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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009539
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/15 20210101AFI20240116BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240116BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240116BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20240116BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20240116BHJP
   H01M 50/188 20210101ALI20240116BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/103
H01M50/533
H01M50/55 101
H01M50/557
H01M50/176
H01M50/184 A
H01M50/169
H01M50/588
H01M50/593
H01G11/78
H01G11/80
H01G11/74
H01M50/188
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111145
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】辻岡 克司
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB02
5E078HA05
5E078HA23
5E078KA06
5H011AA00
5H011AA02
5H011FF04
5H011KK01
5H043AA00
5H043AA13
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043DA02
5H043DA09
5H043DA13
5H043EA16
5H043EA22
5H043GA22
5H043GA23
5H043GA26
5H043HA06D
5H043HA06E
5H043HA31D
5H043HA31E
5H043KA09D
5H043KA09E
5H043KA22D
5H043KA22E
(57)【要約】
【課題】信頼性が好適に向上された電池を提供すること。
【解決手段】ここで開示される電池100の好適な一態様において、封口板4は、一端が電池ケース1の内部で正負極のいずれかの電極と電気的に接合され、他端が端子装着孔8に挿通されて封口板4の外側に露出する電極端子(集電端子20)と、封口板4の表面であって、開口部3を封口した状態で電池ケース1の外側にある外表面(外側面7)と、集電端子20と、を絶縁する絶縁部材30と、を有しており、絶縁部材30は、外側面7に露出した露出部(第2鍔部33)を有している。ここで、嵌合部40および第2鍔部33を比較したとき、嵌合部40の電池ケース1の底壁2aからの高さPは、第2鍔部33の電池ケース1の底壁2aからの高さQよりも高い。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正負極それぞれの電極を有する電極体と、
開口部を有し、前記電極体を収容する電池ケースと、
端子装着孔を有し、前記開口部を封口する封口板と、
前記開口部と前記封口板とが嵌合された嵌合部と、
を備えた電池であって、
前記封口板は、
一端が前記電池ケースの内部で前記正負極のいずれかの電極と電気的に接合され、他端が前記端子装着孔に挿通されて前記封口板の外側に露出する電極端子と、
前記封口板の表面であって、前記開口部を封口した状態で前記電池ケースの外側にある外表面と、前記電極端子とを絶縁する絶縁部材と、
を有しており、
前記絶縁部材は、前記外表面に露出した露出部を有しており、
ここで、前記嵌合部および前記露出部を比較したとき、前記嵌合部の前記電池ケースの底壁からの高さは、前記露出部の前記電池ケースの底壁からの高さ以上である、電池。
【請求項2】
前記封口板は、前記封口板の厚み方向に凹んでいる、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電極端子と前記絶縁部材とが、一体成形されている、請求項1または2に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池等の電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(BEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。かかる電池は、例えば、開口部を有し、電極体を収容する電池ケースと、該開口部を封口する封口板とを、レーザー照射等によって接合することで作製される。例えば下記特許文献1~3には、かかる電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-86813号公報
【特許文献2】特開平7-183011号公報
【特許文献3】特開2008-251474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者の検討によると、例えば上記特許文献1のように、ケース部材よりも上方に露出した露出部を有する絶縁材によると、上述したような接合時のレーザー反射等に起因する熱影響によって、該露出部に焦げが生じ得ることが分かった。かかる絶縁部材の焦げは、電池の信頼性等の観点から抑制されることが好ましい。
【0005】
本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その主な目的は、信頼性が好適に向上された電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を実現するべく、本開示は、正負極それぞれの電極を有する電極体と、開口部を有し、上記電極体を収容する電池ケースと、端子装着孔を有し、上記開口部を封口する封口板と、上記開口部と上記封口板とが嵌合された嵌合部と、を備えた電池であって、上記封口板は、一端が上記電池ケースの内部で上記正負極のいずれかの電極と電気的に接合され、他端が上記端子装着孔に挿通されて上記封口板の外側に露出する電極端子と、上記封口板の表面であって、上記開口部を封口した状態で上記電池ケースの外側にある外表面と、上記電極端子と、を絶縁する絶縁部材と、を有しており、上記絶縁部材は、上記外表面に露出した露出部を有しており、ここで、上記嵌合部および上記露出部を比較したとき、上記嵌合部の上記電池ケースの底壁からの高さは、上記露出部の上記電池ケースの底壁からの高さ以上である電池を提供する。
【0007】
このように、嵌合部の電池ケースの底壁からの高さが、露出部の電池ケースの底壁からの高さ以上である場合、該露出部が上述したような熱影響を受けにくくなる。これによって、絶縁部材の焦げを好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る電池を模式的に示す分解図である。
図3図3は、図1の封口板の模式的な上面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿う模式的な縦断面図である。
図5図5は、一実施形態に係る成形金型の模式図である。
図6図6は、他の実施形態に係る図4対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術のいくつかの好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本開示の実施に必要な事柄(例えば、本開示を特徴付けない電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本開示は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本開示を限定することを意図したものではない。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも実際の実施品が忠実に反映されたものではない。以下では、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。ここでは、図中において、前、後、上、下、左、右は、それぞれF、Rr、U、D、L、Rで表す。ただし、前、後、上、下、左、右は説明の便宜上の方向に過ぎず、電池の設置態様等を限定するものではない。そして、以下の説明は、ここで開示される技術を以下の実施形態に限定することを意図したものではない。
【0011】
なお、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、一次電池と二次電池とを包含する概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。また、電池が備える電解質は、液状電解質(電解液)、ゲル状電解質、固体電解質のいずれであってもよい。
【0012】
<電池の構成>
図1は、電池100を模式的に示す斜視図である。図2は、電池100を模式的に示す分解図である。図2に示すように、電池100は、電池ケース1と、電極体10と、集電端子20と、絶縁部材30とを備えている。図2では、電池ケース1のうちの一部品である封口板4に集電端子20と絶縁部材30とが一体成形されたアッセンブリ部品(以下、封口板アッセンブリ4Aと呼ぶ)と、その他の部品とを分離して図示している。さらに図2では、負極に関して、封口板4と集電端子20と絶縁部材30とを分離して図示している。
【0013】
電池ケース1は、ケース本体2と封口板4とを備えている。ケース本体2および封口板4は、電池ケース1を構成するケース部材の一例である。ケース本体2は、電極体10と電解液とを収容している。ケース本体2は、略直方体の扁平な角型の容器である。ケース本体2は、対向する幅広面を構成する一対の側面の間の一側面が開口している。ケース本体2としては、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属製のものを好適に用いることができる。
【0014】
封口板4は、ケース本体2の開口部3を封口する部材である。図2および図3に示すように、封口板4は、その厚み方向(図2のD方向)に凹んだトレー状の部材である。この場合、外表面(外側面7)の電池ケース1の底壁2aからの高さは、嵌合部40の電池ケース1の底壁2aからの高さよりも低い構成となっている。かかる封口板4によると、ケース本体2と封口板4との嵌合時に位置合わせがし易くなるため好ましい。封口板4は、例えば金型を用いて製造することができる。図2では分離状態で図示しているが、電池100の完成品(図1を参照)では、封口板4とケース本体2の開口部3とが嵌合部40によって嵌合され、封口板4はケース本体2の開口部3の周縁に接合されている。封口板4としては、例えば、アルミニウムまたはアルミ合金の金属製のものを好適に用いることができる。封口板4は、電池100の内部側を向いた内側面6と外部側を向いた外側面7とを有している。封口板4は、また、内側面6と外側面7とを貫通する端子装着孔8を有している。端子装着孔8は、封口板4の正極側と負極側に1個ずつ設けられている。端子装着孔8によって電池ケース1の内部と外部とは連通している。
【0015】
封口板4は、電池ケース1の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁5が設けられている。また、電池ケース1には、電解液を注入するための注入孔(図示せず)が設けられている。
【0016】
電極体10は、ケース本体2に収容されている。電極体10は、例えば、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、ケース本体2に収容されている。電極体10は、正極シート11と、負極シート12と、正極シート11と負極シート12との間に配置されたセパレータシート(図示省略)とを備えている。正極シート11、負極シート12、およびセパレータシートは、それぞれ長尺の帯状の部材である。正極シート11、負極シート12、およびセパレータシートは重ねられ、ケース本体2内で捲回されている。なお、ここで開示される技術は、例えば電極体が、正極シートおよび負極シートがセパレータシートを介して重ねられた積層型電極体である場合にも適用することができる。
【0017】
正極シート11は、予め定められた幅および厚さの金属箔(例えば、アルミニウム箔)の両面に、正極活物質を含む正極活物質層が形成された部材である。なお、他の実施形態では、正極シートの片面のみに正極活物質層が形成されていてもよい。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0018】
負極シート12は、予め定められた幅および厚さの金属箔(例えば、銅箔)の両面に、負極活物質を含む負極活物質層が形成された部材である。なお、他の実施形態では、負極シートの片面のみに負極活物質層が形成されていてもよい。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0019】
セパレータシートには、例えば、所要の耐熱性を有し、電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータシートについても種々提案されており、特に限定されない。
【0020】
電解液としては、この種の電池に用いられ得る従来公知のものを使用可能であり、例えば、有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩を含有させたものを用いることができる。
【0021】
ケース本体2内で捲回された正極シート11は、一端がケース本体2内の左端付近にくるように配置される。負極シート12は、一端がケース本体2内の右端付近にくるように配置される。図2では分離状態で図示しているが、電池100の完成品では、正極シート11および負極シート12には、それぞれ1つの集電端子20が溶接されている。
【0022】
封口板アッセンブリ4Aは、封口板4と、集電端子20と、絶縁部材30とが一体成形(インサート成形)で組み付けられたアッセンブリ部品である。かかる構成によると、封口板アッセンブリ4Aを容易に取り外すことができるため、作業性の観点から好ましい。集電端子は、一部が電池ケース1の内部に配置され、他の一部が電池ケース1の外部に配置されている。また前述のように図示は省略しているが、集電端子20は、電池ケース1の内部において電極体10に接続されている。なお、負極側の集電端子20は、例えば、銅または銅合金で形成されている。正極側の集電端子20は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。
【0023】
図4は、封口板4の端子装着孔8付近の断面図である。図4は、図1のIV-IV断面図である。図4に示すように、集電端子20は、台座部21と、電極体接続部22と、軸部23と、外部接続部24とを備えている。なお、以下では、電極体10の電極を電池ケース1の外部に取り出す、端子装着孔8付近の構成を「電極取出部」とも称する。
【0024】
台座部21は、四角形の平板状に構成され、水平方向に延びている。図4に示すように、台座部21の前後方向の長さは端子装着孔8よりも長い。図示は省略するが、左右方向に関しても、台座部21の長さは端子装着孔8よりも長い。台座部21は、径方向の大きさが端子装着孔8よりも大きい。
【0025】
電極体接続部22は、電池ケース1の内部に配置され、電極体10に接続されている。図2に示すように、電極体接続部22は板状に形成され、台座部21の後端から下方に延びている。電極体接続部22は中間部で前方側に向かって屈折している。電極体接続部22は、屈折部分よりも下方では再び下方に向かって延びている。この屈折により、電極体接続部22の先端は、前後方向に関して台座部21の中央部に位置している。
【0026】
軸部23は、電極体接続部22と電池ケース1の外部に配置された外部接続部24との間に配置され、端子装着孔8に挿通されている。軸部23は、台座部21から上方に延びている。図4に示すように、軸部23の前後方向の長さは台座部21および端子装着孔8よりも短い。図示は省略するが、左右方向に関しても、軸部23の長さは台座部21および端子装着孔8よりも短い。そのため、軸部23は、端子装着孔8の内周面とは離間している。
【0027】
外部接続部24は、軸部23の上方に設けられている。外部接続部24は、封口板4の外側面7に露出している。図4に示すように、外部接続部24の前後方向の長さは台座部21および端子装着孔8よりも短く、軸部23よりも長い。図示は省略するが、左右方向に関しても、外部接続部24の長さは台座部21および端子装着孔8よりも短く、軸部23よりも長い。外部接続部24は、端子装着孔8に挿通可能な大きさに構成されている。台座部21、軸部23、および外部接続部24の大きさの差により、軸部23は台座部21および外部接続部24に対してくびれたようになっている。
【0028】
絶縁部材30は、封口板4の表面であって、開口部3を封口した状態で電池ケース1の外側にある外表面(外側面7)と、集電端子20とを絶縁する。絶縁部材30は、端子装着孔8と集電端子20との間を埋めるように封口板4および集電端子20と一体成形されている。より詳しくは、絶縁部材30は、端子装着孔8の内部と、封口板4の内側面6よりも電池ケース1の内部側と、封口板4の外側面7よりも電池ケース1の外部側とに形成されている。絶縁部材30は、端子装着孔8と集電端子20の軸部23との間に位置する筒状部31と、封口板4の内側面6に沿って水平方向に延びる第1鍔部32と、封口板4の外側面7に沿って水平方向に延びる第2鍔部33とを有している。筒状部31と第1鍔部32と第2鍔部33とは一体に形成されている。図4に示すように、第1鍔部32および第2鍔部33の前後方向の長さは、集電端子20の台座部21および外部接続部24よりも長い。図示は省略するが、左右方向に関しても、第1鍔部32および第2鍔部33の長さは、集電端子20の台座部21および外部接続部24よりも長い。
【0029】
図1および図4に示すように、絶縁部材30は、封口板4の外表面(外側面7)に露出した露出部(ここでは、第2鍔部33)を備えている。そして、嵌合部40の電池ケース1の底壁2aからの高さPは、第2鍔部33の電池ケース1の底壁2aからの高さQよりも高い(図4を参照)。かかる構成によると、ケース本体2の開口部3と封口板4とを嵌合部40において接合する際に、第2鍔部33がレーザー反射等の熱影響を受けにくくなる。これによって、絶縁部材30の焦げを好適に抑制することができるため、信頼性が好適に向上された電池100を得ることができる。
【0030】
ケース本体2の底壁から嵌合部40までの高さPに対する、第2鍔部33(第2鍔部33の最表面)から嵌合部40までの高さR(図4を参照)の比(R/P)の範囲は、ここで開示される技術の効果が得られる限りにおいて特に制限されない。一方、例えば絶縁部材30(特に、第2鍔部33)の焦げを好適に抑制するという観点からは、上記比(R/P)の下限は、例えば1/20以上であり、好ましくは1/10以上であり、1/5以上であってもよい。また、例えば電池の容量を好適に確保するという観点からは、上記比(R/P)の上限は、例えば1/3以下であり、好ましくは1/4以下である。
【0031】
絶縁部材30は、例えば、PFA樹脂により形成されている。ただし、絶縁部材30は、成形性、絶縁性、シール性、および電解液に対する耐性を備えた材料であればよく、PFA樹脂には限定されない。他の好適な絶縁部材30の材料としては、例えば、PPS樹脂が挙げられる。なお、絶縁部材30の成形時の温度と電池100の使用時の温度との差を考慮し、封口板4の線膨張率と絶縁部材30の線膨張率とは近い方が好ましい。そこで、好適には、絶縁部材30には、PFA樹脂等の他に、線膨張率を調整するためのフィラーが添加されてもよい。
【0032】
<電池の製造方法>
続いて、電池100の製造方法の一例について説明する。電池100の製造方法は、嵌合部40の電池ケース1の底壁2aからの高さが、第2鍔部33の電池ケース1の底壁2aからの高さ以上である構成とすることで特徴付けられる。それ以外の製造プロセスは従来同様であってよい。また、ここに開示される製造方法は、任意の段階でさらに他の工程を含んでもよい。
【0033】
先ず、封口板アッセンブリ4Aの製造方法について説明する。本実施形態に係る封口板アッセンブリ4Aは、封口板4、集電端子20、および絶縁部材30の一体成形により製作される。一体成形プロセス(封口板15、集電端子、および絶縁部材30が準備された後の封口板アッセンブリ4Aの製作プロセス)は、部品セット工程、位置決め工程、上型セット工程、射出成形工程、上型リリース工程、および部品取出工程を含んでいる。
【0034】
部品セット工程では、成形金型に封口板4が装着される。図5は、成形金型50の模式図である。ただし、図5では成形金型50のうち下型51だけが図示されており、上型は図示を省略している。図5では、図1等で電池100の方向を示す際に使用した方向をそのまま使用する。ただし、これは成形金型50の設置態様等を限定するものではない。
【0035】
図5に示すように、下型51は、本体52と、2つのスライド部材53とを備えている。本体52は、封口板4を支持し、かつ位置決めしている。また、本体52は、溶融樹脂が流れ込む凹部(図示省略)を備えている。部品セット工程においては、集電端子20を封口板4の端子装着孔8に挿通した後、封口板4を下型51の本体52に装着する。集電端子の外部接続部24は、端子装着孔8に挿通可能な大きさに構成されている。そこで、集電端子20は、外部接続部24側から端子装着孔8に挿通される。
【0036】
下型51の本体72に封口板4と正負の集電端子20を装着した後、例えばスイッチ押下などの所定の操作を行うと、位置決め工程が開始される。位置決め工程では、前方側に退避していた2つのスライド部材53が後方に移動する。これにより本体52とスライド部材53とに集電端子20が挟まれる。集電端子20は、これにより支持され、位置決めされる。スライド部材53の後面は、集電端子20の電極体接続部22の屈折した形状に対応する形状を有している。なお、集電端子の電極体接続部が屈折することなく上下方向に延びている場合には、スライド部材は特に必要でなく、可動部を備えない下型で対応可能である。集電端子の形状は特に限定されず、例えば、上記したように電極体接続部が平坦であってもよい。位置決め工程の完了時、下型51の凹部は、封口板4の端子装着孔8と集電端子20の台座部21との間に位置する。
【0037】
上型セット工程では、下型51とともに封口板4および集電端子20を上下方向に挟むように図示しない上型が上方から降下する。上型は、下型と当接するシール部と、樹脂が流れ込む凹部と、凹部に接続されたゲート部とを備えている。ゲート部は、溶融樹脂の成形金型50への入口である。ゲート部は、射出成形機の樹脂射出口に接続されている。上型の凹部は、封口板4を挟んで下型51の凹部と向かい合っている。
【0038】
射出成形工程では、まず成形金型50が加熱される。加熱温度は樹脂の種類によって異なるが100℃から200℃程度である。成形金型50の加熱が完了すると、ゲート部から溶融樹脂が注入される。溶融樹脂は上型の凹部に充填され、さらに端子装着孔8を通って下型51の凹部に充填される。その後、成形金型50と成形品とが冷却される。これにより、絶縁部材30と封口板4と集電端子20とが一体成形される。
【0039】
上型リリース工程では、上型が上昇し下型51から離間する。部品取出工程では、成形品が下型71から取り外される。なお、部品取出工程の後に、樹脂のゲート部や成形バリを除去する工程があってもよい。
【0040】
以上のように封口板アッセンブリ4Aを用意し、封口板アッセンブリ4Aの電極接続部32と電極体10とを接続した後、ケース本体2の開口部3から電極体10を挿入し、封口板4とケース本体2の開口部3との周縁をレーザー溶接等によって接合する。その後、注入孔から電解液を注入し、該注液孔を封止部材で塞ぐことによって、電池100を密閉する。以上のようにして、電池100を製造することができる。
【0041】
電池100は各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。
【0042】
以上、本開示のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本開示は、他にも種々の形態にて実施することができる。本開示は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、正極側、負極側において、露出部(ここでは、第2鍔部33)が、共に嵌合部40よりも下方(図1のD方向)に存在しているが、これに限定されない。正極側および負極側のいずれか一方のみを、かかる構成とすることもできる。また、例えば、上記実施形態では、一体成形(インサート成形)によって封口板アッセンブリ13を製造しているが、これに限定されない。ここで開示される技術は、一体成形以外の方法によって製造された封口板アッセンブリについても適用することができる。また、電池ケースの形状は、ここで開示される技術の効果が発揮される限りにおいて、円筒状等その他の形状であってもよい。
【0044】
例えば、上記実施形態では、嵌合部40の電池ケース1の底壁2aからの高さは、第2鍔部33の電池ケース1の底壁2aからの高さよりも高い構成としているが、これに限定されない。図6に示すように、嵌合部140の電池ケース101の底壁からの高さが、露出部(ここでは、第2鍔部133)の電池ケース101の底壁からの高さと等しい構成(即ち、第2鍔部133が嵌合部140と面一に存在するような構成)とすることもできる。なお、図6中の102,104,120,121,122,123,124,130,131,132は、それぞれ図4の2,4,20,21,22,23,24,30,31,32に対応するものとする。
【0045】
例えば、上記実施形態では、封口板4としてその厚み方向(図2のD方向)に凹んだトレー状の部材を用いているが、これに限定されない。例えば、封口板4は、凹みのないプレート状であってもよい。また、例えば、封口板4において、絶縁部材30の近傍のみを凹部とし、他の部分を該凹部に対して凸状とすることもできる。より具体的には、正極側の絶縁部材30の近傍-安全弁5を含む中央部-負極側の絶縁部材30の近傍が凹-凸-凹となっている封口板を用いることができる。かかる封口板4は、例えば金型を用いて製造することができる。
【符号の説明】
【0046】
1,101 電池ケース(ケース部材)
2,102 ケース本体(ケース部材)
3 開口部
4,104 封口板(ケース部材)
4A 封口板アッセンブリ
5 安全弁
6 内側面
7 外側面
8 端子装着孔
10 電極体
11 正極シート
12 負極シート
20,120 集電端子(電極端子)
21,121 台座部
22,122 電極体接続部
23,123 軸部
24,124 外部接続部
30,130 絶縁部材
31,131 筒状部
32,132 第1鍔部(露出部)
33,133 第2鍔部
40,140 嵌合部
50 成形金型
51 下型
52 本体
53 スライド部材
100 電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6