(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095432
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】飛行ロボット制御システム及び飛行ロボット制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/00 20240101AFI20240703BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240703BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240703BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240703BHJP
G05D 1/46 20240101ALI20240703BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240703BHJP
B64U 101/31 20230101ALN20240703BHJP
【FI】
G05D1/00 B
G08B25/00 510M
G08B25/10 A
H04Q9/00 301B
H04Q9/00 351
G05D1/10
B64U10/13
B64U101:31
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212715
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】光信 拓也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 陽介
(72)【発明者】
【氏名】澤井 庸平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大貴
【テーマコード(参考)】
5C087
5H301
5K048
【Fターム(参考)】
5C087AA19
5C087AA37
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD17
5C087EE06
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG59
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG17
5H301KK07
5H301KK10
5K048AA05
5K048AA15
5K048BA45
5K048BA48
5K048EB15
(57)【要約】
【課題】自律して飛行する飛行ロボットに対する、操作装置を用いた手動操作に対する制限事項を簡易に設定することができる飛行ロボット制御システム等を提供する。
【解決手段】飛行ロボット制御システムは、飛行ロボットの飛行モードとして、飛行ロボットが自律して飛行する自律飛行モード、及び、操作装置を用いた手動操作に従って飛行する手動飛行モードのうちの何れかを設定するモード設定部と、複数の領域属性のそれぞれに対応して、その領域属性が付された領域における、手動飛行モードに対して課せられる制限事項を記憶する記憶部と、飛行ロボットの飛行エリア内の所定領域に付された一又は複数の領域属性を取得する取得部と、を有し、モード設定部は、取得部が取得した所定領域の領域属性に基づいて、その所定領域における制限事項を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行ロボット及び操作装置を有する飛行ロボット制御システムであって、
前記飛行ロボットの飛行モードとして、前記飛行ロボットが自律して飛行する自律飛行モード、及び、前記操作装置を用いた手動操作に従って飛行する手動飛行モードのうちの何れかを設定するモード設定部と、
複数の領域属性のそれぞれに対応して、当該領域属性が付された領域における、前記手動飛行モードに対して課せられる制限事項を記憶する記憶部と、
前記飛行ロボットの飛行エリア内の所定領域に付された一又は複数の領域属性を取得する取得部と、を有し、
前記モード設定部は、前記取得部が取得した前記所定領域の領域属性に基づいて、当該所定領域における前記制限事項を設定する、
ことを特徴とする飛行ロボット制御システム。
【請求項2】
前記手動飛行モードに対する制限事項は、前記自律飛行モードから前記手動飛行モードへの前記飛行モードの変更の制限、又は、前記手動飛行モードにおける前記手動操作の一部の操作の制限を含む、請求項1に記載の飛行ロボット制御システム。
【請求項3】
前記モード設定部は、前記手動操作の一部の操作の制限として、前記飛行ロボットの水平移動、高度変更又は旋回の制限をかける、請求項2に記載の飛行ロボット制御システム。
【請求項4】
前記モード設定部は、時間帯に応じて異なるように前記制限事項を設定する、請求項1~3の何れか一項に記載の飛行ロボット制御システム。
【請求項5】
前記モード設定部は、前記飛行ロボットの飛行エリアの天候もしくは明るさを示す飛行環境情報、又は、前記飛行ロボットの操作者の資格、操作能力もしくは所属を示す操作者能力情報に基づいて、前記制限事項を設定する、請求項1~3の何れか一項に記載の飛行ロボット制御システム。
【請求項6】
前記モード設定部は、前記飛行ロボットと当該飛行ロボット以外の他の飛行ロボットとの位置関係に基づいて、前記制限事項を設定する、請求項1~3の何れか一項に記載の飛行ロボット制御システム。
【請求項7】
前記モード設定部は、前記手動飛行モードに対して制限をかけることを決定した場合、管理装置に制限の解除を要求する信号を送信し、管理装置から制限の解除を許可する信号を受信した場合、前記手動飛行モードに対する制限を解除する、請求項1~3の何れか一項に記載の飛行ロボット制御システム。
【請求項8】
前記飛行ロボットの操作者に、前記制限事項に関する警告を通知する通知部をさらに有する、請求項1~3の何れか一項に記載の飛行ロボット制御システム。
【請求項9】
コンピュータが、
前記飛行ロボットの飛行モードとして、前記飛行ロボットが自律して飛行する自律飛行モード、及び、前記操作装置を用いた手動操作に従って飛行する手動飛行モードのうちの何れかを設定し、
複数の領域属性のそれぞれに対応して、当該領域属性が付された領域における、前記手動飛行モードに対して課せられる制限事項を記憶し、
前記飛行ロボットの飛行エリア内の所定領域に付された一又は複数の領域属性を取得することを含み、
前記設定において、前記所定領域の領域属性に基づいて、当該所定領域における前記制限事項を設定する、
ことを特徴とする飛行ロボット制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行ロボット及び操作装置を有する飛行ロボット制御システム及び飛行ロボット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駅、商業施設、発電所等の施設の警備において、自律して飛行し且つ帰還、追跡、検知、移動、巡回等のタスクを実行する飛行ロボットが開発されている。このような飛行ロボットにおいて、特定の箇所を重点的に確認したい場合、又は、飛行ロボットが追跡対象を見失ってしまった場合等に、操作装置を用いた手動操作によって飛行ロボットを操作できることが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、自律的に飛行可能であり且つユーザの無線コントローラ装置等による操作によって制御可能な準自律的飛行可能な飛行ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、飛行ロボットを用いてきめ細かい警備サービスを実施するにあたり、自律飛行と手動操作とを効果的に併用することは運用上必要不可欠であるものの、自律して飛行する飛行ロボットに対して手動操作を自由に許可すると、飛行ロボットが現在飛行している領域によっては、飛行ロボットによる飛行の安定性への影響やプライバシーの問題が生じる可能性があるため、飛行領域に応じて手動操作を適切に制限する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、自律して飛行する飛行ロボットに対する、操作装置を用いた手動操作に対する制限事項を簡易に設定することができる飛行ロボット制御システム及び飛行ロボット制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明は、飛行ロボット及び操作装置を有する飛行ロボット制御システムであって、飛行ロボットの飛行モードとして、飛行ロボットが自律して飛行する自律飛行モード、及び、操作装置を用いた手動操作に従って飛行する手動飛行モードのうちの何れかを設定するモード設定部と、複数の領域属性のそれぞれに対応して、その領域属性が付された領域における、手動飛行モードに対して課せられる制限事項を記憶する記憶部と、飛行ロボットの飛行エリア内の所定領域に付された一又は複数の領域属性を取得する取得部と、を有し、モード設定部は、取得部が取得した所定領域の領域属性に基づいて、その所定領域における制限事項を設定する飛行ロボット制御システムを提供する。
【0008】
この飛行ロボット制御システムにおいて、手動飛行モードに対する制限事項は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限、又は、手動飛行モードにおける手動操作の一部の操作の制限を含むことが好適である。
【0009】
この飛行ロボット制御システムにおいて、手動操作の一部の操作の制限として、飛行ロボットの水平移動、高度変更又は旋回の制限をかけることが好適である。
【0010】
この飛行ロボット制御システムにおいて、モード設定部は、時間帯に応じて異なるように制限事項を設定することが好適である。
【0011】
この飛行ロボット制御システムにおいて、モード設定部は、飛行ロボットの飛行エリアの天候もしくは明るさを示す飛行環境情報、又は、飛行ロボットの操作者の資格、操作能力もしくは所属を示す操作者能力情報に基づいて、制限事項を設定することが好適である。
【0012】
この飛行ロボット制御システムにおいて、モード設定部は、飛行ロボットとその飛行ロボット以外の他の飛行ロボットとの位置関係に基づいて、制限事項を設定することが好適である。
【0013】
この飛行ロボット制御システムにおいて、モード設定部は、手動飛行モードに対して制限をかけることを決定した場合、管理装置に制限の解除を要求する信号を送信し、管理装置から制限の解除を許可する信号を受信した場合、手動飛行モードに対する制限を解除することが好適である。
【0014】
この飛行ロボット制御システムにおいて、飛行ロボットの操作者に、制限事項に関する警告を通知する通知部をさらに有することが好適である。
【0015】
かかる課題を解決するため本発明は、コンピュータが、飛行ロボットの飛行モードとして、飛行ロボットが自律して飛行する自律飛行モード、及び、操作装置を用いた手動操作に従って飛行する手動飛行モードのうちの何れかを設定し、複数の領域属性のそれぞれに対応して、その領域属性が付された領域における、手動飛行モードに対して課せられる制限事項を記憶し、飛行ロボットの飛行エリア内の所定領域に付された一又は複数の領域属性を取得することを含み、設定において、所定領域の領域属性に基づいて、その所定領域における制限事項を設定する飛行ロボット制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る飛行ロボット制御システム及び飛行ロボット制御方法は、自律して飛行する飛行ロボットに対する、操作装置を用いた手動操作に対する制限事項を簡易に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】監視エリアA1について説明するための模式図である。
【
図2】飛行ロボット制御システム1の全体システム構成を示す図である。
【
図3】(A)は属性テーブル251のデータ構造の一例を示す図であり、(B)は領域テーブル252のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】設定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態に係る飛行ロボット制御システムについて図を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、実施形態に係る飛行ロボット制御システム1の監視エリアA1について説明するための模式図である。
図1に示すように、飛行ロボット制御システム1は、一又は複数の飛行ロボット10及び操作装置20と、管理装置30と、サーバSとを有する。飛行ロボット制御システム1は、駅、商業施設、発電所等の施設に設定された監視エリアA1を監視及び警備する監視システムである。
【0020】
サーバSは、監視エリアA1内又は監視エリアA1の外部に設置された防災センタC1の監視卓等に配置される。サーバSは、操作装置20及び/又は管理装置30から登録された各種設定を飛行ロボット10に設定するとともに、飛行ロボット10による監視結果を収集して管理する。
【0021】
各飛行ロボット10は、監視エリアA1内に設定された飛行エリアA2を飛行する装置である。飛行エリアA2は、例えば駅舎、店舗、発電設備等の監視対象物件、及び、離着陸地点(格納庫、ロボポート)Dを含むように設定される。飛行エリアA2には、各飛行ロボット10が巡回する巡回ルートA3が設定される。各巡回ルートA3は、各離着陸地点Dからスタートし、飛行エリアA2内の監視対象物件の上空を通過して各離着陸地点Dに戻るように設定されている。
図1に示す例では、各巡回ルートA3上に、駅ホーム、温泉、発電設備等の、高いセキュリティ性が要求される高セキュリティ施設B1~B4が存在している。また、飛行ロボット10は、監視エリアA1に設置されたセンサ等により不審者の侵入などの異常を検知した場合は、当該異常の原因を探るべく異常を検知したセンサの設置場所に向かうよう自律飛行することができる。
各操作装置20は、監視エリアA1内又は監視エリアA1の周辺に設置された防災センタC1の監視卓等に配置される。各操作装置20は、サーバSを介して、対応する飛行ロボット10に各種設定を登録するとともに、防災センタC1の管制員(操作者)による操作に従って、対応する飛行ロボット10を制御する。
管理装置30は、警備会社が運営する警備センタC2の監視卓等に設置される。管理装置30は、サーバSを介して飛行ロボット10に各種設定を登録するとともに、警備センタC2の管制員(操作者)による操作に従って飛行ロボット10を制御する。
【0022】
図2は、飛行ロボット制御システム1の全体システム構成を示す図である。
図2に示すように、飛行ロボット10、操作装置20、管理装置30、サーバSは、イントラネット又はインターネット等の第1通信ネットワークN1を介して相互に接続される。飛行ロボット10及び操作装置20は、無線LAN、携帯電話ネットワーク等の無線通信ネットワークを介して第1通信ネットワークN1に接続される。また、管理装置30は、イントラネット又はインターネット等の第2通信ネットワークN2を介して第1通信ネットワークN1に接続される。
【0023】
飛行ロボット10は、自律的に飛行可能な無人の小型飛行体であり、例えば、クアッドロータ型又はシングルロータ型の小型無人ヘリコプタである。飛行ロボット10は、飛行モードとして、飛行ロボット10が自律して飛行する自律飛行モード、及び、操作装置20を用いた手動操作に従って飛行する手動飛行モードを有する。飛行ロボット10は、例えば、ドローン、マルチコプタ、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)等である。飛行ロボット10は、位置・姿勢センサ11、撮像部12、モータ13、第1通信部14、第1記憶部15及び第1制御部16等を有する。
【0024】
位置・姿勢センサ11は、飛行ロボット10の現在位置および姿勢を取得する。位置・姿勢センサ11は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の航法衛星(人工衛星)から送信される電波(航法信号)を受信する受信機、加速度を計測する加速度センサ、方位を計測する電子コンパス、及び、角速度を計測するジャイロセンサを含む。受信機は、複数の航法衛星から送信される航法信号を受信して第1制御部16に出力する。加速度センサ、電子コンパス及びジャイロセンサは、計測した加速度、方位及び各速度を示す計測信号を第1制御部16に出力する。なお、位置・姿勢センサ11は、レーザスキャナ及び気圧センサ等の他の既知のセンサを用いて飛行ロボット10の現在位置を取得してもよい。また、位置・姿勢センサ11は、他の既知のセンサを用いて飛行ロボット10の姿勢を取得してもよい。
【0025】
撮像部12は、可視光カメラを備える。可視光カメラは、例えば、CCD素子又はC-MOS素子等、可視光に感度を有する光電変換素子と、その光電変換素子上に像を結像する結像光学系と、A/D変換器とを有する可視光カメラを備え、可視光に基づく撮像画像を生成して出力する。撮像部12は、所定のフレーム周期で撮像画像を順次生成し、第1制御部16に出力する。また、撮像部12は、熱画像を取得する熱画像カメラを備えてもよい。熱画像カメラは、例えば、物体からの電磁放射の2種類の波長の放射エネルギーを検出する2次元に配置されたセンサと、センサから出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。熱画像カメラは、2種類の放射エネルギー比によって求められた温度値に基づいて熱画像を生成し、所定のフレーム周期で第1制御部16に出力する。
【0026】
モータ13は、一又は複数(例えば四つ)のモータを含む。各モータの回転軸には、それぞれロータ(回転翼、プロペラ)が連結される。モータ13は、第1制御部16から駆動信号を受信し、受信した駆動信号に従って回転して駆動力を発生させ、各ロータを回転駆動する。飛行ロボット10は、一又は複数のロータが独立して回転することにより、任意方向の加速度を発生させることができ、機体の移動及び姿勢の調節を行うことができる。
【0027】
第1通信部14は、例えば無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の無線通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有し、アクセスポイントを介して第1通信ネットワークN1に接続する。または、第1通信部14は、例えばW-CDMA方式又はLTE方式等に準拠した通信インタフェース回路を有し、基地局及び移動体通信網等の通信ネットワークを介して第1通信ネットワークN1に接続する。第1通信部14は、第1通信ネットワークN1から受信したデータを第1制御部16へ出力し、第1制御部16から入力されたデータを第1通信ネットワークN1に送信する。
【0028】
第1記憶部15は、ROM、RAM等の半導体メモリ、磁気ディスク又はCD-ROM、DVD-ROM等の光ディスクドライブ及びその記録媒体を有する。第1記憶部15は、飛行ロボット10を制御するためのコンピュータプログラム及び各種データを記憶し、第1制御部16との間でこれらの情報を入出力する。コンピュータプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶部15にインストールされてもよい。
また、第1記憶部15は、データとして、位置・姿勢情報151及び経路情報152等を記憶する。位置・姿勢情報151は、位置・姿勢センサ11によって取得された各信号に基づいて検出された飛行ロボット100の現在位置及び現在姿勢を示す。経路情報152は、飛行ロボット10が移動する予定の飛行経路を示す情報であり、飛行経路上における座標列で示される。飛行経路上には、確認ポイントが設定されてもよい。経路情報152は、操作装置20及び/又は管理装置30からサーバSを介して設定される。また、位置・姿勢情報151に記憶された現在位置と現在姿勢、及び、操作装置20及び/又は管理装置32にて設定された移動目標位置とに基づいて、現在位置から目標位置に至る移動経路を第1制御部16にて探索(算出)し、第1記憶部15に経路情報152として記憶してもよい。なお、経路情報152の探索のための計算は、飛行ロボット10の第1制御部16に限らず、操作装置20の第2制御部26、又は管理装置30の第3制御部36にて行ってもよい。
【0029】
第1制御部16は、CPU、MPU等のプロセッサと、ROM、RAM等のメモリと、その周辺回路とを有し、飛行ロボット10の各種信号処理を実行する。第1制御部16は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして実装される飛行制御部161等を有する。なお、第1制御部16として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0030】
飛行制御部161は、位置・姿勢センサ11の出力から3次元的な移動領域(例えば飛行空間)における飛行ロボット10の現在位置及び現在姿勢を算出し、位置・姿勢情報151として第1記憶部15に記憶する。飛行制御部161は、位置・姿勢センサ11から出力された航法信号から緯度・経度・高度を求め、予め記憶した変換規則を用いて移動領域の座標系における位置に変換して現在位置を求める。また、飛行制御部161は、位置・姿勢センサ11から出力された加速度センサ及びジャイロセンサの計測信号から、移動領域の座標系における現在姿勢を求める。飛行制御部161は、位置・姿勢センサ11から出力された電子コンパスの計測信号から、移動領域の座標系における方位を求め、他のセンサからの計測信号を更に用いて現在姿勢を算出してもよい。飛行制御部161は、現在位置及び/又は現在姿勢を算出するたびに、算出した現在位置及び/又は現在姿勢を、第1通信部14を介してサーバSに送信し、サーバSを介して操作装置20及び/又は管理装置30に送信する。また、飛行制御部161は、撮像部12が撮像画像を生成するたびに、生成した撮像画像を、第1通信部14を介してサーバSに送信し、サーバSを介して操作装置20及び/又は管理装置30に送信する。
【0031】
飛行制御部161は、第1通信部14を介して操作装置20又は管理装置30から制御信号を受信し、受信した制御信号に従って、飛行ロボット10が、上昇、下降、方向転換(旋回)、前進及びホバリング(静止)等の飛行を行うようにモータ13を駆動制御する。制御信号において、飛行ロボット10が動作する飛行モードが指定される。飛行モードとして、自律飛行モード及び手動飛行モードの何れかが設定される。自律飛行モードが設定された場合、飛行ロボット10は、自己位置の算出、目標位置の算出、経路の算出、経路に沿った飛行、姿勢制御、通報等の予め定められた動作を、操作者による操作装置20を用いた操作を要することなく、自律的に実行する。即ち、自律飛行モードにおいて、飛行ロボット10は、複数のタスクのうちの何れかのタスクを実行する。飛行モードとして、自律飛行モードが設定される場合、制御信号において、飛行ロボット10に実行させるタスクが指定される。タスクは、飛行ロボット10が実行する処理を目的毎に分類したものである。タスクは、防災センタC1の管制員による操作装置20を用いた指示、警備センタC2の管制員による管理装置30を用いた指示、監視エリアA1に設けられたセンサからの通知信号、又は、サーバSに予め設定されたタスクスケジュール等に従って設定される。
【0032】
タスクとして、帰還タスク、追跡タスク、検知移動タスク、指定地点移動タスク及び巡回タスク等のうちの何れかが設定される。帰還タスクは、他のタスクの終了時もしくは中断時、又は、機体トラブル等の緊急時等において、管制員による帰還指示に従って離着陸地点Dまでの帰還経路を探索(算出)し、離着陸地点Dに自動的に着陸するタスクである。追跡タスクは、飛行ロボット10により生成された撮像画像が表示された操作装置20及び/又は管理装置30を用いた管制員によるターゲット(人物、車等)の指定操作に従って、指定されたターゲットを追跡するように飛行するタスクである。検知移動タスクは、監視エリアA1に設けられたセンサ又は固定カメラによって人物の侵入が検知された時、人物の侵入を検知したセンサ又は固定カメラの付近へ飛行(又は飛行を待機)し、異常発生箇所や異常発生原因を確認するタスクである。指定地点移動タスクは、防災センタC1の管制員により操作装置20を用いて指定された位置、又は、警備センタC2の管制員により管理装置30を用いて指定された位置まで飛行するタスクである。巡回タスクは、事前に設定された飛行経路(巡回経路)に従って飛行し、飛行経路上に設定された確認ポイントで撮影を実行し、確認ポイントにおける異常の有無を判定するタスクである。
タスクとして、点検タスク、救助タスク、配達タスク、測量タスク、農薬散布タスク等の警備以外を目的とするタスクが設定されてもよい。
【0033】
操作装置20は、例えばタブレットPC又はノートPC等である。操作装置20は、第2操作部21、第2表示部22、第2音声出力部23、第2通信部24、第2記憶部25及び第2制御部26等を有する。
【0034】
第2操作部21は、ボタン、タッチパネル、キーボード等の入力装置及び入力装置から信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を第2制御部26へ出力する。第2表示部22は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、第2制御部26からの指示に従って画像、テキスト等の各情報を表示する。第2音声出力部23は、例えばスピーカ等であり、第2制御部26からの指示に従って音声を出力する。
【0035】
第2通信部24は、例えば無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の無線通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有し、アクセスポイントを介して第1通信ネットワークN1に接続する。または、第2通信部24は、例えばW-CDMA方式又はLTE方式等に準拠した通信インタフェース回路を有し、基地局及び移動体通信網等の通信ネットワークを介して第1通信ネットワークN1に接続する。または、第2通信部24は、例えばTCP/IP等に準拠した有線通信インタフェース回路を有し、第1通信ネットワークN1に接続する。第2通信部24は、第1通信ネットワークN1から受信したデータを第2制御部26へ出力し、第2制御部26から入力されたデータを第1通信ネットワークN1に送信する。
【0036】
第2記憶部25は、ROM、RAM等の半導体メモリ、磁気ディスク又はCD-ROM、DVD-ROM等の光ディスクドライブ及びその記録媒体を有する。第2記憶部25は、操作装置20を制御するためのコンピュータプログラム及び各種データを記憶し、第2制御部26との間でこれらの情報を入出力する。コンピュータプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶部25にインストールされてもよい。
また、第2記憶部25は、データとして、属性テーブル251及び領域テーブル252等を記憶する。属性テーブル251及び領域テーブル252の詳細については後述する。
【0037】
第2制御部26は、CPU、MPU等のプロセッサと、ROM、RAM等のメモリと、その周辺回路とを有し、操作装置20の各種信号処理を実行する。第2制御部26は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして実装される表示制御部261、モード設定部262、取得部263及び通知部264等を有する。なお、第2制御部26として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0038】
表示制御部261は、第2通信部24を介してサーバSから、飛行ロボット10から送信された撮像画像と、飛行ロボット10の現在位置及び/又は現在姿勢とを定期的に受信する。表示制御部261は、受信した撮像画像、現在位置及び/又は現在姿勢を第2記憶部25に記憶するとともに第2表示部22に表示する。また、表示制御部261は、経路情報152を、第2通信部24を介してサーバSに送信し、サーバSを介して飛行ロボット10に登録する。また、表示制御部261は、飛行ロボット10の飛行モードが手動操作モードに設定されている場合、第2操作部21を用いて操作者から飛行ロボット10の手動操作を受け付ける。表示制御部261は、受け付けた手動操作に対応する操作信号を、第2通信部24を介してサーバSに送信し、サーバSを介して飛行ロボット10に送信することにより、飛行ロボット10の飛行を制御する。モード設定部262は、飛行ロボット10の飛行モードとして、飛行ロボットが自律して飛行する自律飛行モード、及び、操作装置20を用いた手動操作に従って飛行する手動飛行モードのうちの何れかを設定する。また、飛行ロボット10の飛行エリアA2内の領域毎に、属性テーブル251を参照して、各領域の領域属性に対応する制限領域(手動飛行モードに対する制限がかかる領域)を設定する。取得部263は、飛行ロボット10の飛行エリアA2内の複数の領域のそれぞれの領域属性を取得し、第2記憶部25に記憶する。また、取得部263は、操作対象の飛行ロボット10及び当該飛行ロボット10以外の他の飛行ロボット10の現在位置や、現在時刻、現在の操作環境情報、操作者能力情報などを取得し、第2記憶部25に記憶する。通知部264は、飛行ロボット10の操作者に、手動飛行モードに対する制限に関する警告を通知する。処理の詳細については後述する。
【0039】
管理装置30は、例えばパーソナルコンピュータ又はサーバ等である。管理装置30は、第3操作部31、第3表示部32、第3音声出力部33、第3通信部34、第3記憶部35及び第3制御部36等を有する。
【0040】
第3操作部31は、タッチパネル、キーボード等の入力装置及び入力装置から信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を第3制御部36へ出力する。第3表示部32は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、第3制御部36からの指示に従って画像、テキスト等の各情報を表示する。第3音声出力部33は、例えばスピーカ等であり、第3制御部36からの指示に従って音声を出力する。
【0041】
第3通信部34は、例えばTCP/IP等に準拠した通信インタフェース回路を有し、第2通信ネットワークN2に接続する。または、第3通信部34は、例えば無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の無線通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有し、アクセスポイントを介して第2通信ネットワークN2に接続する。第3通信部34は、第2通信ネットワークN2から受信したデータを第3制御部36へ出力し、第3制御部36から入力されたデータを第2通信ネットワークN2に送信する。
【0042】
第3記憶部35は、ROM、RAM等の半導体メモリ、磁気ディスク又はCD-ROM、DVD-ROM等の光ディスクドライブ及びその記録媒体を有する。第3記憶部35は、管理装置30を制御するためのコンピュータプログラム及び各種データを記憶し、第3制御部36との間でこれらの情報を入出力する。コンピュータプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第3記憶部35にインストールされてもよい。
【0043】
第3制御部36は、CPU、MPU等のプロセッサと、ROM、RAM等のメモリと、その周辺回路とを有し、管理装置30の各種信号処理を実行する。第3制御部36は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして実装される許可部361等を有する。なお、第3制御部36として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0044】
許可部361は、第3通信部34を介してサーバSから、飛行ロボット10から送信された撮像画像と、飛行ロボット10の現在位置及び/又は現在姿勢とを定期的に受信する。許可部361は、受信した撮像画像、現在位置及び/又は現在姿勢を第3記憶部35に記憶するとともに第3表示部32に表示する。また、許可部361は、経路情報152を、第3通信部34を介してサーバSに送信し、サーバSを介して飛行ロボット10に登録する。
【0045】
図3(A)は、属性テーブル251のデータ構造の一例を示す図である。
図3(A)に示すように、属性テーブル251には、複数の領域属性毎に、制限範囲及び制限事項等が相互に関連付けて設定されている。即ち、属性テーブル251には、複数の領域属性のそれぞれに対応して、制限範囲及び制限事項が記憶されている。領域属性は、飛行エリアA2内及びその周囲の領域に係る属性(種別)であり、本実施形態においては安全性やプライバシー保護などの観点から飛行ロボット10が飛行する際に特に注意すべき領域の属性が設定される。
図3(A)では、例として、「温泉」属性、「発電設備」属性、「他飛行ロボットの飛行経路」属性、「警戒領域」属性、「隘路(左右)」属性、「隘路(上下)」等の領域属性が予め用意されている。制限範囲は、対応する領域属性を有する領域に対して、飛行ロボット10の手動飛行モードに対する制限がかかる範囲である。制限事項は、対応する領域属性が付された領域における飛行ロボット10の手動飛行モードに対して課せられる制限事項である。対応する領域属性が付された領域には、対応する領域属性が付された領域から所定範囲が含まれてもよい。
手動飛行モードに対する制限事項として、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限である「変更制限」、手動飛行モードにおける飛行ロボットの水平移動、高度変更もしくは旋回などの手動操作の一部の操作を制限する「操作制限」、又は、「制限なし」の何れかが設定される。制限事項が「操作制限」である場合、制限事項として、さらに制限される一部の操作(水平移動、高度変更又は旋回等)が設定されてもよい。
【0046】
制限範囲として、複数の状態(第1状態、第2状態、第3状態、…)毎の制限範囲が設定される。同様に、制限事項として、複数の状態(第1状態、第2状態、第3状態、…)毎の制限事項が設定される。状態は、例えば、時刻に関する状態、位置に関する状態、及び/又は、飛行ロボット10の操作環境に関する状態等を含む。飛行ロボット10の操作環境は、飛行ロボット10の飛行エリアの天候又は明るさに関する飛行環境、及び/又は、飛行ロボット10の操作者の資格、操作能力又は所属に関する操作者能力等を含む。なお、制限範囲及び制限事項は複数の状態毎に設けず、1つのみ設定する構成としてもよく、領域属性毎に状態の数又は種類を異ならせてもよい。
【0047】
時刻に関する状態として、例えば、現在時刻が、各領域属性に係る物件(店舗、施設等)又は各領域属性を有する領域の周囲に位置する物件の営業時間外又は稼働時間外である状態などが設定される。現在時刻が各物件の営業時間外又は稼働時間外である場合、その物件又はその周辺には人物が存在しない可能性が高いため、飛行ロボット10を手動操作することによりその物件を利用する人物が撮像されてしまう可能性は低い。そこで、現在時刻が各領域属性に係る物件又は各領域属性を有する領域の周囲に位置する物件の営業時間外又は稼働時間外である状態の制限範囲は、狭くなるように設定される。例えば、現在時刻が「温泉」属性の物件の営業時間内である場合、第1状態と設定され、当該「温泉」属性に対応する制限範囲は「20m以内」として設定される。現在時刻が「温泉」属性の物件の営業時間外である場合、第3状態と設定され、当該「温泉」属性に対応する制限範囲は「制限なし」として設定される。現在時刻が「温泉」属性の物件の掃除時間内である場合、第2状態と設定され、当該「温泉」属性の領域から10m以内の範囲が制限範囲として設定される。このように、各領域属性に対応する制限範囲として、時間帯に応じて異なる制限範囲が設定され、現在時刻が意図しないプライバシー侵害を生ずる可能性が高い状態や安全性に問題を生ずる可能性が高い状態であるほど、広い制限範囲が設定され、当該状態の領域に対して飛行ロボット10が手動操作により近接し難くなるよう設定される。
また、現在時刻が各領域属性に係る物件又は各領域属性を有する領域の周囲に位置する物件の営業時間外又は稼働時間外である状態の制限事項は、緩くなるように設定される。例えば、現在時刻が「温泉」属性の物件の営業時間内である場合、第1状態と設定され、当該「温泉」属性に対応する制限事項は最も厳しい「変更制限」として設定される。現在時刻が「温泉」属性の物件の営業時間外である場合、第3状態と設定され、当該「温泉」属性に対応する制限事項は最も緩い「制限なし」として設定される。現在時刻が「温泉」属性の物件の掃除時間内である場合、第2状態と設定され、当該「温泉」属性に対応する制限事項は「操作制限(5m以上の上昇を制限)」として設定される。このように、各領域属性に対応する制限事項として、時間帯に応じて異なる制限事項が設定され、特に、現在時刻が意図しないプライバシー侵害を生ずる可能性が高い状態や安全性に問題を生ずる可能性が高い状態であるほど、飛行ロボット10が厳しい制限事項が設定され、自由な手動操作による飛行ロボット10の移動ができなくなる。
【0048】
また、時刻に関する状態として、例えば、現在時刻が、各領域属性に係る領域が混雑する混雑時間帯、即ち当該領域内に多数の飛行ロボット10や人物等が存在する時間帯に含まれる状態が設定される。現在時刻が混雑時間帯に含まれる場合、飛行ロボット10が他の飛行ロボット10や人物等と接触する可能性がある。そこで、現在時刻が混雑している時間帯であるほど、制限範囲は広くなるように設定される。例えば、「警戒領域」属性の領域において、現在時刻が混雑時間帯に含まれる場合、第1状態と設定され、当該「警戒領域」属性に対応する制限範囲は「20m以内」として設定される。また、当該「警戒領域」属性の領域において、現在時刻が無人時間帯に含まれる場合、第3状態と設定され、当該「警戒領域」属性に対応する制限範囲は「制限なし」として設定される。また、当該「警戒領域」属性の領域において、現在時刻が閑散時間帯に含まれる場合、第2状態と設定され、当該「警戒領域」属性の領域から10m以内の範囲が制限範囲として設定される。
また、現在時刻が混雑時間帯に含まれる状態の制限事項は、厳しくなるように設定される。例えば、「警戒領域」属性の領域において現在時刻が混雑時間帯に含まれる場合、当該「警戒領域」属性に対応する制限事項は、最も厳しい「変更制限」に設定される。また、当該「警戒領域」属性の領域において、現在時刻が無人時間帯に含まれる場合、第3状態と設定され、当該「警戒領域」属性に対応する制限事項は「操作制限(水平移動)」に設定される。また、現在時刻が「警戒領域」属性の領域の閑散時間帯に含まれる場合、第2状態と設定され、当該「警戒領域」属性に対応する制限事項は「操作制限(水平移動、旋回)」に設定される。なお、上記の例では「温泉」属性及び「警戒領域」属性に対応する制限範囲又は制限事項について説明したが、他の領域属性に対応する制限範囲又は制限事項についても同様に、時間帯に応じて異なる制限範囲が設定されてもよい。
【0049】
位置に関する状態として、例えば、操作対象の飛行ロボット10の現在位置と他の飛行ロボット10の現在位置との位置関係に応じた状態が設定される。領域属性が他の飛行ロボット10の飛行経路である場合、他の飛行ロボット10が操作対象の飛行ロボット10から離れていれば、操作対象の飛行ロボット10が他の飛行ロボット10の飛行経路の近傍を飛行していても操作対象の飛行ロボット10が他の飛行ロボット10と接触する可能性は低い。そこで、操作対象の飛行ロボット10の現在位置が他の飛行ロボット10の現在位置から大きく離れている状態(ロボット間距離が大きい状態)の場合における「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限範囲は、狭くなるように設定される。例えば、ロボット間距離が第1閾値以下の場合(かなり近接している場合)、第1状態と設定され、「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限範囲は「20m以内」に設定される。ロボット間距離が第2閾値(第2閾値>第1閾値)以上の場合(かなり離れている場合)、第3状態と設定され、「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限範囲は「3m以内」に設定される。ロボット間距離が第1閾値以上かつ第2閾値以下の場合、第2状態と設定され、「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限範囲は「5m以内」に設定される。このように、各領域属性に対応する制限範囲として、ロボット間の位置関係に応じて異なる制限範囲が設定され、ロボット間距離が近くて安全性に問題を生ずる可能性が高い状態であるほど、広い制限範囲が設定され、当該状態の領域に対して手動操作により近接し難くなるよう設定される。
また、ロボット間距離が小さい状態の場合であるほど、安全性に問題を生ずる可能性が高い状態であるとして「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限事項は、厳しくなるように設定される。例えば、ロボット間距離が第1閾値以下の場合(かなり近接している場合)、第1状態と設定され、当該「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限事項は、最も厳しい「変更制限」に設定される。ロボット間距離が第2閾値以上の場合(かなり離れている場合)、第3状態と設定され、当該「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限事項は最も緩い「制限なし」に設定される。ロボット間距離が第1閾値以上かつ第2閾値以下の場合、第2状態と設定され、当該「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限事項は「操作制限(水平移動)」に設定される。
なお、上記の例では「他ロボットの飛行経路」属性に対応する制限範囲又は制限事項の設定について説明したが、他の属性に対応する制限範囲又は制限事項についても同様に、操作対象の飛行ロボット10の現在位置と他の飛行ロボット10の現在位置との位置関係に応じて設定されてもよい。
【0050】
飛行ロボット10の操作環境に関する状態として、飛行ロボット10の飛行エリアの天候が降雨、降雪もしくは強風である状態、飛行エリアが暗い状態、操作者の資格がある状態、操作者の操作能力が高い状態、又は、操作者の所属が警備会社である状態等が設定される。
飛行エリアの天候が降雨、降雪又は強風である場合、又は、飛行エリアが暗い場合、飛行ロボット10の手動操作が困難となる可能性がある。そこで、飛行エリアの天候が悪い(降雨、降雪又は強風)状態、又は、飛行エリアが暗い状態の制限範囲は、広くなるように設定され、当該領域に手動操作により近接しにくく設定される。例えば、「発電施設」属性の領域において、「強風」かつ「暗い」状態の場合、第1状態と設定され、当該「発電施設」属性に対応する制限範囲は「50m以内」に設定される。また、当該「発電施設」属性の領域において、「弱風」かつ「明るい」状態の場合、第3状態と設定され、当該「発電施設」属性に対応する制限範囲は「30m以内」に設定される。また、当該「発電施設」属性の領域において、「弱風」かつ「暗い」状態の場合、第2状態と設定され、当該「発電施設」属性に対応する制限範囲は「40m以内」に設定される。
また、飛行エリアの天候が悪い状態、又は、飛行エリアが暗い状態の制限事項は、厳しくなるように設定される。例えば、「発電施設」属性の領域において、「強風」かつ「暗い」状態の場合、第1状態と設定され、当該「発電施設」属性に対応する制限事項は「変更制限」に設定される。また、当該「発電施設」属性の領域において、「弱風」かつ「明るい」状態の場合、第3状態と設定され、当該「発電施設」属性に対応する制限事項は「制限なし」に設定される。また、当該「発電施設」属性の領域において、「弱風」かつ「暗い」状態の場合、第2状態と設定され、当該「発電施設」属性に対応する制限事項は「操作制限(水平移動、旋回)」に設定される。
また、操作者が所定の資格を有している場合、操作者の操作能力が高い場合、又は、操作者の所属が警備会社である場合、飛行ロボット10の手動操作が良好に実行される可能性が高い。そこで、操作者の資格がある状態、操作者の操作能力が高い状態、又は、操作者の所属が警備会社である状態の制限範囲は、狭くなるように設定される。すなわち、操作者の操作能力が高い場合においては、操作対象の飛行ロボット10が、例えば「発電施設」属性の領域に対して手動操作により近接できるよう設定される。また、操作者の資格がある状態、操作者の操作能力が高い状態、又は、操作者の所属が警備会社である状態の制限事項は、緩くなるように設定される。すなわち、操作者の操作能力が高い場合においては、操作対象の飛行ロボット10が、例えば「発電施設」属性の領域の周囲において自由な手動操作による飛行ロボット10の移動が制限されにくいよう設定される。なお、上記の例では「発電施設」属性に対応する制限範囲又は制限事項の設定について説明したが、他の属性に対応する制限範囲又は制限事項についても同様に、操作環境に関する状態に応じて設定されてもよい。
【0051】
図3(B)は、領域テーブル252のデータ構造の一例を示す図である。
図3(B)に示すように、領域テーブル252には、飛行ロボット10の飛行エリアA2内で、
図3(A)において設定された領域属性を有する一又は複数の領域毎に、各領域の領域属性が設定されている。各領域は、例えば緯度又は経度等により規定される。なお、
図3(B)では領域属性が個別の施設名称等で規定されているが、属性1、属性2のように制限パターン毎に規定されてもよい。例えば、プライバシー保護や安全性の面から制限を強くすべき領域をまとめて属性1とし、制限を弱めてもよい領域をまとめて属性2とするように、領域属性が規定されてもよい。
【0052】
図4は、操作装置20による設定処理の動作の例を示すフローチャートである。このフローチャートは、予め第2記憶部25に記憶されているプログラムに基づいて、主に第2制御部26により、操作装置20の各要素と協働して実行される。
【0053】
まず、モード設定部262は、第2操作部21を用いて操作者から飛行ロボット10の飛行モードの変更指示を受け付けるまで待機する(ステップS101)。
飛行モードの変更指示を受け付けた場合、モード設定部262は、指示された、変更後の飛行モードが手動飛行モードであるか自律飛行モードであるかを判定する(ステップS102)。
変更後の飛行モードが自律飛行モードである場合、モード設定部262は、第2操作部21を用いて操作者からタスクの指定をさらに受け付ける。モード設定部262は、第1制御信号を、第2通信部24を介してサーバSに送信し、サーバSを介して飛行ロボット10に送信する。第1制御信号は、飛行モードを自律飛行モードに設定することを要求するための信号であり、第1制御信号には、モード設定部262が受け付けたモードが含まれる。これにより、モード設定部262は、飛行ロボット10の飛行モードとして、自律飛行モードを設定するとともに、複数のタスクの中から、飛行ロボット10に実行させるタスクを設定し(ステップS103)、ステップS101へ処理を戻す。
【0054】
一方、変更後の飛行モードが手動飛行モードである場合、取得部263は、飛行ロボット10の現在位置を取得し、第2記憶部25に記憶する(ステップS104)。取得部263は、飛行ロボット10の現在位置の取得を要求するための位置取得要求信号を、第2通信部24を介してサーバSへ送信し、第2通信部24を介してサーバSから飛行ロボット10の現在位置を受信することにより取得する。
次に、取得部263は、飛行ロボット10の飛行エリアA2内の一又は複数の領域のそれぞれの領域属性を取得する(ステップS105)。取得部263は、第2記憶部25から領域テーブル252を読み出し、領域テーブル252において領域属性が設定された、飛行ロボット10の飛行エリアA2内の一又は複数の領域を特定する。取得部263は、特定した各領域に付された一又は複数の領域属性を、飛行ロボット10の飛行エリアA2内の一又は複数の領域のそれぞれの一又は複数の領域属性として取得する。
次に、取得部263は、現在時刻を取得する(ステップS106)。
次に、取得部263は、飛行ロボット制御システム1が有する飛行ロボット10のうち、操作対象の飛行ロボット10以外の他の飛行ロボット10の現在位置を取得し、第2記憶部25に記憶する(ステップS107)。取得部263は、他の飛行ロボット10の現在位置の取得を要求するための位置取得要求信号を、第2通信部24を介してサーバSへ送信し、第2通信部24を介してサーバSから他の飛行ロボット10の現在位置を受信することにより取得する。
【0055】
次に、取得部263は、現在の操作環境情報を取得し、第2記憶部25に記憶する(ステップS108)。操作環境情報は、飛行ロボット10に対する操作装置20を用いた手動操作に関係する操作環境についての情報である。操作環境情報は、飛行ロボット10の飛行エリアの天候又は明るさを示す飛行環境情報、及び/又は、飛行ロボット10の操作者の資格、操作能力又は所属を示す操作者能力情報を含む。天候は「降雨/降雪」、「強風」又は「その他」等を含む。明るさは「暗い」又は「明るい」等を含む。資格は「なし」又は「あり」等を含む。操作能力は「低い」又は「高い」等を含む、所属は「警備会社以外」又は「警備会社」等を含む。
取得部263は、例えば、第2操作部21を用いて操作者から現在の操作環境情報を受け付けることにより取得する。取得部263は、操作環境情報のうち、飛行環境情報を気象庁のサーバ等から受信することにより取得してもよい。また、取得部263は、飛行環境情報の明るさを現在の季節又は現在時刻に基づいて推定することにより取得してもよい。また、操作装置20は、管制員毎に操作者能力情報を予め第2記憶部25に記憶しておいてもよい。その場合、取得部263は、操作装置20に対するアクセスを受け付けた時に管制員の識別情報を用いたログインを要求し、受け付けた識別情報に対応する操作者能力情報を第2記憶部25から読み出すことにより取得する。
【0056】
次に、モード設定部262は、飛行ロボット10の飛行エリアA2内で手動飛行モードに対する制限がかかる制限領域を設定する(ステップS109)。
モード設定部262は、ステップS105で取得部263が特定した飛行ロボット10の飛行エリアA2内の領域毎に、属性テーブル251を参照して、各領域の領域属性に対応する制限範囲を特定する。モード設定部262は、飛行エリアA2内の各領域から、特定した制限範囲内の領域を、制限領域として設定する。
図1に示す例では、高セキュリティ施設B1~B4のそれぞれに対して、制限領域R1~R4が設定されている。このように、モード設定部262は、取得部263が取得した複数の領域のそれぞれの領域属性に対応する制限範囲に基づいて、制限領域を設定する。
【0057】
なお、モード設定部262は、時間帯に応じて異なるように制限範囲を設定してもよい。モード設定部262は、ステップS106で取得部263が取得した現在時刻に基づいて、制限範囲を特定して制限領域を設定する。例えば、モード設定部262は、現在時刻が各領域属性に係る物件又は各領域属性を有する領域の周囲に位置する物件の営業時間又は稼働時間に含まれるか否かに基づいて、制限範囲を特定する。操作装置20は、各領域属性に係る物件又は各領域属性を有する領域の周囲に位置する物件の営業時間又は稼働時間を予め第2記憶部25に記憶しておく。モード設定部262は、現在時刻が、第2記憶部25に記憶された各営業時間外又は各稼働時間外である状態である場合、属性テーブル251において、対応する領域属性及びその状態に対応する制限範囲を特定する。これにより、飛行ロボット制御システム1は、各物件を利用する人物のプライバシーを保護するように、飛行ロボット10の手動操作を適切に制限できる。
また、モード設定部262は、現在時刻が所定の領域属性の領域における混雑時間帯に含まれるか否かに基づいて、制限範囲を特定して制限領域を設定してもよい。操作装置20は、混雑時間帯を予め第2記憶部25に記憶しておく。モード設定部262は、現在時刻が混雑時間帯に含まれる状態である場合、属性テーブル251において、対応する領域属性及びその状態に対応する制限範囲を特定する。これにより、飛行ロボット制御システム1は、飛行エリアA2が混雑しているか否かに応じて、飛行ロボット10の手動操作を適切に制限できる。
【0058】
また、モード設定部262は、操作対象の飛行ロボット10とその飛行ロボット10以外の他の飛行ロボット10との位置関係に基づいて制限範囲を設定してもよい。モード設定部262は、ステップS104、S107で取得部263が取得した操作対象の飛行ロボット10の現在位置及び他の飛行ロボット10の現在位置に基づいて、制限範囲を特定して制限領域を設定する。モード設定部262は、操作対象の飛行ロボット10の現在位置が他の飛行ロボット10の現在位置から所定距離内である状態、又は、所定距離外である状態では、属性テーブル251において、対応する領域属性及びその状態に対応する制限範囲を特定する。これにより、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10が他の飛行ロボット10と近接しているか否かに応じて、飛行ロボット10の手動操作を適切に制限できる。
【0059】
また、モード設定部262は、操作環境情報に基づいて制限範囲を設定してもよい。モード設定部262は、ステップS108で取得部263が取得した操作環境情報に基づいて、制限範囲を特定して制限領域を設定する。モード設定部262は、飛行環境情報に示される天候が「降雨/降雪」又は「強風」である状態、又は、飛行環境情報に示される明るさが「暗い」である状態では、属性テーブル251において、対応する領域属性及びその状態に対応する制限範囲を特定する。これにより、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10の飛行環境に応じて、飛行ロボット10の手動操作を適切に制限できる。
また、モード設定部262は、操作者能力情報に示される操作者の資格が「あり」である状態、操作者の操作能力が「高い」である状態、又は、操作者の所属が「警備会社」である状態では、属性テーブル251において、対応する領域属性及びその状態に対応する制限範囲を特定する。これにより、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10の操作者のスキルに応じて、飛行ロボット10の手動操作を適切に制限できる。
【0060】
次に、モード設定部262は、ステップS109で設定した各制限領域内における手動飛行モードに対する制限事項を設定する(ステップS110)。
モード設定部262は、ステップS109で設定した制限領域毎に、属性テーブル251を参照して、各制限領域に係る領域属性に対応する制限事項を特定する。モード設定部262は、特定した制限事項を、飛行ロボット10の手動飛行モードに対する制限事項として設定する。このように、モード設定部262は、取得部263が取得した複数の領域のそれぞれの領域属性の制限事項に基づいて、制限領域内における手動飛行モードに対する制限事項を設定する。
【0061】
なお、モード設定部262は、ステップS109で制限範囲を特定した処理と同様にして、時間帯に応じて異なるように制限事項を設定してもよい。その場合、モード設定部262は、現在時刻に基づいて制限事項を特定する。同様に、モード設定部262は、操作対象の飛行ロボット10とその飛行ロボット10以外の他の飛行ロボット10との位置関係に基づいて、制限事項を設定してもよい。その場合、モード設定部262は、操作対象の飛行ロボット10の現在位置及び他の飛行ロボット10の現在位置に基づいて、制限事項を特定する。同様に、モード設定部262は、飛行環境情報又は操作者能力情報に基づいて制限事項を設定してもよい。
また、モード設定部262は、領域テーブル252において一つの領域に対して複数の異なる領域属性が設定されている場合は、属性テーブル251において、当該複数の領域属性のそれぞれに対応する制限範囲及び制限事項に基づいて、当該領域に対する制限範囲及び制限事項を設定してもよい。例えば、モード設定部262は、当該領域に対する制限範囲及び制限事項として、当該複数の領域属性のうち最も広い制限範囲や最も厳しい制限事項を設定してもよい。あるいは、モード設定部262は、当該領域に対する制限範囲及び制限事項として、当該複数の領域属性のそれぞれの制限範囲よりも広くなるよう制限範囲を設定したり、当該複数の領域属性のそれぞれの制限事項よりも厳しい制限事項を設定してもよい。
【0062】
次に、モード設定部262は、飛行ロボット10の現在位置が変更制限条件を満たすか否かを判定する(ステップS111)。モード設定部262は、飛行ロボット10の現在位置が、ステップS109で設定された制限領域のうち、ステップS110で制限事項が変更制限に設定された何れかの制限領域に含まれる場合、飛行ロボット10が変更制限条件を満たすと判定する。一方、モード設定部262は、飛行ロボット10の現在位置が、制限事項が変更制限に設定された何れの制限領域にも含まれない場合、飛行ロボット10が変更制限条件を満たさないと判定する。
【0063】
飛行ロボット10の現在位置が変更制限条件を満たす場合、モード設定部262は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限をかけることにより、手動飛行モードに対する制限をかけることを決定する(ステップS112)。
【0064】
手動飛行モードに対して制限をかけることを決定した場合、モード設定部262は、第1解除要求信号を、第2通信部24を介してサーバSに送信し、サーバSを介して管理装置30に送信する(ステップS113)。第1解除要求信号は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限の解除を要求するための信号である。管理装置30の許可部361は、第3通信部34を介してサーバSから第1解除要求信号を受信した場合、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限の解除が要求された旨を第3表示部32に表示して管制員に通知する。許可部361は、管制員から第3操作部31を用いて制限の解除を許可する指示を受け付けた場合、第1解除許可信号を、第3通信部34を介してサーバSに送信し、サーバSを介して操作装置20に送信する。第1解除許可信号は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限の解除を許可するための信号である。一方、許可部361は、管制員から第3操作部31を用いて制限の解除を拒否する指示を受け付けた場合、第1解除拒否信号を、第3通信部34を介してサーバSに送信し、サーバSを介して操作装置20に送信する。第1解除拒否信号は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限の解除を拒否するための信号である。これにより、モード設定部262は、第2通信部24を介してサーバSから、管理装置30から送信された第1解除許可信号又は第1解除拒否信号を受信する。
【0065】
次に、モード設定部262は、第2通信部24を介してサーバSから第1解除許可信号を受信したか否かを判定する(ステップS114)。
【0066】
第1解除拒否信号を受信した場合、通知部264は、飛行ロボット10の操作者に、手動飛行モードに対する制限に関する警告(制限事項に関する警告)を通知し(ステップS115)、ステップS101へ処理を戻す。通知部264は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更を制限する警告を第2表示部22に表示することにより、又は、第2音声出力部23から出力することにより、操作者に通知する。通知部264は、さらに、手動飛行モードに対する制限が行われた理由(対応する制限領域の位置、及び/又は、その制限領域に係る領域属性)を操作者に通知してもよい。これらにより、操作者は、手動飛行モードへ変更できないこと及びその理由を認識することができる。この場合、モード設定部262は、飛行ロボット10に手動飛行モードを設定せず、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更を実行しない。これにより、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10又は飛行エリアの緊急性に応じて、飛行ロボット10の手動操作自体を制限できる。
【0067】
一方、第1解除許可信号を受信した場合、モード設定部262は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限を解除することにより、手動飛行モードに対する制限を解除する(ステップS116)。これにより、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10の位置が特定の領域属性に係る領域に近い場合(当該領域属性の制限範囲内である場合)でも、緊急事態が発生した場合に、操作者に飛行ロボット10を手動で操作させることができ、緊急事態に対して柔軟に対応させることができる。
次に、モード設定部262は、第2制御信号を、第2通信部24を介してサーバSに送信し、サーバSを介して飛行ロボット10に送信する。第2制御信号は、飛行モードを手動飛行モードに設定することを要求するための信号である。これにより、モード設定部262は、飛行ロボット10の飛行モードとして、手動飛行モードを設定し(ステップS117)、ステップS101へ処理を戻す。
【0068】
一方、ステップS111において飛行ロボット10の現在位置が変更制限条件を満たさなかった場合、モード設定部262は、飛行ロボット10の現在位置が操作制限条件を満たすか否かを判定する(ステップS118)。モード設定部262は、飛行ロボット10の現在位置が、ステップS109で設定された制限領域のうち、ステップS110で制限事項が操作制限に設定された何れかの制限領域に含まれる場合、飛行ロボット10が操作制限条件を満たすと判定する。一方、モード設定部262は、飛行ロボット10の現在位置が、制限事項が操作制限に設定された何れの制限領域にも含まれない場合、飛行ロボット10が操作制限条件を満たさないと判定する。
【0069】
飛行ロボット10の現在位置が操作制限条件を満たす場合、モード設定部262は、手動飛行モードにおける飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回の制限をかけることにより、手動飛行モードに対する制限をかけることを決定する(ステップS119)。
【0070】
手動飛行モードに対して制限をかけることを決定した場合、モード設定部262は、第2解除要求信号を、第2通信部24を介してサーバSに送信し、サーバSを介して管理装置30に送信する(ステップS120)。第2解除要求信号は、手動飛行モードにおける飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回の制限の解除を要求するための信号である。管理装置30の許可部361は、第3通信部34を介してサーバSから第2解除要求信号を受信した場合、手動飛行モードにおける飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回の制限の解除が要求された旨を第3表示部32に表示して管制員に通知する。許可部361は、管制員から第3操作部31を用いて制限の解除を許可する指示を受け付けた場合、第2解除許可信号を、第3通信部34を介してサーバSに送信し、サーバSを介して操作装置20に送信する。第2解除許可信号は、手動飛行モードにおける飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回の制限の解除を許可するための信号である。一方、許可部361は、管制員から第3操作部31を用いて制限の解除を拒否する指示を受け付けた場合、第2解除拒否信号を、第3通信部34を介してサーバSに送信し、サーバSを介して操作装置20に送信する。第2解除拒否信号は、手動飛行モードにおける飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回の制限の解除を拒否するための信号である。これにより、モード設定部262は、第2通信部24を介してサーバSから、管理装置30から送信された第2解除許可信号又は第2解除拒否信号を受信する。
【0071】
次に、モード設定部262は、第2通信部24を介してサーバSから第2解除許可信号を受信したか否かを判定する(ステップS121)。
【0072】
第2解除拒否信号を受信した場合、通知部264は、飛行ロボット10の操作者に、手動飛行モードに対する制限に関する警告(制限事項に関する警告)を通知する(ステップS122)。通知部264は、手動飛行モードにおける飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回を制限する警告を第2表示部22に表示することにより、又は、第2音声出力部23から出力することにより、操作者に通知する。通知部264は、さらに、手動飛行モードに対する制限が行われる操作(水平移動、高度変更又は旋回)及び理由を操作者に通知してもよい。これらにより、操作者は、手動飛行モードにおいて所定の操作を実行できないこと及びその理由を認識することができる。
【0073】
次に、モード設定部262は、第2制御信号を、第2通信部24を介してサーバSに送信し、サーバSを介して飛行ロボット10に送信する。これにより、モード設定部262は、飛行ロボット10の飛行モードとして、手動飛行モードを設定し(ステップS117)、ステップS101へ処理を戻す。この場合、モード設定部262は、手動飛行モードにおいて飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回を制限することを第2制御信号で指定する。これにより、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10又は飛行エリアの安全性やプライバシーの保護などの必要性に応じて、飛行ロボット10の手動操作の一部を制限できる。
【0074】
一方、第2解除許可信号を受信した場合、モード設定部262は、手動飛行モードにおいて飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回の制限を解除することにより、手動飛行モードに対する制限を解除する(ステップS123)。これにより、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10の位置が特定の領域属性に係る領域に近い場合(当該領域属性の制限範囲内である場合)でも、緊急事態が発生した場合に、操作者に飛行ロボット10を手動で操作させることができ、緊急事態に対して柔軟に対応させることができる。
次に、モード設定部262は、第2制御信号を、第2通信部24を介して飛行ロボット10に送信し、サーバSを介して飛行ロボット10に送信する。これにより、モード設定部262は、飛行ロボット10の飛行モードとして、手動飛行モードを設定し(ステップS117)、ステップS101へ処理を戻す。この場合、モード設定部262は、手動飛行モードにおいて飛行ロボット10の水平移動、高度変更又は旋回を制限することを第2制御信号で指定しない。
【0075】
また、ステップS118において飛行ロボット10の現在位置が変更制限条件を満たさなかった場合、モード設定部262は、第2制御信号を、第2通信部24を介して飛行ロボット10に送信し、サーバSを介して飛行ロボット10に送信する。これにより、モード設定部262は、飛行ロボット10の飛行モードとして、手動飛行モードを設定し(ステップS117)、ステップS101へ処理を戻す。
以上により、設定処理の説明を終了する。
【0076】
なお、ステップS109、S110において、モード設定部262は、時間帯、飛行環境情報、操作者能力情報、又は、操作対象の飛行ロボット10と他の飛行ロボット10との位置関係に基づいて、制限範囲又は制限事項を特定しなくてもよい。その場合、属性テーブル251には、状態によらず制限範囲又は制限事項が設定される。その場合、ステップS106~S108の処理は省略されてもよい。また、ステップS113、S114、S116の処理、ステップS120、S121、S123の処理、ステップS115の処理、及び/又は、ステップS122の処理は省略されてもよい。
【0077】
以上説明したように、飛行ロボット制御システム1は、特定の箇所を重点的に確認したい場合又は飛行ロボット10が追跡対象を見失ってしまった場合等に、飛行ロボット10の飛行モードを手動飛行モードに設定することにより、飛行ロボット10を適切に制御できる。一方、飛行ロボット制御システム1は、手動飛行モードに対する制限がかかる制限領域、又は、手動飛行モードに対する制限事項を設定することにより、飛行ロボット10の手動操作を適切に制限できる。したがって、飛行ロボット制御システム1は、自律して飛行する飛行ロボット10に対する、操作装置20を用いた手動操作を適切に制限することが可能となる。
また、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10の飛行エリアA2内の各領域の領域属性に基づいて制限領域を設定するため、飛行エリアA2内の細かい位置毎に、手動飛行モードに対する制限がかかるか否かを設定する必要がない。したがって、飛行ロボット制御システム1は、自律して飛行する飛行ロボット10に対する、操作装置20を用いた手動操作の制限をかける領域を簡易に設定することが可能となる。
また、飛行ロボット制御システム1は、飛行ロボット10の飛行エリアA2内の各領域の領域属性に基づいて、各領域における制限事項を設定するため、飛行エリアA2内の細かい位置毎に制限事項を設定する必要がない。したがって、飛行ロボット制御システム1は、自律して飛行する飛行ロボット10に対する、操作装置20を用いた手動操作に対する制限事項を簡易に設定することが可能となる。
これらにより、飛行ロボット制御システム1は、制限領域又は制限事項の設定にかかる処理時間及び処理負荷を低減させることが可能となる。
【0078】
以上、好適な実施形態について説明したが、実施形態は上記した例に限定されない。例えば、モード設定部262は、領域属性に基づいて、制限領域及び制限事項のうちの一方のみを設定してもよい。
制限事項の設定が省略される場合、属性テーブル251には、複数の領域属性毎に、制限範囲のみが設定される。この場合、ステップS110において、モード設定部262は、各制限領域内における手動飛行モードに対する制限事項として、固定の制限事項を設定する。固定の制限事項は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更の制限、又は、飛行ロボット10の水平移動、高度変更もしくは旋回の制限等に予め設定される。
一方、制限領域の設定が省略される場合、属性テーブル251には、複数の領域属性毎に、制限事項のみが設定される。この場合、ステップS109において、モード設定部262は、領域テーブル252において領域属性が設定された複数の領域又は各領域から所定範囲(例えば10m等の固定範囲)内の領域を制限領域として設定する。ステップS110において、モード設定部262は、ステップS109で設定した制限領域内における制限事項を設定する。
【0079】
また、手動飛行モードに対する制限は、自律飛行モードから手動飛行モードへの飛行モードの変更、及び、手動飛行モードにおける飛行ロボット10の一部の操作(水平移動、高度変更もしくは旋回)のうちの何れか一方のみを含んでもよい。また、制限される一部の操作として、水平移動、高度変更又は旋回に限らず、手動操作における機体の傾き、旋回速度、移動速度などを制限してもよい。
【0080】
また、モード設定部262は、操作者により飛行ロボット10の飛行モードの変更が指示された場合に限らず、任意のタイミングで、手動飛行モードに対して制限を行ってもよい。例えば、モード設定部262は、飛行ロボット10が手動飛行モードで動作中に、最新の領域属性もしくは操作環境情報、又は、現在時刻もしくは各飛行ロボット10の現在位置に基づいて、手動飛行モードに対して制限を行ってもよい。
【0081】
また、飛行ロボット制御システム1において、サーバSは省略されてもよい。その場合、飛行ロボット10、操作装置20及び/又は管理装置30は、サーバSを介さずに相互に各情報を送受信する。
【0082】
また、飛行ロボット制御システム1において、操作装置20の代わりに、管理装置30が、手動飛行モードに対して制限を行ってもよい。その場合、管理装置30の第3記憶部35が、操作装置20の第2記憶部25が記憶する各情報を記憶するとともに、管理装置30の第3制御部36が、操作装置20の第2制御部26が有する各部を有し、
図4に示した設定処理を実行する。第3制御部36は、第3操作部31を用いて管理装置30の操作者により指定された各種情報を取得し、各種信号を第3通信部34及びサーバSを介して飛行ロボット10に送信する。また、モード設定部が、手動飛行モードに対して制限をかけることを決定した場合、許可部361は、制限の解除が要求された旨を第3表示部32に表示して管制員に通知する。許可部361が、管制員から第3操作部31を用いて制限の解除を許可又は拒否する指示を受け付けた場合、モード設定部は、手動飛行モードに対する制限を解除する。また、第3制御部36は、飛行ロボット10に手動飛行モードを設定した場合、その旨を、第3通信部34及びサーバSを介して操作装置20に送信し、操作装置20の操作者に通知する。また、第3制御部36は、手動飛行モードに対して制限を行った場合、警告を、第3通信部34及びサーバSを介して操作装置20に送信し、操作装置20の操作者に通知する。この場合も、飛行ロボット制御システム1は、自律して飛行する飛行ロボット10に対する、操作装置20を用いた手動操作を適切に制限することが可能となる。また、飛行ロボット制御システム1は、自律して飛行する飛行ロボット10に対する、操作装置20を用いた手動操作の制限をかける領域、及び/又は、手動操作に対する制限事項を簡易に設定することが可能となる。
【0083】
また、飛行ロボット制御システム1において、操作装置20の代わりに、飛行ロボット10が、手動飛行モードに対して制限を行ってもよい。その場合、飛行ロボット10の第1記憶部15が、操作装置20の第2記憶部25が記憶する各情報を記憶するとともに、飛行ロボット10の第1制御部16が、操作装置20の第2制御部26が有する各部を有し、
図4に示した設定処理を実行する。第1制御部16は、各種情報を、第1通信部14及びサーバSを介して操作装置20及び/又は管理装置30から受信することにより取得し、第1記憶部15に設定する。また、第1制御部16は、各解除要求信号を、第1通信部14及びサーバSを介して管理装置30に送信し、各解除許可信号を、第1通信部14及びサーバSを介して管理装置30から受信する。また、第1制御部16は、飛行ロボット10に手動飛行モードを設定した場合、その旨を、第1通信部14及びサーバSを介して操作装置20に送信し、操作装置20の操作者に通知する。また、第1制御部16は、手動飛行モードに対して制限を行った場合、警告を、第1通信部14及びサーバSを介して操作装置20に送信し、操作装置20の操作者に通知する。この場合も、飛行ロボット制御システム1は、自律して飛行する飛行ロボット10に対する、操作装置20を用いた手動操作を適切に制限することが可能となる。また、飛行ロボット制御システム1は、自律して飛行する飛行ロボット10に対する、操作装置20を用いた手動操作の制限をかける領域、及び/又は、手動操作に対する制限事項を簡易に設定することが可能となる。
【0084】
本発明の一実施形態にかかる飛行ロボット制御システム及び飛行ロボット制御方法は、労働力人口減少や長時間労働などの社会課題の解決に貢献し得るものである。
また、本発明の一実施形態にかかる飛行ロボット制御システム及び飛行ロボット制御方法は、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することも可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1 飛行ロボット制御システム、10 飛行ロボット、20 操作装置、30 管理装置、25 第2記憶部、262 モード設定部、263 取得部、264 通知部