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特開2024-95303ベニバナ色素の退色又は変色抑制剤、ベニバナの色素の退色又は変色抑制方法及び組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095303
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ベニバナ色素の退色又は変色抑制剤、ベニバナの色素の退色又は変色抑制方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9771 20170101AFI20240703BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240703BHJP
   A61K 8/9767 20170101ALI20240703BHJP
   C09K 15/34 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K8/9771
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q1/00
A61K8/9789
A61K8/9767
C09K15/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212479
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西川 聖二
【テーマコード(参考)】
4C083
4H025
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB332
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC291
4C083AC292
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC532
4C083AC612
4C083AD282
4C083BB22
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC31
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE07
4C083FF01
4C083FF04
4H025AC04
4H025BA01
(57)【要約】
【課題】ベニバナ色素の退色及び変色の抑制作用に優れるベニバナ色素の退色又は変色抑制剤を提供すること。
【解決手段】本発明に係るベニバナ色素の退色又は変色抑制剤の一態様は、イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物を有効成分として含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物を有効成分として含有することを特徴とするベニバナ色素の退色又は変色抑制剤。
【請求項2】
コハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれかを更に含有する、請求項1に記載のベニバナ色素の退色又は変色抑制剤。
【請求項3】
光照射又は加熱に対する退色又は変色抑制剤である、請求項1に記載のベニバナ色素の退色又は変色抑制剤。
【請求項4】
ベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物の退色又は変色を抑制する方法であって、
前記ベニバナ色素と、イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物とを接触させることを特徴とするベニバナの色素の退色又は変色抑制方法。
【請求項5】
(A)ベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物と、
(B)請求項1に記載のベニバナ色素の退色又は変色抑制剤と、
を含有することを特徴とする組成物。
【請求項6】
化粧料である、請求項5に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベニバナ色素の退色又は変色抑制剤、ベニバナの色素の退色又は変色抑制方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ベニバナ色素は、植物原料由来の天然色素化合物であり、その色調及び安全性の点から、化粧料、飲食品、医薬部外品、医薬品などの多くの分野での優れた色素素材として利用されている。しかしながら、ベニバナ色素は光や熱等により退色及び変色する性質を有しているため、ベニバナ色素を配合した化粧品、飲食品、医薬部外品、医薬品などの製造、流通、及び保存等の各段階で光及び熱の影響を受けて徐々に退色又は変色し、商品価値が著しく低下するという問題がある。そのため、ベニバナ色素には、耐光性及び耐熱性が求められている。
【0003】
このような問題に対し、例えば、ベニバナ色素の退色を抑制するために、ヒドロキシチロソール又は前記ヒドロキシチロソールを含有する植物抽出物を有効成分として含有する退色抑制剤が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-60534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みて、本発明の一態様は、ベニバナ色素の退色及び変色の抑制作用に優れるベニバナ色素の退色又は変色抑制剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るベニバナ色素の退色又は変色抑制剤の一態様は、イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物を有効成分として含有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ベニバナ色素の退色及び変色の抑制作用に優れるベニバナ色素の退色又は変色抑制剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断りがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0009】
(ベニバナ色素の退色又は変色抑制剤)
一実施形態に係るベニバナ色素の退色又は変色抑制剤(以下、「退色又は変色抑制剤」と略記することがある)は、イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物を有効成分として含有し、更にコハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれかを含有することが好ましく、更にその他の成分を含有していてもよい。
【0010】
従来、ベニバナ色素の退色又は変色の防止には、ビタミンC(アスコルビン酸)等の酸化防止剤が使用されていた。しかしながら、ビタミンCは、その退色又は変色抑制効果が十分とは言えないことに加えて、光や熱によって容易に分解してしまうため、これを配合した化粧品、飲食品、医薬部外品、医薬品などの製造、流通、及び保存等の各段階で光及び熱の影響を受けて分解し、ベニバナ色素の退色又は変色を長期間防止することができないという問題があった。
【0011】
これに対し、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤は、ベニバナ色素の退色及び変色の抑制作用に優れるものである。一実施形態に係る退色又は変色抑制剤は、より好ましくは、ベニバナ色素の光退色抑制作用、ベニバナ色素の熱退色抑制作用、及びベニバナ色素の熱変色抑制作用に優れるものである。したがって、本発明には、ベニバナ色素の光退色抑制剤、ベニバナ色素の熱退色抑制剤、及びベニバナ色素の熱変色抑制剤も含まれる。一実施形態に係る退色又は変色抑制剤は、従来のベニバナ色素の酸化防止剤の代替品として有用である。
【0012】
<植物抽出物>
一実施形態に係る退色又は変色抑制剤が含有する植物抽出物は、イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかである。
【0013】
<<イチョウ抽出物>>
前記イチョウ抽出物は、イチョウ科(Ginkgoaceae)イチョウ属(Ginkgo)に属するイチョウ(Ginkgo biloba .)を抽出原料とした抽出物である。前記イチョウ抽出物は、市販品を用いてもよく、前記イチョウから公知の方法で抽出してもよい。
【0014】
前記抽出原料としての前記イチョウの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、樹皮部、根部、種皮部、果実部、果核部、又はこれらの混合部位などが挙げられる。これらの中でも、前記抽出原料としての前記イチョウの抽出部位としては、葉部が好ましい。
【0015】
前記抽出原料としての前記イチョウの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0016】
前記抽出原料としての前記イチョウの状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、圧搾液の状態、焙煎した状態などが挙げられる。これらの中でも、乾燥した状態が好ましい。
【0017】
前記イチョウを前記乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0018】
前記イチョウを前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕する方法などが挙げられる。
【0019】
前記イチョウを前記圧搾液の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0020】
前記イチョウ抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができる。前記抽出処理の際には、特殊な抽出方法や抽出装置を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下において公知の抽出装置を用いて行うことができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に前記抽出原料としてのイチョウを浸漬し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことによりイチョウ抽出物を得る方法などが挙げられ、更に粗精製物又は精製したものであってもよい。なお、前記イチョウの前記圧搾液にも前記抽出溶媒で抽出したイチョウ抽出物と同様の有効成分が含まれているため、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤中の前記イチョウ抽出物には、前記イチョウの圧搾液も含む。
【0021】
なお、前記イチョウ抽出物は、超臨界流体を用いた抽出法を採用することも可能である。超臨界流体の種類は特に限定されるものではなく、二酸化窒素、アンモニア、エタン、プロパン、エチレン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0022】
前記イチョウ抽出物の抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性溶媒、非極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましい。
【0023】
前記非極性溶媒としては、非極性である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる、例えば、ブタノール、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、酢酸エチル、エーテルなどが挙げられる。これらの非極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記極性溶媒としては、極性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられる。これらの極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものなどが挙げられる。水に施す処理としては、特に制限はなく、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化などが挙げられる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。
【0026】
前記親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
2種以上の前記水又は前記親水性有機溶媒の混合溶媒を抽出溶媒として使用する場合、その混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができる。
【0028】
前記イチョウ抽出物の抽出条件(抽出溶媒の使用量や、抽出時間、抽出温度、圧力等の雰囲気条件など)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
【0029】
前記イチョウ抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記イチョウ抽出物そのものであってもよく、前記イチョウ抽出物の粗精製物又は精製物、前記イチョウ抽出物の濃縮物、前記イチョウ抽出物の希釈物、前記イチョウ抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記イチョウ抽出物は、前記イチョウ抽出物の乾燥物を、再び、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0030】
前記イチョウ抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、液-液分配抽出、膜分離などが挙げられる。これらの精製方法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
<<セイヨウハッカ抽出物>>
前記セイヨウハッカ抽出物は、シソ科(Lamiaceae)ハッカ属(Mentha)に属するセイヨウハッカ抽出物(Lamiaceae Mentha piperita Labiatae)を抽出原料とした抽出物である。前記セイヨウハッカ抽出物は、市販品を用いてもよく、前記セイヨウハッカから公知の方法で抽出してもよい。
【0032】
前記抽出原料としての前記セイヨウハッカの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、樹皮部、根部、種皮部、果実部、果核部、又はこれらの混合部位などが挙げられる。これらの中でも、前記抽出原料としての前記セイヨウハッカの抽出部位としては、葉部が好ましい。
【0033】
前記抽出原料としての前記セイヨウハッカの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0034】
前記抽出原料としての前記セイヨウハッカの状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、圧搾液の状態、焙煎した状態などが挙げられる。これらの中でも、乾燥した状態が好ましい。
【0035】
前記セイヨウハッカを前記乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0036】
前記セイヨウハッカを前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕する方法などが挙げられる。
【0037】
前記セイヨウハッカを前記圧搾液の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0038】
前記セイヨウハッカ抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができる。前記抽出処理の際には、特殊な抽出方法や抽出装置を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下において公知の抽出装置を用いて行うことができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に前記抽出原料としてのセイヨウハッカを浸漬し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことによりセイヨウハッカ抽出物を得る方法などが挙げられ、更に粗精製物又は精製したものであってもよい。なお、前記セイヨウハッカの前記圧搾液にも前記抽出溶媒で抽出したセイヨウハッカ抽出物と同様の有効成分が含まれているため、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤中の前記セイヨウハッカ抽出物には、前記セイヨウハッカの圧搾液も含む。
【0039】
なお、前記セイヨウハッカ抽出物は、超臨界流体を用いた抽出法を採用することも可能である。超臨界流体の種類は特に限定されるものではなく、二酸化窒素、アンモニア、エタン、プロパン、エチレン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0040】
前記セイヨウハッカ抽出物の抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性溶媒、非極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましい。
【0041】
前記非極性溶媒としては、非極性である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる、例えば、ブタノール、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、酢酸エチル、エーテルなどが挙げられる。これらの非極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記極性溶媒としては、極性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられる。これらの極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものなどが挙げられる。水に施す処理としては、特に制限はなく、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化などが挙げられる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。
【0044】
前記親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
2種以上の前記水又は前記親水性有機溶媒の混合溶媒を抽出溶媒として使用する場合、その混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができる。
【0046】
前記セイヨウハッカ抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記セイヨウハッカ抽出物そのものであってもよく、前記セイヨウハッカ抽出物の粗精製物又は精製物、前記セイヨウハッカ抽出物の濃縮物、前記セイヨウハッカ抽出物の希釈物、前記セイヨウハッカ抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記セイヨウハッカ抽出物は、前記セイヨウハッカ抽出物の乾燥物を、再び、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0047】
前記セイヨウハッカ抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、液-液分配抽出、膜分離などが挙げられる。これらの精製方法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
<<オリーブ葉抽出物>>
前記オリーブ葉抽出物はモクセイ科(Oleaceae)オリーブ属(Olea)に属するオリーブ(Oleaceae Olea europaea .)の葉を抽出原料とした抽出物である。前記オリーブ葉抽出物は、市販品を用いてもよく、前記オリーブ葉から公知の方法で抽出してもよい。
【0049】
前記抽出原料としての前記オリーブ葉の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0050】
前記抽出原料としての前記オリーブ葉の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、圧搾液の状態、焙煎した状態などが挙げられる。これらの中でも、乾燥した状態が好ましい。
【0051】
前記オリーブ葉を前記乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0052】
前記オリーブ葉を前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕する方法などが挙げられる。
【0053】
前記オリーブ葉を前記圧搾液の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0054】
前記オリーブ葉抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができる。前記抽出処理の際には、特殊な抽出方法や抽出装置を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下において公知の抽出装置を用いて行うことができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に前記抽出原料としてのオリーブ葉を浸漬し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことによりオリーブ葉抽出物を得る方法などが挙げられ、更に粗精製物又は精製したものであってもよい。なお、前記オリーブ葉の前記圧搾液にも前記抽出溶媒で抽出したオリーブ葉抽出物と同様の有効成分が含まれているため、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤中の前記オリーブ葉抽出物には、前記オリーブ葉の圧搾液も含む。
【0055】
なお、前記オリーブ葉抽出物は、超臨界流体を用いた抽出法を採用することも可能である。超臨界流体の種類は特に限定されるものではなく、二酸化窒素、アンモニア、エタン、プロパン、エチレン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0056】
前記オリーブ葉抽出物の抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性溶媒、非極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましい。
【0057】
前記非極性溶媒としては、非極性である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる、例えば、ブタノール、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、酢酸エチル、エーテル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル、アセトニトリル、ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらの非極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
前記極性溶媒としては、極性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられる。これらの極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものなどが挙げられる。水に施す処理としては、特に制限はなく、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化などが挙げられる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。
【0060】
前記親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
2種以上の前記水又は前記親水性有機溶媒の混合溶媒を抽出溶媒として使用する場合、その混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができる。
【0062】
前記オリーブ葉抽出物の抽出条件(抽出溶媒の使用量や、抽出時間、抽出温度、圧力等の雰囲気条件など)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
【0063】
前記オリーブ葉抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記オリーブ葉抽出物そのものであってもよく、前記オリーブ葉抽出物の粗精製物又は精製物、前記オリーブ葉抽出物の濃縮物、前記オリーブ葉抽出物の希釈物、前記オリーブ葉抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記オリーブ葉抽出物は、前記オリーブ葉抽出物の乾燥物を、再び、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0064】
前記オリーブ葉抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、液-液分配抽出、膜分離などが挙げられる。これらの精製方法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
<<マツ抽出物>>
前記マツ抽出物は、マツ科(Pinaceae)マツ属(Pinus)に属するマツ属植物を抽出原料とした抽出物である。前記マツ抽出物は、市販品を用いてもよく、前記マツ属植物から公知の方法で抽出してもよい。
【0066】
前記マツ属植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロマツ(Pinus thunbergii)、アカマツ(Pinus densiflora)、セイヨウアカマツ(Pinus sylvestis)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、セイヨウアカマツ(Pinus sylvestis)が好ましい。
【0067】
前記抽出原料としての前記マツ属植物の抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、樹皮部、根部、種皮部、果実部、果核部、又はこれらの混合部位などが挙げられる。これらの中でも、前記抽出原料としての前記マツ属植物の抽出部位としては、樹皮部、果実部(球果)が好ましい。
【0068】
前記抽出原料としての前記マツ属植物の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0069】
前記抽出原料としての前記マツ属植物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、圧搾液の状態、焙煎した状態などが挙げられる。これらの中でも、乾燥した状態が好ましい。
【0070】
前記マツ属植物を前記乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0071】
前記マツ属植物を前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕する方法などが挙げられる。
【0072】
前記マツ属植物を前記圧搾液の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0073】
前記マツ抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができる。前記抽出処理の際には、特殊な抽出方法や抽出装置を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下において公知の抽出装置を用いて行うことができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に前記抽出原料としてのマツ属植物を浸漬し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことによりマツ抽出物を得る方法などが挙げられ、更に粗精製物又は精製したものであってもよい。なお、前記マツの前記圧搾液にも前記抽出溶媒で抽出したマツ抽出物と同様の有効成分が含まれているため、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤中の前記マツ抽出物には、前記マツの圧搾液も含む。
【0074】
なお、前記マツ抽出物は、超臨界流体を用いた抽出法を採用することも可能である。超臨界流体の種類は特に限定されるものではなく、二酸化窒素、アンモニア、エタン、プロパン、エチレン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0075】
前記マツ抽出物の抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性溶媒、非極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましい。
【0076】
前記非極性溶媒としては、非極性である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる、例えば、ブタノール、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、酢酸エチル、エーテルなどが挙げられる。これらの非極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記極性溶媒としては、極性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられる。これらの極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものなどが挙げられる。水に施す処理としては、特に制限はなく、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化などが挙げられる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。
【0079】
前記親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0080】
2種以上の前記水又は前記親水性有機溶媒の混合溶媒を抽出溶媒として使用する場合、その混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができる。
【0081】
前記マツ抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マツ抽出物そのものであってもよく、前記マツ抽出物の粗精製物又は精製物、前記マツ抽出物の濃縮物、前記マツ抽出物の希釈物、前記マツ抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記マツ抽出物は、前記マツ抽出物の乾燥物を、再び、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0082】
前記マツ抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、液-液分配抽出、膜分離などが挙げられる。これらの精製方法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0083】
<<メリアアザジラクタ抽出物>>
前記メリアアザジラクタ抽出物は、センダン科(Meliaceae)アザディラクタ属(Azadirachta)に属するメリアアザジラクタ(Meliaceae Azadirachta .)を抽出原料とした抽出物である。前記メリアアザジラクタは、インドセンダンとも呼ばれる。前記メリアアザジラクタ抽出物は、市販品を用いてもよく、前記メリアアザジラクタから公知の方法で抽出してもよい。
【0084】
前記抽出原料としての前記メリアアザジラクタの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、樹皮部、根部、種皮部、果実部、果核部、又はこれらの混合部位などが挙げられる。これらの中でも、前記抽出原料としての前記メリアアザジラクタの抽出部位としては、葉部が好ましい。
【0085】
前記抽出原料としての前記メリアアザジラクタの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0086】
前記抽出原料としての前記メリアアザジラクタの状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、圧搾液の状態、焙煎した状態などが挙げられる。これらの中でも、乾燥した状態が好ましい。
【0087】
前記メリアアザジラクタを前記乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0088】
前記メリアアザジラクタを前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕する方法などが挙げられる。
【0089】
前記メリアアザジラクタを前記圧搾液の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0090】
前記メリアアザジラクタ抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができる。前記抽出処理の際には、特殊な抽出方法や抽出装置を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下において公知の抽出装置を用いて行うことができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に前記抽出原料としてのメリアアザジラクタを浸漬し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことによりメリアアザジラクタ抽出物を得る方法などが挙げられ、更に粗精製物又は精製したものであってもよい。なお、前記メリアアザジラクタの前記圧搾液にも前記抽出溶媒で抽出したメリアアザジラクタ抽出物と同様の有効成分が含まれているため、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤中の前記メリアアザジラクタ抽出物には、前記メリアアザジラクタの圧搾液も含む。
【0091】
なお、前記メリアアザジラクタ抽出物は、超臨界流体を用いた抽出法を採用することも可能である。超臨界流体の種類は特に限定されるものではなく、二酸化窒素、アンモニア、エタン、プロパン、エチレン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0092】
前記メリアアザジラクタ抽出物の抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性溶媒、非極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましい。
【0093】
前記非極性溶媒としては、非極性である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる、例えば、ブタノール、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、酢酸エチル、エーテルなどが挙げられる。これらの非極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0094】
前記極性溶媒としては、極性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられる。これらの極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0095】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものなどが挙げられる。水に施す処理としては、特に制限はなく、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化などが挙げられる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。
【0096】
前記親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0097】
2種以上の前記水又は前記親水性有機溶媒の混合溶媒を抽出溶媒として使用する場合、その混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができる。
【0098】
前記メリアアザジラクタ抽出物の抽出条件(抽出溶媒の使用量や、抽出時間、抽出温度、圧力等の雰囲気条件など)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
【0099】
前記メリアアザジラクタ抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記メリアアザジラクタ抽出物そのものであってもよく、前記メリアアザジラクタ抽出物の粗精製物又は精製物、前記メリアアザジラクタ抽出物の濃縮物、前記メリアアザジラクタ抽出物の希釈物、前記メリアアザジラクタ抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記メリアアザジラクタ抽出物は、前記メリアアザジラクタ抽出物の乾燥物を、再び、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0100】
前記メリアアザジラクタ抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、液-液分配抽出、膜分離などが挙げられる。これらの精製方法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0101】
<<ハマメリス抽出物>>
前記ハマメリス抽出物は、マンサク科(Hamamelis)マンサク属(Virginiana)に属するハマメリス(Hamamelis Virginiana)を抽出原料とした抽出物である。前記ハマメリスは、アメリカマンサクとも呼ばれる。前記ハマメリス抽出物は、市販品を用いてもよく、前記ハマメリスから公知の方法で抽出してもよい。
【0102】
前記抽出原料としての前記ハマメリスの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、樹皮部、根部、種皮部、果実部、果核部、又はこれらの混合部位などが挙げられる。これらの中でも、前記抽出原料としての前記ハマメリスの抽出部位としては、葉部及び樹皮部が好ましい。
【0103】
前記抽出原料としての前記ハマメリスの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0104】
前記抽出原料としての前記ハマメリスの状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、圧搾液の状態、焙煎した状態などが挙げられる。これらの中でも、乾燥した状態が好ましい。
【0105】
前記ハマメリスを前記乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0106】
前記ハマメリスを前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕する方法などが挙げられる。
【0107】
前記ハマメリスを前記圧搾液の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0108】
前記ハマメリス抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができる。前記抽出処理の際には、特殊な抽出方法や抽出装置を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下において公知の抽出装置を用いて行うことができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に前記抽出原料としてのハマメリスを浸漬し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことによりハマメリス抽出物を得る方法などが挙げられ、更に粗精製物又は精製したものであってもよい。なお、前記ハマメリスの前記圧搾液にも前記抽出溶媒で抽出したハマメリス抽出物と同様の有効成分が含まれているため、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤中の前記ハマメリス抽出物には、前記ハマメリスの圧搾液も含む。
【0109】
なお、前記ハマメリス抽出物は、超臨界流体を用いた抽出法を採用することも可能である。超臨界流体の種類は特に限定されるものではなく、二酸化窒素、アンモニア、エタン、プロパン、エチレン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0110】
前記ハマメリス抽出物の抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性溶媒、非極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましい。
【0111】
前記非極性溶媒としては、非極性である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる、例えば、ブタノール、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、酢酸エチル、エーテルなどが挙げられる。これらの非極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0112】
前記極性溶媒としては、極性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられる。これらの極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0113】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものなどが挙げられる。水に施す処理としては、特に制限はなく、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化などが挙げられる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。
【0114】
前記親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0115】
2種以上の前記水又は前記親水性有機溶媒の混合溶媒を抽出溶媒として使用する場合、その混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができる。
【0116】
前記ハマメリス抽出物の抽出条件(抽出溶媒の使用量や、抽出時間、抽出温度、圧力等の雰囲気条件など)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
【0117】
前記ハマメリス抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ハマメリス抽出物そのものであってもよく、前記ハマメリス抽出物の粗精製物又は精製物、前記ハマメリス抽出物の濃縮物、前記ハマメリス抽出物の希釈物、前記ハマメリス抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記ハマメリス抽出物は、前記ハマメリス抽出物の乾燥物を、再び、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0118】
前記ハマメリス抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、液-液分配抽出、膜分離などが挙げられる。これらの精製方法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0119】
前記退色又は変色抑制剤における前記イチョウ抽出物、前記セイヨウハッカ抽出物、前記オリーブ葉抽出物、前記マツ抽出物、前記メリアアザジラクタ抽出物、及び前記ハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記退色又は変色抑制剤の全質量に対して、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましい。なお、前記退色又は変色抑制剤は、前記イチョウ抽出物、前記セイヨウハッカ抽出物、前記オリーブ葉抽出物、前記マツ抽出物、前記メリアアザジラクタ抽出物、及び前記ハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物そのものであってもよい。
【0120】
<コハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれか>
前記退色又は変色抑制剤は、ベニバナ色素の光退色抑制作用、ベニバナ色素の熱退色抑制作用、及びベニバナ色素の熱変色抑制作用を更に向上する点で、コハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
前記コハク酸の塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩;鉄塩;アンモニウム塩;アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩などが挙げられる。これらの中でも、前記コハク酸の塩は、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。前記コハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれかは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0121】
前記退色又は変色抑制剤における前記コハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.01質量部以上となるような含有量とすることが好ましい。前記コハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれかの含有量が、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.01質量部以上となるような含有量であると、光退色抑制作用、熱退色抑制作用、及び熱変色抑制作用が良好である。また、前記コハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれかの含有量の上限値としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0122】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、アルコール類、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、ベニバナ色素の退色又は変色抑制作用を有する、前記イチョウ抽出物、前記セイヨウハッカ抽出物、前記オリーブ葉抽出物、前記マツ抽出物、前記メリアアザジラクタ抽出物、及び前記ハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物以外の植物抽出物を添加してもよい。
前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0123】
-ベニバナ色素-
一実施形態に係る退色又は変色抑制剤の退色又は変色抑制対象であるベニバナ色素には、ベニバナ黄色素(サフラーイエロー)及びベニバナ赤色素(カルタミン)が含まれる。したがって、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤は、ベニバナ黄色素の退色又は変色抑制剤、及びベニバナ赤色素の退色又は変色抑制剤とも言える。
【0124】
前記ベニバナ黄色素は、キク科(Asteraceae)ベニバナ属(Carthamus)に属するベニバナ(Carthamus tinctorius)の花部から得られた、サフラワーイエロー類を主成分とする色素である。
【0125】
前記ベニバナ赤色素は、キク科(Asteraceae)ベニバナ属(Carthamus)に属するベニバナ(Carthamus tinctorius)の花部から得られた、カルタミンを主成分とする色素である。
【0126】
--光退色抑制作用、熱退色抑制作用、及び熱変色抑制作用--
一実施形態に係る退色又は変色抑制剤は、前記植物抽出物を有効成分として含有することによる、前記ベニバナ色素に対する安定性を付与することができる安定性付与作用により、前記ベニバナ色素の退色又は変色を抑制することができるものである。ここで、「安定性付与作用」とは、前記ベニバナ色素の化合物構造を安定化させて分解や構造変化を抑制し、ベニバナ色素の退色や色調変化を防止する作用を意味する。具体的には、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤と、前記ベニバナ色素とを含有するベニバナ色素含有組成物を調製した際に、ベニバナ色素の残存率の向上、ベニバナ色素の色調変化の防止等の機能が発揮される機能を指す。例えば、加熱処理(例えば、製造、加工、調理等)や保管(例えば、高温保存、光照射状態での陳列等)を経た後であっても、発色特性が失われにくいベニバナ色素含有組成物を調製することが可能となる。したがって、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤は、前記ベニバナ色素の安定性に関して、耐光性付与による光退色抑制作用、若しくは、耐熱性付与による熱退色抑制作用又は熱変色抑制作用を有し、好ましくは、耐光性付与による光退色抑制作用、並びに、耐熱性付与による熱退色抑制作用及び熱変色抑制作用の全ての作用を有する。
【0127】
ここで、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤が有する光退色抑制作用としては、紫外光域から可視光全域の幅広い波長域において光照射がされた場合でも、前記ベニバナ色素を安定して維持することを可能とする作用を挙げることができる。
【0128】
また、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤が有する熱退色抑制作用及び熱変色抑制作用としては、50℃付近の高温状態に長時間保管された場合においても、前記ベニバナ色素を安定して維持することを可能とする作用を挙げることができる。
【0129】
--用途--
一実施形態に係るベニバナ色素の退色又は変色抑制剤は、ベニバナ色素の退色及び変色の抑制作用に優れるものであるため、化粧料、飲食品、医薬部外品、医薬品、衛生用日用品、又は飼料など、分野を問わず幅広く利用可能である。
【0130】
(ベニバナ色素の退色抑制方法)
一実施形態に係るベニバナ色素の退色又は変色抑制方法は、ベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物の退色又は変色を抑制する方法であって、前記ベニバナ色素と、イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物とを接触させる工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含んでいてもよい。
【0131】
一実施形態に係る退色又は変色抑制方法は、ベニバナ色素の退色及び変色に対して、優れた抑制作用を奏する。一実施形態に係る退色又は変色抑制方法は、より好ましくは、ベニバナ色素の退色及び変色に対して、優れた光退色抑制作用、優れた熱退色抑制作用、及び優れた熱変色抑制作用を奏する。したがって、本発明には、ベニバナ色素の退色又は変色防止方法、ベニバナ色素の安定化方法、ベニバナ色素の保護方法、ベニバナ色素の耐熱性付与方法、ベニバナ色素の耐光性付与方法なども含まれる。
【0132】
一実施形態に係るベニバナ色素の退色又は変色抑制方法における、前記ベニバナ色素、前記イチョウ抽出物、前記セイヨウハッカ抽出物、前記オリーブ葉抽出物、前記マツ抽出物、前記メリアアザジラクタ抽出物、及び前記ハマメリス抽出物については、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0133】
前記ベニバナ色素と、前記イチョウ抽出物、前記セイヨウハッカ抽出物、前記オリーブ葉抽出物、前記マツ抽出物、前記メリアアザジラクタ抽出物、及び前記ハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物とを接触させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物に、前記植物抽出物を添加して混合する方法などが挙げられる。
【0134】
前記イチョウ抽出物の使用量としては、前記ベニバナ色素の退色又は変色を抑制することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。前記イチョウ抽出物の使用量が、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であると、光退色抑制作用、熱退色抑制作用、及び熱変色抑制作用が良好であり、1質量部以上であると、光退色抑制作用及び熱退色抑制作用が更に良好である。前記イチョウ抽出物の使用量の上限値としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記イチョウ抽出物自体の色調の影響が出ない点から、前記ベニバナ色素100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。
【0135】
前記セイヨウハッカ抽出物の使用量としては、前記ベニバナ色素の退色又は変色を抑制することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが更に好ましい。前記セイヨウハッカ抽出物の使用量が、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.01質量部以上であると、光退色抑制作用、熱退色抑制作用、及び熱変色抑制作用が良好であり、0.1質量部以上であると、熱退色抑制作用が更に良好であり、1質量部以上であると、光退色抑制作用及び熱退色抑制作用が更に良好である。前記セイヨウハッカ抽出物の使用量の上限値としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記セイヨウハッカ抽出物自体の色調の影響が出ない点から、前記ベニバナ色素100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。
【0136】
前記オリーブ葉抽出物の使用量としては、前記ベニバナ色素の退色又は変色を抑制することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。前記オリーブ葉抽出物の使用量が、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であると、光退色抑制作用、熱退色抑制作用、及び熱変色抑制作用が良好であり、1質量部以上であると、光退色抑制作用及び熱変色抑制作用が更に良好である。前記オリーブ葉抽出物の使用量の上限値としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱変色抑制作用の点から5質量部以下であることが好ましい。
【0137】
前記マツ抽出物の使用量としては、前記ベニバナ色素の退色又は変色を抑制することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。前記マツ抽出物の使用量が、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であると、光退色抑制作用、熱退色抑制作用、及び熱変色抑制作用が良好であり、1質量部以上であると、光退色抑制作用及び熱退色抑制作用が更に良好である。前記マツ抽出物の使用量の上限値としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0138】
前記メリアアザジラクタ抽出物の使用量としては、前記ベニバナ色素の退色又は変色を抑制することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。前記メリアアザジラクタ抽出物の使用量が、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であると、光退色抑制作用、熱退色抑制作用、及び熱変色抑制作用が良好であり、1質量部以上であると、光退色抑制作用及び熱退色抑制作用が更に良好である。前記メリアアザジラクタ抽出物の使用量の上限値としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0139】
前記ハマメリス抽出物の使用量としては、前記ベニバナ色素の退色又は変色を抑制することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。前記ハマメリス抽出物の使用量が、前記ベニバナ色素100質量部に対して、0.1質量部以上であると、光退色抑制作用、熱退色抑制作用、及び熱変色抑制作用が良好であり、1質量部以上であると、光退色抑制作用及び熱退色抑制作用が更に良好である。前記ハマメリス抽出物の使用量の上限値としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0140】
(組成物)
一実施形態に係る組成物は、(A)ベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物と、(B)請求項1に記載のベニバナ色素の退色又は変色抑制剤と、を含有し、更にその他の成分を含有していてもよい。
【0141】
一実施形態に係る組成物は、ベニバナ色素の退色及び変色の抑制作用に優れるものであり、より好ましくは、ベニバナ色素の光退色抑制作用、ベニバナ色素の熱退色抑制作用、及びベニバナ色素の熱変色抑制作用に優れるものである。
【0142】
<(A)ベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物>
前記(A)成分としてのベニバナ色素は、一実施形態に係る退色又は変色抑制剤の項目に記載の通り、ベニバナ黄色素(サフラーイエロー)及びベニバナ赤色素(カルタミン)を含む。
【0143】
前記(A)成分としてのベニバナ色素を含有する組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベニバナ色素製剤、ベニバナの花部の抽出物(以下、「ベニバナ抽出物」と称することがある)、ベニバナの圧搾液、ベニバナのペースト状物、ベニバナのピューレ状物、ベニバナの乾燥物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これら以外であっても、ベニバナから得られたベニバナ色素を含有する組成物と同等と認められるものであれば、前記(A)成分に含まれる。
【0144】
前記ベニバナ抽出物の抽出原料としての前記ベニバナの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。
【0145】
前記抽出原料としての前記ベニバナの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0146】
前記抽出原料としての前記ベニバナの状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、圧搾液の状態、焙煎した状態などが挙げられる。
【0147】
前記ベニバナを前記乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0148】
前記ベニバナを前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕する方法などが挙げられる。
【0149】
前記ベニバナを前記圧搾液の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0150】
前記ベニバナをペースト又はピューレの状態にする方法としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ベニバナ抽出物又は前記ベニバナの圧搾液を濃縮する方法などが挙げられる。前記濃縮は、例えば、加熱して水分量を減少させる方法、凍結乾燥する方法などが挙げられる。
【0151】
前記ベニバナ抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができる。前記抽出処理の際には、特殊な抽出方法や抽出装置を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下において公知の抽出装置を用いて行うことができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に前記抽出原料としてのベニバナを浸漬し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことによりベニバナ抽出物を得る方法などが挙げられ、更に粗精製物又は精製したものであってもよい。
【0152】
なお、前記ベニバナ抽出物は、超臨界流体を用いた抽出法を採用することも可能である。超臨界流体の種類は特に限定されるものではなく、二酸化窒素、アンモニア、エタン、プロパン、エチレン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0153】
前記ベニバナ抽出物の抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性溶媒、非極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましい。
【0154】
前記非極性溶媒としては、非極性である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる、例えば、ブタノール、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、酢酸エチル、エーテルなどが挙げられる。これらの非極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0155】
前記極性溶媒としては、極性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられる。これらの極性溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0156】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものなどが挙げられる。水に施す処理としては、特に制限はなく、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化などが挙げられる。したがって、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。
【0157】
前記親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0158】
2種以上の前記水又は前記親水性有機溶媒の混合溶媒を抽出溶媒として使用する場合、その混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができる。
【0159】
前記ベニバナ抽出物の抽出条件(抽出溶媒の使用量や、抽出時間、抽出温度、圧力等の雰囲気条件など)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
【0160】
前記ベニバナ抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ベニバナ抽出物そのものであってもよく、前記ベニバナ抽出物の粗精製物又は精製物、前記ベニバナ抽出物の濃縮物、前記ベニバナ抽出物の希釈物、前記ベニバナ抽出物の乾燥物などであってもよい。また、前記ベニバナ抽出物は、前記ベニバナ抽出物の乾燥物を、再び、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
【0161】
前記ベニバナ抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、液-液分配抽出、膜分離などが挙げられる。これらの精製方法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0162】
前記組成物における前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0163】
<(B)ベニバナ色素の退色又は変色抑制剤>
前記(B)成分としてのベニバナ色素の退色又は変色抑制剤は、一実施形態に係るベニバナ色素の退色又は変色抑制剤である。
【0164】
前記組成物における前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、一実施形態に係る組成物中の前記(A)の含有量などに応じて適宜選択することができる。
【0165】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、アルコール類、水、賦形剤、甘味料、酸味料、調味料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、粉末成分、水性成分、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0166】
-形態-
一実施形態に係る組成物は、ベニバナ色素の退色及び変色の抑制作用に優れるものであるため、化粧料、飲食品、医薬部外品、医薬品、衛生用日用品、又は飼料など、分野を問わず幅広い製品として利用可能である。即ち、本発明には、前記(A)成分のベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物と、前記(B)成分のベニバナ色素の退色又は変色抑制剤とを含有する、飲食品、医薬部外品、医薬品、衛生用日用品、又は飼料等の各種製品に関する発明が含まれる。これらの中でも、一実施形態に係る組成物は、化粧料であることが好ましい。
【0167】
前記化粧料としては、例えば、化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ化粧料、パック化粧料、サンケア化粧料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム、ヘアセット剤、ヘアジェル等の毛髪化粧料などが挙げられる。
【0168】
前記飲食品としては、例えば、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;サラダ、漬物等の惣菜などが挙げられる。
【0169】
前記医薬部外品又は医薬品としては、例えば、種々の形態の健康、美容、又は栄養補助剤、各種サプリメント、歯磨剤、口腔清涼剤、臭予防剤、養毛剤、育毛剤、皮膚用保湿剤などが挙げられる。
【0170】
前記医薬品としては、例えば、静注、筋注等に用いられる注射剤;カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、シロップ剤、トローチ剤、含嗽剤等の経口剤;軟膏剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、眼軟膏剤、皮膚粘膜吸収剤、外皮用剤、吸入剤、坐剤等の非経口投与の外用剤;その他乾燥粉末;霧状化エアロゾル処方物などが挙げられる。
【0171】
前記衛生用日用品としては、例えば、石鹸、洗剤、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、歯磨剤、入浴剤などが挙げられる。
【0172】
前記飼料としては、例えば、キャットフード、ドッグフード等の各種ペットフード;観賞魚用や養殖魚用の餌などが挙げられる。
【0173】
また、一実施形態に係る組成物は、ベニバナ色素の以外の色素を含有する混合色素組成物の形態とすることもできる。前記ベニバナ色素の以外の色素としは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、アントシアニン系色素、ベニコウジ色素、ウコン色素、タマリンド色素、カキ色素、カラメル色素、スピルリナ色素、コウリャン色素、コチニール色素、トマト色素等の天然色素;食用赤色2号(アマランス)、食用赤色3号(エリスロシン)、食用赤色40号(アルラレッドAC)、食用赤色102号(ニューコクシン)、食用赤色104号(フロキシン)、食用赤色105号(ローズベンガル)、食用赤色106号(アシッドレッド)、食用黄色4号(タートラジン)、食用黄色5号(サンセットイエローFCF)、食用緑色3号(ファストグリーンFCF)、食用青色1号(ブリリアントブルーFCF)、食用青色2号(インジゴカルミン)、タール色素、無機顔料等の合成色素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0174】
一実施形態に係る組成物は、一実施形態に係るベニバナ色素の退色又は変色抑制剤を含有するため、保管や陳列等における光暴露を前提とした製品の着色に対しても好適に使用することが可能である。また、これらは耐熱性を備えたものであるため、高温保管に晒されることが想定される製品にも使用可能である。
【実施例0175】
以下に試験例を挙げて実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの試験例により限定されるものではない。
試験例で使用される原料は化粧品原料を用い、使用される原料は日本化粧品工業会(以下「粧工連」と略。)が定めた化粧品の全成分表示に用いる表示名称及びINCI名(化粧品原料国際命名法)に従って作成された化粧品成分の国際的表示名称で記載する。即ち表示名称/INCI名のように記載する。
【0176】
<<耐光性試験>>
以下の試験例1~3において、以下の方法でキセノン(Xe)照射を行い、耐光性試験を行った。
試験試料をXenon Weather Meter X25FL(スガ試験機株式会社製)でXe照射強度275W/m、50℃、50%RHの条件下で30時間照射した。その後、専門評価者が、コントロールと比較して、下記評価基準に基づき目視にて「光退色抑制」を評価した。なお、A、B、及びCを許容範囲と判断した。
-光退色抑制の評価基準-
A:退色が全く認められない
B:わずかな退色が認められるが許容できる範囲
C:若干の退色が認められる
D:明らかな退色が認められる
【0177】
<<耐熱性試験>>
以下の試験例1~3において、以下の方法で50℃における耐熱性試験を行った。
試験試料を50℃の条件下に4週間静置した。その後、専門評価者が、コントロールと比較して、下記評価基準に基づき目視にて「熱退色抑制」及び「熱変色抑制」を評価した。なお、熱退色抑制及び熱変色抑制共に、A、B、及びCを許容範囲と判断した。
-熱退色抑制の評価基準-
A:退色が全く認められない
B:わずかな退色が認められるが許容できる範囲
C:若干の退色が認められる
D:明らかな退色が認められる
-熱変色抑制の評価基準-
A:黄色から赤色への変色が全く認められない
B:黄色から赤色へのわずかな変色が認められるが許容できる範囲
C:黄色から赤色への若干の変色が認められる
D:黄色から赤色への明らかな変色が認められる
【0178】
(試験例1:植物抽出物のベニバナ色素に対する作用)
下記ベース処方(化粧料のベース処方)に記載の組成及び配合量の組成物を調製した。このベース処方に、イチョウ葉エキス/GINKGO BILOBA LEAF EXTRACT(以下、「イチョウ葉エキス」と記す。)、セイヨウハッカ葉エキス/MENTHA PIPERITA(PEPPERMINT) LEAF EXTRACT(以下、「セイヨウハッカ葉エキス」と記す。)、オリーブ葉エキス/OLEA EUROPAEA(OLIVE) LEAF EXTRACT(以下、「オリーブ葉エキス」と記す。)、セイヨウアカマツ球果エキス/PINUS SYLVESTRIS CONE EXTRACT(以下、「セイヨウアカマツ球果エキス」と記す。)、メリアアザジラクタ葉エキス/MELIA AZADIRACHTA LEAF EXTRACT(以下、「メリアアザジラクタ葉エキス」と記す。)、又はハマメリス葉エキス/HAMAMELIS VIRGINIANA(WITCH HAZEL) LEAF EXTRACT(以下、「ハマメリス葉エキス」と記す。)を添加して混合し、ポエチレンテレフタレート(PET)樹脂容器に充填した。それぞれ調製直後のものをコントロールとした。その後、各試験試料について、耐光性試験及び耐熱性試験を行った。また、専門評価者が、ベニバナ花エキス/CARTHAMUS TINCTORIUS(SAFFLOWER) FLOWER EXTRACT(以下、「ベニバナ花エキス」と記す。)と、イチョウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、オリーブ葉エキス、セイヨウアカマツ球果エキス、メリアアザジラクタ葉エキス、又はハマメリス葉エキスとの混合後のベニバナ花エキス由来の色の黄変の有無を評価した。結果は下記表1に示した。
[ベース処方(化粧料)]
・ ベニバナ花エキス:0.9質量%
・ EDTA-2Na/DISODIUM EDTA(以下、「EDTA-2Na」と記す。):0.2質量%
・ 塩化Na/SODIUM CHLORIDE(以下、「塩化Na」と記す。):1質量%
・ ヒドロキシプロピルメチルセルロース/HYDROXYPROPYL METHYLCELLULOSE(以下、「ヒドロキシプロピルメチルセルロース」と記す。):0.001質量%
・ グリセリン/GLYCERIN(以下、「グリセリン」と記す。):5質量%
・ PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル/PEG/PPG-14/7 DIMETHYL ETHER:0.1質量%
・ 1,3-プロパンジオール/PROPANEDIOL(以下、「1,3-プロパンジオール」と記す。):8質量%
・ PCA-Na/SODIUM PCA(以下、「PCA-Na」と記す。):適量
・ フェノキシエタノール/PHENOXYETHANOL(以下、「フェノキシエタノール」と記す。):適量
・ 水/WATER:残量(全体が100質量%となるように配合)
【0179】
<イチョウ抽出物>
前記ベース処方に対して、イチョウ葉エキスを0.1質量%又は1質量%添加した。
【0180】
<セイヨウハッカ抽出物>
前記ベース処方に対して、セイヨウハッカ葉エキスを0.01質量%、0.1質量%、又は1質量%添加した。
【0181】
<オリーブ葉抽出物>
前記ベース処方に対して、オリーブ葉エキスを0.1質量%、0.5質量%、1質量%、又は5質量%添加した。
【0182】
<マツ抽出物>
前記ベース処方に対して、セイヨウアカマツ球果エキスを0.1質量%又は1質量%添加した。
【0183】
<メリアアザジラクタ抽出物>
前記ベース処方に対して、メリアアザジラクタ葉エキスを0.1質量%又は1質量%添加した。
【0184】
<ハマメリス抽出物>
前記ベース処方に対して、ハマメリス葉エキスを0.1質量%又は1質量%添加した。
【0185】
【表1】
【0186】
(試験例2:薬剤のベニバナ色素に対する作用)
試験例1で調製したベース処方に、アスコルビルグルコシド/ASCORBYL GLUCOSIDE(以下、「アスコルビルグルコシド」と記す。)、2-O-エチルアスコルビン酸/2-O-ETHYL ASCORBIC ACID(以下、「2-O-エチルアスコルビン酸」と記す。)、カルノシン/CARNOSINE(以下、「カルノシン」と記す。)、又はピロ亜硫酸Na/SODIUM METABISULFITE(以下、「ピロ亜硫酸Na」と記す。)を下記表2に示す添加量で添加して混合し、PET樹脂容器に充填した。それぞれ調製直後のものをコントロールとした。その後、各試験試料について、耐光性試験及び耐熱性試験を行った。また、専門評価者が、ベニバナ花エキスと各薬剤との混合後のベニバナ花エキス由来の色の黄変の有無を評価した。結果は下記表2に示した。
【0187】
【表2】
【0188】
試験例1の結果より、上記条件による強い光照射を行った場合や、高温で長期保存した場合であっても、ベニバナ花エキスと、イチョウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、オリーブ葉エキス、セイヨウアカマツ球果エキス、メリアアザジラクタ葉エキス、又はハマメリス葉エキスとを含む場合は、ベニバナ花エキス由来の色素の退色が抑制されていること、また高温で長期保存した場合の変色が抑制されていることが目視観察により確認された。
【0189】
これに対し、試験例2の結果より、ベニバナ花エキスと、カルノシン又はピロ亜硫酸Naとを含む場合は、上記条件による強い光照射を行った場合のベニバナ花エキス由来の色素の退色を抑制することができなかった。特に、ピロ亜硫酸Naでは、逆に強い光照射を行った場合のベニバナ花エキス由来の色素の退色を促進する傾向が認められた。
【0190】
また、ベニバナ花エキスと、アスコルビルグルコシド又は2-O-エチルアスコルビン酸とを含む場合は、上記条件による高温で長期保存した場合のベニバナ花エキス由来の色素の退色を抑制することができなかった。
【0191】
(試験例3:ベニバナ色素に対するpHの作用)
試験例1で調製したベース処方に、クエン酸/CITRIC ACID(以下、「クエン酸」と記す。)及びクエン酸Na/SODIUM CITRATE(以下、「クエン酸Na」と記す。)、水酸化K/POTASSIUM HYDROXIDE(以下、「水酸化K」と記す。)、コハク酸/SUCCINIC ACID(以下、「コハク酸」と記す。)及びコハク酸2Na/DISODIUM SUCCINATE(以下、「コハク酸2Na」と記す。)、サリチル酸/SALICYLIC ACID(以下、「サリチル酸」と記す。)及びサリチル酸Na/SODIUM SALICYLATE(以下、「サリチル酸Na」と記す。)、又はリンゴ酸/MALIC ACID(以下、「リンゴ酸」と記す。)及びリンゴ酸Na/SODIUM MALATE(以下、「リンゴ酸Na」と記す。)を下記表3に示す添加量で添加して混合し、PET樹脂容器に充填した。それぞれ調製直後のものをコントロールとした。その後、各試験試料について、耐光性試験及び耐熱性試験を行った。なお、耐熱性試験は、熱退色抑制の評価のみを行った。結果は下記表3に示した。
【0192】
【表3】
【0193】
試験例3の結果より、アルカリ性、特にpH11以上では、耐光性及び耐熱性が得られないことが確認された。これに対し、弱酸性、特にpH2以上6以下では、耐光性及び耐熱性が得られた。この中でも、コハク酸及びコハク酸塩を使用した場合は、耐光性が特に良好であった。これに対し、サリチル酸及びサリチル酸塩を使用した場合は、弱酸性であっても耐光性が得られなかった。
【0194】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物を有効成分として含有することを特徴とするベニバナ色素の退色又は変色抑制剤である。
<2> コハク酸及びコハク酸塩の少なくともいずれかを更に含有する、前記<1>に記載のベニバナ色素の退色又は変色抑制剤である。
<3> 光照射又は加熱に対する退色又は変色抑制剤である、前記<1>から<2>のいずれかに記載のベニバナ色素の退色又は変色抑制剤である。
<4> ベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物の退色又は変色を抑制する方法であって、
前記ベニバナ色素と、イチョウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、オリーブ葉抽出物、マツ抽出物、メリアアザジラクタ抽出物、及びハマメリス抽出物からなる群より選択される少なくともいずれかの植物抽出物とを接触させることを特徴とするベニバナの色素の退色又は変色抑制方法である。
<5> (A)ベニバナ色素又は前記ベニバナ色素を含有する組成物と、
(B)前記<1>から<3>のいずれかに記載のベニバナ色素の退色又は変色抑制剤と、
を含有することを特徴とする組成物である。
<6> 化粧料である、前記<5>に記載の組成物である。
【0195】
以上の通り、本発明を具体的な実施形態及び実施例に基づいて説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものにすぎず、本発明は上記実施形態及び実施例により限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、付加、変更等を行うことが可能である。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。