(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095355
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】キャビネット
(51)【国際特許分類】
A47B 88/403 20170101AFI20240703BHJP
A47B 31/00 20060101ALI20240703BHJP
A47B 88/53 20170101ALI20240703BHJP
A47B 88/487 20170101ALI20240703BHJP
【FI】
A47B88/403
A47B31/00 E
A47B88/53
A47B88/487
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212583
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】520173222
【氏名又は名称】株式会社西尾
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】西尾 秀俊
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA06
3B160AB47
3B160EA03
3B160EA13
3B160EB61
(57)【要約】
【課題】キャビネットを動かすことなくその配置方向性による作業性の低下を抑制でき、特に狭いスペースでの共用において作業能率の向上に寄与するキャビネットを提供する。
【解決手段】キャビネット2は、天板4と、上下方向に配置された5段の引き出し(6a~6e)と、を備えるキャビネット本体8と、天板4と最上段の引き出し6aとの間に配置された2段の平板状のスライドテーブル10、12と、を備え、スライドテーブル10、12は、該スライドテーブル10、12とキャビネット本体8との間に配設されるスライドレールを介してキャビネット本体の正面側Y1と背面側Y2の両方の側から任意に引き出し可能に設けられている。スライドレールは、正面側Y1と背面側Y2におけるスライドテーブル10、12の引き出しを所定の引き出し位置で止める構成を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板及び上下方向に配置された1段以上の引き出しを備えるキャビネット本体と、
前記天板の下方側に配置された平板状のスライドテーブルと、
を備え、
前記スライドテーブルは、該スライドテーブルと前記キャビネット本体との間に配設されるスライドレールを介して前記キャビネット本体の正面側と背面側の両方の側から任意に引き出し可能に設けられていることを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記スライドテーブルが前記天板と最上段の前記引き出しとの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記スライドレールが、前記正面側と前記背面側における前記スライドテーブルの引き出しを所定の引き出し位置で止める構成を有していることを特徴とする請求項2に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記スライドレールが、前記キャビネット本体に固定されるアウターレールと、前記スライドテーブルの側面に固定され、前記アウターレールに係合するインナーレールと、複数のボールを保持し、前記アウターレールと前記インナーレールとの間に前記アウターレール及び前記インナーレールの長手方向に独立して移動可能に介装された短尺のリテーナと、を備え、前記スライドテーブルの引き出し方向における前記アウターレールの先端側と前記インナーレールの後端側との間に前記リテーナが挟まれることにより前記インナーレールの移動が制限される構成を有していることを特徴とする請求項3に記載のキャビネット。
【請求項5】
前記スライドテーブルが上下方向に2段以上配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットに関し、特に病院や歯科医院の診察や治療などでの使用に適したキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、歯科医院での診察や治療時に用いられるキャビネットは、一般的に、上下方向に高さを有する直方体状の外郭を有するキャビネット本体と、キャビネット本体の上端に設けられた天板と、天板の下方に前後方向に出し入れ可能に配置された複数段の引き出しと、を備え、キャスターで移動可能となっている。
【0003】
平坦な載置面を有する天板は本来上面板としての位置付けにすぎないが、診察や治療に使われる小物器材等を一時的に載せたり、ノートブック型やタブレット型のコンピュータやマウスを載せて一時的な作業スペースとして使うなど、利便性が高い。特許文献1には、ノートブック型等のコンピュータを使わない場合には液体の飛沫などが容易にかからないようにある程度隔離された場所に格納しておくことが望ましい、という観点から、天板と最上段の引き出しとの間に、前後方向に出し入れ可能な平板状のトレーを設けたキャビネットが提案されている。トレーの収納時には、トレーの上面側は天板で覆われるため、引き出しに入れて収納した場合と同等の保護機能を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、歯科医院等では比較的狭いスペースでドクターやアシスタントが効率的に作業ができるように治療機器やキャビネットが配置されており、1つのキャビネットを複数人で共用する場合も多い。このような環境下で特許文献1に記載のキャビネットでトレーを共用しようとする場合、キャビネットは特定の1人に対応した配置となっているため、他の人がキャビネットを動かさずにトレーを使おうとする場合には、キャビネットの正面側に回り込む必要がある。このため、キャビネットの配置方向性(向き)によって作業性が低下することを否めなかった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャビネットを動かすことなくその配置方向性による作業性の低下を抑制でき、特に狭いスペースでの共用において作業能率の向上に寄与するキャビネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のキャビネット(2)は、天板(4)及び上下方向に配置された1段以上の引き出し(6a~6e)を備えるキャビネット本体(8)と、天板(4)の下方側に配置された平板状のスライドテーブル(10、12)と、を備え、スライドテーブル(10、12)は、該スライドテーブル(10、12)とキャビネット本体(8)との間に配設されるスライドレール(32A、32B)を介してキャビネット本体(8)の正面側と背面側の両方の側から任意に引き出し可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るキャビネットによれば、キャビネットを動かすことなくキャビネットを挟んだ異なる作業域でスライドテーブルの使用を共用することができ、キャビネットの配置方向性による作業性の低下を抑制でき、特に狭いスペースでの共用において作業能率の向上に寄与することができる。
【0009】
また、上記のキャビネット(2)では、スライドテーブル(10、12)が天板(4)と最上段の引き出し(6a)との間に配置されていることを特徴とする。これによれば、天板に近い位置で平板状のスライドテーブルを使用でき、天板との相補的な使用も可能となり、載置スペースや作業スペースの拡大を図ることができる。また、椅子に座った作業でのスライドテーブルの適度な高さを得ることができる。
【0010】
また、上記のキャビネット(2)では、スライドレール(32A、32B)が、正面側と背面側におけるスライドテーブル(10、12)の引き出しを所定の引き出し位置で止める構成を有していることを特徴とする。これによれば、スライドテーブルの引き出し量を気にすることなく、最大引き出し位置に引き出すことができ、異なる作業域での使用性の向上を図ることができる。
【0011】
また、上記のキャビネット(2)では、スライドレール(32A、32B)が、キャビネット本体(8)に固定されるアウターレール(34)と、スライドテーブル(10、12)の側面(10aL、10aR)に固定され、アウターレール(34)に係合するインナーレール(36)と、複数のボール(38)を保持し、アウターレール(34)とインナーレール(36)との間にアウターレール(34)及びインナーレール(36)の長手方向に独立して移動可能に介装された短尺のリテーナ(40)と、を備え、スライドテーブル(10、12)の引き出し方向におけるアウターレール(34)の先端側とインナーレール(36)の後端側との間にリテーナ(40)が挟まれることによりインナーレール(36)の移動が制限される構成を有していることを特徴とする。これによれば、スライドテーブルを最大引き出し位置で確実に止めることができる。
【0012】
また、上記のキャビネット(2)では、スライドテーブル(10、12)が上下方向に2段以上配置されていることを特徴とする。これによれば、キャビネットの正面側と反対側とで異なるスライドテーブルを同時に使用することができ、作業能率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キャビネットを動かすことなくその配置方向性による作業性の低下を抑制でき、特に狭いスペースでの共用において作業能率の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャビネットの斜視図である。
【
図2】
図1で示したキャビネットにおける2段のスライドテーブルのうちの一つを引き出した状態の斜視図である。
【
図3】
図1に示す状態から拡張板を上方に回動して水平に設定した状態の平面図である。
【
図4】
図1で示したキャビネットにおける2段のスライドテーブルが正面側と背面側の両方に引き出し可能であることを示す一部破断の概要側面図である。
【
図5】
図1で示したキャビネットにおけるスライドテーブルを支持するスライドレールを示す一部省略の分解斜視図である。
【
図6】
図5で示したスライドレールの組み付け状態を背面側から見た概要正面図である。
【
図7】
図1で示したキャビネットにおけるスライドテーブルの引き出し動作を示す水平断面図で、(a)はスライドテーブルがキャビネット本体に収納されている状態を示す図、(b)はスライドテーブルを正面側へ引き出した状態を示す図、(c)はスライドテーブルを背面側へ引き出した状態を示す図である。
【
図8】
図1で示したキャビネットにおける両側での使用状態を示す概要側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1及び
図2は、本実施形態に係るキャビネット2をその前方左斜めから見た状態を示している。キャビネット2は、天板4及び複数段(ここでは5段)の引き出し6a~6e等を備えるキャビネット本体8と、天板4の下方側に配置された上下方向に2段の平板状のスライドテーブル10、12と、を備え、各スライドテーブル10、12は、後述するスライドレールを介してキャビネット本体8の前後方向(矢印Y方向)の正面側(矢印Y1)と背面側(矢印Y2)の両方の側から任意に引き出し可能に設けられている。キャビネット本体8は上下方向(矢印Z方向)に延びる直方体の外郭を有し、スライドテーブル10、12は、天板4と最上段の引き出し6aとの間に配置されている。
図2は下段のスライドテーブル12を正面側に引き出した状態を示している。なお、正面側は前面側と、背面側は後面側と同義である。
【0017】
天板4は左右の側板14、16と背面板17の上端に固定されている。天板4の上面4aには、金属製の線材をコ字状に折り曲げてなる落下防止用の柵18a~18cが左右両側と背面側に固定されている。左側板14には、金属製の線材をコ字状に折り曲げてなるホルダ20a~20cが固定されており、ファイル22やカルテ等を収容保持できるようになっている。キャビネット本体8の底板24の下面四隅にはキャスター26が固定されており、キャビネット2は床面を移動可能となっている。
図1において、符号Xはキャビネット2の幅方向(左右方向)を示し、6a-1~6e-1は、引き出し6a~6eの取っ手を示している。
【0018】
右側板16の上部には、天板4の載置面積を拡張する拡張板28が支持金具30(
図3参照)により折り畳み自在に設けられている。
図1及び
図2は拡張板28を使用しない状態を示しており、拡張板28は右側板16に沿う状態に折り畳まれている。拡張板28を上方に回動すると、
図3に示すように、前後方向に一対配置された支持金具30により拡張板28は天板4と上面が一致する状態に保持される。これにより天板4と同一平面における載置スペース又は作業スペースを拡大することができる。
【0019】
図4に示すように、各スライドテーブル10、12はそれぞれ、矩形の平板状のテーブル本体10a、12aと、正面側に位置する指掛け用の取っ手10b、12bと、背面側に位置する指掛け用の取っ手10c、12cと、を備えている。二点鎖線で示すように、各スライドテーブル10、12はそれぞれ、正面側(矢印Y1)と背面側(矢印Y2)の両方の側から任意に引き出し可能に設けられている。
【0020】
図5乃至
図7を参照して、各スライドテーブル10、12をスライド可能に且つ両側引き出し可能に支持するスライドレールの構成を説明する。
【0021】
図7(a)に示すように、スライドテーブル10は、テーブル本体10aの左側面10aLを左スライドレール32Aでスライド可能に支持され、右側面10aRを右スライドレール32Bでスライド可能に支持されている。左スライドレール32Aと右スライドレール32Bは同一構成を有し、スライドテーブル12においても同様の構成となっている。このため、代表して上段のスライドテーブル10に対する左スライドレール32Aについて
図5を参照して説明する。
【0022】
図5は、左スライドレール32Aを背面側から見た分解斜視図である。左スライドレール32Aは、正面側と背面側におけるスライドテーブル10の引き出しを所定の引き出し位置で止める構成を有している。具体的には、左スライドレール32Aは、キャビネット本体8の左側板14の内面14aに固定されるアウターレール34と、テーブル本体10aの左側面10aLに固定され、アウターレール34に係合するインナーレール36と、複数のボール38を保持し、アウターレール34とインナーレール36との間にアウターレール34及びインナーレール36の長手方向に独立して移動(摺動)可能に介装された短尺のリテーナ40と、を備え、スライドテーブル10の引き出し方向(正面方向または背面方向)におけるアウターレール34の先端側とインナーレール36の後端側との間にリテーナ40が挟まれることによりインナーレール36の移動が制限される構成を有している。アウターレール34、インナーレール36及びリテーナ40はいずれも断面コ字状に形成されている。アウターレール34、インナーレール36及びボール38は鋼材で形成され、リテーナ40は合成樹脂で形成されている。
【0023】
アウターレール34の前後方向(Y方向)の長さS1と、インナーレール36の前後方向の長さS2はスライドテーブル10のテーブル本体10aの前後方向の長さと略同一であり、リテーナ40の前後方向の長さS3は、アウターレール34の長さS1やインナーレール36の長さS2の約1/3の短尺となっている。
図5ではアウターレール34とインナーレール36の長さを一部省略して表示している。
【0024】
アウターレール34は、長手方向(Y方向)の両端部近傍と中央部に形成された各3つのネジ挿通孔34aを介して不図示の固定ネジで左側板14の内面14aに固定されている。アウターレール34の上下側面の外面には、ボール38が転動する案内溝34bが側面を湾曲させて形成されている。また、長手方向の両端部における内側には、リテーナ40を止めるストッパ34cが切り起こして形成されている。インナーレール36は、長手方向の両端部と中央部に形成されたネジ挿通孔36aを介して不図示の固定ネジでテーブル本体10aの左側面10aLに固定されている。インナーレール36の上下側面の内面には、ボール38が転動する案内溝36bが側面を湾曲させて形成されている。また、長手方向の両端には、リテーナ40の長手方向の端面が当接する一対の凸部36cがカシメ等の方法により形成されており、凸部36c間の幅Wはアウターレール34の通過を許容する大きさに設定されている。リテーナ40の上下側面40a、40bの長手方向両端部近傍にはそれぞれ3つのボール38が回転可能に保持されている。リテーナ40の側面(底面)40cの長手方向両端部には凹部40dが形成されているとともに、アウターレール34のストッパ34cに当接する当接片40eが形成されている。
【0025】
図6は、左スライドレール32Aが組み付けられた状態(使用状態)を示している。リテーナ40に保持されたボール38は、アウターレール34の案内溝34bとインナーレール36の案内溝36bとの間に挟まれた状態で転動する。
図6ではアウターレール34のネジ挿通孔34aやインナーレール36のネジ挿通孔36aは省略している。
【0026】
図7を参照してスライドテーブル10の引き出し操作を説明する。なお、
図7では分り易くするために実線と隠れ線(点線)の区別を厳密にしていない。
図7(a)は、スライドテーブル10がキャビネット本体8に収納されている状態を示している。この状態ではリテーナ40は独立して移動可能であるために任意の位置に存在し、左スライドレール32Aと右スライドレール32Bとでリテーナ40の位置が一致するとは限らない。
【0027】
図7(b)に示すように、スライドテーブル10をその取っ手10bに指を掛けて正面側に引き出すと、スライドテーブル10の移動に伴うインナーレール36との摺動摩擦でリテーナ40も正面側へ非同期的に移動する。リテーナ40の先端側(正面側)の当接片40eがアウターレール34の先端側(正面側)のストッパ34cに当接すると、リテーナ40は移動を止められ、その後インナーレール36の後端側(背面側)の凸部36cがリテーナ40の後端側(背面側)の端面に当接する。すなわち、スライドテーブル10の引き出し方向におけるアウターレール34の先端側とインナーレール36の後端側との間にリテーナ40が挟まれることによりインナーレール36の移動が制限される。右スライドレール32Bにおいても同様であり、これにより、スライドテーブル10はそれ以上の引き出しを制限される。この制限された位置がスライドテーブル10の所定の引き出し位置(最大引き出し位置)である。
【0028】
ここではリテーナ40がインナーレール36の後端側の凸部36cよりも先に移動して止まる例で説明したが、インナーレール36の後端側の凸部36cでリテーナ40が押されて移動して止まる場合も最終的には同じ状態となり、スライドテーブル10は所定の引き出し位置で止まる。
【0029】
引き出したスライドテーブル10を
図7(a)に示す収納位置に戻す場合には、収納位置で止める構成は特に存在せず、使用者はスライドテーブル10の取っ手10bが左右側板14、16の正面側の先端面に略一致するように押し込む操作となる。すなわち、引き出したスライドテーブル10を所定の収納位置へ戻す作業は目視による手動操作で行われる。このようにすることにより、左スライドレール32Aと右スライドレール32Bが徒に複雑化することを回避することができる。
【0030】
図7(c)に示すように、スライドテーブル10をその取っ手10cに指を掛けて背面側に引き出す場合も上記と同様の動作となる。すなわち、スライドテーブル10の移動に伴うインナーレール36との摺動摩擦でリテーナ40も背面側へ非同期的に移動する。リテーナ40の先端側(背面側)の当接片40eがアウターレール34の先端側(背面側)のストッパ34cに当接すると、リテーナ40は移動を停止し、その後インナーレール36の後端側(正面側)の凸部36cがリテーナ40の後端側(正面側)の端面に当接する。すなわち、スライドテーブル10の引き出し方向におけるアウターレール34の先端側(背面側)とインナーレール36の後端側(正面側)との間にリテーナ40が挟まれることによりインナーレール36の移動が制限される。右スライドレール32Bにおいても同様であり、これにより、スライドテーブル10は背面側へのそれ以上の引き出しを制限される。背面側に引き出したスライドテーブル10を
図7(a)に示す収納位置に戻す場合も上記と同様に目視による手動操作で位置決めされる。
【0031】
上記のように、本実施形態に係るキャビネット2によれば、スライドテーブル10、12をそれぞれ正面側と背面側との両方に任意に引き出すことができるので、1つのスライドテーブル10又は12を、異なる作業スペースであるキャビネット本体8の正面側と背面側とで交互に使用することができる他、
図8に示すように、1人が正面側でスライドテーブル10を使い、他の人が背面側でスライドテーブル12を同時に使うことが可能となり、狭い作業スペースでも作業能率を向上させることができる。すなわち、診察や治療に使われる小物器材等を一時的に載せたり、ノートブック型やタブレット型のコンピュータやマウスを載せて一時的な作業スペースとして使えるというスライドテーブル10、12の利便性を、キャビネット2を動かすことなく、キャビネット2を挟んで対向する両側の作業領域で享受できる。
【0032】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では上下に2段のスライドテーブル10、12を有する構成を例示したが、1段でもよく、3段でもよい。また、スライドテーブル10、12の位置は天板4と最上段の引き出し6aとの間に限らず、引き出しと引き出しとの間でもよい。また、5段の引き出し6a~6eを備えた構成を例示したが、1段の引き出しを備えた構成でもよい。
【符号の説明】
【0033】
2 キャビネット
4 天板
6a、6b、6c、6d、6e 引き出し
8 キャビネット本体
10、12 スライドテーブル
10aL、10aR スライドテーブルの側面
32A、32B スライドレール
34 アウターレール
36 インナーレール
38 ボール
40 リテーナ
Y1 正面側
Y2 背面側
Z 上下方向