(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095289
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/264 20060101AFI20240703BHJP
H01L 31/042 20140101ALI20240703BHJP
【FI】
E06B9/264 B
H01L31/04 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212460
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村木 謙文
【テーマコード(参考)】
2E043
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043BB04
2E043BB12
2E043BB14
2E043BB15
2E043BC02
2E043BD01
2E043BE01
2E043BE12
2E043BE13
2E043DA05
2E043DB06
5F151BA11
5F151EA02
5F151EA06
5F251BA11
5F251EA02
5F251EA06
(57)【要約】
【課題】遮蔽材の表面に太陽電池セルが設けられた遮蔽装置であって、遮蔽材に影が形成されることによる太陽電池の出力低下を抑制可能な遮蔽装置を提供する。
【解決手段】
本発明によれば、遮蔽装置であって、遮蔽材と、前記遮蔽材の表面に設けられた複数の太陽電池セルとを備え、構成(1)及び構成(2)の少なくとも一方を備える、遮蔽装置が提供される。
(1)前記太陽電池セルは、前記遮蔽材の水平幅方向に対して垂直な方向に分割されている
(2)前記遮蔽材が複数のスラットからなるスラット群であり、前記太陽電池セルは、前記スラットの短手方向に分割されている
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽装置であって、
遮蔽材と、前記遮蔽材の表面に設けられた複数の太陽電池セルとを備え、
構成(1)及び構成(2)の少なくとも一方を備える、遮蔽装置。
(1)前記太陽電池セルは、前記遮蔽材の水平幅方向に対して垂直な方向に分割されている
(2)前記遮蔽材が複数のスラットからなるスラット群であり、前記太陽電池セルは、前記スラットの短手方向に分割されている
【請求項2】
請求項1に記載の遮蔽装置であって、
前記構成(1)を備える、遮蔽装置。
【請求項3】
請求項2に記載の遮蔽装置であって、
前記太陽電池セルは、前記水平幅方向にさらに分割されている、遮蔽装置。
【請求項4】
請求項1に記載の遮蔽装置であって、
前記構成(2)を備える、遮蔽装置。
【請求項5】
請求項4に記載の遮蔽装置であって、
前記太陽電池セルは、前記スラットの長手方向にさらに分割されている、遮蔽装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1つに記載の遮蔽装置であって、
複数のバイパスダイオードを備え、
各前記バイパスダイオードは、少なくとも1つの前記太陽電池セルと電気的に並列に接続されており、
前記遮蔽材の水平幅方向に対して垂直な前記方向又は前記短手方向に分割された前記太陽電池セル同士は、異なる前記バイパスダイオードと電気的に並列に接続されている、遮蔽装置。
【請求項7】
請求項6に記載の遮蔽装置であって、
各前記バイパスダイオードは、各太陽電池セルと1対1の関係で電気的に並列に接続されている、遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽材の表面に太陽電池セルを配置した遮蔽装置が知られている。特許文献1には、長尺の遮光板の表面に太陽電池モジュールを取り付けたブラインドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遮蔽材には、設置条件や環境条件に応じて、遮蔽装置の構成部材、遮蔽装置が取り付けられる窓のサッシや方立、外部の建造物等の影が形成される。遮蔽材の表面に設けられた複数の太陽電池セルの一部にでも影が掛かると、影が掛かった太陽電池セルにおいて発電量が低下するとともに内部抵抗が増加し、太陽電池全体からの出力が低下する。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、遮蔽材の表面に太陽電池セルが設けられた遮蔽装置であって、遮蔽材に影が形成されることによる太陽電池の出力低下を抑制可能な遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]遮蔽装置であって、遮蔽材と、前記遮蔽材の表面に設けられた複数の太陽電池セルとを備え、構成(1)及び構成(2)の少なくとも一方を備える、遮蔽装置。
(1)前記太陽電池セルは、前記遮蔽材の水平幅方向に対して垂直な方向に分割されている
(2)前記遮蔽材が複数のスラットからなるスラット群であり、前記太陽電池セルは、前記スラットの短手方向に分割されている
[2][1]に記載の遮蔽装置であって、前記構成(1)を備える、遮蔽装置。
[3][2]に記載の遮蔽装置であって、前記太陽電池セルは、前記水平幅方向にさらに分割されている、遮蔽装置。
[4][1]に記載の遮蔽装置であって、前記構成(2)を備える、遮蔽装置。
[5][4]に記載の遮蔽装置であって、前記太陽電池セルは、前記スラットの長手方向にさらに分割されている、遮蔽装置。
[6][1]から[5]の何れか1つに記載の遮蔽装置であって、複数のバイパスダイオードを備え、各前記バイパスダイオードは、少なくとも1つの前記太陽電池セルと電気的に並列に接続されており、前記遮蔽材の水平幅方向に対して垂直な前記方向又は前記短手方向に分割された前記太陽電池セル同士は、異なる前記バイパスダイオードと電気的に並列に接続されている、遮蔽装置。
[7][6]に記載の遮蔽装置であって、各前記バイパスダイオードは、各太陽電池セルと1対1の関係で電気的に並列に接続されている、遮蔽装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る遮蔽装置においては、太陽電池セルが、遮蔽材の水平幅方向に対して垂直な方向に分割されているか、又は遮蔽材が複数のスラットからなるスラット群である場合においてスラットの短手方向に分割された状態で、遮蔽材の表面に設けられている。このような構成では、遮蔽材の水平幅方向に対して垂直な方向又は短手方向において遮蔽材又はスラットの一部に影が形成された場合に、影が掛かっていない太陽電池セルにおいては発電を継続しつつ、影が掛かった太陽電池セルを回路上で迂回したり切り離したりすることが可能となり、出力低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る遮蔽装置1である電動ブラインド1aを部屋外側から見た正面図である。
図1Bは、電動ブラインド1aの右側面図である。
【
図2】
図2Aは、電動ブラインド1aのスラット30の正面図である。
図2Bは、
図2Aから配線74を省略し、第1領域R1及び第2領域R2を示した図である。
【
図3】
図1Aの電動ブラインド1aの制御部9及びこれに接続される部材の構成を示すブロック図である。
【
図4】電動ブラインド1aのスラット群3の右側面図であり、スラット群3が正全閉となった状態を示す図である。
【
図5】
図5Aは、第1実施形態の変形例の電動ブラインド1aのスラット30の正面図であり、スラット30のおもて面30aにおける太陽電池セル70の配置を模式的に示す図である。
図5Bは、
図5Aから配線74を省略し、第1領域R1及び第2領域R2を図示した図である。
【
図6】
図6Aは、本発明の第2実施形態に係る遮蔽装置1であるプリーツスクリーン1bを部屋外側から見た正面図である。
図6Bは、プリーツスクリーン1bのスクリーン4の右側面図である。
【
図8】
図8Aは、スクリーン4の表面4cの谷折り目4bから下側に隣接する山折り目4aまでの領域を、表面4cに対して垂直な方向から見た図である。
図8Bは、
図8Aから配線74を省略し、第1領域R1及び第2領域R2を図示した図である。
【
図9】
図9Aは、本発明の第3実施形態に係る遮蔽装置1であるロールスクリーン1cを部屋外側から見た正面図である。
図9Bは、ロールスクリーン1cの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
1.第1実施形態
1.1.全体構成
図1A~
図3を用いて、本発明の第1実施形態の遮蔽装置1について説明する。
図1Aから
図2Aに示すように、本実施形態の遮蔽装置1は横型の電動ブラインド1aであり、ヘッドボックス2と、ラダーコード21と、昇降コード22と、複数のスラット30からなるスラット群3(遮蔽材の一例)と、ボトムレール5と、太陽電池セル70と、バッテリ10と、制御部9とを備える。電動ブラインド1aは、取付ブラケット(不図示)等を用いて窓8に対して部屋内側(室内)に取り付けられている。
【0011】
なお、以下の説明では、電動ブラインド1a等の遮蔽装置1の上下及び左右方向を、
図1Aに示すように定める。つまり、遮蔽装置1を部屋外側から見た場合の水平幅方向を左右方向とし、鉛直方向を上下方向とする。また、
図1Aの手前側を前側、奥側を後側とする。なお、本実施形態では、左右方向はスラット30の長手方向に略一致している。
【0012】
ラダーコード21は、ヘッドボックス2から垂下されている。ラダーコード21は、一対の縦糸の間に複数の横糸を備え、横糸によりスラット30が支持されている。一対の縦糸の一端は、ヘッドボックス2内に配置された吊下部材(不図示)に取着されており、ヘッドボックス2内に配置された駆動軸(不図示)の回転に伴い吊下部材が回転することによって、スラット30が回動して傾斜角度が変化するように構成されている。一対の縦糸の他端は、ボトムレール5に取着されている。
【0013】
吊下部材は、スラット群3が正全閉状態又は逆全閉状態になるまでは駆動軸の回転に伴って回転し、その後は駆動軸が吊下部材に対して空回りするように構成されている。ここで、正全閉とは、スラット30のおもて面30a(
図2A参照)が部屋外側に向く方向にスラット群3が最大限傾斜した状態であり、逆全閉とは、スラット30のおもて面30aが部屋内側に向く方向にスラット群3が最大限傾斜した状態を指す。また、正全閉方向とは、スラット群3が正全閉状態に近づくようなスラット30の回動方向であり、逆全閉方向とは、スラット群3が逆全閉状態に近づくようなスラット30の回動方向を指す。
【0014】
図1Bに示すように、昇降コード22は、ヘッドボックス2から垂下され、一端がボトムレール5に取着されている。昇降コード22の他端は、ヘッドボックス2内に配置された巻取軸(不図示)に取着されている。ヘッドボックス2内に配置された駆動軸(不図示)の回転に伴い巻取軸が回転することによって、昇降コード22が巻取軸に巻き取り又は巻き戻しされ、ボトムレール5が昇降する。
【0015】
ヘッドボックス2内には、上述の駆動軸に連結された電動モータ23(
図3参照)が配置されている。電動モータ23の回転に伴って、駆動軸が回転してスラット30の傾斜角度の変更及びボトムレール5の昇降が可能となっている。また、ヘッドボックス2内には、電動モータ23の回転角度を検出可能に構成されたエンコーダ24(
図3参照)が配置されている。エンコーダ24による検出結果は、制御部9へと出力される。
【0016】
太陽電池セル70は、スラット30の表面に設けられている。本実施形態では、
図2Aに示すように、スラット30のおもて面30aに複数の太陽電池セル70が配置されている。
【0017】
バッテリ10は、太陽電池セル70からの出力電流によって充電される。バッテリ10から出力される電力は、電動モータ23に供給される。バッテリ10から出力される電力は、電動ブラインド1aの外部の機器にさらに供給して利用可能としてもよい。また、バッテリ10は、ヘッドボックス2内外の何れに配置してもよく、複数のバッテリ10を設けて、用途に応じてヘッドボックス2の内外に分散して配置してもよい。
【0018】
制御部9は、電動ブラインド1aの動作を制御する。制御部9は、具体的には、電動モータ23を駆動してスラット群3の動作を制御する他、太陽電池セル70の出力を監視する。
【0019】
1.2.太陽電池セル70の配置
次に、太陽電池セル70の配置について詳細に説明する。
【0020】
本実施形態では、
図2A及び
図2Bに示すように、太陽電池セル70が、スラット30のおもて面30aにおいてスラット30の短手方向に分割されている。また、太陽電池セル70は、スラット30の長手方向にさらに分割されている。つまり、太陽電池セル70は、おもて面30aにおいてスラット30の短手方向及び長手方向にそれぞれ複数列配置されている。なお、本実施形態における短手方向とは、全閉状態のスラット30の上端である上側縁部30cと下端である下側縁部30dとを結ぶ直線に沿った方向であり、長手方向と直交する方向である。
【0021】
本実施形態では、スラット30のおもて面30aは、第1領域R1と、第1領域R1以外の領域である第2領域R2とを含む。
図2Bに示すように、第1領域R1には、上側縁部30cからの距離がスラット30の短手方向の長さW1の5%以内の領域Raが含まれる。すなわち、第1領域R1に、スラット30の上側縁部30cから距離D1以内の領域Raが含まれ、D1/W1=0.05の条件を満たす。
【0022】
第1領域R1には前記太陽電池セルが配置されていないか、又は第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とが分割されている。つまり、第1領域R1及び第2領域R2の両方にまたがって配置される太陽電池セル70が存在せず、全ての太陽電池セル70が、第1領域R1及び第2領域R2の何れか一方のみに配置されている。本実施形態では、領域Raには太陽電池セル70が配置されておらず、第2領域R2に太陽電池セル70が配置されている。なお、別の態様として、領域Ra及び第2領域R2の両方にまたがる太陽電池セル70が存在しないように、領域Ra及び第2領域R2のそれぞれに太陽電池セル70を配置してもよい。
【0023】
図2Aに示すように、電動ブラインド1aは、複数のバイパスダイオード71を備える。バイパスダイオード71は、スラット30上に配置され、少なくとも1つの太陽電池セル70と電気的に並列に接続されている。なお、以下の説明において、1つのバイパスダイオード71と、当該バイパスダイオード71に電気的に並列に接続されている太陽電池セル70との集合体を、太陽電池ユニット7と称する。
【0024】
各太陽電池ユニット7において、太陽電池セル70に光が十分に照射されて発電している状態では、バイパスダイオード71は逆バイアス状態となり、バイパスダイオード71には電流が流れない。一方、太陽電池セル70に影が掛かることで発電量が低下し内部抵抗が増加すると、バイパスダイオード71が順バイアス状態となる。これにより、バイパスダイオード71に電流が流れ、太陽電池セル70は短絡された状態となる。影が掛かった太陽電池セル70をバイパスダイオード71により回路上で迂回することで、太陽電池セル70全体としての出力低下を抑制することができる。
【0025】
本実施形態では、スラット30の短手方向に分割された太陽電池セル70同士が、異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続されている。すなわち、スラット30のおもて面30aにおいて、短手方向において異なる列に属する太陽電池セル70同士は、異なる太陽電池ユニット7に含まれている。
【0026】
具体的には、
図2Aに示すように、太陽電池セル70と1対1の関係で電気的に並列に接続されている。換言すれば、各太陽電池ユニット7は、1つのバイパスダイオード71と、当該バイパスダイオード71に電気的に並列に接続されている1つの太陽電池セル70とを備える。なお、太陽電池ユニット7の構成は、上述の例に限定されるものではなく、例えば、各太陽電池ユニット7が、1つのバイパスダイオード71と複数の太陽電池セル70とを備える構成としてもよい。
【0027】
各スラット30のおもて面30aにおいて、スラット30の長手方向に並ぶ太陽電池セル70同士は、配線74により電気的に直列に接続されている。また、スラット30の短手方向に並ぶ太陽電池セル70の列同士は、電気的に並列に接続されている。スラット30の短手方向の両端に位置する太陽電池セル70は、外部接続用の正極端子72又は負極端子73に接続されており、正極端子72及び負極端子73は、上下方向に隣接する何れかのスラット30に配置された太陽電池セル70を含む回路と電気的に直列に接続されている。なお、太陽電池セル70同士及びスラット30上の回路同士の電気的な接続態様は、上述の例に限定されるものではない。例えば、スラット30の長手方向に並ぶ太陽電池セル70同士を並列に、短手方向に並列した太陽電池セル70の列同士を直列に接続してもよい。また、隣接するスラット30上の回路同士を並列に接続してもよい。
【0028】
第1領域R1に含まれる領域Raには、直上のスラット30の影が左右方向に連続して形成されやすい。本実施形態では、領域Raに太陽電池セル70が配置されていないため、領域Raに影が掛かった場合に太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0029】
なお、領域Raに太陽電池セル70を配置する場合であっても、第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とを分割することで、同様の効果を得ることができる。つまり、領域Raに影がかかった場合に、影が掛かっていない第2領域R2に配置された太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、領域Raに配置された太陽電池セル70を回路上で迂回したり切り離したりすることで、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0030】
なお、領域Raにも太陽電池セル70を配置する場合、領域Raを含む第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とを、異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続することが好ましい。すなわち、第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とが、異なる太陽電池ユニット7に含まれるように構成することが好ましい。このような構成では、第1領域R1内の太陽電池セル70を回路上で容易に迂回することができる。
【0031】
本実施形態では、太陽電池セル70が、スラット30のおもて面30aにおいて短手方向に分割されている。このような構成では、スラット30の短手方向に連続する影がおもて面30aの一部に形成された場合に影が掛かっていない太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、影が掛かった最小限の数の太陽電池セル70を回路上で迂回又は切り離して、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。さらに、本実施形態では、スラット30の短手方向に分割された太陽電池セル70同士が、異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続されているため、上述のような場合に太陽電池セル70を容易に迂回することができる。
【0032】
太陽電池セル70は、本実施形態のようにスラット30のおもて面30aにおいて長手方向に分割されていてもよく、分割されていなくてもよい。本実施形態では、太陽電池セル70をスラット30の短手方向及び長手方向にそれぞれ分割して細分化することで、スラット30の長手方向に連続する影がおもて面30aの一部に形成された場合や、より局所的な影がおもて面30aに形成された場合に、影が掛かっていない太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、影が掛かった最小限の数の太陽電池セル70を回路上で迂回又は切り離して、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。さらに、本実施形態では、バイパスダイオード71が太陽電池セル70と1対1の関係で電気的に並列に接続されているため、太陽電池セル70を回路上で個別に迂回することが可能である。
【0033】
第1領域R1には、スラット30の上側縁部30cからの距離がスラット30の短手方向の長さW1の10%以内の領域が含まれることが好ましく、上側縁部30cからの距離が長さW1の20%以内の領域が含まれることがより好ましく、上側縁部30cからの距離が長さW1の30%以内の領域が含まれることがさらに好ましい。換言すれば、スラット30の短手方向の長さW1に対する領域Raの短手方向の幅D1の比D1/W1は、0.1が好ましく、0.2がより好ましく、0.3がさらに好ましい。このように第1領域R1を設定することで、スラット30の上端側において影が左右方向に連続して形成されることによる太陽電池セル70全体からの出力低下を、さらに抑制することができる。
【0034】
第1領域R1は、スラット30のおもて面30aの領域Ra以外の領域であって、電動ブラインド1aの構成部材や窓8、外部の建造物等の影が形成されやすい領域をさらに含んでもよい。本実施形態では、
図2Bに示すように、第1領域R1に、スラット30の長手方向の両端から所定の距離以内の領域がさらに含まれる。具体的には、第1領域R1に、スラット30の右側縁部30eから距離D2以内の領域Rbと、スラット30の左側縁部30fから距離D3以内の領域Rcとが含まれる。スラット30の長手方向の両端近傍には、ラダーコード21の影、昇降コード22の影、又は電動ブラインド1aが取り付けられる窓8の枠や方立の影が上下方向に連続して形成されやすい。このような構成では、スラット30の長手方向の両端近傍に影が形成されることによる太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。領域Rb及び領域Rcには、本実施形態の例のように太陽電池セル70を配置しなくてもよく、第2領域R2に配置される太陽電池セル70と分割した太陽電池セル70を配置してもよい。
【0035】
スラット30の長手方向の長さW2に対する領域Rbの長手方向の幅D2の比D2/W2は、0.01が好ましく、0.03がより好ましく、0.05がより好ましい。スラット30の長手方向の長さW2に対する領域Rcの長手方向の幅D3の比D3/W2は、0.01が好ましく、0.03がより好ましく、0.05がより好ましい。
【0036】
また、本実施形態では、
図2に示すように、第1領域R1にスラット30の長手方向に隣接する一部の太陽電池セル70間の領域Rdがさらに含まれる。領域Rdは、スラット30の長手方向における幅がD4であり、スラット30の短手方向にスラット30の上側縁部30cから下側縁部30dまで延在する領域である。領域Rdは、例えば、ラダーコード21の影、昇降コード22の影、又は窓8の方立等の影等、上下方向に連続する影が形成されやすい領域である。このような構成では、領域Rdに影が形成されることによる太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。領域Rdには、本実施形態の例のように太陽電池セル70を配置しなくてもよく、第2領域R2に配置される太陽電池セル70と分割した太陽電池セル70を配置してもよい。また、第1領域R1に、スラット30の下側縁部30dから所定の距離以内の領域がさらに含まれてもよい。
【0037】
第1領域R1は、外部光源(例えば、太陽)の高度θ(
図1B参照)に応じて、電動ブラインド1aの構成部材の影が形成されやすい領域を含むように配置されてもよい。具体的には、スラット30のおもて面30aにおいて、外部光源の高度θが45°以下の条件下で電動ブラインド1aの構成部材(例えば、スラット30、ヘッドボックス2、ラダーコード21、昇降コード22)の影が形成される領域を、第1領域R1に含めてもよい。第1領域R1は、外部光源の高度θが50°以下の条件下で電動ブラインド1aの構成部材の影が形成される領域を含むことが好ましく、外部光源の高度θが60°以下の条件下で電動ブラインド1aの構成部材の影が形成される領域を含むことがより好ましく、外部光源の高度θが70°以下の条件下で電動ブラインド1aの構成部材の影が形成される領域を含むことがより好ましい。
【0038】
また、第1領域R1の配置は、スラット群3を構成する全てのスラット30で共通でもよく、スラット30間で異なっていてもよい。例えば、スラット群3において最上位のスラット30t(
図1B参照)のおもて面30aには、隣接するスラット30による影が形成されない一方、直上のヘッドボックス2の影が左右方向に連続して形成される場合がある。従って、スラット30tにおいては、ヘッドボックス2の影の大きさに応じて、距離D1を他のスラット30と異なる値で設定してもよい。別の例として、電動ブラインド1aの左右方向の端部近傍には、スラット30を手動で操作するための操作棒(不図示)や操作コード(不図示)がヘッドボックス2から垂下するように配置される場合がある。この場合、上段側に位置する一部のスラット30(例えば、最上位のスラット30tを含めて上から3つのスラット30)には、操作棒や操作コードの影が上下方向に連続して形成され得る。従って、上段側に位置する一部のスラット30については、第1領域R1に含まれる領域Rbの幅D2又は領域Rcの幅D3を、他のスラット30と比較して大きく設定してもよい。
【0039】
第2領域R2に配置される太陽電池セル70は、スラット30の短手方向に分割されていなくてもよいが、本実施形態のように短手方向に分割されていることが好ましい。そして、第2領域R2内で短手方向に分割された太陽電池セル70同士は、異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続されている(すなわち、異なる太陽電池ユニット7に含まれる)ことが好ましい。これにより、左右方向に連続する影が第2領域R2の一部に形成された場合に、第2領域R2において影が掛かっていない太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、第2領域R2において影が掛かった太陽電池セル70をバイパスダイオード71により回路上で迂回することが可能となり、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0040】
第1領域R1に太陽電池セル70を配置する場合、第1領域R1内の太陽電池セル70は、スラット30の短手方向に分割されていてもよい。この場合、第1領域R1内で短手方向に分割された太陽電池セル70同士は、異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続されている(すなわち、異なる太陽電池ユニット7に含まれている)ことが好ましい。これにより、左右方向に連続する影が第1領域R1の一部に形成された場合に、第1領域R1において影が掛かっていない太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、影が掛かった太陽電池セル70をバイパスダイオード71により回路上で迂回することが可能となる。従って、影のサイズに応じて、回路上で迂回する太陽電池セル70を最小限とし、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0041】
太陽電池セル70は、スラット30の裏面にさらに配置されてもよい。スラット30の裏面に配置された太陽電池セル70にも、上述の構成が適用可能である。
【0042】
1.3.制御部9
制御部9は、
図3に示すように、CPU91と、記憶部92と、太陽電池接続回路93と、モータ駆動回路94と、エンコーダ接続回路96とを備える。制御部9は、記憶部92に記憶されたプログラムに従ってCPU91が各種処理を実行することによって、電動ブラインド1aの動作を制御する。
【0043】
太陽電池セル70は、太陽電池接続回路93を介して、CPU91と通信可能に構成されるとともに、バッテリ10に接続されている。また、太陽電池接続回路93には、太陽電池セル70から出力される電力(発電量)を検出可能な出力検出部93aが設けられている。
【0044】
CPU91は、電動モータ23とモータ駆動回路94を介して接続されている。CPU91は、太陽電池セル70及びバッテリ10からの電力を電動モータ23に供給してこれらを駆動する。
【0045】
また、CPU91は、エンコーダ24とエンコーダ接続回路96を介して通信可能に構成されている。エンコーダ24により検出される電動モータ23の回転角度はスラット30の傾斜角度と相関しており、CPU91は、エンコーダ24による検出結果に基づきスラット30の傾斜角度を算出可能に構成される。
【0046】
制御部9は、上述のように算出されたスラット30の傾斜角度、及び出力検出部93aにより検出された発電量を含む動作データを定期的に収集して記憶部92に記憶する。収集された動作データに基づき、CPU91は、発電量を最大化するうえで好適なスラット30の傾斜角度を設定するための制御データを作成し、記憶部92に記憶する。
【0047】
制御部9は、電動ブラインド1aの動作条件に基づきスラット30の傾斜角度を制御するように構成される。電動ブラインド1aの動作条件には、環境条件や使用条件が含まれる。環境条件は、電動ブラインド1aの外部環境の条件であり、太陽高度、季節、天候、電動ブラインド1a周辺の直射光Ldの強度等が例示される。使用条件は、電動ブラインド1aの使用に係るユーザの好み等により決まる条件であり、スラット30の傾斜角度の制御における遮光・採光の最適化と発電量の最大化との優先順位等が例示される。
【0048】
本実施形態では、電動ブラインド1aの動作条件に基づき、CPU91が上述のように作成された制御データに基きスラット30の傾斜角度を設定する。そして、CPU91は、当該値に従って電動モータ23を駆動してスラット30の傾斜角度を制御する。
【0049】
制御データは、スラット30の傾斜角度の制御において考慮される動作条件に応じて作成される。例えば、考慮される環境条件に応じて、時間帯、季節、又は天候ごとに動作データを収集し、制御データを作成してもよい。また、考慮される使用条件に応じて、特定の使用条件ごとに制御データを作成してもよい。制御部9が実際の動作条件に適合する制御データを用いてスラット30の傾斜角度を制御することにより、発電量を向上させることができる。
【0050】
1.4.変形例
図4からから
図5Bを用いて、第1実施形態の変形例について説明する。本変形例において、第1領域R1には、全閉状態のスラット群3においてスラット30の表面のうち隣接するスラット30に被覆される領域(被覆領域)がさらに含まれる。
図4に示すように、全閉状態のスラット群3において、スラット30のおもて面30aのうち上側縁部30cから距離D1'以内の領域Ra'が、直上のスラット30により被覆される。第1領域R1には、この被覆領域Ra'が含まれる。
【0051】
本変形例では、
図4から
図5Bに示すように、被覆領域Ra'には太陽電池セル70が配置されておらず、第2領域R2に太陽電池セル70が配置されている。全閉状態のスラット群3において、各スラット30の被覆領域Ra'は直上のスラット30に対して背面側に位置するため、被覆領域Ra'には直上のスラット30の影が形成される。第1領域R1に被覆領域Ra'を含む構成とすることで、全閉状態において被覆領域Ra'に直上のスラット30の影が形成されることによる太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0052】
2.第2実施形態
図6から
図8Bを用いて、本発明の第2実施形態の遮蔽装置1について説明する。本実施形態の遮蔽装置1は、プリーツスクリーン1bである点で第1実施形態と相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0053】
図6Aは、本実施形態のプリーツスクリーン1bを部屋外側から見た正面図である。
図6Bは、プリーツスクリーン1bのスクリーン4の右側面図である。プリーツスクリーン1bは、
図6A及び
図6Bに示すように、遮蔽材としてのスクリーン4と、太陽電池セル70とを備える。スクリーン4は、ヘッドボックス40から垂下され、複数の山折り目4a及び谷折り目4bを有しジグザグ状に折り畳み可能に構成される。太陽電池セル70は、スクリーン4の対向する一対の表面のうち、部屋外側を向く表面4cに設けられている。スクリーン4には、複数の昇降コード(不図示)が挿通されており、昇降コードの下端はボトムレール41に取着されている。操作コード(不図示)を操作することで、ヘッドボックス40内に配置された巻取コーン(不図示)に昇降コードが巻き取られ、又は巻き戻されて、スクリーン4が開閉される。
【0054】
図7は、
図6Bの領域Aの拡大図である。
図8Aは、スクリーン4の表面4cの谷折り目4bから下側に隣接する山折り目4aまでの領域を、表面4cに対して垂直な方向から見た図である。
図8Bは、
図8Aから配線74を省略し、第1領域R1及び第2領域R2を図示した図である。本実施形態では、
図7から
図8Bに示すように、太陽電池セル70が、スクリーン4の表面4cにおいて、スクリーン4の水平幅方向(左右方向)に垂直な方向(上下方向)に分割されている。以下の説明において、水平幅方向に対して垂直な方向であって、スクリーン4の表面4cに沿って太陽電池セル70が分割される方向を、分割方向と称する。また、太陽電池セル70は、スクリーン4の水平幅方向にさらに分割されている。つまり、太陽電池セル70は、スクリーン4の表面4cの水平幅方向及び分割方向にそれぞれ複数列配置されている。
【0055】
スクリーン4の表面4cは、第1領域R1と、第1領域R1以外の領域である第2領域R2とを含む。本実施形態では、第1領域R1に、山折り目4aから下側に隣接する谷折り目4bまでの領域Reと、谷折り目4bから下側に隣接する山折り目4aまでの領域のうち、谷折り目4bからの距離が谷折り目4bと山折り目4aの折り目間隔W3の5%以内の領域Rfとが含まれる。
図6B及び
図7に示すように、山折り目4aから下側に隣接する谷折り目4bまでの領域Reは、下側を向いており、谷折り目4bから下側に隣接する山折り目4aまでの領域は、上側を向いている。すなわち、第1領域R1には下側を向く領域Reと、上側を向く領域のうち谷折り目4bから距離D5以内の領域Rfとが含まれ、D5/W3=0.05の条件を満たす。第2領域R2は、表面4cの上側を向く領域の一部となる。
【0056】
第1実施形態と同様に、第1領域R1には前記太陽電池セルが配置されていないか、又は第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とが分割されている。本実施形態では、領域Re及び領域Rfには太陽電池セル70が配置されておらず、第2領域R2に太陽電池セル70が配置されている。なお、別の例として、表面4cの上側を向く領域においては、領域Rf及び第2領域R2の両方にまたがる太陽電池セル70が存在しないように、領域Rf及び第2領域R2のそれぞれに太陽電池セル70を配置してもよい。
【0057】
本実施形態では、水平幅方向に対して垂直な方向に分割された太陽電池セル70同士が、異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続されている。具体的には、
図8Aに示すように、各バイパスダイオード71が、太陽電池セル70と1対1の関係で電気的に並列に接続されている。
【0058】
スクリーン4の表面4cにおいて、水平幅方向に並ぶ太陽電池セル70同士は、電気的に直列に接続されている。また、分割方向に並列した太陽電池セル70の列同士は、電気的に並列に接続されている。なお、太陽電池セル70同士の電気的な接続態様は、上述の例に限定されるものではない。例えば、水平幅方向に並ぶ太陽電池セル70同士を並列に、分割方向に並列した太陽電池セル70の列同士を直列に接続してもよい。
【0059】
スクリーン4の領域Reは、下側を向いているため、外部光源(例えば、太陽)の直射光Ldが当たりにくい。また、領域Rfには、直上の領域Reの部分の影が左右方向に連続して形成されやすい。本実施形態では、領域Re及び領域Rfに太陽電池セル70が配置されていないため、領域Rfに影が掛かった場合に、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0060】
なお、領域Rf又は領域Reの少なくとも一方に太陽電池セル70を配置する場合であっても、第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とを分割することで、同様の効果を得ることができる。つまり、領域Rf又は領域Reに影がかかった場合に、影が掛かっていない第2領域R2に配置された太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、領域Rf又は領域Reに配置された太陽電池セル70を回路上で迂回したり切り離したりすることで、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0061】
領域Rf又は領域Reの少なくとも一方に太陽電池セル70を配置する場合、領域Rf及び領域Reを含む第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とを異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続することが好ましい。すなわち、第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とが、異なる太陽電池ユニット7に含まれることが好ましい。このような構成では、第1領域R1内の太陽電池セル70を回路上で容易に迂回することができる。
【0062】
また、本実施形態では、太陽電池セル70が、スクリーン4の表面4cにおいて、分割方向及び水平幅方向にそれぞれ分割されて細分化されている。このような構成では、分割方向又は水平幅方向に連続する影が表面4cの一部に形成された場合や、より局所的な影が表面4cに形成された場合に、影が掛かっていない太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、影が掛かった最小限の数の太陽電池セル70を回路上で迂回又は切り離して、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。さらに、本実施形態では、バイパスダイオード71が太陽電池セル70と1対1の関係で電気的に並列に接続されているため、太陽電池セル70を回路上で個別に迂回することが可能である。
【0063】
領域Rfには、谷折り目4bからの距離が折り目間隔W3の10%以内の領域が含まれることが好ましく、谷折り目4bからの距離が折り目間隔W3の20%以内の領域が含まれることがより好ましく、谷折り目4bからの距離が折り目間隔W3の30%以内の領域が含まれることがさらに好ましい。換言すれば、谷折り目4bと山折り目4aの折り目間隔W3に対する領域Rfの幅D5の比D5/W3は、0.1が好ましく、0.2がより好ましく、0.3がさらに好ましい。このように第1領域R1を設定することで、領域Rfにおいて直上の領域Reの部分の影が左右方向に連続して形成されることによる太陽電池セル70全体からの出力低下を、さらに抑制することができる。
【0064】
第1領域R1は、外部光源(例えば、太陽)の高度θ(
図6B参照)に応じて、プリーツスクリーン1bの構成部材の影が形成されやすい領域を含むように配置されてもよい。具体的には、スクリーン4の表面4cにおいて、外部光源の高度θが45°以下の条件下でプリーツスクリーン1bの構成部材(例えば、スクリーン4の領域Re、ヘッドボックス40)の影が形成される領域を、第1領域R1に含めてもよい。第1領域R1は、外部光源の高度θが50°以下の条件下でプリーツスクリーン1bの構成部材の影が形成される領域を含むことが好ましく、外部光源の高度θが60°以下の条件下でプリーツスクリーン1bの構成部材の影が形成される領域を含むことがより好ましく、外部光源の高度θが70°以下の条件下でプリーツスクリーン1bの構成部材の影が形成される領域を含むことがより好ましい。
【0065】
なお、第1領域R1は、表面4cの上側を向く領域のうち、領域Rf以外の領域をさらに含んでもよい。例えば、第1領域R1は、表面4cの上側を向く各領域において、左右方向の両端から所定の距離以内の領域、下端から所定の距離以内の領域、又はスクリーン4の水平幅方向に隣接する一部の太陽電池セル70間の領域を含んでもよい。
【0066】
3.第3実施形態
図9Aから
図10Bを用いて、本発明の第3実施形態の遮蔽装置1について説明する。本実施形態の遮蔽装置1は、ロールスクリーン1cである点で第1実施形態と相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0067】
図9Aは、本実施形態のロールスクリーン1cを部屋外側から見た正面図である。
図9Bは、ロールスクリーン1cの右側面図である。
図9A及び
図9Bに示すように、ロールスクリーン1cは、巻取装置50と、遮蔽材としてのスクリーン51と、太陽電池セル70とを備える。
【0068】
巻取装置50は、巻取パイプ52と操作コード53とを備える。スクリーン51は、一端が巻取パイプ52に取着されており、他端は、ウエイトバー54に取り付けされている。操作コード53を操作して巻取パイプ52を回転させることで、スクリーン51を巻き取り又は巻き戻して昇降させることができる。スクリーン51は、巻取パイプ52の室外側から垂下される。また、太陽電池セル70は、スクリーン51の対向する一対の表面のうち、部屋外側を向く表面51aに設けられている。
【0069】
本実施形態では、
図9A及び
図9Bに示すように、太陽電池セル70が、スクリーン51の表面51aにおいて、スクリーン51の水平幅方向(左右方向)に垂直な方向(上下方向)に分割されている。以下の説明において、水平幅方向に垂直な方向であって、スクリーン51の表面51aに沿って太陽電池セル70が分割される方向を、分割方向と称する。また、太陽電池セル70は、スクリーン51の水平幅方向にさらに分割されている。つまり、太陽電池セル70は、スクリーン51の表面51aの水平幅方向及び分割方向にそれぞれ複数列配置されている。
【0070】
図10Aは、
図9Aの領域Cの拡大図であるす。
図10Bは、
図10Aから配線74を省略した図である。スクリーン51の表面51aは、
図9Bから
図10Bに示すように、第1領域R1と、第1領域R1以外の領域である第2領域R2とを含む。本実施形態では、第1領域R1に、全閉状態のスクリーン51の上端からの距離が、スクリーン51の上下方向の長さW4の5%以内の領域が含まれる。すなわち、第1領域R1にはスクリーン51の上端から距離D6以内の領域Rgが含まれ、D6/W4=0.05の条件を満たす。
【0071】
第1実施形態と同様に、第1領域R1には前記太陽電池セルが配置されていないか、又は第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とが分割されている。本実施形態では、領域Rgには太陽電池セル70が配置されておらず、第2領域R2に複数の太陽電池セル70が配置されている。
【0072】
本実施形態では、水平幅方向に対して垂直な方向に分割された太陽電池セル70同士が、異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続されている。具体的には、
図10Aに示すように、各バイパスダイオード71が、太陽電池セル70と1対1の関係で電気的に並列に接続されている。
【0073】
スクリーン51の表面51aにおいて、水平幅方向に並ぶ太陽電池セル70同士は、電気的に直列に接続されている。また、分割方向に並列した太陽電池セル70の列同士は、電気的に並列に接続されている。なお、太陽電池セル70同士の電気的な接続態様は、上述の例に限定されるものではない。例えば、水平幅方向に並ぶ太陽電池セル70同士を並列に、分割方向に並列した太陽電池セル70の列同士を直列に接続してもよい。
【0074】
スクリーン51の領域Rgには、巻取装置50の影が左右方向に連続して形成されやすい。本実施形態では、領域Rgに太陽電池セル70が配置されていないため、領域Rgに影が掛かった場合に、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0075】
なお、領域Rgに太陽電池セル70を配置する場合であっても、第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とを分割することで、同様の効果を得ることができる。つまり、領域Rgに影がかかった場合に、影が掛かっていない第2領域R2に配置された太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、領域Rgに配置された太陽電池セル70を回路上で迂回したり切り離したりすることで、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。
【0076】
なお、領域Rgに太陽電池セル70を配置する場合、領域Rgを含む第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とを、異なるバイパスダイオード71と電気的に並列に接続することが好ましい。すなわち、第1領域R1に配置される太陽電池セル70と第2領域R2に配置される太陽電池セル70とが、異なる太陽電池ユニット7に含まれるように構成することが好ましい。このような構成では、第1領域R1内の太陽電池セル70を回路上で容易に迂回することができる。
【0077】
また、本実施形態では、太陽電池セル70が、スクリーン51の表面51aにおいて、分割方向及び水平幅方向にそれぞれ分割されて細分化されている。このような構成では、分割方向又は水平幅方向に連続する影が表面51aの一部に形成された場合や、より局所的な影が表面51aに形成された場合に、影が掛かっていない太陽電池セル70においては発電を継続しつつ、影が掛かった最小限の数の太陽電池セル70を回路上で迂回又は切り離して、太陽電池セル70全体からの出力低下を抑制することができる。さらに、本実施形態では、バイパスダイオード71が太陽電池セル70と1対1の関係で電気的に並列に接続されているため、太陽電池セル70を回路上で個別に迂回することが可能である。
【0078】
領域Rgには、全閉状態のスクリーン51の上端からスクリーン51の上下方向の長さW4の10%以内の領域が含まれることが好ましく、スクリーン51の上端から長さW4の20%以内の領域が含まれることがより好ましく、スクリーン51の上端から長さW4の30%以内の領域が含まれることがさらに好ましい。換言すれば、スクリーン51の上下方向の長さW4に対する領域Rgの上下方向の幅D6の比D6/W4は、0.1が好ましく、0.2がより好ましく、0.3がさらに好ましい。このように第1領域R1を設定することで、領域Rgにおいて巻取装置50の影が左右方向に連続して形成されることによる太陽電池セル70全体からの出力低下を、さらに抑制することができる。
【0079】
第1領域R1は、外部光源(例えば、太陽)の高度θに応じて、ロールスクリーン1cの構成部材の影が形成されやすい領域を含むように配置されてもよい。具体的には、スクリーン51の表面51aにおいて、外部光源の高度θが45°以下の条件下でロールスクリーン1cの構成部材(例えば、巻取装置50)の影が形成される領域を、第1領域R1に含めてもよい。第1領域R1は、外部光源の高度θが50°以下の条件下でロールスクリーン1cの構成部材の影が形成される領域を含むことが好ましく、外部光源の高度θが60°以下の条件下でロールスクリーン1cの構成部材の影が形成される領域を含むことがより好ましく、外部光源の高度θが70°以下の条件下でロールスクリーン1cの構成部材の影が形成される領域を含むことがより好ましい。
【0080】
4.その他の実施形態
本発明は、以下の形態でも実施可能である。
【0081】
上述の実施形態の構成は、横型のブラインド、プリーツスクリーン、ロールスクリーン以外の遮蔽装置1であって、太陽電池セル70を配置可能な遮蔽材を有する任意の遮蔽装置1に適用可能である。そのような遮蔽装置1として、縦型のブラインド、ローマンシェードが例示される。
【0082】
遮蔽装置1は、上述の実施形態のように室内に設置してもよく、室外に設置してもよい。
【0083】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 :遮蔽装置
1a :電動ブラインド
1b :プリーツスクリーン
1c :ロールスクリーン
2 :ヘッドボックス
3 :スラット群
4 :スクリーン
4a :山折り目
4b :谷折り目
4c :表面
5 :ボトムレール
7 :太陽電池ユニット
8 :窓
9 :制御部
10 :バッテリ
21 :ラダーコード
22 :昇降コード
23 :電動モータ
24 :エンコーダ
30 :スラット
30a :おもて面
30c :上側縁部
30d :下側縁部
30e :右側縁部
30f :左側縁部
30t :スラット
40 :ヘッドボックス
41 :ボトムレール
50 :巻取装置
51 :スクリーン
51a :表面
52 :巻取パイプ
53 :操作コード
54 :ウエイトバー
70 :太陽電池セル
71 :バイパスダイオード
72 :正極端子
73 :負極端子
74 :配線
91 :CPU
92 :記憶部
93 :太陽電池接続回路
93a :出力検出部
94 :モータ駆動回路
96 :エンコーダ接続回路
Ld :直射光