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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095347
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電源制御装置および電源制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212567
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB02
5G503DA17
5G503DA18
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】第1系統および第2系統の電圧が異常判定閾値付近を上下動する場合に、異常系統を推定できる電源制御装置および電源制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る電源制御装置は、接続装置と、コントローラとを有する。接続装置は、第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる。コントローラは、第1系統または第2系統の電源失陥を検出すると、系統間ラインを切断し、第1期間における第1系統の電圧および第2系統の電圧の変化に基づいて、失陥した系統を確定する確定処理を行う。コントローラは、確定処理によって失陥した系統を確定できない場合、第1期間よりも長い第2期間における第1系統の電圧および第2系統の電圧の変化に基づいて、異常系統を推定する推定処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置と、前記接続装置を制御するコントローラとを有する電源制御装置であって、
前記コントローラは、
前記第1系統または前記第2系統の電源失陥を検出すると、前記系統間ラインを切断するように前記接続装置を制御し、第1期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、失陥した系統を確定する確定処理を行い、
前記確定処理によって前記失陥した系統を確定できない場合、前記第1期間よりも長い第2期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、異常の疑いが強い系統を異常系統として推定する推定処理を行う、
電源制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間と、前記第2系統の電圧が前記異常判定閾値以下となった累計時間とを計測し、前記累計時間が長い系統を前記異常系統として推定する、
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が正常判定閾値以下となった累計時間と、前記第2系統の電圧が前記正常判定閾値以下となった累計時間とを計測し、前記累計時間が長い系統を前記異常系統として推定する、
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間と、前記第2系統の電圧が前記異常判定閾値以下となった累計時間とを計測し、
前記第1系統の電圧が正常判定閾値以下となった累計時間と、前記第2系統の電圧が前記正常判定閾値以下となった累計時間とを計測し、
前記異常判定閾値以下となった累計時間が長い系統を前記異常系統として推定し、前記推定処理によって前記異常系統を推定できない場合は、前記正常判定閾値以下となった累計時間が長い系統を前記異常系統として推定する、
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が異常判定閾値以下となった回数と、前記第2系統の電圧が前記異常判定閾値以下となった回数とを計測し、
前記回数が多い系統を前記異常系統として推定する、
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が正常判定閾値以下となった回数と、前記第2系統の電圧が前記正常判定閾値以下となった回数とを計測し、前記回数が少ない系統を異常系統として推定する、
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が異常判定閾値以下となった回数と、前記第2系統の電圧が前記異常判定閾値以下となった回数とを計測し、
前記第1系統の電圧が正常判定閾値以下となった回数と、前記第2系統の電圧が前記正常判定閾値以下となった回数とを計測し、
前記異常判定閾値以下となった回数が多い系統を前記異常系統として推定し、前記推定処理によって前記異常系統を推定できない場合は、前記正常判定閾値以下となった回数が少ない系統を前記異常系統として推定する、
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
異常の疑いが強い系統を失陥系統として推定したときは、再度、前記確定処理および前記推定処理を行う、
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項9】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置と、前記接続装置を制御するコントローラとを有する電源制御装置の前記コントローラが、
前記第1系統または前記第2系統の電源失陥を検出すると、前記系統間ラインを切断するように前記接続装置を制御し、第1期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、失陥した系統を確定する確定処理を行い、
前記確定処理によって前記失陥した系統を確定できない場合、前記第1期間よりも長い第2期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、異常の疑いが強い系統を異常系統として推定する推定処理を行う、
電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、電源制御装置および電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを備える冗長電源システムがある。冗長電源システムは、第1系統と第2系統との間に設けられる系統間スイッチを制御するコントローラを備える電源制御装置を含む。
【0003】
車両に搭載される電源制御装置は、第1系統または第2系統の電圧低下によって電源失陥を検出すると系統間スイッチを遮断する。その後、電源制御装置は、第1系統および第2系統のうち電源失陥が発生した異常系統を確定させる。電源制御装置は、電源失陥が発生していない正常系統を使用して退避走行を行わせる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
電源制御装置は、電圧が所定時間連続して異常判定閾値以下になった系統を異常系統として確定させる。電源制御装置は、電圧が異常判定閾値を超えるまで回復した系統を正常系統として確定させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-125004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1系統および第2系統の電圧は、完全な地絡ではなくハーフショートが生じた場合、または、高負荷状態が断続的に続いた場合に、異常判定閾値付近を上下動することがある。電源制御装置は、第1系統および第2系統の電圧が異常判定閾値付近を上下動すると、異常系統を確定させることができないことがある。
【0007】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、第1系統および第2系統の電圧が異常判定閾値付近を上下動する場合に、異常系統を推定できる電源制御装置および電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る電源制御装置は、接続装置と、コントローラとを有する。前記接続装置は、第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる。前記コントローラは、接続装置を制御する。前記コントローラは、前記第1系統または前記第2系統の電源失陥を検出すると、前記系統間ラインを切断するように前記接続装置を制御する。コントローラは、第1期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、失陥した系統を確定する確定処理を行う。コントローラは、前記確定処理によって前記失陥した系統を確定できない場合、前記第1期間よりも長い第2期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、異常の疑いが強い系統を異常系統として推定する推定処理を行う。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様に係る電源制御装置および電源制御方法は、第1系統および第2系統の電圧が異常判定閾値付近を上下動する場合に、異常系統を推定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
図2図2は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
図3図3は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
図4図4は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
図5図5は、実施形態に係る第1系統および第2系統の状態のパターンを示す説明図である。
図6図6は、実施形態に係る異常確定処理の説明図である。
図7図7は、実施形態に係る正常確定処理の説明図である。
図8図8は、実施形態に係る第1系統の推定処理の説明図である。
図9図9は、実施形態に係る第2系統の推定処理の説明図である。
図10図10は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、実施形態の変形例に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、電源制御装置および電源制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する電源制御装置を例に挙げて説明する。
【0012】
以下では、電源制御装置が搭載される車両が電気自動車またはハイブリッド自動車である場合について説明するが、電源制御装置が搭載される車両は、内燃機関によって走行するエンジン自動車であってもよい。
【0013】
[1.電源制御装置の構成]
図1図4を参照して、実施形態に係る電源制御装置1の構成および動作について説明する。図1図4は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。図1に示すように、実施形態に係る電源制御装置1は、第1電源10と、第1負荷101と、一般負荷102と、第2負荷103と、自動運転制御装置100とに接続される。
【0014】
電源制御装置1は、第1系統110と、第2系統120とを備える。第1系統110は、第1電源10の電力を第1負荷101および一般負荷102に供給する電源系統である。第2系統120は、後述する第2電源20の電力を第2負荷103に供給する電源系統である。
【0015】
第1負荷101は、自動運転用の負荷を含む。第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、および車載カメラ等を含む。一般負荷102は、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、および各種ライト等を含む。
【0016】
第2負荷103は、第1負荷101が備える自動運転用の機能の一部を備える。第2負荷103は、ステアリングモータ、電動ブレーキ装置、およびレーダ等のFOP(フェイルセーフ制御)に最低限必要な装置を含む。第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103は、電源制御装置1から供給される電力によって動作する。
【0017】
自動運転制御装置100は、車両を自動運転制御する装置である。自動運転制御装置100は、第1負荷101および第2負荷103を動作させることにより、車両を自動運転によって走行させる。自動運転制御装置100は、自動運転中に第1系統110で地絡などの電源失陥が発生した場合には、第2負荷103によってFOPを実施できる。自動運転制御装置100は、第2系統120で地絡などの電源失陥が発生した場合には、第1負荷101によってFOPを実施できる。
【0018】
第1電源10は、DC/DCコンバータ(以下、「DC/DC11」と記載する)と、鉛バッテリ(以下、「PbB12」と記載する)とを含む。なお、第1電源10の電池は、PbB12以外の任意の2次電池であってもよい。
【0019】
DC/DC11は、発電機と、PbB12よりも電圧が高い高圧バッテリとに接続される。DC/DC11は、発電機および高圧バッテリの電圧を降圧して第1系統110に出力する。発電機は、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。高圧バッテリは、電気自動車やハイブリット自動車に搭載される車両駆動用のバッテリである。
【0020】
第1電源10は、エンジン自動車に搭載される場合、DC/DC11の代わりにオルタネータ(発電機)が設けられる。DC/DC11は、PbB12の充電、第1負荷101および一般負荷102への電力供給、第2負荷103への電力供給、および後述する第2電源20の充電を行う。
【0021】
電源制御装置1は、第2電源20と、系統間スイッチ41と、電池用スイッチ42と、コントローラ3と、第1電圧センサ51と、第2電圧センサ52とを備える。第2電源20は、第1電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。第2電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)を備える。第2電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0022】
系統間スイッチ41は、第1系統110と第2系統120とを接続する系統間ライン130に設けられる。系統間スイッチ41は、第1系統110と第2系統120とを接続および切断可能なスイッチである。
【0023】
系統間スイッチ41は、DC/DCコンバータであってもよい。この場合、DC/DCコンバータは、コントローラ3によって制御される。DC/DCコンバータは、動作を開始することによって、第1系統110と第2系統120とを電気的に接続する。DC/DCコンバータは、動作を停止することによって、第1系統110と第2系統120との電気的な接続を遮断する。
【0024】
系統間スイッチ41は、系統間ライン130に設けられる接続装置の一例である。電池用スイッチ42は、第2電源20を第2系統120に接続するスイッチである。以下の説明において、系統間スイッチ41を接続することは、第1系統110と第2系統120とを電気的に接続、つまり導通させることを意味する。系統間スイッチ41を切断することは、第1系統110と第2系統120との電気的な接続を切断、つまり遮断することを意味する。
【0025】
第1電圧センサ51は、第1系統110に設けられる。第1電圧センサ51は、第1系統110の電圧を検出する。第1電圧センサ51は、検出結果をコントローラ3に出力する。第2電圧センサ52は、第2系統120に設けられる。第2電圧センサ52は、第2系統120の電圧を検出する。第2電圧センサ52は、検出結果をコントローラ3に出力する。
【0026】
コントローラ3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、コントローラ3は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0027】
コントローラ3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより電源制御装置1の動作を制御する。コントローラ3は、系統間スイッチ41および電池用スイッチ42を制御する。
【0028】
コントローラ3は、第1電圧センサ51および第2電圧センサ52から入力される検出結果に基づいて、第1系統110または第2系統120の地絡を検出する。コントローラ3による地絡の検出方法の具体例については、後述する。
【0029】
コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の地絡を検出した場合、その旨を自動運転制御装置100に通知する。コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の地絡を検出した場合、自動運転が不可能な状態である旨を示す自動運転禁止信号を自動運転制御装置100に出力する。コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の地絡を検出していない場合、自動運転が可能な状態である旨を示す自動運転許可信号を自動運転制御装置100に出力する。
【0030】
コントローラ3は、第1系統110に地絡等の電源失陥を検出した場合には、系統間スイッチ41を遮断し、かつ電池用スイッチ42を接続する。これにより、コントローラは、第2電源20から第2負荷103に電力を供給する。コントローラ3は、第2系統120に地絡等の電源失陥を検出した場合には、系統間スイッチ41を遮断し、かつ電池用スイッチ42を遮断した状態する。これにより、コントローラ3は、第1電源10から第1負荷101および一般負荷102に電力を供給する。
【0031】
電源制御装置1は、自動運転中に第1系統110および第2系統120のうち、いずれか一方の系統が地絡しても、正常な他方の系統を使用できる。すなわち、電源制御装置1は、自動運転制御装置100によって正常な他方の系統を使用することで車両を安全な場所まで退避走行させるFOPを実施できる。これにより、自動運転制御装置100は、車両を安全な場所に停車させることができる。
【0032】
[2.電源制御装置の通常時動作]
図1に示すように、コントローラ3は、第1系統110および第2系統120に地絡が発生していない通常時には、電池用スイッチ42を遮断し、系統間スイッチ41を接続する。これにより、コントローラ3は、第1電源10から第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103に電力を供給する。また、コントローラ3は、地絡が発生していない通常時には、自動運転制御装置100に自動運転許可信号を出力する。
【0033】
[3.電源制御装置の地絡発生時動作]
電源制御装置1の地絡発生時動作について説明する。図2に示すように、電源制御装置1では、第1系統110で地絡200が発生した場合、または、第2系統120で地絡201が発生した場合、地絡点に向けて過電流が流れる。そのため、第1電圧センサ51および第2電圧センサ52によって検出される電圧は、異常判定閾値以下になる。
【0034】
コントローラ3は、第2電圧センサ52によって検出される電圧が異常判定閾値以下になった場合に、第1系統110または第2系統120に地絡200,201が発生したと仮判定する。
【0035】
コントローラ3は、当該仮判定を行うと自動運転制御装置100に自動運転禁止信号を出力する。また、コントローラ3は、地絡200,201が発生したと仮判定すると、系統間スイッチ41を遮断し、電池用スイッチ42を接続する。
【0036】
以下、仮判定の結果に基づく系統間スイッチ41の遮断をプレ遮断とも称する。これにより、第1系統110と第2系統120との接続は、切断される。そのため、第1電源10から第1系統110へ電力が供給され、第2電源20から第2系統120へ電力が供給される。
【0037】
なお、コントローラ3は、第1電圧センサ51または第2電圧センサ52の少なくともいずれか一方によって検出される電圧が異常判定閾値以下になった場合に、第1系統110または第2系統120に地絡が発生したと仮判定することもできる。
【0038】
このように、コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の電源失陥を仮判定すると、系統間ライン130を切断するように系統間スイッチ41を制御、すなわちプレ遮断する。コントローラ3は、プレ遮断を行った後、第1期間における第1系統110の電圧および第2系統120の電圧の変化に基づいて、失陥した系統を確定する確定処理を行う。
【0039】
第1系統110の電圧は、第1電圧センサ51によって検出される電圧である。第2系統120の電圧は、第2電圧センサ52によって検出される電圧である。第1期間は、例えば、100msであるが、第1期間は、100msに限定されない。確定処理の具体例については、図6および図7を参照して後述する。
【0040】
コントローラ3は、確定処理において、第1系統110の電圧が第1期間以上連続して異常判定閾値以下であり、かつ第2系統120の電圧が第1期間以上連続して正常判定閾値以上である場合、第1系統110に地絡200が発生したと本判定する。
【0041】
図3に示すように、コントローラ3は、第1系統110に地絡200が発生したと本判定した場合、系統間スイッチ41の遮断と電池用スイッチ42の接続を維持したまま、第2電源20から第2負荷103に電力を供給する。
【0042】
コントローラ3は、その旨を自動運転制御装置100に通知する。自動運転制御装置100は、第2電源20から供給される電力によって第2負荷103を動作させ、車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。なお、自動運転制御装置100は、電源制御装置1から仮判定により自動運転禁止信号が入力された時点で退避走行を開始するように構成されてもよい。
【0043】
一方、コントローラ3は、確定処理において、第2系統120の電圧が第1期間連続して異常判定閾値以下であり、かつ第1系統110の電圧が第1期間以上連続して正常判定閾値以上である場合、第2系統120に地絡201が発生したと本判定する。
【0044】
図4に示すように、コントローラ3は、第2系統120に地絡201が発生したと本判定した場合、系統間スイッチ41の遮断は維持したまま電池用スイッチ42を遮断して第1電源10から第1負荷101および一般負荷102に電力を供給する。
【0045】
コントローラ3は、その旨を自動運転制御装置100に通知する。自動運転制御装置100は、第1電源10から供給される電力によって第1負荷101を動作させ、車両を安全な場所まで退避走行させて停車させる。なお、自動運転制御装置100は、電源制御装置1から自動運転禁止信号が入力された時点で退避走行を開始するように構成されてもよい。
【0046】
コントローラ3は、第2電源20とライン22により接続され、ライン22を介して第2電源20の電圧(LiB21のSOC(State Of Charge))を入力して監視する。コントローラ3は、第2電源20のSOCが所定値以下まで低下した場合、系統間スイッチ41および電池用スイッチ42を導通させ、第1電源10の電力によって第2電源20を充電する。
【0047】
[4.第1系統および第2系統の状態のパターン]
電源制御装置1では、第1系統110または第2系統120に地絡が発生したと仮判定されたときに、完全な地絡ではなくハーフショートが生じている場合、または、高負荷状態が断続的に続いている場合がある。
【0048】
電源制御装置1では、ハーフショートが生じている場合、または、高負荷状態が断続的に続いている場合、第1系統110の電圧または第2系統120の電圧が異常判定閾値付近を上下動することがある。
【0049】
コントローラ3は、第1系統110の電圧または第2系統120の電圧が異常判定閾値付近を上下動する場合、地絡した系統を確定できないことがある。すなわち、コントローラ3は、地絡が発生したと仮判定してから第1期間が経過する前に第1系統110の電圧または第2系統120が異常判定閾値を超えるまで復帰すると、電圧が復帰した系統を地絡が発生した異常系統とは確定できない。
【0050】
図5を参照して、第1系統110および第2系統120の状態のパターンと、各パターンのときにコントローラ3が実行する対応について説明する。図5は、実施形態に係る第1系統および第2系統の状態のパターンを示す説明図である。
【0051】
図5に示すように、仮判定後における第1系統110および第2系統120の状態のパターンとしては、パターン(1)から(6)の6つのパターンがある。パターン(1)は、第1系統110および第2系統120の両方とも異常系統または正常系統として確定済のパターンである。コントローラ3は、第1系統110および第2系統120の両方とも正常系統として確定済の場合、系統間スイッチ41を導通し、電池用スイッチ42を遮断して、図1に示す通常時動作に復帰する。
【0052】
また、コントローラ3は、第1系統110および第2系統120の両方とも異常系統として確定済の場合、系統間スイッチ41および電池用スイッチ42を遮断し、その旨を自動運転制御装置100に通知する。その後、コントローラ3は、動作を停止する。
【0053】
また、コントローラ3は、第1系統110が異常系統として確定済みであり、かつ第2系統120が正常系統と確定済みの場合、図3に示すように、系統間スイッチ41を遮断状態にし、電池用スイッチ42を導通状態にする。これにより、第2電源20から第2系統120を介して第2負荷103に電力が供給される。
【0054】
また、コントローラ3は、第1系統110が正常系統として確定済みであり、かつ第2系統120が異常系統と確定済みの場合、図4に示すように、系統間スイッチ41を遮断状態にし、電池用スイッチ42を遮断状態にする。これにより、第1電源10から第1系統110を介して第1負荷101および一般負荷102に電力が供給される。
【0055】
パターン(2)は、第1系統110および第2系統120の両方とも状態が未定のパターンである。すなわち、パターン(2)は、第1系統110および第2系統120の両方とも、異常であるか正常であるかが確定していないパターンである。コントローラ3は、パターン(2)の場合、地絡が疑わしい一方の系統を地絡として推定する。コントローラ3は、他方の系統を正常として推定し、他方の系統によって退避走行を行わせる。例えば、コントローラ3は、第2系統120が疑わしい場合、第2系統120が地絡、第1系統110が正常であると推定する。その場合、コントローラ3は、系統間スイッチ41を遮断し、電池用スイッチ42を遮断する。それによりコントローラ3は、第1電源10から第1系統110を介して第1負荷101および一般負荷102に電力を供給することで退避走行を行わせる。
【0056】
パターン(3)は、第1系統110の状態が地絡確定であり、第2系統120の状態が未定のパターンである。未定側の第2系統120は、完全には地絡していないため、電力供給が可能である。そこでコントローラ3は、パターン(3)の場合、未定側の第2系統120を正常とみなし、第2系統120によって退避走行を行わせる。
【0057】
パターン(4)は、第1系統110の状態が未定であり、第2系統120の状態が地絡確定のパターンである。未定側の第1系統110は、完全には地絡していないため、電力供給が可能である。そこでコントローラ3は、パターン(4)の場合、未定側の第1系統110を正常とみなし、第1系統110によって退避走行を行わせる。
【0058】
パターン(5)は、第1系統110の状態が正常確定であり、第2系統120の状態が未定のパターンである。第1系統110は正常が確定しており、未定側の第2系統120は、状態が不安定である。そこで、コントローラ3は、パターン(5)の場合、第2系統120を地絡とみなし、系統間スイッチ41の遮断を維持して電池用スイッチ42を遮断し、第1系統110によって退避走行を行わせる。
【0059】
パターン(6)は、第1系統110の状態が未定であり、第2系統120の状態が正常確定のパターンである。第2系統120は正常が確定しており、未定側の第1系統110は、状態が不安定である。そこで、コントローラ3は、パターン(6)の場合、第1系統110を地絡とみなし、第2系統120によって退避走行を行わせる。
【0060】
[5.異常確定時の動作説明]
図6を参照して異常確定時のコントローラ3の動作について説明する。図6は、実施形態に係る第1系統110が地絡している場合の異常確定処理の説明図である。
【0061】
図6に示すように、異常判定閾値は、正常判定閾値よりも低い値に設定される。正常判定閾値は、その値よりも電圧が高い系統において地絡が発生していないことが保証される値に設定される。異常判定閾値は、その値よりも電圧が低い系統において地絡が発生していることが保証される値に設定される。
【0062】
図6に示す例では、第1系統110の電圧は、時刻T11で正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になり、時刻T12で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。その後、第1系統110の電圧は、時刻T13で異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になり、時刻T14で正常判定閾値以下から正常判定閾値以上になる。さらにその後、第1系統110の電圧は、時刻T15で正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になり、時刻T16で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。この場合、コントローラ3は、第1系統110の電圧が最初に異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる時刻T12で系統間スイッチ41をプレ遮断し、本判定を開始する。
【0063】
コントローラ3は、第1系統110の正常継続時間タイマと、第1系統110の異常継続時間タイマとを備える。第1系統110の正常継続時間タイマは、第1系統110の電圧が正常判定閾値以上になる継続時間を計測するタイマである。図6に示す例では、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13は、第1系統110の電圧が最初に正常判定閾値以下になる時刻T11で一旦リセットされる。カウント値Tm13は、その後、第1系統110の電圧が正常判定閾値以上になる時刻T14から増加するが、第1系統110の電圧が正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になる時刻T15でリセットされ、以後このリセット状態が続く。
【0064】
コントローラ3は、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13が正常判定閾値以上になる時刻T14から時刻T15までの時間が第1期間である正常確定時間未満なら第1系統110の状態を正常未確定とする。正常確定時間は、100msであるが100msに限定されない。
【0065】
第1系統110の異常継続時間タイマは、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になる継続時間を計測するタイマである。図6に示す例では、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になる時刻T12から増加するが、第1系統110の電圧が異常判定閾値以上になる時刻T13でリセットされる。
【0066】
その後、カウント値Tm1は、再び異常判定閾値以下になる時刻T16から増加を続ける。コントローラ3は、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11が第1期間である異常確定時間以上になると第1系統110の状態を異常確定とする。異常確定時間は、100msであるが、100msに限定されない。コントローラ3は、異常が確定する時刻T17を本判定のタイミングとする。
【0067】
このように、第1系統110が地絡している場合は、正常継続時間が第1期間である正常確定時間を超えることはなく正常未確定となる。一方で、第1系統110が地絡している場合は、異常継続時間が第1期間である異常確定時間を超えるため、異常確定となる。コントローラ3は、未確定より確定の状態を優先する。よって、コントローラ3は、第1系統110は異常、すなわち地絡であると本判定する。
【0068】
なお、正常確定用の第1期間と異常確定用の第1期間は同じ時間としたが、必ずしも同じ時間である必要はなく、異なる時間であってもよい。例えば、正常確定用の第1期間は100msであり、異常確定用の第1期間は80msであってよい。
【0069】
[6.正常確定時の動作説明]
図7を参照して正常確定時のコントローラ3の動作について説明する。図7は、実施形態に係る第1系統110が地絡していない正常な場合の正常確定処理の説明図である。
【0070】
図7に示す例では、第1系統110の電圧は、時刻T21で正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になり、時刻T22で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。その後、第1系統110の電圧は、時刻T23で異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になり、時刻T24で正常判定閾値以下から正常判定閾値以上になる。この場合、コントローラ3は、第1系統110の電圧が最初に異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる時刻T22で系統間スイッチ41をプレ遮断し、本判定を開始する。
【0071】
図7に示す例では、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13は、第1系統110の電圧が最初に正常判定閾値以下になる時刻T21で一旦リセットされる。カウント値Tm13は、その後、第1系統110の電圧が正常判定閾値以上になる時刻T24から増加を続ける。コントローラ3は、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13が正常確定時間以上になると第1系統110の状態を正常確定とする。コントローラ3は、正常が確定する時刻T25を本判定のタイミングとする。
【0072】
図7に示す例では、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になる時刻T22から時刻T23まで増加する。第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になる時刻T23でリセットされ、以後このリセット状態が続く。コントローラ3は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になる時刻T22から時刻T23までの時間が異常確定時間未満なら第1系統110の状態を異常未確定とする。
【0073】
このように、第1系統110が正常な場合は、異常継続時間が第1期間である異常確定時間を超えることはなく異常未確定となる。一方で、第1系統110が正常な場合は、正常継続時間が第1期間である正常確定時間を超えるため、正常確定となる。コントローラ3は、未確定より確定の状態を優先する。よって、コントローラ3は、第1系統110は正常であると本判定する。
【0074】
コントローラ3は、さらに、第2系統120の正常継続時間タイマと、第2系統120の異常継続時間タイマとを備える。第2系統120の正常継続時間タイマは、第2系統120の電圧が正常判定閾値以上になる継続時間を計測するタイマである。第2系統120の異常継続時間タイマは、第2系統120の電圧が異常判定閾値以下になる継続時間を計測するタイマである。コントローラ3は、第2系統120の正常継続時間タイマのカウント値Tm23と、第2系統120の異常継続時間タイマのカウント値Tm21とに基づいて、第1系統110のときと同様の方法により、第2系統120の正常および異常を確定させる。
【0075】
[7.正常および異常未確定時の動作説明]
図8および図9を参照して、正常および異常未確定時のコントローラ3の動作について説明する。図8は、実施形態に係る第1系統の推定処理の説明図である。図9は、実施形態に係る第2系統の推定処理の説明図である。
【0076】
コントローラ3は、確定処理によって失陥した系統を確定できない場合、推定処理を行う。具体的には、コントローラ3は、第1期間よりも長い第2期間における第1系統110の電圧および第2系統120の電圧の変化に基づいて、異常の疑いが強い系統を異常系統として推定する推定処理を行う。
【0077】
第2期間は、1s(1000ms)であるが1sに限定されない。図8および図9に示す異常判定時間は、第2期間の一例である。コントローラ3は、第1系統110および第2系統120の電圧が異常判定閾値付近を上下動する場合に、推定処理によって異常系統を推定できる。
【0078】
コントローラ3は、第1系統110の異常累計時間タイマ、第1系統110の異常累計回数カウンタ、第2系統120の異常累計時間タイマ、および第2系統120の異常累計回数カウンタを備える。
【0079】
第1系統110の異常累計時間タイマは、第1系統110の電圧が正常判定閾値以下になった累計時間と、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になった累計時間とを計測するタイマである。ここでは、第1系統110の電圧が正常判定閾値以下になった累計時間のカウント値をTm14とする。第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になった累計時間のカウント値をTm12とする。カウント値Tm12,Tm14は、本判定を開始する時刻T32から時刻T42までの第2の期間である異常判定時間の間、リセットされない。
【0080】
第1系統110の異常累計回数カウンタは、第1系統110の電圧が正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になった累計回数と、第1系統110の電圧が異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になった累計回数とを計測するカウンタである。ここでは、第1系統110の電圧が正常判定閾値以下になった累計回数のカウント値をCt12とする。第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になった累計回数のカウント値をCt11とする。カウント値Ct11,Ct12は、本判定を開始する時刻T32から時刻T42までの第2の期間である異常判定時間の間、リセットされない。
【0081】
第2系統120の異常累計時間タイマは、第2系統120の電圧が正常判定閾値以下になった累計時間と、第2系統120の電圧が異常判定閾値以下になった累計時間とを計測するタイマである。ここでは、第1系統110の電圧が正常判定閾値以下になった累計時間のカウント値をTm24とする。第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になった累計時間のカウント値をTm22とする。カウント値Tm22,Tm24は、本判定を開始する時刻T52から時刻T60までの第2の期間である異常判定時間の間、リセットされない。
【0082】
第1系統110の異常累計回数カウンタは、第1系統110の電圧が異常判定閾値以上から正常判定閾値以下になった累計回数と、第1系統110の電圧が異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になった累計回数とを計測するカウンタである。ここでは、第2系統120の電圧が正常判定閾値以下になった累計回数のカウント値をCt22とする。第1系統110の電圧が異常判定閾値以下になった累計回数のカウント値をCt21とする。カウント値Ct21,Ct22は、本判定を開始する時刻T52から時刻T60までの第2の期間である異常判定時間の間、リセットされない。
【0083】
[7-1.第1系統の推定処理]
図8に示す例では、第1系統110の電圧は、時刻T31で正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になり、時刻T32で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。その後、第1系統110の電圧は、時刻T33で異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になり、時刻T34で正常判定閾値以下から正常判定閾値以上になる。その後、第1系統110の電圧は、時刻T35で正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になり、時刻T36で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。
【0084】
その後、第1系統110の電圧は、時刻T37で異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になり、時刻T38で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。その後、第1系統110の電圧は、時刻T39で異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になり、時刻T40で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。その後、第1系統110の電圧は、時刻T41で異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になる。コントローラ3は、第1系統110の電圧が最初に異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる時刻T32で系統間スイッチ41をプレ遮断し、本判定を開始する。
【0085】
図8に示す例では、第1系統110の電圧は、時刻T34から時刻T35の間、正常判定閾値以上になる。しかし、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13は正常確定時間以内のため、異常判定時間が経過した時刻t42において、正常未確定とする。
【0086】
また、第1系統110の電圧は、異常判定時間内において、時刻T38から時刻39の間が、異常判定閾値以下になる継続時間が最も長い。しかし、コントローラ3は、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11が異常確定時間以内のため、異常判定時間が経過した時刻t42において、異常未確定とする。
【0087】
コントローラ3は、異常判定時間が経過した時刻t42において、第1系統110の正常および異常がともに未確定の場合、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm14,Tm12と、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct12,Ct11を参照する。
【0088】
また、コントローラ3は、第1系統110の正常および異常が未確定の場合、第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm24,Tm22と、第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct22,Ct21を参照する。コントローラ3は、これらのカウント値Tm14,Tm12,Tm24,Tm22、Ct12,Ct11,Ct22,Ct21に基づいて、第1系統110の正常および異常を推定する。
【0089】
図8に示す例では、異常判定時間終了時点t42の第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm14は、60になっている。異常判定時間終了時点の第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm12は、50になっている。異常判定時間終了時点の第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct12は、2になっている。異常判定時間終了時点の第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct11は、4になっている。
【0090】
[7-2.第2系統の推定処理]
図9に示す例では、第2系統120の電圧は、時刻T51で正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になり、時刻T52で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。その後、第2系統120の電圧は、時刻T53で異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になり、時刻T54で正常判定閾値以下から正常判定閾値以上になる。その後、第2系統120の電圧は、時刻T55で正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になり、時刻T56で異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる。
【0091】
その後、第2系統120の電圧は、時刻T57で異常判定閾値以下から異常判定閾値以上になり、時刻T58で正常判定閾値以下から正常判定閾値以上になる。その後、第2系統120の電圧は、時刻T59で正常判定閾値以上から正常判定閾値以下になる。コントローラ3は、第2系統120の電圧が最初に異常判定閾値以上から異常判定閾値以下になる時刻T52で系統間スイッチ41をプレ遮断し、本判定を開始する。
【0092】
図9に示す例では、第2系統120の電圧は、時刻T54から時刻T55の間、および、時刻T58から時刻T59の間で正常判定閾値以上になる。しかし、コントローラ3は、第2系統120の正常継続時間タイマのカウント値Tm23が正常確定時間以内のため、異常判定時間が経過した時刻t60において、正常未確定とする。
【0093】
また、第2系統120の電圧は、時刻T52から時刻T53の間、および、時刻T56から時刻T57の間で異常判定閾値以下になる。しかし、コントローラ3は、第2系統120の異常継続時間タイマのカウント値Tm21が異常確定時間以内のため、異常判定時間が経過した時刻t60において、異常未確定とする。
【0094】
コントローラ3は、異常判定時間が経過した時刻t60において、第2系統120の正常および異常がともに未確定の場合、第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm24,Tm22と、第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct22,Ct21を参照する。
【0095】
コントローラ3は、第2系統120の正常および異常が未確定の場合、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm14,Tm12と、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct12,Ct11とを参照する。コントローラ3は、これらのカウント値Tm14,Tm12,Tm24,Tm22、Ct12,Ct11,Ct22,Ct21に基づいて、第2系統120の正常および異常を推定する。
【0096】
図9に示す例では、異常判定時間終了時点t60の第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm24は、50になっている。異常判定時間終了時点の第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm22は、20になっている。異常判定時間終了時点の第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct22は、3になっている。異常判定時間終了時点の第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct21は、2になっている。
【0097】
電圧が異常判定閾値以下になる時間が長い系統は、異常の疑いが強い。そのため、異常判定時間が経過した時点で、第1系統110と第2系統120のどちらも正常か異常かが確定していない場合、すなわち、両系統とも正常未確定かつ異常未確定である場合、コントローラ3は、第1の推定方法として、異常判定閾値以下となった累計時間に基づき異常系統を推定する。具体的には、コントローラ3は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間と、第2系統120の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間とのうち、累計時間が長い系統を異常系統として推定する。
【0098】
第1系統110の電圧が図8に示す状態であり、かつ第2系統120の電圧が図9に示す状態の場合、第1系統110の異常累計タイマのカウント値Tm12が50である。一方、第2系統120の異常累計タイマのカウント値Tm22が20である。この場合、コントローラ3は、第1系統110を異常系統と推定する。したがって、第1系統110と第2系統120のどちらも正常か異常かが確定していない場合であっても、異常系統を推定できる。
【0099】
また、電圧が正常判定閾値以下になる時間が長い系統は、異常の疑いが強い。そのため、異常判定時間が経過した時点で、第1系統110と第2系統120のどちらも正常か異常かが確定していない場合、コントローラ3は、第2の推定方法として、正常判定閾値以下になる時間に基づき異常系統を推定する。具体的には、コントローラ3は、第1系統110の電圧が正常判定閾値以下となった累計時間と、第2系統120の電圧が正常判定閾値以下となった累計時間とのうち、累計時間が長い系統を異常系統として推定する。
【0100】
第1系統110の電圧が図8に示す状態であり、かつ第2系統120の電圧が図9に示す状態の場合、第1系統110の異常累計タイマのカウント値Tm12が60である。一方、第2系統120の異常累計タイマのカウント値Tm24が50である。この場合、コントローラ3は、第1系統110を異常系統と推定する。したがって、第1系統110と第2系統120のどちらも正常か異常かが確定していない場合であっても、異常系統を推定できる。
【0101】
ところで、コントローラ3は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間と、第2系統120の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間とが同一、または、時間差が誤差範囲内の場合、推定処理では異常系統を推定できない場合がある。
【0102】
この場合、コントローラ3は、第1系統110の電圧が正常判定閾値以下となった累計時間と、第2系統120の電圧が正常判定閾値以下となった累計時間とのうち、累計時間が長い系統を異常系統として推定する。すなわち、コントローラ3は、第1の推定方法を第1優先として異常系統を推定する。そして、コントローラ3は、第1の推定方法で異常系統を推定できない場合、第2の推定方法を用いて異常系統を推定する。
【0103】
これにより、コントローラ3は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間と、第2系統120の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間とが同一、または、時間差が誤差範囲内の場合に、異常系統を推定できる。
【0104】
また、電圧が異常閾値以下になる回数が多い系統は、異常の疑いが強い。そのため、異常判定時間が経過した時点で、第1系統110と第2系統120のどちらも正常か異常かが確定していない場合、コントローラ3は、第3の推定方法として、異常閾値以下になる回数に基づき異常系統を推定する。具体的には、コントローラ3は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下となった回数と、第2系統120の電圧が異常判定閾値以下となった回数とのうち、回数が多い系統を異常系統として推定する。
【0105】
第1系統110の電圧が図8に示す状態であり、かつ第2系統120の電圧が図9に示す状態の場合、第1系統110の異常累計カウンタのカウント値Ct11が4である。第2系統120の異常累計カウンタのカウント値Ct21が2である。この場合、コントローラ3は、第1系統110を異常系統と推定する。したがって、第1系統110と第2系統120のどちらも正常か異常かが確定していない場合であっても、異常系統を推定できる。
【0106】
また、電圧が正常閾値以下になる回数が少ない系統は、言い換えれば、電圧が正常な範囲になる回数が少ないということであり、異常の疑いが強い。そのため、異常判定時間が経過した時点で、第1系統110と第2系統120のどちらも正常か異常かが確定していない場合、コントローラ3は、第4の推定方法として、正常閾値以下になる回数に基づき異常系統を推定する。具体的には、コントローラ3は、第1系統110の電圧が正常判定閾値以下となった回数と、第2系統120の電圧が前記正常判定閾値以下となった回数とのうち、回数が少ない系統を異常系統として推定する。
【0107】
第1系統110の電圧が図8に示す状態であり、かつ第2系統120の電圧が図9に示す状態の場合、第1系統110の異常累計カウンタのカウント値Ct12が2である。第2系統120の異常累計カウンタのカウント値Ct22が3である。この場合、コントローラ3は、第1系統110を異常系統と推定する。したがって、第1系統110と第2系統120のどちらも正常か異常かが確定していない場合であっても、異常系統を推定できる。
【0108】
なお、コントローラ3は、第1系統110の電圧が正常閾値以下から正常閾値以上になった回数と、第2系統120の電圧が正常閾値以下から正常閾値以上になった回数とのうち、回数が多い系統を異常系統として推定するように構成されてもよい。
【0109】
ところで、コントローラ3は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下となった回数と、第2系統120の電圧が異常判定閾値以下となった回数とが同一、または、回数差が誤差範囲内の場合、推定処理では異常系統を推定できない場合がある。
【0110】
この場合、コントローラ3は、第1系統110の電圧が正常判定閾値以下となった回数と、第2系統120の電圧が正常判定閾値以下となった回数とのうち、累計回数が少ない系統を異常系統として推定する。すなわち、コントローラ3は、第3の推定方法を第1優先として異常系統を推定する。そして、コントローラ3は、第3の推定方法で異常系統を推定できない場合、第4の推定方法を用いて異常系統を推定する。
【0111】
これにより、コントローラ3は、第1系統110の電圧が異常判定閾値以下となった回数と、第2系統120の電圧が異常判定閾値以下となった回数とが同一、または、回数差が誤差範囲内の場合に、異常系統を推定できる。
【0112】
コントローラ3は、異常の疑いが強いと判定した系統を前記異常系統として推定したときは、異常系統を再検査するように構成されてもよい。すなわち、コントローラ3は、上記した推定処理の結果、異常の疑いが強いと判定した系統について、再度、上記した確定処理および推定処理を実行する。これにより、コントローラ3は、異常系統をより確実に推定できる。
【0113】
以上の実施形態では、コントローラ3は、第1~第4の推定方法の1つまたは組み合わせで異常系統を推定したが、第1~第4の推定方法の全てを使用して異常系統を推定してもよい。具体的には、コントローラ3は、第1~第4の推定方法でそれぞれ異常系統を推定し、最も多く異常と推定された系統を異常系統として推定する。例えば、コントローラ3が、1~第3の推定方法で第1系統が異常であると推定し、第4の推定方法で第2系統が異常であると推定したとする。この場合、3対1であるので、コントローラ3は第1系統が異常であると推定する。
【0114】
[8.コントローラが実行する処理]
次に、図10図19を参照して、実施形態に係る電源制御装置1のコントローラ3が実行する処理について説明する。図10図19は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0115】
[8-1.異常系統判定処理]
コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の電源失陥を仮判定すると、図10に示す本判定の処理を開始する。コントローラ3は、異常系統の確定および推定が完了するまで、図10に示す処理を繰り返す。コントローラ3は、本判定タイマを備える。本判定タイマは、図8および図9に示す異常判定時間を計測するタイマである。
【0116】
図10に示すように、コントローラ3は、系統間スイッチ41をオフにし、電池用スイッチ42をオンにする(ステップS101)。次いでコントローラ3は、本判定タイマをスタートさせる(ステップS102)。なお、コントローラ3は、初回の異常系統判定処理のときにステップS102の処理を実行する。コントローラ3は、2回目以降の異常系統判定処理では、ステップS101を実行した後、ステップS102を実行せずに処理をステップS103へ移す。
【0117】
次いでステップS103において、コントローラ3は、第1系統地絡計測処理を実行する。第1系統地絡計測処理の具体例については、図11を参照して後述する。次いでコントローラ3は、第1系統正常計測処理を実行する(ステップS104)。第1系統正常計測処理の具体例については、図12を参照して後述する。
【0118】
次いでコントローラ3は、第2系統地絡計測処理を実行する(ステップS105)。第2系統地絡計測処理の具体例については、図13を参照して後述する。次いでコントローラ3は、第2系統正常計測処理を実行する(ステップS106)。第2系統正常計測処理の具体例については、図14を参照して後述する。
【0119】
次いでコントローラ3は、異常確定処理を実行する(ステップS107)。異常確定処理の具体例については、図15および図16を参照して後述する。次いでコントローラ3は、本判定タイマの計測時間が閾値である異常判定時間を超えたか否かを判定する(ステップS108)。閾値は、例えば、1s(1000ms)であるが、閾値は、1sに限定されない。
【0120】
コントローラ3は、本判定タイマの計測時間が閾値を超えていないと判定した場合(ステップS108,No)、処理を終了する。その後、コントローラ3は、ステップS101から再度、異常系統判定処理を開始する。
【0121】
コントローラ3は、本判定タイマの計測時間が閾値を超えたと判定した場合(ステップS108,Yes)、第1系統110および第2系統120の両系統とも状態が確定したか否かを判定する(ステップS109)。コントローラ3は、両系統とも状態が確定したと判定した場合(ステップS109,Yes)、処理を終了する。
【0122】
その後、コントローラ3は、ステップS101から再度、異常系統判定処理を開始する。コントローラ3は、両系統のうち、いずれか一方もしくは両方とも状態が確定していないと判定した場合(ステップS109,No)、異常推定処理を実行し(ステップS110)、処理を終了する。
【0123】
異常推定処理の具体例については、図17および図18を参照して後述する。その後、コントローラ3は、ステップS101から再度、異常系統判定処理を開始する。
【0124】
[8-2.第1系統地絡計測処理]
図11を参照して、第1系統地絡計測処理について説明する。図11に示すように、コントローラ3は、第1系統地絡計測処理を開始すると、第1電圧センサ51によって検出される第1系統110の電圧V1が異常判定閾値以下か否かを判定する(ステップS201)。コントローラ3は、ステップS201の処理に代えて、第1電圧センサ51によって検出される第1系統110の電圧V1が異常判定閾値未満か否かを判定するように構成されてもよい。
【0125】
コントローラ3は、第1系統110の電圧V1が異常判定閾値以下でないと判定した場合(ステップS201,No)、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11をクリアする(ステップS206)。
【0126】
すなわち、コントローラ3は、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11を「0」にし、第1系統地絡計測処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示す第1系統正常計測処理(ステップS104)へ移す。
【0127】
コントローラ3は、第1系統110の電圧V1が異常判定閾値以下であると判定した場合(ステップS201,Yes)、第1系統110の電圧V1の変化が異常判定閾値以上から異常判定閾値以下への変化か否かを判定する(ステップS202)。
【0128】
コントローラ3は、第1系統110の電圧V1の変化が異常判定閾値以上から異常判定閾値以下への変化でないと判定した場合(ステップS202,No)、処理をステップS204へ移す。
【0129】
コントローラ3は、第1系統110の電圧V1の変化が異常判定閾値以上から異常判定閾値以下への変化であると判定した場合(ステップS202,Yes)、処理をステップS203へ移す。ステップS203において、コントローラ3は、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct11をカウントアップする。すなわち、コントローラ3は、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct11に「1」を加算する。
【0130】
次いでコントローラ3は、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11をカウントアップする(ステップS204)。次いでコントローラ3は、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm12をカウントアップし(ステップS205)、第1系統地絡計測処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示す第1系統正常計測処理(ステップS104)へ移す。
【0131】
[8-3.第1系統正常計測処理]
図12を参照して、第1系統正常計測処理について説明する。図12に示すように、コントローラ3は、第1系統正常計測処理を開始すると、第1電圧センサ51によって検出される第1系統110の電圧V1が正常判定閾値を超えたか否かを判定する(ステップS301)。コントローラ3は、ステップS301の処理に代えて、第1電圧センサ51によって検出される第1系統110の電圧V1が正常判定閾値以上か否かを判定するように構成されてもよい。
【0132】
コントローラ3は、第1系統110の電圧V1が正常判定閾値を超えたと判定した場合(ステップS301,Yes)、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13をカウントアップし(ステップS302)、第1系統正常計測処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示す第2系統地絡計測処理(ステップS105)へ移す。
【0133】
コントローラ3は、第1系統110の電圧V1が正常判定閾値を超えていないと判定した場合(ステップS301,No)、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13をクリアする(ステップS303)。すなわち、コントローラ3は、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13を「0」にする。
【0134】
次いでコントローラ3は、第1系統110の電圧V1の変化が、正常判定閾値以上から正常判定閾値以下への変化か否かを判定する(ステップS304)。コントローラ3は、第1系統110の電圧V1の変化が、正常判定閾値以上から正常判定閾値以下への変化でないと判定した場合(ステップS304,No)、処理をステップS306へ移す。
【0135】
コントローラ3は、第1系統110の電圧V1の変化が、正常判定閾値以上から正常判定閾値以下への変化であると判定した場合(ステップS304,Yes)、第1系統110の異常累計回数のカウント値Ct12をカウントアップする(ステップS305)。すなわち、コントローラ3は、第1系統110の異常累計回数のカウント値Ct12に「1」を加算する。
【0136】
次いでコントローラ3は、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm14をカウントアップし(ステップS306)、第1系統正常計測処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示す第2系統地絡計測処理(ステップS105)へ移す。
【0137】
[8-4.第2系統地絡計測処理]
図13を参照して、第2系統地絡計測処理について説明する。図13に示すように、コントローラ3は、第2系統地絡計測処理を開始すると、第2電圧センサ52によって検出される第2系統120の電圧V2が異常判定閾値以下か否かを判定する(ステップS401)。コントローラ3は、ステップS401の処理に代えて、第2電圧センサ52によって検出される第2系統120の電圧V2が異常判定閾値未満か否かを判定するように構成されてもよい。
【0138】
コントローラ3は、第2系統120の電圧V2が異常判定閾値以下でないと判定した場合(ステップS401,No)、第2系統120の異常継続時間タイマのカウント値Tm21をクリアする(ステップS406)。
【0139】
すなわち、コントローラ3は、第2系統120の異常継続時間タイマのカウント値Tm21を「0」にし、第2系統地絡計測処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示す第2系統正常計測処理(ステップS106)へ移す。
【0140】
コントローラ3は、第2系統120の電圧V2が異常判定閾値以下であると判定した場合(ステップS401,Yes)、第2系統120の電圧V2の変化が異常判定閾値以上から異常判定閾値以下への変化か否かを判定する(ステップS402)。
【0141】
コントローラ3は、第2系統120の電圧V2の変化が異常判定閾値以上から異常判定閾値以下への変化でないと判定した場合(ステップS402,No)、処理をステップS404へ移す。
【0142】
コントローラ3は、第2系統120の電圧V2の変化が異常判定閾値以上から異常判定閾値以下への変化であると判定した場合(ステップS402,Yes)、処理をステップS403へ移す。ステップS403において、コントローラ3は、第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct21をカウントアップする。すなわち、コントローラ3は、第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct21に「1」を加算する。
【0143】
次いでコントローラ3は、第2系統120の異常継続時間タイマのカウント値Tm21をカウントアップする(ステップS404)。次いでコントローラ3は、第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm22をカウントアップし(ステップS405)、第2系統地絡計測処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示す第2系統正常計測処理(ステップS106)へ移す。
【0144】
[8-5.第2系統正常計測処理]
図14を参照して、第2系統正常計測処理について説明する。図14に示すように、コントローラ3は、第2系統正常計測処理を開始すると、第2電圧センサ52によって検出される第2系統120の電圧V2が正常判定閾値を超えたか否かを判定する(ステップS501)。コントローラ3は、ステップS501の処理に代えて、第2電圧センサ52によって検出される第2系統120の電圧V2が正常判定閾値以上か否かを判定するように構成されてもよい。
【0145】
コントローラ3は、第2系統120の電圧V2が正常判定閾値を超えたと判定した場合(ステップS501,Yes)、第2系統120の正常継続時間タイマのカウント値Tm23をカウントアップし(ステップS502)、第2系統正常計測処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示す異常確定処理(ステップS107)へ移す。
【0146】
コントローラ3は、第2系統120の電圧V2が正常判定閾値を超えていないと判定した場合(ステップS501,No)、第2系統120の正常継続時間タイマのカウント値Tm23をクリアする(ステップS503)。すなわち、コントローラ3は、第2系統120の正常継続時間タイマのカウント値Tm23を「0」にする。
【0147】
次いでコントローラ3は、第2系統120の電圧V1の変化が、正常判定閾値以上から正常判定閾値以下への変化か否かを判定する(ステップS504)。コントローラ3は、第2系統120の電圧V2の変化が、正常判定閾値以上から正常判定閾値以下への変化でないと判定した場合(ステップS504,No)、処理をステップS506へ移す。
【0148】
コントローラ3は、第2系統120の電圧V2の変化が、正常判定閾値以上から正常判定閾値以下への変化であると判定した場合(ステップS504,Yes)、第2系統120の異常累計回数のカウント値Ct22をカウントアップする(ステップS505)。すなわち、コントローラ3は、第2系統120の異常累計回数のカウント値Ct22に「1」を加算する。
【0149】
次いでコントローラ3は、第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm24をカウントアップし(ステップS506)、第2系統正常計測処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示す異常確定処理(ステップS107)へ移す。
【0150】
[8-6.異常確定処理]
図15および図16を参照して、異常確定処理について説明する。図15に示すように、コントローラ3は、異常確定処理を開始すると、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11が異常確定時間以上か否かを判定する(ステップS601)。
【0151】
コントローラ3は、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11が異常確定時間以上でないと判定した場合(ステップS601,No)、処理をステップS604へ移す。
【0152】
コントローラ3は、第1系統110の異常継続時間タイマのカウント値Tm11が異常確定時間以上であると判定した場合(ステップS601,Yes)、第1系統110を異常系統と確定する(ステップS602)。
【0153】
次いでコントローラ3は、第1系統110が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS603)。上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。
【0154】
次いでコントローラ3は、第2系統120の異常継続時間タイマのカウント値Tm21が異常確定時間以上か否かを判定する(ステップS604)。第2系統120の異常継続時間タイマのカウント値Tm21が異常確定時間以上でないと判定した場合(ステップS604,No)、図16に示す処理をステップS608へ移す。
【0155】
コントローラ3は、第2系統120の異常継続時間タイマのカウント値Tm21が異常確定時間以上であると判定した場合(ステップS604,Yes)、第2系統120を異常系統と確定する(ステップS605)。
【0156】
次いでコントローラ3は、第2系統120が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS606)。上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。
【0157】
次いでコントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにし(ステップS607)、処理を図16に示すステップS608へ移す。ステップS608において、コントローラ3は、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13が正常確定時間以上か否かを判定する。
【0158】
コントローラ3は、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13が正常確定時間以上でないと判定した場合(ステップS608,No)、処理をステップS610へ移す。コントローラ3は、第1系統110の正常継続時間タイマのカウント値Tm13が正常確定時間以上であると判定した場合(ステップS608,Yes)、第1系統110を正常系統と確定する(ステップS609)。
【0159】
次いでコントローラ3は、第2系統120の正常継続時間タイマのカウント値Tm23が正常確定時間以上か否かを判定する(ステップS610)。コントローラ3は、第2系統120の正常継続時間タイマのカウント値Tm23が正常確定時間以上でないと判定した場合(ステップS610,No)、処理をステップS612へ移す。
【0160】
コントローラ3は、第2系統120の正常継続時間タイマのカウント値Tm23が正常確定時間以上であると判定した場合(ステップS610,Yes)、第2系統120を正常と確定する(ステップS611)。
【0161】
コントローラ3は、第1系統110および第2系統120の両系統とも正常系統と確定したか否かを判定する(ステップS612)。コントローラ3は、両系統とも正常系統と確定したと判定した場合(ステップS612,Yes)、系統間スイッチ41をオンにすると共に、電池用スイッチ42をオフにする(ステップS613)。これにより、電源制御装置1は通常状態に戻る。
【0162】
コントローラ3は、両系統のうち、いずれか一方もしくは両方とも正常系統と確定していないと判定した場合(ステップS612,No)、異常確定処理を終了する。その後、コントローラ3は、処理を図10に示すステップS108へ移す。
【0163】
[8-7.異常推定処理]
図17および図18を参照して、異常推定処理について説明する。図17に示すように、コントローラ3は、異常推定処理を開始すると、第1系統110および第2系統120の両系統とも、異常系統か正常系統かが未定なのか否かを判定する(ステップS701)。すなわち、コントローラ3は、第1系統110が正常であるか異常であるかが確定しておらず、かつ第2系統120が正常であるか異常であるかが確定していないかどうかを判定する。コントローラ3は、両系統のうち、いずれか一方もしくは両方とも未定でないと判定した場合(ステップS701,No)、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0164】
コントローラ3は、両系統とも未定と判定した場合(ステップS701,Yes)、処理をステップS702へ移す。ステップS702において、コントローラ3は、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm12と、第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm22との差の絶対値が有意差αより大きいか否かを判定する(ステップ702)。有意差αは、シミュレーションまたは試験によって任意の値に設定が可能である。
【0165】
コントローラ3は、当該絶対値が有意差αより大きいと判定した場合(ステップS702,Yes)、処理をステップS703へ移す。ステップS703において、コントローラ3は、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm12が第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm22よりも大きいか否かを判定する。
【0166】
コントローラ3は、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm12が第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm22よりも大きいと判定した場合(ステップS703,Yes)、処理をステップS704へ移す。ステップS704において、コントローラ3は、第1系統110を異常系統として推定する。
【0167】
次いでコントローラ3は、第1系統110が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS705)。上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。次いでコントローラ3は、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0168】
一方、コントローラ3は、ステップS703において第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm12が第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm22よりも大きくないと判定した場合(ステップS703,No)、処理をステップS706へ移す。
【0169】
ステップS706において、コントローラ3は、第2系統120を異常系統として推定する。次いでコントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにする(ステップS707)。次いでコントローラ3は、第2系統120が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS708)。
【0170】
上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。次いでコントローラ3は、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0171】
コントローラ3は、ステップS702において第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm12と第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm22との差の絶対値が有意差αより大きくないと判定した場合(ステップS702,No)、処理をステップS709へ移す。
【0172】
ステップS709において、コントローラ3は、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm14が第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm24よりも大きいか否かを判定する。
【0173】
コントローラ3は、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm14が第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm24よりも大きいと判定した場合(ステップS709,Yes)、処理をステップS710へ移す。ステップS710において、コントローラ3は、第1系統110を異常系統として推定する。
【0174】
次いでコントローラ3は、第1系統110が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS711)。上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。次いでコントローラ3は、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0175】
コントローラ3は、ステップS709において、第1系統110の異常累計時間タイマのカウント値Tm14が第2系統120の異常累計時間タイマのカウント値Tm24よりも大きくないと判定した場合(ステップS709,No)、処理をステップS712へ移す。
【0176】
ステップS712において、コントローラ3は、第2系統120を異常系統として推定する。次いでコントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにする(ステップS713)。次いでコントローラ3は、第2系統120が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS714)。
【0177】
上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。次いでコントローラ3は、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0178】
ステップS715において、コントローラ3は、第1系統110の状態を異常確定と判定し、かつ第2系統120の状態を未定と判定したか否かを判定する。コントローラ3は、第1系統110の状態を異常確定と判定せず、かつ第2系統120の状態を未定と判定いない場合(ステップS715,No)、処理をステップS717へ移す。
【0179】
コントローラ3は、第1系統110の状態を異常確定と判定し、かつ第2系統120の状態を未定と判定した場合(ステップS715,Yes)、第2系統120で退避走行する旨を自動運転制御装置100に通知する(ステップS716)。
【0180】
次いでコントローラ3は、第1系統110の状態を未定と判定し、かつ第2系統120の状態を異常確定と判定したか否かを判定する(ステップS717)。コントローラ3は、第1系統110の状態を未定と判定せず、かつ第2系統120の状態を異常確定と判定しない場合(ステップS717,No)、処理をステップS719へ移す。
【0181】
コントローラ3は、第1系統110の状態を未定と判定し、かつ第2系統120の状態を異常確定と判定した場合(ステップS717,Yes)、第1系統110で退避走行する旨を自動運転制御装置100に通知する(ステップS718)。
【0182】
次いでコントローラ3は、第1系統110の状態を正常と推定し、かつ第2系統120の状態を未定と推定したか否かを判定する(ステップS719)。コントローラ3は、第1系統110の状態を正常と推定し、かつ第2系統120の状態を未定と推定していないと判定した場合(ステップS719,No)、処理をステップS722へ移す。
【0183】
コントローラ3は、第1系統110の状態を正常と推定し、かつ第2系統120の状態を未定と推定したと判定した場合(ステップS719,Yes)、電池用スイッチ42をオフにする(ステップS720)。次いでコントローラ3は、第1系統110で退避走行する旨を自動運転制御装置100に通知する(ステップS721)。
【0184】
次いでコントローラ3は、第1系統110の状態を未定と推定し、かつ第2系統120の状態を正常と推定したか否かを判定する(ステップS722)。コントローラ3は、第1系統110の状態を未定と推定し、かつ第2系統120の状態を正常と推定していないと判定した場合(ステップS722,No)、異常推定処理を終了する。
【0185】
コントローラ3は、第1系統110の状態を未定と推定し、かつ第2系統120の状態を正常と推定したと判定した場合(ステップS722,Yes)、第2系統120で退避走行する旨を自動運転制御装置100に通知し(ステップS723)異常推定処理を終了する。
【0186】
図17に示す処理は、一例であり変更可能である。コントローラ3は、ステップS702、ステップS709~S714の処理を省略できる。この場合、コントローラ3は、両系統とも未定と判定した場合(ステップS701,Yes)、処理をステップS703へ移す。
【0187】
コントローラ3は、ステップS702~S708の処理を省略できる。この場合、コントローラ3は、両系統とも未定と判定した場合(ステップS701,Yes)、処理をステップS709へ移す。
【0188】
[8-8.異常推定処理の変形例]
図19を参照して、変形例に係る異常推定処理について説明する。図19に示すように、コントローラ3は、変形例に係る異常推定処理を開始すると、第1系統110および第2系統120の両系統とも、異常系統か正常系統かが未定なのか否かを判定する(ステップS801)。コントローラ3は、両系統のうち、いずれか一方もしくは両方とも未定でないと判定した場合(ステップS801,No)、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0189】
コントローラ3は、両系統とも未定と判定した場合(ステップS801,Yes)、処理をステップS802へ移す。ステップS802において、コントローラ3は、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct11と、第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct21との差の絶対値が0より大きいか否かを判定する(ステップ802)。
【0190】
コントローラ3は、当該絶対値が0より大きいと判定した場合(ステップS802,Yes)、処理をステップS803へ移す。ステップS803において、コントローラ3は、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct11が第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct21よりも大きいか否かを判定する。
【0191】
コントローラ3は、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct11が第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct21よりも大きいと判定した場合(ステップS803,Yes)、処理をステップS804へ移す。ステップS804において、コントローラ3は、第1系統110を異常系統として推定する。
【0192】
次いでコントローラ3は、第1系統110が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS805)。上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。次いでコントローラ3は、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0193】
一方、コントローラ3は、ステップS803において第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct11が第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct21よりも大きくないと判定した場合(ステップS803,No)、処理をステップS806へ移す。
【0194】
ステップS806において、コントローラ3は、第2系統120を異常系統として推定する。次いでコントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにする(ステップS807)。次いでコントローラ3は、第2系統120が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS808)。
【0195】
上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。次いでコントローラ3は、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0196】
コントローラ3は、ステップS802において第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct11と、第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct21との差の絶対値が0より大きくないと判定した場合(ステップS802,No)、処理をステップS809へ移す。
【0197】
ステップS809において、コントローラ3は、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct12が第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct22よりも大きいか否かを判定する。
【0198】
コントローラ3は、第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct12が第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct22よりも大きいと判定した場合(ステップS809,Yes)、処理をステップS810へ移す。ステップS810において、コントローラ3は、第1系統110を異常系統として推定する。
【0199】
次いでコントローラ3は、第1系統110が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS811)。上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。次いでコントローラ3は、処理を図18に示すステップS715へ移す。
【0200】
コントローラ3は、ステップS809において第1系統110の異常累計回数カウンタのカウント値Ct12が第2系統120の異常累計回数カウンタのカウント値Ct22よりも大きくないと判定した場合(ステップS809,No)、処理をステップS812へ移す。
【0201】
ステップS812において、コントローラ3は、第2系統120を異常系統として推定する。次いでコントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにする(ステップS813)。次いでコントローラ3は、第2系統120が異常系統であることを上位ECUへ通知する(ステップS814)。
【0202】
上位ECUは、自動運転制御装置100である。上位ECUは、車両全体を制御するセントラルECUなど、他のECUであってもよい。次いでコントローラ3は、処理を図18に示すステップS715へ移す。その後、コントローラ3は、図18に示すステップS715~S723の処理を実行し異常推定処理を終了する。
【0203】
図19に示す処理は、一例であり変更可能である。コントローラ3は、ステップS802、ステップS809~S814の処理を省略できる。この場合、コントローラ3は、両系統とも未定と判定した場合(ステップS801,Yes)、処理をステップS803へ移す。
【0204】
コントローラ3は、ステップS802~S808の処理を省略できる。この場合、コントローラ3は、両系統とも未定と判定した場合(ステップS801,Yes)、処理をステップS809へ移す。
【0205】
[9.変形例に係る電源制御装置]
図20は、実施形態の変形例に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。図20に示すように、電源制御装置1Aは、第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103に加えて、第3負荷104と、第4負荷105とに接続される。
【0206】
第2系統120と、第2負荷103との間には、第1負荷スイッチ43が設けられる。第2系統120と、第3負荷104との間には、第2負荷スイッチ44が設けられる。第2系統120と、第4負荷105との間には、第3負荷スイッチ45が設けられる。
【0207】
コントローラ3は、上記した確定処理または推定処理によって第2系統120を異常系統として確定または推定した場合、第1~第3負荷スイッチ43~45を全てがオンになっている状態から1つずつオフしてオンする。
【0208】
コントローラ3は、第1~第3負荷スイッチ43~45のうち、オフしたときに第2電圧センサ52によって検出される第2系統120の電圧が増大した場合、オフした負荷スイッチの負荷側が地絡していると判定する。コントローラ3は、負荷側が地絡していると判定した負荷スイッチを再度オフにする。
【0209】
これにより、コントローラ3は、第2系統120を異常系統として確定または推定した場合に、第2系統120に接続される第2~第4負荷103~105のうち、地絡と無関係な負荷の動作を継続させることができる。
【0210】
[10.付記]
付記として、本発明の特徴を以下の通り示す。
(1)
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置と、前記接続装置を制御するコントローラとを有する電源制御装置であって、
前記コントローラは、
前記第1系統または前記第2系統の電源失陥を検出すると、前記系統間ラインを切断するように前記接続装置を制御し、第1期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、失陥した系統を確定する確定処理を行い、
前記確定処理によって前記失陥した系統を確定できない場合、前記第1期間よりも長い第2期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、異常の疑いが強い系統を異常系統として推定する推定処理を行う、
電源制御装置。
(2)
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間と、前記第2系統の電圧が前記異常判定閾値以下となった累計時間とを計測し、前記累計時間が長い系統を前記異常系統として推定する、
(1)に記載の電源制御装置。
(3)
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が正常判定閾値以下となった累計時間と、前記第2系統の電圧が前記正常判定閾値以下となった累計時間とを計測し、前記累計時間が長い系統を前記異常系統として推定する、
(1)または(2)に記載の電源制御装置。
(4)
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が異常判定閾値以下となった累計時間と、前記第2系統の電圧が前記異常判定閾値以下となった累計時間とを計測し、
前記第1系統の電圧が正常判定閾値以下となった累計時間と、前記第2系統の電圧が前記正常判定閾値以下となった累計時間とを計測し、
前記異常判定閾値以下となった累計時間が長い系統を前記異常系統として推定し、前記推定処理によって前記異常系統を推定できない場合は、前記正常判定閾値以下となった累計時間が長い系統を前記異常系統として推定する、
(1)に記載の電源制御装置。
(両系統の時間が同一または時間差が誤差範囲内の場合)
(5)
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が異常判定閾値以下となった回数と、前記第2系統の電圧が前記異常判定閾値以下となった回数とを計測し、
前記回数が多い系統を前記異常系統として推定する、
(1)に記載の電源制御装置。
(6)
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が正常判定閾値以下となった回数と、前記第2系統の電圧が前記正常判定閾値以下となった回数とを計測し、前記回数が少ない系統を異常系統として推定する、
(1)または(5)に記載の電源制御装置。
(7)
前記コントローラは、
前記第1系統の電圧が異常判定閾値以下となった回数と、前記第2系統の電圧が前記異常判定閾値以下となった回数とを計測し、
前記第1系統の電圧が正常判定閾値以下となった回数と、前記第2系統の電圧が前記正常判定閾値以下となった回数とを計測し、
前記異常判定閾値以下となった回数が多い系統を前記異常系統として推定し、前記推定処理によって前記異常系統を推定できない場合は、前記正常判定閾値以下となった回数が少ない系統を前記異常系統として推定する、
(1)に記載の電源制御装置。
(8)
前記コントローラは、
異常の疑いが強い系統を失陥系統として推定したときは、再度、前記確定処理および前記推定処理を行う、
(1)から(7)のいずれか一つに記載の電源制御装置。
(9)
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置と、前記接続装置を制御するコントローラとを有する電源制御装置の前記コントローラが、
前記第1系統または前記第2系統の電源失陥を検出すると、前記系統間ラインを切断するように前記接続装置を制御し、第1期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、失陥した系統を確定する確定処理を行い、
前記確定処理によって前記失陥した系統を確定できない場合、前記第1期間よりも長い第2期間における前記第1系統の電圧および前記第2系統の電圧の変化に基づいて、異常の疑いが強い系統を異常系統として推定する推定処理を行う、
電源制御方法。
【0211】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0212】
1,1A 電源制御装置
3 コントローラ
10 第1電源
20 第2電源
41 系統間スイッチ
42 電池用スイッチ
43 第1負荷スイッチ
44 第2負荷スイッチ
45 第3負荷スイッチ
51 第1電圧センサ
52 第2電圧センサ
100 自動運転制御装置
101 第1負荷
102 一般負荷
103 第2負荷
104 第3負荷
105 第4負荷
110 第1系統
120 第2系統
130 系統間ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
図19
図20