(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095312
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】輸液ポンプ用検知器及び輸液ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A61M5/168 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212510
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉川 治
(72)【発明者】
【氏名】大内 輝彦
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD17
4C066QQ82
4C066QQ85
(57)【要約】
【課題】輸液チューブ内の所定以上の大きさの気泡のみを検知できる技術を提供する。
【解決手段】輸液剤を生体に送るための輸液用チューブ(20)内の気泡を検知するための輸液ポンプ用検知器(11)は、チューブ(20)が配置される配置部(111)と、配置部(111)に隣接して設けられた、少なくとも1つの第1の電極(112)及び第2の電極(113)と、第1の電極(112)及び第2の電極(113)を用いて、チューブ(20)を介した静電容量の変化を検出する検出部(114)と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液剤を生体に送るための輸液用チューブ内の気泡を検知するための輸液ポンプ用検知器であり、
前記チューブが配置される配置部と、
前記配置部に隣接して設けられた、少なくとも1つの第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極を用いて、前記チューブを介した静電容量の変化を検出する検出部と、
を備えている、輸液ポンプ用検知器。
【請求項2】
前記検出部は、自己容量方式又は相互容量方式の回路を備える、請求項1に記載の輸液ポンプ用検知器。
【請求項3】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記配置部に配置されるチューブを挟んで互いに対向するように配置される、請求項1に記載の輸液ポンプ用検知器。
【請求項4】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記配置部に配置されるチューブの延伸方向に沿って並行に配置される、請求項1に記載の輸液ポンプ用検知器。
【請求項5】
前記第1の電極が、前記配置部に配置されるチューブの延伸方向に沿って異なる位置に対応する位置に複数個配置され、
前記検出部は、前記チューブを介して前記第1の電極に表れる前記静電容量の変化を、複数個の前記第1の電極のそれぞれについて検出する、請求項1に記載の輸液ポンプ用検知器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の輸液ポンプ用検知器と、
輸液用チューブの外側から圧力をかけることによって、当該チューブ内の輸液を圧送するための圧送機構と、
前記輸液ポンプ用検知器が検出した静電容量の変化が閾値以上である場合に、警告を発する警告部と、
を備えている、輸液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液ポンプ用検知器及び輸液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
輸液チューブを用いて輸液剤を生体に送るために、輸液ポンプが用いられる。安全に送液を行うために、輸液チューブ内の気泡を検知することが求められる。
【0003】
特許文献1には、超音波センサによって、輸液ポンプに装着された輸液チューブ内に気泡が存在しているか否かを検知する技術が記載されている。特許文献1に記載の技術では、超音波センサよりも下流側における輸液チューブの流路を、超音波センサにより輸液チューブの流路を狭くしている部分よりも狭くすることで、薬液の液切れ部分の滞留現象を超音波センサの下流側で発生させている。これにより、超音波センサにより輸液チューブの流路を狭くしている部分内には薬液の一部を残さないようにして、超音波センサが、輸液チューブ内に気泡があるにもかかわらず、気泡が無いと誤検出を起こすことを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波センサは検出分解能が高いため、チューブ内に付着した微小な気泡を、完全に輸液が終了した場合に流れてくる空気溜まりとして誤検知するという問題がある。微小な気泡の誤検知による昼夜を問わない空液検知アラームの誤作動は、在宅中心静脈栄養療法を実施している患者の生活の質(quality of life:QOL)を下げる要因となる。このような場合、対症対策として、空液検知アラームが発生する度に手動で気泡を除去する対応がなされている。
【0006】
特許文献1の技術は、前述の問題を解決することができない。むしろ、特許文献1の技術は、輸液チューブの流路径を変えることによって、チューブ内面の濡れ性の問題によりチューブ内に乱流が発生し、淀みが生じることで、チューブ内に微小な気泡を発生・付着させてしまう。
【0007】
このように、輸液チューブ内の気泡を検知するために超音波センサを用いる従来技術には、改善の余地がある。
【0008】
本開示の一態様は、輸液チューブ内の所定以上の大きさの気泡のみを検知できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る輸液ポンプ用検知器は、輸液剤を生体に送るための輸液用チューブ内の気泡を検知するための輸液ポンプ用検知器であり、前記チューブが配置される配置部と、前記配置部に隣接して設けられた、少なくとも1つの第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極を用いて、前記チューブを介した静電容量の変化を検出する検出部と、を備えている構成である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、輸液チューブ内の所定以上の大きさの気泡のみを検知できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態1に係る輸液システムの構成を示す模式図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係る輸液システムが備える検知器の概略の構成を、検知器の配置部に配置された輸液用チューブと共に示す図である。
【
図3】本開示の実施形態1に係る輸液システムが備える輸液用チューブの概略の構成を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態1に係る輸液システムが備える検知器の変形例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態1に係る輸液システムが備える検知器の変形例を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態1に係る輸液システムが備える検知器の変形例を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態2に係る輸液システムが備える検知器の概略の構成を、検知器の配置部に配置されたチューブと共に示す図である。
【
図8】本開示の実施形態2に係る輸液システムが備える検知器の変形例を示す図である。
【
図9】第2の電極と複数個の第1の電極とを並行式に配置する場合の配置例を示す図である。
【
図10】第2の電極と複数個の第1の電極とを並行式に配置する場合の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0013】
(輸液システム1の概要)
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る輸液システム1の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る輸液システム1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、輸液システム1は、輸液ポンプ10と、輸液ポンプ10に装着される輸液用チューブ20(以下、「チューブ20」と略記する場合がある)とを備えている。図中のZ軸方向は輸液ポンプ10の前後方向であり、X軸方向は輸液ポンプ10の左右方向であり、Y軸方向は輸液ポンプ10の上下方向である。
【0014】
輸液ポンプ10は、チューブ20内の気泡を検知するための輸液ポンプ用検知器11(以下、「検知器11」と略記する場合がある)と、チューブ20の外側から圧力をかけることによって、チューブ20内の輸液を圧送するためのローラポンプのローター12と、チューブ20が装着されるチューブ装着部カセット13と、検知器11の検出結果に基づき警告を発する警告ランプ14と、を備えている。さらに、輸液ポンプ10の前面には、検知器11、ローター12及びチューブ装着部カセット13を覆う蓋部材15が、開閉可能に取り付けられている。輸液ポンプ10には、輸液開始停止スイッチ、蓋部材15の開閉ボタン、輸液の送液速度などの各種情報が表示される表示部などが必要に応じて設けられていてもよい。
【0015】
本実施形態に係る輸液システム1によれば、輸液ポンプ10の検知器11が、チューブ20を介した静電容量の変化を検出することで、チューブ20内の微小な気泡は検知せずに、所定以上の大きさの気泡のみを精度良く検知することができる。チューブ20内に液体が満たされている状態と、空気が満たされている状態とでは、静電容量が著しく異なるため、静電容量式のセンサは、所定以上の大きさの気泡を確実に捉えることができる。一方で、静電容量式のセンサの分解能は超音波センサの分解能よりも低いため、微小な気泡は捉えにくい。従って、輸液システム1によれば、チューブ20内の微小な気泡を、完全に輸液が終了した場合に流れてくる空気溜まりと誤検知するという、超音波センサを用いた従来の気泡検知技術の問題点を解決することができる。
【0016】
チューブ20内の微小な気泡の誤検知による空液検知アラームの誤作動を防ぐことは、例えば在宅中心静脈栄養療法を実施している患者などの、輸液ポンプを用いた処置を受けている患者のQOLを向上させることに寄与する。そのような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成にも貢献するものである。
【0017】
ここで、検知器11が検知することができる気泡の大きさは、検知器11の静電容量の読み取り感度、電極の大きさなどを調整することによって適宜変更することができる。また、マイクロコンピュータ等の計時手段によって、検知器11が検出するチューブ20を介した静電容量の変化を計時することで、所定の大きさの気泡が3秒以上、好ましくは5秒以上持続していることを検知することができる。輸液ポンプによる輸液の送液速度は、設定された一定の速度なので、気泡の持続時間により、気泡の長さ(チューブ20の延伸方向の大きさ)も検出することができる。
【0018】
(検知器11)
続いて、
図2を参照して本実施形態に係る検知器11の構成について説明する。
図2は、輸液システム1が備える検知器11の概略の構成を、検知器11の配置部111に配置されたチューブ20と共に示す図である。検知器11は、チューブ20を介した静電容量の変化を、第1の電極112及び第2の電極113を用いて検出するセンサである。
図2に示すように、検知器11は、配置部111と、第1の電極112及び第2の電極113と、回路(検出部)114と、を備えている。
図2では、一例として、回路114が自己容量(セルフキャパシタンス)方式の回路である場合の検知器11の概略の構成を示している。
【0019】
図2に示すように、配置部111には、チューブ20が配置される。第1の電極112及び第2の電極113は、配置部111に隣接して設けられている。回路114は、第1の電極112及び第2の電極113を用いて、チューブ20を介した静電容量の変化を検出するための回路である。
【0020】
(第1の電極112及び第2の電極113)
本実施形態に係る検知器11は、第1の電極112及び第2の電極113を、それぞれ1つずつ備えている。静電容量の読取方式が自己容量方式である場合、第1の電極112は、電荷を与える電極と電荷を読み取る電極との両方を兼ねている。また、第2の電極113は、グランド電極である。
【0021】
第1の電極112及び第2の電極113を用いてチューブ20を介した静電容量の変化を検出することにより、第1の電極112のみを用いて静電容量を検出する場合と比較して、検出する際におけるグランド電位の変動あるいは外部からの電気的ノイズの影響が低減され、S/N比が向上するので、チューブ20内の気泡が第1の電極112及び第2の電極113を通過したときに回路114から出力される電圧の変化が明確になる。このため、本実施形態に係る検知器11は、チューブ20内の気泡が第1の電極112及び第2の電極113を通過したときの静電容量の変化をはっきりと捉えることができる。さらに、本実施形態に係る検知器11は、第1の電極112及び第2の電極113を備えることにより、第1の電極112からの漏洩電流によるミクロショック発生のリスクを回避することができる。
【0022】
図2に示すとおり、第1の電極112及び第2の電極113は、配置部111に隣接して設けられている。検知器11は、第1の電極112及び第2の電極113を用いてチューブ20を介した静電容量の変化を検出するものである。このため、この目的を達成できる配置部111からの距離範囲内に、第1の電極112及び第2の電極113を配置すればよい。例えば、第1の電極112のチューブ20の外周面に対向する面及び第2の電極113のチューブ20の外周面に対向する面を、チューブ20の外周面に密着させて配置してもよい。又は、第1の電極112のチューブ20の外周面に対向する面及び第2の電極113のチューブ20の外周面に対向する面と、チューブ20の外周面とを離間させて配置してもよい。この場合、第1の電極112のチューブ20の外周面に対向する面と、チューブ20の外周面との距離の上限は限定されないが、所期の効果が十分に得られる観点から、前記距離が、3mm以下であればよい。第2の電極113のチューブ20の外周面に対向する面と、チューブ20の外周面との距離についても同様である。
【0023】
また、検知器11は、特許文献1の超音波センサを用いた技術のように、センサ部分においてチューブ20の流路径を狭めるために、第1の電極112及び第2の電極113によってチューブを変形させて挟持する必要がない。これにより、チューブ20の流路径を変えることによってチューブ内面の濡れ性の問題によりチューブ内に乱流が発生し、淀みが生じることで、チューブ内に微小な気泡を発生・付着させるリスクを低減することができる。
【0024】
本実施形態に係る検知器11では、第1の電極112及び第2の電極113は、配置部111に配置されるチューブ20を挟んで互いに対向するように配置されている。第1の電極112及び第2の電極113を対向式で配置する場合は、電極の設置面積を小さくすることができ、その結果、検知器11を小型化することが可能となる。
【0025】
第1の電極112の幅(図中のX軸方向に沿う長さ)及び/又は、第2の電極113の幅を調整することで、検知できる気泡の大きさを変更することができる。本実施形態に係る検知器11では、第1の電極112の幅と第2の電極113の幅との双方が全てフォローされる大きさ(長さ)の気泡が第1の電極112を通過すると、静電容量の変化を検出し始める。このため、第1の電極112の幅及び/又は第2の電極113の幅を短くすることで、より小さい気泡を検知することが可能となり、逆に、第1の電極112の幅及び第2の電極113の幅を長くすることで、小さい気泡は検知せず、大きい気泡のみを検知することが可能となる。
【0026】
第1の電極112の幅及び/又は第2の電極113の幅は、検知すべき気泡の大きさに応じて、静電容量の変化を検知するために必要なS/N比を得られるように、適宜設定することができる。第1の電極112の幅及び第2の電極113の幅を大きくすると、S/N比が向上する。このため、第1の電極112の幅及び第2の電極113の幅は、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましい。また、浮遊容量によって実際の静電容量の変化が埋もれることを避ける観点から、第1の電極112の幅及び第2の電極113の幅は、50mm以下であることが好ましく、輸液ポンプへの組み込みの容易性の観点から10mm以下であることがより好ましい。一例として、第1の電極112の幅及び第2の電極113の幅は約5mmであるが、これに限定されない。
【0027】
(回路114)
回路114は、パルス発振器115及び位相-電圧変換器116を1つずつ備えている。第1の電極112は、パルス発振器115の出力端子と、位相-電圧変換器116の入力端子とに接続している。第2の電極113は、回路114の回路基板上の0V(基準)となるグランドに接続している。位相-電圧変換器116の出力端子117は、例えば、マイクロコンピュータのA/D変換入力端子に接続している。尚、
図2では回路114の主要な構成のみを示しており、電源などの記載は省略している。
【0028】
回路114による静電容量の変化の検出方法を説明する。パルス発振器115は所定周波数のパルスを発振させる。位相-電圧変換器116は、チューブ20を介した静電容量の変化によって生じた位相の変化を、電圧に変換して出力する。このようにして、回路114は、チューブ20を介した静電容量の変化量を、電圧の大きさとして出力する。検出静電容量の変化量が大きい程、回路114から出力される電圧の大きさは大きくなる。
【0029】
パルス発振器115が発振させるパルスの周波数は適宜設定することができる。回路114は、10kHz以上、100kHz以下の周波数で静電容量を検出することが好ましい。これにより、位相-電圧変換器116を構成する上で、低スルーレートのオペアンプを使用することができるため、回路114を安価に構成できるとともに、位相-電圧変換器116における消費電力を低減できるという効果を奏する。具体的には、位相-電圧変換器116において、スルーレートが1MHz以下のオペアンプを好適に使用することができる。但し、回路114は、100kHzよりも高い周波数で静電容量を検出する構成とすることも可能である。パルス発振器115及び位相-電圧変換器116の構成は特に限定されず、当技術分野で通常用いられるものを使用することができる。
【0030】
本実施形態においては、チューブ20を介して第1の電極112に表れる静電容量の変化を検出する回路の一例として、チューブ20を介した静電容量の変化量を電圧の大きさとして出力する回路114について説明した。しかし、検知器11が備える回路の構成は前述したものに限定されない。第1の電極112及び第2の電極113を用いて、チューブ20を介した静電容量の変化を検出するという目的を達成できる範囲において、回路の構成を適宜変更することができる。
【0031】
(ローラポンプのローター12)
続いて、
図1を参照して本実施形態に係るローラポンプのローター(圧送機構)12の構成について説明する。ローラポンプのローター12は、チューブ20の外側から順次圧力をかけることによって、チューブ20内の輸液を圧送する。ローター12は、チューブ20に外側から圧力をかけながら、ローターが向かって反時計回りに回転することで、チューブ内の輸液をX軸正方向に送液することができる。
図1では、圧送機構の一態様としてローラポンプを説明したが、本実施形態はこれに限定されない。圧送機構として、ペリスタルティックローラポンプの他に、ペリスタルティックフィンガーポンプ、ボルメトリックポンプ、シリンジポンプなどの公知の送液機構を適宜採用することができる。
【0032】
(警告ランプ14)
続いて、
図1を参照して本実施形態に係る警告ランプ(警告部)14の構成について説明する。警告ランプ14は、検知器11が検出した静電容量の変化が、気泡の存在に対応して決定された閾値以上である場合に点灯されて、チューブ20内に気泡が存在している旨の警告を発する。併せて図示していないスピーカーより、ブザー音と音声による警告も発する。例えば、位相-電圧変換器116の出力端子117に接続したマイクロコンピュータのA/D変換入力端子を介して、検知器11が検出した静電容量の変化が、気泡の存在に対応して決定された閾値以上であることを検出することができる。
【0033】
検知器11の回路114は、チューブ20を介した静電容量の変化量を電圧の大きさとして出力するため、電圧の変化が閾値以上持続した場合に、警告ランプ14が警告を発するように設定することができる。一例として、電圧の変化が3秒間以上、好ましくは5秒間以上持続した場合に、警告ランプ14が警告を発するように設定する。警告ランプ14が警告を発するための静電容量の変化の閾値はこれに限定されず、適宜設定することができる。
【0034】
(輸液用チューブ20)
輸液用チューブ20は、輸液剤を生体に送るためのチューブである。
図1に示すように、チューブ20は、その一部が、輸液ポンプ10のチューブ装着部カセット13に装着される。
【0035】
図3を参照して本実施形態に係るチューブ20の構成について説明する。
図3は、チューブ20の概略の構成を示す図である。
図3に示すように、チューブ20は、両端にそれぞれ、びん針22及びルアーテーパーコネクタ23を備えている。びん針22は輸液剤のような薬液バッグに接続され、ルアーテーパーコネクタ23は生体に埋め込まれたカテーテル若しくはフーバー針などに接続される。チューブ20は、輸液ポンプ10に装着される領域(図中の破線で囲った領域)よりも下流側の流路にフィルター21を有している。フィルター21を通すことで、輸液中に混入した微生物、微粒子などが生体に送られることを防ぐことができる。また、検知器11が検知しない微小な気泡をフィルター21で捕捉・排出することができる。
【0036】
チューブ20の構成材料としては、絶縁性を有する軟質樹脂材料を好適に使用することができる。そのような軟質樹脂材料としては、例えば、塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。但し、チューブ20の構成材料は、絶縁性を有する軟質樹脂材料に限定されず、絶縁性を有さない軟質樹脂材料を用いてチューブ20を形成してもよい。また、チューブ20の構成は前述したものに限定されない。必要に応じてチューブ20の構成を適宜変更することができる。
【0037】
(実施形態1の付記事項1)
前述の説明では、検知器11が自己容量方式の回路114を備える構成について例を挙げて説明を行ったが、これは本実施形態を限定するものではなく、自己容量方式の回路114に代えて、相互容量(ミューチャルキャパシタンス)方式の回路(検出部)114aを備える構成としてもよい。
【0038】
相互容量方式の回路114aを備える検知器11aの構成について、
図4を参照して説明する。尚、説明の便宜上、検知器11の説明において説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図4に示すように、検知器11aは、配置部111と、第1の電極112及び第2の電極113と、回路114aと、を備えている。
【0039】
回路114aは、パルス発振器115及び位相-電圧変換器116を1つずつ備えている。回路114aは、パルス発振器115及び位相-電圧変換器116と、第1の電極112及び第2の電極113との接続様式が異なる点で自己容量方式の回路114と相違する。第1の電極112は、位相-電圧変換器116の入力端子に接続している。第2の電極113は、パルス発振器115の出力端子に接続している。位相-電圧変換器116の出力端子117は、例えば、マイクロコンピュータのA/D変換入力端子に接続している。静電容量の読取方式が相互容量方式である場合、第1の電極112は、電荷を読み取る電極であり、第2の電極113は、電荷を与える電極である。尚、
図4では回路114aの主要な構成のみを示しており、電源などの記載は省略している。回路114aによる静電容量の変化の検出方法については、回路114について説明した通りである。
【0040】
静電容量の読取方式を自己容量方式とするか相互容量方式とするかは、それぞれの読取り方式の特性に鑑み、目的に応じて適宜選択することができる。一般的に、自己容量方式は、相互容量方式よりも検出感度が高いことが知られている。相互容量方式は、電荷を読み取る電極と電荷を与える電極とを個別に制御できるので、たくさんの静電容量を読むのに適している。
【0041】
(実施形態1の付記事項2)
前述の説明では、検知器11の第1の電極112及び第2の電極113が、配置部111に配置されるチューブ20を挟んで互いに対向するように配置されている構成について例を挙げて説明を行ったが、これは本実施形態を限定するものではない。第1の電極112及び第2の電極113は、配置部111に配置されるチューブ20の延伸方向(図中のX軸方向)に沿って並行に配置される構成としてもよい。
【0042】
そのような構成について、
図5を参照して説明する。
図5に示すように、第1の電極112及び第2の電極113は、配置部111に配置されるチューブ20の延伸方向(図中のX軸方向)に沿って並行に配置することができる。
図5中の矢印は、チューブ20内の輸液が流れる方向(送液方向)を表している。第1の電極112及び第2の電極113を並行式に配置することによって、センサ部を片側のみに配置することで、より小型薄型の検出部を構成可能とし、装置の小型化に寄与するという効果を奏する。また、配置部111へのチューブ20の配置が、対向式よりも容易となるという利点を有する。
【0043】
図5に示す例では、第1の電極112は、第2の電極113よりも送液方向の上流側に配置されている。しかし、第1の電極112及び第2の電極113の配置の順序はこれに限定されない。第2の電極113を、第1の電極112よりも送液方向の上流側に配置することも可能である。
【0044】
第1の電極112及び第2の電極113を並行式に配置する場合、チューブ20内を通過する気泡が第1の電極112及び第2の電極113の両方にまたがる位置に来たときに、静電容量の変化を検出し始める。したがって、第1の電極112の上流側の端部から第2の電極113の下流側の端部に至る長さを、検知されるべき気泡の大きさに応じて設定する。2つの電極の端部間の長さを短くすることで、より小さい気泡を検知することが可能となり、逆に、2つの電極の端部間の長さを長くすることで、小さい気泡は検知せず、大きい気泡のみを検知することが可能となる。ここで、静電容量を検知するための第1の電極112と第2の電極113との間の電気的作用を最大化させて、S/N比を向上させるために、第1の電極112の幅と第2の電極113の幅を等しくすることが好ましい。第1の電極112及び第2の電極113は間隔をあけて配置される。第1の電極112と第2の電極113との間の間隔を小さくするとS/N比が向上するため、2つの電極間の間隔はできるだけ小さい方が好ましい。このため、第1の電極112の及び第2の電極113の間隔は、1mm以下とすることが好ましい。尚、「第1の電極112及び第2の電極113の間隔」とは、並行式に隣り合う第1の電極112及び第2の電極113について、第1の電極112の第2の電極113に対向する面と、第2の電極113の第1の電極112に対向する面との距離をいう。
【0045】
第1の電極112と第2の電極113との間の間隔を小さく保ちつつ、第1の電極112の幅と第2の電極113の幅をそれぞれ大きくすることで、2つの電極の端部間の長さを長くすることが可能であるが、2つの電極の幅が一定以上に大きくなると、2つの電極の幅を大きくしても、静電容量を検知するための2つの電極の間の電気的作用がわずかしか大きくならなくなる傾向となる。したがって、検知されるべき気泡の大きさとの兼ね合いから、2つの電極の端部間の長さを50mm以下とすることが好ましく、輸液ポンプへの組み込みの容易性の観点から10mm以下とすることがより好ましい。
【0046】
図6は、第1の電極112及び第2の電極113を並行式に配置する場合の別の変形例を示す図である。
図6中の矢印は、チューブ20内の輸液が流れる方向(送液方向)を表している。並行式の場合は、
図6に示す第1の電極112a及び第2の電極113aのように、チューブ20の周方向に電極を巻き付けて配置することで、
図5に示す第1の電極112及び第2の電極113を採用した場合と比較して、静電容量の変化を大きくすることが可能となる。その結果、静電容量の変化の検出感度を向上させることが可能となる。
【0047】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0048】
実施形態2に係る輸液ポンプは、検知器11に代えて検知器11bを備えている点が、実施形態1に係る輸液ポンプ10と異なっている。そこで、検知器11bについて説明し、検知器11b以外の構成については、実施形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0049】
(検知器11b)
図7は、実施形態2に係る検知器11bの概略の構成を、検知器11bの配置部111に配置されたチューブ20と共に示す図である。
図7に示すように、検知器11bは、配置部111と、2つの第1の電極112と、1つの第2の電極113と、回路(検出部)114bと、を備えている。
図7では、一例として、回路114bが自己容量方式の回路である場合の検知器11bの概略の構成を示している。
【0050】
検知器11bが備える各構成のうち、第1の電極112、第2の電極113、及び回路114b以外の構成は、実施形態1に係る検知器11が備える各構成と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0051】
(第1の電極112及び第2の電極113)
本実施形態に係る検知器11bは、2つの第1の電極112と、1つの第2の電極113とを備えている。静電容量の読取方式が自己容量方式である場合、2つの第1の電極112は、それぞれが、電荷を与える電極と電荷を読み取る電極との両方を兼ねている。また、第2の電極113は、グランド電極である。
【0052】
2つの第1の電極112は、配置部111に配置されるチューブ20の延伸方向(図中のX軸方向)に沿って異なる位置に対応する位置に配置されている。配置部111に配置されるチューブ20の延伸方向(図中のX軸方向)に沿って異なる位置に対応する位置に2つの第1の電極112を配置することにより、チューブ20内の気泡の長さを検出することが可能となる。
【0053】
2つの第1の電極112をチューブ20の延伸方向(図中のX軸方向)に沿って並行に配置する場合、チューブ20内を通過する気泡が2つの第1の電極112の両方にまたがる位置に来たときに、静電容量の変化を検出し始める。したがって、上流側に位置する一方の第1の電極112の上流側の端部から、下流側に位置する他方の第1の電極112の下流側の端部に至る長さを、検知されるべき気泡の大きさに応じて設定する。2つの第1の電極112の幅を大きくすると、S/N比が向上する。このため、2つの第1の電極112の幅は、それぞれ、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましい。浮遊容量によって実際の静電容量の変化が埋もれることを避ける観点から、それぞれの第1の電極112の幅は、50mm以下であることが好ましい。また、2つの第1の電極112の端部の間の長さは、検知されるべき気泡の大きさとの兼ね合いから、50mm以下とすることが好ましく、輸液ポンプへの組み込みの容易性の観点から10mm以下とすることがより好ましい。尚、本実施形態の場合は、
図5および
図6に示した実施形態とは異なり、2つの第1の電極112間の間隔は、S/N比にほとんど影響を及ぼさない。
【0054】
1つの第2の電極113は、2つの第1の電極112と配置部111に配置されるチューブ20を挟んで互いに対向するように配置されている。第1の電極112の数が異なる点以外は、実施形態1に係る検知器11の第1の電極112及び第2の電極113について説明した通りである。
【0055】
(回路114b)
回路114bは、パルス発振器115及び位相-電圧変換器116を、それぞれ2つずつ備えている。2つの第1の電極112は、それぞれが、パルス発振器115の出力端子と、位相-電圧変換器116の入力端子とに接続している。1つの第2の電極113は、回路114の回路基板上の0V(基準)となるグランドに接続している。位相-電圧変換器116の出力端子117は、例えば、マイクロコンピュータのA/D変換入力端子に接続している。尚、
図7では回路114bの主要な構成のみを示しており、電源などの記載は省略している。
【0056】
回路114bは、チューブ20を介した静電容量の変化を、2つの第1の電極112のそれぞれについて個別に検出する。回路114bによる静電容量の変化の検出方法を説明する。パルス発振器115は所定周波数のパルスを発振させる。2つの位相-電圧変換器116は、それぞれが、チューブ20を介した静電容量の変化によって生じた位相の変化を、電圧に変換して出力する。このようにして、回路114bは、2つの第1の電極112のそれぞれについて、チューブ20を介した静電容量の変化量を、電圧の大きさとして出力する。
【0057】
検知器11bによれば、第1の電極112が、配置部111に配置されるチューブ20の延伸方向(図中のX軸方向)に沿って異なる位置に対応する位置に複数個配置され、回路114bは、チューブ20を介した静電容量の変化を、複数個の第1の電極112のそれぞれについて個別に検出することにより、チューブ20内の気泡の長さを検出することが可能となる。
【0058】
チューブ20内の気泡の長さは、センサ間の距離、各センサでの気泡検知状態、チューブ20内の気泡がセンサを通過するのに要する時間(通過時間)によって検出することができる。
【0059】
チューブ20内の気泡の長さの検出方法の一例を以下に説明する。輸液されている(気泡が移動している)前提で、上流側にある1つ目の第1の電極112で「気泡あり」が検出された後、当該電極で「気泡なし」が検出されないまま、下流側にある2つ目の第1の電極112で「気泡あり」が検出された場合は、1つ目の第1の電極112と2つ目の第1の電極112とに亘る長さ以上の長さの気泡であることが検出できる。1つ目の第1の電極112と2つ目の第1の電極112とに亘る長さ未満の気泡の場合は、これら2つの検出値の変化の度合いに基づいて、気泡の長さを推定することも可能である。
【0060】
また、上流側にある1つ目の第1の電極112で「気泡あり」が検出され、当該電極で「気泡なし」が検出された後に、下流側にある2つ目の第1の電極112で「気泡あり」が検出された場合は、1つ目の第1の電極112と2つ目の第1の電極112との間隔よりも短い気泡であることが検出できる。尚、1つの第1の電極112の場合であっても、一定速度で輸液されている(気泡が移動している)前提で、「気泡がある」状態の静電容量値の継続時間をマイクロコンピュータなどの計時手段によって計時することで、気泡の長さを検出することができる。
【0061】
本実施形態において、警告ランプ14は、検知器11bが検出した静電容量の変化が、気泡の存在に対応して決定された閾値以上である場合に点灯されて、チューブ20内に気泡が存在している旨の警告を発する。併せて図示していないスピーカーより、ブザー音と音声による警告も発する。例えば、位相-電圧変換器116の出力端子117に接続したマイクロコンピュータのA/D変換入力端子を介して、検知器11が検出した静電容量の変化が、気泡の存在に対応して決定された閾値以上であることを検出することができる。
【0062】
(実施形態2の付記事項1)
前述の説明では、検知器11bが自己容量方式の回路114bを備える構成について例を挙げて説明を行ったが、これは本実施形態を限定するものではなく、自己容量方式の回路114bに代えて、相互容量方式の回路(検出部)114cを備える構成としてもよい。
【0063】
相互容量方式の回路114cを備える検知器11cの構成について、
図8を参照して説明する。尚、説明の便宜上、検知器11bの説明において説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図8に示すように、検知器11cは、配置部111と、2つの第1の電極112と、1つの第2の電極113と、回路114cと、を備えている。
【0064】
回路114cは、パルス発振器115及び位相-電圧変換器116を、それぞれ2つずつ備えている。回路114aは、パルス発振器115及び位相-電圧変換器116と、第1の電極112及び第2の電極113との接続様式が異なる点で自己容量方式の回路114bと相違する。2つの第1の電極112は、それぞれが、位相-電圧変換器116の入力端子に接続している。1つの第2の電極113は、パルス発振器115の出力端子に接続している。位相-電圧変換器116の出力端子117は、例えば、マイクロコンピュータのA/D変換入力端子に接続している。静電容量の読取方式が相互容量方式である場合、第1の電極112は、電荷を読み取る電極であり、第2の電極113は、電荷を与える電極である。尚、
図8では回路114cの主要な構成のみを示しており、電源などの記載は省略している。回路114cによる静電容量の変化の検出方法については、回路114bについて説明した通りである。静電容量の読取方式を自己容量方式とするか相互容量方式とするかは、それぞれの読取り方式の特性に鑑み、目的に応じて適宜選択することができる。
【0065】
(実施形態2の付記事項2)
前述の説明では、第1の電極112と第2の電極113とを対向式に配置する構成について例を挙げて説明を行ったが、これは本実施形態を限定するものではない。第1の電極112及び第2の電極113は、配置部111に配置されるチューブ20の延伸方向(図中のX軸方向)に沿って並行に配置される構成としてもよい。
【0066】
この場合、1つの第2の電極113の両側に2つの第1の電極112を並行式に配置する、あるいは並行式に配置した1つの第1の電極112と1つの第2の電極113との電極ペアを、チューブ20の延伸方向(図中のX軸方向)に沿って並行に複数ペア配置すればよい。また、
図9に示すように、大きく形成した1つの第2の電極113bの内部に、2つの第1の電極112を配置することもできる。第1の電極112は、第2の電極113と間隔をあけて配置される。尚、
図9中の網掛けで示した部分は、第1の電極112と第2の電極113bとの間の空隙である。第1の電極112の端部から第2の電極113bの端部へ至る長さについては上述した通りである。
【0067】
(実施形態2の付記事項3)
前述の説明では、第1の電極112を2つ設ける構成について例を挙げて説明を行ったが、これは本実施形態を限定するものではない。第1の電極112を3つ以上設けることも可能である。一例として、
図10に示すように、大きく形成した1つの第2の電極113cの内部に、所望の個数(例えば、5つ)の第1の電極112を配置することもできる。尚、
図10中の網掛けで示した部分は、第1の電極112と第2の電極113cとの間の空隙である。
【0068】
(実施形態2の付記事項4)
前述の説明では、複数個の第1の電極112に対して、第2の電極113を共通化して1つ設ける構成について例を挙げて説明を行ったが、これは本実施形態を限定するものではない。第1の電極112と同様に、第2の電極113を複数個設けることも可能である。
【0069】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0070】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る、輸液ポンプ用検知器は、輸液剤を生体に送るための輸液用チューブ内の気泡を検知するための輸液ポンプ用検知器であり、前記チューブが配置される配置部と、前記配置部に隣接して設けられた、少なくとも1つの第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極を用いて、前記チューブを介した静電容量の変化を検出する検出部と、を備えている構成である。
【0071】
本開示の態様2に係る輸液ポンプ用検知器は、態様1において、前記検出部は、自己容量方式又は相互容量方式の回路を備える構成としてもよい。
【0072】
本開示の態様3に係る輸液ポンプ用検知器は、態様1又は態様2において、前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記配置部に配置されるチューブを挟んで互いに対向するように配置される構成としてもよい。
【0073】
本開示の態様4に係る輸液ポンプ用検知器は、態様1又は態様2において、前記配置部に配置されるチューブの延伸方向に沿って並行に配置される構成としてもよい。
【0074】
本開示の態様5に係る輸液ポンプ用検知器は、態様1~4のいずれか1つにおいて、前記第1の電極が、前記配置部に配置されるチューブの延伸方向に沿って異なる位置に対応する位置に複数個配置され、前記検出部は、前記チューブを介して前記第1の電極に表れる前記静電容量の変化を、複数個の前記第1の電極のそれぞれについて検出する構成としてもよい。
【0075】
本開示の態様6に係る輸液ポンプは、態様1~5のいずれか1つに記載の輸液ポンプ用検知器と、輸液用チューブの外側から圧力をかけることによって、当該チューブ内の輸液を圧送するための圧送機構と、前記輸液ポンプ用検知器が検出した静電容量の変化が閾値以上である場合に、警告を発する警告部と、を備えている構成である。
【符号の説明】
【0076】
1 輸液システム
10 輸液ポンプ
11、11a、11b、11c 輸液ポンプ用検知器
12 ローラポンプのローター(圧送機構)
13 チューブ装着部(カセット)
14 警告ランプ(警告部)
15 蓋部材
20 輸液用チューブ
111 配置部
112、112a 第1の電極
113、113a、113b、113c 第2の電極
114、114a、114b、114c 回路(検出部)