(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095423
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20240703BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20240703BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/87
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212702
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石本 安奈
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA072
4C083AA112
4C083AB352
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC402
4C083AC532
4C083AC621
4C083AC622
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD412
4C083BB11
4C083CC03
4C083CC04
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD38
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感に優れる化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】本発明に係る化粧料組成物の一態様は、(A)トラネキサム酸又はその塩と、(B)会合型増粘剤と、を含有し、油分の含有量が2質量%未満である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トラネキサム酸又はその塩と、
(B)会合型増粘剤と、
を含有し、
油分の含有量が2質量%未満であることを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
(C)ポリアクリル酸又はその金属塩を更に含有する、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記(B)会合型増粘剤の含有量が0.1質量%~0.2質量%である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記(B)会合型増粘剤が疎水変性ポリエーテルウレタンである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
液状化粧料組成物である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トラネキサム酸は、荒れ改善作用や美白作用を有することから、化粧水等の化粧料組成物の基剤において医薬部外品の主剤として配合されることが多い。しかしながら、トラネキサム酸を配合した化粧料組成物は、べたつきが生じ、使用性が悪いという問題がある。一般的に、化粧水等の化粧料組成物には、塗布中の厚み(コク感)が高く、塗布後にしっとり感が十分に感じられるものが好まれることが多く、べたつきは嫌われる使用性であることが知られている。
【0003】
トラネキサム酸によるべたつきを抑制するために、例えば、トラネキサム酸に、ポリアクリル酸又はその金属塩を配合し、液状油分の配合量を5.0質量%以下とし、キサンタンガムを含まず、30℃における粘度を500mPa・s以下とした液状化粧料が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みて、本発明の一態様は、塗布中及び塗布後の厚み及び塗布後のしっとり感に優れる化粧料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る化粧料組成物の一態様は、(A)トラネキサム酸又はその塩と、(B)会合型増粘剤と、を含有し、油分の含有量が2質量%未満である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、塗布中及び塗布後の厚み及び塗布後のしっとり感に優れる化粧料組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、測定装置2の検出部300の正面図である。
【
図3】
図3は、測定装置2の検出部300の側面図である。
【
図4】
図4は、測定装置2の検出部300の斜視図である。
【
図5】
図5は、測定装置2の検出部300の断面図である。
【
図6A】
図6Aは、実施例の<評価3>における、触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認のための、試験品の塗布から30秒間後の摩擦係数と、官能評価によるコク感のスコアとの相関を示すグラフである。縦軸はコク感のスコアを示し、横軸は塗布から30秒間後の摩擦係数(-)を示す。
【
図6B】
図6Bは、実施例の<評価3>における、触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認のための、試験品の塗布から60秒間後の摩擦係数と、官能評価によるコク感のスコアとの相関を示すグラフである。縦軸はコク感のスコアを示し、横軸は塗布から60秒間後の摩擦係数(-)を示す。
【
図6C】
図6Cは、実施例の<評価3>における、触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認のための、試験品の塗布から90秒間後の摩擦係数と、官能評価によるコク感のスコアとの相関を示すグラフである。縦軸はコク感のスコアを示し、横軸は塗布から90秒間後の摩擦係数(-)を示す。
【
図7】
図7は、実施例の<評価3>における、触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認のための、塗布からの経過時間と、コク感のスコアと摩擦係数との積率相関係数Rとの関係を示すグラフである。縦軸はコク感のスコアと摩擦係数との積率相関係数R(-)を示し、横軸は塗布からの経過時間(s)を示す。
【
図8】
図8は、実施例の<評価3>において、実施例4の化粧料組成物を塗布した場合の触感評価デバイス(振動摩擦センサ)の摩擦力の測定結果を示す図である。縦軸は摩擦係数(-)を示し、横軸は時間(×30s)を示す。
【
図9】
図9は、実施例の<評価3>において、コントロールの化粧料組成物を塗布した場合の触感評価デバイス(振動摩擦センサ)の摩擦力の測定結果を示す図である。縦軸は無塗布時との差である摩擦係数(-)を示し、横軸は時間(×30s)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断りがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0010】
(化粧料組成物)
一実施形態に係る化粧料組成物は、(A)トラネキサム酸又はその塩と、(B)会合型増粘剤と、を含有し、油分の含有量が2質量%未満である。
【0011】
従来技術、例えば、特許文献1の液状化粧料は、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感が十分満足できるものではなかった。これに対し、一実施形態に係る化粧料組成物は、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感に優れるものである。
【0012】
ここで、本明細書において「厚み」とは、前記化粧料組成物を肌に馴染ませる際に、該化粧料組成物が肌を覆うような後残り感があることを意味する。
【0013】
一実施形態に係る化粧料組成物は、前記(A)トラネキサム酸又はその塩及び前記(B)会合型増粘剤に加えて、(C)ポリアクリル酸又はその金属塩を含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
【0014】
<(A)トラネキサム酸又はその塩>
前記(A)成分としてのトラネキサム酸(トランス-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸又はその塩は、美白効果を有することが知られている。
前記トラネキサム酸の塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩;鉄塩;アンモニウム塩;アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩などが挙げられる。前記(A)成分のトラネキサム酸又はその塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の全質量に対して、0.1質量%~8質量%が好ましく、0.5質量%~5質量%がより好ましく、1質量%~3質量%がより好ましい。前記(A)成分の含有量が、0.1質量%以上であると、十分な美白効果が得られ、8質量%以下であると、変色や変臭など安定性において問題が生じることがない。
【0016】
<(B)会合型増粘剤>
前記(B)成分としての会合型増粘剤は、主に、一実施形態に係る化粧料組成物に塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感を付与するために配合される。
【0017】
「会合型増粘剤」とは、水溶性モノマーからなる親水性部分と疎水性モノマーからなる疎水性部分を有する共重合体であり、水性溶媒中で疎水性相互作用により会合することで、あたかも物理的に架橋した巨大分子として振る舞うことによって系を増粘する作用を持つ増粘剤である(例えば、特開2000-239120号公報の段落0014等を参照)。
【0018】
前記(B)成分の会合型増粘剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、疎水変性ポリエーテルウレタンが好ましく、下記一般式(1)で表される化合物がより好ましい。
【0019】
【化1】
ただし、前記一般式(1)において、Rは疎水性部分を示し、Xは活性水素基を少なくとも2個有する有機化合物にエチレンオキサイドを含有するアルキレンオキサイドを付加重合せしめた親水性部分を示し、Bはエーテル基又はエステル基の結合基を含む結合部分を示し、nは1~5の整数を示す。
【0020】
前記(B)成分の会合型増粘剤としては、これらの中でも、親水性部分と疎水性部分の質量比[親水性部分:疎水性部分]が5:1~1,000:1であるコポリマーが好ましく、親水性部分Xがポリエチレンオキサイドであるコポリマーがより好ましく、疎水性部分Rが炭素数6以上の1価の炭化水素基又は炭素数4以上の1価のフッ化炭素基であり、かつコポリマーの親水性部分がエチレンオキサイド単位で30~6,000(整数)のポリエチレンオキサイドであるコポリマーが特に好ましい。
【0021】
これらの中でも、前記一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンとしては、INCI名称が「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー(PEG-240/HDI Copolymer Bis-Decyltetradeceth-20 Ether)」である疎水変性ポリエーテルウレタンが特に好ましい。
【0022】
前記一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンは、前述の方法で適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。前記一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンの市販品としては、例えば、商品名で、アデカノールGT-700((PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー)、アデカノールGT-730((PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー)(以上、株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
てもよい。
【0023】
前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の全質量に対して、0.05質量%~1質量%が好ましく、0.1質量%~0.2質量%がより好ましい。前記(B)成分の含有量が、0.05質量%以上であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)、塗布後のしっとり感、及びべたつきのなさが良好であり、1質量%以下であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感が良好であり、0.2質量%以下であると塗布中及び塗布後の厚み(コク感)、塗布後のしっとり感、及びべたつきのなさが良好である。
【0024】
<質量比[(A)/(B)]>
前記(B)成分の含有量(質量%)に対する、前記(A)成分の含有量(質量%)の質量比[(A)/(B)]としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5~25が好ましく、6~20がより好ましい。前記質量比[(A)/(B)]が、5以上であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感が良好であり、25以下であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)、塗布後のしっとり感、及びべたつきのなさが良好である。
【0025】
<(C)ポリアクリル酸又はその金属塩>
前記(C)成分としてのポリアクリル酸又はその金属塩は、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感を更に向上させるために含有することが好ましい。
【0026】
前記金属塩としては、特に制限はなく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。前記ポリアクリル酸又はその金属塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリアクリル酸又はその金属塩は、ポリアクリル酸ナトリウム塩が好ましい。
【0027】
前記ポリアクリル酸又はその金属塩の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100万~600万が好ましく、400万~500万がより好ましい。
【0028】
前記ポリアクリル酸又はその金属塩は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。前記ポリアクリル酸又はその金属塩の市販品としては、例えば、アクアリック(登録商標)L-YS100、アクアリック(登録商標)L-DL-40S、アクアリック(登録商標)L-HL-415(以上、日本触媒株式会社製)、ジュリマー(登録商標)AC-10NPD、ジュリマー(登録商標)AC-103、ジュリマー(登録商標)AC-10P、ジュリマー(登録商標)AC-10SL、アロンビス(登録商標)SX、アロンビス(登録商標)MX、アロンビス(登録商標)AHX(以上、東亜合成株式会社製)などが挙げられる。
【0029】
前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の全質量に対して、0.001質量%~0.5質量%が好ましく、0.001質量%~0.01質量%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が、0.001質量%以上又は0.5質量%以下であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感が良好である。
【0030】
<その他の成分>
一実施形態に係る化粧料組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分に加え、更にその他の成分を含有していてもよい。前記その他の成分としては、一実施形態に係る化粧料組成物の効果を損なわない限り、特に制限はなく、化粧料に通常配合し得るような成分の中から適宜選択することができ、例えば、低級アルコール、各種抽出液、保湿剤、油分、前記(B)成分及び前記(C)成分以外の水溶性高分子、粉体、酸化防止剤、緩衝剤、防腐剤、色素、香料、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、抗菌剤、前記(A)成分以外の皮膚有効成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記その他の成分の含有量としては、前記化粧料組成物の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、前記油分の含有量は、前記化粧料組成物の全質量に対して2質量%未満である。
【0032】
-油分-
前記油分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性油、天然油、合成油、炭化水素油、シリコーン油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記極性油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリルトリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、トリイソステアリン、ジピバリン酸PPG-3、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどが挙げられる。
【0034】
前記天然油としては、例えば、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテルなどが挙げられる。
【0035】
また、前記天然油は、香料として使用されるものであってもよく、例えば、バラ油、ジャスミン油、ネロリ油、ラベンダー油、イランイラン油、チュベローズ油、クラリセージ油、クローブ油、ペパーミント油、ゼラニウム油、パチュリー油、サンダルウッド油、シナモン油、コリアンダー油、ナツメグ油、ペッパー油、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、オポポナックス油、ベチバー油、オリス油、オークモス油等の植物由来の天然香料;ムスク油、シベット油、カストリウム油、アンバーグリス油等の動物由来の天然香料などが挙げられる。
【0036】
前記合成油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル-2-エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、トリエチルヘキサノインなどが挙げられる。
【0037】
また、前記合成油は、香料として使用されるものであってもよく、例えば、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、ラクトン、フェノール、アセタール等の化学構造又は発基を有するものなのが挙げられる。具体例としては、リモネン、β-カリオフィレン等の炭化水素類;シス-3-ヘキセノール、リナロール、ファルネソール、β-フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール、ターピネオール、メントール、サンタロール、バグダノール、ブラマノール等のアルコール類;2,6-ノナジエナール、シトラール、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、l-カルボン、シクロペンタデカノン、リラール、リリアール等のアルデヒド類;β-イオノン、ダマスコン、メチルイオノン、イロン、イソイースーパー、アセチルセドレン、ムスコン等のケトン類;リナリルアセテート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、メチルジヒドロキシジャスモネート、メチルジャスモネート等のエステル類;γ-ウンデカラクトン、ジャスミンラクトン、シクロペンタデカノリッド、エチレンブラシレート等のラクトン類;オイゲノール等のフェノール類;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等のアセタール類;ローズオキサイド、インドール、オーランチオールなどが挙げられる。
【0038】
前記炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
【0039】
前記シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン(フェニルメチコン)、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン;デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン;アミノ変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、カルボキシ変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アンモニウム塩変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油の変性シリコーンなどが挙げられる。
【0040】
前記油分の含有量は、前記化粧料組成物の全質量に対して2質量%未満である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一実施形態に係る化粧料組成物は、前記油分を含まないものであってもよい。
【0041】
一実施形態に係る化粧料組成物の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液状であることが好ましい。したがって、一実施形態に係る化粧料組成物は、液状化粧料組成物とすることができる。
【0042】
一実施形態に係る化粧料組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液状化粧料組成物とする場合、50mPa・s~1,000mPa・sが好ましく、50mPa・s~100mPa・sがより好ましい。
前記化粧料組成物の粘度は、例えば、B型粘度計を用い、30℃にて、ローターNo.2、回転数12rpm、1分間の条件で測定することができる。
【0043】
一実施形態に係る化粧料組成物は用途としては、例えば、化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ料、パック料、サンケア料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム等のスキンケア化粧料;化粧用下地化粧料等の化粧料;ファンデーション、アイシャドウ、頬紅、口紅等のメーキャップ化粧料;ヘアセット剤、ヘアジェル等の毛髪化粧料又は染毛剤;外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤等の外用剤などとして好適に使用することができ、特に、化粧水として好適に使用することができる。
【0044】
一実施形態に係る化粧料組成物の使用性は官能評価により評価できるが、特に塗布後のしっとり感は、例えば、ヒトによる官能評価の他、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)(国際公開第2020/246233号の実施形態2及び実施形態8に記載の検出部300A及び制御装置400を備えた測定装置2)で測定して確認することもできる。
【0045】
国際公開第2020/246233号の測定装置2について、以下に具体的に説明する。
図1は、測定装置2の全体構成図である。測定装置2は、検出部300及び制御装置400を備える。検出部300と制御装置400とは、無線又は有線により通信可能に接続されている。測定装置2は、触感に関連する肌の表面状態、例えば、肌の表面がなめらかな状態であるか、等を測定する。
【0046】
-検出部300-
まずは、検出部300について説明する。
図2は、測定装置2の検出部300の正面図である。
図3は、測定装置2の検出部300の側面図である。
図4は、測定装置2の検出部300の斜視図である。
測定装置2の検出部300は、本体部310及び先端部320を備える。先端部320は、本体部310の後述する押当てリング316の開口部から接触子340が露出されるように、本体部310に内蔵される。検出部300は、矢印Pの方向に、測定対象、例えば、人の腕や頬等の肌、に先端部320を押し当てることにより肌の表面状態について測定を行う。先端部320は、回転軸Aを中心に矢印R1の方向に回転する。
本体部310は、中央部分がくびれた略円筒形の筐体311を備える。筐体311は、トップカバー312、サイドカバー313、サイドカバー314、及びボトムカバー315により構成される。筐体311の各カバーは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS(AcrylonitrileButadieneStyrene)樹脂)等により形成されている。
トップカバー312の上部には、先端に環状の平面316aを備える円筒形の押当てリング316が螺着されている。当該押当てリング316の内側には、先端部320の接触子340が外部に露出するように、先端部320が備えられている。
押当てリング316の平面316aを肌に押し当てることにより、測定装置2の押し当て方向の位置決めを行うことができる。押当てリング316の平面316aから接触子340の後述する接触面341までの回転軸Aに沿う方向の距離は、トップカバー312に螺着する量を変えることによって、変更することができる。このようにして、例えば、測定部位の肌の形状、柔軟性、表面状態に応じて、押当てリング316の平面316aから接触子340の接触面341までの回転軸Aに沿う方向の距離を変更することができる。これにより、先端部320の接触子340が測定対象に接触する際の押し当てる力を調整することができる。なお、押当てリング316は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA(PolymethylMethacrylate))等により形成されている。
本体部310は、筐体311の内部に、先端部320を回転させる後述する駆動部370を備える。即ち、本体部310は、駆動部370を内蔵する筐体311を備える。筐体311は、測定者が把持可能な大きさの形状となっている。測定者は、本体部310を把持することにより測定を行う。測定者は、本体部310を把持して測定対象に向けて移動させることにより、先端部320を測定対象に押し当てる。
接触子340は、測定装置2の測定対象に接触する部材である。接触子340の接触面341が、測定対象に接触する。接触子340の接触面341は、測定対象や測定の目的によって、平面でもよいし、表面に凹凸があってもよい。
測定対象と接触子340が接触して、先端部320が回転軸Aを中心に例えば矢印R1の方向に回転することにより、振動が発生する。例えば、測定対象の表面粗さが大きい場合は振動が大きくなる。また、測定対象の表面粗さが小さい場合は振動が小さくなる。接触子340の材質は、ステンレス、銅、真鍮等の金属である。接触子340の材質を金属にすることによって、発生した広い周波数帯域、特に、高い周波数帯域の振動を後述する加速度センサ351に伝達することができる。なお、接触子340の材質をゴム等の弾性体とすることができる。接触子340の材質を弾性体にすることによって、例えば、指を伝搬する振動を模擬することができる。
測定対象と接触子340が接触して、先端部320が回転軸Aを中心に例えば矢印R1の方向に回転することにより、接触子340が変位する際の肌と接触子340との摩擦力が発生する。当該摩擦力を後述する力センサ352で検出する。
【0047】
更に、検出部300の構造について詳細を説明する。
図5は、測定装置2の検出部300の断面図である。
図5は、
図3の測定装置2の検出部300のB-B断面図である。なお、
図5では、図を簡略化するために一部の構成等を省略している。
先端部320は、制御ユニットケース321及びセンサケース322を備える。制御ユニットケース321は、制御ユニット下ケース321aと制御ユニット上ケース321bを備える。また、制御ユニットケース321は、その内部に、制御ユニット基板327を備える。制御ユニット基板327は、センサ350からの信号を無線で制御装置400に送信する回路を備える基板である。制御ユニット下ケース321aには、後述するスリップリング334の回転軸334aが接続されている。制御ユニット上ケース321bには、センサケース322が、振動吸収部材325を介して載置され接着されている。振動吸収部材325は、振動を吸収する部材により形成されている。振動を吸収する部材としては、例えば、発泡ウレタン等のスポンジやゴム等である。振動吸収部材325が、振動隔離部材の一例である。
【0048】
なお、制御ユニット基板327から制御装置400に送信する無線方式は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの無線通信規格に準拠した無線方式を採用してもよい。
センサケース322は、センサ下ケース322aとセンサ上ケース322bを備える。また、センサケース322は、その内部に、センサ基板328を備える。センサ基板328は、センサ350の信号を検出して、検出した信号を制御ユニット基板327に送信する回路を備える基板である。センサ下ケース322aは、振動吸収部材325を介して制御ユニット上ケース321bに接着固定されている。センサ上ケース322bは、開口を備える。当該開口を通して、接触子340が接続部材329を介してセンサ基板328に接続されている。そして、当該接続部材329がセンサ基板328に取り付けられている部分に、センサ基板328は、センサ350の力センサ352を備える。更に、当該力センサ352のセンサ基板328の裏側に、センサ基板328は、センサ350の加速度センサ351を備える。加速度センサ351は、例えば、3軸の加速度センサである。また、力センサ352は、例えば、6軸の力センサである。
駆動部370は、例えば、モータである。駆動部370は回転軸371を回転させる。なお、
図5においては、駆動部370内部の詳細については省略している。駆動部370は、取付け金具318を介して、筐体311のサイドカバー313及び314に取り付けられる。なお、駆動部370は、ゲル素材で形成されたゲルブッシュ318aを介して、取付け金具318に取り付けられている。これにより、駆動部370で発生した振動が筐体311に伝搬することを防止している。なお、駆動部370には、制御回路380から、電源や制御信号が供給される。
先端部320と駆動部370とを連結するために、検出部300は、マグネットカップリング332と、スリップリング334を備える。マグネットカップリング332とスリップリング334は、連結部材の一例である。
マグネットカップリング332は、磁石を用いた非接触式の継ぎ手である。先端部320と駆動部370との間をマグネットカップリング332により非接触で接続することによって、先端部320に駆動部370からの振動が伝達することが防止することができる。即ち、マグネットカップリング332は、駆動部370から先端部320への振動を隔離する振動隔離部材の一例である。マグネットカップリング332は、カップリングディスク332aとカップリングディスク332bを備える。カップリングディスク332aとカップリングディスク332bは、それぞれ磁石を備える。当該磁石の磁力により、カップリングディスク332aとカップリングディスク332bとが非接触の状態で力を伝達することができる。カップリングディスク332aは、アダプタ332a1を介して駆動部370の回転軸371に接続される。カップリングディスク332bは、アダプタ332b1を介して、スリップリング334の回転軸334aに接続される。
スリップリング334は、回転する部品に外部から電力や信号を伝達するコネクタである。検出部300では、本体部310から先端部320の制御ユニット基板327とセンサ基板328に電力を供給するためにスリップリング334を用いる。なお、
図5においては、スリップリング334内部の詳細については省略している。スリップリング334には、本体部310の制御回路380から電力を供給するための配線が接続されている。制御回路380から供給された電力は、スリップリング334を介して、具体的には、スリップリング334の回転軸334aを通して、制御ユニット基板327に供給される。スリップリング334は、取付け金具319を介して筐体311のサイドカバー313、314に取り付けられる。
なお、駆動部370とスリップリング334の間にマグネットカップリング332を備えるが、駆動部370とスリップリング334とを直接つないでもよい。また、駆動部370とスリップリング334とを、マグネットカップリング332とは別の振動隔離部材、例えば、スポンジ、を介して接続してもよい。
【0049】
-制御装置400-
次に制御装置400について、
図1に戻って説明する。
制御装置400は、信号処理部410、検出部制御部420を備える。信号処理部410は、検出部300のセンサ350からの信号を受信する。本実施形態の信号処理部410は、センサ350からの信号を、制御ユニット基板327を介して無線で受信する。信号処理部410は、受信した信号をフィルター処理や増幅処理を行い、アナログ・デジタル変換した測定値を取得する。信号処理部410は、取得した測定値を処理することにより、肌の表面状態を計測する。例えば、測定値をフーリエ変換して、パワースペクトル等により計測する。
検出部制御部420は、検出部300の駆動部370を制御する。具体的には、駆動部370を制御して、回転軸371及び回転軸334aを所定の角度の間を往復するように回転させる。回転軸371及び回転軸334aの回転速度は往復する際の一部の期間で一定速度にするようにしてもよいし、正弦関数的に変化するようにしてもよい。なお、例えば、長期間にわたる測定(例えば、1週間、1ヶ月、1年等)や多くの被験者に対する測定等の場合は、速度をある一定の基準速度に定めて、その基準速度で接触子340とセンサ350を変位させることにより測定を行う。測定装置2では、駆動部370を用いることによって、定められた基準速度で測定を行うことができることから、測定の再現性が向上し、測定のバラツキ等を抑えることができる。また、被験者に対して、複数の速度で測定することより、速度に対する肌の特性を測定することができる。
なお、検出部制御部420による検出部300の駆動部370の制御については、上記の所定の角度の間を往復するように回転させることに限らない。例えば、回転軸371及び回転軸334aを一方向に一定の速度で回転運動させるようにしてもよい。また、その際に、速度について、複数の速度で行うようにしてもよい。更に、速度について、所定の設定に基づいて徐々に速度を変化させるようにしてもよい。
制御装置400の各機能は、不図示の記憶装置に読み出し可能に記憶されるプログラムによってCPU(CentralProcessingUnit)が動作することにより実現される。例えば、これらの各機能は、CPUを含むマイクロコンピュータにおけるハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
【実施例0050】
以下に実施例及び比較例を挙げて実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、配合量は、特に断りのない限り、化粧料組成物の全質量に対する「質量%」を示し、全て純分換算した値である。また、(B)成分の含有量(質量%)に対する、(A)成分の含有量(質量%)の質量比[(A)/(B)]は、小数点以下第2位を四捨五入し、小数点以下第1位まで求め記載した。
【0051】
(実施例1~3)
下記表1に記載の組成及び配合量に基づき、常法により、(A)成分、(B)成分、及び共通成分を混合し、実施例1~3の化粧料組成物(化粧水)を調製した。
【0052】
(実施例4)
下記表1に記載の組成及び配合量に基づき、常法により、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び共通成分を混合し、実施例4の化粧料組成物(化粧水)を調製した。
【0053】
(比較例1)
実施例1~3の化粧料組成物の調製において、(B)成分を配合しなかったこと以外は、実施例1~3の化粧料組成物の調製方法と同様の方法で、下記表2に示す組成及び配合量の比較例1の化粧料組成物(化粧水)を調製した。
【0054】
(比較例2)
実施例3の化粧料組成物の調製において、(A)成分を配合しなかったこと以外は、実施例3の化粧料組成物の調製方法と同様の方法で、下記表2に示す組成及び配合量の比較例2の化粧料組成物(化粧水)を調製した。
【0055】
(比較例3)
実施例1の化粧料組成物の調製において、(B)成分を(B)成分の比較成分に変更したこと以外は、実施例1の化粧料組成物の調製方法と同様の方法で、下記表2に示す組成及び配合量の比較例3の化粧料組成物(化粧水)を調製した。
【0056】
<評価1>
得られた実施例1~4及び比較例1~3の化粧料組成物について、以下のようにして、「塗布中及び塗布後の厚み(コク感)」及び「塗布後のしっとり感」について評価した。評価結果を下記表1及び表2に示した。
【0057】
<<塗布中及び塗布後の厚み(コク感)>>
専門パネル10名が、実施例1~4及び比較例1~3の化粧料組成物1.5gを手に取り、半顔に全量を塗布した際の厚みをもった濃厚なコク感を評価し、下記評価基準に基づき評価した。10名の専門パネルの評価点の平均点を算出し、平均点から下記判定基準に基づき判定した。なお、判定基準A、B、及びCが実用可能な範囲である。
-塗布中及び塗布後の厚み(コク感)の評価基準-
5点:塗布中及び塗布後にとても強くコク感を感じる
4点:塗布中及び塗布後に強くコク感を感じる
3点:塗布中及び塗布後にコク感を感じる
2点:塗布中及び塗布後にややコク感を感じる
1点:塗布中及び塗布後にコク感を感じない
-塗布中及び塗布後の厚み(コク感)の判定基準-
A:平均評価点が、4.5点以上
B:平均評価点が、4.0点以上4.5点未満
C:平均評価点が、3.5点以上4.0点未満
D:平均評価点が、3.5点未満
【0058】
<<塗布後のしっとり感>>
専門パネル10名が、実施例1~4及び比較例1~3の化粧料組成物1.5gを手に取り、半顔に全量を塗布した後のしっとり感を評価し、下記評価基準に基づき評価した。10名の専門パネルの評価点の平均点を算出し、平均点から下記判定基準に基づき判定した。なお、判定基準A、B、及びCが実用可能な範囲である。
-塗布後のしっとり感の評価基準-
5点:塗布後にとても強くしっとり感を感じる
4点:塗布後に強くしっとり感を感じる
3点:塗布後にしっとり感を感じる
2点:塗布後にややしっとり感を感じる
1点:塗布後にしっとり感を感じない
-塗布後のしっとり感の判定基準-
A:平均評価点が、4.5点以上
B:平均評価点が、4.0点以上4.5点未満
C:平均評価点が、3.5点以上4.0点未満
D:平均評価点が、3.5点未満
【0059】
【0060】
【0061】
<評価2>
得られた実施例1~4及び比較例1~3の化粧料組成物について、以下のようにして、「馴染み際のべたつきのなさ」について評価した。評価結果を下記表3に示した。
【0062】
<<馴染み際のべたつきのなさ>>
専門パネル10名が、実施例1~4及び比較例1~3の化粧料組成物1.5gを手に取り、半顔に全量を塗布した後、馴染み際のべたつきのなさを評価し、下記評価基準に基づき評価した。10名の専門パネルの評価点の平均点を算出し、平均点から下記判定基準に基づき判定した。なお、判定基準A、B、及びCが実用可能な範囲である。
-馴染み際のべたつきのなさの評価基準-
5点:馴染み際に全くべたつきを感じない
4点:馴染み際にべたつきを感じない
3点:馴染み際にややべたつきを感じる
2点:馴染み際にべたつきを感じる
1点:馴染み際に強くべたつきを感じる
-馴染み際のべたつきのなさの判定基準-
A:平均評価点が、4.5点以上
B:平均評価点が、4.0点以上4.5点未満
C:平均評価点が、3.5点以上4.0点未満
D:平均評価点が、3.5点未満
【0063】
【0064】
<評価3>
実施例4の化粧料組成物及び以下の方法で調製したコントロールの化粧料組成物の「塗布中及び塗布後の厚み(コク感)」及び「塗布後のしっとり感」を更に詳細に評価するため、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)を使用した評価を行った。
【0065】
<<触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認>>
まず、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)(国際公開第2020/246233号の実施形態2及び実施形態8に記載の検出部300A及び制御装置400を備えた測定装置2)が、厚み(コク感)の評価にも使用し得ることを確認するため、以下の試験を行った。
【0066】
-官能評価-
まず、専門パネルが、ランダムに割り付けられたスキンケア化粧料に対して官能評価を行った。
具体的には、専門パネル4名~6名が、洗顔後、室温23℃、相対湿度45%の恒温恒湿環境下で、基準品及び試験品8種をそれぞれ1g手に取り、同時に半顔ずつ塗布した際の、塗布後の厚みをもった濃厚なコク感について、基準品に対する相対評価により下記評価基準に基づき評価した。その後、4名~6名のスコアの平均値を算出した。
-塗布中及び塗布後の厚み(コク感)の評価基準(スコア)-
+3:基準品又は試験品の単品使用でもコク感が明確に弁別できる差であり、基準品より試験品の方がコク感がかなり強い
+2:基準品又は試験品の単品使用でもコク感が弁別できる程度の差であり、基準品より試験品の方がコク感が強い
+1:基準品及び試験品の同時使用でコク感が弁別できる程度の微差であり、基準品より試験品の方がコク感がわずかに強い
0:基準品及び試験品の同時使用でコク感が弁別できない
-1:基準品及び試験品の同時使用でコク感が弁別できる程度の微差であり、基準品より試験品の方がコク感がわずかに弱い
-2:基準品又は試験品の単品使用でもコク感が弁別できる程度の差であり、基準品より試験品の方がコク感が弱い
【0067】
-触感評価デバイス(振動摩擦センサ)による評価-
女性の被験者8名が、前記官能評価で使用した試験品8種をそれぞれ20μL前腕内側部の30mm×30mmの領域に定量滴下した。その後、室温23℃、湿度45%の恒温恒湿環境下で、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)(国際公開第2020/246233号の実施形態2及び実施形態8に記載の検出部300A及び制御装置400を備えた測定装置2)を用いて、摩擦係数の測定を4秒間かけて行った。次いで、塗布した試験品をゴム手袋越しに手で5秒間馴染ませ、塗布から10秒間後に触感評価デバイスを用いて、摩擦係数の測定を4秒間かけて行った。この操作を繰り返し、塗布直後、及び塗布から10秒間後以降、10秒間毎に240秒間後まで摩擦係数の測定を行った。被験者8名分の摩擦係数の時系列データについて、同時刻点で平均化し、各試験品に対して一つの時系列データを算出した。
【0068】
-触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関関係-
図6Aに塗布から30秒間後の摩擦係数(平均値)と、官能評価によるコク感のスコア(平均値)との相関を示すグラフを示した。また、
図6Bに塗布から60秒間後の摩擦係数(平均値)と、官能評価によるコク感のスコア(平均値)との相関を示すグラフを示した。また、
図6Cに塗布から90秒間後の摩擦係数(平均値)と、官能評価によるコク感のスコア(平均値)との相関を示すグラフを示した。それぞれのグラフにおけるプロットから回帰直線を引き、積率相関係数Rの2乗(R
2)(「決定係数」とも称する)を算出した。
図6Aの決定係数R
2は0.7146であり、
図6Bの決定係数R
2は0.7152であり、
図6Cの決定係数R
2は0.6149であった。
図7は、塗布からの経過時間(s)、及びコク感のスコア(平均値)と摩擦係数(平均値)との積率相関係数Rの関係を示すである。これより、摩擦係数の低い方が、官能評価によるスコアが高い傾向にあることが示され、この試験品では、塗布から30秒間後~90秒間後において、非常に高い負の相関関係があることが示された。
【0069】
<<実施例4の化粧料組成物及びコントロール化粧料組成物の評価>>
-コントロール化粧料組成物の調製-
実施例4の化粧料組成物の調製において、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を配合しなかったこと以外は、実施例4の化粧料組成物の調製方法と同様の方法で、コントロール化粧料組成物(化粧水)を調製した。
【0070】
-評価方法-
女性の被験者10名が、試験前にメークを落とし、洗顔を行った後、実施例4の化粧料組成物又はコントロール化粧料組成物1.5gを手に取り、被験者の頬部位に全量を塗布した。その後、室温23℃、湿度45%の恒温恒湿環境下で、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)(国際公開第2020/246233号の実施形態2及び実施形態8に記載の検出部300A及び制御装置400を備えた測定装置2)を用いて摩擦係数の測定を行った。計測は、塗布前(0秒)及び塗布から30秒間毎に8回(240秒間まで)行った。これと併せて、コントロール化粧料組成物については、<評価1>の<<塗布中及び塗布後の厚み(コク感)>>及び<<塗布後のしっとり感>>に記載の方法と同様の方法での官能評価も行った。
【0071】
-評価結果-
各被験者の実施例4の化粧料組成物を塗布した場合の摩擦係数と、塗布前(0秒)の摩擦係数との差を算出し、更に各時間における被験者10名の摩擦係数の差の平均値を算出し、この摩擦係数の差の平均値の結果を
図8に示した。また、各被験者のコントロールの化粧料組成物を塗布した場合の摩擦係数と、塗布前(0秒)の摩擦係数との差を算出し、更に各時間における被験者10名の摩擦係数の差の平均値を算出し、この摩擦係数の差の平均値の結果を
図9に示した。また、官能評価によるコントロールの化粧料組成物の、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)の判定結果は「D」であり、塗布後のしっとり感の判定結果は「D」であった。
【0072】
図8及び
図9の結果より、実施例4の化粧料組成物を塗布した場合は、コントロールの化粧料組成物を塗布した場合と比較して、塗布直後に摩擦係数が大きく減少し、馴染むにしたがって摩擦係数が急激に増加したことから、塗布直後にはコク感が強く、馴染むにしたがってしっとり感が得られることが分かった。この触感評価デバイス(振動摩擦センサ)による評価結果は、官能評価による塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布後のしっとり感の判定結果と一致していると考えられた。なお、触感評価デバイスとしっとり感との相関関係については、国際公開第2020/246233号の第8実施形態に記載の通りであり、摩擦係数が高い方が、しっとり感が高いことが示されている。
【0073】
(処方例1~3)
下記表4に記載の組成及び配合量に基づき、常法により、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及びその他の成分を混合し、処方例1~3の化粧料組成物(化粧水)を調製した。
【0074】
【0075】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1>(A)トラネキサム酸又はその塩と、
(B)会合型増粘剤と、
を含有し、
油分の含有量が2質量%未満であることを特徴とする化粧料組成物である。
<2>(C)ポリアクリル酸ナトリウムを更に含有する、前記<1>に記載の化粧料組成物である。
<3>前記(B)会合型増粘剤の含有量が0.1質量%~0.2質量%である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<4>前記(B)会合型増粘剤が疎水変性ポリエーテルウレタンである、前記<1>から<3>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<5>液状化粧料組成物である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
【0076】
以上の通り、本発明を具体的な実施形態及び実施例に基づいて説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものにすぎず、本発明は上記実施形態及び実施例により限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、付加、変更等を行うことが可能である。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。