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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095407
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】蛍光検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240703BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240703BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61B1/00 511
G01N21/64 Z
A61B1/06 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212680
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅理
(72)【発明者】
【氏名】保坂 智也
(72)【発明者】
【氏名】里村 裕明
(72)【発明者】
【氏名】横田 和之
【テーマコード(参考)】
2G043
4C161
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043KA01
2G043MA11
4C161AA24
4C161CC06
4C161DD01
4C161JJ11
4C161NN01
4C161NN05
4C161QQ02
4C161QQ04
4C161QQ09
4C161RR02
4C161RR24
4C161WW12
4C161WW13
4C161WW17
(57)【要約】
【課題】スコープが正しく接続されていないときに励起光が照射されるのを防止する。
【解決手段】蛍光検出装置100は、励起光γを生成する光源34、光源に光接続され、光源から出力される励起光を導光して被検体1の腹腔1a内の組織に照射するとともに、励起光の照射により組織から発せられる蛍光γを集光するスコープ10、スコープにより集光された蛍光を検出する検出器35、スコープが光源に接続されているか否かを検出し、接続されていない場合に光源による励起光の生成を禁止するインターロック装置50を備える。これによれば、インターロック装置により、スコープが光源に接続されているか否かを検出し、接続されている場合に光源を動作可能にすることで、スコープが正しく光源に接続されている場合のみ励起光が生成され、安全性が向上する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を生成する光源と、
前記光源に光接続され、前記光源から出力される前記励起光を導光して被検体の腹腔内の組織に照射するとともに、前記励起光の照射により前記組織から発せられる蛍光を集光するスコープと、
前記スコープにより集光された蛍光を検出する検出器と、
前記スコープが前記光源に接続されているか否かを検出し、接続されていない場合に前記光源による励起光の生成を禁止するインターロック装置と、
を備える蛍光検出装置。
【請求項2】
前記インターロック装置は、前記スコープが前記光源に接続されている場合に前記光源による前記励起光の生成を許可する、請求項1に記載の蛍光検出装置。
【請求項3】
前記インターロック装置は、前記光源又は該光源を収容する筐体から前記スコープを往復する配線を有し、該配線の接続を検出する、請求項1に記載の蛍光検出装置。
【請求項4】
前記スコープは、前記光源にケーブルを介して光接続され、
前記配線は、前記光源又は前記筐体から前記ケーブルを介して前記スコープを往復する、請求項3に記載の蛍光検出装置。
【請求項5】
前記スコープ及び前記ケーブルは、それぞれ、前記配線の一部を有し、互いに連結された状態で前記スコープに設けられた配線と前記ケーブルに設けられた配線とが接続して前記配線を形成する、請求項4に記載の蛍光検出装置。
【請求項6】
前記ケーブルが前記筐体に結合された状態で、前記ケーブルに設けられた配線と前記筐体に設けられた配線とが接続して前記配線を形成する、請求項4に記載の蛍光検出装置。
【請求項7】
前記スコープに設けられた前記光源のスイッチのオンオフを検出して前記光源に駆動信号を送ることで、前記励起光を生成させる制御装置をさらに備える、請求項1に記載の蛍光検出装置。
【請求項8】
前記スコープが前記光源に接続されている場合、前記光源のスイッチと前記制御装置との間にスイッチ配線が繋がり、
前記スコープが前記光源に接続されていない場合、前記スイッチ配線が切断される、請求項7に記載の蛍光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体内に薬剤を投与し、生体組織に励起光を照射することにより生体組織内から薬剤が発する蛍光を受光することで生体組織内の病原を検出する方法が知られている。例えば特許文献1には、光学視管を用いて熱侵襲を受けた部位に励起光、例えば青色光を照射し、それにより発せられる緑色の自家蛍光を受光することで、白色光で照明した際には視認不可能な熱侵襲の内部領域を映し出すことができる医療用システムが開示されている。斯かる医療用システムにおいて、光学視管が正しく接続されていないときに励起光の照射を防止する安全機能が必要である。
特許文献1 国際公開第2020/174666号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様においては、励起光を生成する光源と、前記光源に光接続され、前記光源から出力される前記励起光を導光して被検体の腹腔内の組織に照射するとともに、前記励起光の照射により前記組織から発せられる蛍光を集光するスコープと、前記スコープにより集光された蛍光を検出する検出器と、前記スコープが前記光源に接続されているか否かを検出し、接続されていない場合に前記光源による励起光の生成を禁止するインターロック装置と、を備える蛍光検出装置が提供される。
【0004】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本実施形態に係る蛍光検出装置の概略構成を示す。
図2】インターロック機能、特にインターロック装置及び図1の部分Cの概略構成を示す。
図3】スコープ及びケーブルが外れた状態を示す。
図4】スコープに対してケーブルが回転した状態を示す。
図5】制御演算装置の機能構成を示す。
図6】蛍光検出装置及び腹腔鏡装置の使用状態を示す。
図7】モニタ装置の画面表示の一例を示す。
図8】蛍光検出方法のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0007】
図1に、本実施形態に係る蛍光検出装置100の概略構成を示す。蛍光検出装置100は、スコープ10を用いて、被検体(患者)1に投与した薬剤2が腹腔1a内の組織から発する蛍光γを検出する装置である。ここで、薬剤2として、例えばインドシアニングリーン(ICG)を採用することができる。ICGは、例えば近赤外光(波長約790nm)を照射すると蛍光(波長820~840nm)を発する薬剤であり、生体の窓の波長領域(波長650~900nm)で利用できるため、例えば肝機能検査、循環機能検査、乳癌等の疾患におけるセンチネルリンパ節の同定、血管及び組織の血流評価等の生体検査に好適である。蛍光検出装置100は、腹腔鏡装置200と併用可能な装置であり、スコープ10、ケーブル20、及び装置本体30を備える。
【0008】
スコープ10は、被検体1の腹腔1a内に少なくとも一部が挿入されて、光源34から出力される励起光γ(及びガイド光γ)を導光して腹腔1a内の組織に照射するとともに、励起光γの照射により組織内の薬剤2が発する蛍光γを集光する光学視管である。スコープ10は、チューブ11、送光用光ファイバ12、受光用光ファイバ13、及びコネクタ14を含む。
【0009】
チューブ11は、送光用光ファイバ12及び受光用光ファイバ13の先端を長手軸の一端面(すなわち、先端面)上に位置合わせして、それらを内部に支持する管状又は柱状部材である。チューブ11は、例えば完全防水及びオートクレーブ滅菌可能なSUS管を採用してよく、内部に樹脂等の部材を充填して送光用光ファイバ12及び受光用光ファイバ13を拘束してもよい。或いは、中実なチューブ11に複数の貫通孔を設け、それぞれに送光用光ファイバ12及び受光用光ファイバ13を通して拘束してもよい。本実施形態ではチューブ11は、一例として直径10mm及び軸長300mmを有する円管であり、先端が被検体1の腹腔1a内に差し込まれ、基端がコネクタ14に固定される。
【0010】
送光用光ファイバ12は、光源34から出力される励起光γを送るための光学部材である。なお、近赤外波長域の励起光γの照射箇所を視認できるように、可視光波長域のガイド光γを励起光γに重畳してもよい。送光用光ファイバ12は、石英ガラス、他成分ガラス、フッ化物ガラス、カルコゲナイドガラス、プラスチック等の素材から形成された光ファイバであってよい。また、マルチモードファイバ(MMF)、シングルモードファイバ(SMF)、ダブルクラッドファイバ(DCF)、フォトニック結晶ファイバ(PCF)等の光ファイバであってよい。
【0011】
受光用光ファイバ13は、腹腔1a内で組織内の薬剤2が発する蛍光を集光して、検出器35に送るための光学部材である。受光用光ファイバ13は、1つに限らず複数であってもよい。受光用光ファイバ13の素材及び構造は、送光用光ファイバ12と同様である。
【0012】
コネクタ14は、チューブ11の基端に設けられ、これをケーブル20の把持部24に着脱可能に固定するための部材である。コネクタ14は、スコープ10のインターロック機能を提供するための電気配線である配線51を含む。配線51は、コネクタ14の接続端部から内部を往復するように配設される。
【0013】
コネクタ14がケーブル20の把持部24に接続されると、スコープ10、特に送光用光ファイバ12は光源34(励起光源34a及びガイド光源34b)に光学的に接続(光接続ともいう)され、受光用光ファイバ13は検出器35に光接続され、配線51は(ケーブル20の配線52を介して)インターロック装置50に電気接続される。
【0014】
上述の構成により、スコープ10は、その長手軸の先端を被検体1の腹腔1a内に挿入して先端から励起光γを出力し、先端から励起光γの照射により組織内の薬剤2が発する蛍光γを集光することができる。ここで、スコープは、励起光γに重畳して可視光波長域のガイド光γを出力して、腹腔1a内の組織に照射してもよい。それにより、スコープ10の先端を腹腔1a内の関心箇所に接近させてその関心箇所のみを検査することができる。
【0015】
ケーブル20は、スコープ10を装置本体30に接続して、送光用光ファイバ12及び受光用光ファイバ13をそれぞれ光源34及び検出器35に光接続するための器具である。ケーブル20は、フレキシブルチューブ21、送光用光ファイバ22及び受光用光ファイバ23、及び把持部24、配線24c、及び2つの配線52を含む(図2参照)。
【0016】
フレキシブルチューブ21は、送光用光ファイバ22及び受光用光ファイバ23を束ねてそれらを内部に保持する可撓性の管状部材である。フレキシブルチューブ21は、例えば直径5mm及び長さ300cmを有するシース付SUS管であってよい。フレキシブルチューブ21の一端は、把持部24に接続される。フレキシブルチューブ21の他端は、装置本体30のコネクタ29に着脱可能に接続される。
【0017】
送光用光ファイバ22及び受光用光ファイバ23は、先述の送光用光ファイバ12及び受光用光ファイバ13と同様に構成される。
【0018】
把持部24は、ケーブル20の一端に設けられ、ユーザがこれを把持してスコープ10を操作するための部材である。スコープ10のコネクタ14が着脱可能に把持部24に固定される。把持部24は、感電防止のために樹脂(例えば、ABS樹脂)のような絶縁部材を用いて形成される。把持部24は、SW24a、及び配線24bを含む(図2参照)。
【0019】
SW24aは、ユーザが励起光γの生成の開始及び停止を操作するためのスイッチ装置であり、一例として、防水性のモメンタリスイッチ(SW)を採用することができる。SW24aは、把持部24の側面に設けられ、ユーザがスコープ10を把持してその手指でSW24aを押す及び離すことで操作することができる。
【0020】
配線24bは、SW24aを装置本体30(制御演算装置36)に接続するための電気配線である。配線24bは、SW24aと把持部24の端部との間に配設される。ユーザがSW24aを押すと、電気信号が制御演算装置36に送られて励起光γがスコープ10の先端から射出される。
【0021】
配線24cは、SW24aを装置本体30(制御演算装置36)に接続するための電気配線である。配線24cは、フレキシブルチューブ21の一端で配線24bに接続し、フレキシブルチューブ21の一端から他端まで延設される。
【0022】
2つの配線52は、スコープ10のインターロック機能を提供するための電気配線である。2つの配線52は、ケーブル20の一端から他端まで並行に延びる。
【0023】
上述の構成により、ケーブル20の把持部24にスコープ10のコネクタ14を適切に接続し、ケーブル20の基端を装置本体30(筐体31)のコネクタ29に適切に接続すると、送光用光ファイバ22及び受光用光ファイバ23が、それぞれスコープ10の送光用光ファイバ12及び受光用光ファイバ13と同軸上に位置決めされるとともに、それぞれ装置本体30の光ファイバ32,33と同軸上に位置決めされる。それにより、スコープ10の送光用光ファイバ12が光源34(励起光源34a及びガイド光源34b)に光学的に接続(光接続ともいう)され、受光用光ファイバ13が検出器35に光接続される。
【0024】
さらに、スコープ10及びケーブル20が互いに連結された状態において、ケーブル20の2つの配線52の一端がスコープ10の配線51の2つの端部に接続し、ケーブル20が筐体31に結合された状態において、ケーブル20の2つの配線52の他端が筐体31内に設けられた2つの配線53に接続する。それにより、スコープ10の配線51、ケーブル20の2つの配線52、及び筐体31内の2つの配線53が、筐体31内からケーブル20を介してスコープ10を往復するインターロック配線51~53を形成する。なお、スコープ10がケーブル20から外れる或いはケーブル20が筐体31から外れると、インターロック配線51~53は切断されることとなる。
【0025】
また、ケーブル20が筐体31に結合された状態において、ケーブル20の配線24cの一端が筐体31内に設けられた配線24dを介して制御演算装置36に接続する。それにより、ケーブル20の把持部24の配線24b、フレキシブルチューブ21内の配線24c、及び筐体31内の配線24dが、ひとつながりのスイッチ配線24b~24dを形成する。なお、把持部24がフレキシブルチューブ21から外れる或いはケーブル20が筐体31から外れると、スイッチ配線24b~24dは切断されることとなる。
【0026】
装置本体30は、筐体31内に各種機能装置を備えるユニットであり、光源34、検出器35、制御演算装置36、記録装置37、入出力装置38、通信装置39、及びインターロック装置50を含む。なお、これらの機能装置は、互いに通信線を介して通信可能に接続されている。
【0027】
なお、筐体31は、光源34等の機能装置を収容する。前面には、フレキシブルチューブ21が接続されるコネクタ29が樹脂(例えば、ポリカーボネート)のような絶縁部材を介して固定されている。筐体31内には、コネクタ29及びインターロック装置50を接続する配線53、コネクタ29及びグランド電位を接続する配線53が設けられている。背面には電源コネクタ(不図示)が固定され、これを介して商用電源(AC100V)から電力が各機能装置に送られる。なお、筐体31は、フレームグランドとして接地される。背面には、さらにユニバーサルシリアルバス(USB)、デジタルビジュアルインタフェース(DVI)-D、DVI―I等のコネクタが設けられている。
【0028】
また、筐体31の前面にエアーを内部に取り込むための吸気口が設けられ、背面にはエアーを送り出すための排気口が設けられ、ファン(不図示)を稼働することで前面から背面に向かってエアーが筐体内を流れることで各機能装置が冷却される。また、筐体31の前面に、動作中であること、異常が発生したこと等を光で知らせるランプ(不図示)、音声で知らせるスピーカ(不図示)が設けられている。その他、筐体31の前面にレーザkeyスイッチ、レーザ緊急停止ボタン、及び起動スイッチ(それぞれ不図示)、筐体31の背面にACインレットのスイッチ、レーザインターロック、及び等電位化端子(それぞれ不図示)が設けられている。
【0029】
光源34は、励起光γ等を生成する装置であり、励起光源34a及びガイド光源34bを有する。励起光源34aは、励起光γとして近赤外光(例えば、波長785nm)を出力するレーザダイオード(例えば、40mW可変)を採用する。ガイド光源34bは、ガイド光γとして可視光(可視光波長域の光であり、例えば波長520nmの緑色光)を出力するレーザダイオード(例えば、10mW可変)を採用する。ここで、近赤外光は視認困難であるため、励起光γの照射箇所を視認できるように光源34は可視光を含むガイド光γを励起光γに重畳して出力する。光源34は、励起光γの強度、励起光源34aの温度、電源の異常等を検出し、それらの検出結果を制御演算装置36に送信する。
【0030】
励起光源34a及びガイド光源34bは、励起光γ及びガイド光γをそれぞれ光ファイバ32a,32bに送り出し、光ファイバカプラ(不図示)を介してそれらを合波し、光ファイバ32を介してそれらをケーブル20の送光用光ファイバ22に送り込む。なお、励起光源34a及びガイド光源34bは、制御演算装置36から送信される駆動信号に従って励起光γ及びガイド光γを生成する。ここで、励起光源34aは、励起光γを周期的に出力(オンオフ)してもよい。
【0031】
検出器35は、蛍光γを検出する装置である。検出器35は、スコープ10により集光された蛍光γをケーブル20の受光用光ファイバ23及び装置本体30の光ファイバ33を介して受光する。検出器35は、光学フィルタ及び分光器(それぞれ不図示)を有する。
【0032】
光学フィルタは、腹腔1a内の組織に励起光γを照射した際に組織の表面で反射して蛍光γとともにスコープ10により集光される励起光γをカットするバンドパスフィルタである。光学フィルタは、分光器の前段に配置される。
【0033】
分光器は、蛍光γをスペクトル分解して波長(或いは周波数)ごとに蛍光強度を測定する光学装置であり、例えば感度波長範囲500~1100nm及び波長分解能2.5~3.5nmを有する。
【0034】
検出器35は、制御演算装置36(制御部36a)から送信される駆動信号に従って、すなわち励起光γの周期的なオンオフに応じて照射中(オン信号時)及び非照射中(オフ信号時)の検出データを交互に取得する。検出結果は、制御演算装置36に送信される。制御演算装置36により、オン信号時及びオフ信号時の検出データをそれぞれ積算し、積算されたそれらの検出データの差分を算出することにより、外乱光に由来するノイズをキャンセルすることができる。
【0035】
制御演算装置36は、各機能装置を制御するとともに検出器35による蛍光γの検出結果を用いて蛍光状態を解析するコンピュータデバイスであり、中央処理装置(CPU)を有する。CPUは、専用プログラムを実行することにより、制御演算装置36に制御演算機能を発現させる。制御演算装置36の機能構成については後述する。なお、専用プログラムは、例えば、ROM(不図示)に記憶され、それをCPUが読み出す、或いはCD-ROM等の記憶媒体に記憶され、それをCPUが読み取り装置(不図示)を用いて読み出してRAMに展開することで起動される。
【0036】
記録装置37は、検出器35による蛍光γの検出結果及び制御演算装置36による蛍光状態の解析結果等の各種データを非一時的記憶媒体(不図示)に記録するデバイスである。記録装置37は、さらに、腹腔鏡装置200により撮影される被検体1の腹腔1a内の撮影画像(すなわち、腹腔鏡画像)を記録してもよい。非一時的記憶媒体は、例えば、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ等の有形な記憶媒体を含む。記録装置37は、装置本体30内に組み込まれているとするが、これに限らず、例えばSCSI、SATA等のインタフェース或いはネットワークを介して通信可能に装置本体30外に配置されてもよい。
【0037】
入出力装置38は、ユーザ入力を受信して制御演算装置36に送るとともに、検出器35による蛍光γの検出結果、制御演算装置36による蛍光状態の解析結果等の各種データをユーザに向けて出力するためのデバイスである。入出力装置38は、筐体31の前面に設けられた入力パネルから又は筐体31の背面のインタフェースを介してキーボード、マウス、タッチパネル(いずれも不図示)等の外部デバイスから、ユーザ入力を受信することができる。また、入出力装置38は、各種データを筐体31の背面のインタフェースを介して外部のモニタ装置40に送信し、その表示画面41に表示させることができる。
【0038】
通信装置39は、外部装置、特に腹腔鏡装置200と通信するためのデバイスであり、USB、DVI-D、DVI―I等のケーブルを介して腹腔鏡装置200に接続され、後述する腹腔鏡画像等の各種データを受信することができる。受信した各種データは、入出力装置38、これを介して制御演算装置36等に送信される。
【0039】
図2に、インターロック機能、特にインターロック装置50及び図1の部分Cの概略構成を示す。インターロック装置50は、スコープ10が装置本体30(光源34又はこれを収容する筐体31)に接続されているか否かを検出する装置である。インターロック装置50は、例えばフォトカプラ等のカプラ(不図示)を有する。カプラの一端は、抵抗を介して高電位(不図示)に接続され、他端は、先述のインターロック配線51~53を介してグランド電位に接続される。インターロック装置50は、インターロック配線51~53の接続を検出することで、スコープ10がケーブル20を介して適切に装置本体30に接続しているか否かを判断する。
【0040】
スコープ10がケーブル20を介して装置本体30に適切に接続されると、スコープ10の配線51、ケーブル20の2つの配線52、及び筐体31内の2つの配線53が、ひとつながりのインターロック配線51~53を形成するため、カプラは通電されてLOW状態となる。これに応じてインターロック装置50は、イネーブル信号を制御演算装置36(制御部36a)に送信する。制御部36aは、インターロック装置50からイネーブル信号を受信する場合にのみ光源34を稼働する。このようにして、インターロック装置50は、スコープ10が装置本体30、すなわち光源34に適切に接続されている場合に光源34による励起光γの生成を許可する。
【0041】
一方、図3に示すようにスコープ10がケーブル20から外れる又はケーブル20が筐体31から外れるなどによりスコープ10が装置本体30に適切に接続されていない場合、或いは、図4に示すようにケーブル20の把持部24に対してスコープ10のコネクタ14が回転する又は筐体31のコネクタ29に対してケーブル20の端部が回転してスコープ10の送光用光ファイバ12及び受光用光ファイバ13、ケーブル20の送光用光ファイバ22及び受光用光ファイバ23、及び装置本体30の光ファイバ32,33が同軸上に位置決めされていない場合、インターロック配線51~53は切断されるため、カプラは遮断されてHIGH状態となる。これに応じてインターロック装置50は、ディセーブル信号を制御演算装置36(制御部36a)に送信する。制御部36aは、インターロック装置50からディセーブル信号を受信する間は光源34を稼働しない。このようにして、インターロック装置50は、スコープ10が装置本体30、すなわち光源34に適切に接続されていない場合に光源34による励起光γの生成を禁止する。
【0042】
上述のように、インターロック装置50によりスコープ10が光源34に接続されているか否かを検出し、接続されていると判断された場合にのみ光源34を動作可能にすることで、スコープ10が正しく接続されていないときの意図しない操作、スコープ10の取り付け時の誤操作などによる励起光γの射出が防止され、安全性が向上する。
【0043】
なお、インターロック機能はスイッチ配線24b~24dの接続により提供することもできる。図2に示すようにケーブル20が装置本体30(光源34を含む筐体31)に適切に接続されると、把持部24内の配線24b、フレキシブルチューブ21内の配線24c、及び筐体31内の配線24dがひとつながりのスイッチ配線24b~24dを形成し、これによりSW24aが制御演算装置36に接続されてSW24aが使用可能になる。一方、図3及び図4に示すようにケーブル20が装置本体30(光源34を含む筐体31)に適切に接続されていない場合、スイッチ配線24b~24dは切断されるため、SW24aが使用不可能になる。
【0044】
図5に、制御演算装置36が専用プログラムを実行することにより発現する機能構成を示す。制御演算装置36は、制御部36a、解析部36b、表示部36c、及び記録部36dを含む。
【0045】
制御部36aは、光源34等の機能装置の動作を制御するユニットである。制御部36aは、インターロック装置50からイネーブル信号を受信している場合にのみスコープ10に設けられたSW24aのオンオフを検出する。そして、SW24aを介したユーザ入力に応答して駆動信号を生成し、光源34及び検出器35に送信する。それにより、光源34を稼働して励起光γを生成するとともに検出器35を稼働して励起光γの照射に伴って発せられる蛍光γを検出する。なお、インターロック装置50からディセーブル信号を受信している場合には、駆動信号は送信されない。
【0046】
ここで、駆動信号は、周期的にオン信号及びオフ信号を繰り返すように生成される。それにより、光源34(特に、励起光源34a)は励起光γを周期的に生成(オンオフ)し、検出器35は励起光γの照射中(オン信号時)及び非照射中(オフ信号時)の検出データを交互に取得することで、外乱光に由来するノイズをキャンセルすることができる。
【0047】
なお、制御部36aは、ユーザが後述する腹腔鏡画像を介して励起光γが照射されていることが分かるように、励起光γが照射されているときと照射されていないときとでガイド光γの色、強度、明るさ、広がり、ビーム形状、及び発光パターンのいずれか1つを含む発光パラメータを変更してよい。例えば、励起光γが照射されると、ガイド光γの色を緑からより明るい色(例えば、オレンジ色)に、強度をより強く、明るさをより明るく、広がりを狭く、ビーム形状を丸から×又は+に、発光パターンを一定間隔に点滅するパターンに変更してよい。
【0048】
解析部36bは、検出器35による蛍光γの検出結果を処理して組織の蛍光状態を解析するユニットである。ここで、蛍光状態は、蛍光γのスペクトル及び強度、並びに蛍光γのスペクトル及び強度の時間変化のうちの少なくとも1つを含む。なお、薬剤2は、例えば血液と結合して異なる蛍光スペクトルを呈することが知られており、蛍光γを発する際の場所或いは薬剤2が位置する組織に応じて蛍光スペクトルの形状が変わることが予想される。そこで、解析部36bは、蛍光γのスペクトル形状を解析して蛍光γを発する腹腔1a内の場所或いは組織、すなわち薬剤2が位置する腹腔1a内の場所或いは組織を特定してもよい。
【0049】
表示部36cは、検出器35による蛍光γの検出結果及び解析部36bによる蛍光状態の解析結果、検出条件等の各種情報をモニタ装置40の表示画面41に表示する表示制御を行う。また、表示部36cは、被検体1の腹腔1a内を撮影する腹腔鏡装置200から被検体1の腹腔1a内の撮影画像(腹腔鏡画像とも呼ぶ)を取得し、腹腔鏡画像とともに各種情報を表示する表示制御も行う。各種情報の画面表示についてはさらに後述する。
【0050】
記録部36dは、検出器35による蛍光γの検出結果及び解析部36bによる蛍光状態の解析結果、検出条件等の各種情報を、記録装置37を用いて記録するユニットである。また、記録部36dは、記録装置37に記録した各種データを読み出し、解析部36b等に送信する。
【0051】
図6に、腹腔鏡装置200と併用した蛍光検出装置100の使用状態を示す。腹腔鏡装置200は、本実施形態に係る蛍光検出装置100とは独立の装置であり、スコープ110、ケーブル120,121、及び装置本体130を備える。
【0052】
スコープ110は、被検体1の腹腔1a内に少なくとも一部が挿入されて、照明光Wを射出して腹腔1a内を照明するとともに、反射光を集光する光学視管である。スコープ110は、チューブ111、送光用光ファイバ及び受光用光ファイバ(不図示)、及びコネクタ114を含む。
【0053】
チューブ111は、送光用光ファイバ及び受光用光ファイバの先端を長手軸の一端面(すなわち、先端面)上に位置合わせして、それらを内部に支持する管状部材である。チューブ111の先端が被検体1の腹腔1a内に差し込まれ、基端がコネクタ114に固定される。
【0054】
送光用光ファイバ及び受光用光ファイバは、先述の送光用光ファイバ12及び受光用光ファイバ13と同様に構成される。送光用光ファイバは、光源131から出力される照明光(白色光)Wを腹腔1a内に送り出し、受光用光ファイバは、腹腔1a内から反射光を集光してカメラ132に送る。
【0055】
コネクタ114は、スコープ110の基端を支持する部材であり、ケーブル120,121の一端が着脱可能に固定される。コネクタ114にケーブル120を接続することにより、スコープ110内の送光用光ファイバが光源131に光接続され、コネクタ14にケーブル121を接続することにより、スコープ110内の受光用光ファイバがカメラ132に光接続される。
【0056】
ケーブル120,121は、スコープ110を装置本体130に接続して、スコープ110の送光用光ファイバ及び受光用光ファイバをそれぞれ光源131及びカメラ132に光接続するための器具である。ケーブル120,121は、フレキシブルであり、それぞれ、光源131から出力される照明光Wをスコープ110の送光用光ファイバに送り、スコープ110の受光用光ファイバに集光される反射光をカメラ132に送る。
【0057】
装置本体130は、筐体130a内に各種機能装置を備えるユニットであり、光源131、カメラ132、及び通信装置133を含む。なお、これらの機能装置は、互いに通信線を介して通信可能に接続されている。
【0058】
なお、筐体130aは、光源131等の機能装置を収容する。前面には、ケーブル120,121が接続されるコネクタが固定されている。背面には電源コネクタ(不図示)が固定され、これを介して商用電源(AC100V)から電力が各機能装置に送られる。背面には、さらにUSB、DVI-D、DVI―I等のコネクタが設けられている。
【0059】
光源131は、照明光Wを生成する装置であり、例えば白色光を出力するLEDを採用することができる。照明光Wは、ケーブル120を介してスコープ110に送られる。
【0060】
カメラ132は、腹腔1a内を撮影する装置であり、例えばCCDカメラを採用することができる。カメラ132は、スコープ110により集光された反射光をケーブル121を介して受光する。なお、カメラ132の前段に、励起光γ及び蛍光γの波長域を含む近赤外光をカットする光学フィルタ(バンドパスフィルタ)を配置してもよい。得られた腹腔鏡画像は、通信装置133に送信される。
【0061】
通信装置133は、蛍光検出装置100と通信するためのデバイスであり、USB、DVI-D、DVI―I等のケーブルを介して蛍光検出装置100に接続され、腹腔鏡画像等の各種データを送信することができる。
【0062】
DVI-Dケーブル(不図示)等を用いて腹腔鏡装置200及び蛍光検出装置100を接続する。また、蛍光検出装置100にモニタ装置40を接続する。それにより、腹腔鏡装置200(カメラ132)で撮影された腹腔1a内の映像(すなわち、腹腔鏡画像)が蛍光検出装置100に送信され、蛍光検出装置100において処理された蛍光状態の解析結果等とともにモニタ装置40の表示画面41に表示することができる。
【0063】
上述の構成の腹腔鏡装置200及び蛍光検出装置100において、ユーザが、腹腔鏡装置200のスコープ110の長手軸の先端及び蛍光検出装置100のスコープ10の長手軸の先端をそれぞれ被検体1の腹腔1a内に挿入する。ここで、被検体1の腹部の外皮に円筒状のホルダを嵌め込み、それを介してスコープ110,10を腹腔1a内に挿入してもよい。次いで、ユーザが、腹腔鏡装置200の光源131を稼働して照明光Wを生成し、ケーブル120を介してスコープ110に送る。それにより、スコープ110の先端から照明光Wが射出されて腹腔1a内が照明され、これと同時にスコープ110により腹腔1a内からの反射光が集光され、ケーブル121を介してカメラ132に送られる。カメラ132は、反射光を受光することで腹腔1a内を撮影し、その映像は通信装置133により蛍光検出装置100に逐次送信され、蛍光検出装置100の通信装置39により受信され、入出力装置38により処理されてモニタ装置40の表示画面41上に逐次表示される。
【0064】
図7に、モニタ装置40の画面表示の一例を示す。モニタ装置40の表示画面41は、左に腹腔鏡画像を表示するエリア42、中央上に励起光γが照射されていることを表示するエリア44、中央右に蛍光スペクトルのピーク値(蛍光強度)を表示するエリア43、右に蛍光スペクトルを表示するエリア45、下に検出条件等を表示するエリア47が配置されている。
【0065】
エリア42には、表示部36cにより、腹腔鏡装置200から送信された被検体1の腹腔1a内の腹腔鏡画像が表示される。ここで、スコープ10の先端からガイド光γが射出されることで、ユーザは、表示画面41より、励起光γが照射されるスポットSpの位置及び拡がり、さらにスポットSpの形状より励起光γが照射される方向を確認することができる。
【0066】
エリア44に「レーザ照射中」が表示される。これにより、表示画面41より、スコープ10から励起光γがガイド光γに重ねて射出され、腹腔1a内の組織に励起光γが照射されていることがわかる。なお、表示部36cは、例えば、励起光γの強度が閾値を超えた場合に、エリア44の表示「レーザ照射中」を赤色で表示する又は表示を点滅させてユーザに通知してもよい。また、例えば励起光γの強度に応じて大きくなる又は周期が速くなるビープ音を発することで、ユーザに音声通知してもよい。
【0067】
エリア43には、表示部36cにより、検出器35による蛍光γの検出結果、特に蛍光スペクトルにおけるピーク強度(蛍光強度とも呼ぶ)が表示される。また、蛍光強度の時間変化がリアルタイムで表示される。一例として、蛍光強度がカラーバーで表示される、すなわち蛍光強度が大きくなるとバーが下から上に、青から赤に色調(グラデーション)を変えて延びる。
【0068】
エリア45には、表示部36cにより、蛍光γの検出結果が表示される。検出結果として、蛍光スペクトル(波長に対する強度分布であり、単に蛍光スペクトルともよぶ)及びそのピーク位置が表示される。さらに、上のエリア46に、蛍光スペクトルのピーク位置の波長(ピーク波長ともいう)及び強度(ピーク強度ともいう)が表示される。また、蛍光スペクトル及びピーク強度の時間変化がリアルタイムで表示される。
【0069】
エリア47には、表示部36cにより、検出条件等が表示される。検出条件は、一例として、被検体1を特定するID番号、蛍光γを検出するのに使用しているスコープ10のID番号、励起光γを照射している照射時間(照射タイマとも呼ぶ)、励起光γの規格強度(光源34から受信した励起光γの強度でもよい)、ガイド光γの規格強度、及び生体検査の年月日時分を含む。
【0070】
ユーザは、モニタ装置40(エリア42)に表示された腹腔鏡画像を見ながら蛍光検出装置100を操作することができる。特に、ユーザは、スコープ10の先端を腹腔1a内の関心箇所に接近させてその関心箇所に位置するスポットSp内に励起光γを照射し、それによりスポットSp内の組織内の薬剤2が発する蛍光γを集光して検査することができる。
【0071】
なお、表示部36cは、制御部36aを介してインターロック装置50からイネーブル信号及びディセーブル信号を受信け、ディセーブル信号を受信している場合にはインターロック機能が作動していること或いはSW24aが不能であることを表示画面41上に表示してもよい。また、表示部36cは、記録装置37により記録された腹腔鏡画像、蛍光γの検出結果、蛍光状態の解析結果、検出条件等の各種情報を記録部36dを介して読み出し、それらをモニタ装置40の表示画面41上に再生表示してもよい。
【0072】
図8に、蛍光検出方法のフローを示す。フロー開始に先立って、腹腔鏡装置200及び蛍光検出装置100は上述のとおり接続され、蛍光検出装置100にモニタ装置40が接続されているものとする。ここでは一例として、被検体1の血管に薬剤2を投与し、その薬剤2が腹腔1a内の組織を循環するのを評価する血管及び組織の血流評価における蛍光検出フローを説明する。
【0073】
ステップS2では、制御部36aは、図7に示すように、腹腔鏡装置200により撮影された被検体1の腹腔1a内の映像(すなわち、腹腔鏡画像)を蛍光検出装置100に接続されたモニタ装置40の表示画面41(エリア42)に表示する。ここで、スコープ10の先端が向けられた腹腔1a内の位置、すなわち励起光γの照射箇所(スポットSp)及び照射の向きを視認できるように、スコープ10の先端から可視光波長域のガイド光γが出力されている。それにより、ユーザは、モニタ装置40に表示された腹腔鏡画像においてスポットSpの位置を確認し、スコープ10を動かしてその先端を腹腔1a内の関心箇所に向ける及び/又は近接させる。そして、ユーザは、SW24aをオンしてその関心箇所に励起光γを照射する。
【0074】
ステップS3では、制御部36aは、SW24aがオンされたか否かを判断する。制御部36aは、オンされたと判断した場合、ユーザがSW24aをオンしたものとしてステップS4に進み、オンされていないと判断した場合、ユーザがSW24aをオンしていないとしてステップS3を繰り返す。なお、ステップS4に移行することなく一定時間経過した場合又はステップS3を予め定めた回数繰り返した場合、ステップS2に戻ってもよい。
【0075】
ステップS4では、制御部36aは、光源34に駆動信号を送信して励起光γを生成させ、ガイド光γに重畳してスコープ10の先端から射出させてスポットSp内を照射する。このとき、図7に示すように、表示画面41のエリア44に「レーザ照射中」が表示される。励起光γの照射により、スポットSp内の組織内に位置する薬剤2が励起光γを吸収して蛍光γを発する。薬剤2が発する蛍光γは、スコープ10の先端から集光されて検出器35に送られる。また、光源34は、励起光γを生成すると同時にその強度の検出し、その検出結果を制御演算装置36(解析部36b)に送信する。
【0076】
ステップS5では、制御部36aは、検出器35を動作させて集光した蛍光γを検出する。それにより、蛍光γが一定時間ごとに検出され、その結果が制御演算装置36(解析部36b)に逐次送信される。
【0077】
ステップS6では、解析部36bが、検出器35による蛍光γの検出結果を用いて蛍光状態を解析する。蛍光状態は、一例として、蛍光スペクトル、そのピーク波長及びピーク強度、及びそれらの時間変化を含む。
【0078】
蛍光状態として、蛍光γのスペクトル形状を含んでもよい。解析部36bは、蛍光γのスペクトル形状を解析して蛍光γを発する場所或いは組織、すなわち薬剤が位置する場所或いは組織を特定してもよい。その結果は、次のステップS7で表示画面41に表示されてよい。
【0079】
ステップS7では、表示部36cが、蛍光γの検出結果及び蛍光状態の解析結果、検出条件等の各種情報をモニタ装置40の表示画面41に表示する。それにより、図7に示すように、表示画面41のエリア43に蛍光強度が表示されるとともに、エリア45に蛍光スペクトルが表示され、エリア46に蛍光スペクトルのピーク波長及びピーク強度が表示される。これらの表示は、蛍光スペクトルが検出される都度、更新される(つまり、リアルタイムで表示される)。また、記録部36dが、蛍光スペクトルが検出される都度、蛍光γの検出結果及び蛍光状態の解析結果、励起光γの強度を含む検出条件等の各種情報を検出時刻とともに記録装置37を用いて記録する。
【0080】
ステップS7が完了すると、ステップS2に戻る。
【0081】
蛍光検出フローは、ユーザが、例えば前面パネルのスイッチをオフすることで終了する。
【0082】
本実施形態に係る蛍光検出装置100は、励起光γを生成する光源34、光源34に光接続され、光源34から出力される励起光γを導光して被検体1の腹腔1a内の組織に照射するとともに、励起光γの照射により組織から発せられる蛍光γを集光するスコープ10、スコープ10により集光された蛍光γを検出する検出器35、スコープ10が光源34に接続されているか否かを検出し、接続されていない場合に光源34による励起光γの生成を禁止するインターロック装置50を備える。これによれば、インターロック装置50により、スコープ10が光源34に接続されているか否かを検出し、接続されている場合に光源34を動作可能にすることで、スコープ10が正しく光源34に接続されている場合のみ励起光γが生成され、安全性が向上する。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0084】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0085】
1…被検体(患者)、1a…腹腔、2…薬剤、10…スコープ、11…チューブ、12…送光用光ファイバ、13…受光用光ファイバ、14…コネクタ、20…ケーブル、21…フレキシブルチューブ、22…送光用光ファイバ、23…受光用光ファイバ、24…把持部、24a…スイッチ、24b~24d…配線(スイッチ配線)、29…コネクタ、30…装置本体、31…筐体、32,33…光ファイバ、32a,32b…光ファイバ、34…光源、34a…励起光源、34b…ガイド光源、35…検出器、36…制御演算装置、36a…制御部、36b…解析部、36c…表示部、36d…記録部、37…記録装置、38…入出力装置、39…通信装置、40…モニタ装置、41…表示画面、42~47…エリア、50…インターロック装置、51~53…配線(インターロック配線)、100…蛍光検出装置、110…スコープ、111…チューブ、114…コネクタ、120,121…ケーブル、130…装置本体、130a…筐体、131…光源、132…カメラ、133…通信装置、200…腹腔鏡装置、Sp…スポット、W…照明光、γ…蛍光、γ…励起光、γ…ガイド光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8