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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095293
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/36 20060101AFI20240703BHJP
   H02S 20/26 20140101ALI20240703BHJP
   H02S 20/22 20140101ALI20240703BHJP
   H02S 20/32 20140101ALI20240703BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20240703BHJP
【FI】
E06B9/36 F
H02S20/26
H02S20/22
H02S20/32
H02S20/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212466
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 武信
(72)【発明者】
【氏名】村木 謙文
(57)【要約】
【課題】遮蔽材に太陽電池セルが設けられた遮蔽装置であって、外光を採り入れ可能としつつ、より大きな発電量を実現可能な遮蔽装置を提供する。
【解決手段】
本発明によれば、遮蔽装置であって、遮光性を有する第1遮蔽材と、光を一部透過させる半透過性を有する第2遮蔽材と、を備え、第2遮蔽材には、光透過型太陽電池セルが設けられ、第1遮蔽材には、前記光透過型太陽電池セルによる吸収波長とは異なる波長の光を吸収する太陽電池セルが設けられる、遮蔽装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽装置であって、
遮光性を有する第1遮蔽材と、
光を一部透過させる半透過性を有する第2遮蔽材と、を備え、
第2遮蔽材には、光透過型太陽電池セルが設けられ、
第1遮蔽材には、前記光透過型太陽電池セルによる吸収波長とは異なる波長の光を吸収する太陽電池セルが設けられる、遮蔽装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遮蔽装置であって、
前記光透過型太陽電池セルによる吸収波長とは異なる波長の光を吸収する前記太陽電池セルは、非光透過型太陽電池セルである、遮蔽装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の遮蔽装置であって、
第1遮蔽材及び第2遮蔽材は、それぞれ複数のスラットで構成される、遮蔽装置。
【請求項4】
請求項3に記載の遮蔽装置であって、
制御部を備え、
前記スラットは、電動モータの回転にともなって傾斜角度を変更可能に構成され、
前記制御部は、前記遮蔽装置の動作条件に基づき前記スラットの傾斜角度を制御するように構成される、遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽材の表面に太陽電池セルを配置した遮蔽装置が知られている。特許文献1には、長尺の遮光板の表面に太陽電池モジュールを取り付けた発電ブラインドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-340824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池セルにより生成された電力は、電動遮蔽装置の駆動に用いられる他、遮蔽装置の外部に取り出して利用することも可能である。再生可能エネルギーに対する需要の高まりとともに、遮蔽装置に設けられた太陽電池セルによる発電量の向上が望まれている。
【0005】
発電量を増加させるためには、遮蔽材を全閉状態に近づけて太陽電池セルの受光面をより大きくすることが好ましい。一方、全閉状態に近づけることで、外光を採り入れにくくなってしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、遮蔽材に太陽電池セルが設けられた遮蔽装置であって、外光を採り入れ可能としつつ、より大きな発電量を実現可能な遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]遮蔽装置であって、遮光性を有する第1遮蔽材と、光を一部透過させる半透過性を有する第2遮蔽材と、を備え、第2遮蔽材には、光透過型太陽電池セルが設けられ、第1遮蔽材には、前記光透過型太陽電池セルによる吸収波長とは異なる波長の光を吸収する太陽電池セルが設けられる、遮蔽装置。
[2][1]に記載の遮蔽装置であって、前記光透過型太陽電池セルによる吸収波長とは異なる波長の光を吸収する前記太陽電池セルは、非光透過型太陽電池セルである、遮蔽装置。
[3][1]又は[2]に記載の遮蔽装置であって、第1遮蔽材及び第2遮蔽材は、それぞれ複数のスラットで構成される、遮蔽装置。
[4][3]に記載の遮蔽装置であって、制御部を備え、前記スラットは、電動モータの回転にともなって傾斜角度を変更可能に構成され、前記制御部は、前記遮蔽装置の動作条件に基づき前記スラットの傾斜角度を制御するように構成される、遮蔽装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る遮蔽装置は、遮光性を有する第1遮蔽材と、光を一部透過させる半透過性を有する第2遮蔽材とを備え、第2遮蔽材には光透過型太陽電池セルが、第1遮蔽材には光透過型太陽電池セルによる吸収波長とは異なる波長の光を吸収する太陽電池セルが設けられる。光透過型太陽電池セルは可視光を少なくとも一部透過させるため、第2遮蔽材を介した採光を妨げずに発電することができる。従って、天候や時間に応じて第1遮蔽材及び第2遮蔽材により遮光及び採光を行いつつ、これらの遮蔽材に設けられた太陽電池セルによって広い波長領域の光を有効に利用して発電を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る遮蔽装置である縦型ブラインド100の斜視図であり、縦型ブラインド100を部屋内側から見た図である。
図2図1の縦型ブラインド100を部屋内側から見た正面図である。図中の領域A,B,Cは、第1スラット2a及び第2スラット2bの異なる回動状態を示している。
図3図3Aは、図1の縦型ブラインド100の第1ランナー3aについて、構成部材の一部を前後方向における断面図で示した図である。図3Bは、図1の縦型ブラインド100の第2ランナー3bについて、構成部材の一部を前後方向における断面図で示した図である。
図4図4Aから図4Cは、第2ランナー3bの動作の説明図であり、第2ランナー3bの構成部材の一部を前後方向における断面図で示した図である。図4Aは、第2スラット2bの表面がハンガーレール1の長手方向に対して略垂直となった状態を示している。図4Bは、図4Aの状態から第2スラット2bが逆全閉方向に回動した状態を示している。図4Cは、第2スラット2bが逆全閉となった状態を示している。
図5図5Aは、平面視における第1スラット2a及び第2スラット2bが正全閉状態から逆全閉状態へ回動する際の遷移を概略的に示す図である。図5Bは、平面視における第1スラット2a及び第2スラット2bが逆全閉状態から正全閉状態へ回動する際の遷移を概略的に示す図である。
図6】第1スラット2aが垂直状態にある場合の第1スラット2a及び第2スラット2bを、平面視で模式的に示した図である。
図7図7Aは、全閉状態の第1スラット2a及び第2スラット2bを、平面視で模式的に示した図である。図7Bは、図7Aにおける領域Eの拡大図である。
図8図1の縦型ブラインド100の制御部9及びこれに接続される部材の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
1.全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る遮蔽装置である縦型ブラインド100の斜視図であり、図2は、縦型ブラインド100を部屋内側から見た正面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の遮蔽装置は、電動の縦型ブラインド100であり、ハンガーレール1と、複数の第1ランナー3aと、複数の第2ランナー3bと、複数の第1スラット2a(第1遮蔽材の一例)と、複数の第2スラット2b(第2遮蔽材の一例)と、複数の太陽電池セル5と、バッテリ50と、制御部9とを備える。縦型ブラインド100は、取付ブラケット(不図示)等を用いて窓に対して部屋内側(室内)に取り付けられている。
【0012】
以下の説明において、図2における上下方向を縦型ブラインド100の上下方向とし、図2における左右方向を縦型ブラインド100の左右方向とする。また、図2の手前側を前側(又は部屋内側)、奥側を後側(又は部屋外側)とする。
【0013】
第1スラット2aは、遮光性を有し、例えば、ドレープ生地で構成される。第2スラット2bは、光を一部透過させる半透過性を有し、例えば、レース生地で構成される。図1及び図2に示すように、第1スラット2a及び第2スラット2bは、左右方向に沿って交互に配設されており、ハンガーレール1内に移動可能に支持された第1ランナー3a及び第2ランナー3bによりそれぞれ吊下支持されている。また、第1スラット2a及び第2スラット2bの下端部には、バランスウェイト22が取着されている。なお、図2における領域A,B,Cは、第1スラット2a及び第2スラット2bの異なる回動状態を示している。
【0014】
第1ランナー3aには第1吊下軸6aが回転可能に支持され、第1吊下軸6aの下端にフック61が設けられている。また、第2ランナー3bには第2吊下軸6bが回転可能に支持され、第2吊下軸6bの下端にフック61が設けられている。
【0015】
図1に示すように、第1吊下軸6aのフック61には、第1スラットハンガー14aが掛装されている。第1スラット2aの上端に設けられた被取付部21aが第1スラットハンガー14aに取り付けられることで、第1スラット2aが第1スラットハンガー14aに吊下支持される。本実施形態の被取付部21aは、第1スラット2aを構成する生地が袋縫いされて構成されている。また、第2吊下軸6bのフック61には、第2スラットハンガー14bが掛装されている。第2スラット2bの上端に設けられた被取付部21bが第2スラットハンガー14bに取り付けられることで、第2スラット2bが第2スラットハンガー14bに吊下支持される。本実施形態の被取付部21bは、第2スラット2bを構成する生地が袋縫いされて構成されている。
【0016】
図2に示すように、第1ランナー3aには、ハンガーレール1内に配置されたチルト軸4が係合して挿通されている。一方、第2ランナー3bには、チルト軸4が非係合に挿通されている。そして、第1ランナー3a及び第2ランナー3bは、チルト軸4の軸方向(左右方向)に移動可能となっている。チルト軸4の両端は、ハンガーレール1の長手方向(左右方向)の両端に設けられるギヤボックス(不図示)の出力軸に回転可能に連結されている。
【0017】
第1ランナー3aには、後述するギヤ機構(図4Aに示すウォーム12とウォームホィール13)を介してチルト軸4の回転が直接的に伝達され、これにより第1スラット2aが第1吊下軸6aの中心軸周りに回動する。一方、第2ランナー3bには当該ギヤ機構が設けられておらず、チルト軸4の回転が直接的には伝達されない。第2ランナー3bの第2吊下軸6bに吊下支持される第2スラット2bは、チルト軸4の回転に伴い回動する第1スラット2aとの接触により回動するように構成されている。本実施形態では、第2スラット2bを吊下支持する第2スラットハンガー14bの両端が、隣接する第1スラット2aの上端部に当接することで、第1スラット2aの回動に伴い第2スラット2bが回動するように構成されている。
【0018】
縦型ブラインド100は、チルト軸4にギヤボックスを介して接続された第1電動モータ41(図8参照)を備える。第1電動モータ41の回転に伴って、チルト軸4が回転可能となっている。また、縦型ブラインド100は、第1電動モータ41の回転角度を検出可能に構成されたエンコーダ42(図8参照)を備える。エンコーダ42による検出結果は、制御部9へと出力される。なお、第1電動モータ41及びエンコーダ42は、ハンガーレール1内に配置されてもよく、ハンガーレール1の外部に配置されてもよい。
【0019】
図2に示すように、第1ランナー3a及び第2ランナー3bには、ハンガーレール1内に配置される誘導軸10が挿通されている。誘導軸10の両端は、ハンガーレール1の長手方向の両端に設けられるギヤボックス(不図示)の出力軸に回転可能に連結されている。誘導軸10が回転すると、先頭ランナー3cに追随して後続のランナーが順次引き出され、或いは後続のランナーが先頭ランナー3cにより順次押し戻される。このような動作により、第1ランナー3a及び第2ランナー3bにそれぞれ吊下支持された第1スラット2a及び第2スラット2bがハンガーレール1に沿ってその一端側に引き出され、或いはハンガーレール1の他端側に畳み込まれる。なお、隣接する第1ランナー3a及び第2ランナー3b同士はスペーサー11で連結されており、これにより第1ランナー3aと第2ランナー3bとの間の最大離間距離が設定される。
【0020】
縦型ブラインド100は、誘導軸10にギヤボックスを介して接続された第2電動モータ45(図8参照)を備える。第2電動モータ45の回転に伴って、誘導軸10が回転可能となっている。なお、第2電動モータ45、ハンガーレール1内に配置されてもよく、ハンガーレール1の外部に配置されてもよい。
【0021】
太陽電池セル5は、図1及び図2に示すように、第1スラット2a及び第2スラット2bに設けられる。太陽電池セル5は、光透過型太陽電池により構成される第1太陽電池セル51と、第1太陽電池セル51による吸収波長とは異なる波長の光を吸収する第2太陽電池セル52とを含む。第1スラット2aには、第2太陽電池セル52が設けられ、第2スラット2bには、第1太陽電池セル51が設けられている。
【0022】
本実施形態では、第1スラット2aの対向する一対の表面(おもて面2a1及び裏面2a2)に、第1スラット2aの長手方向に沿って複数の第2太陽電池セル52が設けられている。また、第2スラット2bの対向する一対の表面(おもて面2b1及び裏面2b2)に、第2スラット2bの長手方向に沿って複数の第1太陽電池セル51が設けられている。
【0023】
バッテリ50は、太陽電池セル5からの出力電流によって充電される。バッテリ50から出力される電力は、第1電動モータ41及び第2電動モータ45に供給される。バッテリ50から出力される電力は、縦型ブラインド100の外部の機器にさらに供給して利用可能としてもよい。また、バッテリ50は、ヘッドボックス2内外の何れに配置してもよく、複数のバッテリ50を設けて、用途に応じてヘッドボックス2の内外に分散して配置してもよい。
【0024】
制御部9は、縦型ブラインド100の動作を制御する。制御部9は、具体的には、第1電動モータ41及び第2電動モータ45を駆動して第1スラット2a及び第2スラット2bの回動やスラット全体の開閉を制御する他、太陽電池セル5の出力を監視する。
【0025】
2.第1スラット2a及び第2スラット2bの回動機構
次に、第1スラット2a及び第2スラット2bの回動機構について、詳細に説明する。図3A及び図3Bは、それぞれ第1ランナー3a及び第2ランナー3bについて、構成部材の一部を前後方向における断面図で示した図であり、平面視において、第1スラット2a及び第2スラット2bの表面がハンガーレール1の長手方向に対して略垂直となった状態(換言すれば、当該表面が前後方向に沿うような角度に第1スラット2a及び第2スラット2bが回動した状態)を示している。
【0026】
図3Aに示すように、第1ランナー3aは、ハンガーレール1内に移動可能に支持されており、第1吊下軸6aを回転可能に支持する。ハンガーレール1の底面には開口部1aが形成されており、第1吊下軸6aの下端は、開口部1aから突出している。
【0027】
第1ランナー3aは第1ランナーケース30aを備え、第1ランナーケース30aの内部は一部が中空となっている。具体的には、第1ランナーケース30aの内部に第1空洞部31aが形成されている。第1空洞部31aの側壁に形成された軸受孔34には、ウォーム12が回転可能に支持されている。
【0028】
第1空洞部31aには、第1吊下軸6aが回転可能に支持されている。第1吊下軸6aの第1フランジ部62より上側に位置する上端部63には、ウォーム12に噛み合うウォームホィール13が摩擦体64を介して取着されている。摩擦体64は、上端部63の外周面とウォームホィール13の内周面との間の摩擦を確保するために設けられている。そして、摩擦体64とウォームホィール13の内周面との間に生成される摩擦により、所定の回転範囲内において第1吊下軸6aとウォームホィール13とが一体的に回転する。また、ウォーム12の中心部には、チルト軸4が軸方向に相対移動可能に、且つ相対回転不能に挿通されている。従って、チルト軸4が回転されると、ギヤ機構として機能するウォーム12及びウォームホィール13を介して、第1吊下軸6aが回転される。
【0029】
第1吊下軸6aの第1フランジ部62より下側に位置する部位と第1空洞部31aとの間には、ストッパ(不図示)が設けられている。第1吊下軸6aの回転に伴い第1スラット2aが正全閉状態又は逆全閉状態まで回動されると、その後は第1吊下軸6aの同方向への回転がストッパにより阻止され、ウォームホィール13が第1吊下軸6aに対し空回りするように構成されている。これにより、第1スラット2aが正全閉状態からほぼ180°反転した逆全閉状態まで回動することに伴う第1吊下軸6aの回動範囲は、ほぼ180°に設定されている。なお、本実施形態における正全閉とは、第1スラット2aのおもて面2a1が部屋外側に向く方向に第1スラット2aが最大限回動した状態を指し、図2における領域Aの回動状態に相当する。逆全閉とは、第1スラット2aのおもて面2a1が部屋内側に向く方向に第1スラット2aが最大限回動した状態である。また、正全閉方向とは、正全閉状態に近づくような第1スラット2aの回動方向であり、逆全閉方向とは、逆全閉状態に近づくような第1スラット2aの回動方向を指す。
【0030】
第1ランナーケース30aには、前後方向(図3Aにおいては左右方向)における両端にローラー軸32が設けられており、ローラー軸32にはローラー8が回転可能に支持されている。ローラー8は、ハンガーレール1の内側面から突出するように形成されるリブ1bに案内されてハンガーレール1内を移動可能である。ローラー8が移動することにより、第1ランナー3aがハンガーレール1内を移動する。また、第1ランナーケース30aには、前後方向における両端、且つローラー軸32の下方に、透孔33が形成されている。透孔33には、誘導軸10が挿通されている。
【0031】
図3Bに示すように、第2ランナー3bは、ハンガーレール1内に移動可能に支持されており、第2吊下軸6bを回転可能に支持する。第2吊下軸6bの下端は、開口部1aから突出している。
【0032】
第2ランナー3bは、第2ランナーケース30bを備え、第2ランナーケース30bの内部は一部が中空となっている。具体的には、第2ランナーケース30bの内部に第2空洞部31bが形成されている。第2空洞部31bの側壁に形成された軸受孔34には、チルト軸4が挿通されている。ここで、第1ランナー3aの構成と異なり、第2ランナー3bにはギヤ機構としてのウォーム12及びウォームホィール13が設けられていない。つまり、チルト軸4は軸受孔34に非係合に挿通されており、チルト軸4の回転が第2吊下軸6bに対し直接的には伝達されない構成となっている。
【0033】
第2空洞部31bには、第2吊下軸6bが回転可能に支持されている。第2吊下軸6bの第2フランジ部65の上方には、押しバネ(圧縮バネ)15を介してランナーキャップ7が設けられている。ランナーキャップ7は第2空洞部31bの上端において、第2ランナーケース30bの内面に固着されている。ランナーキャップ7と第2フランジ部65との間に設けられる押しバネ15により、第2吊下軸6bを下方に押す付勢力が発生する。
【0034】
第2フランジ部65の下側には、第2吊下軸6bの周面上に下向きの三角頂部を有する三角凸部66が形成されている。三角凸部66は、第2吊下軸6bの中心軸を挟んで180°正対する位置にも形成されている。即ち、第2吊下軸6bの中心軸に対し軸対象となる周面上の位置に、一対の三角凸部66が形成されている。
【0035】
第2空洞部31bにおいて第2吊下軸6bを回転可能に支持する第2ランナーケース30bの内測壁には、三角凸部66の頂部と係合するスロープ部35が形成されている。スロープ部35は、上向きの三角頂部を有し、第2吊下軸6bの回転角に応じて第2吊下軸6bを上下動させながら回転案内するように構成されている。スロープ部35は、第2吊下軸6bの中心軸を挟んで180°正対する位置にも同じように形成され、滑らかに連続している。つまり、第2吊下軸6bの中心軸に対し軸対象となる第2空洞部31bの内測壁上の位置に、一対のスロープ部35が滑らかに連続するように形成されている。
【0036】
上述の付勢転換機構(スロープ部35及び三角凸部66)は、カム構造として機能し、第2吊下軸6bの回転角に応じて、少なくとも第2スラット2bの自重及び押しバネ15の付勢力により第2吊下軸6bに対して印加される鉛直下向きの押し付け力を、第2吊下軸6bの回転方向の付勢力に転換する。この付勢転換機構により、第2吊下軸6bに加わる押し付け力を第2吊下軸6bの回転方向の付勢力に転換し、平面視において第2スラット2bの表面がハンガーレール1の長手方向(左右方向)に対して略垂直となるような第2吊下軸6bの回転角を境に、第2スラット2bに対して正全閉方向又は逆全閉方向の力を発生させることができる。なお、第2スラット2bの正全閉状態及び逆全閉状態、及び正全閉方向及び逆全閉方向は、第1スラット2aと同様に規定される。なお、以下の説明において、平面視において第2スラット2bの表面がハンガーレール1の長手方向に対して略垂直となった状態を、第2スラット2bの垂直状態と称する。垂直状態は、図2における領域Cの回動状態に相当する。
【0037】
なお、第2吊下軸6bには第2スラット2bの自重により鉛直下向きの押し付け力が働くため、押しバネ15を設けない構成としてもよい。一方、第2スラット2bの自重はそのサイズや生地の種類により変化するため、第2吊下軸6bに対する押し付け力を増大させて付勢転換機構の動作を安定させるために、押しバネ15を設けることが好ましい。
【0038】
図4Aから図4Cは、第2ランナー3bの動作の説明図であり、第2ランナー3bの構成部材の一部を前後方向における断面図で示した図である。図4Aでは、第2スラット2bが垂直状態であり、第2吊下軸6bが第2ランナーケース30bに対する相対的な可動範囲として上限位置にある。
【0039】
図4Aの状態から、チルト軸4の回転に伴い第1スラット2aが回動すると、第1スラット2aに第2スラット2bがほぼ隙間なく接触することにより、第2スラット2bが回動する。これにより、例えば、図4Aに図示する矢印方向に第2吊下軸6bが回転し始めると、三角凸部66の頂部がスロープ部35に沿って案内されながら回転し、図4Bに示すように、第2吊下軸6bは下方に移動しながら回転案内される。
【0040】
このとき、第2吊下軸6bには第2スラット2bの自重及び押しバネ15の付勢力による押し付け力が働いている。従って、第2吊下軸6bは、第1スラット2aに第2スラット2bがほぼ隙間なく接触した状態を維持しながら、図4Bの状態を経て、図4Cに示す状態まで回転案内される。図4Cに示す状態では、第2スラット2bは逆全閉状態となっており、第2吊下軸6bは第2ランナーケース30bに対する相対的な可動範囲として下限位置にある。なお、図4Aの状態から、図4Aの矢印方向とは逆方向に第2吊下軸6bが回転し始めた場合も、第2スラット2bが正全閉状態となるまで第2吊下軸6bが同様に回転案内される。
【0041】
第2吊下軸6bは、その回転角に応じて上下動するため、第2吊下軸6bのフック61に吊下支持された第2スラット2bもその回動角に応じて上下動する。第2スラット2bの上下動範囲Dは約2mmに設定され、上下動が操作者にとってほとんど視認できないほど小さい。また、本実施形態では、第1スラット2a及び第2スラット2bが共に全閉となった状態において、第2スラット2bの下限位置としての高さが第1スラット2aの高さと略同一となるように設定されている。従って、遮蔽効果が損なわれず、意匠性の観点でも美観を保つものとなっている。
【0042】
図3Bに示すように、第2ランナーケース30bには、前後方向(図3Bにおいては左右方向)における両端にローラー軸32が設けられており、ローラー軸32にはローラー8が回転可能に支持されている。ローラー8は、ハンガーレール1の内側面から突出するように形成されるリブ1bに案内されてハンガーレール1内を移動可能である。ローラー8が移動することにより、第2ランナー3bがハンガーレール1内を移動する。また、第2ランナーケース30bには、前後方向における両端、且つローラー軸32の下方に、透孔33が形成されている。透孔33には、誘導軸10が挿通されている。
【0043】
図5Aは、平面視における第1スラット2a及び第2スラット2bが正全閉状態から逆全閉状態へ回動する際の遷移を概略的に示す図である。図5AのステップS1は、第1スラット2a及び第2スラット2bが正全閉である状態を示す。この状態での第1吊下軸6a及び第2吊下軸6bの回転角を、0°とする。ステップS1に示す正全閉状態において、第1スラット2a及び第2スラット2bの高さは略同一である。
【0044】
ステップS1からチルト軸4が回転すると、第1スラット2aが逆全閉方向に回動し始める。この際、第2スラット2bを吊下支持する第2スラットハンガー14bの両端が、隣接する第1スラット2aの上端部に当接することで、第2スラット2bも逆全閉方向に回動し始める(ステップS2)。
【0045】
回動開始後、ステップS7において第2スラット2bが垂直状態となるまで(つまり、ステップS2~ステップS6の状態において)、第2吊下軸6bに働く押し付け力が付勢転換機構により第2吊下軸6bの回転方向の付勢力に転換されて、第2スラット2bは第1スラット2aの回動方向とは逆方向(つまり、正全閉方向)に回動しようとする。このため、第2スラット2bの短手方向の両縁は隣接する第1スラット2aに押し付けられ、第1スラット2aと第2スラット2bの間に隙間が生じにくくなる。
【0046】
ステップS5では、平面視において、第1スラット2aの表面がハンガーレール1の長手方向に対して略垂直となり、第1スラット2a間に第2スラット2bが架け渡されている。これは、図2における領域Bの回動状態に相当する。このような状態では、半透過性を有する第2スラット2bにより、部屋外側からの視線を遮りつつ採光することが可能となる。なお、以下の説明において、平面視において第1スラット2aの表面がハンガーレール1の長手方向に対して略垂直となった状態を、第1スラット2aの垂直状態と称する。
【0047】
ステップS7の状態では、第2吊下軸6bが第2ランナーケース30bに対する相対的な可動範囲として上限位置となる。そして、ステップS7の状態からさらにチルト軸4を回転させて第1スラット2aを逆全閉方向に回動させると、付勢転換機構により第2吊下軸6bの位置が第2ランナーケース30bに対する相対的な可動範囲として下がる方向に案内される。これにより、第2スラット2bは、第1スラット2aの回動方向と同方向(つまり、逆全閉方向)に回動するように切り替わり、ステップS8の状態まで瞬時に第2スラット2bが回動する。この際、第2スラットハンガー14bの両端は、第2スラット2bの両側に隣接する2つの第1スラット2aの各上端部に、ステップS2~ステップS6とは逆の関係で当接する。
【0048】
ステップS8の状態から、さらにチルト軸4を回転させて第1スラット2aを逆全閉状態にすると、第2吊下軸6bが第2ランナーケース30bに対する相対的な可動範囲として下限位置となり、第1吊下軸6a及び第2吊下軸6bの回転角はほぼ180°となって、ステップS10に示すように第2スラット2bも逆全閉状態となる。ステップS10に示す逆全閉状態において、第1スラット2a及び第2スラット2bの高さは再び略同一となる。
【0049】
図5Bは、平面視における第1スラット2a及び第2スラット2bが逆全閉状態から正全閉状態へ回動する際の遷移を概略的に示す図である。第1スラット2a及び第2スラット2bの回動方向が逆であること以外は、上述した正全閉状態から逆全閉状態への遷移と同様の動作となる。
【0050】
逆全閉状態から正全閉状態への遷移においては、ステップS17において第2スラット2bが垂直状態となるまで(つまり、ステップS11~S16の状態において)、第2吊下軸6bに働く押し付け力が付勢転換機構により第2吊下軸6bの回転方向の付勢力に転換されて、第2スラット2bは第1スラット2aの回動方向とは逆方向(つまり、逆全閉方向)に回動しようとする。なお、ステップS15では、平面視において、第1スラット2aが垂直状態となり、第1スラット2a間に第2スラット2bが架け渡されている。このような状態では、半透過性を有する第2スラット2bにより、部屋外側からの視線を遮りつつ採光することが可能となる。
【0051】
そして、ステップS17の状態から、さらにチルト軸4を回転させて第1スラット2aを正全閉方向に回動させると、第2スラット2bは、第1スラット2aの回動方向と同方向(つまり、正全閉方向)に回動するように切り替わり、ステップS18の状態まで瞬時に第2スラット2bが回動する。ステップS18の状態からさらにチルト軸4を回転させて第1スラット2aを正全閉状態にすると、第2吊下軸6bが第2ランナーケース30bに対する相対的な可動範囲として下限位置となり、第1吊下軸6a及び第2吊下軸6bの回転角はほぼ0°となって、ステップS20に示すように第2スラット2bも正全閉状態となる。
【0052】
このような構成では、第2スラット2bを回動させるために、第2スラット2bを吊下支持する第2吊下軸6bの回転速度と、第1スラット2aを吊下支持する第1吊下軸6aの回転速度とを調整するための機構が必要ない。また、回動の過程において、第1スラット2aと第2スラット2bとの間に隙間が生じにくい。
【0053】
なお、付勢転換機構の構成は、上述の実施形態の例に限定されるものではなく、第2吊下軸6bの回転角に応じて、第2吊下軸6bに対する非回転方向に発生する力を第2吊下軸6bの回転方向の付勢力に転換する任意の構成とすることができる。例えば、第2吊下軸6b側にスロープ部35と同様なスロープ部を設け、第2ランナーケース30b側に三角凸部66と同様な三角凸部を設けて付勢転換機構を構成してもよい。或いは、第2吊下軸6bと第2ランナーケース30bのうち一方にピンを設け、他方にピンの移動を案内する案内孔を設けて、第2吊下軸6bの回転角に応じて第2吊下軸6bを上下動させながら回転案内するように付勢転換機構を構成してもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、付勢転換機構が、第2吊下軸6bの回転角に応じて、少なくとも第2スラット2bの自重及び押しバネ15の付勢力により第2吊下軸6bに対して印加される鉛直下向きの押し付け力を第2吊下軸6bの回転方向の付勢力に転換する構成としていたが、バネによる付勢力のみにより、第2吊下軸6bの回転角に応じて第2スラット2bを回動させるように付勢転換機構を構成してもよい。
【0055】
3.太陽電池セル5による発電機構
次に、太陽電池セル5による発電機構について、詳細に説明する。
【0056】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、第1スラット2aのおもて2a1面及び裏面2a2に、第1スラット2aの長手方向に沿って複数の第2太陽電池セル52が設けられている。また、第2スラット2bのおもて面2b1及び裏面2b2に、第2スラット2bの長手方向に沿って複数の第1太陽電池セル51が設けられている。
【0057】
図6は、第1スラット2aが垂直状態にある場合の第1スラット2a及び第2スラット2bを、平面視で模式的に示した図である。図6において、第2スラット2b及び第1太陽電池セル51は、破線で図示されている。図6に示すように、第2スラット2bは垂直状態の第1スラット2a間に架け渡されるように配置されている。このような回動状態は、第2スラット2bを介して外部光源(例えば、太陽)からの直射光Ldの一部を採り入れる場合に好適である。
【0058】
第2スラット2bに配置された第1太陽電池セル51には、直射光Ldが照射される。これにより、第1太陽電池セル51において発電が行われる。また、第1太陽電池セル51は光透過型太陽電池により構成され可視光を少なくとも一部を透過させるため、直射光Ldが第2スラット2bとそのおもて面2b1及び裏面2b2に配置された第1太陽電池セル51とを透過して生成される透過光Ltが縦型ブラインド100に対して部屋内側に到達し、第2スラット2bを介した採光を妨げにくい構成となっている。
【0059】
部屋内側に到達した透過光Ltは、第1スラット2aに配置された第2太陽電池セル52に照射される。これにより、第2太陽電池セル52において発電が行われる。第1太陽電池セル51及び第2太陽電池セル52は吸収波長が相互に異なるため、これら両方を用いることで直射光Ldに含まれるより広い波長範囲の光を有効に利用して発電量を向上させることができる。
【0060】
図7Aは、全閉状態の第1スラット2a及び第2スラット2bを、平面視で模式的に示した図である。図7Bは、図7Aにおける領域Eの拡大図である。図7Aに示すように、第1スラット2aのおもて面2a1に配置された第2太陽電池セル52、及び第2スラット2bのおもて面2b1に配置された第1太陽電池セル51の一部であって、部屋外側に露出している部分に対しては、直射光Ldが照射され、発電に利用される。
【0061】
本実施形態では、第1スラット2aのおもて面2a1及び裏面2b2は、それぞれ正全閉及び逆全閉状態において、一部の領域(以下、被覆領域と称する)が隣接する第2スラット2bにより外部光源側から被覆されている。例えば、図7Aに示す正全閉状態においては、第1スラット2aのおもて面2a1の右側の一部が、部屋外側に隣接する第2スラット2bにより外部光源側から被覆されている。被覆領域に配置された第2太陽電池セル52には、直射光Ldが第2スラット2bとそのおもて面2b1及び裏面2b2に配置された第1太陽電池セル51とを透過して生成される透過光Ltが照射され、発電に利用される。このように、第2スラット2bに光透過型太陽電池により構成される第1太陽電池セル51を設けることで、第1スラット2aの被覆領域に配置された第2太陽電池セル52に対して正全閉又は逆全閉状態においても透過光Ltを照射可能とし、発電量を向上させることができる。
【0062】
第1太陽電池セル51に用いられる光透過型太陽電池は、透明電極材料を用いて構成され可視光透過率が比較的高い太陽電池であり、光透過型色素増感太陽電池、光透過型有機薄膜太陽電池、光透過型ペロブスカイト太陽電池、光透過型亜酸化銅(CuO)太陽電池等の光透過型化合物系太陽電池が例示される。
【0063】
第2太陽電池セル52は、第1太陽電池セル51と異なる波長の光を吸収するものであればその構成は限定されない。好ましくは、第2太陽電池セル52は、可視光透過率が比較的低い非光透過型太陽電池により構成される非光透過型太陽電池セルであり、非光透過型太陽電池として、アモルファスシリコン太陽電池、単結晶シリコン太陽電池、及び多結晶シリコン太陽電池等のシリコン系太陽電池、GaAs太陽電池等の非光透過型化合物系太陽電池、非光透過型有機太陽電池等が例示される。
【0064】
第1太陽電池セル51は、第2スラット2bのおもて面2b1及び裏面2b2の何れか一方に設けてもよく、両方に設けてもよい。第2スラット2bのおもて面2b1及び裏面2b2の両方に第1太陽電池セル51を設けることで、第1太陽電池セル51の配置面積を増やすとともに、太陽の方位角の変化により様々な角度で照射される直射光Ldを発電に利用することができる。
【0065】
また、第2太陽電池セル52は、第1スラット2aのおもて面2a1及び裏面2b2の何れか一方に設けてもよく、両方に設けてもよい。第1スラット2aのおもて面2a1及び裏面2a2の両方に第2太陽電池セル52を設けることで、第2太陽電池セル52の配置面積を増やすとともに、太陽の方位角の変化により様々な角度で照射される直射光Ldを発電に利用することができる。
【0066】
4.制御部9
次に、制御部9について、詳細に説明する。
【0067】
制御部9は、図8に示すように、CPU91と、記憶部92と、太陽電池接続回路93と、第1モータ駆動回路96と、第2モータ駆動回路99と、エンコーダ接続回路95とを備える。制御部9は、記憶部92に記憶されたプログラムに従ってCPU91が各種処理を実行することによって、縦型ブラインド100の動作を制御する。
【0068】
太陽電池セル5は、太陽電池接続回路93を介して、CPU91と通信可能に構成されるとともに、バッテリ50に接続されている。また、太陽電池接続回路93には、太陽電池セル5から出力される電力(発電量)を検出可能な出力検出部93aが設けられている。
【0069】
本実施形態の制御部9のCPU91は、第1電動モータ41及び第2電動モータ45と、それぞれ第1モータ駆動回路96及び第2モータ駆動回路99を介して接続されている。また、CPU91は、太陽電池セル5及びバッテリ50からの電力を第1電動モータ41及び第2電動モータ45に供給してこれらを駆動する。
【0070】
また、CPU91は、エンコーダ42と、エンコーダ接続回路95を介して通信可能に構成されている。エンコーダ42により検出される第1電動モータ41の回転角度は、第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度と相関しており、CPU91は、エンコーダ42による検出結果に基づき、第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度をそれぞれ算出可能に構成される。
【0071】
制御部9は、上述のように算出された第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度、及び出力検出部93aにより検出された発電量を含む動作データを定期的に収集して記憶部92に記憶する。収集された動作データに基づき、CPU91は、発電量を最大化するうえで好適な第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度を示す制御データを作成し、記憶部92に記憶する。
【0072】
制御部9は、縦型ブラインド100の動作条件に基づき第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度(傾斜角度)を制御するように構成される。縦型ブラインド100の動作条件には、環境条件や使用条件が含まれる。環境条件は、縦型ブラインド100の外部環境の条件であり、太陽高度、季節、天候、縦型ブラインド100周辺の直射光Ldの強度等が例示される。使用条件は、縦型ブラインド100の使用に係るユーザの好み等により決まる条件であり、スラット30の傾斜角度の制御における遮光・採光の最適化と発電量の最大化との優先順位等が例示される。
【0073】
本実施形態では、縦型ブラインド100の動作条件に基づき、CPU91が上述のように作成された制御データから第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度の好適な値を選択する。そして、CPU91は、当該値に従って第1電動モータ41を駆動して第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度を制御する。
【0074】
制御データは、第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度の制御において考慮される動作条件に応じて作成される。例えば、考慮される環境条件に応じて、時間帯、季節、又は天候ごとに動作データを収集し、制御データを作成してもよい。また、考慮される使用条件に応じて、特定の使用条件ごとに制御データを作成してもよい。制御部9が実際の動作条件に適合する制御データを用いて第1スラット2a及び第2スラット2bの回動角度を制御することにより、発電量を向上させることができる。
【0075】
5.その他の実施形態
本発明は、以下の形態でも実施可能である。
【0076】
上述の実施形態の構成は、縦型ブラインド以外の遮蔽装置にも適用可能である。そのような遮蔽装置として、横型のブラインド、プリーツスクリーン、ロールスクリーン、ローマンシェードが例示される。
【0077】
遮蔽装置は、電動式でなくてもよく、遮蔽材の操作を手動で行う構成であってもよい。上述の実施形態の例においては、例えば、縦型ブラインド100が、手動操作用のチルト操作棒と操作コードとを備える構成であってもよい。一例において、チルト操作棒は、ハンガーレール1の一端に吊下支持され、チルト操作棒を回転させると、ハンガーレール1内に配置されるチルトギヤ機構を介してチルト軸4が回転される。また、操作コードは、一端が開閉コードに接続され、他端がハンガーレール1から垂下され、操作コードを操作することで先頭ランナー3cを移動可能に構成される。このような構成においては、太陽電池セル5は、縦型ブラインド100の外部の機器に供給・利用される。
【0078】
遮蔽装置は、上述の実施形態に係る縦型ブラインド100のように室内に設置してもよく、室外に設置してもよい。
【0079】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 :ハンガーレール
1a :開口部
1b :リブ
2 :ヘッドボックス
2a :第1スラット
2a1 :おもて面
2a2 :裏面
2b :第2スラット
2b1 :おもて面
2b2 :裏面
3a :第1ランナー
3b :第2ランナー
3c :先頭ランナー
4 :チルト軸
5 :太陽電池セル
6a :第1吊下軸
6b :第2吊下軸
7 :ランナーキャップ
8 :ローラー
9 :制御部
10 :誘導軸
11 :スペーサー
12 :ウォーム
13 :ウォームホィール
14a :第1スラットハンガー
14b :第2スラットハンガー
15 :押しバネ
21a :被取付部
21b :被取付部
22 :バランスウェイト
30 :スラット
30a :第1ランナーケース
30b :第2ランナーケース
31a :第1空洞部
31b :第2空洞部
32 :ローラー軸
33 :透孔
34 :軸受孔
35 :スロープ部
41 :第1電動モータ
42 :エンコーダ
45 :第2電動モータ
50 :バッテリ
51 :第1太陽電池セル
52 :第2太陽電池セル
61 :フック
62 :第1フランジ部
63 :上端部
64 :摩擦体
65 :第2フランジ部
66 :三角凸部
91 :CPU
92 :記憶部
93 :太陽電池接続回路
93a :出力検出部
95 :エンコーダ接続回路
96 :第1モータ駆動回路
99 :第2モータ駆動回路
100 :縦型ブラインド
Ld :直射光
Lt :透過光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8