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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095301
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ドリップバッグ
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20240703BHJP
   A47J 31/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A47J31/06 160
A47J31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212476
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000178882
【氏名又は名称】山中産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】土橋 彩乃
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA07
4B104BA43
4B104BA77
4B104EA08
4B104EA37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】飲料抽出原料を封入しやすくフィルタの開口時に美しい円錐形を維持できるドリップバッグ形成用シート及びドリップバッグを提供する。
【解決手段】流れ方向に延びる帯状のフィルタ材2に、フィルタ材2の幅方向の中心線で線対称に取り付けられ全体として円弧形状を成す一対のホルダ3が、流れ方向に一定間隔で複数設けられ、一対のホルダ3,3のそれぞれは、中心線L1を一辺とする仮想矩形Sの一対の対角の間に円弧形状に延び、フィルタ材2に固定された上部貼着部4と、上部貼着部4の円弧形状が囲っている側に、容器の開口部に引っ掛けさせる掛止部5及び掛止部5の内側に形成されフィルタ材2に固定された下部貼着部が形成され、上部貼着部4は、掛止部5の両側に突出して延在している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ方向に延びる帯状のフィルタ材に、前記フィルタ材の幅方向の中心線で線対称に取り付けられ全体として円弧形状を成す一対のホルダが、前記流れ方向に一定間隔で複数設けられ、
前記一対のホルダのそれぞれは、前記中心線を一辺とする仮想矩形の一対の対角の間に円弧形状に延び、前記フィルタ材に固定された上部貼着部と、この上部貼着部の円弧形状が囲っている側に、容器の開口部に引っ掛けさせる掛止部及び前記掛止部の内側に形成され少なくとも一部が前記フィルタ材に固定された下部貼着部が形成され、
前記上部貼着部は、前記掛止部の両側に突出して延在しているドリップバッグ形成用シート。
【請求項2】
前記上側貼着部の少なくとも一方の端部から前記仮想矩形の角部に向かって延び、前記フィルタに固定された円錐支持部が形成されている請求項1に記載のリップバッグ形成用シート。
【請求項3】
流れ方向に延びる帯状のフィルタ材に、前記フィルタ材の幅方向の中心線で線対称に取り付けられ全体として円弧形状を成す一対のホルダが、前記流れ方向に一定間隔で複数設けられ、
前記一対のホルダのそれぞれは、前記中心線を一辺とする仮想矩形の一対の対角の間に円弧形状に延び、前記フィルタ材に固定された上部貼着部と、この上部貼着部の円弧形状が囲っている側に、容器の開口部に引っ掛けさせる掛止部及び前記掛止部の内側に形成され少なくとも一部が前記フィルタ材に固定された下部貼着部が形成され、
前記下部貼着部は、前記上部貼着部を円弧形状に延びる方向に4等分した中央側4分の2の領域内に形成されるとともに、前記上部貼着部に囲われた側の角部を中心とし、前記角部を成す一辺の半分を半径とする仮想円弧の外側に形成されているドリップバッグ形成用シート。
【請求項4】
前記上側貼着部の少なくとも一方の端部から前記仮想矩形の角部に向かって延びて前記フィルタに固定された円錐支持部が形成されている請求項3に記載のリップバッグ形成用シート。
【請求項5】
前記掛止部は、使用時に前記容器の開口部に掛けられる肩部と、前記容器の周面に配される係止部とを有し、
前記肩部は、前記上部貼着部の円弧形状の一部を構成するように、前記円弧形状の一部を切り欠いて形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載のドリップバッグ形成用シート。
【請求項6】
前記フィルタ材に前記上部貼着部の外側端縁に沿って破断用ミシン目が形成され、又は、前記上部貼着部には、前記上部貼着部の内側端縁と外側端縁との間に、前記内側端縁又は前記外側端縁に沿って、前記フィルタ材と共に破断できる破断用ミシン目が形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載のドリップバッグ形成用シート。
【請求項7】
前記フィルタ材には、前記流れ方向に一定間隔で複数設けられた一対のホルダ間に破断線が形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載のドリップバッグ形成用シート。
【請求項8】
請求項6に記載のドリップバッグ形成用シートが、一対のホルダの間の中央線で折り畳まれるとともに、流れ方向に形成された前記一対のホルダ間でフィルタ材が切断され、折り畳まれたフィルタ材間に飲料抽出原料が収容された状態で、前記中央線を一辺として前記一対のホルダをそれぞれ取り囲む仮想矩形の他の3辺で封止されたドリップバッグ。
【請求項9】
前記フィルタ材の一部が前記上部貼着部の外側端縁に沿って形成された破断用ミシン目又は前記上部貼着部の内側端縁と外側端縁との間に、前記内側端縁又は前記外側端縁に沿って形成され、前記フィルタ材と共に破断できる破断用ミシン目で切り取られた請求項8に記載のドリップバッグ。
【請求項10】
折り畳まれて4辺が閉じられた袋状の前記フィルタ材の一部に前記飲料抽出原料を収容して閉じておく封止部が形成された請求項8に記載のドリップバッグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリップバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
容器にセットをして一杯分のコーヒー等の飲料を手軽に抽出することができる円錐形のドリップバッグが広く知られている。従来の円錐型のドリップバッグは、2重にしたフィルタのそれぞれの外面のほぼ全体を覆うように紙製等のホルダが取り付けられていた。また、フィルタの全体を覆うホルダの形状に合わせて、ホルダのフィルタに貼着させる部分がフィルタの幅方向及び上下方向に可及的に大きく取られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-105822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の円錐形のドリップバッグは、コーヒー豆などの抽出原料が収容される円錐の下部側までホルダで覆われフィルタを押さえつけていたため、フィルタを閉じにくく、ドリップバッグも膨らみが大きくなって保管に不便であるという問題があった。また、フィルタに占めるホルダの貼着部分が可及的に大きく設定されているため、フィルタの開口時に円錐形が歪になってしまい飲料のドリップにおいて好ましくなかった。
そこで、本発明は、飲料抽出原料を封入しやすくフィルタの開口時に美しい円錐形を維持できるドリップバッグ形成用シート及びドリップバッグを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のドリップバッグ形成用シートは、流れ方向に延びる帯状のフィルタ材に、前記フィルタ材の幅方向の中心線で線対称に取り付けられ全体として円弧形状を成す一対のホルダが、前記流れ方向に一定間隔で複数設けられ、前記一対のホルダのそれぞれは、前記中心線を一辺とする仮想矩形の一対の対角の間に円弧形状に延び、前記フィルタ材に固定された上部貼着部と、この上部貼着部の円弧形状が囲っている側に、容器の開口部に引っ掛けさせる掛止部及び前記掛止部の内側に形成され少なくとも一部が前記フィルタ材に固定された下部貼着部が形成され、前記上部貼着部は、前記掛止部の両側に突出して延在している。
この構成によれば、フィルタの開口部を確実に保持しつつ飲料抽出原料を封入しやすくすることがとともに、ドリップバッグの使用時に、綺麗な立体の円錐形を形成することができる。
(2) 本発明のドリップバッグ形成用シートの前記上側貼着部の少なくとも一方の端部から前記仮想矩形の角部に向かって延び、前記フィルタに固定された円錐支持部が形成されていてもよい。
この構成によれば、ドリップバッグの使用時に、円錐形を上下方向に向かって保持しやすくなる。
(3) 本発明のドリップバッグ形成用シートは、流れ方向に延びる帯状のフィルタ材に、前記フィルタ材の幅方向の中心線で線対称に取り付けられ全体として円弧形状を成す一対のホルダが、前記流れ方向に一定間隔で複数設けられ、前記一対のホルダのそれぞれは、前記中心線を一辺とする仮想矩形の一対の対角の間に円弧形状に延び、前記フィルタ材に固定された上部貼着部と、この上部貼着部の円弧形状が囲っている側に、容器の開口部に引っ掛けさせる掛止部及び前記掛止部の内側に形成され少なくとも一部が前記フィルタ材に固定された下部貼着部が形成され、前記下部貼着部は、前記上部貼着部を円弧形状に延びる方向に4等分した中央側4分の2の領域内に形成されるとともに、前記上部貼着部に囲われた側の角部を中心とし、前記角部を成す一辺の半分を半径とする仮想円弧の外側に形成されている。
この構成によれば、フィルタの開口部を確実に保持しつつ飲料抽出原料を封入しやすくすることがとともに、ドリップバッグの使用時に、綺麗な立体の円錐形を形成することができる。
(4) 本発明のドリップバッグ形成用シートの前記上側貼着部の少なくとも一方の端部から前記仮想矩形の角部に向かって延びて前記フィルタに固定された円錐支持部が形成されていてもよい。
この構成によれば、ドリップバッグの使用時に、円錐形を上下方向に向かって保持しやすくなる。
(5) 本発明のドリップバッグ形成用シート前記掛止部は、使用時に前記容器の開口部に掛けられる肩部と、前記容器の周面に配される係止部とを有し、前記肩部は、前記上部貼着部の円弧形状の一部を構成するように、前記円弧形状の一部を切り欠いて形成されていてもよい。
この構成によれば、上部貼着部及び肩部の容器に対する高さを合わせることができる。
(6) 本発明のドリップバッグ形成用シートの前記フィルタ材に、前記上部貼着部の外側端縁に沿って破断用ミシン目が形成され、又は、前記上部貼着部には、前記上部貼着部の内側端縁と外側端縁との間に、前記内側端縁又は前記外側端縁に沿って、前記フィルタ材と共に破断できる破断用ミシン目が形成されていてもよい。
この構成によれば、ドリップバッグ形成用シートによってドリップバッグが作成された後で、フィルタを上部貼着部に沿って容易に破断することができる。
(7) 本発明のドリップバッグ形成用シート前記フィルタ材には、前記流れ方向に一定間隔で複数設けられた一対のホルダ間に破断線が形成されていてもよい。
この構成によれば、ドリップバッグ形成用シートによってドリップバッグを作成しやすい。
(8) 本発明のドリップバッグは、上記(6)に記載のドリップバッグ形成用シートが、一対のホルダの間の中央線で折り畳まれるとともに、流れ方向に形成された前記一対のホルダ間でフィルタ材が切断され、折り畳まれたフィルタ材間に飲料抽出原料が収容された状態で、前記中央線を一辺として前記一対のホルダをそれぞれ取り囲む仮想矩形の他の3辺で封止されて形成されている。
この構成によれば、円錐形のドリップバッグとして、より多くの飲料抽出原料を封入することができる。
(9) 本発明の上記ドリップバッグは、前記フィルタ材の一部が前記上部貼着部の外側端縁に沿って形成された破断用ミシン目又は前記上部貼着部の内側端縁と外側端縁との間に、前記内側端縁又は前記外側端縁に沿って形成され、前記フィルタ材と共に破断できる破断用ミシン目で切り取られていてもよい。
この構成によれば、ドリップバッグ形成用シートによってドリップバッグが作成された後で、フィルタを上部貼着部に沿って容易に破断することができる。
(10)上記(8)に記載のドリップバッグは、折り畳まれて4辺が閉じられた袋状の前記フィルタ材の一部に前記飲料抽出原料を収容して閉じておく封止部が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明のドリップバッグ形成用シート及びドリップバッグは、飲料抽出原料を封入しやすくフィルタの開口時に美しい円錐形を維持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一の実施形態に係るドリップバッグ形成用シートの一部を示した平面図である。
図2】本発明の一の実施形態に係るドリップバッグ形成用シートの一つの仮想矩形を拡大して示した平面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係るドリップバッグであって使用前の状態を示した平面図である。
図4】(a)本発明の他の実施形態に係るドリップバッグであって使用状態を示した正面斜視図である。(b)(a)の平面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係るドリップバッグ形成用シートの一部を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明のドリップバッグの実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。また、本明細書において、「上」、「下」は、ドリップバッグをカップ等の容器に設置した状態での位置関係又は向きをいい、「左」、「右」又はとは、ドリップバッグをカップ等の容器に設置した状態でフィルタの一方の面から見た際の位置関係又は向きを示している。
【0009】
図1に示すように、本実施形態のドリップバッグ形成用シート1は、流れ方向(紙面左右方向)に長尺な帯状のフィルタ材2に、その幅方向(紙面上下方向)の中心線L1で線対称に取り付けられ一対のホルダ3,3が、流れ方向に一定間隔で複数設けられている。一対のホルダ3,3は、全体として円弧形状(本実施形態では略半円形)を成し、フィルタ材2上に円弧形状が流れ方向に同じ方向を向くように設けられている。
【0010】
フィルタ材2は、コーヒー等の飲料を抽出することができる液体をろ過可能な生地により形成されている。具体的に、フィルタ材2は、不織布、紙、メッシュ生地、紙と不織布との複合生地、不織布とメッシュとの複合生地等により形成されている。
【0011】
フィルタ材2の幅は、特に限定されないが、マグカップなどの容器に1杯分の飲料を抽出することができる大きさの矩形で、一般的に40mm×40mm~100mm×100mm(典型的には60mm×60mm~80mm×80mm)が幅方向に2つ採れる寸法を有している。
【0012】
一対のホルダ3,3のそれぞれは、中心線L1を一辺とする仮想矩形Sの一対の対角K1,K3又はK2,K3の間に円弧形状に延び、フィルタ材2に固定された上部貼着部4と、上部貼着部4の円弧形状が囲っている側に設けられた掛止部5を有している。
【0013】
上部貼着部4は、円弧を描く帯状に形成されている。より具体的には、本実施形態では、上部貼着部4は、仮想矩形Sの一辺のほぼ全体を半径とする円弧形状をなしている。上部貼着部4の幅は、特に限定されないが、15mm前後で形成され得る。
【0014】
図2に示すように、上部貼着部4の外側端縁に沿ったフィルタ2上には、フィルタ2の上部貼着部4よりも上側(すなわち上部貼着部4に囲われていない側)を切り取ることができるようにしたミシン目P1が形成されている。
上部貼着部4の一端部には、流れ方向に一定間隔で形成された一対のホルダ3,3間に形成されたの辺L2(仮想矩形Sの一辺)に平行に延びる円錐支持部6が形成されている。
【0015】
掛止部5は、図4に示すような容器50の開口部に引っ掛けさせる部分である。
図2に示すように、掛止部5は、概略V字又はU字状に形成されている。具体的には、掛止部5は、上部貼着部4の中央部において上部貼着部4と共に円弧形状を形成するように略水平に延びた肩部5a,5aと、肩部5a,5aから下方に延びた側辺部5b,5bと、側辺部5b,5b間を連結する下辺部5cとを有している。
【0016】
詳細には、肩部5a,5aは、上部貼着部4の長手方向を4等分した内側4分の2の範囲内において上部貼着部4側に食い込んで切り欠くように形成されている。この構成により、上部貼着部4の内側端縁4bと肩部5aの下端縁5yとが概略同じ円弧上に形成されている。
【0017】
掛止部5の内側には、概略W字形でフィルタ2に貼着した下部貼着部7が形成されている。
下部貼着部7の内側には、上部で肩部5aと連続している左右一対のアーム部8,8が形成されている。
【0018】
アーム部8は、下部貼着部7の底部付近から上方にやや拡開するように延びた後左右外側に延び、掛止部5の肩部5aと連結している。アーム部8は所定の幅寸法で形成されている。アーム部8の内側辺上は一部がフィルタ2に貼着しており、それ以外の部分はフィルタ2に貼着されていない部分になっている。その結果、アーム部8は、内側辺を軸に立ち上がり可能になっている。
【0019】
アーム部8の内側にも、下部貼着部7の一部が延びて上部貼着部4の左右の中心付近に連結している。上部貼着部4の中心付近から下方に延びた下部貼着部7の中央部分9は、少なくとも上部貼着部4付近と、下部貼着部7付近においてフィルタ2と貼着し固定されている。
【0020】
以上の掛止部5及びその内側に形成された下部貼着部7、アーム部8及び下部貼着部7の中央部分9は、上部貼着部4を長手方向に4等分した内側4分の2の範囲であって、仮想矩形Sの角部K3を中心として辺L2の2分の1を半径とした円弧よりも外側に形成されている。その結果、下部貼着部は7及び中央部分9は、掛止部5よりも更に小さく、仮想矩形Sの中心にコンパクトに形成されている。
以上により、掛止部5の両側には、上部貼着部4の両端4分の1以上が大きく突出して延在している。
【0021】
ホルダ3は、撓ませることが可能で一定の剛性を有する紙、合成樹脂等の素材を打ち抜き、上部貼着部4、掛止部5、下部貼着部7、アーム部8、との間に切込みを形成することによって形成されている。また、ホルダ3は、フィルタ材2に熱融着等により固定している。
【0022】
ドリップバッグ形成用シート1は、以上の構成で形成され、例えばロール状に巻回されて保管できるようにされている。
【0023】
図3に示すドリップバッグ10を作成するにあたっては、図1又は図2に示すドリップバッグ形成用シート1の端部を少しずつ引き出し、ホルダ3,3を互いに外側に向けてシート1を中央線L1において折り畳み、辺L2~L4を熱融着等で封止しつつフィルタ材2を袋体にする。ホルダ3,3は、中央線L1において線対称に設けられているため、フィルタ材2の積層方向に一致して重なる。
【0024】
この際、少なくとも中央線L1及び辺L2を閉じ、飲料抽出原料の充填機によって辺L3,L4の一部を残して封止し、袋状にしたタイミングでコーヒー豆等の飲料抽出原料を袋体になったフィルタ材2の内部に収容し、開口した辺L3又は辺L4の部分を封止する。
その後、又は、辺2,辺3,辺4を熱融着するのと略同じタイミングでフィルタ材2を切断し、図3に示すドリップバッグ10とする。
【0025】
ドリップバッグ10は、フィルタ2が矩形に形成され、上部貼着部4の上方にもコーヒー豆などの飲料抽出原料をまんべんなく広げて収容しておくことができるため、飲料抽出原料を収容させた袋体を全体として偏平に保つことができる。
【0026】
したがって、ドリップバッグ10は、飲料抽出原料を内部に収容しやすく、更にドリップバッグ10を収容する外装袋(不図示)にも偏平な形で収容しやすい。したがって、ドリップバッグ10又はドリップバッグ10を収容した外装袋を偏平面で重ねて保管しやすいという効果を奏する。また、フィルタ2の袋体内に多くのコーヒー豆を収容しやすく、ミシン目P1の開封後には、不要となる上部貼着部4よりも上方を取り除いて勝手よく使うことができるという効果を奏する。
【0027】
ドリップバッグ10を用いて飲料を抽出するにあたっては、飲料抽出原料を上部貼着部4の下方に集めた上で、ミシン目P1において上部貼着部4よりも上側のフィルタ2の余剰部分Xを切り離す。その後ホルダ3,3の掛止部5をフィルタ2から起こして把持し、互いに離間する方向に引っ張る。
【0028】
掛止部5の引っ張りにより、アーム部8も引っ張られてフィルタ2から離間して傾斜し、掛止部5がフィルタ2から更に大きく離される。この際、上部貼着部4及び中央部分9は、フィルタ2に貼着して固定されているため、フィルタ2が全体として円錐形状になる。
また、下部貼着部7のフィルタ2への貼着が最小限にとどめられているため、フィルタ2の円錐形状が引っ張られ過ぎたりすることなく綺麗な円錐形状を成す。
【0029】
掛止部5を左右に大きく開いたら、図4に示すように、カップ等の容器50の上端開口部51に被せ、掛止部5を容器50の外側に配するようにして容器50の上端開口部51に引っ掛ける(図4においてコーヒー豆等の飲料抽出原料は省略している)。掛止部5が容器50に引っ掛けられると、アーム部8はフィルタ2と容器50の間に架かった状態となる。
以上のようにしてドリップバッグ10を容器に設置できたら、コーヒー豆を入れ注湯して飲料を抽出する。
【0030】
このように、本発明のドリップバッグ10によれば、フィルタ2の開口部がしっかりと保持されていながらも円錐形状を綺麗に形成することができる抽出原料入りのドリップバッグ10を形成することができるという効果を奏する。
【0031】
また、上部貼着部4の端部に、辺L2に沿って下方に延びる円錐支持部6が形成されているため、フィルタ2の開口時に円錐形状を上下方向に支持し、注湯時にフィルタが内側に倒れたりすることを防止することができるという効果を奏する。
【0032】
なお、上記実施形態では、上部貼着部4の外側端縁に沿ってフィルタ2のみにミシン目P1を形成した例を示したが、ミシン目は、図2に示すように、上部貼着部4上に仮想線P2上に形成してフィルタ2と共に破断できるようにしてもよい。具体的には、仮想線P2上にミシン目を形成する場合は、上部貼着部4の円弧形状の外側端縁4a及び内側端縁4bの間であって、外側端縁4a又は内側端縁4bに平行に形成されていてもよい。
【0033】
このようにミシン目を一定の剛性を有する上部貼着部4上に形成した場合には、剛性のある上部貼着部4の一部と共に切り取れるため、フィルタ2を所望の線上で綺麗に切断することができ、ミシン目から逸脱してフィルタ2を誤って破断することを防止することができる。
【0034】
また、図5に示すように、一対のホルダ3,3は、フィルタ材2上に円弧形状を流れ方向に互いに対向させて2つで対を成すように配置されていてもよい。
また、円錐支持部6は、図2に一方を仮想線で示すように、辺L1,L2に沿って上部貼着部4の両端に形成されていてもよい。なお、円錐支持部6はあることが望ましいが必須ではない。
【符号の説明】
【0035】
1 ドリップバッグ形成用シート
2 フィルタ材
3 ホルダ
4 上部貼着部
5 掛止部
6 円錐支持部
7 下部貼着部
10 ドリップバッグ
50 容器
L1 中央線
L2,L3,L4 仮想矩形の辺
S 仮想矩形
図1
図2
図3
図4
図5