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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095280
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20240703BHJP
【FI】
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212447
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】万木 太
(72)【発明者】
【氏名】坂上 能章
(72)【発明者】
【氏名】山川 敦史
(72)【発明者】
【氏名】冨永 浩太
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001HA13
2G001JA09
2G001KA03
2G001KA05
2G001PA11
2G001SA16
2G001SA29
(57)【要約】
【課題】X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できるX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置1は、搬送部4と、X線照射部5と、X線検出部6と、X線透過画像に基づいて物品Gの検査を行う検査部と、X線照射部5及びX線検出部6を収容している筐体2と、筐体2内の空気を冷却し、X線検出部6に対して冷気をダクトを介して導風する冷風機9と、冷風機9の状態を監視する監視部18と、監視部18において冷風機の異常が検知された場合、X線検出部6に対する送風を停止させる制御部8と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記物品にX線を照射するX線照射部と、
前記物品を透過した前記X線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部により検出される前記X線からX線透過画像を生成し、前記X線透過画像に基づいて前記物品の検査を行う検査部と、
前記X線照射部及び前記X線検出部を収容している筐体と、
前記筐体内の空気を冷却し、前記X線検出部に対して冷気をダクトを介して導風する冷風機と、
前記冷風機の状態を監視する監視部と、
前記監視部において前記冷風機の異常が検知された場合、前記X線検出部に対する送風を停止させる制御部と、を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記監視部において前記冷風機の異常が検知された場合、前記X線照射部における前記X線の照射、及び、前記X線検出部における前記X線の検出を停止させる、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記監視部において前記冷風機の異常が検知された場合、前記搬送部による前記物品の搬送を継続させる、請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記冷風機は、前記筐体内の前記空気を内気循環により冷却して前記冷気を生成し、
前記筐体内において発生した水を前記筐体の外部に排出する排出部を備え、
前記排出部は、前記筐体内に外部の空気が流入することを抑止する封止部及び逆止弁の少なくとも一方を有する、請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記冷風機から供給される前記冷気を前記ダクトに送風する送風部を備え、
前記制御部は、前記監視部において前記冷風機の異常が検知された場合、前記送風部の作動を停止させる、請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線検査装置は、物品を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部と、物品を透過したX線を検出するX線検出部と、を備えている。特許文献1に記載のX線検査装置は、X線検出部の少なくとも一部に対して冷風機から供給される冷気をダクトを介して導風する導風部を備え、X線検出部を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-164088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のX線検査装置のように、X線検出部を冷却する構成では、冷風機から供給される冷気は、空気を冷却する際に熱交換によって除湿されている。そのため、冷気が導風されるX線検出部及びその周囲の部材等(例えばセンサボックス等)が配置されている環境は、湿度が低い状態(乾燥した状態)となっている。この状態において、冷風機の冷却機能等に不具合が発生し、十分に冷却されていない空気(湿気を含む空気)が温度の低下しているX線検出部に対して導風されると、X線検出部やX線検出部の周囲の部材等に結露が生じ得る。結露により生じた水がX線検出部に浸入すると、X線検出部に不具合が発生し得る。
【0005】
本発明の一側面は、X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係るX線検査装置は、物品を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部と、物品を透過したX線を検出するX線検出部と、X線検出部により検出されるX線からX線透過画像を生成し、X線透過画像に基づいて物品の検査を行う検査部と、X線照射部及びX線検出部を収容している筐体と、筐体内の空気を冷却し、X線検出部に対して冷気をダクトを介して導風する冷風機と、冷風機の状態を監視する監視部と、監視部において冷風機の異常が検知された場合、X線検出部に対する送風を停止させる制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係るX線検査装置では、監視部において冷風機の異常が検知された場合、X線検出部に対する送風を停止させる。これにより、X線検査装置では、冷却機に何らかの異常(不具合)が発生し、冷却機から冷気を供給することができなくなった場合には、X線検出部に対して、十分に冷却されていない空気(湿気を含む空気)が導風されない。そのため、X線検査装置では、X線検出部等に結露が生じることを抑制できる。したがって、X線検査装置では、結露により生じた水がX線検出部に浸入することを抑制できる。その結果、X線検査装置では、X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できる。
【0008】
(2)上記(1)のX線検査装置において、制御部は、監視部において冷風機の異常が検知された場合、X線照射部におけるX線の照射、及び、X線検出部におけるX線の検出を停止させてもよい。この構成では、冷風機に異常が発生した場合、X線照射部におけるX線の照射及びX線検出部におけるX線の検出を停止させることによって、筐体内の温度上昇を抑制できるため、X線検出部が過熱することを抑制できる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)のX線検査装置において、制御部は、監視部において冷風機の異常が検知された場合、搬送部による物品の搬送を継続させてもよい。冷風機の異常発生によって搬送部の動作を停止させると、X線検査装置に物品が取り残され、当該物品が検査済みか否かの判断ができなくなる。この場合、物品を廃棄しなければならなくなり得るため、廃棄ロスが生じ得る。X線検査装置では、監視部において冷風機の異常が検知された場合、搬送部による物品の搬送を継続させる。これにより、X線検査装置では、物品がX線検査装置に取り残されることを回避できるため、廃棄ロスが生じることを回避できる。また、X線検査装置では、搬送部による搬送を継続させることにより、例えば、X線検出部が所定の温度になるまで検査を継続させ、その間に冷却機の異常対応を行うことができる。したがって、物品が処理されるラインの稼働を継続させることができる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)のいずれか一つのX線検査装置において、冷風機は、筐体内の空気を内気循環により冷却して冷気を生成し、筐体内において発生した水を筐体の外部に排出する排出部を備え、排出部は、筐体内に外部の空気が流入することを抑止する封止部及び逆止弁の少なくとも一方を有していてもよい。この構成では、排出部を介して、筐体内に高温や湿度を含んだ空気が流入することを抑制できる。したがって、X線検査装置では、当該空気によってX線検出部等に結露が生じることを抑制できる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれか一つのX線検査装置において、冷風機から供給される冷気をダクトに送風する送風部を備え、制御部は、監視部において冷風機の異常が検知された場合、送風部の作動を停止させてもよい。この構成では、X線検出部に対して、十分に冷却されていない空気が導風されることをより確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るX線検査装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すX線検査装置の背面ドアを開放した状態の斜視図である。
図3図3は、図1のX線検査装置の構成を側面側から示す図である。
図4図4は、図1のX線検査装置の筐体内部を示す斜視図である。
図5図5は、収容部及びダクトを示す斜視図である。
図6図6は、収容部及びダクトを示す斜視図である。
図7図7は、収容部を示す斜視図である。
図8図8は、他の実施形態に係るX線検査装置の筐体内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図1図3図5及び図6には、説明の便宜のため、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」方向を設定するが、実施形態はこれらの方向に限定されない。
【0015】
図1図4に示されるように、X線検査装置1は、筐体2と、支持脚3と、搬送部4と、X線照射部5と、X線検出部6と、表示操作部7と、制御部(検査部)8と、冷風機9と、を備えている。X線検査装置1は、物品Gを搬送しつつ物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査(例えば、収納数検査、異物混入検査、欠品検査、割れ欠け検査等)を行う。
【0016】
筐体2は、搬送部4、X線照射部5、X線検出部6、及び制御部8を収容している。筐体2の内部には、X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられている。支持脚3は、筐体2を支持している。搬送部4は、搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。搬送部4は、例えば、ベルトコンベアである。
【0017】
X線照射部5は、搬送部4によって搬送される物品GにX線を照射する。X線照射部5は、X線照射部5の後方には、ファン10が設けられている。
【0018】
X線検出部6は、電磁波を検出するセンサ11である。X線検出部6は、特定のエネルギー帯のX線を検出可能でもよいし、フォトンカウンティング方式でX線を検出可能でもよい。X線検出部6は、直接変換型検出部でもよいし、間接変換型検出部でもよい。本実施形態では、X線検出部6は、X線をフォトンカウンティング方式で検出可能な直接変換型検出部であり、例えば、物品Gを透過する複数のエネルギー帯の各々のX線を検出するセンサ(マルチエナジーセンサ)を含む。当該センサは、例えば、少なくとも搬送部4の搬送方向及び上下方向に直交する方向(幅方向)に並べられる。当該素子は、上記幅方向だけでなく、上記搬送方向にも並べられてもよい。すなわち、X線検出部6は、ラインセンサを含んでもよいし、二次元的に配置されるセンサ群を含んでもよい。センサ11は、例えば、CdTe半導体検出器などの光子検出型センサである。
【0019】
本実施形態では、X線検出部6は、センサ11に制御基板(図示せず)を加え、X線検出ユニット13として構成されている。X線検出ユニット13は、センサボックス14に収容されている。センサボックス14は、X線検出部6を収容する直方体形状の筐体である。センサボックス14の上面には、X線照射部5から照射されるX線が通過するスリット14Aが設けられている。図5に示されるように、センサボックス14の前面には、開口14Bが設けられている。図6及び図7に示されるように、センサボックス14の後面には、開口14Cが設けられている。
【0020】
図5図7に示されるように、センサボックス14は、収容部15に収容されている。収容部15は、搬送部4の下方に配置されている。収容部15には、冷風機9から供給される冷気の流路15Fが形成されている。収容部15には、ダクト16を介して、冷気が導風される。ダクト16は、収容部15の後部に接続されている。
【0021】
図3に示されるように、表示操作部7は、筐体2に設けられている。表示操作部7は、各種情報を表示すると共に、各種条件の入力を受け付ける。表示操作部7は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。
【0022】
図3に示されるように、制御部8は、筐体2の内部に配置されている。制御部8は、X線検査装置1の各部の動作を制御する。制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されている。制御部8には、X線検出部6のセンサ11(図4参照)から低エネルギー帯及び高エネルギー帯のX線の検出結果が入力される。制御部8は、低エネルギー帯のX線の検出結果、及び高エネルギー帯のX線の検出結果に基づいてX線透過画像を生成し、X線透過画像に基づいて物品Gの検査を行う検査部として機能する。
【0023】
図1及び図2に示されるように、冷風機9は、X線検査装置1の後面に配置されている。本実施形態では、冷風機9は、筐体2を開閉可能にするドア2aに取り付けられている。冷風機9は、例えば、クーラである。冷風機9は、筐体2内部の空気を吸気し、吸気した空気を熱交換器(図示しない)において熱交換し、熱交換により冷却された空気(冷気)を生成する。冷風機9は、内気循環により冷気を生成する。冷風機9は、ダクト16を介して、冷気を収容部15に供給する。
【0024】
ダクト16は、筐体2内に取り付けられている。ダクト16の一端16aは、冷風機9の供給口9aに接続される。ダクト16の一端16aは、後方に向かって開口している。ダクト16の一端16aは、ドア2aが閉められた状態において、冷風機9の供給口9aに接続される。冷風機9の供給口9aとダクト16の一端16aとの間には、ファン(送風部)17が設けられている。ファン17は、冷風機9から供給される冷気をダクト16に送風する。ダクト16の他端16bは、収容部15に接続されている。
【0025】
図3に示されるように、冷風機9は、監視部18を備える。監視部18は、冷風機9の状態を監視する。監視部18は、CPU、ROM、RAM等で構成されている。監視部18は、制御部8と通信可能に接続されている。監視部18は、冷風機9の動作に係る各種情報を入力して冷風機9の状態を監視し、冷風機9の異常を検知する。監視部18は、例えば、冷風機9の温度センサ(図示せず)の温度異常、冷風機9のコンプレッサの電流異常等を検知する。監視部18は、異常を検知すると、エラー信号を制御部8に出力する。
【0026】
図1に示されるように、X線検査装置1は、排出部19を有している。排出部19は、筐体2内において発生した水を筐体2の外部に排出する。排出部19は、筐体2に設けられている。排出部19は、例えば、冷風機9の下方に配置されている。排出部19には、逆止弁20が設けられている。逆止弁20は、筐体2内に、排出部19を介して筐体2の外部の空気が流入することを抑止する。排出部19において、筐体2との接続部分には、封止部(図示せず)が設けられている。封止部は、ゴム等の材料で形成されている。封止部により、筐体2と排出部19との間から、外部の空気が筐体2内に流入することを抑止できる。
【0027】
続いて、冷風機9から供給される冷気の流れについて説明する。冷風機9から供給される冷気は、冷風機9の供給口9aからダクト16に供給される。ダクト16に供給された冷気は、収容部15に流れ込む。図3図5及び図6に示されるように、収容部15に流れ込んだ冷気は、センサボックス14の後方の開口14Cからセンサボックス14の下方に流れ込み、収容部15を前方に向かって流れ、一部が開口14Bから排気され、一部が収容部15に区画されている側方内側の通風路を後方に向かって流れる。収容部15内を流れる冷気は、センサボックス14に収納されたX線検出ユニット13から熱を奪う。温度が上昇した空気(暖気)は、収容部15の前方左右及び通風路を通った後方から筐体2内に排気される。
【0028】
続いて、X線検査装置1の動作について説明する。X線検査装置1では、制御部8は、監視部18からエラー信号が出力されると、すなわち冷風機9の異常が検知されると、ファン17の作動を停止させる。つまり、制御部8は、冷風機9の異常が検知されると、X線検出部6に対する送風を停止させる。制御部8は、監視部18からエラー信号が出力されると、X線照射部5におけるX線の照射、及び、X線検出部6におけるX線の検出を停止させる。本実施形態では、制御部8は、監視部18からエラー信号が出力されると、X線照射部5及びX線検出部6の電源をオフにする。制御部8は、監視部18からエラー信号が出力されると、搬送部4における物品Gの搬送を停止させる。本実施形態では、制御部8は、監視部18からエラー信号が出力されると、搬送部4の電源をオフにする。
【0029】
X線検査装置1では、例えば、冷風機9のエラーが解消されると、表示操作部7におけるオペレータの操作により、各部(搬送部4、X線照射部5、X線検出部6)が動作を再開する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係るX線検査装置1では、監視部18において冷風機9の異常が検知された場合、X線検出部6に対する送風を停止させる。これにより、X線検査装置1では、冷風機9に何らかの異常(不具合)が発生し、冷風機9から冷気を供給することができなくなった場合には、X線検出部6に対して、十分に冷却されていない空気(湿気を含む空気)が導風されない。そのため、X線検査装置1では、X線検出部6等に結露が生じることを抑制できる。したがって、X線検査装置1では、X線検出部6に結露により生じた水分が浸入することを抑制できる。その結果、X線検査装置1では、X線検出部6を冷却する構成において、X線検出部6に不具合が発生することを抑制できる。
【0031】
X線検査装置1において、冷風機9の動作とファン17の動作とを連動させると、X線検査装置1の周囲の温度が低い場合、冷風機9の動作停止に伴ってファン17も動作停止となる。この場合、X線検出部6(X線検出ユニット13)に対する送風が停止するため、X線検出部6が過熱するおそれがある。本実施形態に係るX線検査装置1では、冷風機9とファン17とを独立して動作させるため、冷風機9が動作を停止した場合であっても、筐体2内の低温の空気をX線検出部6に送風することができる。そのため、X線検出部6が過熱することを回避できる。
【0032】
本実施形態に係るX線検査装置1では、制御部8は、監視部18において冷風機9の異常が検知された場合、X線照射部5におけるX線の照射、及び、X線検出部6におけるX線の検出を停止させる。この構成では、冷風機9に異常が発生した場合、X線照射部5におけるX線の照射及びX線検出部6におけるX線の検出を停止させることによって、筐体2内の温度上昇を抑制できるため、X線検出部6が過熱することを抑制できる。
【0033】
本実施形態に係るX線検査装置1は、筐体2内において発生した水を筐体2の外部に排出する排出部19を備える。排出部19は、筐体2内に外部の空気が流入することを抑止する封止部及び逆止弁20を有している。この構成では、排出部19を介して、筐体2内に高温や湿度を含んだ空気が流入することを抑制できる。したがって、X線検査装置1では、当該空気によってX線検出部6等に結露が生じることを抑制できる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0035】
上記実施形態では、X線検出部6として、いわゆるフォトンカウンティング方式のセンサである形態を一例に説明した。しかし、図8に示されるように、X線検出部6は、第一ラインセンサ12aと、第二ラインセンサ12bと、を有してもよい。第一ラインセンサ12a及び第二ラインセンサ12bは、それぞれ、搬送方向Aに垂直な水平方向に沿って一次元に配列されたX線検出素子(図示せず)によって構成されている。第一ラインセンサ12aは、物品G及び搬送部4の搬送ベルトを透過した低エネルギー帯のX線を検出する。第二ラインセンサ12bは、物品G、搬送部4の搬送ベルト及び第一ラインセンサ12aを透過した高エネルギー帯のX線を検出する。
【0036】
上記実施形態及び変形例では、X線検出部6が、X線検出ユニット13として構成されている形態を一例に説明した。しかし、センサ11と制御基板とはそれぞれ別の位置に配置されていてもよい。
【0037】
上記実施形態及び変形例では、監視部18において冷風機9の異常が検知された場合、X線照射部5におけるX線の照射を停止させるためにX線照射部5の電源をオフにすると共に、X線検出部6におけるX線の検出を停止させるためにX線検出部6の電源をオフにする形態を一例に説明した。しかし、X線検査装置1では、監視部18において冷風機9の異常が検知された場合、X線照射部5におけるX線の照射の停止及びX線検出部6におけるX線の検出を停止させればよい。
【0038】
上記実施形態及び変形例では、監視部18において冷風機9の異常が検知された場合、搬送部4による物品Gの搬送を停止させる形態を一例に説明した。しかし、監視部18において冷風機9の異常が検知された場合、搬送部4による物品Gの搬送を継続させてもよい。冷風機9の異常発生によって搬送部4の動作を停止させると、X線検査装置1に物品Gが取り残され、当該物品Gが検査済みか否かの判断ができなくなり得る。そのため、物品Gを廃棄しなければならなくなり得るため、廃棄ロスが生じ得る。監視部18において冷風機9の異常が検知された場合において搬送部4による物品Gの搬送を継続させる構成では、物品GがX線検査装置1に取り残されることを回避できるため、廃棄ロスが生じることを回避できる。また、X線検査装置1では、搬送部4による搬送を継続させることにより、例えば、X線検出部6が所定の温度になるまで検査を継続させ、その間に冷風機9の異常対応を行うことができる。したがって、X線検査装置1では、物品Gが処理されるラインの稼働を継続させることができる。
【0039】
上記実施形態及び変形例では、冷風機9が、筐体2の内部を開閉可能なドア2aに設けられる形態を一例に説明した。しかし、冷風機9は、筐体2の内部に配置されてもよい。また、筐体2の外部に配置された冷風機9からダクト等を介してダクト16に冷気を供給してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…X線検査装置、2…筐体、4…搬送部、5…X線照射部、6…X線検出部、8…制御部(検査部)、9…冷風機、13…X線検出ユニット、16…ダクト、18…監視部、19…排出部、20…逆止弁、G…物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8