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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095424
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240703BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240703BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/87
A61K8/06
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212703
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】前川 瑛美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB282
4C083AB352
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC662
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD212
4C083BB04
4C083BB11
4C083CC02
4C083DD33
4C083DD47
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】曳糸性とキレの良さとを両立することができ、かつ塗布中及び塗布後の厚み、並びに塗布中のとまり感が良好である化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】本発明に係る化粧料組成物の一態様は、(A)ポリアクリル酸又はその金属塩と、(B)会合型増粘剤と、を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアクリル酸又はその金属塩と、
(B)会合型増粘剤と、
を含有することを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
(C)硬化油を更に含有する、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
(D)ノニオン性界面活性剤を更に含有する、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記(A)ポリアクリル酸又はその金属塩の含有量が0.01質量%~0.08質量%である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記(B)会合型増粘剤の含有量が0.1質量%~0.5質量%である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記(B)会合型増粘剤が疎水変性ポリエーテルウレタンである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
水中油型化粧料組成物である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、化粧料組成物において、曳糸性が高いことは、塗布中の滑らかさを与えることができ、高級感を感じることから好まれる傾向にある。一方、曳糸性を有する化粧料組成物は、その製造工程において、容器への充填時にキレが悪く、また充填後にも充填ノズルから曳糸性物質が糸を曳いて垂れ落ち、容器や充填ラインの汚れにつながることや、容器のシール不良が生じるなど、生産性悪化の原因となるという問題があった。
【0003】
また、化粧料組成物の使用感としては、塗布中及び塗布後に厚み(コク感)を感じることが、塗布行為による摩擦が少なく感じられ、肌に優しい感覚を得られることなどから好まれている。一方、塗布中のとまり感(密着感)が少なく、肌なじみが悪く、ずるつきを感じる使用感は嫌われる傾向がある。
【0004】
曳糸性の経時安定性を有し、肌へのなじみがよい水中油型皮膚外用剤として、ポリアクリル酸又はその金属塩と、アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、ポリエチレングリコールとを含有することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-286757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑みて、本発明の一態様は、曳糸性とキレの良さとを両立することができ、かつ塗布中及び塗布後の厚み、並びに塗布中のとまり感が良好である化粧料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る化粧料組成物の一態様は、(A)ポリアクリル酸又はその金属塩と、(B)会合型増粘剤と、を含有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、曳糸性とキレの良さとを両立することができ、かつ塗布中及び塗布後の厚み、並びに塗布中のとまり感が良好である化粧料組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、測定装置2の全体構成図である。
図2図2は、測定装置2の検出部300の正面図である。
図3図3は、測定装置2の検出部300の側面図である。
図4図4は、測定装置2の検出部300の斜視図である。
図5図5は、測定装置2の検出部300の断面図である。
図6A図6Aは、実施例の<評価2>における、触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認のための、試験品の塗布から30秒間後の摩擦係数と、官能評価によるコク感のスコアとの相関を示すグラフである。縦軸はコク感のスコアを示し、横軸は塗布から30秒間後の摩擦係数(-)を示す。
図6B図6Bは、実施例の<評価2>における、触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認のための、試験品の塗布から60秒間後の摩擦係数と、官能評価によるコク感のスコアとの相関を示すグラフである。縦軸はコク感のスコアを示し、横軸は塗布から60秒間後の摩擦係数(-)を示す。
図6C図6Cは、実施例の<評価2>における、触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認のための、試験品の塗布から90秒間後の摩擦係数と、官能評価によるコク感のスコアとの相関を示すグラフである。縦軸はコク感のスコアを示し、横軸は塗布から90秒間後の摩擦係数(-)を示す。
図7図7は、実施例の<評価2>における、触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認のための、塗布からの経過時間と、コク感のスコアと摩擦係数との積率相関係数Rとの関係を示すグラフである。縦軸はコク感のスコアと摩擦係数との積率相関係数R(-)を示し、横軸は塗布からの経過時間(s)を示す。
図8図8は、実施例の<評価2>において、実施例7及び比較例1の水中油型乳化化粧料組成物を塗布した場合の触感評価デバイス(振動摩擦センサ)の摩擦力の測定結果を示す図である。縦軸は摩擦係数(-)を示し、横軸は時間(×30s)を示す。
図9図9は、実施例の<評価2>において、実施例7及び比較例1の水中油型乳化化粧料組成物を塗布した場合の触感評価デバイス(振動摩擦センサ)の振動数の測定結果を示す図である。縦軸は振動周波数250Hz~1,000Hzにおける平均加速度振幅(G)を示し、横軸は時間(×30s)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断りがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0011】
(化粧料組成物)
一実施形態に係る化粧料組成物は、(A)ポリアクリル酸又はその金属塩と、(B)会合型増粘剤と、を含有する。
【0012】
上記した通り、従来、曳糸性とキレの良さとはトレードオフの関係にあり、これらを両立することは困難であった。従来技術、例えば、特許文献1の水中油型皮膚外用剤も、曳糸性は有するもの、とキレの良さは得られないものであった。更に、塗布中及び塗布後の厚み、並びに塗布中のとまり感も不十分であるという問題があった。これに対し、一実施形態に係る化粧料組成物は、曳糸性とキレの良さとを両立することができ、かつ塗布中及び塗布後の厚み、並びに塗布中のとまり感が良好である。
【0013】
ここで、本明細書において「厚み」とは、前記化粧料組成物を肌に馴染ませる際及び塗布後に、該化粧料組成物が肌を覆うようなあと残り感や保護感があることを意味する。
【0014】
一実施形態に係る化粧料組成物は、前記(A)ポリアクリル酸又はその金属塩及び前記(B)会合型増粘剤に加えて、(C)硬化油、(D)ノニオン性界面活性剤を含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
【0015】
<(A)ポリアクリル酸又はその金属塩>
前記(A)成分としてのポリアクリル酸又はその金属塩は、主に、曳糸性及び塗布中及び塗布後の厚み(コク感)を向上させるために含有する。
【0016】
前記金属塩としては、特に制限はなく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。前記ポリアクリル酸又はその金属塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリアクリル酸又はその金属塩は、ポリアクリル酸ナトリウム塩が好ましい。
【0017】
前記ポリアクリル酸又はその金属塩の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100万~600万が好ましく、400万~500万がより好ましい。
【0018】
前記ポリアクリル酸又はその金属塩は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。前記ポリアクリル酸又はその金属塩の市販品としては、例えば、アロンビス(登録商標)SX、アロンビス(登録商標)MX、アロンビス(登録商標)AHX(以上、東亜合成株式会社製)などが挙げられる。
【0019】
前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の全質量に対して、0.01質量%~0.08質量%が好ましく、0.02質量%~0.08質量%がより好ましく、0.04質量%~0.08質量%が更に好ましい。前記(A)成分の含有量が、0.01質量%以上であると、曳糸性が良好であり、0.08質量%以下であると曳糸性及び塗布中及び塗布後の厚み(コク感)が良好である。
【0020】
<(B)会合型増粘剤>
前記(B)成分としての会合型増粘剤は、主に、一実施形態に係る化粧料組成物の前記(A)成分が有する曳糸性を向上させ、更に塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布中のとまり感を付与するために配合される。
【0021】
「会合型増粘剤」とは、水溶性モノマーからなる親水性部分と疎水性モノマーからなる疎水性部分を有する共重合体であり、水性溶媒中で疎水性相互作用により会合することで、あたかも物理的に架橋した巨大分子として振る舞うことによって系を増粘する作用を持つ増粘剤である(例えば、特開2000-239120号公報の段落0014等を参照)。
【0022】
前記(B)成分の会合型増粘剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、疎水変性ポリエーテルウレタンが好ましく、下記一般式(1)で表される化合物がより好ましい。
【0023】
【化1】
ただし、前記一般式(1)において、Rは疎水性部分を示し、Xは活性水素基を少なくとも2個有する有機化合物にエチレンオキサイドを含有するアルキレンオキサイドを付加重合せしめた親水性部分を示し、Bはエーテル基又はエステル基の結合基を含む結合部分を示し、nは1~5の整数を示す。
【0024】
前記(B)成分の会合型増粘剤としては、これらの中でも、親水性部分と疎水性部分の質量比[親水性部分:疎水性部分]が5:1~1,000:1であるコポリマーが好ましく、親水性部分Xがポリエチレンオキサイドであるコポリマーがより好ましく、疎水性部分Rが炭素数6以上の1価の炭化水素基又は炭素数4以上の1価のフッ化炭素基であり、かつコポリマーの親水性部分がエチレンオキサイド単位で30~6,000(整数)のポリエチレンオキサイドであるコポリマーが特に好ましい。
【0025】
これらの中でも、前記一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンとしては、INCI名称が「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー(PEG-240/HDI Copolymer Bis-Decyltetradeceth-20 Ether)」である疎水変性ポリエーテルウレタンが特に好ましい。
【0026】
前記一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンは、前述の方法で適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。前記一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンの市販品としては、例えば、商品名で、アデカノールGT-700((PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー)、アデカノールGT-730((PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー)(以上、株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
【0027】
前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の全質量に対して、0.1質量%~0.5質量%が好ましく、0.4質量%~0.5質量%がより好ましい。前記(B)成分の含有量が、0.1質量%以上であると、曳糸性及びキレが共に良好であり、0.5質量%以下であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布中のとまり感が良好である。また、前記(B)成分の含有量が0.4質量以下であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布中のとまり感が更に良好である。
【0028】
<質量比[(B)/(A)]>
前記(A)成分の含有量(質量%)に対する、前記(B)成分の含有量(質量%)の質量比[(A)/(B)]としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2~13が好ましく、2.5~12.5がより好ましく、5~10が更に好ましい。前記質量比[(B)/(A)]が、2以上であると、曳糸性とキレの良さを好適に両立することができ、13以下であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)及び塗布中のとまり感が良好である。
【0029】
<(C)硬化油>
前記(C)成分としての硬化油は、主に、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)を更に向上させ、また一実施形態に係る化粧料組成物にカスタマイズ性を付与するために配合されることが好ましい。
【0030】
近年、消費者に対して、「自分のために作られた商品を使用する」というユーザ体験(つまり、パーソナライゼーション)が重要視される傾向にある。化粧料のパーソナライゼーションの一例として、消費者に合わせてカスタマイズされた化粧料(以下「カスタマイズ化粧料」と称することがある)に注目が集まっている。カスタマイズ化粧料は、ユーザの肌状態や要望に応じて生成される。しかしながら、カスタマイズ化粧料には数多くの処方が必要であるため、製造が煩雑であるという問題があった。
【0031】
これに対し、一実施形態に係る前記(C)成分の硬化油を含有する化粧料組成物は、一定の温度条件下で一定時間置いた後、室温に戻すことで、前記温度条件に応じて粘度を変化させることができる。これにより、同じ組成の化粧料組成物を用い、温度条件を変更するのみで、様々な粘度及び感触の化粧料組成物を製造することができ、簡便に効率良くカスタマイズ化粧料を製造することができる。したがって、一実施形態に係る化粧料組成物は、カスタマイズ化粧料組成物としても有用である。
【0032】
このようなカスタマイズ化粧料組成物の製造方法としては、温度条件としては、例えば、一実施形態に係る化粧料組成物を37℃~50℃で1日間以上置き、室温(0℃~30℃)に戻す方法などが挙げられる。これにより、一実施形態に係る化粧料組成物の粘度を、前記温度条件下に置く前の粘度と比較して高することができる。
【0033】
前記(C)成分の硬化油としては、室温で液状の動物性又は植物性の脂肪油、又はこれらの脂肪油に水素を付加反応させて得られる水素添加物などの、室温で白色固形の加工脂肪油である。
【0034】
前記動物性の硬化油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、魚油、鯨油、又はこれらの水素添加物などが挙げられる。
前記植物性の硬化油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化ヒマシ油、硬化ホホバ油、ピーナッツ油、ナタネ種子油、アブラナ種子油、パーム油、パーム核油、ツバキ油、大豆油、オリーブ油、ヒマシ油、マカダミアナッツ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、アボカド油、サフラワー油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、モクロウ、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、又はこれらの水素添加物などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記硬化油は、前記植物性の硬化油が好ましく、水添パーム油、パーム核油、パーム油がより好ましい。
【0035】
前記硬化油は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。前記硬化油の市販品としては、例えば、商品名で、DN-R コンク VP(水添パーム油、大日本化成株式会社製)、HC-35(水添米ヌカ油、丸善薬品産業株式会社製)、NIKKOL Trifat P-52(水添パーム油、日光ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL Trifat PS-45H(水添パーム油、パーム油、及びパーム核油の混合物、日光ケミカルズ株式会社製)、SOFTISAN 154(水添パーム油、IOI Oleo GmbH製)、カスターワックスAフレーク(水添ヒマシ油、日油株式会社製)、ノムコート PHS(水添パーム油、日清オイリオグループ株式会社製)、パーム核硬化油(水添パーム核油、高級アルコール工業株式会社製)、パーム極度硬化油(水添パーム油、横関油脂工業株式会社製)、ハイエルシンナタネ極度硬化油(水添ナタネ種子油、横関油脂工業株式会社製)、大豆極度硬化油(水添大豆油、横関油脂工業株式会社製)、精製ライスワックス R-100(水添パーム油及び水添ナタネ種子油、横関油脂工業株式会社製)、菜種極度硬化油(水添アブラナ種子油、横関油脂工業株式会社製)などが挙げられる。
【0036】
前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の全質量に対して、1質量%~5質量%が好ましく、2質量%~4質量%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が、2質量%以上であると、塗布中及び塗布後の厚み(コク感)を向上させることができ、また一実施形態に係る化粧料組成物に好適にカスタマイズ性を付与することができ、5質量%以下であると、化粧料組成物として、適度な流動性を保つことができる。
【0037】
<(D)ノニオン性界面活性剤>
前記(D)成分としてのノニオン性界面活性剤は、前記(C)成分を配合する場合に含有することが好ましい。
【0038】
前記(D)成分のノニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、マルチトールヒドロキシ脂肪族アルキルエーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油グリセリル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記(D)成分のノニオン性界面活性剤は、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが好ましい。
【0039】
前記(D)成分のノニオン性界面活性剤における酸化エチレンの平均付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2~60が好ましく、5~60がより好ましい。
【0040】
前記ノニオン性界面活性剤は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。前記ノニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名で、EMALEX GM-5(ステアリン酸PEG-5グリセリル、日本エマルジョン株式会社製)、NIKKOL TMGS-5V(ステアリン酸PEG-5、グリセリル日光ケミカルズ株式会社製)、EMALEX GWIS-105(イソステアリン酸PEG-5グリセリル)、EMALEX GWIS-105EX5(イソステアリン酸PEG-5グリセリル)(以上、日本エマルジョン株式会社製)、ユニオックスGM-5IS(イソステアリン酸PEG-5グリセリル、日本油脂株式会社製)、Mファインオイル ISG-20M(イソステアリン酸PEG-20グリセリル)(ミヨシ油脂株式会社製)、EMALEX GWIS-120(イソステアリン酸PEG-20グリセリル)、EMALEX GWIS-120EX(イソステアリン酸PEG-20グリセリル)(以上、日本エマルジョン株式会社製)、ユニオックスGM-20IS(イソステアリン酸PEG-20グリセリル)(日油株式会社製)、EMALEX GWIS-160(イソステアリン酸PEG-60)、EMALEX GWIS-160EX(イソステアリン酸PEG-60)(以上、日本エマルジョン株式会社製)などが挙げられる。
【0041】
前記(D)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の全質量に対して、0.05質量%~3質量%が好ましく、0.1質量%~2質量%がより好ましい。
【0042】
<その他の成分>
一実施形態に係る化粧料組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分に加え、更にその他の成分を含有していてもよい。前記その他の成分としては、一実施形態に係る化粧料組成物の効果を損なわない限り、特に制限はなく、化粧料に通常配合し得るような成分の中から適宜選択することができ、例えば、低級アルコール、糖アルコール、各種抽出液、保湿剤、前記(C)成分以外の油分、前記(A)成分以外の水溶性高分子、前記(B)成分以外の増粘剤、粉体、酸化防止剤、緩衝剤、防腐剤、色素、香料、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、皮膜形成剤、前記(D)成分以外の界面活性剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、抗菌剤、皮膚有効成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記その他の成分の含有量としては、前記化粧料組成物の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0044】
-油分-
前記(C)成分以外の油分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性油、合成油、炭化水素油、シリコーン油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記極性油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリルトリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、トリイソステアリン、ジピバリン酸PPG-3、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどが挙げられる。
【0046】
前記合成油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル-2-エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、トリエチルヘキサノインなどが挙げられる。
【0047】
前記炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
【0048】
前記シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン(フェニルメチコン)、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン;デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン;アミノ変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、カルボキシ変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アンモニウム塩変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油の変性シリコーンなどが挙げられる。
【0049】
前記油分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の全質量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%~20質量%がより好ましい。
【0050】
一実施形態に係る化粧料組成物の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水中油型であることが好ましく、水中油型乳化型であることがより好ましい。したがって、一実施形態に係る化粧料組成物は、水中油型化粧料組成物、水中油型乳化化粧料組成物などとすることができる。
【0051】
一実施形態に係る化粧料組成物を水中油型化粧料組成物又は水中油型乳化化粧料組成物とする場合、その製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、前記(C)成分及びその他の油性成分を高温で溶解して油相を調製する。別途、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(D)、及びその他の水性成分を含む水相を調製する。前記水相を加温し、ここに前記油相を加えて常法により乳化して冷却することによって製造する方法などが挙げられる。なお、前記(A)成分及び前記(B)成分は、前記乳化後、冷却前に添加してもよい。
【0052】
一実施形態に係る化粧料組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液状化粧料組成物とする場合、0mPa・s~15,000mPa・sが好ましく、1,500mPa・s~10,000mPa・sがより好ましい。
前記化粧料組成物の粘度は、例えば、B型粘度計を用い、30℃にて、ローターNo.3、回転数12rpm、1分間の条件で測定することができる。
【0053】
一実施形態に係る化粧料組成物は用途としては、例えば、化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ料、パック料、サンケア料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム等のスキンケア化粧料;化粧用下地化粧料等の化粧料;ファンデーション、アイシャドウ、頬紅、口紅等のメーキャップ化粧料;ヘアセット剤、ヘアジェル等の毛髪化粧料又は染毛剤;外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤等の外用剤などとして好適に使用することができ、特に、乳液として好適に使用することができる。
【0054】
一実施形態に係る化粧料組成物の使用性は官能評価により評価できるが、特に塗布後の感触の変化は、例えば、ヒトによる官能評価の他、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)(国際公開第2020/246233号の実施形態2及び実施形態8に記載の検出部300A及び制御装置400を備えた測定装置2)で測定して確認することもできる。
【0055】
国際公開第2020/246233号の測定装置2について、以下に具体的に説明する。
図1は、測定装置2の全体構成図である。測定装置2は、検出部300及び制御装置400を備える。検出部300と制御装置400とは、無線又は有線により通信可能に接続されている。測定装置2は、触感に関連する肌の表面状態、例えば、肌の表面がなめらかな状態であるか、等を測定する。
【0056】
-検出部300-
まずは、検出部300について説明する。図2は、測定装置2の検出部300の正面図である。図3は、測定装置2の検出部300の側面図である。図4は、測定装置2の検出部300の斜視図である。
測定装置2の検出部300は、本体部310及び先端部320を備える。先端部320は、本体部310の後述する押当てリング316の開口部から接触子340が露出されるように、本体部310に内蔵される。検出部300は、矢印Pの方向に、測定対象、例えば、人の腕や頬等の肌、に先端部320を押し当てることにより肌の表面状態について測定を行う。先端部320は、回転軸Aを中心に矢印R1の方向に回転する。
本体部310は、中央部分がくびれた略円筒形の筐体311を備える。筐体311は、トップカバー312、サイドカバー313、サイドカバー314、及びボトムカバー315により構成される。筐体311の各カバーは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS(AcrylonitrileButadieneStyrene)樹脂)等により形成されている。
トップカバー312の上部には、先端に環状の平面316aを備える円筒形の押当てリング316が螺着されている。当該押当てリング316の内側には、先端部320の接触子340が外部に露出するように、先端部320が備えられている。
押当てリング316の平面316aを肌に押し当てることにより、測定装置2の押し当て方向の位置決めを行うことができる。押当てリング316の平面316aから接触子340の後述する接触面341までの回転軸Aに沿う方向の距離は、トップカバー312に螺着する量を変えることによって、変更することができる。このようにして、例えば、測定部位の肌の形状、柔軟性、表面状態に応じて、押当てリング316の平面316aから接触子340の接触面341までの回転軸Aに沿う方向の距離を変更することができる。これにより、先端部320の接触子340が測定対象に接触する際の押し当てる力を調整することができる。なお、押当てリング316は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA(PolymethylMethacrylate))等により形成されている。
本体部310は、筐体311の内部に、先端部320を回転させる後述する駆動部370を備える。即ち、本体部310は、駆動部370を内蔵する筐体311を備える。筐体311は、測定者が把持可能な大きさの形状となっている。測定者は、本体部310を把持することにより測定を行う。測定者は、本体部310を把持して測定対象に向けて移動させることにより、先端部320を測定対象に押し当てる。
接触子340は、測定装置2の測定対象に接触する部材である。接触子340の接触面341が、測定対象に接触する。接触子340の接触面341は、測定対象や測定の目的によって、平面でもよいし、表面に凹凸があってもよい。
測定対象と接触子340が接触して、先端部320が回転軸Aを中心に例えば矢印R1の方向に回転することにより、振動が発生する。例えば、測定対象の表面粗さが大きい場合は振動が大きくなる。また、測定対象の表面粗さが小さい場合は振動が小さくなる。接触子340の材質は、ステンレス、銅、真鍮等の金属である。接触子340の材質を金属にすることによって、発生した広い周波数帯域、特に、高い周波数帯域の振動を後述する加速度センサ351に伝達することができる。なお、接触子340の材質をゴム等の弾性体とすることができる。接触子340の材質を弾性体にすることによって、例えば、指を伝搬する振動を模擬することができる。
測定対象と接触子340が接触して、先端部320が回転軸Aを中心に例えば矢印R1の方向に回転することにより、接触子340が変位する際の肌と接触子340との摩擦力が発生する。当該摩擦力を後述する力センサ352で検出する。
【0057】
更に、検出部300の構造について詳細を説明する。図5は、測定装置2の検出部300の断面図である。図5は、図3の測定装置2の検出部300のB-B断面図である。なお、図5では、図を簡略化するために一部の構成等を省略している。
先端部320は、制御ユニットケース321及びセンサケース322を備える。制御ユニットケース321は、制御ユニット下ケース321aと制御ユニット上ケース321bを備える。また、制御ユニットケース321は、その内部に、制御ユニット基板327を備える。制御ユニット基板327は、センサ350からの信号を無線で制御装置400に送信する回路を備える基板である。制御ユニット下ケース321aには、後述するスリップリング334の回転軸334aが接続されている。制御ユニット上ケース321bには、センサケース322が、振動吸収部材325を介して載置され接着されている。振動吸収部材325は、振動を吸収する部材により形成されている。振動を吸収する部材としては、例えば、発泡ウレタン等のスポンジやゴム等である。振動吸収部材325が、振動隔離部材の一例である。
なお、制御ユニット基板327から制御装置400に送信する無線方式は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの無線通信規格に準拠した無線方式を採用してもよい。
センサケース322は、センサ下ケース322aとセンサ上ケース322bを備える。また、センサケース322は、その内部に、センサ基板328を備える。センサ基板328は、センサ350の信号を検出して、検出した信号を制御ユニット基板327に送信する回路を備える基板である。センサ下ケース322aは、振動吸収部材325を介して制御ユニット上ケース321bに接着固定されている。センサ上ケース322bは、開口を備える。当該開口を通して、接触子340が接続部材329を介してセンサ基板328に接続されている。そして、当該接続部材329がセンサ基板328に取り付けられている部分に、センサ基板328は、センサ350の力センサ352を備える。更に、当該力センサ352のセンサ基板328の裏側に、センサ基板328は、センサ350の加速度センサ351を備える。加速度センサ351は、例えば、3軸の加速度センサである。また、力センサ352は、例えば、6軸の力センサである。
駆動部370は、例えば、モータである。駆動部370は回転軸371を回転させる。なお、図5においては、駆動部370内部の詳細については省略している。駆動部370は、取付け金具318を介して、筐体311のサイドカバー313及び314に取り付けられる。なお、駆動部370は、ゲル素材で形成されたゲルブッシュ318aを介して、取付け金具318に取り付けられている。これにより、駆動部370で発生した振動が筐体311に伝搬することを防止している。なお、駆動部370には、制御回路380から、電源や制御信号が供給される。
先端部320と駆動部370とを連結するために、検出部300は、マグネットカップリング332と、スリップリング334を備える。マグネットカップリング332とスリップリング334は、連結部材の一例である。
マグネットカップリング332は、磁石を用いた非接触式の継ぎ手である。先端部320と駆動部370との間をマグネットカップリング332により非接触で接続することによって、先端部320に駆動部370からの振動が伝達することが防止することができる。即ち、マグネットカップリング332は、駆動部370から先端部320への振動を隔離する振動隔離部材の一例である。マグネットカップリング332は、カップリングディスク332aとカップリングディスク332bを備える。カップリングディスク332aとカップリングディスク332bは、それぞれ磁石を備える。当該磁石の磁力により、カップリングディスク332aとカップリングディスク332bとが非接触の状態で力を伝達することができる。カップリングディスク332aは、アダプタ332a1を介して駆動部370の回転軸371に接続される。カップリングディスク332bは、アダプタ332b1を介して、スリップリング334の回転軸334aに接続される。
スリップリング334は、回転する部品に外部から電力や信号を伝達するコネクタである。検出部300では、本体部310から先端部320の制御ユニット基板327とセンサ基板328に電力を供給するためにスリップリング334を用いる。なお、図5においては、スリップリング334内部の詳細については省略している。スリップリング334には、本体部310の制御回路380から電力を供給するための配線が接続されている。制御回路380から供給された電力は、スリップリング334を介して、具体的には、スリップリング334の回転軸334aを通して、制御ユニット基板327に供給される。スリップリング334は、取付け金具319を介して筐体311のサイドカバー313、314に取り付けられる。
なお、駆動部370とスリップリング334の間にマグネットカップリング332を備えるが、駆動部370とスリップリング334とを直接つないでもよい。また、駆動部370とスリップリング334とを、マグネットカップリング332とは別の振動隔離部材、例えば、スポンジ、を介して接続してもよい。
【0058】
-制御装置400-
次に制御装置400について、図1に戻って説明する。
制御装置400は、信号処理部410、検出部制御部420を備える。信号処理部410は、検出部300のセンサ350からの信号を受信する。本実施形態の信号処理部410は、センサ350からの信号を、制御ユニット基板327を介して無線で受信する。信号処理部410は、受信した信号をフィルター処理や増幅処理を行い、アナログ・デジタル変換した測定値を取得する。信号処理部410は、取得した測定値を処理することにより、肌の表面状態を計測する。例えば、測定値をフーリエ変換して、パワースペクトル等により計測する。
検出部制御部420は、検出部300の駆動部370を制御する。具体的には、駆動部370を制御して、回転軸371及び回転軸334aを所定の角度の間を往復するように回転させる。回転軸371及び回転軸334aの回転速度は往復する際の一部の期間で一定速度にするようにしてもよいし、正弦関数的に変化するようにしてもよい。なお、例えば、長期間にわたる測定(例えば、1週間、1ヶ月、1年等)や多くの被験者に対する測定等の場合は、速度をある一定の基準速度に定めて、その基準速度で接触子340とセンサ350を変位させることにより測定を行う。測定装置2では、駆動部370を用いることによって、定められた基準速度で測定を行うことができることから、測定の再現性が向上し、測定のバラツキ等を抑えることができる。また、被験者に対して、複数の速度で測定することより、速度に対する肌の特性を測定することができる。
なお、検出部制御部420による検出部300の駆動部370の制御については、上記の所定の角度の間を往復するように回転させることに限らない。例えば、回転軸371及び回転軸334aを一方向に一定の速度で回転運動させるようにしてもよい。また、その際に、速度について、複数の速度で行うようにしてもよい。更に、速度について、所定の設定に基づいて徐々に速度を変化させるようにしてもよい。
制御装置400の各機能は、不図示の記憶装置に読み出し可能に記憶されるプログラムによってCPU(CentralProcessingUnit)が動作することにより実現される。例えば、これらの各機能は、CPUを含むマイクロコンピュータにおけるハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
【実施例0059】
以下に実施例及び比較例、並びに試験例を挙げて実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例、並びに試験例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例、並びに試験例において、配合量は、特に断りのない限り、化粧料組成物の全質量に対する「質量%」を示し、全て純分換算した値である。また、(A)成分の含有量(質量%)に対する、(B)成分の含有量(質量%)の質量比[(B)/(A)]は、小数点以下第2位を四捨五入し、小数点以下第1位まで求め記載した。
【0060】
(実施例1~7及び比較例1~5)
下記表1及び表2に記載の組成及び配合量に基づき、前記(C)成分及びその他の油性成分を高温で溶解して油相を調製した。別途、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(D)、及びその他の水性成分を含む水相を調製した。前記水相を加温し、ここに前記油相を加えて常法により乳化して冷却することにより、実施例1~7及び比較例1~5の水中油型乳化化粧料組成物を調製した。
【0061】
<評価1>
得られた実施例1~7及び比較例1~5の水中油型乳化化粧料組成物について、以下のようにして、「曳糸性」、「キレの良さ」「塗布中及び塗布後の厚み(コク感)」、及び「塗布中のとまり感」について評価した。評価結果を下記表1及び表2に示した。
【0062】
<<曳糸性>>
実施例1~7及び比較例1~5の水中油型乳化化粧料組成物を、それぞれ室温(25℃±5℃)にて容器内に収容した。この容器をレオメーター(SUN REHO METER、サン科学株式会社)にセットし、水中油型乳化化粧料組成物の表面に直径11.8mmの丸型円盤を均一に軽く接触させた後、5mm/秒間の速度で前記容器を降下させて、該溶液が糸を曳く様子を観察した。前記溶液の糸曳きが切れるまでに前記容器が降下した距離を「曳糸長」として測定した。この曳糸長は、水中油型乳化化粧料組成物の曳糸性の指標となる値で、数値が大きいほど曳糸性が強いことを示す(特開2005-274350号公報参照)。なお、曳糸長が10mm以上である場合に、「低曳糸を有する」と判断した。
【0063】
<<キレの良さ>>
実施例1~7及び比較例1~5の水中油型乳化化粧料組成物を、それぞれ室温(25℃±5℃)にて容器内に収容した。専門パネル10名が、容器内の水中油型乳化化粧料組成物の表面に指をあて、素早く上(前記表面に対して垂直方法)に引き上げた際のキレの良さを評価し、下記評価基準に基づき評価した。10名の専門パネルの評価点の平均点を算出し、平均点から下記判定基準に基づき判定した。なお、判定基準A、B、及びCが実用可能な範囲である。
-キレの良さの評価基準-
5点:非常にキレが良いと感じる
4点:キレが良いと感じる
3点:ややキレが良いと感じる
2点:ややキレが悪いと感じる
1点:キレが悪いと感じる
-キレの良さの判定基準-
A:平均評価点が、4.5点以上
B:平均評価点が、4.0点以上4.5点未満
C:平均評価点が、3.5点以上4.0点未満
D:平均評価点が、3.5点未満
【0064】
<<塗布中及び塗布後の厚み(コク感)>>
専門パネル10名が、実施例1~7及び比較例1~5の水中油型乳化化粧料組成物1.5gを手に取り、半顔に全量を塗布した際の、塗布中及び塗布後の厚みをもった濃厚なコク感を評価し、下記評価基準に基づき評価した。10名の専門パネルの評価点の平均点を算出し、平均点から下記判定基準に基づき判定した。なお、判定基準A、B、及びCが実用可能な範囲である。
-塗布中及び塗布後の厚み(コク感)の評価基準-
5点:塗布中及び塗布後にとても強くコク感を感じる
4点:塗布中及び塗布後に強くコク感を感じる
3点:塗布中及び塗布後にコク感を感じる
2点:塗布中及び塗布後にややコク感を感じる
1点:塗布中及び塗布後にコク感を感じない
-塗布中及び塗布後の厚み(コク感)の判定基準-
A:平均評価点が、4.5点以上
B:平均評価点が、4.0点以上4.5点未満
C:平均評価点が、3.5点以上4.0点未満
D:平均評価点が、3.5点未満
【0065】
<<塗布中のとまり感>>
専門パネル10名が、実施例1~7及び比較例1~5の水中油型乳化化粧料組成物1.5gを手に取り、半顔に全量を塗布した際の、塗布中のとまり感を評価し、下記評価基準に基づき評価した。10名の専門パネルの評価点の平均点を算出し、平均点から下記判定基準に基づき判定した。なお、判定基準A、B、及びCが実用可能な範囲である。
-塗布中のとまり感の評価基準-
5点:塗布中にとても強くとまり感を感じる
4点:塗布中に強くとまり感を感じる
3点:塗布中にとまり感を感じる
2点:塗布中にややとまり感を感じる
1点:塗布中にとまり感を感じない
-塗布中のとまり感の判定基準-
A:平均評価点が、4.5点以上
B:平均評価点が、4.0点以上4.5点未満
C:平均評価点が、3.5点以上4.0点未満
D:平均評価点が、3.5点未満
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
<評価2>
実施例7及び比較例1の水中油型乳化化粧料組成物の感触の変化を更に詳細に評価するため、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)を使用した評価を行った。
【0069】
<<触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関の確認>>
まず、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)(国際公開第2020/246233号の実施形態2及び実施形態8に記載の検出部300A及び制御装置400を備えた測定装置2)が、厚み(コク感)の評価にも使用し得ることを確認するため、以下の試験を行った。
【0070】
-官能評価-
まず、専門パネルが、ランダムに割り付けられたスキンケア化粧料に対して官能評価を行った。
【0071】
具体的には、専門パネル4名~6名が、洗顔後、室温23℃、相対湿度45%の恒温恒湿環境下で、基準品及び試験品8種をそれぞれ1g手に取り、同時に半顔ずつ塗布した際の、塗布後の厚みをもった濃厚なコク感について、基準品に対する相対評価により下記評価基準に基づき評価した。その後、4名~6名のスコアの平均値を算出した。
-塗布中及び塗布後の厚み(コク感)の評価基準(スコア)-
+3:基準品又は試験品の単品使用でもコク感が明確に弁別できる差であり、基準品より試験品の方がコク感がかなり強い
+2:基準品又は試験品の単品使用でもコク感が弁別できる程度の差であり、基準品より試験品の方がコク感が強い
+1:基準品及び試験品の同時使用でコク感が弁別できる程度の微差であり、基準品より試験品の方がコク感がわずかに強い
0:基準品及び試験品の同時使用でコク感が弁別できない
-1:基準品及び試験品の同時使用でコク感が弁別できる程度の微差であり、基準品より試験品の方がコク感がわずかに弱い
-2:基準品又は試験品の単品使用でもコク感が弁別できる程度の差であり、基準品より試験品の方がコク感が弱い
【0072】
-触感評価デバイス(振動摩擦センサ)による評価-
女性の被験者8名が、前記官能評価で使用した試験品8種をそれぞれ20μL前腕内側部の30mm×30mmの領域に定量滴下した。その後、室温23℃、湿度45%の恒温恒湿環境下で、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)(国際公開第2020/246233号の実施形態2及び実施形態8に記載の検出部300A及び制御装置400を備えた測定装置2)を用いて、摩擦係数の測定を4秒間かけて行った。次いで、塗布した試験品をゴム手袋越しに手で5秒間馴染ませ、塗布から10秒間後に触感評価デバイスを用いて、摩擦係数の測定を4秒間かけて行った。この操作を繰り返し、塗布直後、及び塗布から10秒間後以降、10秒間毎に240秒間後まで摩擦係数の測定を行った。被験者8名分の摩擦係数の時系列データについて、同時刻点で平均化し、各試験品に対して一つの時系列データを算出した。
【0073】
-触感評価デバイスと厚み(コク感)との相関関係-
図6Aに塗布から30秒間後の摩擦係数(平均値)と、官能評価によるコク感のスコア(平均値)との相関を示すグラフを示した。また、図6Bに塗布から60秒間後の摩擦係数(平均値)と、官能評価によるコク感のスコア(平均値)との相関を示すグラフを示した。また、図6Cに塗布から90秒間後の摩擦係数(平均値)と、官能評価によるコク感のスコア(平均値)との相関を示すグラフを示した。それぞれのグラフにおけるプロットから回帰直線を引き、積率相関係数Rの2乗(R)(「決定係数」とも称する)を算出した。図6Aの決定係数Rは0.7146であり、図6Bの決定係数Rは0.7152であり、図6Cの決定係数Rは0.6149であった。図7は、塗布からの経過時間(s)、及びコク感のスコア(平均値)と摩擦係数(平均値)との積率相関係数Rの関係を示すである。これより、摩擦係数の低い方が、官能評価によるスコアが高い傾向にあることが示され、この試験品では、塗布から30秒間後~90秒間後において、非常に高い負の相関関係があることが示された。
【0074】
<<実施例7及び比較例1の水中油型乳化化粧料組成物の評価>>
-評価方法-
女性の被験者3名が、試験前にメークを落とし、洗顔を行った後、実施例7又は比較例1の水中油型乳化化粧料組成物1gを手に取り、被験者の頬部位に全量を塗布した。その後、室温23℃、湿度45%の恒温恒湿環境下で、触感評価デバイス(振動摩擦センサ)(国際公開第2020/246233号の実施形態2及び実施形態8に記載の検出部300A及び制御装置400を備えた測定装置2)を用いて、摩擦係数及び振動周波数250Hz~1,000Hzにおける平均加速度振幅(G)の測定を行った。計測は、塗布前(0秒)及び塗布から30秒間毎に7回(210秒間まで)行った。
【0075】
-評価結果-
各被験者の実施例7及び比較例1の水中油型乳化化粧料組成物を塗布した場合の摩擦係数と、塗布前(0秒)の摩擦係数との差を算出し、更に各時間における被験者3名の摩擦係数の差の平均値を算出し、この摩擦係数の差の平均値の結果を図8に示した。また、実施例7及び比較例1の水中油型乳化化粧料組成物を塗布した場合の振動周波数250Hz~1,000Hzにおける平均加速度振幅(G)から被験者3名の平均加速度振幅(G)の平均値を算出し、この平均加速度振幅(G)の平均値の結果を図9に示した。
【0076】
図8及び図9の結果より、実施例7の水中油型乳化化粧料組成物を塗布した場合は、比較例1の水中油型乳化化粧料組成物を塗布した場合と比較して、塗布直後に摩擦係数が大きく減少し、馴染むにしたがって摩擦係数が急激に増加しており、塗布直後にはコク感が強く、馴染むにしたがってしっとり感が得られることが分かった。なお、触感評価デバイスとしっとり感との相関関係については、国際公開第2020/246233号の第8実施形態に記載の通りであり、摩擦係数が高い方が、しっとり感が高いことが示されている。
【0077】
(試験例1)
実施例7及び比較例1の水中油型乳化化粧料組成物の調製後、粘度(mPa・s)を測定し、「初期粘度」とした。
次に、実施例7及び比較例1の水中油型乳化化粧料組成物を、それぞれ室温(25℃)にて容器内に収容し、37℃、40℃、45℃、又は50℃の恒温槽に24時間静置した後、室温に戻し、容器内の水中油型乳化化粧料組成物が室温に戻るまで静置した。その後、各水中油型乳化化粧料組成物の粘度(mPa・s)を測定した。
粘度は、B型粘度計(Anton Paar ViscoQC100L、アントンパール社製)を用い、30℃にて、ローターNo.3、回転数12rpm、1分間の条件で測定した。結果を下記表3に示した。
【0078】
【表3】
【0079】
表3の結果より、一実施形態に係る水中油型乳化化粧料組成物は、一定温度条件下に置いた後、室温に戻すことにより粘度を変化させることができ、カスタマイズ化粧料として有用であることが分かった。なお、実施例7において、初期粘度はボトル容器を傾けると、とろっと出てくる程度の粘度であり、40℃で1日間置いた後、室温に戻した場合は、容器を逆さにしても出てこない程度の硬さを有する粘度であった。
【0080】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> (A)ポリアクリル酸又はその金属塩と、
(B)会合型増粘剤と、
を含有することを特徴とする化粧料組成物である。
<2> (C)硬化油を更に含有する、前記<1>に記載の化粧料組成物である。
<3> (D)ノニオン性界面活性剤を更に含有する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<4> 前記(A)ポリアクリル酸又はその金属塩の含有量が0.01質量%~0.08質量%である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<5> 前記(B)会合型増粘剤の含有量が0.1質量%~0.5質量%である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<6> 前記(B)会合型増粘剤が疎水変性ポリエーテルウレタンである、前記<1>から<5>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<7> 水中油型化粧料組成物である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
【0081】
以上の通り、本発明を具体的な実施形態及び実施例に基づいて説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものにすぎず、本発明は上記実施形態及び実施例により限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、付加、変更等を行うことが可能である。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
2 測定装置
300 検出部
310 本体部
311 筐体
312 トップカバー
313 サイドカバー
314 サイドカバー
315 ボトムカバー
316 押当てリング
316a 平面
318 取付け金具
318a ゲルブッシュ
319 取付け金具
320 先端部
321 制御ユニットケース
321a 制御ユニット下ケース
321b 制御ユニット上ケース
322 センサケース
322a センサ下ケース
322b センサ上ケース
325 振動吸収部材
327 制御ユニット基板
328 センサ基板
329 接続部材
332 マグネットカップリング
332a カップリングディスク
332b カップリングディスク
332b1 アダプタ
334 スリップリング
334a 回転軸
340 接触子
341 接触面
350 センサ
351 加速度センサ
352 力センサ
370 駆動部
371 回転軸
380 制御回路
400 制御装置
410 信号処理部
420 検出部制御部
A 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9