IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

特開2024-95377ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置
<>
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図1
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図2
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図3
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図4
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図5
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図6
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図7
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図8
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図9
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図10
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図11
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図12
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図13
  • 特開-ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095377
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240703BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240703BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20240703BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20240703BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 N
E02F9/20 Q
G06F3/04817
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212639
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】原 孝介
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5E555
5H301
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003AC09
2D003BA03
2D003BA04
2D003BA06
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015HA03
5E555AA09
5E555AA16
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555CA12
5E555CA41
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB12
5E555CB33
5E555CB34
5E555CB78
5E555CC01
5E555CC03
5E555DB18
5E555DB39
5E555DB56
5E555DC09
5E555DC13
5E555DD06
5E555EA22
5E555FA00
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB02
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD06
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】操作負担を軽減する。
【解決手段】一態様に係るショベルは、下部走行体と、下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、当該ショベルの周囲に存在する物体を検出可能な周辺監視装置と、少なくともアタッチメントを移動させる自律制御が可能な制御装置と、周辺監視装置によって取得された情報に基づいて、自律制御に関するアイコン画像を表示する表示装置と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
当該ショベルの周囲に存在する物体を検出可能な周辺監視装置と、
少なくとも前記アタッチメントを移動させる自律制御が可能な制御装置と、
前記周辺監視装置によって取得された情報に基づいて、前記自律制御に関するアイコン画像を表示する表示装置と、
を備えるショベル。
【請求項2】
前記表示装置は、前記周辺監視装置によって取得された情報に、前記ショベルの周辺に存在する運搬車両が検出されたことが含まれている場合に、当該運搬車両に対する前記自律制御を行うための前記アイコン画像を表示する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記表示装置は、前記周辺監視装置によって取得された情報に基づいて、第1の前記アイコン画像を表示する際に、第1の前記アイコン画像で示される第1の自律制御に関連する第2の自律制御を行うための第2の前記アイコン画像を表示する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
前記表示装置が前記アイコン画像を複数表示した後、複数の前記アイコン画像の間を関連付ける操作を受け付け可能に構成されている、
請求項1に記載のショベル。
【請求項5】
前記制御装置は、複数の前記アイコン画像を関連付ける操作を受け付けた場合に、関連付けられた複数の前記アイコン画像で示される各々の前記自律制御を、関連付けられた順序に従って行うように構成されている、
請求項4に記載のショベル。
【請求項6】
前記表示装置は、前記アイコン画像が選択された場合に、前記アイコン画像が示す前記自律制御の対象を設定するための画面を表示するように構成されている、
請求項1に記載のショベル。
【請求項7】
前記表示装置は、前記ショベルを用いて施工させる操作が行われた場合に、当該施工を継続する前記自律制御を行うための前記アイコン画像を表示する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項8】
前記表示装置は、前記周辺監視装置が前記ショベルによって行われた施工を検出した場合に、当該施工を継続する前記自律制御を行うための前記アイコン画像を表示する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項9】
ショベルと、当該ショベルを通信可能な通信端末と、を備えたショベルの遠隔制御システムであって、
前記ショベルは、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
当該ショベルの周囲に存在する物体を検出可能な周辺監視装置と、
前記上部旋回体に取り付けられる周辺監視装置と、
前記アタッチメントを移動させる自律制御が可能な制御装置と、
前記周辺監視装置によって取得された情報を送信する通信装置と、を備え、
前記通信端末は、
受信した前記情報に基づいて、前記自律制御に関するアイコン画像を表示する表示装置を備えている、
遠隔制御システム。
【請求項10】
ショベルに設けられた周辺監視装置によって取得された情報に基づいて、前記ショベルのアタッチメントを移動させる自律制御に関するアイコン画像を表示するように構成されている、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ショベルによる作業を支援するための技術が提案されている。例えば、ショベル動作を自動化する技術等が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されている技術では、複数のアイコン画像を設定画面に表示し、設定画面からアイコン画像が決定された場合に、当該アイコン画像と対応付けられた動作を、自律制御機能で行わせる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-157410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、作業機械の周囲に存在する物体を考慮していない。このため、周囲に存在する物体を考慮して、自動制御機能で作業機械に動作を行わせるためには、複数のアイコン画像から適切なアイコン画像を決定する。このため、作業機械が作業を行う環境が変化した場合に、再びアイコン画像を決定する必要がある。
【0005】
上述に鑑み、本開示の技術は、周辺監視装置によって取得された情報に基づいて自律制御に関するアイコン画像を表示することで、ユーザの操作負担を軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るショベルは、下部走行体と、下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、当該ショベルの周囲に存在する物体を検出可能な周辺監視装置と、少なくともアタッチメントを移動させる自律制御が可能な制御装置と、周辺監視装置によって取得された情報に基づいて、自律制御に関するアイコン画像を表示する表示装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、周辺監視装置によって取得された情報に基づいて自律制御に関するアイコン画像を表示することで、ユーザの操作の負担を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るショベル(掘削機)を示す側面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るショベルのコントローラの構成例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る表示装置に表示される初期の設定画面を例示した図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る入力受付部がアイコンメニューの押下を受け付けた場合に、表示装置により表示される設定画面を例示した図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る入力受付部が環境認識ボタンの押下を受け付けた場合に表示装置により表示される設定画面を例示した図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る入力受付部がトラック認識アイコンの押下を受け付けた場合に、表示装置により表示される設定画面を例示した図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る入力受付部が掘削アイコンの押下を受け付けた場合に、表示装置により表示される設定画面を例示した図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る入力受付部が環境認識ボタンの押下を受け付けた場合に、表示装置により表示される設定画面を例示した図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る入力受付部が排土アイコンの押下を受け付けた場合に表示装置により表示される設定画面を例示した図である。
図11図11は、第1の実施形態に係るオペ操作記録ボタンが押下された場合に表示装置に表示される設定画面の変化を示した図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る表示装置に表示された設定画面に対して設定された複数のアイコン画像を例示した図である。
図13図13は、第2の実施形態に係る遠隔操作システムの一例を示す概要図である。
図14図14は、第2の実施形態に係る遠隔操作システムにおいて、ショベルの自律制御を設定するための処理の流れを示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る建設機械としてのショベル100を示している。ショベル100の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0011】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成している。ブーム4はブームシリンダ7により駆動され、アーム5はアームシリンダ8により駆動され、バケット6はバケットシリンダ9により駆動される。
【0012】
ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケットリンクにはバケット角度センサS3が取り付けられている。上部旋回体3には、旋回角速度センサS4が取り付けられている。
【0013】
ブーム角度センサS1は、姿勢検出センサの1つであり、ブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサであり、ブームシリンダ7のストローク量に基づいて上部旋回体3とブーム4とを連結するブームフートピン回りのブーム4の回動角度を導き出す。
【0014】
アーム角度センサS2は、姿勢検出センサの1つであり、アーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は、アームシリンダ8のストローク量を検出するストロークセンサであり、アームシリンダ8のストローク量に基づいてブーム4とアーム5とを連結する連結ピン回りのアーム5の回動角度を導き出す。
【0015】
バケット角度センサS3は、姿勢検出センサの1つであり、バケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は、バケットシリンダ9のストローク量を検出するストロークセンサであり、バケットシリンダ9のストローク量に基づいてアーム5とバケット6とを連結する連結ピン回りのバケット6の回動角度を導き出す。
【0016】
なお、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、ロータリエンコーダ、加速度センサ、ポテンショメータ(可変抵抗器)、傾斜センサ、又は、慣性計測装置等であってもよい。慣性計測装置は、例えば、加速度センサとジャイロセンサとの組み合わせで構成されていてもよい。
【0017】
旋回角速度センサS4は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS4は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS4は、旋回角速度に基づいて旋回角度を算出するように構成されていてもよい。旋回角速度センサS4は、ロータリエンコーダ等の他のセンサで構成されていてもよい。
【0018】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10、エンジン11、測位装置S5、空間認識装置C1、及び通信装置T1等が搭載されている。また、キャビン10内には、コントローラ30が搭載されている。また、キャビン10内には、運転席及び操作装置等が設置されている。
【0019】
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、ディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
【0020】
測位装置S5は、ショベル100の位置を測定するように構成されている。本実施形態では、測位装置S5は、GNSS(Global Navigation Satellite System)コンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを測定できるように構成されている。取得する位置及び向きは、例えば、世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そして、Z軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。
【0021】
空間認識装置(周辺監視装置の一例)C1は、ショベル100の周囲の空間の状態を認識するように構成されている。空間認識装置C1は、ショベル100の後方の空間の検知を行う後方空間認識装置C1B、ショベル100の左方の空間の検知を行う左方空間認識装置C1L、ショベル100の右方の空間の検知を行う右方空間認識装置C1R、及び、ショベル100の前方の空間の検知を行う前方空間認識装置C1Fを含む。
【0022】
空間認識装置C1は、ショベル100の周辺に存在する物体を検出するためにLIDARを用いてもよい。LIDARは、例えば、監視範囲内にある100万点以上の点とLIDARとの間の距離を測定する。なお、本実施形態は、LIDARを用いる手法に制限するものではなく、物体との間の距離を計測可能な空間認識装置であればよい。例えば、ステレオカメラを用いてもよいし、距離画像カメラ、又はミリ波レーダなどの測距装置を用いてもよい。空間認識装置C1としてミリ波レーダ等が利用される場合には、空間認識装置C1から多数の信号(レーザ光等)を物体に向けて発信し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を導き出してもよい。
【0023】
後方空間認識装置C1Bは、上部旋回体3の上面の後端に取り付けられる。左方空間認識装置C1Lは、上部旋回体3の上面の左端に取り付けられる。右方空間認識装置C1Rは、上部旋回体3の上面の右端に取り付けられる。前方空間認識装置C1Fは、キャビン10の上面の前端に取り付けられる。
【0024】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある機器との通信を制御するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1は、無線通信網を介し、通信装置T1とショベル100の外部にある機器との間の無線通信を制御するように構成されている。通信装置T1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールや衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等を含む。
【0025】
コントローラ30は、各種演算を実行する演算装置である。コントローラ30は、例えば、キャビン10内に設けられ、ショベル100の駆動制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、その組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び各種入出力用のインターフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、不揮発性の補助記憶装置にインストールされる各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0026】
図2は、図1のショベル100の駆動制御系の構成例を示す図である。図2において、機械的動力伝達系は二重線、作動油ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は点線でそれぞれ示される。
【0027】
本実施形態に係るショベル100の駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
【0028】
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
【0029】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(傾転角)を調節する。
【0030】
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30による制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることでピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御される。
【0031】
コントロールバルブ17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブ17は、制御弁171~176を含む。コントロールバルブ17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171~176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行油圧モータ1L、1R、及び旋回油圧モータ2Aを含む。より具体的には、制御弁171は、左走行油圧モータ1Lに対応し、制御弁172は、右走行油圧モータ1Rに対応し、制御弁173は、旋回油圧モータ2Aに対応する。また、制御弁174は、バケットシリンダ9に対応し、制御弁175は、ブームシリンダ7に対応し、制御弁176は、アームシリンダ8に対応する。
【0032】
パイロットポンプ15は、パイロット圧生成装置の一例であり、パイロットラインを介して油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロット圧生成装置は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給する機能に加え、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給する機能を備えていてもよい。この場合、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。
【0033】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも一方を含む。
【0034】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出するように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0035】
操作センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。本実施形態では、コントローラ30は、操作センサ29の出力に応じて比例弁31の開口面積を制御する。そして、コントローラ30は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、原則として、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。このように、操作装置26は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。
【0036】
マシンコントロール用制御弁として機能する比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17内の制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。
【0037】
本実施形態では、コントローラ30は、複数の電磁弁のそれぞれの開口面積を個別に制御することで、各制御弁のパイロットポートに作用するパイロット圧を制御することができる。そのため、コントローラ30は、各油圧アクチュエータに流入する作動油の流量、及び、各油圧アクチュエータから流出する作動油の流量を制御することができ、ひいては、各油圧アクチュエータの動きを制御することができる。
【0038】
コントローラ30は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブ17内の制御弁のパイロットポートに供給できる。つまり、コントローラ30は、操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。
【0039】
従って、コントローラ30は、操作装置26からの操作に応じて、又は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、ブーム4の上げ下げ、アーム5の開閉、バケット6の開閉、上部旋回体3の旋回、及び下部走行体1の走行等を実現できる。さらには、コントローラ30は、外部の通信端末から受信した操作信号に応じて、ブーム4の上げ下げ、アーム5の開閉、バケット6の開閉、上部旋回体3の旋回、及び下部走行体1の走行等を実現できる。
【0040】
また、コントローラ30は、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
【0041】
また、コントローラ30は、例えば、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能に関する制御を行ってもよい。また、コントローラ30は、例えば、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能に関する制御を行ってもよい。
【0042】
なお、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。例えば、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能は、専用のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。
【0043】
表示装置D1は、コントローラ30と信号線で接続され、コントローラ30からの指令に応じて各種画像情報を出力する。本実施形態では、表示装置D1は、コントローラ30に直接接続される車載液晶ディスプレイである。
【0044】
表示装置D1の表示領域には、タッチパネルD11が設けられている。タッチパネルD11は、操作者の部位が接した位置を示した信号を、コントローラ30に送信する。タッチパネルD11は、操作者からの操作を受け付け可能な操作部として機能し、表示装置D1に表示されたアイコン画像等の選択を受け付けることができる。
【0045】
<コントローラのブロック構成>
ショベル100に搭載されているコントローラ30が有する機能について説明する。図3は、本実施形態に係るショベル100のコントローラ30の構成例を示す機能ブロック図である。
【0046】
コントローラ30の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、コントローラ30のCPUにて実行されるプログラムにて実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。図3に示すように、コントローラ30は、取得部301と、表示制御部302と、入力受付部303と、制御部304と、通信制御部305と、を備える。
【0047】
取得部301は、ショベル100内の各種構成の信号を取得する。例えば、取得部301は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3の各々から角度の測定結果を取得する。さらには、取得部301は、旋回角速度センサS4から上部旋回体3の旋回角の測定結果を取得する。
【0048】
取得部301は、測位装置S5から、ショベル100の現在位置の緯度、経度、及び高度、並びにショベル100の向きを示した測定結果を取得する。
【0049】
さらに、取得部301は、空間認識装置C1からショベル100の周辺に存在する物体の検出結果を取得する。例えば、取得部301は、空間認識装置C1により検出されたダンプトラック、ショベル100により施工が行われた土砂の形状などの情報を取得する。
【0050】
表示制御部302は、表示装置D1に情報を表示するための制御を行う。例えば、表示制御部302は、ショベル100が自律制御を行うための設定画面を、表示装置D1に表示する。
【0051】
入力受付部303は、タッチパネルD11を介して設定画面に対して入力される操作を受け付ける。
【0052】
例えば、入力受付部303は、ショベル100に周囲の環境を検出するための操作を受け付ける。入力受付部303が当該操作を受け付けた場合に、取得部301が、空間認識装置C1からショベル100の周囲の環境の検出結果を示した情報を取得し、表示制御部302は、取得した情報に基づいて、ショベル100の周囲に存在する物体に関連するアイコン画像を、設定画面に表示する。
【0053】
これにより、表示装置D1は、空間認識装置C1によって取得された情報に基づいて、ショベル100に自律制御を行わせるためのアイコン画像を、設定画面に表示する。具体的な設定画面については後述する。
【0054】
さらに、入力受付部303は、設定画面に表示されたアイコン画像に対する操作を受け付ける。これにより、ショベル100が自律制御をするための処理手順が設定される。
【0055】
制御部304は、設定画面に表示されたアイコン画像に対して行われた操作に基づいた処理手順に応じて、ショベル100の自律制御を行う。
【0056】
例えば、制御部304は、処理手順に従ってバケット6を移動させるために、アタッチメントを動作させるためのシリンダ(例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)の制御を行う。
【0057】
通信制御部305は、通信装置T1を介して、外部の装置に対する情報の送信、及び外部装置からの情報の受信を行う。例えば、通信制御部305は、ショベル100の自律制御を設定するために、外部の装置との間で通信してもよい。
【0058】
<自律制御を行わせるための画面の例>
本実施形態に係る表示装置D1が表示する画面について説明する。図4は、本実施形態に係る表示装置D1に表示される初期の設定画面を例示した図である。
【0059】
図4に示される初期の設定画面では、アイコンメニュー1401と、接続ボタン1402と、環境認識ボタン1403と、オペ操作記録ボタン1404と、作業開始ボタン1405とが表示される。また、設定画面には、作業領域1410が表示される。作業領域1410には、ショベル100の自律制御の設定を行うためのアイコン画像等が表示される。次に、アイコンメニュー1401、接続ボタン1402、環境認識ボタン1403、オペ操作記録ボタン1404、及び作業開始ボタン1405について順に説明する。
【0060】
アイコンメニュー1401は、操作者が押下可能なメニューボタンであって、作業領域1410に表示されるアイコン画像を選択するためのメニュー画面を表示する。
【0061】
図5は、入力受付部303がアイコンメニュー1401の押下を受け付けた場合に、表示装置D1により表示される設定画面を例示した図である。図5に示されるように、表示制御部302は、アイコンメニュー1401の押下に基づいて、アイコン選択画面1500を、表示装置D1に表示する。
【0062】
アイコン選択画面1500には、選択可能な複数のアイコン画像が配置されている。図5に示される例では、トラック認識アイコン1501と、掘削アイコン1502と、排土アイコン1503と、法面形成アイコン1504と、が表示されている。入力受付部303が、タッチパネルD11を介して、表示されているアイコン画像のうちいずれか一つ以上の選択を受け付けた場合に、表示制御部302が、選択されたアイコン画像を、作業領域1410に表示する。
【0063】
トラック認識アイコン1501は、ショベル100の周囲にダンプトラック(運搬車両の一例)を認識し、当該ダンプトラックが存在する領域を設定するためのアイコン画像とする。
【0064】
掘削アイコン1502は、ショベル100が自律制御で掘削を行うためのアイコン画像とする。
【0065】
排土アイコン1503は、ショベル100が自律制御で排土を行うためのアイコン画像とする。
【0066】
法面形成アイコン1504は、ショベル100が自律制御で法面を形成するためのアイコン画像とする。
【0067】
図4に戻り、接続ボタン1402は、操作者が押下可能なボタンであって、作業領域1410に表示される複数のアイコン画像の間を接続する際に用いられる。接続ボタン1402の押下を受け付けた場合に、表示制御部302は、アイコン画像の間を接続するためのツールの選択画面を表示してもよい。そして、入力受付部303は、当該ツールを用いて、アイコン画像又は後述するグループの間を接続する操作を受け付ける。アイコン画像の間の接続手法としては、例えば矢印を用いて接続する。本実施形態では、複数の画像の間を矢印で接続することで、複数の自律制御の関連付け、及び複数の自律制御において実行する順序の設定が可能となる。
【0068】
このように、入力受付部303は、接続するためのツールに基づいた、複数の自律制御を関連付ける設定、及びショベル100が行う自律制御の順序の設定を受け付けることができる。
【0069】
例えば、操作者が、アイコンメニュー1401の押下で表示されたアイコン選択画面1500から複数のアイコン画像を選択した場合に、表示制御部302は、作業領域1410に選択された複数のアイコン画像を表示する。そして、操作者が、複数のアイコン画像の間を矢印によって接続する操作を行った場合に、制御部304は、複数のアイコン画像で示された複数の自律制御を、矢印で示された順序に従って実行できる。
【0070】
環境認識ボタン1403は、操作者が押下可能なボタンであって、空間認識装置C1によって取得された情報に基づいて、自律制御を行うためのアイコン画像を自動的に表示する。
【0071】
本実施形態においては、上述したアイコンメニュー1401からアイコン画像の選択することで自律制御の設定を行うことができる。しかしながら、ショベル100が作業する環境が変化する毎に、アイコンメニュー1401からアイコン画像の選択するのは、操作者の負担が大きい。
【0072】
そこで、本実施形態の設定画面には、環境認識ボタン1403を配置する。入力受付部303が、環境認識ボタン1403の押下を受け付けた場合に、表示制御部302が、ショベル100の周囲の環境に対応したアイコン画像を、表示装置D1に自動的に表示する。
【0073】
図6は、入力受付部303が環境認識ボタン1403の押下を受け付けた場合に、表示装置D1により表示される設定画面を例示した図である。図6に示されるように、表示制御部302は、環境認識ボタン1403の押下に基づいて、トラック認識アイコン1601と掘削アイコン1602と排土アイコン1603とを表示した上で、テキスト欄1604を、表示装置D1に表示する。
【0074】
つまり、図6に示される設定画面は、空間認識装置C1がショベル100の周辺にダンプトラック(運搬車両の一例)を検出した場合とする。取得部301が空間認識装置C1から取得した情報に、ショベル100の周辺にダンプトラックが存在することが含まれている場合、表示制御部302は、トラック認識アイコン1601を、表示装置D1に表示する。さらに、表示制御部302は、自律制御でダンプトラックに排土するための排土アイコン1603を表示する。本実施形態では、空間認識装置C1の検知結果に対応してトラック認識アイコン1601が表示されるので、設定負担を軽減できる。
【0075】
さらに、表示制御部302は、排土アイコン1603を表示する際に、排土アイコン1603(第1のアイコン画像の一例)で示される排土の自律制御(第1の自律制御の一例)に関連する掘削の自律制御(第2の自律制御の一例)を行うための掘削アイコン1602(第2のアイコン画像の一例)を、表示装置D1に表示する。つまり、排土するためには掘削が必要なので、表示装置D1は、排土アイコン1603と共に掘削アイコン1602を表示する。なお、自律制御に基づいたアイコン画像間(例えば、排土アイコンと掘削アイコン)の関連付けは予め行われているものとする。
【0076】
このように、表示装置D1は、検出された物体に関連するアイコン画像のみならず、当該アイコン画像に関連する自律制御のアイコン画像を表示する。このため、操作者がショベル100に自律制御を行わせるための設定の負担を軽減できる。さらには、ショベル100に自律制御を行わせるために複数のアイコン画像を組み合わせる必要がある場合、操作者は、自律制御を行わせるために、どのアイコン画像が必要か考える必要がある。本実施形態においては、自動的に複数のアイコン画像が表示されるので、習熟していない操作者であっても、設定を容易に行うことができる。
【0077】
トラック認識アイコン1601から排土アイコン1603までの矢印、及び掘削アイコン1602から排土アイコン1603までの矢印は、表示制御部302がトラック認識アイコン1601と掘削アイコン1602と排土アイコン1603を表示する際に自動的に設定されてもよい。また、接続ボタン1402の押下に応じて接続されたものでもよい。
【0078】
なお、図6に示される設定画面に表示されたトラック認識アイコン1601、掘削アイコン1602、及び排土アイコン1603は、表示が確定した状態ではない。
【0079】
入力受付部303が、テキスト欄1604に示される「トラックに土砂を積み込みますか?」に対して"yes"の押下を受け付けた場合に、トラック認識アイコン1601、掘削アイコン1602、及び排土アイコン1603の表示が確定する。入力受付部303が、"no"の押下を受け付けた場合に、トラック認識アイコン1601、掘削アイコン1602、及び排土アイコン1603が非表示となる。
【0080】
図7は、図6に示される設定画面で"yes"の押下を受け付けた後、トラック認識アイコン1601の押下を受け付けた場合に、表示装置D1により表示される設定画面を例示した図である。
【0081】
図7に示されるように、本実施形態に係る表示装置D1は、トラック認識アイコン1601が選択された場合に、ダンプトラックが存在する領域を設定するための領域設定画面1701を表示する。
【0082】
領域設定画面1701では、ショベル100の位置を示したショベルアイコン1711を基準として、空間認識装置C1により検出されたダンプトラックが存在する領域1712が表されている。操作者は、領域設定画面1701を参照することで、空間認識装置C1により検出されたダンプトラックの領域1712が適切か否かを判断できる。領域1712にダンプトラックが存在しない場合、入力受付部303は、タッチパネルD11を介して、領域1712を変更する操作を受け付ける。操作は、タッチパネルD11に対する任意の操作でよく、例えばドラッグ操作等であってもよい。
【0083】
設定ボタン1702は、領域設定画面1701に表された領域1712にダンプトラックが存在している旨を設定するためのボタンとする。設定ボタン1702が押下された場合に、領域1712にダンプトラックが存在している旨設定される。トラック認識アイコン1601が排土アイコン1603と矢印で接続されている場合、ダンプトラックが存在している領域1712が排土先として設定される。
【0084】
キャンセルボタン1703は、領域設定画面1701の領域1712に対して行われた操作をキャンセルするためのボタンとする。
【0085】
図8は、図6に示される設定画面で"yes"の押下を受け付けた後、掘削アイコン1602の押下を受け付けた場合に、表示装置D1により表示される設定画面を例示した図である。
【0086】
図8に示されるように、本実施形態に係る表示装置D1は、掘削アイコン1602の選択を受け付けた場合に、掘削アイコン1602に対応する掘削対象となる領域を設定するための設定画面1801を表示する。なお、図8は、掘削対象となる領域の設定に制限するものではなく、自律制御の対象を設定するための設定画面であればよい。本実施形態では、自律制御の対象を具体的に設定できるので、ショベル100に対して適切に自律制御を行わせることができる。
【0087】
設定画面1801では、ショベル100の位置を示したショベルアイコン1812を基準として、掘削対象とする領域1811が表されている。領域1811は、操作者からの操作に従って設定される。例えば、入力受付部303は、タッチパネルD11を介して、領域1811を設定する操作を受け付ける。操作は、タッチパネルD11に対する任意の操作でよく、例えば領域1811の拡大又は縮小するためのピンチイン、ピンチアウト操作等であってもよい。
【0088】
掘削アイコン1602が押下された際に、取得部301が、空間認識装置C1による計測結果に基づいてショベル100の周囲の土砂状況を取得し、当該土砂状況に応じて掘削対象となる領域など最適な掘削パラメータを自動的に生成してもよい。これにより、操作者は、掘削開始位置など細かい設定をしなくてもよいので、操作負担を軽減できる。
【0089】
設定ボタン1802は、設定画面1801に表されている領域1811を、掘削対象として設定するためのボタンとする。入力受付部303が、設定ボタン1802の押下を受け付けた場合に、領域1811が掘削対象として設定される。
【0090】
キャンセルボタン1803は、設定画面1801の領域1811を設定するために行われた操作をキャンセルするためのボタンとする。
【0091】
図6図8は、環境認識ボタン1403の押下を受け付けた場合に、ショベル100の周辺にダンプトラックが検出された場合に表示される設定画面である。環境認識ボタン1403の押下を受け付けた際に、ショベル100の周辺の環境が異なる場合、表示装置D1には、異なるアイコン画像が表示される。次に、環境認識ボタン1403の押下を受け付けた際に、ショベル100の周辺に法面が検出された場合について説明する。
【0092】
図9は、入力受付部303が環境認識ボタン1403の押下を受け付けた場合に、表示装置D1により表示される設定画面を例示した図である。図9に示されるように、表示制御部302は、環境認識ボタン1403の押下に基づいて、法面掘削アイコン1901と、排土アイコン1902とを表示した上で、法面掘削アイコン1901の設定画面1903とテキスト欄1904とを、表示装置D1に表示する。
【0093】
図9に示される設定画面は、空間認識装置C1がショベル100の周辺に法面を検出した場合とする。つまり、取得部301が空間認識装置C1から取得した情報に、ショベル100の周辺に法面(土砂上に形成された平面)が存在することが含まれている場合、表示制御部302は、法面掘削アイコン1901を、表示装置D1に表示する。さらに、表示制御部302は、法面掘削アイコン1901の設定画面1903を表示する。設定画面1903には、検出された法面を表す領域1911と、法面の施工対象となる領域1912とが表される。
【0094】
つまり、取得部301が取得した情報に、空間認識装置C1の測定結果に法面を検出した旨が含まれていた場合に、表示制御部302は、当該法面の形成を継続する自律制御を行うための法面掘削アイコン1901を、表示装置D1に表示する。法面の検出は、周知の手法を問わず、どのような手法を用いてよい。例えば、土砂の表面のうち、略平面となっている領域が所定の面積以上検出された場合に、法面が検出されたと判断してもよい。略平面の所定の面積以上の領域を検出するためのアルゴリズムとしては、例えば、RANSAC(Random Sample Consensus)を用いることが考えられる。なお、本実施形態は、空間認識装置C1の測定結果に基づいて表示されるアイコン画像を、法面掘削アイコン1901に制限するものではなく、空間認識装置C1の測定結果に基づいて検出された施工を継続する自律制御を行うためのアイコン画像であればよい。本実施形態では、検出された施工を自動で継続させることができるので、施工するための操作、及び自律制御を行わせるための設定の負担を軽減できる。
【0095】
つまり、空間認識装置C1の測定結果では、土砂で形成された面において、法面を表す領域1911と、法面が形成されていない領域1912と、が含まれている。このため、取得部301は、取得した情報に基づいて、法面が形成されていない領域1912に対して、法面を表す領域1911と同様の法面掘削を行うと推定し、表示制御部302が法面掘削アイコン1901を表示する。
【0096】
さらに、表示制御部302は、法面掘削アイコン1901を表示する際に、法面掘削アイコン1901(第1のアイコン画像の一例)で示される法面掘削の自律制御(第1の自律制御の一例)に関連する排土の自律制御(第2の自律制御の一例)を行うための排土アイコン1902(第2のアイコン画像の一例)を、表示装置D1に表示する。つまり、法面掘削された土砂を排土する必要があるので、表示装置D1には、法面掘削アイコン1901と共に排土アイコン1902が表示される。本実施形態においては、表示装置D1には、検出された物体に関連するアイコン画像のみならず、表示されたアイコン画像に関連する自律制御のアイコン画像が表示されるので、操作者がショベル100に自律制御を行わせるための操作負担を軽減できる。
【0097】
法面掘削アイコン1901から排土アイコン1902までの矢印は、表示制御部302が法面掘削アイコン1901と排土アイコン1902とを表示する際に自動的に設定されてもよい。また、接続ボタン1402の押下に応じて接続されたものでもよい。
【0098】
なお、図9に示される設定画面に表示された法面掘削アイコン1901及び排土アイコン1902は、表示が確定した状態ではない。
【0099】
入力受付部303が、テキスト欄1904に示される「同じ面を延長しますか?」に対して"yes"の押下を受け付けた場合に、法面掘削アイコン1901及び排土アイコン1902の表示が確定する。入力受付部303が、"no"の押下を受け付けた場合に、法面掘削アイコン1901及び排土アイコン1902が非表示となる。
【0100】
図10は、図9に示される設定画面で"yes"の押下を受け付けた後、排土アイコン1902の押下を受け付けた場合に、表示装置D1により表示される設定画面を例示した図である。図10に示される設定画面では、排土の領域設定画面2001が表示される。
【0101】
図10に示されるように、本実施形態に係る表示装置D1は、排土アイコン1902が選択された場合に、排土アイコン1902に対応する排土先を設定するための領域設定画面2001を表示する。
【0102】
領域設定画面2001では、ショベル100の位置を示したショベルアイコン2011を基準として、空間認識装置C1により検出された土砂が積み上げられた領域2012Aと共に、当該領域2012Aに基づいて自動的に定められた土砂の排土先となる領域2012が表されている。操作者は、領域2012が排土先として適切か否かを判断できる。領域2012が排土先として誤っている場合、入力受付部303は、タッチパネルD11を介して、領域2012を変更する操作を受け付ける。操作は、タッチパネルD11に対する任意の操作でよく、例えばドラッグ操作等であってもよい。
【0103】
設定ボタン2002は、領域設定画面2001に表されている領域2012を、排土先として設定するためのボタンとする。設定ボタン2002が押下された場合に、領域2012が排土先として設定される。
【0104】
キャンセルボタン2003は、領域設定画面2001の領域2012に対して行われた操作をキャンセルするためのボタンとする。
【0105】
本実施形態は、環境認識ボタン1403が押下された場合に表示されるアイコン画像の例として、空間認識装置C1がダンプトラックを検出した場合、及び空間認識装置C1が法面を検出した場合について説明した。しかしながら、本実施形態は、環境認識ボタン1403が押下された場合に表示されるアイコン画像を、上述した例に制限するものではない。空間認識装置C1が検出した物体に応じて様々なアイコン画像を表示してもよい。
【0106】
図4に戻り、本実施形態の設定画面には、オペ操作記録ボタン1404が配置されている。入力受付部303が、オペ操作記録ボタン1404の押下を受け付けた場合に、表示制御部302が、操作者に行われた操作を記録し、当該操作に対応する自律制御を行うためのアイコン画像を、表示装置D1に表示する。次に、オペ操作記録ボタン1404の押下を受け付けた場合の設定画面の変化について説明する。
【0107】
図11は、本実施形態に係るオペ操作記録ボタン1404が押下された場合の設定画面の変化を示した図である。
【0108】
図11に示される設定画面2101は、初期に表示される画面である。入力受付部303は、当該設定画面2101において、オペ操作記録ボタン1404の押下を受け付ける。
【0109】
図11に示される設定画面2102は、オペ操作記録ボタン1404の押下を受け付けた場合に表示される。設定画面2102では、記録中であることを示す表示欄2121が表示される。
【0110】
取得部301は、表示欄2121が表示されている間、操作センサ29から、操作装置26を用いた操作者の操作内容を取得し、当該操作内容に基づいてショベル100が行った作業を推定する。
【0111】
そして、入力受付部303が、表示欄2121に表されている記録終了ボタン2122の押下を受け付けた場合に、取得部301による操作者の操作内容の取得が終了し、表示制御部302は、推定された作業に対応するアイコン画像を表示する。
【0112】
図11に示される設定画面2103は、記録終了ボタン2122の押下を受け付けた場合に表示される。設定画面2103では、推定された作業に対応するアイコン画像として、整地アイコン2131が表示される。
【0113】
図11に示される設定画面2103は、取得部301が取得した操作内容に基づいて、整地作業が行われたと推定した場合とする。そして、取得部301により整地作業が行われたと推定された場合、表示制御部302は、整地アイコン2131を、表示装置D1に表示する。さらに、表示制御部302は、整地アイコン2131の設定画面2132を表示する。設定画面2132には、ショベル100の位置を示したショベルアイコン2133を基準として、整地された領域2134が表される。
【0114】
取得部301は、空間認識装置C1の測定結果から、領域2134以外の領域が整地されていないことを検出している。そこで、表示制御部302は、ショベル100に整地の自律制御させるためのテキスト欄2135を表示する。入力受付部303が、テキスト欄2135に示される「周囲の領域も自動整地しますか?」に対して"yes"の押下を受け付けた場合に、整地アイコン2131の表示が確定する。入力受付部303が、"no"の押下を受け付けた場合に、整地アイコン2131が非表示となる。
【0115】
なお、設定画面2132では、操作者は、タッチパネルD11を介して、整地対象となる領域を入力してもよい。その後、設定ボタン2136の押下が行われた場合に、操作者に入力された整地対象となる領域が確定する。キャンセルボタン2137の押下が行われた場合に、操作者に入力された整地対象となる領域がキャンセルされる。
【0116】
このように、表示装置D1は、オペ操作記録ボタン1404の押下を受け付けた後、ショベル100を用いて整地させる操作が行われた場合に、整地を継続する自律制御を行うための整地アイコン2131を表示する。なお、操作者が行った操作に基づいて、施工の種類を判別する手法は、周知の手法を問わず、あらゆる手法を用いてよい。整地作業の判別手法としては、例えば、取得部301が、空間認識装置C1から測定結果を取得し、測定結果で表される周囲の地形に対して、平面との一致度合いを算出し、平面に対する一致度合いが向上した場合に整地作業とみなす手法を用いてもよい。本実施形態では、操作者によって行われた施工をショベル100が引き継いで自律制御を行うことができるので、施工するための操作、及び自律制御を行わせるための設定の負担を軽減できる。
【0117】
本実施形態は、オペ操作記録ボタン1404の押下された場合に整地アイコン2131を表示するまでの手順について説明した。本実施形態は、オペ操作記録ボタン1404の押下された場合に表示されるアイコン画像の一例を示したものであって、操作者が行った操作に対応する施工が継続する自律制御を示したアイコン画像が表示されればよい。
【0118】
図4図11に示されるように、本実施形態の設定画面には、作業開始ボタン1405が配置されている。入力受付部303が、作業開始ボタン1405の押下を受け付けた場合に、制御部304が、設定画面で設定されたアイコン画像の組み合わせに基づいて、自律制御を開始する。
【0119】
本実施形態において設定画面においては、様々なアイコン画像を組み合わせて、複数の自律制御を所定の手順に従って実行されるように設定できる。
【0120】
図12は、表示装置D1に表示された設定画面に対して設定された複数のアイコン画像を例示した図である。図12で示される設定画面2201は、説明を容易にするために、一画面に全てのアイコン画像が表示されているものとする。
【0121】
図12に示される設定画面2201では、自律制御を行うための複数のアイコン画像がグループ化して登録されている。設定画面2201では、グループ2202と、グループ2203と、が登録されている。
【0122】
グループ2202内のトラック認識アイコン2221、掘削アイコン2222、及び排土アイコン2223は、上述したトラック認識アイコン1601、掘削アイコン1602、及び排土アイコン1603と同様として説明を省略する。さらに、グループ2202には詳細設定ボタン2224が表示されている。
【0123】
詳細設定ボタン2224は、グループ2202に関する自律制御の設定を行うためのボタンとする。例えば、詳細設定ボタン2224は、グループ2202で定義された自律制御を一回のみ行うか、繰り返し行うかの設定を行うことができる。つまり、操作者は、詳細設定ボタン2224に対する操作を行うことで、ショベル100が、掘削アイコン1602及び排土アイコン1603に基づいた、自律制御を一回のみ行う、又は繰り返し行うかを切り替えることができる。
【0124】
グループ2203内の法面掘削アイコン2231、及び排土アイコン2232は、上述した法面掘削アイコン1901、排土アイコン1902と同様として説明を省略する。さらに、グループ2203には詳細設定ボタン2233が表示されている。
【0125】
詳細設定ボタン2233は、グループ2203に関する自律制御の設定を行うためのボタンとする。例えば、詳細設定ボタン2233は、グループ2203で定義された自律制御を一回のみ行うか、繰り返し行うかの設定を行うことができる。
【0126】
さらに、設定画面2201には、移動アイコン2251と、自動給油/充電アイコン2252と、移動アイコン2253と、が表示される。
【0127】
移動アイコン2251は、グループ2202で定義された施工を行う位置と、自動給油又は自動充電を行うステーションとの間の経路と共に、当該経路に沿って移動するための自律制御が設定されたアイコン画像とする。
【0128】
自動給油/充電アイコン2252は、ショベル100が自動給油又は自動充電するためのアイコン画像とする。
【0129】
移動アイコン2253は、グループ2202で定義された施工を行う位置と、グループ2203で定義された施工を行う位置と、の間の経路と共に、当該経路に沿って移動するための自律制御が設定されたアイコン画像とする。
【0130】
移動アイコン2253の経路は、入力受付部303が、経路設定画面2261から受け付けてもよい。経路設定画面2261には、ショベル100の作業場所を示した地図データを表示してもよい。入力受付部303は、タッチパネルD11を介して、地図データから経路の入力を受け付ける。
【0131】
本実施形態においては、グループ2202、2203と、アイコン画像(移動アイコン2251、自動給油/充電アイコン2252、及び移動アイコン2253)と、の間で自律制御を切り替えるために矢印アイコンが設定される。
【0132】
つまり、本実施形態では、表示装置D1の設定画面に、アイコン画像を複数表示した後、入力受付部303は、接続ボタン1402の押下をトリガーとして、複数のアイコン画像の間を矢印アイコン等によって関連付ける操作を受け付ける。
【0133】
図12に示される設定画面2201では、矢印アイコン2241、矢印アイコン2242、矢印アイコン2243、及び矢印アイコン2244が、接続ボタン1402の押下に応じて設定される。なお、矢印アイコン2241、矢印アイコン2242は、双方向の矢印であり、自律制御を双方向に遷移させることができる。また、矢印アイコン2243、矢印アイコン2244は、一方向の矢印であり、自律制御を一方向に遷移させることができる。
【0134】
本実施形態においては、矢印アイコンごとに、自律制御を遷移させるための条件を設定できる。
【0135】
例えば、グループ2202で示された自律制御から、燃料又はバッテリが無くなってきた場合に給油又は充電を行うために、矢印アイコン2241、及び矢印アイコン2242が設定される。その際に、操作者は、矢印アイコン2241に対して、バッテリ又は燃料が少なくなったことを条件として設定できる。
【0136】
例えば、入力受付部303は、矢印アイコン2241を配置する際に、燃料又はSOCが所定の基準(例えば20%)以下という条件の入力を受け付ける。
【0137】
これにより、制御部304は、ショベル100の燃料又はSOCが第1の基準(例えば20%)以下になった場合に、グループ2202から移動アイコン2251で示された自律による移動制御に遷移させる。そして、制御部304は、移動アイコン2251で示された経路に沿って、自動給油又は自動充電を行うステーションまで自律による移動制御を行う。その後、制御部304は、自動給油/充電アイコン2252で示されたショベル100が自動給油又は自動充電を行う。
【0138】
操作者は、設定画面2201において、自動給油又は自動充電が完了した後、ショベル100が再び施工を開始するような条件を設定できる。
【0139】
例えば、入力受付部303は、矢印アイコン2242を配置する際に、燃料又はSOCが第2の基準(例えば100%)以上という条件の入力を受け付ける。
【0140】
これにより、制御部304は、ショベル100の燃料又はSOCが第2基準(例えば100%)以上になった場合に、自動給油/充電アイコン2252で示された自動給油又は自動充電から、移動アイコン2251で示された移動制御に遷移し、移動アイコン2251で設定された経路に沿って、グループ2202で定義された施工を行う位置まで移動する自律制御を行う。
【0141】
操作者は、設定画面2201において、グループ2202で示された掘削及び排土による自律制御が終了した後、別の施工に移るための条件を設定できる。
【0142】
例えば、入力受付部303は、矢印アイコン2243を配置する際に、グループ2202で示された作業完了という条件の入力を受け付ける。
【0143】
これにより、制御部304は、グループ2202で示された作業が完了した場合に、移動アイコン2253で示された移動制御に遷移し、移動アイコン2253で設定された経路に沿って、グループ2203で定義された施工を行う位置まで移動する自律制御を行う。
【0144】
このように、本実施形態においては、入力受付部303が、矢印アイコンによって複数のアイコン画像間及びグループ間を関連付ける操作を受け付けた場合に、制御部304は、関連付けられた複数のアイコン画像及びグループで示される各々の自律制御を、関連付けられた順序に従って自律制御を行うように構成されている。
【0145】
本実施形態においては、コントローラ30が、上述した設定画面でアイコン画像を接続する操作を受け付けることで、ショベル100が行う作業の手順をプログラミングすることが可能なユーザインタフェースを提供できる。
【0146】
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態の変形例1では、ショベル100によって施工が完了した後の土砂形状が示された施工図面情報を読み込む例とする。本変形例に係るショベル100では、上述した実施形態で示した設定画面でショベル100の自律制御を設定した後、制御部304が、設定画面で設定された情報に従って自律制御を行う際に、施工図面情報を読み込む。これにより、制御部304は、掘削及び排土の自律制御を行うように設定された際に、掘削によって形成される土砂形状が、施工図面情報で示された土砂形状になるように施工を行う。
【0147】
さらに、環境認識ボタン1403の押下を受け付けた場合に、取得部301が、環境認識ボタン1403によるショベル100の周辺の土砂形状と、補助記憶装置に記憶された施工図面情報で示された土砂形状と、を比較してもよい。そして、表示制御部302が、ショベル100の周辺の土砂形状が、施工図面情報で示された土砂形状になるための自律制御を示したアイコン画像(例えば掘削アイコン及び排土アイコンを)を設定画面で配置してもよい。
【0148】
(第1の実施形態の変形例2)
第1の実施形態の変形例2では、オペ操作記録ボタン1404の押下を受け付けた後に行われた操作による施工の種類を判別する手法として、機械学習を用いる場合について説明する。
【0149】
まずは、ショベル100が作業を行う前に学習モデルを用意する必要がある。そこで、本変形例では、管理者が、ショベルによって行われた操作と、当該操作による施工の種類と、を対応付けた教師データを生成する。
【0150】
そして、情報処理装置が、当該教師データを用いて機械学習を行うことで、学習モデルを生成する。当該機械学習は、ディープラーニング等を用いてよく、具体的には、ニューラルネットワークを用いてバックプロパゲーションにより学習を行う。そして、当該学習モデルをコントローラ30に搭載する。
【0151】
コントローラ30は、行われた操作を学習モデルに入力することで、当該操作に対応する施工の種類を判別できる。行われた操作が複数の施工の組み合わせの場合には、コントローラ30は、一連の操作を学習モデルに入力することで、一連の操作に対応する複数の施工の種類を判別できる。
【0152】
従って、表示制御部302は、判別された施工の種類に対応するアイコン画像を、設定画面に表示できる。操作者が行った操作が複数種類の施工を含んでいる場合には、表示制御部302は、複数種類の施工の各々に対応するアイコン画像を表示してもよい。表示制御部302は、複数のアイコン画像を関連付けて表示をしてもよい。
【0153】
本変形例に係るコントローラ30は、操作者が行った操作に対応する自律制御の継続を実現できる。
【0154】
(第2の実施形態)
上述した実施形態及び変形例は、ショベル100の表示装置D1に対して表示された設定画面に対して自律制御の設定を行う例について説明した。しかしながら、自律制御の設定は、ショベル100内で行う手法に制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、ショベル100を制御可能な遠隔操作システムを適用した場合について説明する。
【0155】
図13は、第2の実施形態に係る遠隔操作システムSYSの一例を示す概要図である。図13に示すように、第2の実施形態に係る遠隔操作システムSYSは、ショベル100と、通信端末300と、遠隔操作室RCと、を含んでいる。そして、ショベル100、通信端末300、及び遠隔操作室RCの間は、公衆ネットワークNTによって接続されている。これにより、ショベル100、通信端末300、及び遠隔操作室RCの間で情報の送信及び受信を行うことができる。
【0156】
通信端末300は、ショベル100の現在の状況を監視するための端末とする。例えば、ショベル100が作業を行っている作業現場の管理者が、ショベル100から送信された情報に基づいて、ショベル100の現在の状況を確認するために用いられる。
【0157】
そして、ショベル100は、通信装置T1を介して、通信端末300及び遠隔操作室RCとの間で情報の送受信を行う。なお、本実施形態は、ショベル100の台数を制限するものではなく、ショベル100は2台以上でもよい。
【0158】
例えば、ショベル100は、通信装置T1を介して、空間認識装置C1による計測結果を示した情報を、遠隔操作室RCに送信できる。これにより、遠隔操作室RCは、ショベル100の周囲の状況を確認できる。
【0159】
また、作業現場に存在する(図示しない)ドローン又は(図示しない)定点計測カメラ等による計測結果を、遠隔操作室RCに送信してもよい。これにより、遠隔操作室RCは、ショベル100の周囲の状況を多角的に認識できる。
【0160】
遠隔操作室RCには、通信装置T2、遠隔コントローラ2340、操作装置2326、操作センサ2329、及び表示装置D2301を備えている。また、遠隔操作室RCには、ショベル100を遠隔操作する操作者OPが座る操作席DSが設置されている。遠隔操作室RCは、ショベル100の遠隔操作を行うことができる。
【0161】
通信装置T2は、ショベル100に取り付けられた通信装置T1(図1参照)との間で通信を制御するように構成されている。
【0162】
遠隔コントローラ2340は、各種演算を実行する演算装置である。本実施形態では、遠隔コントローラ2340は、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、遠隔コントローラ2340の各種機能は、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0163】
表示装置D2301は、遠隔操作室RCにいる操作者OPがショベル100の周囲を視認するために、ショベル100の各々から送信された情報に基づいた画面を表示する。表示装置D2301は、操作者が遠隔操作室RCにいるにもかかわらず、ショベル100の周囲を含む作業現場の状況を確認できる。さらに、表示装置D2301は、上述した実施形態と同様にタッチパネルが設けられてもよい。
【0164】
操作装置2326(操作部の一例)には、操作装置2326の操作内容を検出するための操作センサ2329が設置されている。操作センサ2329は、例えば、操作レバーの傾斜角度を検出する傾斜センサ、又は、操作レバーの揺動軸回りの揺動角度を検出する角度センサ等である。操作センサ2329は、圧力センサ、電流センサ、電圧センサ、又は距離センサ等の他のセンサで構成されていてもよい。操作センサ2329は、検出した操作装置2326の操作内容に関する情報を遠隔コントローラ2340に対して出力する。遠隔コントローラ2340は、受信した情報に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号をショベル100に向けて送信する。操作センサ2329は、操作信号を生成するように構成されていてもよい。この場合、操作センサ2329は、遠隔コントローラ2340を経由せずに、操作信号を通信装置T2に出力してもよい。これにより、遠隔操作室RCから、ショベル100の遠隔操作を実現できる。
【0165】
さらに、本実施形態に係る遠隔操作室RCでは、上述した実施形態と同様に設定画面から、ショベル100の自律制御の設定を行うことができる。このため、表示装置D2301には、上述した実施形態で示した設定画面が表示される。
【0166】
本実施形態の遠隔コントローラ2340は、上述した実施形態のコントローラ30と同様の構成を備えているものとする。これにより、遠隔コントローラ2340は、自律制御のための設定が可能となる。次に、遠隔操作室RCにおけるショベル100の自律制御の設定手順について説明する。
【0167】
図14は、本実施形態に係る遠隔操作システムSYSにおいて、ショベル100の自律制御を設定するための処理の流れを示したシーケンス図である。
【0168】
図14に示されるように、遠隔コントローラ2340は、表示装置D2301に設定画面を表示する(S2401)。例えば、表示装置D2301には、図4で示した設定画面が表示される。
【0169】
そして、遠隔コントローラ2340は、設定画面に表示されている環境認識ボタン1403の押下を受け付ける(S2402)。当該環境認識ボタン1403を押下する操作は、表示装置D2301に設けられたタッチパネルを介して受け付けてもよいし、操作センサ2329を介して受け付けてもよい。
【0170】
遠隔コントローラ2340は、環境認識ボタン1403の押下に従って、ショベル100に対してショベル100の周囲の環境の検出要求を送信する(S2403)。
【0171】
ショベル100のコントローラ30は、周囲の環境の検出要求を受信した場合に、空間認識装置C1による周囲の環境の検出を行う(S2404)。
【0172】
そして、ショベル100のコントローラ30は、周囲の環境の検出結果を、遠隔操作室RCに送信する(S2405)。
【0173】
遠隔操作室RCの遠隔コントローラ2340は、周囲の環境の検出結果を受信した場合に、当該検出結果に基づいたアイコン画像を、表示装置D2301に表示する(S2406)。例えば、ダンプトラックが検出された場合には、トラック認識アイコンと掘削アイコンと排土アイコンが表示され、法面が検出された場合には、法面掘削アイコンと排土アイコンとが表示される。
【0174】
遠隔操作室RCの遠隔コントローラ2340は、設定画面に表示されたアイコン画像に基づいた設定を行う操作を受け付ける(S2407)。例えば、遠隔コントローラ2340は、アイコン画像が押下された場合に、当該アイコン画面が示す自律制御に関する設定を受け付ける。例えば、遠隔コントローラ2340は、排土アイコンの押下を受け付けた場合には、排土する領域の設定等を行うことができる。
【0175】
遠隔操作室RCの遠隔コントローラ2340は、設定画面における設定が完了した後、作業開始ボタン1405の押下を受け付ける(S2408)。
【0176】
遠隔操作室RCの遠隔コントローラ2340は、設定画面で設定された手順に従って、ショベル100の自律制御を行うための操作信号を生成し、生成した操作信号と共に、作業の開始要求を、ショベル100に送信する(S2409)。
【0177】
これにより、コントローラ30は、開始要求と共に受信した操作信号に従って、自律制御を開始する(S2410)。
【0178】
本実施形態においては、上述した制御を行うことで、遠隔操作室RCからショベル100の自律制御を行うための設定を行うことができる。
【0179】
さらに、本実施形態においては、遠隔コントローラ2340が、表示装置D2301に表示された設定画面のオペ操作記録ボタン1404の押下を受け付けた場合、遠隔操作室RCにおいて操作者OPに行われた操作を記録し、当該操作に対応する自律制御を行うためのアイコン画像を、表示装置D2301に表示してもよい。これにより、遠隔操作システムSYSは、遠隔操作室RCで行われた操作を継続させる自律制御が可能となる。
【0180】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、遠隔操作室RCにおいて、表示装置D2301に設定画面を表示し、当該設定画面に表示されたアイコン画像に基づいて、ショベル100の自律制御の設定を行う例について説明した。しかしながら、第2の実施形態で示した遠隔操作室RCの遠隔コントローラ2340以外の通信装置が、自律制御の設定を行ってもよい。
【0181】
第3の実施形態では、第2の実施形態で示した遠隔操作システムSYSを構成する通信端末300において、自律制御の設定を行う例とする。
【0182】
通信端末300は、表示装置(例えば液晶パネル)を有する共に、表示装置の表面にタッチパネルが設けられている。
【0183】
これにより、通信端末300の表示装置には、上述した実施形態で示した設定画面が表示される。通信端末300のタッチパネルが、設定画面に対する操作を受け付ける。これにより、上述した実施形態と同様にショベル100に対して自律制御を行うための設定を行うことができる。
【0184】
<作用>
上述した実施形態及び変形例においては、ショベル100に対して自律制御について、設定画面に表示されたアイコン画像を用いた設定が可能となる。したがって、ショベル100の自律制御に関する設定が容易になるので、操作負担を軽減できる。
【0185】
さらに、上述した実施形態においては、空間認識装置C1による計測結果に基づいて設定画面にアイコン画像が表示される。したがって、設定画面には、ショベル100の周囲の環境を考慮したアイコン画像が表示されるので、自律制御を行わせるための設定の負担を軽減できる。
【0186】
さらに、上述した実施形態においては、設定画面において、複数のアイコン画像を関連付けることができるので、複数の自律制御を組み合わせた動作をショベル100に行わせることができる。したがって、ショベル100に複雑な施工を自律制御で行わせることができるので、作業効率の向上を実現できる。
【0187】
さらに、上述した実施形態においては、設定画面において、複数のアイコン画像をグループ化、自律制御の切り替えための条件の設定等を行うことができる。つまり、複数の自律制御を所定の手順に従って行うように設定できるので、ショベル100に複雑な施工動作を行わせることができる。したがって、作業効率の向上を実現できる。
【0188】
以上、ショベル、遠隔制御システム、及び表示装置を用いた場合の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0189】
100 ショベル
C1 空間認識装置
T1、T2 通信装置
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
11 エンジン
30 コントローラ
301 取得部
302 表示制御部
303 入力受付部
304 制御部
305 通信制御部
D1 表示装置
D11 タッチパネル
RC 遠隔操作室
2340 遠隔コントローラ
300 通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14