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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095296
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電動ブラインドシステム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20240703BHJP
   E06B 9/386 20060101ALI20240703BHJP
   E06B 9/36 20060101ALI20240703BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20240703BHJP
   H02S 20/25 20140101ALI20240703BHJP
【FI】
E06B9/264 C
E06B9/386
E06B9/36 F
H02S20/30 A
H02S20/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212470
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村木 謙文
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043BE17
2E043DB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な発電を得るためのスラット傾斜角度制御に好適な電動ブラインドシステムを提供する。
【解決手段】本発明によれば、各々が表面に太陽電池を有する複数のスラットを備える電動ブラインドシステムであって、第1モードを備え、前記第1モードは、太陽位置データに基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御することで、前記太陽電池の発電量を調節する、電動ブラインドシステムが提供される。前記太陽位置データは、太陽高度又は太陽方位角を含み、前記第1モードは、90度と前記太陽高度との間の差に基づいて、又は前記太陽方位角に基づいて、前記複数のスラットの傾斜角度を制御してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が表面に太陽電池を有する複数のスラットを備える電動ブラインドシステムであって、
第1モードを備え、
前記第1モードは、太陽位置データに基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御することで、前記太陽電池の発電量を調節する、電動ブラインドシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記太陽位置データは、太陽高度又は太陽方位角を含み、
前記第1モードは、90度と前記太陽高度との間の差に基づいて、又は前記太陽方位角に基づいて、前記複数のスラットの傾斜角度を制御する、電動ブラインドシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記第1モードは、前記複数のスラットが横型ブラインドをなす場合には第1基準角度±40度以内に、前記複数のスラットが縦型ブラインドをなす場合には第2基準角度±40度以内に収まるように、前記複数のスラットの傾斜角度を調節し、
前記第1基準角度は、90度と前記太陽高度との間の差分であり、
前記第2基準角度は、前記太陽方位角である、電動ブラインドシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の電動ブラインドシステムであって、
前記第1モードは、前記太陽位置データに基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を設定することで、前記太陽電池の発電量を最大発電量付近に調節する、電動ブラインドシステム。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、
第2モードを備え、
前記第2モードは、前記第1モードに代えて採光機能及び/又は遮蔽機能を優先するように前記複数のスラットの傾斜角度を制御する、電動ブラインドシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の電動ブラインドシステムであって、
所定条件の成立に応じて前記第1モードと前記第2モードとで切替を行い、
前記所定条件は、天候と前記太陽電池の出力とユーザ指定とスケジュール機能とのうち少なくとも1つについて定めた条件を含む、電動ブラインドシステム。
【請求項7】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、
電動ブラインド装置と、外部装置と、を備え、
前記電動ブラインド装置は、前記複数のスラットを含んで構成され、
前記外部装置は、前記電動ブラインド装置と通信可能に構成され、前記太陽位置データに基づいて生成した傾斜角度の設定信号を前記電動ブラインド装置に送信する、電動ブラインドシステム。
【請求項8】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、
天空画像撮像システムが生成した太陽位置データを取得するように構成された、電動ブラインドシステム。
【請求項9】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、
各々が前記複数のスラットを有する第1及び第2の電動ブラインド装置を備え、
前記第1モードにおいて、前記第1及び第2の電動ブラインド装置の設置方位が互いに異なる場合に、前記第1及び第2の電動ブラインド装置各々のスラットの傾斜角度を各設置方位に応じて調節する、電動ブラインドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ブラインドシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、太陽電池セルの発電電力を最大化するスラット角度を探索するモードを備えたブラインド装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-100733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は太陽位置データを利用した各種システムへの知見を深めるなかで、上記従来の探索モードのような煩雑な制御を実行しなくとも、発電上好ましい傾斜角度を特定し得ることに気づいた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、良好な発電を得るためのスラット傾斜角度制御に好適な電動ブラインドシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]各々が表面に太陽電池を有する複数のスラットを備える電動ブラインドシステムであって、第1モードを備え、前記第1モードは、太陽位置データに基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を制御することで、前記太陽電池の発電量を調節する、電動ブラインドシステム。
[2][1]に記載の電動ブラインドシステムであって、前記太陽位置データは、太陽高度又は太陽方位角を含み、前記第1モードは、90度と前記太陽高度との間の差に基づいて、又は前記太陽方位角に基づいて、前記複数のスラットの傾斜角度を制御する、電動ブラインドシステム。
[3][2]に記載の電動ブラインドシステムであって、前記第1モードは、前記複数のスラットが横型ブラインドをなす場合には第1基準角度±40度以内に、前記複数のスラットが縦型ブラインドをなす場合には第2基準角度±40度以内に収まるように、前記複数のスラットの傾斜角度を調節し、前記第1基準角度は、90度と前記太陽高度との間の差分であり、前記第2基準角度は、前記太陽方位角である、電動ブラインドシステム。
[4][1]に記載の電動ブラインドシステムであって、前記第1モードは、前記太陽位置データに基づいて前記複数のスラットの傾斜角度を設定することで、前記太陽電池の発電量を最大発電量付近に調節する、電動ブラインドシステム。
[5][1]~[4]のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、第2モードを備え、前記第2モードは、前記第1モードに代えて採光機能及び/又は遮蔽機能を優先するように前記複数のスラットの傾斜角度を制御する、電動ブラインドシステム。
[6][5]に記載の電動ブラインドシステムであって、所定条件の成立に応じて前記第1モードと前記第2モードとで切替を行い、前記所定条件は、天候と前記太陽電池の出力とユーザ指定とスケジュール機能とのうち少なくとも1つについて定めた条件を含む、電動ブラインドシステム。
[7][1]~[6]のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、電動ブラインド装置と、外部装置と、を備え、前記電動ブラインド装置は、前記複数のスラットを含んで構成され、前記外部装置は、前記電動ブラインド装置と通信可能に構成され、前記太陽位置データに基づいて生成した傾斜角度の設定信号を前記電動ブラインド装置に送信する、電動ブラインドシステム。
[8][1]~[7]のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、天空画像撮像システムが生成した太陽位置データを取得するように構成された、電動ブラインドシステム。
[9][1]~[8]のいずれか1項に記載の電動ブラインドシステムであって、各々が前記複数のスラットを有する第1及び第2の電動ブラインド装置を備え、前記第1モードにおいて、前記第1及び第2の電動ブラインド装置の設置方位が互いに異なる場合に、前記第1及び第2の電動ブラインド装置各々のスラットの傾斜角度を各設置方位に応じて調節する、電動ブラインドシステム。
【発明の効果】
【0007】
太陽位置データを利用することで、日射角度に応じた良好な傾斜角度を精度良く特定して太陽電池の発電量を調節できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、実施形態の電動ブラインドシステム7及びこれに接続する天候判断装置1を示す図であり、横型の電動ブラインド装置10~10bを正面から見た図である。図1Bは、図1Aの幾つかのスラット13を抜き出した図であり、スラット13のおもて面に太陽電池セル17が設けられた図である。
図2図1Aの電動ブラインド装置10におけるブラインドコントローラ11の制御に関する構成を示すブロック図である。
図3】第1基準角度θcrhに基づく制御動作を説明するための模式図である。
図4図4Aは、スラット13の傾斜角度θと第1基準角度θcrhとが一致している状態を示す図である。図4Bは、図4Aの状態から太陽高度hが増大した状態を示す図である。図4Cは、図4Aの状態から太陽高度hが減少した状態を示す図である。
図5】実施形態の変形例に係る電動ブラインドシステム7を示す図であり、縦型の電動ブラインド装置30~30bを正面から見た図である。図5Bは、図5Aにおける1枚のスラット33を抜き出して鉛直上方から見下ろした図である。
図6】第2基準角度θcrαに基づく制御動作を説明するための模式図である。
図7図7Aは第1基準角度θcrh対する角度ズレと発電量低下量との関係を例示する図である。図7Bは太陽方位角αに対する角度ズレと発電量低下量との関係を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。以下の説明において、「スラットの傾斜角度」とは、横型ブラインドの場合と縦型ブラインドの場合とで異なる。横型ブラインドの場合、スラットの傾斜角度は、水平方向軸まわりの角度で規定される。縦型ブラインドの場合、スラットの傾斜角度は、鉛直方向軸まわりの角度で規定される。以下に述べる実施の形態では、一例として、横型の電動ブラインドに本発明を適用する。
【0010】
1.システム及びブラインド装置の構成
図1Aは、実施の形態の電動ブラインドシステム7を示す。実施の形態では、一例として、天候判断装置1から太陽位置データを取得し、これに基づいて電動ブラインドシステム7が制御を行う。
【0011】
天候判断装置1は、例えば特開2015-055591号公報に開示された技術を利用することができる。天候判断装置1は、天空画像を撮像するシステムでもある。一例として、図1Aに示すように、天候判断装置1は、天空に向けて設置された魚眼レンズ2の下方にシャッターユニット3が配設され、そのシャッターユニット3の下方に例えばCCD素子のイメージセンサ4が配設されている。また、天候判断装置1にはCPU5及びメモリ6が備えられている。CPU5は、メモリ6に記憶されたプログラムを読みだして種々のデータ処理を行うことによって、単独で又は他の構成要素と協働して、種々の機能を実現する。CPU5は、あらかじめ設定されたプログラムに基づいて動作し、シャッターユニット3を一定時間ごとに開閉駆動する。そして、シャッターユニット3が開閉されると、魚眼レンズ2及びシャッターユニット3を介して取り込まれる天空画像がイメージセンサ4で撮像され、CPU5はその天空画像をメモリ6に格納する。なお、魚眼レンズ2には、撮像される天空画像の白とびを防止する減光フィルター2aが装着されている。CPU5は、天空画像に基づいて後述する処理を行うことによって現在の天候を判断し、その判断信号を電動ブラインドシステム7に出力してもよい。
【0012】
電動ブラインドシステム7は、メインコントローラ8と、複数の電動ブラインド装置10、10a、10bと、複数の外部バッテリ20と、を備える。メインコントローラ8は、通信線9を介して各電動ブラインド装置10~10bに接続している。各電動ブラインド装置10~10bには、ブラインドコントローラ11が配設されている。ブラインドコントローラ11は、メインコントローラ8から出力される制御信号に基づいて電動モータ23(図2参照)を駆動して、各スラット13を制御する。メインコントローラ8にはCPU5から出力される信号が入力され、この信号には太陽位置データ6a(図3参照)の情報が含まれている。太陽位置データ6aは太陽高度hを含む。メインコントローラ8は、太陽位置データ6aに基づいて各電動ブラインド装置10~10bを制御する。
【0013】
魚眼レンズ2は、画面の対角線より撮像サークルの径が小さい全周魚眼レンズが使用され、例えば等立体角射影方式で天空画像を撮像する。等立体角射影方式は、天球の中心に対する天球の各部分の立体角と、その部分の射影面積が比例する方式である。等立体角射影方式での天空画像上では、太陽が占める面積は、太陽高度が高くなるにつれて大きくなる。なお、射影方式は、画面の中心からの距離と角度が比例する等距離射影方式や、半球上の図形をそのまま平面に射影する正射影方式などの別の方式であってもよい。
【0014】
また、CPU5は、カレンダー機能と、天空画像の撮像日毎の太陽軌跡を算出する機能を備える。CPU5は、天空画像を撮像した日時に対応する太陽軌跡を天空画像に重ね合わせる処理を実行することができる。この処理により生成された太陽位置データ6a(図3参照)が、メモリ6に記憶される。
【0015】
各々の電動ブラインド装置10~10bは、ブラインドコントローラ11と、複数のスラット13と、内部バッテリ14と、を備える。電動ブラインド装置10~10bは、取付ブラケット(不図示)等を用いて窓に対して部屋内側(室内)に取り付けられている。複数のスラット13は後述するように太陽電池セル17を備える(図1B参照)。内部バッテリ14は、太陽電池セル17の発電電力で充電されるように構成される。
【0016】
以下の説明では、電動ブラインド装置10~10bの上下及び左右方向を、図1Aに示すように定める。即ち、電動ブラインド装置10~10bを部屋外側から見た場合の水平幅方向を「左右方向」とし、鉛直方向を「上下方向」とする。また、図1Aの紙面手前側を前側とし、紙面奥側を後側とする。実施の形態では、水平方向を規定する矢印がX軸であり、鉛直方向を規定する矢印がZ軸であり、前後方向がY軸と並行である。実施の形態では、X軸周りの回転角度でスラット13の傾斜角度が規定される。
【0017】
電動ブラインドシステム7では、一例として、複数の電動ブラインド装置10、10a、10b各々が外部バッテリ20を備える。外部バッテリ20は、内部バッテリ14と同様に、複数のスラット13の太陽電池セル17からの発電電力で充電されるように構成される。なお、他の例として、1つの外部バッテリ20が複数の電動ブラインド装置10、10a、10bと共通接続されてもよい。
【0018】
電動ブラインド装置10~10bは、ラダーコード(不図示)を備える。ラダーコードは、一対の縦糸の間に複数の横糸を備える。この横糸によりスラット13の各々が支持されている。一対の縦糸の一端は、ヘッドボックス(不図示)内に配置された吊下部材(不図示)に取着されている。ヘッドボックス内に配置された駆動軸(不図示)の回転に伴い吊下部材が回転することによって、スラット13の各々が回動して傾斜角度が変化するように構成されている。
【0019】
各スラット13は、正全閉状態又は逆全閉状態になるまで回動可能である。実施の形態では、「正全閉」とは、スラット13のおもて面が部屋外側に向き、裏面が部屋内側に向く方向に各スラット13が最大限傾斜した状態である。「正全閉方向」とは、各スラット13が正全閉状態に近づくようなスラット13の回動方向を指すものとする。また、「逆全閉」とは、スラット13のおもて面が部屋内側に向き、裏面が部屋外側に向く方向に各スラット13が最大限傾斜した状態を指す。「逆全閉方向」とは、各スラット13が逆全閉状態に近づくようなスラット13の回動方向を指すものとする。
【0020】
図1Bは、図1Aから3枚のスラットを抜き出して右側から見た図である。図1Bに示すように、複数のスラット13各々は太陽電池セル17を有する。実施の形態では、一例として、各スラット13のおもて面に複数の太陽電池セル17が設けられ、一枚のスラット13の長手方向に沿って複数の太陽電池セル17が配置されるものとする。
【0021】
図1Bでは、スラット13が正全閉側に傾斜させられた状態である。図1Bに、傾斜角度θと、その増大方向(+)及び低減方向(-)とが図示される。実施の形態では、便宜上、水平方向軸を基準(θ=0)として、傾斜角度θを規定している。増大方向(+)は図1Bで反時計回り方向であり、前述した正全閉方向である。傾斜低減方向(-)は図1Bで時計回り方向であり、前述した逆全閉方向である。
【0022】
電動ブラインド装置10~10b各々のヘッドボックス(不図示)内には、上述の駆動軸に連結された電動モータ23(図2参照)が配置されている。電動モータ23の回転に伴って、駆動軸が回転してスラット13の傾斜角度の変更及び昇降が可能となっている。また、ヘッドボックス内には、電動モータ23の回転角度を検出可能に構成されたエンコーダ24(図2参照)が配置されている。エンコーダ24による検出結果は、ブラインドコントローラ11へと出力される。
【0023】
図2には、実施の形態の電動ブラインド装置10のブラインドコントローラ11周辺の構成を示す。電動ブラインド装置10a、10bのブラインドコントローラ11も同様の構成を備える。図2に示すように、実施の形態のブラインドコントローラ11は、CPU91と、記憶部92と、太陽電池接続回路93と、モータ駆動回路94と、エンコーダ接続回路96とを備える。ブラインドコントローラ11は、記憶部92に記憶されたプログラムに従ってCPU91に各種処理を実行させることで電動ブラインドシステム7の動作を制御する。
【0024】
各スラット13の太陽電池セル17は、太陽電池接続回路93に接続されている。太陽電池接続回路93は、CPU91と通信可能に構成されるとともに、内部バッテリ14及び外部バッテリ20にも接続されている。太陽電池接続回路93には、出力検出回路93aが設けられている。出力検出回路93aは、スラット13の太陽電池セル17の発電量等を検出可能である。
【0025】
CPU91は、モータ駆動回路94を介して電動モータ23に接続されている。CPU91は、太陽電池セル17及び内部バッテリ14からの電力を電動モータ23に供給してこれらを駆動する。
【0026】
また、CPU91は、エンコーダ接続回路96を介してエンコーダ24と通信可能に構成されている。エンコーダ24により検出される電動モータ23の回転角度はスラット13各々の傾斜角度と相関している。CPU91は、エンコーダ24による検出結果に基づき、他のスラット13の傾斜角度を算出可能に構成される。
【0027】
ブラインドコントローラ11は、動作データを定期的に収集して記憶部92に記憶する。この動作データは、上述のように算出されたスラット13各々の傾斜角度と、出力検出回路93aにより検出された発電量とを含んでいる。
【0028】
内部バッテリ14は、スラット13各々の太陽電池セル17が発電した電力によって充電される。内部バッテリ14から出力される電力は、電動モータ23に供給される。内部バッテリ14から出力される電力は、電動ブラインドシステム7の外部の機器にさらに供給して利用可能としてもよい。
【0029】
2.システムの制御及び動作
図3を用いて、電動ブラインドシステム7が実行する「第1モード」を説明する。ただし図3は制御動作を模式的に説明する図であり、また以下の説明は、制御処理や制御に用いる各種データの内容を例示しているにすぎず、これのみに限定されるものではない。ステップS1~S3各々に含まれる具体的な処理ステップは、天候判断装置1、メインコントローラ8、及びブラインドコントローラ11で分担可能である。一例として、ステップS1は天候判断装置1で実行され、ステップS2、S3はメインコントローラ8で実行されてもよい。ブラインドコントローラ11は、メインコントローラ8が指示する傾斜角度θを受信すると、指示された傾斜角度θに従ってスラット13の傾斜角度を調節する。
【0030】
図3のステップS1は、太陽位置データ6aの取得に関する。図3には太陽位置データ6aの一例が図示されている。天候判断装置1は、撮像した天空画像に基づいて太陽位置データ6aを生成し、これをメモリ6に格納している。なお、太陽位置データ6aは、天空画像に撮像された物体と高度との関係に基づいて規定している。図2の円P中の数値は、水平面からの角度を表しており、中心に近い位置に存在しているものほど、高角度位置に存在している。
【0031】
太陽位置データ6aにおいて、太陽軌跡Aは夏至、太陽軌跡Bは春分及び秋分、太陽軌跡Cは冬至の太陽軌跡を示す。一年間の各撮像日の太陽軌跡は、太陽軌跡Aから同Cの間で順次移動する。メモリ6には、一定期間分(例えば過去一年分等)の太陽位置データ6aが記憶されている。太陽位置データ6aから、任意の日の任意の時刻における太陽高度h及び太陽方位角αを取得することができる。なお、当初設置時に過去データがない場合は、理論計算値で代用したり、近隣設置区域における太陽位置データを流用したりしてもよい。
【0032】
図3の太陽高度方位角データ6bは、太陽位置データ6aから太陽軌跡Bを抜き出して太陽高度と太陽方位角のグラフで記述したものである。
【0033】
次に、図3のステップS2に示すように、太陽高度hから第1基準角度θcrhを算出する。第1基準角度θcrhは、90度と太陽位置データ6aの太陽高度hとの間の差に基づいて規定される。太陽高度hの直接光Ldを、太陽電池セル17になるべく垂直に近い角度で入射させるためである。「θcrh=90度-h」で規定されてもよい。ステップS2の枠内には、太陽高度hと第1基準角度θcrhとの関係を規定したグラフの例が示されている。
【0034】
実施の形態の第1モードは、図3のステップS3に示すように、第1基準角度θcrhに基づいて複数のスラット13の傾斜角度を制御する。より具体的には、実施の形態では、第1モードは、複数のスラット13の傾斜角度を第1基準角度θcrh±Δθ度に収まるように調節する。この傾斜角度調節は、ステップS3の枠内に例示したフローチャートを用いて実施されてもよい。すなわち、ステップS3aで、差の絶対値|θ-θcrh|が予め定めた判定値Δθを超えたか否かが判定され、超えていればステップS3bにおいて傾斜角度θが第1基準角度θcrhに設定され、ブラインドコントローラ11がスラット13の傾斜角度を調節する。
【0035】
太陽高度hの変化について図4A図4Cを参照して説明する。各図には説明の便宜上、スラット13の回動中心Qと、スラット13の傾斜角度θを規定する仮想直線Uと、この仮想直線Uに垂直な仮想直線Tが図示される。なお図4B及び図4Cには、説明の便宜上、直接光Ldの光線に対して垂直な仮想直線Uを図示している。
【0036】
図4Aの状態では、傾斜角度θが第1基準角度θcrhと一致しており、太陽高度hのときの直接光Ldを、スラット13(及び太陽電池セル17)が垂直に受光している。図4Aよりも太陽高度hが増加すると、図4Bのように、直接光Ldが水平(θ=0度)に対してより急角度で入射する。これに応じて、図4Aよりも図4Bのほうが、第1基準角度θcrhが小さくなる。逆に、図4Aよりも太陽高度hが減少すると、図4Cように直接光Ldがより緩やかな角度で入射する。これに応じて、図4Aよりも図4Cのほうが、第1基準角度θcrhが大きくなる。
【0037】
ステップS3aの判定値Δθは、図4B図4Cで例示した「θとθcrhとの乖離」をどの程度許容するかを規定することができる。もし仮に判定値Δθが1度であれば、太陽高度hが図4Aの状態から1度増加(又は減少)するのに応じて、傾斜角度θを最新の第1基準角度θcrhに一致させる制御が行われる。判定値Δθが小さければ小さいほど、傾斜角度θをリアルタイムに第1基準角度θcrhに一致させることができ、直接光Ldを垂直に受光し続けることができる利点がある。その一方で、判定値Δθをある程度大きくすれば、スラット13を回動する頻度を少なくでき、モータ駆動消費電力などを節減できる利点がある。
【0038】
判定値Δθは、例えば、例えば0.5度~40度でもよく、例えば1度~30度でもよく、例えば5度~20度でもよい。Δθは、具体的には、例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40度であり、ここに例示した何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0039】
太陽位置は場所(緯度、経度)、季節及び時刻によって異なり、これに応じて太陽高度hも異なる。正中高度(北半球では南中高度)も緯度及び季節等に応じて異なり、例えば最低高度(冬至)~最高高度(夏至)の範囲は、北海道(北緯:約43度)では約23.5度~約70度であり、東京(北緯:約35度)では約31度~約78度であり、沖縄(北緯:約26度)では約40度~約87度であり、日本国内でも大きく異なる。Δθは、一例として、電動ブラインドシステム7の設置場所における最低正中高度又は最高正中高度の例えば1/2、1/3、1/4、1/5、1/10、1/20、1/30、1/40、1/50、1/60、1/70、又は1/80でもよく、ここに例示した何れか2つの間の範囲内であってもよい。緯度、季節、及び/又は月日に応じてメインコントローラ8がΔθを異なる値に設定してもよい。
【0040】
以上説明したように、実施の形態の第1モードによれば、太陽位置データ6aに基づいて複数のスラット13の傾斜角度θを制御することで、太陽電池セル17の発電量を調節することができる。太陽位置データ6aを利用することで、発電のために好適な第1基準角度θcrhを精度良く算出することができ、これに基づいて良好な発電を実施できる利点がある。
【0041】
また、実施の形態の第1モードによれば、太陽位置データ6aの太陽高度hに基づいて制御目標となる傾斜角度θを設定できる。例えば発電量フィードバック制御(太陽電池セル17の発電量を最大発電量等に一致させるように出力電力測定値等を傾斜角度にフィードバックする制御)と比較すると、実施の形態の第1モードは出力電力測定値を計算に用いていない特徴がある。この特徴により、外乱的な発電量低下(例えば天候変化や部分的な影の発生等に起因)があっても影響を受けなくて済む利点がある。
【0042】
なお、図3のステップS3aは単に「|θ-(90-h)|>Δθ?」と規定してもよい。また、逐一計算処理を行うのではなく、上記実施の形態又は変形例の計算方法に基づく好ましい傾斜角度θのパラメータ群を予めテーブルやマップに規定して、それらをメインコントローラ8等に記憶格納しておき、随時(例えば現在時刻等に応じて)読み取って利用してもよい。
【0043】
3.変形例等
上記実施の形態は、様々に変形可能である。幾つかの変形例を以下に例示する。
【0044】
(縦型電動ブラインドシステム)
図5Aは、横型の電動ブラインド装置10~10bを縦型の電動ブラインド装置30、30a、30bに置換した電動ブラインドシステム7を構成する変形例である。図5Aでは、天候判断装置1は図示を省略している。各々の電動ブラインド装置30~30bは、複数のスラット33を備えるとともに、電動ブラインド装置10~10bと同様にブラインドコントローラ11と内部バッテリ14を備える。
【0045】
図5Bは、図5Aの縦型の電動ブラインド装置30から1枚のスラット33を抜き出した図である。実施の形態では真南方向を太陽方位角α=0とし、真東と真西とを結ぶ仮想直線を傾斜角度の基準(θ=0)としている。各スラット33は、鉛直方向を規定するZ軸と平行であって且つ回動中心Qを通る軸のまわりに回動可能に構成される。電動ブラインド装置30は、ブラインドコントローラ11の指示に応じて電動モータが駆動することで、各スラット33の傾斜角度を任意に制御可能である。
【0046】
本変形例の第1モードは、第1基準角度θcrhではなく、第2基準角度θcrαに基づいて複数のスラット13の傾斜角度を制御する。
【0047】
図6を用いて、本変形例の第1モードを説明する。ステップS1は、図3と同様であるが、太陽位置データ6aに含まれる太陽方位角αが使用される。続くステップS12に示すように、太陽方位角αから第2基準角度θcrαを算出する。第2基準角度θcrαは、太陽位置データ6aの太陽方位角αにより規定される。太陽方位角αの直接光Ldを、太陽電池セル17になるべく垂直に近い角度で入射させるためである。第2基準角度θcrαは太陽方位角αに対応する値であり、具体的には「θcrα=α」で規定されてもよい。ステップS12の枠内には、太陽方位角αと第2基準角度θcrαとの関係を規定したグラフの例が示されている。例えば春分及び秋分(図6における太陽位置データ6aの太陽軌跡B)に、±90度の範囲で太陽方位角αが動くと、これに合わせて第2基準角度θcrαも±90度の範囲で変化する。
【0048】
本変形例の第1モードは、図6のステップS13に示すように、第2基準角度θcrαに基づいて複数のスラット13の傾斜角度を制御する。より具体的には、本変形例の第1モードは、複数のスラット13の傾斜角度を第2基準角度θcrα±Δθαに収まるように調節する。この傾斜角度調節は、ステップS13の枠内に例示したフローチャートを用いて実施されてもよい。すなわち、ステップS13aで、差の絶対値|θ-θcrα|が予め定めた判定値Δθαを超えたか否かが判定され、超えていればステップS13bにおいて傾斜角度θが第2基準角度θcrαに設定され、ブラインドコントローラ11がスラット13の傾斜角度を調節する。
【0049】
判定値Δθαは、例えば0.5度~40度でもよく、例えば1度~30度でもよく、例えば5度~20度でもよい。Δθαは、具体的には、例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40度であり、ここに例示した何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0050】
太陽方位角αの範囲も場所及び季節等に応じて異なり、例えば最小方位角範囲(冬至)~最大方位角範囲(夏至)は、例えば東京では±約60度~±約120度である。Δθαは、一例として、電動ブラインドシステム7の設置場所における最小方位角範囲又は最大方位角範囲の例えば1/3、1/4、1/5、1/10、1/20、1/30、1/40、1/50、1/60、1/70、1/80、1/90、1/100でもよく、ここに例示した何れか2つの間の範囲内であってもよい。緯度、季節、及び/又は月日に応じてメインコントローラ8がΔθαを異なる値に設定してもよい。
【0051】
なお、図6のステップS13aは単に「|θ-α|>Δθα?」と規定してもよく、この場合はステップS12を省略してもよい。また、逐一計算処理を行うのではなくテーブル又はマップを利用してもよいことは図3と同様である。
【0052】
(第2モード:ブラインド機能優先モード)
第2モードが設けられてもよい。第2モードは、第1モードに代えてブラインド機能を優先するように複数のスラット13の傾斜角度を制御してもよい。ブラインド機能は、例えば採光機能及び/又は遮蔽機能である。すなわち、発電機能を優先する場合には、太陽電池セル17になるべく垂直に近い角度で直接光Ldを受光させたいので、傾斜角度を第1又は第2基準角度とあまり大きく乖離させたくない。しかし発電機能よりもブラインド機能(採光機能及び/又は遮蔽機能)を優先する場合には、第1又は第2基準角度との一致は無視して、ブラインド機能の観点から決まる任意の傾斜角度に設定される。
【0053】
一例として、第2モードは、第1モードの傾斜角度範囲を越えて複数のスラット13、33を回動可能であってもよい。例えば、第1モードにおけるΔθ及び/又はΔθαは、ある程度小さな値(例えば1度以下、又は5度以下、又は10度以下など)に設定され得る。この場合は、設定可能な傾斜角度が、ある程度小さな一定角度範囲内に制限される。そうすると、採光機能及び/又は遮蔽機能と相反することがある。そこで、第2モードでは、第1モードで規定される一定角度範囲を無視して、複数のスラット13、33をそれよりも大きく回動可能としてもよい。
【0054】
一例として、第2モードは、採光機能を優先するように、直射光を遮りながら室外光を効率よく採り入れるためのスラット傾斜角度を設定してもよい。例えば第2モードは、複数のスラット13の傾斜角度を例えば水平(θ=0度)又は水平付近に回動させることを許容してもよく、複数のスラット33を例えば真南と平行な角度(θ=+90度又は-90度)又は当該角度の付近に回動させることを許容してもよい。或いは、遮蔽機能を優先するために、第2モードは、スラット13、33を全閉(正全閉又は逆全閉)として、室外からの視線を遮ることを優先してもよい。更に他の例として、第2モードは、天候判断装置1の天候予測に応じた予め定めた傾斜角度に制御して、所望の採光機能を実現してもよい。
【0055】
メインコントローラ8は、所定条件の成立に応じて、第1モードと第2モードとの間の切替を行ってもよい。所定条件は、天候、太陽電池セル17の発電量、ユーザからの指定、及びスケジュール機能のうち少なくとも1つについて定めた条件でもよい。一例として、天候悪化(雨天、曇天等)が生じた場合は日射量が減り、発電量が期待できないので、第2モードへ切り替えてもよい。天候悪化の検知方法は任意であり、例えば、天候判断装置1の天候判断処理に基づいて検知してもよく、日射量センサ等からの情報を受信してもよく、インターネット上の天候実況サービス等からの情報を受信してもよい。天候等に基づくモード切替を行うための閾値は、全天の雲の量(曇りや薄曇り)、日射量、又は発電量等の観点で任意に定めてもよい。他の例として、太陽電池セル17の発電量が長時間に渡って一定値を下回った場合に、第2モードへ切り替えてもよい。他の例として、ユーザ端末を介してユーザからの指定があった場合には、第2モードへ切り替えて、ユーザ指定の傾斜角度、全閉(正全閉又は逆全閉)、又は水平等の任意の角度に調節してもよい。スケジュール機能によって、一定の時間帯に限り第1モードが作動するようにしてもよい。各条件が解除された場合(つまり天候回復、日射量回復、発電量回復、ユーザ指定解除、スケジュール機能解除など)には、第2モードから第1モードに復帰してもよい。
【0056】
(最大発電量付近への調節)
第1モードは、図3又は図6に例示したものに限定されない。本変形例で述べるように、第1モードは、太陽位置データ6aに基づいて複数のスラット13の傾斜角度θを設定することで、太陽電池セル17の発電量を最大発電量付近に調節してもよい。
【0057】
本変形例は、具体的な例として、傾斜角度と発電量との関係に基づいて予め所定角度範囲を設定しておき、この所定角度範囲に傾斜角度を制御することで、発電量を最大発電量付近に調節する。図9A又は図9Bは、傾斜角度と発電量との関係を規定したテーブルの一例である。図9Aは、第1基準角度θcrhからの傾斜角度ズレと発電量との関係を例示する。図9Bは、第2基準角度θcrαからの傾斜角度ズレと発電量との関係を例示する。なおテーブル内の数値は例示である。
【0058】
ここで「最大発電量付近」とは、より具体的には、最大発電量の付近に規定した所定範囲であり、最大発電量100%とした場合に、例えば85%~100%の範囲でもよく、例えば95%~100%の範囲でもよく、例えば97.5%~100%の範囲でもよく、例えば99%~100%の範囲でもよい。具体的には、例えば、85%、86%、87%、88%、89%,90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%,97%、97.5%,98%、98.5%、99%、99.3%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、100%の数値群のうち何れか2つの間の範囲内であってもよく、又数値範囲の上限値は100%未満でもよい。
【0059】
図9Aは、傾斜角度θと第1基準角度がθcrhとのズレが0度である場合に最大発電量(100%と記載)が得られるものとしている。図9Aは、仰角方向のズレがプラス方向又はマイナス方向に増えるのに応じて発電量が何%低下するかを規定している。図9Bは、傾斜角度θと太陽方位角αとのズレが0度である場合に最大発電量(100%と記載)が得られるものとしている。図9Bは、方位角方向のズレがプラス方向又はマイナス方向に増えるのに応じて発電量が何%低下するかを規定している。なお、仰角及び方位角の数値刻み幅は一例であり、例えばより細かくして(例えば1度刻み等で)、より精密に規定してもよい。
【0060】
横型の電動ブラインド装置10~10b(図1A参照)各々で、例えば最大発電量付近を「96.5%~100%」と設定する場合、図9Aに記載したように第1基準角度θcrh±20度の範囲内に傾斜角度を制御すればよい。また、縦型の電動ブラインド装置30~30b(図5A参照)各々で、例えば最大発電量付近を「97%~100%」と設定する場合、図9Bに記載したように太陽方位角α±20度の範囲内に傾斜角度を制御すればよい。このように本変形例の第1モードによれば、太陽位置データ6aに基づいて傾斜角度を設定することで、最大発電量付近の所望の範囲に発電量を調節することができる。
【0061】
(異方位の複数のブラインド装置を含むシステム)
図1Aの複数の電動ブラインド装置10~10bは、設置方位が同一でもよいが、設置方位が互いに異なっていてもよい。図5Aの複数の電動ブラインド装置30~30bも同様である。第1モードにおいて、これらの電動ブラインド装置10~10b各々のスラット13の傾斜角度や、電動ブラインド装置30~30b各々のスラット33の傾斜角度を、設置方位の違いに応じて調節してもよい。
【0062】
ここでは、区別のため、便宜上、電動ブラインド装置10a、30a各々を「第1の電動ブラインド装置」と称し、電動ブラインド装置10b、30b各々を「第2の電動ブラインド装置」と称する。一例として、図1Aにおいて第1の電動ブラインド装置10aが真南に向けて配置されてもよく、第2の電動ブラインド装置10bが例えば東側(或いは南東~真東等)又は西側(例えば南西~真西等)に向けて配置されてもよい。電動ブラインド装置10は第1の電動ブラインド装置10aと同じ方位で設置してもよい。この場合、電動ブラインド装置10~10b各々は互いに日射の当たり具合が異なる。
【0063】
第1の電動ブラインド装置10aと第2の電動ブラインド装置10bとで、互いに異なる傾斜角度にスラット13の傾斜角度が調節されてもよい。一例として、時間帯等に応じて、第1の電動ブラインド装置10aと第2の電動ブラインド装置10bとが、互いに異なるモード(第1又は第2モード)に設定可能とされてもよい。これは、図5Aの電動ブラインド装置30a、30bについても同様に採用可能である。
【0064】
なお、実施の形態のシステム構成(図1A参照)によれば、電動ブラインドシステム7は電動ブラインド装置10と外部装置(メインコントローラ8)とを備えるが、これに限定されない。メインコントローラ8以外の任意の外部装置が採用され得る。外部装置は、電動ブラインド装置10と通信可能に構成され、太陽位置データ6aに基づいて生成した傾斜角度の設定信号を電動ブラインド装置10に送信するものであればよい。例えば、この外部装置は、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末でもよく、パーソナルコンピュータでもよい。
【0065】
なお、電動ブラインド装置10は、任意の携帯端末(例えばスマートフォンやタブレット等)と有線又は無線で接続されてもよく、これによりユーザが携帯端末で発電量等をモニタ可能としてもよい。
【0066】
なお、太陽位置データ6aの取得方法は、天候判断装置1からの取得に限られず、任意の方法が採用され得る。すなわち、実施の形態では、天候判断装置1が天空画像撮像システムを構成しており、天候判断装置1において撮像した天空画像から太陽位置データ6aが生成され、この太陽位置データ6aから太陽位置(具体的には太陽高度hや太陽方位角α)を取得するように構成されている。しかしながら、緯度、経度及び設置方位等が決まれば、太陽位置データはある程度の精度の理論値(計算式に基づく値やシミュレーション値)を得ることもできるので、そのような理論値を使用してもよい。或いは、天候判断装置1を設置する区域に対応する太陽位置測定データが提供されていれば、これを利用してもよい。インターネット上にある太陽位置データ計算ウェブサイト、太陽位置データベースサービス等から、緯度、経度、季節(日時)等の各種条件に応じた太陽位置データを取得してもよい。天候判断装置1の設置当初で撮像データの蓄積が不十分である期間等に代替的に使用してもよく、あるいは天候判断装置1を省略してもよい。
【0067】
なお、電動ブラインドシステム7は、室内に設置してもよく、室外に設置してもよい。本開示に係る各種制御動作は、太陽電池付スラットの制御方法として提供されてもよい。
【0068】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 :天候判断装置
2 :魚眼レンズ
2a :減光フィルター
3 :シャッターユニット
4 :イメージセンサ
5 :CPU
6 :メモリ
6a :太陽位置データ
6b :太陽高度方位角データ
7 :電動ブラインドシステム
8 :メインコントローラ
9 :通信線
10 :電動ブラインド装置
10a :電動ブラインド装置(第1の電動ブラインド装置)
10b :電動ブラインド装置(第2の電動ブラインド装置)
11 :ブラインドコントローラ
13 :スラット
14 :内部バッテリ
17 :太陽電池セル
20 :外部バッテリ
23 :電動モータ
24 :エンコーダ
30 :電動ブラインド装置
30a :電動ブラインド装置(第1の電動ブラインド装置)
30b :電動ブラインド装置(第2の電動ブラインド装置)
33 :スラット
91 :CPU
92 :記憶部
93 :太陽電池接続回路
93a :出力検出回路
94 :モータ駆動回路
96 :エンコーダ接続回路
h :太陽高度
Δθ :判定値
Δθα :判定値
α :太陽方位角
θ :傾斜角度
θcrh :第1基準角度
θcrα :第2基準角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7