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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095295
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電動ブラインドシステム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20240703BHJP
   E06B 9/386 20060101ALI20240703BHJP
   H02S 30/20 20140101ALI20240703BHJP
【FI】
E06B9/264 C
E06B9/386
H02S30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212469
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村木 謙文
【テーマコード(参考)】
2E043
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043BB04
2E043BB12
2E043BB14
2E043BB15
2E043BC02
2E043BD01
2E043BE01
2E043BE12
2E043BE13
2E043DB06
5F151BA03
5F151JA14
5F151JA30
5F251BA03
5F251JA14
5F251JA30
(57)【要約】
【課題】良好な発電を得るスラット傾斜角度を検知するのに好適な電動ブラインドシステムを提供する。
【解決手段】
本発明によれば、各々が太陽電池を有する複数のスラットと、制御部と、を備える電動ブラインドシステムであって、前記複数のスラットのうち、一部のスラットは他のスラットとは傾斜角度が異なり、前記制御部は、前記一部のスラットの太陽電池の出力に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御可能に構成される、電動ブラインドシステムが提供される。前記他のスラットのなかで特定のスラットの太陽電池の出力を区別して検知するように構成されてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が太陽電池を有する複数のスラットと、制御部と、を備える電動ブラインドシステムであって、
前記複数のスラットのうち、一部のスラットは他のスラットとは傾斜角度が異なり、
前記制御部は、前記一部のスラットの太陽電池の出力に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御可能に構成される、電動ブラインドシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記他のスラットのなかで特定のスラットの太陽電池の出力を区別して検知するように構成され、
前記制御部は、前記特定のスラットの太陽電池の出力に対する前記一部のスラットの太陽電池の出力の差に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御可能に構成される、電動ブラインドシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記制御部は、出力検出回路からの検出信号に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御し、
前記出力検出回路は、前記複数のスラットの前記太陽電池のなかで前記一部のスラット及び前記特定のスラットの太陽電池の出力を区別して検知するように構成される、電動ブラインドシステム。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記一部のスラットは、前記他のスラットよりも傾斜角度を急にした急傾斜スラット、及び/又は、前記他のスラットよりも傾斜角度が緩やかにした緩傾斜スラット、を含む、電動ブラインドシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記一部のスラットは、前記急傾斜スラット及び前記緩傾斜スラットを含み、
前記制御部は、前記急傾斜スラットの前記太陽電池の出力と前記緩傾斜スラットの前記太陽電池の出力との両方に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御可能に構成される、電動ブラインドシステム。
【請求項6】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記一部のスラットと前記他のスラットとが互いに異なる傾斜角度でスラット支持コードに設置される、電動ブラインドシステム。
【請求項7】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記制御部による傾斜角度の制御時に、前記複数のスラットを一部のスラットと前記他のスラットとを同一方向へ回動させるように構成された、電動ブラインドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ブラインドシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、太陽電池セルの発電電力を最大化するスラット角度を探索するモードを備えたブラインド装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-100733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術には、スラット角度の探索モードを実行しない限り、適正なスラット角度を知ることができない欠点がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、良好な発電を得るスラット傾斜角度を検知するのに好適な電動ブラインドシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]各々が太陽電池を有する複数のスラットと、制御部と、を備える電動ブラインドシステムであって、前記複数のスラットのうち、一部のスラットは他のスラットとは傾斜角度が異なり、前記制御部は、前記一部のスラットの太陽電池の出力に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御可能に構成される、電動ブラインドシステム。
[2][1]に記載の電動ブラインドシステムであって、前記他のスラットのなかで特定のスラットの太陽電池の出力を区別して検知するように構成され、前記制御部は、前記特定のスラットの太陽電池の出力に対する前記一部のスラットの太陽電池の出力の差に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御可能に構成される、電動ブラインドシステム。
[3][2]に記載の電動ブラインドシステムであって、前記制御部は、出力検出回路からの検出信号に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御し、前記出力検出回路は、前記複数のスラットの前記太陽電池のなかで前記一部のスラット及び前記特定のスラットの太陽電池の出力を区別して検知するように構成される、電動ブラインドシステム。
[4][1]~[3]のいずれか1つに記載の電動ブラインドシステムであって、前記一部のスラットは、前記他のスラットよりも傾斜角度を急にした急傾斜スラット、及び/又は、前記他のスラットよりも傾斜角度が緩やかにした緩傾斜スラット、を含む、電動ブラインドシステム。
[5][4]に記載の電動ブラインドシステムであって、前記一部のスラットは、前記急傾斜スラット及び前記緩傾斜スラットを含み、前記制御部は、前記急傾斜スラットの前記太陽電池の出力と前記緩傾斜スラットの前記太陽電池の出力との両方に基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御可能に構成される、電動ブラインドシステム。
[6][1]~[5]のいずれか1つに記載の電動ブラインドシステムであって、前記一部のスラットと前記他のスラットとが互いに異なる傾斜角度でスラット支持コードに設置される、電動ブラインドシステム。
[7][1]~[6]のいずれか1つに記載の電動ブラインドシステムであって、前記制御部による傾斜角度の制御時に、前記複数のスラットを一部のスラットと前記他のスラットとを同一方向へ回動させるように構成された、電動ブラインドシステム。
【発明の効果】
【0007】
傾斜角度が異なる一部のスラットの太陽電池出力を複数のスラット全体の傾斜角度制御の指針とするので、スラット角度の探索モードを実行しなくとも、スラット角度制御を調節できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、本発明の実施形態に係る電動ブラインドシステム100を部屋外側から見た正面図である。図1Bは、図1Aのスラット3の拡大斜視図である。
図2図2Aは、図1Aの電動ブラインドシステム100を右側方から見た図であり、複数のスラット3、3s、3gが正全閉となった状態を示す図である。
図3図3Aは、図2の電動ブラインド本体1の最下部に位置するスラット3、3s、3gの拡大図である。図3Bは、一部のスラット3s、3gと他のスラット3とで傾斜角度が異なることを説明するための図である。
図4】一部のスラット3s、3gの傾斜角度を他のスラット3と相違させる設置方法の一例を示す図である。
図5図1Aの電動ブラインド本体1における制御部9の制御に関する構成を示すブロック図である。
図6図6Aは、図3Aの状態から複数のスラット3、3s、3gが正全閉方向(図3Bの+側)に回動した状態を示す図である。図6Bは、図3Aの状態から複数のスラット3、3s、3gが逆全閉方向(図3Bの-側)に回動した状態を示す図である。
図7】制御部9が実行する制御フローの一例である。
図8図8Aは、第2スラット群G2のなかでスラット3、3s、3gの順番を入れ替えた変形例の図である。図8Bは、第2スラット群G2のうちスラット3sのみを第1スラット群G1の上方に位置させた変形例の図である。
図9図9Aは、第2スラット群G2のなかの特定のスラット3を省略した変形例の図である。図9Bは、図8Aをさらに変形例させ、第1スラット群G1の上方に一部のスラット3sが位置し下方にスラット3gが位置する変形例の図である。
図10】第2スラット群G2のなかの特定のスラット3を省略した変形例において、制御部9が実行する制御フローの一例である。
図11】複数の電動ブラインド本体1、1aを備える変形例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
本開示において、「スラットの傾斜角度」とは、横型ブラインドの場合と縦型ブラインドの場合とで異なる。横型ブラインドの場合、スラットの傾斜角度は、水平方向軸まわりの角度で規定される。縦型ブラインドの場合、スラットの傾斜角度は、鉛直方向軸まわりの角度で規定される。以下に述べる実施の形態では、一例として、横型の電動ブラインドに本発明を適用する。
【0011】
1.装置構成
図1A及び図2に示すように、本実施形態の電動ブラインドシステム100は、横型の電動ブラインド本体1と、制御部9と、バッテリ10と、を備える。電動ブラインド本体1は、ヘッドボックス2と、ラダーコード21と、昇降コード22と、複数のスラット3、3s、3gと、ボトムレール5と、を備える。電動ブラインド本体1は、取付ブラケット(不図示)等を用いて窓8に対して部屋内側(室内)に取り付けられている。窓8は窓枠81と窓ガラス82とを備える(図2参照)。
【0012】
以下の説明では、電動ブラインド本体1の上下及び左右方向を、図1Aに示すように定める。つまり、電動ブラインド本体1を部屋外側から見た場合の水平幅方向を「左右方向」とし、鉛直方向を「上下方向」とする。また、図1Aの紙面手前側を前側とし、紙面奥側を後側とする。実施の形態では、図1Aで水平方向を規定する矢印がX軸であり、便宜上、鉛直方向を規定する矢印がZ軸である。実施の形態では横型ブラインドなのでX軸周りの回転角度で、スラット3、3s、3gの傾斜角度が規定される。
【0013】
ラダーコード21は、スラット支持コードの一例である。ラダーコード21は、ヘッドボックス2から垂下されている。ラダーコード21は、一対の縦糸の間に複数の横糸を備える。この横糸によりスラット3、3s、3gの各々が支持されている。一対の縦糸の一端は、ヘッドボックス2内に配置された吊下部材(不図示)に取着されており、ヘッドボックス2内に配置された駆動軸(不図示)の回転に伴い吊下部材が回転することによって、スラット3、3s、3gの各々が回動して傾斜角度が変化するように構成されている。一対の縦糸の他端は、ボトムレール5に取着されている。
【0014】
実施の形態では、複数のスラット3、3s、3g各々が、太陽電池セル7を有する。具体的には、図1Bに示すように、スラット3のおもて面に、太陽電池セル7が設けられている。実施の形態では、複数の太陽電池セル7が、一枚のスラット3の長手方向に沿って配置される。
【0015】
詳細は後述するが、スラット3s、3g各々のおもて面にも同様に太陽電池セル7が設けられている(図3A及び図3B等参照)。実施の形態では、一例として、複数のスラット3、3s、3gは、スラット単体としての構造が互いに同じであるものとする。
【0016】
吊下部材は、第1及び第2スラット群G1、G2が正全閉状態又は逆全閉状態になるまでは駆動軸の回転に伴って回転し、その後は駆動軸が吊下部材に対して空回りするように構成されている。
【0017】
ここで、実施の形態では、「正全閉」とは、スラット3、3s、3gのおもて面が部屋外側に向き、裏面が部屋内側に向く方向に第1及び第2スラット群G1、G2が最大限傾斜した状態である。「正全閉方向」とは、第1及び第2スラット群G1、G2が正全閉状態に近づくようなスラット3、3s、3gの回動方向を指すものとする。また、「逆全閉」とは、スラット3、3s、3gのおもて面が部屋内側に向き、裏面が部屋外側に向く方向に第1及び第2スラット群G1、G2が最大限傾斜した状態を指す。「逆全閉方向」とは、第1及び第2スラット群G1、G2が逆全閉状態に近づくようなスラット3、3s、3gの回動方向を指すものとする。
【0018】
図2に示すように、昇降コード22は、ヘッドボックス2から垂下され、一端がボトムレール5に取着されている。昇降コード22の他端は、ヘッドボックス2内に配置された巻取軸(不図示)に取着されている。ヘッドボックス2内に配置された駆動軸(不図示)の回転に伴い巻取軸が回転することによって、昇降コード22が巻取軸に巻き取り又は巻き戻しされ、ボトムレール5が昇降する。
【0019】
ヘッドボックス2内には、上述の駆動軸に連結された電動モータ23(図5参照)が配置されている。電動モータ23の回転に伴って、駆動軸が回転してスラット3、3s、3gの傾斜角度の変更及びボトムレール5の昇降が可能となっている。また、ヘッドボックス2内には、電動モータ23の回転角度を検出可能に構成されたエンコーダ24(図5参照)が配置されている。エンコーダ24による検出結果は、制御部9へと出力される。
【0020】
図1に示すバッテリ10は、スラット3各々の太陽電池セル7が発電した電力によって充電される。バッテリ10から出力される電力は、電動モータ23に供給される。バッテリ10から出力される電力は、電動ブラインドシステム100の外部の機器にさらに供給して利用可能としてもよい。また、バッテリ10は、ヘッドボックス2内外の何れに配置してもよく、複数のバッテリ10を設けて、用途に応じてヘッドボックス2の内外に分散して配置してもよい。
【0021】
なお、実施の形態では、図1A及び図2に示すように、一例としてボトムレール5の内部に太陽電池接続回路97が設けられる。
【0022】
図3Aは、図2において最下部(つまりボトムレール5付近)に位置する5枚のスラットを図示している。図3Aでは、スラット3が正全閉側に傾斜させられた状態で、スラット3のおもて面上の太陽電池セル7に対して直射光Ldが照射されている。
【0023】
図3A及び図3Bに示すように、複数のスラット3、3s、3gのうち、一部のスラット3s、3gは他のスラット3とは傾斜角度が異なる。「一部のスラット」及び「他のスラット」は、傾斜角度の違いに応じた便宜上の呼び分けである。他のスラット3は、互いに同じ傾斜角度を有し、一部のスラット3s、3gよりも枚数が多い。
【0024】
図3Bに、傾斜角度θにおいて増大方向(+)と低減方向(-)とが図示される。増大方向(+)は図3Bで反時計回り方向であり、前述した正全閉方向である。傾斜低減方向(-)は図3Bで時計回り方向であり、前述した逆全閉方向である。
【0025】
図3Bでは他のスラット3の傾斜角度をθと図示している。便宜上、実施の形態では、他のスラット3が水平状態とされたときにθ=0度であるものとする。実施の形態では、一例として、一部のスラット3s、3g各々をθから+5度又は-5度ほどずらすものとし、図3Bにおいてθs=θ+5度としθg=θ-5度とする。図3Bでは、スラット3の太陽電池セル7が直射光Ldをちょうど垂直に受光している。これとは対照的に、スラット3gは正全閉方向にわずかに(5度)ずれており、スラット3gは逆全閉方向にわずかに(5度)ずれている。
【0026】
図3Bのように、傾斜角度の増大方向(+)を規定している。このため実施の形態では、スラット3sが「傾斜が急である急傾斜スラット」に相当し、スラット3gが「傾斜が緩やかな緩傾斜スラット」に相当している。この「急」及び「緩やか」という用語は、他のスラット3を基準にした相対的な角度を意味する便宜上の表現である。実施の形態では他のスラット3よりも正全閉方向に回動した位置では「傾斜が急」であり、他のスラット3よりも逆全閉方向に回動した位置では「傾斜が緩やか」であるものとする。
【0027】
図1A図2及び図3Aに示すように、実施の形態では、複数のスラット3、3s、3gは、第1スラット群G1と第2スラット群G2とに分けられている。第1スラット群G1は、他のスラット3を多数含んでいる。このため、第1スラット群G1は、電動ブラインド本体1内で第2スラット群G2よりも大きな範囲を占める。
【0028】
実施の形態では、第2スラット群G2は、一部のスラット3s、3gを含むとともに、他のスラット3を一つ含んでいる。この「第2スラット群G2に属するスラット3」を、「特定のスラット3」とも称する。実施の形態では、一例として、「特定のスラット3」の太陽電池セル7の出力を区別して検知する(図5参照)。
【0029】
図4には、一部のスラット3s、3gの傾斜角度を他のスラット3とは相違させる設置方法の一例が図示されている。図4では昇降コード22は図示を省略している。ラダーコード21は、縦糸21aと横糸21bを備える。図4では、他のスラット3各々が水平状態(つまり傾斜角度ゼロ)である。
【0030】
横糸21bは、ある程度のたるみを持たせて縦糸21aに接続されている。縦糸21aにおける一部のスラット3s、3g付近に、カシメ30が設けられる。カシメ30により、横糸21bを片方の縦糸21aに引き付けて横糸21bを斜めに張ることで、傾斜を作り出すことができる。図4では一部のスラット3s、3gの一端が高さHずつ上下方向にずれており、一部のスラット3s、3gが他のスラット3とは異なる傾斜角度で設置されている。
【0031】
なお、実施の形態では、一部のスラット3s、3gと他のスラット3との傾斜角度差は一例として±5度であるが、これ以外の角度でもよい。
【0032】
他のスラット3とスラット3sとの角度差(θs-θ)は、例えば0.5~15度であり、より具体的には、例えば1~10度でもよい。この角度差(θs-θ)は、例えば0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内でもよい。
【0033】
他のスラット3とスラット3gとの角度差(θ-θg)は、例えば0.5~15度であり、より具体的には、例えば1~10度でもよい。この角度差(θ-θg)は、例えば0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内でもよい。
【0034】
上記の値(θs-θ)及び値(θ-θg)は実施の形態では一例として同じ値(5度)であるが、これに限られず、互いに異なる値でもよい。つまり、(θs-θ)<(θ-θg)でもよく、或いは(θs-θ)>(θ-θg)でもよい。
【0035】
2.制御及び動作
2.1.制御部及び周辺構成、並びに制御動作
図5に示すように、実施の形態の制御部9は、CPU91と、記憶部92と、太陽電池接続回路93と、モータ駆動回路94と、エンコーダ接続回路96とを備える。また、制御部9は、太陽電池接続回路97と接続している。制御部9は、記憶部92に記憶されたプログラムに従ってCPU91に各種処理を実行させることで電動ブラインドシステム100の動作を制御する。
【0036】
第1スラット群G1に属する他のスラット3各々の太陽電池セル7は、太陽電池接続回路93に接続されている。太陽電池接続回路93は、CPU91と通信可能に構成されるとともに、バッテリ10にも接続されている。太陽電池接続回路93には、出力検出回路93aが設けられている。出力検出回路93aは、第1スラット群G1に属するスラット(つまり他のスラット3)の太陽電池セル7のから出力(全セルの合計発電量でもよい)を検出可能である。
【0037】
第2スラット群G2に属するスラット(一部のスラット3s、3g及び特定のスラット3)の太陽電池セル7は、太陽電池接続回路97に接続している。太陽電池接続回路97は、制御部9内のCPU91と通信可能に構成される。太陽電池接続回路97には、出力検出回路97aが設けられている。
【0038】
出力検出回路97aは、一部のスラット3s、3g各々の太陽電池セル7及び特定のスラット3の太陽電池セル7の出力を、互いに区別して検出可能に構成される。出力検出回路97aの出力検出信号は、有線(無線でも可)で制御部9に送信される。太陽電池セル7の出力は、具体的には出力電力、つまり発電量である。
【0039】
なお、図1Bに図示しているように、実施の形態ではスラット3、3s、3g各々が複数の太陽電池セル7を備えている。一例として、スラット3sが備える複数の太陽電池セル7のうち、一部の太陽電池セル7のみを出力検出回路97aに接続して出力検知用とし、残りの太陽電池セル7は出力検知に用いずに例えば充電用としてもい。これはスラット3g及び特定のスラット3についても同様である。
【0040】
実施の形態では、制御部9は、出力検出回路93a、97aからの検知信号に基づいて複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度を制御する。
【0041】
なお、第2スラット群G2の太陽電池セル7で得た発電電力の用途は、任意であり、例えば太陽電池接続回路97から任意の制御部、駆動部、補機等の電源に供給されてもよく、或いは太陽電池接続回路93を介してバッテリ10の充電に利用されてもよい。第2スラット群G2の各スラット3、3s、3gの太陽電池セル7は、発電量センサの役割と発電セルの役割とを兼ねることができる。
【0042】
CPU91は、モータ駆動回路94を介して電動モータ23に接続されている。CPU91は、太陽電池セル7及びバッテリ10からの電力を電動モータ23に供給してこれらを駆動する。
【0043】
また、CPU91は、エンコーダ接続回路96を介してエンコーダ24と通信可能に構成されている。エンコーダ24により検出される電動モータ23の回転角度はスラット3、3s、3g各々の傾斜角度と相関している。CPU91は、エンコーダ24による検出結果に基づき、他のスラット3の傾斜角度を算出可能に構成される。本実施形態では、複数のスラット3、3s、3gの間での傾斜角度の差が、既知であり、しかも初期設定値(±5度)のまま一定に確保される。このため、他のスラット3の傾斜角度が検出できれば、一部のスラット3s、3gの傾斜角度は算出可能である。
【0044】
制御部9は、動作データを定期的に収集して記憶部92に記憶する。この動作データは、上述のように算出されたスラット3、3s、3g各々の傾斜角度と、出力検出回路93a、97aにより検出された発電量とを含んでいる。
【0045】
制御部9は、一部のスラット3s、3gの太陽電池セル7の出力に基づいて複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度を制御可能に構成される。即ち、スラット3、3s、3gの傾斜角度が異なるので、3、3s、3g各々の太陽電池セル7の発電量が異なる。具体的には、出力検出回路97aは、一部のスラット3s、3gの太陽電池セル7の出力によって、傾斜角度ズレ分(実施の形態では一例として±5度)に応じた発電量差分を常時検出することができる。出力の差を見れば、どちら側に回動するとより多くの発電量が得られるかを常時検出できるので、好適な傾斜角度をリアルタイムに特定できる利点がある。
【0046】
このように、傾斜角度が異なる一部のスラット3s、3gの太陽電池セル7の出力を複数のスラット3、3s、3g全体の傾斜角度制御の指針とするので、スラット角度探索モード等の特別の制御モードを準備及び実行しなくとも、スラット角度制御を調節できる利点がある。
【0047】
図3Bに示すように、実施の形態では、一例として、他のスラット3と比較して傾斜角度が急なスラット3s及び傾斜角度が緩やかなスラット3gが、両方とも設けられる。これにより傾斜角度θの増大側(正全閉側)と低減側(逆全閉側)それぞれについて出力検知を行うことができる。
【0048】
図6A及び図6Bを用いて、複数のスラット3、3s、3gの回動動作の一例を述べる。図3Aが回動前であり、図6A及び図6Bが回動後である。実施の形態では、制御部9による傾斜角度の制御時に、複数のスラット3、3s、3gを同一方向へ回動させるように、電動ブラインド本体1が構成されている。
【0049】
例えば、図6Aのように、発電量を増大させるために他のスラット3を正全閉方向に回動させ、これにともなって一部のスラット3s、3gも同じく正全閉方向に回動させたとする。そうすると、回動前(図3A)と比べて、回動後(図6A)には、他のスラット3各々の発電量が増大するとともに、複数のスラット3、3s、3g各々に同量の傾斜が追加される。これにより、再び、一部のスラット3s、3gと特定のスラット3との間で発電量の差を検知可能となる。この動作は、図6Bの逆全閉方向への回動でも同様である。
【0050】
2.2.制御フローの一例
図7に一例として示す制御フローを、制御部9が実行してもよい。この制御フローは記憶部92にプログラムの形態で格納される。一例として、日出に応じた発電開始命令に応答して、CPU91が図7のフローを実行してもよい。
【0051】
制御フロー開始後、まずステップS1で、出力検出回路97aにより出力電力値Pθ、Pθs、及びPθgが検出される。Pθは、第2スラット群G2の特定のスラット3に設けた太陽電池セル7の出力電力値である。Pθsは、スラット3sの太陽電池セル7の出力電力値である。Pθgは、スラット3sの太陽電池セル7の出力電力値である。
【0052】
ステップS2で、出力差(Pθg-Pθ)が第1判定値Pth1より大きいか否かが判定される。第1判定値Pth1より大きい場合、ステップS3で、傾斜角度が予め設定した角度θだけ低減される。これにより、複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度が緩かになり、全体の発電量を増加できる。その後、今回のルーチンが終了する。
【0053】
このθを、「単位調節角度」とも称す。「単位調節角度」は、図7のフローで傾斜角度を調節する際に、スラット3、3s、3g各々を制御ステップ1回当たりで回動させる角度の大きさである。
【0054】
ステップS2が否定(NO)であるときは、ステップS4で、出力差(Pθg-Pθ)が第2判定値Pth2より大きいか否かが判定される。第2判定値Pth2より大きい場合、ステップS5で、傾斜角度がθだけ増加させられる。これにより、複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度が急になり、全体の発電量を増加できる。その後、今回のルーチンが終了する。
【0055】
ステップS2、S4の両方で否定(NO)であるときは、現在の傾斜角度が維持されて、今回のルーチンが終了する。
【0056】
以上説明した図7の制御フローによれば、制御部9が、特定のスラット3の太陽電池セル7の出力に対する一部のスラット3s、3gの太陽電池セル7の出力の差に基づいて、複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度を制御である。
【0057】
太陽位置(太陽高度及び太陽方位角)は、時間経過によって変化する。このため、発電量の観点から最適又は好適なスラット傾斜角度も時間経過によって変化する。例えば日出~正午には、太陽高度が徐々に増大していく(この場合、基本的にはPθg>Pθ>Pθsとなる)。そうすると、太陽高度の増大に伴って、太陽電池セル7の傾斜を緩やかにしていくほうが(つまりセル受光面を寝かせていくほうが)、より多くの発電量が得られる。図7の制御フローでは、ステップS2、S3でそのような動作が得られる。逆に、正午~日没には、太陽高度が徐々に減少していくこととなり、太陽電池セル7の傾斜を急にしていくほうが(つまりセル受光面を立てていくほうが)、より多くの発電量が得られる(この場合、基本的にはPθg<Pθ<Pθsとなる)。図7の制御フローでは、ステップS4、S5でそのような動作が得られる。
【0058】
図7の制御フローでは、一例としてステップS2、S4において、Pθs又はPθgに対するPθの乖離が第1判定値Pth1又は第2判定値Pth2よりも大きい場合に限り、傾斜角度を調節している。これにより、現在の他のスラット3と一部のスラット3s、3gとの間で太陽電池セル7の発電量がある程度大きく乖離したときに、傾斜角度の調節を行うことができる。調節頻度が過剰となるのを避けたり、誤動作や誤検出を抑制したりする等の利点がある。
【0059】
第1判定値Pth1と第2判定値Pth2は、それぞれ、好適な値に任意に設定可能である。一例として、予め定めた固定値等でもよい。他の例として、例えば最新のステップS1で取得したPθの0.1%~5%、又は0.5%~3%などでもよい。第1判定値Pth1と第2判定値Pth2は、それぞれ、例えば、最新のステップS1で取得したPθの0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.75%、1.0%、1.25%、1.5%、2.0%、2.5%、3%、4%、5%、10%でもよく、或いはここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内でもよい。第1判定値Pth1と第2判定値Pth2は、同じ値でもよいが、異なる値(Pth1>Pth2、又はPth1<Pth2)でもよい。
【0060】
単位調節角度θは、任意の大きさに設定してもよい。図3Bのように、他のスラット3に対する一部のスラット3s、3gの傾斜角度の差は、「θ-θg」と「θs-θ」とで規定される。単位調節角度θは、そのような傾斜角度の差よりも、小さくともよく、大きくともよく、又はこれと一致させてもよい。単位調節角度θは、例えば0.5~15度であり、より具体的には、例えば1~10度でもよい。単位調節角度θは、例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内でもよい。
【0061】
3.変形例等
上記実施の形態は、様々に変形可能である。幾つかの変形例を以下に例示する。
【0062】
(3.1.第2スラット群G2の構成のバリエーション)
第2スラット群G2内で、一部のスラット3s、3g及び特定のスラット3の並び順に限定はない。一例として、図8Aに示すように、上から下へ順番に、特定のスラット3、一部のスラット3s、一部のスラット3gを並べてもよい。或いは、一部のスラット3sよりも一部のスラット3gを上側に配置してもよい。影のかかり具合などを考慮して、任意に変形してもよい。
【0063】
他の例として、第2スラット群G2に含まれる複数のスラットを分離して配置しても良い。分離配置の一例として、図8Bに示すように、第2スラット群G2に属する複数のスラット3、3s、3gのなかで、スラット3gを最も上側に位置させてもよく、スラット3g及び特定のスラット3をボトムレール5付近に配置してもよい。他の例として、図8Bのスラット3gを、スラット3g又は特定のスラット3で置換してもよい。
【0064】
第2スラット群G2の特定のスラット3は様々な位置に配置可能である。一例として、特定のスラット3は、スラット3s、3gと隣接しているか離れているかを限定されることなく、複数のスラット3、3s、3g全体のなかの任意の位置に配置されてもよい。例えば、電動ブラインド本体1のなかの上方部位に第1スラット群G1の複数のスラット3の幾つかが配置され、その下方に第2スラット群G2の特定のスラット3が配置され、そのさらに下方に第1スラット群G1の複数のスラット3の幾つかが配置されてもよい。このような配置の任意の位置(例えば最上部、最下部、又は任意のスラット3間)に、スラット3s、3gをまとめて又は離して配置してもよい。
【0065】
図3Aの第2スラット群G2が、複数のスラット3、3s、3g全体の中で最下部以外の任意の位置(例えば最上部、又は中央)に設けられてもよい。
【0066】
太陽電池接続回路97(及び出力検出回路97a)は、ボトムレール5内に限らず、ボトムレール5の外の任意の部位(例えばヘッドボックス2内等)に設けてもよい。
【0067】
なお、実施の形態では、スラット3s、3g各々が1つずつ設けられているが、これに限定されない。第2スラット群G2は、2つ以上のスラット3s、及び/又は、2つ以上のスラット3gを備えてもよい。この場合、2つ以上のスラット3sの太陽電池セル7を直列接続又は並列接続することで、得られる出力を大きくして、出力検出回路97aの検出精度を高めてもよい。2つ以上のスラット3gでも同様である。
【0068】
(3.2.第2スラット群G2における「特定のスラット3」の省略)
図9A及び図9Bに示す変形例は、図3A及び図8Bにおいて第2スラット群G2から「特定のスラット3」を省略したものである。一部のスラット3s、3gのどちらで太陽電池出力が大きいかが分かれば、それらの中間の傾斜角度を持つスラット3について、傾斜角度の増加側と低減側とのどちらでより多くの発電量を得られるかが分かる。従って複数のスラット3、3s、3gを回動させる際の指針が得られ、スラット回動方向を決定できる。
【0069】
このように、特定のスラット3を省略した場合も、一部のスラット3s、3gの太陽電池セル7の出力に基づいて複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度制御を行うことができる。
【0070】
図10は、本変形例における制御フローの一例であり、制御部9で実行される。図10のフローでは、まずステップS11が実行されてPθs、Pθgが取得される。次にステップS12で、それらの差の絶対値|Pθs-Pθg|が第3判定値Pth3より大きいか否かが判定される。
【0071】
ステップS12が肯定(YES)された場合、PθsとPθgとがある程度近い値であると考えることができる。これはつまり、図3Bの状態(つまり、他のスラット3が直射光Ld度に対してちょうど垂直に面していて、一部のスラット3s、3gは直射光Ldの光線に対して±方向に概ね均等にずれている状態)であるか、或いは図3Bの状態とかなり近い状態であると推定できる。そこで、図10のフローでは、傾斜角度を維持してもよいと判断し、傾斜角度調節をせずに今回の処理を終了させる。
【0072】
ステップS12が否定(NO)された場合、図3Bの状態からの乖離がある程度大きいと推定できる。つまり、一部のスラット3s、3gのうち、一方が直射光Ldに対してより垂直に近い角度で面していると考えられ、他方は直射光Ldに対して垂直からある程度乖離した角度で面していると推定できる。そこで、図10のフローでは、ステップS13でPθsとPθgとのどちらが大きいかを判定し、Pθgのほうが大きければ傾斜角度を低減し(ステップS3)、逆にPθsのほうが大きければ傾斜角度を増加させる(ステップS5)。その後、今回の処理が終了する。
【0073】
第3判定値Pth3は、任意の値に設定可能である。一例として、予め定めた固定値等でもよい。他の例として、最新のステップS11で取得したPθ又はPθsのうち一方の値の0.1%~5%、又は0.5%~3%などでもよい。第3判定値Pth3は、例えば、最新のステップS11で取得したPθ又はPθsのうち一方の値の0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.75%、1.0%、1.25%、1.5%、2.0%、2.5%、3%、4%、5%でもよく、或いはここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内でもよい。
【0074】
なお、本変形例(特定のスラット3の省略)における他の例として、特定のスラット3の出力電力値(即ち図7ではフローのPθ)を、計算により求めてもよい。他のスラット3の合計発電量を他のスラット3の枚数で除算することで、他のスラット3一つあたりの太陽電池出力を計算してもよい。この計算値を、ステップS1のPθに使用して、実施の形態で述べた図7のフローを実施してもよい。
【0075】
(3.3.一部のスラット3s、3gのうち片方の省略)
スラット3sとスラット3gとのうち片方を省略してもよい。例えばスラット3gを省略した場合に、第2スラット群G2のなかで、急傾斜のスラット3sと特定のスラット3とで比較したときにスラット3sの太陽電池出力のほうが大きかったとする。この場合はより急な傾斜のほうが多くの発電量を見込めるので、傾斜角度を増大させることが好ましい。逆に特定のスラット3の太陽電池出力のほうが大きければ、傾斜角度を現状維持するか、又は低減させるほうが好ましい。
【0076】
或いは、例えばスラット3sを省略した場合に、特定のスラット3と緩傾斜のスラット3gとで比較したときにスラット3gの太陽電池出力のほうが大きかったとする。この場合はより緩やかな傾斜のほうが多くの発電量を見込めるので、傾斜角度を低減させることが好ましい。逆に特定のスラット3の太陽電池出力のほうが大きければ、傾斜角度を現状維持するか、又は増大させることが好ましい。
【0077】
このように、スラット3sとスラット3gの少なくとも一方を備えることで、傾斜角度を増加方向と低減方向とのどちらに変化させれば発電量が増加しそうかを調べることができる。
【0078】
(3.4.第2スラット群G2を一枚のみとする変形)
第2スラット群G2は、1つのスラットで構成されてもよい。この場合、一部のスラット3s、3gの片方の太陽電池セル7の出力と、第1スラット群G1の他のスラット3一つあたりの太陽電池セル7の出力とを比較してもよい。他のスラット3の合計発電量を他のスラット3の枚数で除算することで、他のスラット3一つあたりの太陽電池セル7の出力(図7のフローのPθ)を計算してもよい。
【0079】
(3.5.傾斜角度を設定する手段)
スラット3、3s、3gを互いに異なる傾斜角度で設置する手段は、様々な手段を採用可能であり、図4のカシメ30に限定されない。例えば、縦糸21aに対する横糸21bの接続点をスラット3、3s、3g各々で相違させることで、設置角度を相違させてもよく、この場合はカシメ30を設けなくともよい。
【0080】
スラット支持コードは、ラダーコード21以外のものでもよい。スラット支持コードは、スラット3、3s、3gを支持及び回動可能あればその構成は限定されない。例えば、スラット支持コードの一例として、互いに分離された2本の縦糸を備え、一方の縦糸がスラット3、3s、3g各々の一方の縁に取着され、他方の縦糸がスラット3、3s、3g各々の他方の縁に取着されるような構成が採用されてもよい。この構成において、当該2本の縦糸に対するスラット3、3s、3g各々の縁の取着位置をずらして、任意の傾斜角度を設定してもよい。
【0081】
(3.6.複数モードの選択実行)
変形例として、制御部9が、互いに制御内容の異なる複数のモードを備えるように構成されてもよい。ここでは上述した実施の形態又は変形例の制御(例えば図7又は図10の制御フロー)を、便宜上、「第1モード」とも称する。制御部9は、第1モードに加えて他のモード(第2モード等)を備えてもよく、これらの複数のモードを所定条件に従って切り替え可能に構成されてもよい。第1モードは一部のスラット3s、3gの太陽電池出力に基づく傾斜角度制御であるのに対して、第2モード等は別の観点で(そのような太陽電池出力に基づかない等)で傾斜角度制御を行うものであってもよい。
【0082】
第2モードは、例えばブラインド機能優先モードを含んでもよい。ブラインド機能優先モードは、具体的には、発電量と無関係に他のスラット3、3s、3gを回動させてもよい。ブラインド機能優先モードは、例えば傾斜角度を水平にして外光を採り入れたり、又は正全閉や逆全閉としたりする等でもよい。
【0083】
第2モードは、例えば、電動ブラインドシステム100の「動作条件」に基づき制御部9が複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度を制御するものでもよい。この「動作条件」には、環境条件及び/又は使用条件が含まれてもよい。「環境条件」は、電動ブラインドシステム100の外部環境の条件であり、太陽高度、季節、天候、電動ブラインドシステム100周辺の直射光Ldの強度等でもよい。「使用条件」は、電動ブラインドシステム100の使用に係るユーザの好み等により決まる条件でもよい。上記動作条件に基づき、CPU91が、制御データから複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度の好適値を指定してもよい。制御データは、複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度制御において考慮される動作条件に応じて作成及び更新されてもよい。例えば、考慮される環境条件に応じて、時間帯、季節、又は天候ごとに動作データを収集し、制御データを作成してもよい。
【0084】
第1モードからそれ以外のモードへと切り替えるタイミングは、様々に設定可能である。例えば、天候などの理由(雨天、曇天など)で発電量が既定値を下回った場合や、太陽電池セル7の故障等で発電不能となった場合や、ユーザ指示等の外部信号が入力された場合などに、モード切替を行ってもよい。
【0085】
(3.7.その他の変形例)
図1では電動ブラインドシステム100が1つの電動ブラインド本体1で構成されており、この場合には電動ブラインドシステム100が1個の電動ブラインド装置という製品形態にて提供されているとも言える。しかしながらこれに限られず、例えば図11に示すように、電動ブラインドシステム100は、実施の形態に係る電動ブラインド本体1に加えて、増設用の電動ブラインド本体1aを備えてもよい。図11では増設用の電動ブラインド本体1aを1つのみ例示しているが、2つ以上の任意個数の電動ブラインド本体1aが増設されてもよい。
【0086】
増設用の電動ブラインド本体1aは、一部のスラット3s、3gを備えておらず(つまり他のスラット3のみで構成され)、太陽電池接続回路97も備えない。この点以外は、電動ブラインド本体1、1aは互いに同じ構造でもよい。制御部9は一例として通信ネットワーク102を介して接続される。電動ブラインド本体1をベース機として、その制御部9の指令に従って、増設用の電動ブラインド本体1aの他のスラット3の傾斜角度が制御される。通信ネットワーク102は有線/無線を問わず、無線の場合は制御部9が無線通信回路を備える。
【0087】
なお、上記変形例では、増設用の電動ブラインド本体1aを設けたが、これに限られず、実施の形態の電動ブラインド本体1を複数個接続してもよい。この場合、いずれか一つの電動ブラインド本体1をベース機として、その制御部9の指令に従って、他の電動ブラインド本体1の複数のスラット3、3s、3gの傾斜角度を制御してもよい。
【0088】
なお、上述の実施形態及び各変形例の構成は、横型の電動ブラインド本体1を採用したが、縦型電動ブラインドにも適用可能である。この場合、図1AのZ軸(鉛直方向軸)の周りの回転角度で、スラットの傾斜角度が規定される。縦型電動ブラインドについては鉛直軸周りにどちらの回転方向が急傾斜かを決めればよい。これにより、実施の形態及びその変形例の構成及び動作は、縦型電動ブラインドに任意に転用可能である。
【0089】
出力検出回路97aは、出力電力に代えて又はこれとともに、出力電流を検出してもよい。傾斜角度に応じて受光量が変われば、太陽電池セル7から取り出せる出力電流も変わる。よって出力電流に基づいて実施の形態に係る傾斜角度制御を行ってもよい。
【0090】
実施の形態の制御部9は、任意のディジタル回路、任意のアナログ回路、或いはそれらの組み合わせで構成してもよい。ディジタル回路の構成は、図5の例に限定されず、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックデバイス、及び任意の汎用集積回路などから任意に採用してもよい。任意のアナログ回路要素を組み合わせて実行してもよく、比較器及び加減算器を任意に組み合わせて図7又は図10の制御フローの処理を実施してもよい。
【0091】
本開示に係る電動ブラインドシステム100は、室内に設置してもよく、室外に設置してもよい。本開示に係る各種制御動作は、太陽電池付スラットの制御方法として提供されてもよい。
【0092】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 :電動ブラインド本体
1a :電動ブラインド本体(増設用)
2 :ヘッドボックス
3 :スラット(他のスラット)
3s :スラット(一部のスラット、急傾斜スラット)
3g :スラット(一部のスラット、緩傾斜スラット)
5 :ボトムレール
7 :太陽電池セル
8 :窓
9 :制御部
10 :バッテリ
21 :ラダーコード
21a :縦糸
21b :横糸
22 :昇降コード
23 :電動モータ
24 :エンコーダ
30 :カシメ
81 :窓枠
82 :窓ガラス
91 :CPU
92 :記憶部
93 :太陽電池接続回路
93a :出力検出回路
94 :モータ駆動回路
96 :エンコーダ接続回路
97 :太陽電池接続回路
97b :出力検出回路
100 :電動ブラインドシステム
102 :通信ネットワーク
G1 :スラット群(第1スラット群)
G2 :スラット群(第2スラット群)
Ld :直射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11