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特開2024-95310光空間通信装置、光空間通信システムおよび光空間通信装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095310
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】光空間通信装置、光空間通信システムおよび光空間通信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/11 20130101AFI20240703BHJP
【FI】
H04B10/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212500
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋平
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA15
5K102AL11
5K102AL23
5K102LA06
5K102LA16
5K102LA24
5K102LA31
5K102LA38
5K102LA46
5K102LA52
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH22
5K102PB01
5K102PC11
5K102PH31
5K102RB02
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンパクトな構成によって複数の光空間通信リンクを構築する光空間通信装置、その制御方法及び光空間通信システムを提供する。
【解決手段】光空間通信装置(100)において、光送出ユニット(110)は、単一のレーザービームを出力する光源(111)と、レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段(112)と、を備える。通信制御手段(130)は、レーザービームにより複数の光空間通信リンクを(リンク1及びリンク2)構築するように光送出ユニット(110)を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光送出ユニットと、
通信制御手段と、を備え、
前記光送出ユニットは、
単一のレーザービームを出力する光源と、
前記光源が出力した前記レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記レーザービームにより複数の光空間通信リンクを構築するように前記光送出ユニットを制御する、光空間通信装置。
【請求項2】
前記通信制御手段は、前記単一のレーザービームを、互いに方向が異なる複数のレーザービームに分割するように前記光送出ユニットを制御する、請求項1に記載の光空間通信装置。
【請求項3】
前記光空間通信リンクを介して前記レーザービームを受信する光空間通信装置における当該レーザービームの受信パワーを取得する取得手段を更に備え、
前記通信制御手段は、前記受信パワーが設定値を上回るように、前記単一のレーザービームから前記複数のレーザービームへの分割割合、および、前記光源の出力の少なくとも一方を調整する、請求項2に記載の光空間通信装置。
【請求項4】
前記通信制御手段は、前記単一のレーザービームを、複数の方向のそれぞれに対して互いに異なるタイミングに送出するように前記光送出ユニットを制御する、請求項1に記載の光空間通信装置。
【請求項5】
前記通信制御手段は、前記複数の光空間通信リンクの少なくとも1つの光空間通信リンクを介して通信内容を送信し、前記複数の光空間通信リンクの他の光空間通信リンクを介して当該他の光空間通信リンクを維持するための制御信号を送信するように前記光送出ユニットを制御する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光空間通信装置。
【請求項6】
前記通信制御手段は、前記少なくとも1つの光空間通信リンクが遮断されたときに、前記他の光空間通信リンクを介して通信内容を送信するように前記光送出ユニットを制御する、請求項5に記載の光空間通信装置。
【請求項7】
前記通信制御手段は、前記複数の光空間通信リンクを介して、同一の通信内容をそれぞれ送信させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の光空間通信装置。
【請求項8】
前記通信制御手段は、前記複数の光空間通信リンクを介して、一つの通信内容を分割した通信内容部分をそれぞれ送信するように前記光送出ユニットを制御する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光空間通信装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光空間通信装置を3個以上備えた、光空間通信システム。
【請求項10】
光送出ユニットを備えた光空間通信装置の制御方法であって、
前記光送出ユニットは、
単一のレーザービームを出力する光源と、
前記光源が出力した前記レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段と、を備え、
前記レーザービームにより複数の光空間通信リンクを構築するように前記光送出ユニットを制御する通信制御処理を実行することを含む、光空間通信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光空間通信装置、光空間通信システムおよび光空間通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット、モバイルネットなどでのトラフィック増加は年率20~40%と顕著である。そのため、無線通信速度を飛躍的に向上し得る光空間通信(FSOC:Free-Space Optical Communications)を用いたネットワークの実用化が期待されている。
【0003】
光空間通信は、可視光線から赤外線までの波長の光波を用いた、自由空間を介する高速無線通信であり、近年、ファイバー通信に迫る通信速度を達成している。また、光空間通信では、細いビームを用いることにより、第三者による盗聴を困難にすることができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、光空間通信の実現技術の一例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-061267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光空間通信において、高信頼化を実現するために複数のリンク(接続)を構築する場合、光トランシーバなどの送信機構及び受信機構が、リンクの数だけ必要となる。そのため、装置の物理的な大きさが大きくなるという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、コンパクトな構成によって複数の光空間通信リンクを構築することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る光空間通信装置は、光送出ユニットと、通信制御手段と、を備え、前記光送出ユニットは、単一のレーザービームを出力する光源と、前記光源が出力した前記レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段と、を備え、前記通信制御手段は、前記レーザービームにより複数の光空間通信リンクを構築するように前記光送出ユニットを制御する。
【0009】
本発明の一態様に係る光空間通信装置の制御方法は、光送出ユニットを備えた光空間通信装置の制御方法であって、前記光送出ユニットは、単一のレーザービームを出力する光源と、前記光源が出力した前記レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段と、を備え、前記レーザービームにより複数の光空間通信リンクを構築するように前記光送出ユニットを制御する通信制御処理を実行することを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、コンパクトな構成によって複数の光空間通信リンクを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る光空間通信装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る光空間通信装置による通信制御処理の一例を示すフロー図である。
図3】本発明の実施形態2に係る光空間通信装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態2に係る光空間通信装置の光送出ユニットの構成例を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態2に係る光空間通信装置の光受信ユニットの構成例を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態2に係る光空間通信システムの概略構成の一例を説明する模式図である。
図7】本発明の実施形態2に係る光空間通信装置におけるリンクの切り替え制御の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態2に係る光空間通信装置におけるリンクの切り替え制御の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2に係る光空間通信リンクを介して送信される信号の一例を説明する模式図である。
図10】本発明の実施形態2に係る光空間通信リンクを介して送信される信号の他の例を説明する模式図である。
図11】本発明の実施形態2に係る光空間通信装置における通信制御の一例を説明する模式図である。
図12】光空間通信装置による光軸合わせの一例を説明する模式図である。
図13】光空間通信装置による光軸合わせの一例を説明する模式図である。
図14】本発明の実施形態3に係る光空間通信システムの概略構成の一例を説明する模式図である。
図15】本発明の実施形態4に係る光空間通信システムの概略構成の一例を説明する模式図である。
図16】コンピュータの構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
(光空間通信装置の構成)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置100の構成について、図1を参照して説明する。図1は、光空間通信装置100の構成を示すブロック図である。光空間通信装置100は光空間通信を行う通信装置である。光空間通信とは、空間を伝搬する光を用いた通信である。光空間通信に用いられる光には、ミリ波、サブミリ波、赤外光、可視光、紫外光等が含まれ得る。
【0014】
図1では、光空間通信装置100が構築する光空間通信リンクとして、リンク1およびリンク2を示しているが、本実施形態はこれに限定されず、光空間通信装置100は、複数の光空間通信リンクを構築することができる。なお、光空間通信リンクの構築とは、光空間通信装置同士が光空間通信が可能な状態(接続状態)になることを意味している。光空間通信リンクを介して通信内容が送信されている状態も、通信内容の送信はなく、光空間通信リンクが構築されているだけの状態もあり得る。また、光空間通信リンクは、双方向に通信が可能な状態であってもよいし、一方向に通信が可能な状態であってもよい。
【0015】
光空間通信装置100は、レーザービームを送出する光送出ユニット110、および、光送出ユニット110を制御する通信制御手段130を備えている。光送出ユニット110は、光源111、および、送出方向制御手段112を備えている。
【0016】
光源111は、単一のレーザービームを出力する。当該レーザービームは、光空間通信のための通信光となる。光源111が出力したレーザービームは、送出方向制御手段112に入射する。
【0017】
送出方向制御手段112は、光源111が出力したレーザービームの送出方向を制御する。本明細書において、「レーザービームの送出方向を制御する」とは、レーザービームの少なくとも一部の送出方向を制御することを含み、レーザービームの一部を、レーザービームの他の一部と異なる方向に送出することを含む。換言すれば、送出方向制御手段112は、レーザービーム全体の方向を制御するだけでなく、レーザービームを分割して互いに異なる方向に送出される複数のレーザービームとすることもできる。
【0018】
一態様において、送出方向制御手段112は、例えば、強誘電性液晶、ホモジーニアス液晶、垂直配向液晶などによって実現され得る。このような送出方向制御手段112の一例は、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)デバイスである。このような送出方向制御手段112は、光源111から出力された単一のレーザービームが入射する複数の受光領域を有しており、フラウンフォーファー回折が生じるようになっている。通信制御手段130は、各受光領域に印加する電圧を制御することにより、受光領域の屈折率を制御することができる。これにより、通信制御手段130は、受光領域間に屈折率の差を発生させて、光源111から送出方向制御手段112に入射された単一のレーザービームを適宜に回折させることができる。これにより、送出方向制御手段112は、光源111が出力したレーザービームの方向を制御することができる。また、送出方向制御手段112は、光源111が出力したレーザービームを複数のレーザービームに分割して、互いに異なる方向に出射することができる。また、他の態様において、送出方向制御手段112は、例えば、各々が傾きを制御可能な多数の微小なミラーによって実現されてもよい。
【0019】
光送出ユニット110は、その他、レンズやフィルターなどを備えていてもよい。
【0020】
通信制御手段130は、レーザービームにより複数の光空間通信リンクを構築するように光送出ユニット110を制御する。一態様において、通信制御手段130は、送出方向制御手段112を制御して、光源111が出力した単一のレーザービームを分割して複数のレーザービームとし、複数の光空間通信装置のそれぞれに対して送出することにより、複数の光空間通信リンクを構築してもよい。他の態様において、通信制御手段130は、送出方向制御手段112を制御して、光源111が出力した単一のレーザービームを複数の光空間通信装置のそれぞれに対して異なるタイミングにおいて送出することにより、複数の光空間通信リンクを構築してもよい。
【0021】
以上のように、本例示的実施形態に係る光空間通信装置100においては、単一のレーザービームを出力する光源111および当該レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段112を用いて、複数の光空間通信リンクを構築することができる。これにより、コンパクトな構成によって複数の光空間通信リンクを構築することができるという効果が得られる。
【0022】
(光空間通信装置の制御方法の流れ)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置の制御方法の流れについて、図2を参照して説明する。本例示的実施形態に係る光空間通信装置の制御方法では、通信制御処理を実行する。
【0023】
図2は、光空間通信装置100による通信制御処理の一例を示すフロー図である。ステップS1において、通信制御手段130は、光送出ユニット110(光源111および送出方向制御手段112)を制御する。そして、ステップS2において、通信制御手段130は、複数の光空間通信リンクを構築する。一態様において、通信制御手段130は、送出方向制御手段112を制御して、光源111が出力した単一のレーザービームを分割して複数のレーザービームとし、複数の光空間通信装置のそれぞれに対して送出することにより、複数の光空間通信リンクを構築してもよい。他の態様において、通信制御手段130は、送出方向制御手段112を制御して、光源111が出力した単一のレーザービームを複数の光空間通信装置のそれぞれに対して異なるタイミングにおいて送出することにより、複数の光空間通信リンクを構築してもよい。
【0024】
以上のように、本例示的実施形態に係る光空間通信装置の制御方法においては、単一のレーザービームを出力する光源111および当該レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段112を用いて、複数の光空間通信リンクを構築することができる。これにより、コンパクトな構成によって複数の光空間通信リンクを構築することができるという効果が得られる。
【0025】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0026】
図3は、本例示的実施形態に係る光空間通信装置100の構成を示すブロック図である。光空間通信装置100は、光送出ユニット110、光受信ユニット120および通信制御手段130を備えている。光送出ユニット110は、光源111および送出方向制御手段112を備えている。光受信ユニット120は、受光手段121を備えている。通信制御手段130は、光送出ユニット110および光受信ユニット120を制御する。
【0027】
図4は、光送出ユニット110の構成例を示す模式図である。図4に示すように、光源111から出力されたレーザービームLBは、送出方向制御手段112に入射し、送出方向制御手段112によってレーザービームLBが分割され、分割されたレーザービームLBが、光送出ユニット110から互いに異なる方向に送出される。光源111および送出方向制御手段112は、通信制御手段130によって制御される。なお、送出方向制御手段112は、レーザービームLBを分割せずに方向を調整してもよい。
【0028】
図5は、光受信ユニット120の構成例を示す模式図である。図5に示すように、受光手段121は、集光レンズ121a、受光素子121bおよび受信回路121cを備えている。光空間通信リンク先からのレーザービームLBは、集光レンズ121aによって集光され、受光素子121bによって受光される。そして、受信回路121cによって、受光素子121bが受光したレーザービームLBが検出される。受信回路121cの検出結果は、通信制御手段130に提供される。
【0029】
(複数の光空間通信リンクによるリンクプロテクション)
本実施形態では、複数の通信リンクによっていわゆるリンクプロテクションを実現する構成について説明する。図6は、本例示的実施形態に係る光空間通信システム1の概略構成の一例を説明する模式図である。光空間通信システム1は、複数の光空間通信装置(100、200、300、400)を備えている。なお、光空間通信システム1に含まれる光空間通信装置の数は特に限定されず、3個以上であれば特に限定されない。以下では、光空間通信装置100が関与する光空間通信リンクについてのみ説明する。
【0030】
光空間通信装置100は、光空間通信装置200との間にリンク1を構築しており、光空間通信装置300との間にリンク2を構築している。本実施形態において、光空間通信装置100は、複数のリンク1およびリンク2を構築することにより、いわゆるリンクプロテクションを実現し、高信頼性を獲得している。すなわち、リンク1は、通信に使用するプライマリリンクであり、リンク2は、リンク1が遮断されたときに使用するスタンバイリンクである。リンク2が構築されていることにより、高信頼性を獲得することができる。例えば、光空間通信装置100は、リンク1が遮断された場合であっても、リンク2を介して、光空間通信装置400に所定の通信内容を送信することができる。
【0031】
プライマリリンクであるリンク1では、光空間通信リンクを維持するための制御信号(キープアライブ信号およびその応答信号)が送受信されるとともに、所望の通信内容を含むデータ信号が送信される。スタンバイリンクであるリンク2では、光空間通信リンクを維持するための制御信号(キープアライブ信号およびその応答信号)が送受信される。
【0032】
光空間通信リンクを維持するための制御信号は、光空間通信リンクが構築されている状態、換言すれば、当該光空間通信リンクを介して通信可能な状態であることを確認するために送受信される信号であり、キープアライブ信号(リンク持続信号)およびその応答信号によって構成される。すなわち、光空間通信リンクを構成する一方の光空間通信装置から他方の光空間通信装置にキープアライブ信号が送信され、キープアライブ信号を受信した当該他方の光空間通信装置から当該一方の光空間通信装置に応答信号が送信されることによって、当該光空間通信リンクが構築されている状態であることを両光空間通信装置が認識することができる。なお、応答信号については、光空間通信リンクを介さずに、別の通信経路を介して送受信されてもよい。また、キープアライブ信号の送信タイミングは特に限定されないが、例えば、所定の周期で送信するものとしてよい。
【0033】
光空間通信装置100の通信制御手段130は、光送出ユニット110を制御して、複数の光空間通信リンク(図6の例では、リンク1およびリンク2)の少なくとも1つの光空間通信リンク(図6の例では、リンク1)を介して通信内容を送信し、複数の光空間通信リンクの他の光空間通信リンク(図6の例では、リンク2)を介して当該他の光空間通信リンクを維持するための制御信号を送信する。また、光空間通信装置100の通信制御手段130は、光送出ユニット110を制御して、上述の少なくとも1つの光空間通信リンク(図6の例では、リンク1)を介して当該少なくとも1つの光空間通信リンクを維持するための制御信号を送信してもよい。これにより、光空間通信装置100は、リンクプロテクションを実現するための複数の光空間通信リンクを構築することができる。
【0034】
また、通信制御手段130は、少なくとも1つの光空間通信リンクが遮断されたときに、他の光空間通信リンクを介して通信内容を送信するように光送出ユニット110を制御する。図7および図8は、光空間通信装置100によるリンクの切り替え制御の一例を示すフローチャートである。例えば、新たな通信を開始するタイミングや、通信中の任意のタイミング、通信が停止しているタイミング等において、処理が開始される(ステップS11)。
【0035】
通信制御手段130は、プライマリリンク(図6に示す例では、リンク1)が導通しているか(プライマリリンクが構築されている状態)か否かを判定する(ステップS12)。当該判定は、例えば、プライマリリンクを介したデータ信号の送信の成否、プライマリリンクを介したキープアライブ信号の送信に対する応答信号の受信の成否などに基づいて行なうことができる。
【0036】
プライマリリンクが導通している場合(ステップS12においてYes)、通信制御手段130は、スタンバイリンク(図6に示す例では、リンク2)が導通しているか(スタンバイリンクが構築されている状態)か否かを判定する(ステップS13)。当該判定は、例えば、スタンバイリンクを介したキープアライブ信号の送信に対する応答信号の受信の成否などに基づいて行なうことができる。スタンバイリンクが導通している場合(ステップS13においてYes)、処理を完了する(ステップS14)。
【0037】
一方、プライマリリンクが導通していない場合(ステップS12においてNo)、通信制御手段130は、プライマリリンクをスタンバイリンクに変更し、冗長リンク組の決定処理を実行する(ステップS20)。また、スタンバイリンクが導通していない場合(ステップS13においてNo)、通信制御手段130は、冗長リンク組の決定処理を実行する(ステップS20)。
【0038】
ステップS20は、ステップS21~S25を含む。冗長リンク組の決定処理が開始されると(ステップS21)、通信制御手段130は、構築している複数の光空間通信リンクの中からプライマリリンクを選択し(ステップS22)、選択したプライマリリンク以外の光空間通信リンクからスタンバイリンクを選択する(ステップS23)。
【0039】
そして、通信制御手段130は、選択したプライマリリンクおよびスタンバイリンクを用いて通信が可能か否かを判定する(ステップS24)。選択したプライマリリンクおよびスタンバイリンクを用いて通信が可能な場合(ステップS24のYes)、冗長リンク組の決定処理を終了する(ステップS25)。選択したプライマリリンクおよびスタンバイリンクを用いて通信ができない場合(ステップS24のNo)、ステップS23に戻り、スタンバイリンクを再選択する。なおこのとき、ステップS22に戻り、プライマリリンクを再選択してもよい。
【0040】
(複数の光空間通信リンクの分割方法)
一態様において、光空間通信装置100は、複数の光空間通信リンクの構築を、空間分割により実現してもよい。すなわち、通信制御手段130は、単一のレーザービームを、互いに方向が異なる複数のレーザービームに分割するように光送出ユニット110を制御することにより、複数の光空間通信装置との光空間通信リンクを構築してもよい。
【0041】
例えば、通信制御手段130は、光源111に以下のような単一のレーザービームを出力させる:単一のレーザービームのうち、送出方向制御手段112の第1の受光領域に入射する部分には、リンク1との通信内容が重畳されており、送出方向制御手段112の第2の受光領域に入射する部分には、リンク2との通信内容が重畳されている。そして、通信制御手段130は、送出方向制御手段112に、単一のレーザービームを分割させ、第1の受光領域に入射したレーザービームを、リンク1に送出されるレーザービームとし、第2の受光領域に入射したレーザービームを、リンク2に送出されるレーザービームとさせる。これにより、空間分割を実現することができる。
【0042】
図9は、空間分割により構築した複数の光空間通信リンクを介して送信される信号の一例を示す模式図である。図9に示すように、所定の周期において、プライマリリンクおよびスタンバイリンクにおいて、キープアライブ信号(図9に示す「Hello」)が送信されるとともに、キープアライブ信号とはずらして、プライマリリンクにおいて、データ信号が送信される。
【0043】
他の一態様において、光空間通信装置100は、複数の光空間通信リンクの構築を、時間分割により実現してもよい。すなわち、通信制御手段130は、単一のレーザービームを、複数の方向のそれぞれに対して互いに異なるタイミングに送出するように光送出ユニット110を制御することにより、複数の光空間通信装置との光空間通信リンクを構築してもよい。
【0044】
例えば、通信制御手段130は、光源111に以下のような単一のレーザービームを出力させる:単一のレーザービームには、第1の期間においてリンク1との通信内容が重畳されており、第1の期間と異なる第2の期間においてリンク2との通信内容が重畳されている。そして、通信制御手段130は、送出方向制御手段112に、単一のレーザービームを、第1の期間においてリンク1に送出させ、第2の期間においてリンク2に送出させる。これにより、時間分割(空間および時間分割)を実現することができる。
【0045】
図10は、時間分割により構築した複数の光空間通信リンクを介して送信される信号の一例を示す模式図である。図10に示すように、所定の周期において、プライマリリンクのキープアライブ信号が送信され、プライマリリンクのキープアライブ信号とはずらして、スタンバイリンクのキープアライブ信号が送信され、いずれのキープアライブ信号ともずらして、プライマリリンクにおいてデータ信号が送信される。
【0046】
なお、リンク1およびリンク2を介して送信されるレーザービームの周波数は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0047】
一態様において、光空間通信装置100の通信制御手段(取得手段)130は、各光空間通信リンク(図6に示す例では、リンク1、リンク2)を介して、光空間通信装置100が送出したレーザービームを受信する光空間通信装置(図6に示す例では、光空間通信装置200、光空間通信装置300)における当該レーザービームの受信パワーを取得してもよい。通信制御手段130は、光空間通信リンクを介して、各光空間通信装置における受信パワーを取得してもよいし、図示しない別の通信手段を介して各光空間通信装置における受信パワーを取得してもよい。
【0048】
そして、上述した空間分割を行なう場合、通信制御手段130は、取得した各光空間通信装置の受信パワーがそれぞれ設定値を上回るように、光源111が出力した単一のレーザービームから複数のレーザービームへの分割割合、および、光源111の出力の少なくとも一方を調整してもよい。
【0049】
図11は、光空間通信装置iとの間にプライマリリンクであるリンクiを構築し、光空間通信装置jとの間にスタンバイリンクであるリンクjを構築している光空間通信装置kを示す模式図である。
【0050】
光空間通信装置kがリンクiに送出するレーザービームの送信パワーをbとし、光空間通信装置iが受信する受信パワーをlとする。また、光空間通信装置kがリンクjに送出するレーザービームの送信パワーをbとし、光空間通信装置jが受信する受信パワーをlとする。また、リンクiにおけるパスロス(光空間通信装置間の経路において生じるレーザービームの損失)をpとし、リンクiにおけるパスロスをpとする。
【0051】
このとき、b、l、pの間には、l=b-pの関係が成立する。また、b、l、pの間には、l=b-pの関係が成立する。また、レーザービームを有効に受信できる最低限の光受信パワーとして設定された設定値をlminとすると、l>lminおよびl>lminを満たしていなければならない。通信制御手段130は、このような式を満たすように、bおよびbを調整する。bおよびbは、光源111が出力した単一のレーザービームから複数のレーザービームへの分割割合、および、光源111の出力によって決定されるため、通信制御手段130は、当該分割割合および当該出力の少なくとも一方を調整すればよい。
【0052】
また、図11において、プライマリリンクのリンクiを構成するレーザービームを表す直線と、スタンバイリンクのリンクjを構成するレーザービームを表す直線がなす角度をθと表す。リンクjを構成するレーザービームは、リンクiを構成するレーザービームから角度θだけ傾いた方向に送出されたことによって、リンクiを構成するレーザービームと比較して、θの関数であるs(θ)だけ光送信パワーが弱まる。このs(θ)をビームステアロス関数と呼ぶことにする。このとき、l=b×s(θ)-pの関係が成立する。
【0053】
上記のs(θ)は、θが小さいとき、cos(θ)と近似できる。従って、l=b×s(θ)-pの関係は、リンクjを構成するレーザービームのリンクiを構成するレーザービームに対する角度が大きくなるほど、光送信パワーが小さくなることを意味する。
【0054】
したがって、プライマリリンクのリンクiを確定した後に、スタンバイリンクのリンクjを探す方法として、θを小さくするjを探す方法と、θを大きくするjを探す方法の2つがある。前者にはビームロスが少なくできるという利点がある。後者には空間分割通信を行う際に、スタンバイリンクのリンクjをプライマリリンクのリンクiと区別しやすくなるという利点がある。空間分割通信を行う際の探索方法の一例として、まず前者の方法で探索を行い、スタンバイリンクの発見が困難な場合、後者の方法に切り替える方法が挙げられる。
【0055】
(光軸合わせ)
一態様において、光空間通信リンクの構築は、光空間通信リンク先の光空間通信装置と光軸合わせを行なうことを含む。光軸合わせとは、少なくとも、一方の光空間通信装置の光送出ユニットの光軸と、他方の光空間通信装置の光受信ユニットの光軸とを一致させることを指し、さらに、当該一方の光空間通信装置の光受信ユニットの光軸と、他方の光空間通信装置の光送出ユニットの光軸とを一致させてもよい。
【0056】
図12および図13は、光空間通信装置による光軸合わせの一例を説明する模式図である。以下では、一例として、光空間通信装置100がスキャンを行い、光空間通信リンク先の光空間通信装置200との光軸合わせを行う流れについて説明するが、任意の光空間通信装置間の光軸合わせも同様に行うことができる。なお、「スキャン」は、「サーチ」と言い換えてもよい。また、光空間通信装置100の光軸合わせは、通信制御手段130によって制御される。
【0057】
通信制御手段130は、光源111に光軸合わせ用のレーザービームLB1を出力させるとともに、送出方向制御手段112にレーザービームLB1の送出方向を変化させる(スキャン)。そして、光空間通信装置100から正しい方向に送出されたレーザービームLB1が、光空間通信装置200によって受光される。
【0058】
レーザービームLB1には、光空間通信装置100を特定する識別情報と、どの方向に送出されたのかの方向情報(方位角、仰角及び俯角)が重畳されている。
【0059】
光空間通信装置200が、レーザービームLB1を受光できた場合、すなわち光空間通信装置100と光空間通信装置200との光軸が一致した場合、光空間通信装置200は、レーザービームLB1に含まれる識別情報および方向情報を取得し、光空間通信装置100の方向を特定する。また、光空間通信装置200は、レーザービームLB1の減衰に基づき、光空間通信装置100までの距離を特定してもよい。これにより、光空間通信装置200は、光空間通信装置100の相対的な位置を特定することができる。
【0060】
そして、図13に示すように、光空間通信装置200は、光空間通信装置100に向けて光軸合わせ用のレーザービームLB2を出光する。レーザービームLB2には、光空間通信装置200を特定する識別情報と、レーザービームLB1から取得した方向情報と、光空間通信装置200が特定した光空間通信装置100までの距離情報が含まれている。受光手段121がレーザービームLB2を受光すると、通信制御手段130は、レーザービームLB2に含まれる識別情報、方向情報および距離情報を取得し、光空間通信装置200の方向および距離を特定し、光空間通信装置200の相対的な位置を特定することができる。以上により、光軸合わせが完了する。
【0061】
これにより、通信制御手段130は、光空間通信装置200(光空間通信リンク先)と光空間通信可能な送出方向を検出することができ、光空間通信リンク先に向けてレーザービームを送出することが可能な状態となる。
【0062】
〔例示的実施形態3〕
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1または2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0063】
(複数の光空間通信リンクによるリンク冗長化)
本実施形態では、複数の通信リンクによっていわゆるリンク冗長化を実現する構成について説明する。図14は、本例示的実施形態に係る光空間通信システム1の概略構成の一例を説明する模式図である。
【0064】
光空間通信装置100は、光空間通信装置200との間にリンク1を構築しており、光空間通信装置300との間にリンク2を構築している。本実施形態において、光空間通信装置100は、複数のリンク1およびリンク2を構築し、通信制御手段130が、複数の光空間通信リンクを介して、同一の通信内容をそれぞれ送信させることによって、いわゆるリンク冗長化を実現し、高信頼性を獲得している。すなわち、リンク1およびリンク2を介して同一の通信内容を送信させることによって、リンク1およびリンク2のいずれが遮断されても通信を継続することができる。
【0065】
リンク1およびリンク2では、光空間通信リンクを維持するための制御信号(キープアライブ信号およびその応答信号)が送受信されるとともに、所望の通信内容を含むデータ信号が送信される。
【0066】
〔例示的実施形態4〕
本発明の第4の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1または2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0067】
(複数の光空間通信リンクによるリンクアグリゲーション)
本実施形態では、複数の通信リンクによっていわゆるリンクアグリゲーションを実現する構成について説明する。図15は、本例示的実施形態に係る光空間通信システム1の概略構成の一例を説明する模式図である。
【0068】
光空間通信装置100は、光空間通信装置200との間にリンク1を構築しており、光空間通信装置300との間にリンク2を構築している。本実施形態において、光空間通信装置100は、複数のリンク1およびリンク2を構築し、通信制御手段130が、複数の光空間通信リンクを介して、一つの通信内容を分割した通信内容部分をそれぞれ送信させることによって、いわゆるリンクアグリゲーションを実現し、高スループットを獲得している。すなわち、リンク1およびリンク2を介して一つの通信内容を分割した通信内容部分(部分データ信号)をそれぞれ送信させ、例えば、光空間通信装置400において結合することによって、光空間通信装置100と光空間通信装置400との間のスループットを向上させることができる。
【0069】
〔ソフトウェアによる実現例〕
光空間通信装置100の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0070】
後者の場合、光空間通信装置100は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図16に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを光空間通信装置100として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、光空間通信装置100の各機能が実現される。
【0071】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0072】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0073】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0074】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0075】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0076】
(付記1)
光送出ユニットと、
通信制御手段と、を備え、
前記光送出ユニットは、
単一のレーザービームを出力する光源と、
前記光源が出力した前記レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記レーザービームにより複数の光空間通信リンクを構築するように前記光送出ユニットを制御する、光空間通信装置。
【0077】
(付記2)
前記通信制御手段は、前記単一のレーザービームを、互いに方向が異なる複数のレーザービームに分割するように前記光送出ユニットを制御する、付記1に記載の光空間通信装置。
【0078】
(付記3)
前記光空間通信リンクを介して前記レーザービームを受信する光空間通信装置における当該レーザービームの受信パワーを取得する取得手段を更に備え、
前記通信制御手段は、前記受信パワーが設定値を上回るように、前記単一のレーザービームから前記複数のレーザービームへの分割割合、および、前記光源の出力の少なくとも一方を調整する、付記2に記載の光空間通信装置。
【0079】
(付記4)
前記通信制御手段は、前記単一のレーザービームを、複数の方向のそれぞれに対して互いに異なるタイミングに送出するように前記光送出ユニットを制御する、付記1に記載の光空間通信装置。
【0080】
(付記5)
前記通信制御手段は、前記複数の光空間通信リンクの少なくとも1つの光空間通信リンクを介して通信内容を送信し、前記複数の光空間通信リンクの他の光空間通信リンクを介して当該他の光空間通信リンクを維持するための制御信号を送信するように前記光送出ユニットを制御する、付記1~4のいずれか一つに記載の光空間通信装置。
【0081】
(付記6)
前記通信制御手段は、前記少なくとも1つの光空間通信リンクが遮断されたときに、前記他の光空間通信リンクを介して通信内容を送信するように前記光送出ユニットを制御する、付記5に記載の光空間通信装置。
【0082】
(付記7)
前記通信制御手段は、前記複数の光空間通信リンクを介して、同一の通信内容をそれぞれ送信させる、付記1~4のいずれか一つに記載の光空間通信装置。
【0083】
(付記8)
前記通信制御手段は、前記複数の光空間通信リンクを介して、一つの通信内容を分割した通信内容部分をそれぞれ送信するように前記光送出ユニットを制御する、付記1~4のいずれか一つに記載の光空間通信装置。
【0084】
(付記9)
付記1~8のいずれか一つに記載の光空間通信装置を3個以上備えた、光空間通信システム。
【0085】
(付記10)
光送出ユニットを備えた光空間通信装置の制御方法であって、
前記光送出ユニットは、
単一のレーザービームを出力する光源と、
前記光源が出力した前記レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段と、を備え、
前記レーザービームにより複数の光空間通信リンクを構築するように前記光送出ユニットを制御する通信制御処理を実行することを含む、光空間通信装置の制御方法。
【0086】
(付記11)
光送出ユニットと、
少なくとも1つのプロセッサとを備え、
前記光送出ユニットは、
単一のレーザービームを出力する光源と、
前記光源が出力した前記レーザービームの送出方向を制御する送出方向制御手段と、を備え、
前記プロセッサは、前記レーザービームにより複数の光空間通信リンクを構築するように前記光送出ユニットを制御する通信制御処理を実行する、光空間通信装置。
【0087】
なお、この光空間通信装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記通信制御処理を前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
100、200、300、400 光空間通信装置
110 光送出ユニット
111 光源
112 送出方向制御手段
130 通信制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16