(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095294
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】縦型ブラインド
(51)【国際特許分類】
E06B 9/264 20060101AFI20240703BHJP
E06B 9/36 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E06B9/264 B
E06B9/36 C
E06B9/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212467
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村木 謙文
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA05
2E043DB05
(57)【要約】
【課題】スラットに太陽電池セルを設けた縦型ブラインドであって、太陽電池セル同士をスラット間で接続する電気配線の外部への露出を低減可能な縦型ブラインドを提供する。
【解決手段】
本発明によれば、縦型ブラインドであって、ハンガーレールと、前記ハンガーレール内に支持された複数のランナーと、前記ランナーにより各々支持される複数のスラットと、前記ランナーに設けられた電極と、前記スラットに設けられ、前記電極と電気的に接続された太陽電池セルと、前記ハンガーレール内に設けられた電極レールと、を備え、前記電極レールは、前記電極に接続されることで、前記ランナー間で前記電極同士を電気的に接続するように構成される、縦型ブラインドが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型ブラインドであって、
ハンガーレールと、
前記ハンガーレール内に支持された複数のランナーと、
前記ランナーにより各々支持される複数のスラットと、
前記ランナーに設けられた電極と、
前記スラットに設けられ、前記電極と電気的に接続された太陽電池セルと、
前記ハンガーレール内に設けられた電極レールと、を備え、
前記電極レールは、前記電極に接続されることで、前記ランナー間で前記電極同士を電気的に接続するように構成される、縦型ブラインド。
【請求項2】
請求項1に記載の縦型ブラインドであって、
前記電極レールは、前後方向に並列して設けられた前側電極レールと後側電極レールとを備え、
前記電極は、第1電極と、第2電極とを備え、
前記前側電極レール及び前記後側電極レールは、第1電極及び第2電極の一方及び他方にそれぞれ接続されることで、前記ランナー間で前記電極同士を電気的に接続するように構成される、縦型ブラインド。
【請求項3】
請求項2に記載の縦型ブラインドであって、
前記ランナーは、前記スラットを吊下支持するスラット支持軸を備え、
第1電極及び第2電極は、前記スラット支持軸に設けられる、縦型ブラインド。
【請求項4】
請求項3に記載の縦型ブラインドであって、
第1電極及び第2電極は、前記スラット支持軸を挟んで対向するように前記スラット支持軸の側面に設けられ、
前記前側電極レール及び前記後側電極レールは、第1電極及び第2電極の一方及び他方にそれぞれ当接することで、前記ランナー間で前記電極同士を電気的に接続するように構成される、縦型ブラインド。
【請求項5】
請求項4に記載の縦型ブラインドであって、
押圧部材を備え、
前記押圧部材は、前記前側電極レール及び前記後側電極レールを第1電極及び第2電極の一方及び他方にそれぞれ向かう向きに押圧するように構成される、縦型ブラインド。
【請求項6】
請求項3に記載の縦型ブラインドであって、
第1電極及び第2電極は、前記スラット支持軸の軸方向に並んで配置され、
前記前側電極レールは、第1接続部材を介して第1電極と接続され、
前記後側電極レールは、第2接続部材を介して第2電極と接続される、縦型ブラインド。
【請求項7】
請求項2に記載の縦型ブラインドであって、
前記ランナーは、前記ハンガーレール内を移動可能に構成された一対のローラを備え、
第1電極及び第2電極は、前記一対のローラの一方及び他方にそれぞれ設けられる、縦型ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型ブラインドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スラットに太陽電池セルを設けた縦型ブラインドが知られている。特許文献1には、ハンガーレールに装着されたスラットの表面にシート状の太陽電池パネルを配置した縦型ブラインドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の縦型ブラインドにおいては、スラットの下部に懸架されたボトムコードにより太陽電池パネル同士をスラット間で電気的に接続している。このような構成では、太陽電池パネル同士を接続する電気配線が外部に露出しているため、意匠性が損なわれることに加え、ブラインドの使用時に電気配線が壁、窓枠、人体等に引っ掛かり損傷するおそれもある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、スラットに太陽電池セルを設けた縦型ブラインドであって、太陽電池セル同士をスラット間で接続する電気配線の外部への露出を低減可能な縦型ブラインドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]縦型ブラインドであって、ハンガーレールと、前記ハンガーレール内に支持された複数のランナーと、前記ランナーにより各々支持される複数のスラットと、前記ランナーに設けられた電極と、前記スラットに設けられ、前記電極と電気的に接続された太陽電池セルと、前記ハンガーレール内に設けられた電極レールと、を備え、前記電極レールは、前記電極に接続されることで、前記ランナー間で前記電極同士を電気的に接続するように構成される、縦型ブラインド。
[2][1]に記載の縦型ブラインドであって、前記電極レールは、前後方向に並列して設けられた前側電極レールと後側電極レールとを備え、前記電極は、第1電極と、第2電極とを備え、前記前側電極レール及び前記後側電極レールは、第1電極及び第2電極の一方及び他方にそれぞれ接続されることで、前記ランナー間で前記電極同士を電気的に接続するように構成される、縦型ブラインド。
[3][2]に記載の縦型ブラインドであって、前記ランナーは、前記スラットを吊下支持するスラット支持軸を備え、第1電極及び第2電極は、前記スラット支持軸に設けられる、縦型ブラインド。
[4][3]に記載の縦型ブラインドであって、第1電極及び第2電極は、前記スラット支持軸を挟んで対向するように前記スラット支持軸の側面に設けられ、前記前側電極レール及び前記後側電極レールは、第1電極及び第2電極の一方及び他方にそれぞれ当接することで、前記ランナー間で前記電極同士を電気的に接続するように構成される、縦型ブラインド。
[5][4]に記載の縦型ブラインドであって、押圧部材を備え、前記押圧部材は、前記前側電極レール及び前記後側電極レールを第1電極及び第2電極の一方及び他方にそれぞれ向かう向きに押圧するように構成される、縦型ブラインド。
[6][3]に記載の縦型ブラインドであって、第1電極及び第2電極は、前記スラット支持軸の軸方向に並んで配置され、前記前側電極レールは、第1接続部材を介して第1電極と接続され、前記後側電極レールは、第2接続部材を介して第2電極と接続される、縦型ブラインド。
[7][2]に記載の縦型ブラインドであって、前記ランナーは、前記ハンガーレール内を移動可能に構成された一対のローラを備え、第1電極及び第2電極は、前記一対のローラの一方及び他方にそれぞれ設けられる、縦型ブラインド。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る遮蔽装置においては、ハンガーレール内に設けられた電極レールがランナーに設けられた電極に接続されることで、ランナー間で電極同士が電気的に接続される。このような構成では、各スラットに設けられた太陽電池セル同士がハンガーレール内の電極レールを介して接続されるため、電気配線の外部への露出が低減され、意匠性に優れるとともに、電気配線の壁等への接触も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態の縦型ブラインド100を部屋内側から見た正面図である。
図1中の領域A,Bは、スラットの異なる回動状態を示している。
【
図2】ランナー2及び電極レール5の構成を説明するための概略図であり、ハンガーレール1及びランナー2の構成部材の一部は、
図1におけるC-C線における断面図で図示されている。
【
図3】ランナー2のスラット支持軸21及びスラット30を、裏面30b側から見た正面図である。
【
図4】縦型ブラインド100の制御部9及びこれに接続される部材の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2実施形態の縦型ブラインド100におけるランナー2及び電極レール5の構成を説明するための概略図である。
【
図6】第2実施形態の縦型ブラインド100のランナー2のスラット支持軸21及びスラット30を、裏面30b側から見た正面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態の縦型ブラインド100におけるランナー2及び電極レール5の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
1.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る縦型ブラインド100を部屋内側から見た正面図である。
図1中の領域A,Bは、スラット30の異なる回動状態を示している。
図2は、ランナー2及び電極レール5の構成を説明するための概略図であり、ハンガーレール1及びランナー2の構成部材の一部は、
図1におけるC-C線における断面図で図示されている。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の縦型ブラインド100は電動式であり、ハンガーレール1と、複数のランナー2と、チルト軸11と、誘導軸12と、複数のスラット30からなるスラット群3と、電極4と、電極レール5と、押圧部材50と、複数の太陽電池セル7と、バッテリ8と、制御部9とを備える。縦型ブラインド100は、取付ブラケット(不図示)等を用いて窓に対して部屋内側(室内)に取り付けられている。なお、縦型ブラインド100は、室外に設置して使用してもよい。
【0011】
以下の説明において、
図1における上下方向を縦型ブラインド100の上下方向とし、
図1における左右方向を縦型ブラインド100の左右方向とする。また、
図1の手前に向かう側を前側(又は部屋内側)、奥に向かう側を後側(又は部屋外側)とする。
【0012】
図1及び
図2に示すように、ランナー2は、ハンガーレール1内に移動可能に支持され、スラット30を支持可能に構成される。本実施形態のランナー2は、ランナーケース20と、スラット支持軸21と、ローラ軸22と、一対のローラ23とを備える。
【0013】
スラット支持軸21は、スラット30を吊下支持する。本実施形態では、スラット支持軸21の下端にフック24が設けられている。フック24には、スラットハンガー25が掛装されている。スラット30の上端にスラットハンガー25に取り付けられることで、スラット30がスラット支持軸21に吊下支持される。また、スラット支持軸21は、回転可能に構成される。本実施形態では、スラット支持軸21が略円柱形状を有し、スラット支持軸21の回転に伴い、スラット30が当該円柱形状の中心軸周りに回動する。
【0014】
ローラ軸22は、
図2に示すように、ランナーケース20の前側及び後側にそれぞれ設けられている。ローラ軸22には、一対のローラ23が回転可能に支持されている。本実施形態の一対のローラ23は、スラット支持軸21を挟んで前側及び後側にそれぞれ配置されている。ローラ23は、ハンガーレール1の内面に設けられたガイドレール17に案内されてハンガーレール1内を移動可能である。ローラ23が回転移動することにより、ランナー2がハンガーレール1内を移動する。
【0015】
チルト軸11は、
図1に示すように、ハンガーレール1内に、左右方向に沿って配置されている。チルト軸11は、ランナー2に係合して挿通されている。そして、ランナー2は、チルト軸11の軸方向(左右方向)に移動可能となっている。チルト軸11の両端は、ハンガーレール1の左右方向の両端に設けられるギヤボックス(不図示)の出力軸に回転可能に連結されている。チルト軸11が回転することで、ランナー2のスラット支持軸21が回転してスラット30が回動する。
【0016】
なお、スラット支持軸21は、スラット群3が正全閉状態又は逆全閉状態になるまではチルト軸11の回転に伴って回転し、その後はチルト軸11がスラット支持軸21に対して空回りするように構成されている。ここで、正全閉とは、スラット30のおもて面30aが部屋外側に向き、裏面30bが部屋内側に向く方向にスラット群3が最大限傾斜した状態であり、
図1における領域Aの回動状態に相当する。逆全閉とは、スラット30のおもて面30aが部屋内側に向き、裏面30bが部屋外側に向く方向にスラット群3が最大限傾斜した状態を指す。また、正全閉方向とは、スラット群3が正全閉状態に近づくようなスラット30の回動方向であり、逆全閉方向とは、スラット群3が逆全閉状態に近づくようなスラット30の回動方向を指す。また、以下の説明において、
図1の領域Bに示すように、平面視においてスラット30のおもて面30a及び裏面30bが左右方向に対して略垂直となるように(換言すれば、おもて面30a及び裏面30bが前後方向に平行となるように)スラット30が回動している状態を、垂直状態と称する。
【0017】
縦型ブラインド100は、ギヤボックスを介してチルト軸11に接続された第1電動モータ13(
図4参照)を備える。第1電動モータ13の回転に伴って、チルト軸11が回転可能となっている。また、縦型ブラインド100は、第1電動モータ13の回転角度を検出可能に構成されたエンコーダ14(
図4参照)を備える。エンコーダ14による検出結果は、制御部9へと出力される。なお、第1電動モータ13及びエンコーダ14は、ハンガーレール1内に配置されてもよく、ハンガーレール1の外部に配置されてもよい。
【0018】
誘導軸12は、
図1に示すように、ハンガーレール1内に配置されている。誘導軸12は、ランナー2に挿通されている。誘導軸12の両端は、ハンガーレール1の左右方向の両端に設けられるギヤボックス(不図示)の出力軸に回転可能に連結されている。誘導軸12が回転すると、先頭ランナー2aに追随して後続のランナー2が順次引き出され、或いは後続のランナー2が先頭ランナー2aにより順次押し戻される。このような動作により、ランナー2に吊下支持されたスラット30がハンガーレール1に沿ってその一端側に引き出され、或いはハンガーレール1の他端側に畳み込まれて、スラット群3全体の開閉(ハンガーレール1に沿ったスラット群3の畳み込み又は引き出し)が行われる。
【0019】
縦型ブラインド100は、ギヤボックスを介して誘導軸12に接続された第2電動モータ15(
図4参照)を備える。第2電動モータ15の回転に伴って、誘導軸12が回転可能となっている。なお、第2電動モータ15、ハンガーレール1内に配置されてもよく、ハンガーレール1の外部に配置されてもよい。
【0020】
スラット30は、ランナー2により吊下支持されている。
図1に示すように、スラット30の下端部には、バランスウェイト32が取着されている。
【0021】
太陽電池セル7は、スラット30に設けられる。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、スラット30のおもて面30a及び裏面30bにそれぞれ太陽電池セル7が設けられている。なお、太陽電池セル7の配置は、本実施形態の例に限定されるものではない。例えば、スラット30の片面のみに太陽電池セル7を配置してもよい。
【0022】
図3は、ランナー2のスラット支持軸21及びスラット30を、裏面30b側から見た正面図である。
図3に示すように、スラット30のおもて面30a及び裏面30bに、バイパスダイオード71が設けられている。バイパスダイオード71は、太陽電池セル7と電気的に並列に接続されている。太陽電池セル7に光が十分に照射されて発電している状態では、バイパスダイオード71は逆バイアス状態となり、バイパスダイオード71には電流が流れない。一方、太陽電池セル7上での影の形成等により光の照射量が減って発電量が低下し、太陽電池セル7の内部抵抗が増加すると、バイパスダイオード71が順バイアス状態となる。これにより、バイパスダイオード71に電流が流れ、太陽電池セル7は短絡された状態となる。このように、内部抵抗が増加した太陽電池セル7をバイパスダイオード71により回路上で迂回することで、太陽電池セル7全体としての出力低下を抑制することができる。
【0023】
太陽電池セル7は、ランナー2に設けられた電極4と電気的に接続されている。本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、各ランナー2のスラット支持軸21に、電極4としての第1電極41及び第2電極42が設けられている。第1電極41及び第2電極42は、スラット支持軸21を挟んで対向するようにスラット支持軸21の側面に設けられている。本実施形態のスラット支持軸21は略柱体形状を有しており、第1電極41及び第2電極42は、当該柱体形状の側面に沿って湾曲して配置されている。各スラット支持軸21の側面には、第1電極41と第2電極42との間に上下方向に延在する絶縁部43が2箇所設けられており、これにより第1電極41と第2電極42とが離間されている。絶縁部43は、絶縁性を有する素材で構成されている。おもて面30a及び裏面30b上の太陽電池セル7はその正極が第1電極41と、負極が第2電極42と、配線72を介してそれぞれ接続されている。
【0024】
電極レール5は、ハンガーレール1内に設けられ、電極4に接続されることで、ランナー2間で電極4同士を電気的に接続するように構成される。本実施形態では、
図2に示すように、電極レール5としての前側電極レール51及び後側電極レール52が、ハンガーレール1内を左右方向に延在するように、前後方向に並列して設けられている。前側電極レール51及び後側電極レール52は、第1電極41及び第2電極42の一方及び他方にそれぞれ接続されることで、ランナー2間で電極4同士を電気的に接続するように構成されている。
【0025】
具体的には、前側電極レール51及び後側電極レール52は、第1電極41及び第2電極42の一方及び他方にそれぞれ当接することで、ランナー2間で電極4同士を電気的に接続するように構成されている。ハンガーレール1の底壁の内部に、スラット支持軸21の前側及び後側において左右方向に沿って延在する前側空洞部16a及び後側空洞部16bが形成されており、前側空洞部16a及び後側空洞部16bに前側電極レール51及び後側電極レール52がそれぞれ配置されている。
【0026】
前側電極レール51及び後側電極レール52は、断面がコの字状の基部51a,52aと、基部51a,52aからスラット支持軸21の側に突出する突出部51b,52bとをそれぞれ備える。そして、前側電極レール51の突出部51bの先端が第1電極41及び第2電極42の一方に前側から当接し、後側電極レール52の突出部52bの先端が第1電極41及び第2電極42の他方に後側から当接する。これにより、各スラット30上の太陽電池セル7同士が、スラット30間で電気的に並列に接続される。なお、スラット30間での太陽電池セル7同士の電気的な接続態様は、本実施形態の例に限定されるものではなく、スラット30間で太陽電池セル7同士を電気的に直列に接続してもよい。
【0027】
押圧部材50は、前側電極レール51及び後側電極レール52を第1電極41及び第2電極42の一方及び他方にそれぞれ向かう向きに押圧するように構成されている。本実施形態では、
図2に示すように、押圧部材50としての前側押圧部材50a及び後側押圧部材50bが、付勢力により前側電極レール51の基部51a及び後側電極レール52の基部52aをそれぞれ押圧している。このような構成により、前側電極レール51及び後側電極レール52が第1電極41及び第2電極42の一方及び他方にそれぞれ当接した状態が維持されやすくなる。押圧部材50は、例えば、圧縮バネ等のバネや、弾性ゴムにより構成することができる。
【0028】
前側空洞部16a及び後側空洞部16bには、前側電極レール51及び後側電極レール52を周囲の部材から絶縁するための絶縁部材をさらに設けてもよい。例えば、前側電極レール51及び後側電極レール52のうち、第1電極41及び第2電極42に当接する突出部51b,52bの先端以外の部分を覆うように、絶縁部材を配置してもよい。
【0029】
本実施形態では、スラット支持軸21が回転すると、第1電極41及び第2電極42も一体的に回転する。これに伴い、電極レール5と電極4との電気的な接続状態が変化する。例えば、スラット群3が正全閉状態である場合には、
図2に示すように、前側電極レール51は、スラット支持軸21の前側に位置する第1電極41に当接し、後側電極レール52は、スラット支持軸21の後側に位置する第2電極42に当接する。一方、スラット群3が逆全閉状態である場合には、第1電極41及び第2電極42の位置関係が前後方向に逆転し、前側電極レール51は、スラット支持軸21の前側に位置する第2電極42に当接し、後側電極レール52は、スラット支持軸21の後側に位置する第1電極41に当接する。従って、前側電極レール51及び後側電極レール52が第1電極41及び第2電極42の何れに当接するかによって、電極レール5における電流の向きが逆転する。本実施形態では、前側電極レール51及び後側電極レール52が整流器(不図示)に接続されており、電極レール5から出力される電流を整流器により整流している。これにより、太陽電池セル7全体からの出力を一方向の電流として得ることが可能となる。
【0030】
なお、スラット群3が垂直状態である場合には、前側電極レール51及び後側電極レール52は、スラット支持軸21の側面の2箇所に設けられた絶縁部43にそれぞれ当接する。この状態において、電極レール5には電流が流れない。
【0031】
上述の構成では、各スラット30に設けられた太陽電池セル7同士がハンガーレール1内の電極レール5を介して接続される。従って、電気配線の外部への露出が低減され、意匠性に優れるとともに、電気配線の壁等への接触が防止できる。
【0032】
バッテリ8は、太陽電池セル7からの出力電流によって充電される。バッテリ8から出力される電力は、第1電動モータ13及び第2電動モータ15に供給される。バッテリ8から出力される電力は、縦型ブラインド100の外部の機器にさらに供給して利用可能としてもよい。また、バッテリ8は、ヘッドボックス内外の何れに配置してもよく、複数のバッテリ8を設けて、用途に応じてヘッドボックスの内外に分散して配置してもよい。
【0033】
制御部9は、縦型ブラインド100の動作を制御する。制御部9は、具体的には、第1電動モータ13及び第2電動モータ15を駆動してスラット30の回動やスラット群3全体の開閉を制御する他、太陽電池セル7の出力を監視する。
【0034】
制御部9は、
図4に示すように、CPU91と、記憶部92と、太陽電池接続回路93と、第1モータ駆動回路96と、第2モータ駆動回路99と、エンコーダ接続回路95とを備える。制御部9は、記憶部92に記憶されたプログラムに従ってCPU91が各種処理を実行することによって、縦型ブラインド100の動作を制御する。
【0035】
太陽電池セル7は、太陽電池接続回路93を介して、CPU91と通信可能に構成されるとともに、バッテリ8に接続されている。また、太陽電池接続回路93には、太陽電池セル7から出力される電力(発電量)を検出可能な出力検出部93aが設けられている。
【0036】
本実施形態の制御部9のCPU91は、第1電動モータ13及び第2電動モータ15と、それぞれ第1モータ駆動回路96及び第2モータ駆動回路99を介して接続されている。また、CPU91は、太陽電池セル7及びバッテリ8からの電力を第1電動モータ13及び第2電動モータ15に供給してこれらを駆動する。
【0037】
また、CPU91は、エンコーダ14と、エンコーダ接続回路95を介して通信可能に構成されている。エンコーダ14により検出される第1電動モータ13の回転角度は、スラット30の回動角度と相関しており、CPU91は、エンコーダ14による検出結果に基づき、スラット30の回動角度をそれぞれ算出可能に構成される。
【0038】
制御部9は、上述のように算出されたスラット30の回動角度、及び出力検出部93aにより検出された発電量を含む動作データを定期的に収集して記憶部92に記憶する。収集された動作データに基づき、CPU91は、発電量を最大化するうえで好適なスラット30の回動角度を示す制御データを作成し、記憶部92に記憶する。
【0039】
制御部9は、縦型ブラインド100の動作条件に基づきスラット30の回動角度(傾斜角度)を制御するように構成される。縦型ブラインド100の動作条件には、環境条件や使用条件が含まれる。環境条件は、縦型ブラインド100の外部環境の条件であり、太陽高度、季節、天候、縦型ブラインド100周辺の直射光Ldの強度等が例示される。使用条件は、縦型ブラインド100の使用に係るユーザの好み等により決まる条件であり、スラット30の傾斜角度の制御における遮光・採光の最適化と発電量の最大化との優先順位等が例示される。
【0040】
本実施形態では、縦型ブラインド100の動作条件に基づき、CPU91が上述のように作成された制御データからスラット30の回動角度の好適な値を選択する。そして、CPU91は、当該値に従って第1電動モータ13を駆動してスラット30の回動角度を制御する。
【0041】
制御データは、スラット30の回動角度の制御において考慮される動作条件に応じて作成される。例えば、考慮される環境条件に応じて、時間帯、季節、又は天候ごとに動作データを収集し、制御データを作成してもよい。また、考慮される使用条件に応じて、特定の使用条件ごとに制御データを作成してもよい。制御部9が実際の動作条件に適合する制御データを用いてスラット30の回動角度を制御することにより、発電量を向上させることができる。
【0042】
2.第2実施形態
図5及び
図6を用いて、本発明の第2実施形態の縦型ブラインド100について説明する。本実施形態の縦型ブラインド100は電極4及び電極レール5の構成において第1実施形態と相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0043】
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、各ランナー2のスラット支持軸21に、電極4としての第1電極41及び第2電極42が設けられている。第1電極41及び第2電極42は、スラット支持軸21の軸方向に並んで配置されている。なお、本実施形態では、第1電極41が第2電極42の上側に配置されているが、第2電極42を第1電極41の上側に配置してもよい。第1電極41は内側電極41a及び外側電極41bを備え、第2電極42は内側電極42a及び外側電極42b備える。内側電極41a,42aは逆円錐台形状を有し、当該逆円錐台形状の円錐軸に沿ってスラット支持軸21が貫通するように、スラット支持軸21に取り付けられている。スラット支持軸21が回転すると、内側電極41a,42aも一体的に回転可能である。
【0044】
第1電極41の内側電極41aには、導電性材料で構成された前側接続部材44が設けられる。前側接続部材44は、先端(下端)に爪部44aを備える。内側電極41a及び前側接続部材44は一体部品として構成されており、前側接続部材44は、内側電極41aからスラット30に向かって垂下され、第2電極42を貫通し、爪部44aはスラット30の上端付近に配置されている。また、第2電極42の内側電極42aには、導電性材料で構成された後側接続部材45が設けられる。後側接続部材45は、先端(下端)に爪部45aを備える。内側電極42a及び後側接続部材45は一体部品として構成されており、後側接続部材45は、内側電極42aからスラット30に向かって垂下され、爪部45aはスラット30の上端付近に配置されている。前側接続部材44及び後側接続部材45は、スラット30を挟んで前側及び後側にそれぞれ配置される。
【0045】
爪部44a,45aには、スラット30に設けられたスラット側電極46a,46bがそれぞれ取着される。スラット側電極46a,46bは、前側接続部材44及び後側接続部材45をそれぞれ横断するように、スラット30の上端近傍に、スラット30の短手方向に沿って配置される。本実施形態では、スラット側電極46a,46bは、一部がスラット30の内部に埋め込まれており、一部がスラット30の上端に形成された切り欠き部33において外部に露出している。そして、スラット側電極46a,46bの当該露出部分が、爪部44a,45aにそれぞれ取着されている。
【0046】
スラット側電極46a,46bが爪部44a,45aに取着されることで、第1電極41とスラット側電極46aとが前側接続部材44を介して電気的に接続され、第2電極42とスラット側電極46bとが後側接続部材45を介して電気的に接続される。また、スラット30は、前側接続部材44及び後側接続部材45により前後方向に挟まれた状態で吊下支持される。
【0047】
本実施形態では、スラット30のおもて面30a及び裏面30bに配置された太陽電池セル7同士が、配線(不図示)により電気的に並列に接続されている。また、スラット30に、太陽電池セル7から外部へ電気を出力するための出力用部材48a,48bが設けられている。スラット30の裏面30bに配置された太陽電池の正極は出力用部材48a,48bの一方の一端と、負極は出力用部材48a,48bの他方の一端と、電気的に接続されている。出力用部材48a,48bの他端は、スラット側電極46a,46bの一端とそれぞれ電気的に接続されている。なお、上述の各構成部材は、電気的極性が異なる部材との接触箇所において、適宜絶縁処理がなされている。
【0048】
第1電極41の外側電極41bは、内側電極41aの外周面の少なくとも一部を覆うように、第2電極42の外側電極42bは、内側電極42aの外周面の少なくとも一部を覆うように設けられている。具体的には、内側電極41a,42aの逆円錐台形状の側面の一部を覆うように、外側電極41b,42bが内側電極41a,42aの外側に設けられている。外側電極41b,42bは、逆円錐台形状を有し、当該逆円錐台形状の円錐軸に沿って内側電極41a,42aが貫通するように取り付けられている。
【0049】
外側電極41b,42bの内周面と内側電極41a,42aの外周面とは、内側電極41a,42aが外側電極41b,42bに対して回転可能となるように摺接している。スラット支持軸21の回転に伴い内側電極41a,42aが回転すると、内側電極41a,42aの外周面が外側電極41b,42bの内周面に対して摺動し、外側電極41b,42bは回転しない。なお、この際、前側接続部材44及び後側接続部材45により吊下支持されるスラット30は、内側電極41a,42aの回転にともない回動する。
【0050】
本実施形態の内側電極41a,42a及び外側電極41b,42bは逆円錐台形状を有しているため、内側電極41a,42aが外側電極41b,42bに対して回転すると、内側電極41a,42aの自重による比較的弱い力により内側電極41a,42aの外周面が外側電極41b,42bの内周面に押し付けられる。これにより、外側電極41b,42bの内周面に対する内側電極41a,42aの外周面の摺動を可能としつつ、内側電極41a,42aが外側電極41b,42bから離間することを防止できる。
【0051】
本実施形態では、前側電極レール51及び後側電極レール52が前後方向に並列して設けられている。そして、前側電極レール51は、第1接続部材47aを介して第1電極41と接続され、後側電極レール52は、第2接続部材47bを介して第2電極42と接続され、これによりランナー2間で電極4同士が電気的に接続される。
【0052】
具体的には、前側電極レール51及び後側電極レール52は、
図5に示すように、ハンガーレール1の底壁の内面上に設けられている。第1接続部材47aは、導電性材料で構成され、第1電極41の外側電極41bに設けられて下端が前側電極レール51に当接するように外側電極41bから垂下されている。第2接続部材47bは、導電性材料で構成され、第2電極42の外側電極42bに設けられて下端が後側電極レール52に当接するように外側電極42bから垂下されている。第1接続部材47a及び第2接続部材47bは、ランナー2がハンガーレール1内を左右方向に移動すると、電極レール5への当接を維持した状態でランナー2と一体的に移動するように構成されている。本実施形態では、第1接続部材47a及び第2接続部材47bの少なくとも下端側を金属製の板バネで構成している。板バネの付勢力により電極レール5への当接が維持されるとともに、ランナー2がハンガーレール1内を左右方向に移動すると、第1接続部材47a及び第2接続部材47bの下端が前側電極レール51及び後側電極レール52上を摺動可能となっている。
【0053】
本実施形態においても、各スラット30に設けられた太陽電池セル7同士がハンガーレール1内の電極レール5を介して接続されるため、電気配線の外部への露出が低減され、意匠性に優れるとともに、電気配線の壁等への接触が防止できる。また、本実施形態では、前側電極レール51が第1接続部材47aを介して第1電極41と接続され、後側電極レール52が第2接続部材47bを介して第2電極42と接続され、電極レール5と電極4との電気的な接続状態がスラット群3の回動状態によって変化しない。従って、電極レール5における電流の向きが一定となり、第1実施形態のように電極レール5から出力される電流を整流するための整流器を設ける必要がない。また、スラット群3が垂直状態である場合にも電極レール5と電極4との接触が維持されるため、常時太陽電池セル7全体からの出力を集電可能である。
【0054】
3.第3実施形態
図7を用いて、本発明の第3実施形態の縦型ブラインド100について説明する。本実施形態の縦型ブラインド100は電極4及び電極レール5の構成において第1実施形態と相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0055】
本実施形態では、各ランナー2の一対のランナー2の一方及び他方に、電極4としての第1電極41及び第2電極42が設けられている。具体的には、樹脂製の一対のローラ23の側面が、一周にわたって薄板状の第1電極41及び第2電極42にそれぞれ覆われている。おもて面30a及び裏面30b上の太陽電池セル7は、その正極が第1電極41と、負極が第2電極42と、配線72を介してそれぞれ接続されている。
【0056】
本実施形態では、前側電極レール51及び後側電極レール52が前後方向に並列して設けられている。具体的には、前側電極レール51及び後側電極レール52は、ガイドレール17の内面上に、ランナー2がハンガーレール1内を移動する際のローラ23の回転移動経路に沿って設けられている。ランナー2がガイドレール17を左右方向に移動すると、一方のローラ23に設けられた第1電極41が前側電極レール51と接触し、他方のローラ23に設けられた第2電極42が後側電極レール52と接触しながら、ローラ23が回転移動する。これにより、電極4と電極レール5との接触が維持される。
【0057】
本実施形態においても、各スラット30に設けられた太陽電池セル7同士がハンガーレール1内の電極レール5を介して接続されるため、電気配線の外部への露出が低減され、意匠性に優れるとともに、電気配線の壁等への接触が防止できる。また、本実施形態では、前側電極レール51が第1電極41と接触し、後側電極レール52が第2電極42と接触し、電極レール5と電極4との電気的な接続状態がスラット群3の回動状態によって変化しない。従って、電極レール5における電流の向きが一定となり、第1実施形態のように電極レール5から出力される電流を整流するための整流器を設ける必要がない。また、スラット群3が垂直状態である場合にも電極レール5と電極4との接触が維持されるため、常時太陽電池セル7全体からの出力を集電可能である。
【0058】
なお、第1電極41及び第2電極42の構成は、本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、ローラ23を導電性材料で構成し、ローラ23そのものを第1電極41及び第2電極42として用いることも可能である。
【0059】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 :ハンガーレール
2 :ランナー
2a :先頭ランナー
3 :スラット群
4 :電極
5 :電極レール
7 :太陽電池セル
8 :バッテリ
9 :制御部
11 :チルト軸
12 :誘導軸
13 :第1電動モータ
14 :エンコーダ
15 :第2電動モータ
16a :前側空洞部
16b :後側空洞部
17 :ガイドレール
20 :ランナーケース
21 :スラット支持軸
22 :ローラ軸
23 :ローラ
24 :フック
25 :スラットハンガー
30 :スラット
30a :おもて面
30b :裏面
32 :バランスウェイト
33 :切り欠き部
41 :第1電極
41a :内側電極
41b :外側電極
42 :第2電極
42a :内側電極
42b :外側電極
43 :絶縁部
44 :前側接続部材
44a :爪部
45 :後側接続部材
45a :爪部
46a :スラット側電極
46b :スラット側電極
47a :第1接続部材
47b :第2接続部材
48a :出力用部材
48b :出力用部材
50 :押圧部材
50a :前側押圧部材
50b :後側押圧部材
51 :前側電極レール
51a :基部
51b :突出部
52 :後側電極レール
52a :基部
52b :突出部
71 :バイパスダイオード
72 :配線
91 :CPU
92 :記憶部
93 :太陽電池接続回路
93a :出力検出部
95 :エンコーダ接続回路
96 :第1モータ駆動回路
99 :第2モータ駆動回路
100 :縦型ブラインド