト端子22の全長が最短であり、より上段の中継部材30に電気的に接続される第2コンタクト端子22の全長がその段数に応じて(例えば、比例して)より長くなる。追加又は代替として、第2コンタクト端子22は、同一の第2平板状部材70において一対のグランド端子により一対の信号端子が挟まれた1以上の端子配列を含むことができる(図10のGSSG参照)。
【0035】
第2コンタクト端子22は、コンタクト部81、DIP端子83、及びコンタクト部81とDIP端子83を接続する中間配線82を含み、必ずしもこの限りではないが、図示の如く屈曲した形状を有し得る。コンタクト部81は、中継部材30の中継導体35a,35b,35cに接触して電気的に導通する部分であり、好適には、片持ち梁状に支持された揺動可能なアーム片として構成される。DIP端子83は、装置側基板6の対応のコンタクトホールに挿入され、リフロー半田付けにより装置側基板6に電気的に接続される。中間配線82は、第2平板状部材70の絶縁材料に埋設された内部配線であるが、第2平板状部材70の絶縁材料から露出する部分を持つこともできる。
【0036】
中間配線82は、第2コネクタ20が実装される装置側基板6の基板面に平行に延びる第1部分と、装置側基板6の基板面に垂直に延びる第2部分と、第1及び第2部分の間で斜めに延びる部分を含むことができる。中間配線82の第1部分にアーム片が接続され、その第2部分にDIP端子83が接続される。
【0037】
中間配線82は、第2平板状部材70の絶縁材料から外部に突出した係合突起82dを持つことができる。第2ハウジング40には係合溝47が形成されており、これに対して係合突起82dが挿入又は圧入される。このようにして第2ハウジング40に対する第2平板状部材70の位置決めが促進される。幾つかの場合、第2ハウジング40が樹脂性であり、他方、係合突起82dが金属製であり、より十分な係合強度が得られやすい。
【0038】
各第2平板状部材70は、中継部材30の両面に対して接触するコンタクト部81を持つ異なる第2コンタクト端子22を支持することができ、これによりチャンネル数を増加することができる。追加又は代替として、各第2平板状部材70は、第1コネクタ10と第2コネクタ20の結合方向において異なる位置にコンタクト部81を持つ第2コンタクト端子22を支持することができ、これによりチャンネル数を増加することができる。
【0039】
第2平板状部材70は、コンタクト部81(例えば、アーム片)の揺動空間を画定するように形状づけられ、例えば、コネクタ高さ方向に配列された複数の壁部79を含むことができる。コネクタ高さ方向において隣接する壁部79においてスロットの短幅が画定される。コネクタ幅方向において第2平板状部材70の壁部79が連続してスロットの一長辺を画定する。各壁部79は、上下片方又は両方のアーム片との干渉を回避する上下片方又は両方に湾曲面を有することができる。第2平板状部材70についてした説明は第1平板状部材70’についても同様に当てはまり、重複説明は省略する。
【0040】
図11に示すように第2コネクタ20に対して第1コネクタ10を結合する時、第2コンタクト端子22と中継部材30の中継導体35a,35b,35cが既に接触している。中継部材30の先端部32j(プラグ部)が第1コネクタ10のスロットに挿入される過程で第1コンタクト端子12(そのコンタクト部81’)が物理的に中継部材30の中継導体に接触し、擦れ合う。中継導体は、スロット入口から遠いコンタクト部81’よりもスロット入口に近いコンタクト部81’と、より長い距離で擦れ合う。このようにして中継部材30の中継導体が第1コンタクト端子12のコンタクト部81’との接触や擦れに起因して摩耗するおそれがある。本形態では、第2コネクタ20において中継部材30が交換可能であり、第2コネクタ20の長期間の使用が促進される。バーンイン検査装置のメンテナンス負担の軽減も促進される。
【0041】
図12は、参考までに第2ハウジング40の天板の内面においてコネクタ幅方向に係合溝47が連続的に形成されることを示す。上述のように、第2平板状部材70の絶縁材料から外部に突出した係合突起82dが係合溝47に圧入され得る。
【0042】
図13及び図14は、複数の第2コンタクト端子22と第2平板状部材70のインサート成形された一体物を示す。第2平板状部材70は、第1~第5段の中継部材30の基端部32kが挿入される溝G1~G5を有する。コネクタ幅方向に第2平板状部材70が連続して配置されることにより溝G1が連続して一つのスロットが形成される(他の溝G2~G5についても同様である)。各溝には、中継部材30の表面側の中継導体との接触のための上側のコンタクト部81と中継部材30の裏面側の中継導体との接触のための下側のコンタクト部81が設けられる。更にオプションとして、溝の開口端から溝の底部に向かう溝深さ方向において上側のコンタクト部81u1,81u2が順に配置され、同様、溝深さ方向において下側のコンタクト部81d1,81d2が順に配置される。前者及び後者のいずれにおいてもチャンネル数の増加の利点を有する。一つの溝内のコンタクト部の個数は任意に調整可能である。
【0043】
第2平板状部材70は、コネクタ幅方向に直交する片方又は両方の側面において壁部79に沿って延びるスペーサー条77を有することができる。スペーサー条77は、コネクタ幅方向において壁部79から突出する。スペーサー条77によって第2平板状部材70が隣接して配置される時に両者の間に隙間が生じる。これにより隣接配置された第2平板状部材70のコンタクト部81同士が誤って接触してしまうことが抑制される。
【0044】
アーム片は、壁部79に沿って溝の開口端に向けて延びる傾斜部81aとアーム片の先端の自由端81bを有する。コネクタ高さ方向において同一の溝内で隣接するアーム片の自由端81bの間隔が中継部材30の挿入方向において漸減するようにアーム片の自由端81bが形状付けられ、これによりアーム片の座屈が回避又は抑制される。
【0045】
図15及び図16を参照して説明する。中継部材30は、第1コネクタ10と第2コネクタ20の結合方向において中継導体35a,35b,35cを有する。第2平板状部材70の同一の溝内に配置された上側のコンタクト部81について、ある上側のコンタクト部81u2が中継導体35aに接触し、別の上側のコンタクト部81u1が中継導体35cの中継導体35a寄りの部分に接触する。同様、第1平板状部材70’の同一の溝内に配置された上側のコンタクト部81’について、ある上側のコンタクト部81u2’が中継導体35bに接触し、別の上側のコンタクト部81u1’が中継導体35cの中継導体35b寄りの部分に接触する。中継導体35aと中継導体35bが内部配線を介して電気的に導通しており、従って、上述のコンタクト端子同士が中継導体35a,35b(及びそれの間の接続配線(貫通電極101,102及び内部配線層103))を介して電気的に接続される。中継導体35cは共通のコンタクトパッドとして機能する。中継部材30の裏面側においても中継導体36a,36b,36cが形成されており、上述と同様にして中継導体を介して第1及び第2コンタクト端子12,22が電気的に接続される。貫通電極104,105及び内部配線層106参照。尚、上述のGSSG配列に整合して、中継導体35a,35bが信号伝送用パッドであり、中継導体35cがグランド用パッドであり得る。GSSG配列による差動伝送により信号(例えば、高周波信号)の伝送特性が高められ得る。
【0046】
図17乃至図19に示すように中継部材30において中継導体を様々な断面構造で形成することができる。典型的には、中継導体は、表面配線、パッド、貫通電極、及び内部配線から成る群から選択された一つ又は2つ以上のものの任意の組み合わせを含むことができる。図17に示すように中継部材30の両側に4つの中継導体35a~35d,36a~36dを設けることができる。図17において内部配線層107,108の如く短小の内部配線を含むことができる。図18において中継導体35cに信号を伝送させ、中継導体35a,35bをグランド電位に設定することによりマイクロストリップラインが形成される。即ち、中継部材30は、高周波信号の伝送路を構築するように形成された中継導体を含むことができる。
【0047】
図20及び図21に示すように中継部材30において中継導体を様々なパターンにて形成することができる。図20においては、中継部材30の片面には中継導体35a~35dの4つの配列が形成されている。中継導体35cと中継導体35dの内部配線を介した接続と、中継導体35aと中継導体35bの内部配線を介した接続がコネクタ幅方向(中継部材30の長手方向)において交互に形成されている。図21においては、内部配線を介して電気的に導通した中継導体35cと中継導体35dのペアと、内部配線を介して電気的に導通した中継導体35aと中継導体35bのペアがコネクタ幅方向(中継部材30の長手方向)において交互に形成されている。他の中継導体のパターンも採用可能である。
【0048】
図22は、中継部材30が、表裏両側に多数のアーム片210を有する形態を示す。このように中継部材30の中継導体は、パッド以外の形態も取ることができる。図23は、中継部材30が、第1コネクタ10を介することなく被検査基板8に電気的に接続される形態を示す。図23において表側にアーム片210が被検査基板8の表側のコンタクトパッドに接触して電気的に導通し、裏側にアーム片210が被検査基板8の裏側のコンタクトパッドに接触して電気的に導通する。
【0049】
第2平板状部材70と第2ハウジング40を一体的に形成することもできる(この場合、第2コネクタ20の第2インシュレータは、第2平板状部材70の絶縁材料部分と第2ハウジング40の絶縁材料部分の両方を含む)。第2ハウジング40は、典型的には樹脂製であるが、金属製とすることもできる。なお、第2ハウジング40に対して第2平板状部材70を取り外し可能に設けることにより第2平板状部材70の選択的な交換も可能となる。
【0050】
上述の説明から理解できるように、本開示においては、中継部材30が第2コネクタ20において取り外し可能に設けられる。即ち、第2コネクタ20全体の交換ではなく中継部材30の交換が可能になる。中継部材30の各中継導体は、第1コネクタ10の第1コンタクト端子12と第2コネクタ20の第2コンタクト端子22の間の電気的導通を介在する。また、各中継導体は、複数の第2コンタクト端子22と(バーンイン検査対象の)1以上の半導体装置の複数の接続端子(又はソケットの接続端子)の間の個別の電気的導通路の一部を形成する。第2コネクタ20に対する第1コネクタ10の結合及び結合解除を繰り返す過程で、中継部材30の中継導体と第1コネクタ10の第1コンタクト端子12の間で繰り返しの接触や擦れが生じ、中継導体の摩耗が進行し得る。必ずしもこの限りではないが、中継導体の摩耗は、単純な接続不良に限らず、バーンイン検査の精度に影響し得る。本実施形態では、中継部材30が第2コネクタ20において取り外し可能であるため第2コネクタ20全体の交換をすることなく中継部材30の交換により第2コネクタ20の更なる継続使用が可能になる。第2コネクタ20において中継部材30をロックすることは、好ましい形態の一つであるが、あくまで任意事項である。
【0051】
上述の教示を踏まえ、当業者は、各実施形態及び各特徴に対して様々な変更を加えることができる。特許請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。中継部材30の位置決め固定のためにロック部材を用いる以外の方法(例えば、圧入)も採用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 :バーンイン検査装置
6 :装置側基板
8 :被検査基板

9 :コネクタ装置
10 :第1コネクタ
12 :第1コンタクト端子
20 :第2コネクタ
22 :第2コンタクト端子

30 :中継部材

32a :第1端部
32b :第2端部
33 :第1切り欠き
34 :第2切り欠き
35a :中継導体
35b :中継導体
35c :中継導体

41 :第1側壁
42 :第2側壁

50 :ロック部材
51 :第1ロック部
52 :第2ロック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
図18
図19
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図23